JP4614974B2 - マルチパス環境における位置追跡の方法及び装置 - Google Patents

Description

本発明は、一般的に無線ネットワークに関し、より詳細には、マルチパス環境における無線ネットワークモバイルユニットの位置追跡に関する。

無線ローカルエリアネットワーク（ＬＡＮ）は、追加機能を提供するために従来の有線ＬＡＮと交換するか又はそれを拡張することができる柔軟性のあるデータ通信システムである。従来の有線ＬＡＮは、１個の機器から別のものにケーブル又はワイヤに亘ってデータパケットを送信する。有線ＬＡＮで使用されるワイヤの代わりに、無線ＬＡＮは、１以上の固定又はモバイルユニットと１以上のアクセスポイントの間でデータを転送するために無線波に依存する。データは、変調と呼ばれる処理により無線波上に重畳され、変調無線波は、次に伝送媒体として作用する。無線ＬＡＮは、様々な垂直及び水平用途（例えば、小売り、製造、物流、健康管理、教育、公共空間など）で使用される。近年は、特に空港、ホテル、及び喫茶店などを含む公共の「ホットスポット」での無線インターネットアクセスサービスを提供するために、無線インフラストラクチャー・ネットワークの配備が急増している。

モバイル装置の位置を追跡する機能は、無線ＬＡＮの実用性を上げることができる。例えば、無線ＬＡＮは、モバイル加入者に対して、彼らが異なる位置間又はその内部、例えば、倉庫の内部付近、家から事務所まで、及び屋内から屋外までなどを移動する時に、電話呼び出し、電子メール、及び位置依存情報などのような位置ベースのサービスを提供することができるであろう。別の例に対しては、位置追跡を使用して、移動資産に無線周波数タグを固定し、それによって無線ＬＡＮを通じてそれらを人間と情報システムに対して「可視」にすることにより、倉庫、病院、及びドックヤードなどにおける資産を管理することができる。

モバイル装置及び／又は無線周波数タグを追跡するための１つの従来技術は、多くの場合に「受信信号強度指標（ＲＳＳＩ）」法と呼ばれ、いくつかのアクセスポイントでモバイル装置及び／又は無線周波数タグから受信した電力の測定値を使用して、モバイル装置及び／又は無線周波数タグの位置を推定する。モバイル装置及び／又は無線周波数タグを追跡するための第２の従来技術は、多くの場合に「到着時間差（ＴＤＯＡ）」法と呼ばれ、モバイル装置及び／又は無線周波数タグといくつかのアクセスポイントとの間で送信された信号の到着時間を測定し、次に、三角法を使用してモバイル装置及び／又は無線周波数タグの位置を推定する。しかし、ＲＳＳＩとＴＤＯＡ法の両方は、それらが豊富なマルチパス環境内でモバイル装置及び／又は無線周波数タグの位置を追跡するのに使用された時に、精度及び／又は全体的システム性能の大幅な低下を受けることになる。

本発明の一態様では、無線追跡システムを較正する方法が提供される。本方法は、モバイルユニットが少なくとも１つの所定の位置に近い間に第１の複数のアンテナを有するモバイルユニットを使用して少なくとも１つの測定信号を供給する段階、及びこの少なくとも１つの測定信号の供給に応答して第２の複数のアンテナで複数の信号を受信する段階を含む。本方法はまた、複数の受信信号と少なくとも１つの測定信号とを使用して送信マトリックスの一部分を判断する段階、及び送信マトリックスのその部分を所定の位置に関連付ける段階を含む。

本発明の別の態様では、無線ローカルエリアネットワーク内のモバイルユニットを追跡する方法が提供される。本方法は、第１の複数のアンテナで複数の信号を受信する段階、複数の受信信号を使用して送信マトリックスの一部分を判断する段階、及び送信マトリックスのその部分を所定の位置に関連付ける段階を含む。
本発明の更に別の態様では、無線ローカルエリアネットワークが提供される。無線ローカルエリアネットワークは、少なくとも１つの信号を供給することができる第１の複数のアンテナを有する少なくとも１つのモバイルユニット、及び少なくとも１つのモバイルユニットにより供給された少なくとも１つの信号に応答して複数の信号を受信することができる第２の複数のアンテナを有するアクセスポイントを含む。アクセスポイントは、複数の受信信号を使用して送信マトリックスの一部分を判断し、送信マトリックスのその部分を所定の位置に関連付けることができる。

本発明は、同じ参照番号が同じ要素を特定する添付図面と共に以下の説明を参照することにより理解することができる。
本発明は、様々な変更及び代替形態を受け入れるものであるが、その特定的な実施形態が、一例として図面に示され、本明細書に詳細に説明されている。しかし、特定的な実施形態の本明細書の説明は、本発明を開示される特定の形態に制限するように意図しておらず、その反対に、本発明は、特許請求の範囲に規定した本発明の精神及び範囲に該当する全ての変更、均等物、及び代替物を網羅するものであることを理解すべきである。

本発明の例示的な実施形態を以下に説明する。理解しやすくするために、この明細書では、実際的な実施の全ての特徴が説明されるわけではない。そのようなあらゆる実際的な実施形態を開発する時に、１つの実施から別の実施へと変動することになるシステム関連及びビジネス関連の制約への適合のような開発者の特定の目的を達成するために、多くの特定の実施に対する判断が為されるべきであることは勿論認められるであろう。更に、そのような開発の努力は複雑で時間を消費するであろうが、それでも、この開示の恩典を受ける当業者に対しては日常の仕事と考えられることが認められるであろう。

図１は、無線ローカルエリアネットワーク１００の１つの例示的実施形態を示している。図示の実施形態では、無線ローカルエリアネットワーク１００は、複数の部屋１１５（１−３）を含む屋内空間１１０内に配備される。しかし、本発明は、屋内空間１１０のような屋内に配備される無線ローカルエリアネットワーク１００に制約されないことは、当業者によって認められるであろう。様々な代替的実施形態では、無線ローカルエリアネットワーク１００の一部又は全ては、屋内空間１１０の内側又は外側のあらゆる望ましい位置、並びに屋内空間１１０内のあらゆる望ましい数の部屋に配備することができる。

図１に示す無線ローカルエリアネットワーク１００は、アクセスポイント１２０とモバイルユニット１２５（１−３）を含む。無線ローカルエリアネットワーク１００の例示的実施形態に３つのモバイルユニット１２５（１−３）が示されているが、本発明は、３つのモバイルユニット１２５（１−３）に制約されることはなく、代替的実施形態では、より多く又はより少ないモバイルユニット１２５（１−３）を使用することができることを当業者は認めるであろう。更に、モバイルユニット１２５（１−３）の数は、時間と共に変動する場合がある。例えば、モバイルユニット１２５（１−３）がオンにされるか、又はその他の方法で無線ローカルエリアネットワーク１００に追加されると、モバイルユニット１２５（１−３）の数は増すであろう。別の例として、モバイルユニット１２５（１−３）がオフにされるか、又はその他の方法で無線ローカルエリアネットワーク１００から取り除かれると、モバイルユニット１２５（１−３）の数は減少するであろう。

様々な実施形態では、モバイルユニット１２５（１−３）は、携帯電話、携帯情報端末、バーコードスキャナ、携帯式コンピュータ、及びデスクトップコンピュータなどとすることができる。図１に示すモバイルユニット１２５（１−３）は、信号を送受信することができるが、本発明は、そのようには限定されない。様々な代替的実施形態では、モバイルユニット１２５（１−３）は、アクセスポイント１２０に信号を送信することができるだけとすることができる。例えば、モバイルユニット１２５（１−３）は、他の何らかの対象物に関連付けることができる無線周波数タグとすることができる。例えば、モバイルユニット１２５（１−３）は、箱、木枠、１個の機器、又は他のいずれかの対象物に添付された無線周波数タグとすることができる。別の例に対しては、モバイルユニット１２５（１−３）は、以下に説明する無線追跡システムを較正するのに使用することができるような、複数の位置から信号を送信することができる単一装置を表すことができる。「モバイルユニット」という用語は、従って、その位置を以下に詳細に説明する方法で判断することができるあらゆる機構又は対象物を含むように理解されることになる。

音声及び／又はデータ信号は、アクセスポイント１２０とモバイルユニット１２５（１−３）の間で送信することができる。一実施形態では、音声及び／又はデータ信号は、２．４ＧＨｚの変調搬送無線信号のような変調無線信号を使用して、アクセスポイント１２０とモバイルユニット１２５（１−３）の間で送信することができる。しかし、特許請求の範囲に示されているもの以外、本発明は、いかなる特定周波数の無線信号にも限定されないものである。例えば、１つの代替的実施形態では、５ＧＨｚの変調搬送無線信号を使用することができる。一般的に、音声及び／又はデータ信号は、複数の経路１３０（１−６）に沿ってアクセスポイント１２０とモバイルユニット１２５（１−３）の間を移動する。理解しやすいように、図１では６つの経路１３０（１−６）だけが示されている。しかし、アクセスポイント１２０とモバイルユニット１２５（１−３）の間で可能な経路の数は、基本的に無限であることを当業者は認めるであろう。

アクセスポイント１２０とモバイルユニット１２５（１−３）の間の潜在的な経路の分布は、アクセスポイント１２０とモバイルユニット１２５（１−３）の位置、屋内空間１１０と部屋１１５（１−３）の構成、並びに図１に示す障害物１３５のようなあらゆる他の障害物の位置及び／又は形状に依存する。例えば、経路１３０（１）は、モバイルユニット１２５（１）からアクセスポイント１２０まで実質的に直接に通ることができる一方、経路１３０（２）は、部屋１１５（１）の壁から反射することができる。別の例として、モバイルユニット１２５（２）とアクセスポイント１２０の間の経路１３０（３−４）は、部屋１１５（２）から戸口１４０（１）を通じて部屋１１５（１）まで通ることができ、次に、部屋１１５（１）の１以上の壁から反射することができる。更に別の例として、モバイルユニット１２５（３）とアクセスポイント１２０の間の経路１３０（５−６）は、部屋１１５（３）から戸口１４０（２）を通じて部屋１１５（１）まで通ることができ、次に、部屋１１５（１）の１以上の壁から反射することができる。図１には示されていないが、壁及び／又は障害物１３５を付加的な経路が通過することができる。

アクセスポイント１２０及び／又はモバイルユニット１２５（１−３）によって送信された音声及び／又はデータ信号は、アクセスポイント１２０及び／又はモバイルユニット１２５（１−３）によって受信された対応する音声及び／又はデータ信号とは異なる場合がある。例えば、経路１３０（１−６）の長さの変動は、信号の振幅、位相、到着時間、周波数分布、強度、及びアクセスポイント１２０とモバイルユニット１２５（１−３）の間で送信された信号の他の同様な属性の変動をもたらすことがある。別の例としては、経路１３０（１−６）に沿った反射の数の変動、並びに反射面の反射率の変動はまた、振幅、位相、周波数分布、強度、及びアクセスポイント１２０とモバイルユニット１２５（１−３）の間で送信された信号の他の同様な属性の変動をもたらすであろう。アクセスポイント１２０とモバイルユニット１２５（１−３）の間の複数の経路１３０（１−６）に沿って移動する時の音声及び／又はデータ信号の上述の変化は、当業者によって一般的に音声及び／又はデータ信号のマルチパスフェーディングと呼ばれている。

経路１３０（１−６）に沿って信号が送信される時に、モバイルユニット１２５（１−３）の各々は、複数の所定の位置１５０（１−３）の１つに近い場合がある。図示の実施形態では、所定の位置１５０（１−３）は、ファイルキャビネット１５０（１）、冷水装置１５０（２）、及び窓１５０（３）とすることができる。しかし、本発明の開示の恩典を受ける当業者は、複数の所定の位置１５０（１−３）をいずれかの望ましい対象物に関連付けることができることを認めるであろう。更に、複数の所定の位置１５０（１−３）は、物理的な対象物に関連付けられない場合がある。例えば、複数の所定の位置１５０（１−３）は、複数の格子点及び座標などとすることができる。

以下に詳細に説明するように、アクセスポイント１２０及び／又はモバイルユニット１２５（１−３）によって送信された音声及び／又はデータ信号のマルチパスフェーディングは、モバイルユニット１２５（１−３）の位置を判断するために使用することができる。例えば、マルチパスフェーディングは、モバイルユニット１２５（１）がファイルキャビネット１５０（１）の近くにあり、モバイルユニット１２５（２）が冷水装置１５０（２）の近くにあり、モバイルユニット１２５（３）が窓１５０（３）の近くにあることを判断するために使用することができる。本発明の実施には必要はないが、判断された位置を使用して位置依存型サービスをモバイルユニット１２５（１−３）に提供することができる。

図２Ａは、図１に示すアクセスポイント１２０のようなアクセスポイント２００の一実施形態を示している。アクセスポイント２００は、送信機２０５と受信機２１０に連結することができる複数のアンテナ２０１（１−４）を含む。アンテナ２０１（１−４）の各々は、送信機２０５により供給された独立した信号を送信し、受信機２１０に供給することができる独立した信号を受信することができる。例えば、アンテナ２０１（１−４）は、４つまでの独立した変調無線信号を同時に受信又は送信することができるであろう。図２Ａに示すアクセスポイント２００の実施形態は、４つまでの独立信号を受信又は送信することができる４つのアンテナ２０１（１−４）を含むが、本発明はそのように制約されるわけではない。様々な代替的実施形態では、各々が独立信号を受信又は送信することができるあらゆる望ましい複数のアンテナ２０１（１−４）をアクセスポイント２００に含めることができる。

図２Ｂは、図１に示すモバイルユニット１２５（１−３）のようなモバイルユニット２２０の一実施形態を示している。モバイルユニット２２０は、送信機２２５に連結することができる複数のアンテナ２２１（１−４）を含む。一実施形態では、複数のアンテナ２２１（１−４）はまた、受信機２３０にも連結することができる。しかし、受信機は任意的であり、本発明の実施に必要なものではない。例えば、モバイルユニット２２０は、送信機２２５を含んで受信機２３０を含まない無線周波数タグとすることができる。アンテナ２０１（１−４）の各々は、上述のように、送信機２２５により供給された独立信号を送信することができる。しかし、代替的実施形態では、あらゆる望ましい複数のアンテナ２２１（１−４）を使用して、送信機２２５により供給された独立信号を送信することができる。例えば、送信機２２５は、３つのアンテナ２２１（１−３）に独立信号を供給することができる。

受信機２３０を含む実施形態では、アンテナ２０１（１−４）の各々は、受信機２３０に供給することができる独立信号を受信することができる。例えば、アンテナ２２１（１−４）は、４つまでの独立した変調無線信号を受信することができるであろう。図２Ａに示すモバイルユニット２２０の実施形態は、４つのアンテナ２２１（１−４）を含むが、本発明はそのように制約されるわけではない。様々な代替的実施形態では、各々が独立信号を実質的に共通の周波数で受信又は送信することができるあらゆる望ましい複数のアンテナ２２１（１−４）をモバイルユニット２２０に含めることができる。

図３Ａは、無線ローカルエリアネットワーク１００の下流側送信の例示的実施形態を概念的に示している。図示の例示的実施形態では、無線ローカルエリアネットワーク１００は、アクセスポイント３００と略語ＭＵによって表示されたモバイルユニット３１０（１−４）とを含む。記号Ｓ₁、Ｓ₂、Ｓ₃、及びＳ₄は、アクセスポイント３００によって送信することができるものである。例えば、アクセスポイント３００は、図２に示すアンテナ２０１（１−４）のような４以上のアンテナを使用して記号Ｓ₁、Ｓ₂、Ｓ₃、及びＳ₄を実質的に共通の周波数で送信することができる。上述のマルチパスフェーディングにより、モバイルユニット３１０（１−４）は、ａ_i,jが送信マトリックスＨの要素、ｎ_iがノイズを表すものとして以下のマトリックス方程式により送信記号Ｓ₁、Ｓ₂、Ｓ₃、及びＳ₄に関連する信号Ｒ₁、Ｒ₂、Ｒ₃、及びＲ₄を受信することができる。

モバイルユニット３１０（１−４）は、受信信号Ｒ_iの少なくとも一部分を使用して送信マトリックスａ_i,jを推定する。一実施形態では、送信記号Ｓ_jの各々は、送信チャンネルｊを示す所定のトレーニングシーケンスＴ_jを含む。例えば、トレーニングシーケンスＴ_jは、所定の複数のパイロットシーケンスｐ_jを含むことができ、その各々は、プリアンブル信号の一部分として送信される。アクセスポイント３００は、一連の連続する所定のタイムスロットの１つにおいて複数のパイロットシーケンスｐ_jの各々を送ることができる。モバイルユニット３１０（１−４）は、所定のタイムスロットにおいてアクセスポイント３００により送信されたパイロットシーケンスｐ_jを識別し、式：ａ_ij＝Ｒ_i／ｐ_jを使用して送信マトリックスの少なくとも一部分を推定する。

図３Ｂは、無線ローカルエリアネットワーク１００を使用する上流側送信の例示的実施形態を概念的に示している。図示の例示的実施形態では、記号Ｓ₁、Ｓ₂、Ｓ₃、及びＳ₄は、モバイルユニット３１０（１）によって異なる時間に送信することができる。上述のマルチパスフェーディングにより、アクセスポイント３００上のアンテナ２０１（１−４）は、ａ_i,jが送信マトリックスＨの要素、ｎ_iがノイズを表すものとして以下のマトリックス方程式により送信記号Ｓ₁、Ｓ₂、Ｓ₃、及びＳ₄に関連する信号Ｒ₁、Ｒ₂、Ｒ₃、及びＲ₄を受信することができる。

アクセスポイント３００は、この例示的実施形態では少なくとも上述の４つのアンテナ２０１（１−４）により受信した受信信号Ｒ_iの少なくとも一部分を使用して送信マトリックスａ_i,jを推定する。一実施形態では、受信記号Ｒ_iの各々は、モバイルユニット３１０（１）に連結した複数のアンテナの１つによって送信された送信チャンネルｊを示す所定のトレーニングシーケンスＴ_jを含む。トレーニングシーケンスＴ_jは、プリアンブル信号の一部分として送信された所定のパイロットシーケンスｐ_jを含むことができる。例えば、モバイルユニット３１０（１）は、一連の連続する所定のタイムスロットの各々においてパイロットシーケンスｐ_jを送ることができる。アクセスポイント３００は、所定のタイムスロットにおいてモバイルユニット３１０（１）により送信されたパイロットシーケンスｐ_jを識別し、式：ａ_ij＝Ｒ_i／ｐ_jを使用してモバイルユニット３１０（１）に対応する送信マトリックスを推定することができる。

図４は、無線ローカルエリアネットワーク１００において実施することができる無線追跡システムを較正する例示的な方法を示している。一実施形態では、図２Ｂに示すモバイルユニット２２０のような第１の複数のアンテナを含むモバイルユニットを使用して、少なくとも１つの測定信号を供給することができる（４００で）。測定信号は、モバイルユニットが少なくとも１つの所定の位置に近い間に供給される（４００で）。例えば、測定信号は、モバイルユニットが図１に示すファイルキャビネット１５０（１）、冷水装置１５０（２）、及び／又は窓１５０（３）に近い間に供給することができる（４００で）。しかし、上述の通り、測定信号は、モバイルユニットが格子点及び座標などのような非物理的位置に近い間に供給することもできる（４００で）。
上述の少なくとも１つの測定信号の供給に応答して、第２の複数のアンテナで複数の信号が受信される（４１０で）。例えば、複数の信号は、図２Ｂに示すようなモバイルユニット２２０に連結した４つのアンテナ２２１（１−４）から、図２Ａに示すようなアクセスポイント２００に連結した４つのアンテナ２０１（１−４）まで異なる経路に沿って移動する複数の信号とすることができる。

送信マトリックスの一部分は、複数の受信信号と少なくとも１つの測定信号とを使用して判断される（４２０で）。例えば、測定信号は、１以上のパイロットシーケンスを含むことができる。詳細に上述したように、図３Ｂに示すアクセスポイント３００は、モバイルユニット３１０（１）によって送信された１以上のパイロットシーケンスｐ_jを識別することができる。アクセスポイント３００は、次に、１以上のパイロットシーケンスを使用して、モバイルユニット３１０（１）に対応する送信マトリックスの要素を判断することができる（４２０で）。代替的に、アクセスポイント３００は、複数の受信信号と少なくとも１つの測定信号を使用して、送信マトリックスの１以上の特性パラメータを判断することができる（４２０で）。例えば、アクセスポイント３００は、送信マトリックスの１以上の特異値を判断することができる（４２０で）。別の例として、アクセスポイント３００は、送信マトリックスの１以上の固有値及び／又は固有ベクトルを判断することができる（４２０で）。

送信マトリックスの判断された部分は、所定の位置に関連付けられる（４３０で）。例えば、モバイルユニット３１０（１）に対応する送信マトリックスの要素は、所定の位置に関連付けることができる（４３０で）。別の例としては、送信マトリックスの１以上の特異値は、所定の位置に関連付けることができる（４３０で）。一実施形態では、送信マトリックスの判断された部分と関連する所定の位置とは、例えばデータベースに保存することができる。

図５は、無線ローカルエリアネットワーク１００において実施することができるモバイルユニットを追跡する例示的な方法を示している。複数の信号は、第１の複数のアンテナで受信される（５００で）。以下で「上流側」実施形態と呼ぶことになる第１の例示的実施形態では、第１の複数のアンテナは、モバイルユニットに連結した第２の複数のアンテナから異なる経路に沿って移動する複数の信号を受信する（５００で）アクセスポイントに連結される。以下で「下流側」実施形態と呼ぶことになる第２の例示的実施形態では、第１の複数のアンテナは、アクセスポイントに連結した第２の複数のアンテナから異なる経路に沿って移動する複数の信号を受信する（５００で）１以上のモバイルユニットに連結される。

送信マトリックスの一部分は、複数の受信信号を使用して判断される（５１０で）。上流側実施形態では、アクセスポイントは、上述のように、モバイルユニットにより供給された複数の信号に応答して、アクセスポイントで受信した（５００で）複数の信号を使用して送信マトリックスのその部分を判断する（５１０で）。様々な代替的な上流側実施形態では、アクセスポイントは、送信マトリックスの全ての要素、送信マトリックスの１以上の特異値、送信マトリックスの１以上の固有値、及び／又は送信マトリックスの１以上の固有ベクトルを判断することができる（５１０で）。

下流側実施形態では、１以上のモバイルユニットは、アクセスポイントにより供給された１以上の信号に応答して受信した（５００で）複数の信号を使用して、各モバイルユニットに対応する送信マトリックスの一部分を判断する（５１０で）。様々な代替的下流側実施形態では、モバイルユニットは、送信マトリックスの全ての要素、送信マトリックスの１以上の特異値、送信マトリックスの１以上の固有値、及び／又は送信マトリックスの１以上の固有ベクトルを判断することができる（５１０で）。次に、モバイルユニットは、送信マトリックスの判断された部分をアクセスポイントに送信する。しかし、上述の計算の一部は、アクセスポイントによって実行することができることを当業者は認めるであろう。例えば、各モバイルユニットは、送信マトリックスの要素を判断することができ（５１０で）、判断された要素をアクセスポイントに送信することができ、それは、次に、送信された要素を使用して特異値、固有ベクトル、及び固有値などのような送信マトリックスの１以上の特性パラメータを判断することができる（５１０で）。

上流側及び下流側実施形態の両方で、送信マトリックスの上述の部分は、所定の位置に関連付けられる（５２０で）。一実施形態では、送信マトリックスのこの部分は、各々が所定位置に関連付けられた１以上の保存された送信マトリックスの中から最も近く隣接するものを判断することにより、所定の位置に関連付けられる（５２０で）。例えば、４つのアンテナを使用する例示的な場合では、送信マトリックスと保存された送信マトリックスとの間の距離ｄを以下の式を使用して判断することができる。

ここで、λ_k及びλ_k’は、それぞれ送信マトリックスＨ及び保存された送信マトリックスＨ’の特異値である。最も近く隣接するものは、保存された送信マトリックスの中から距離ｄの最小値を見つけることによって判断することができる。送信マトリックスのこの部分は、次に、最も近くに隣接する保存された送信マトリックスに対応する所定の位置に関連付けることができる（５２０で）。しかし、特許請求の範囲に示すものを除き、上述の最も近く隣接するものの計算が本質的に例示的であり、本発明を制約するものではないことを当業者は認めるであろう。代替的実施形態では、送信マトリックスのこの部分は、あらゆる望ましい方法で所定位置に関連付けることができる（５２０で）。

一実施形態では、モバイルユニットの位置は、送信マトリックスのこの部分を所定位置に関連付ける段階に応じて推定することができる（５３０で）。例えば、送信マトリックスのこの部分が、図１に示す窓１５０（３）の位置に関連付けられた場合（５２０で）、モバイルユニットの位置は、窓１５０（３）と同じであると推定することができる（５３０で）。次に、モバイルユニットの推定位置を使用して、位置依存型情報をモバイルユニットに提供することができる（５４０で）。

上述のシステム及び方法は、公知の追跡技術を超えるいくつかの利点を有することができる。上述の較正及び／又は追跡方法は、１つだけのアクセスポイントを使用して実施することができるが、必要に応じて１つよりも多いアクセスポイントを使用することもできる。上述の送信は、１つの周波数チャンネルを使用して実行することができ、ＲＳＳＩ及びＴＤＯＡ技術で要求されるような近くのアクセスポイントをモバイルユニットの特定のチャンネルに同調させる必要はない。従って、本発明の追跡技術は、ＲＳＳＩ及びＴＤＯＡ技術に優る性能をもたらすことができる。更に、本発明は、マルチパス豊富な環境でより良い性能を示すことができ、それによってＲＳＳＩ及びＴＤＯＡのような従来技術よりも屋内用途に適すると考えられる。

本発明は、本明細書の教示の恩典を受ける当業者には明白な異なるが同等の方法で修正することができるので、上述のように開示された特定的な実施形態は、単に例示的なものである。更に、特許請求の範囲に説明するもの以外、本明細書に示す構成又は意匠の詳細に対して何の制限も意図していない。従って、上述のように開示された特定的な実施形態は、変更又は修正することができ、全てのそのような変形は、本発明の精神及び範囲内と考えられることは明白である。従って、本明細書が求める保護の対象は、特許請求の範囲に示すものである。

少なくとも１つのアクセスポイントと複数のモバイルユニットとを含む無線ローカルエリアネットワークの１つの例示的実施形態を示す図である。 図１に示すアクセスポイントのようなアクセスポイントの一実施形態を示す図である。 図１に示すモバイルユニットのようなモバイルユニットの一実施形態を示す図である。 図１に示す無線ローカルエリアネットワークによって実行することができる下流の送信の例示的実施形態を概念的に示す図である。 図１に示す無線ローカルエリアネットワークによって実行することができる上流の送信の例示的実施形態を概念的に示す図である。 図１に示す無線ローカルエリアネットワークで実施することができる無線追跡システムを較正する例示的方法を示す図である。 図１に示す無線ローカルエリアネットワークで実施することができるモバイルユニットを追跡する例示的方法を示す図である。

符号の説明

１００ 無線ローカルエリアネットワーク
１１０ 屋内空間
１１５（１−３） 複数の部屋
１２０ アクセスポイント
１２５（１−３） 複数のモバイルユニット
１３０（１−６） 複数の経路

Claims (28)

1. 無線追跡システムを較正する方法であって、
   第１の複数のアンテナを有するモバイルユニットを使用して、該モバイルユニットが少なくとも１つの所定の位置に近い位置にある間に、該モバイルユニットから少なくとも１つの測定信号を供給する段階と、
   前記少なくとも１つの測定信号の供給に応答して、第２の複数のアンテナにより複数の信号を受信する段階と、
   アクセスポイントにおいて、受信された前記複数の信号及び前記少なくとも１つの測定信号を使用して、送信マトリックスの一部分の特性パラメータを判断する段階と、
   前記アクセスポイントにより、前記送信マトリックスの前記一部分の前記特性パラメータを、前記所定の位置に関連付けられ保存された少なくとも一つの送信マトリックスの特性パラメータと対比して、前記所定の位置と関連付ける段階と、
   を含む、
   ことを特徴とする方法。
2. 前記複数の信号を受信する段階は、前記第１の複数のアンテナから前記第２の複数のアンテナまで異なる経路に沿って伝播してきた複数の信号を受信する段階を含むことを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 前記少なくとも１つの測定信号を供給する段階は、少なくとも１つのパイロット信号を供給する段階を含むことを特徴とする請求項１に記載の方法。
4. 前記送信マトリックスの一部分の特性パラメータを判断する段階は、該送信マトリックスの要素を判断する段階を含むことを特徴とする請求項３に記載の方法。
5. 前記送信マトリックスの要素を判断する段階は、前記少なくとも１つのトレーニングシーケンスを使用して該送信マトリックスの要素を判断する段階を含むことを特徴とする請求項４に記載の方法。
6. 前記送信マトリックスの一部分の特性パラメータを判断する段階は、該送信マトリックスの特異値、固有値、及び固有ベクトルのうちの少なくとも１つを判断する段階を含むことを特徴とする請求項５に記載の方法。
7. 前記モバイルユニットが前記少なくとも１つの所定位置に近い位置にある間に前記少なくとも１つの測定信号を供給する段階は、該モバイルユニットが対応する複数の所定位置の各々に近い位置にある間に複数の測定信号を供給する段階を含むことを特徴とする請求項１に記載の方法。
8. 該送信マトリックスの該一部分の判断された特性パラメータと該関連する所定位置とをデータベースに保存する段階を含むことを特徴とする請求項１に記載の方法。
9. 無線ローカルエリアネットワーク内のモバイルユニットを追跡する方法であって、
   第１の複数のアンテナで複数の信号を受信する段階と、
   アクセスポイントにおいて、受信された前記複数の信号を使用して送信マトリックスの一部分の特性パラメータを判断する段階と、
   前記送信マトリックスの前記一部分の特性パラメータを、所定の位置に関連付けられ保存されている少なくとも１つの送信マトリックスの特性パラメータと対比して、前記所定の位置と関連付ける段階と、
   を含むことを特徴とする方法。
10. 前記送信マトリックスの一部分の特性パラメータを判断する段階は、該送信マトリックスの複数の要素を判断する段階を含むことを特徴とする請求項９に記載の方法。
11. 前記送信マトリックスの一部分の特性パラメータを判断する段階は、該送信マトリックスの前記複数の要素を使用して、該送信マトリックスの特異値、固有値、及び固有ベクトルのうちの少なくとも１つを判断する段階を含むことを特徴とする請求項１０に記載の方法。
12. 前記送信マトリックスの一部分の特性パラメータを関連付ける段階は、該送信マトリックスの該部分の特性パラメータと保存されたマトリックスとの間の距離の最小値を求める段階を含む、
    ことを特徴とする請求項９に記載の方法。
13. 前記関連付ける段階は、該送信マトリックスの該一部分の特性パラメータに最も近いものを、該少なくとも１つの保存された送信マトリックスの一部分の特性パラメータを使用して判断する段階を含むことを特徴とする請求項９に記載の方法。
14. 前記複数の信号を受信する段階は、第２の複数のアンテナにより供給された複数の信号を受信する段階を含むことを特徴とする請求項９に記載の方法。
15. 前記複数の信号を受信する段階は、前記第２の複数のアンテナから前記第１の複数のアンテナまで異なる経路に沿って伝播してきた複数の信号を受信する段階を含むことを特徴とする請求項１４に記載の方法。
16. 前記第２の複数のアンテナにより供給された複数の信号を受信する段階は、アクセスポイントに連結した前記第１の複数のアンテナで、モバイルユニットに連結した該第２の複数のアンテナにより供給された該複数の信号を受信する段階を含むことを特徴とする請求項１４に記載の方法。
17. 前記送信マトリックスの一部分の特性パラメータを判断する段階は、前記第１の複数のアンテナに連結された前記アクセスポイントにおいて該送信マトリックスの一部分の特性パラメータを判断する段階を含むことを特徴とする請求項１６に記載の方法。
18. 前記第２の複数のアンテナにより供給された複数の信号を受信する段階は、少なくとも１つのモバイルユニットに連結した前記第１の複数のアンテナで、アクセスポイントに連結した該第２の複数のアンテナにより供給された該複数の信号を受信する段階を含むことを特徴とする請求項１４に記載の方法。
19. 前記送信マトリックスの一部分の特性パラメータを判断する段階は、前記モバイルユニットで該送信マトリックスの該一部分の特性パラメータを判断する段階を含むことを特徴とする請求項１８に記載の方法。
20. 前記送信マトリックスの前記判断された部分の特性パラメータを前記第２の複数のアンテナに連結された前記アクセスポイントに供給する段階を更に含むことを特徴とする請求項１９に記載の方法。
21. 前記複数の信号を受信する段階は、少なくとも１つのパイロット信号を受信する段階を含むことを特徴とする請求項９に記載の方法。
22. 前記第１の複数のアンテナで複数の信号を受信する段階は、共通の周波数を有する複数の信号を該第１の複数のアンテナで受信する段階を含むことを特徴とする請求項９に記載の方法。
23. 前記送信マトリックスの前記一部分の特性パラメータを前記所定位置に関連付けることに応じて前記モバイルユニットの位置を推定する段階を更に含むことを特徴とする請求項９に記載の方法。
24. 前記モバイルユニットの前記推定位置を使用して、該モバイルユニットに位置依存型情報を提供する段階を更に含むことを特徴とする請求項２３に記載の方法。
25. 無線ローカルエリアネットワークであって、
    複数の信号を供給することが可能な第１の複数のアンテナを有するモバイルユニットと、
    前記モバイルユニットにより供給された前記複数の信号に応じて複数の信号を受信することが可能な第２の複数のアンテナを有するアクセスポイントと、
    を含み、
    前記アクセスポイントは、
    受信された前記複数の信号を使用して送信マトリックスの一部分の特性パラメータを判断し、
    前記送信マトリックスの前記一部分の特性パラメータを、所定の位置に関連付けられ保存されている少なくとも一つの送信マトリックスの特性パラメータと対比して、該所定の位置と関連付ける、
    ことが可能である、
    ことを特徴とするネットワーク。
26. 前記アクセスポイントは、前記送信マトリックスの前記一部分の特性パラメータと保存されたマトリックスとの間の距離の最小値を判断することにより前記関連付けを行うものである、
    ことを特徴とする請求項２５に記載のネットワーク。
27. 前記アクセスポイントは、更に、前記送信マトリックスの前記一部分の特性パラメータを前記所定位置に関連付けることに応じて前記モバイルユニットの位置を推定することが可能であることを特徴とする請求項２５に記載のネットワーク。
28. 前記アクセスポイントは、更に、前記モバイルユニットの前記推定位置を使用して該モバイルユニットに位置依存型情報を提供することが可能であることを特徴とする請求項２７に記載のネットワーク。

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