以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。図1は、呼吸データ収集システム10の構成を説明する図で、ここに示されるように、呼吸データ収集システム10は、顔に被着して呼吸データを収集し記憶する呼吸データ収集装置20と、呼吸データの収集が終わった後に顔から外された呼吸データ収集装置から呼吸データの転送を受けて呼吸データを解析し表示する解析表示装置70とを含んで構成される。
呼吸データ収集装置20は、顔2において鼻孔4と口6との間の口蓋部の上に相当する皮膚に着脱自在に取り付けられ、鼻孔4からの鼻呼吸と、口からの口呼吸とを区別して検出する呼吸センサと、検出された呼吸データを収集し記憶し、解析表示装置70に送信する機能を有する。呼吸データ収集装置20は、顔に被着されるのに適した形状を有し、その意味で、データ収集機能を有する被着パッドと呼ぶこともできる。解析表示装置70は、呼吸データ収集装置20から受信した呼吸データを解析し表示する機能を有すると共に、呼吸データ収集装置20に電力を供給する機能を有する。
図2は、呼吸データ収集装置20を構成する要素を説明するための分解図である。呼吸データ収集装置20は、鼻呼吸を検出する鼻呼吸センサ22と、口呼吸を検出する口呼吸センサ24と、回路要素等が搭載されている回路基板26と、顔2の鼻孔4又は口6の近傍の顔形状に適合させるための形状変形可能な金属板28とを含み、これらを粘着性と防水性とを有するゲル状の樹脂50で顔に被着しやすいパッド形状に一体化成形し、ゲル状の樹脂50のうち、顔2と接触する内面側以外の部分を非粘着性フィルム54で覆って構成される。一体化成形等の詳細な手順は後述する。
鼻呼吸センサ22と、口呼吸センサ24は、焦電性高分子フィルムを用いて、鼻呼吸の有無、口呼吸の有無を検出するためのセンサである。呼吸センサとして、鼻呼吸用と口呼吸用とで、それぞれ独立のセンサを設けるのは、1つの呼吸検出データから鼻呼吸と口呼吸とを分離する複雑なシステムを用いることなく、容易に鼻呼吸の有無、口呼吸の有無を検出できるようにするためのである。これにより、呼吸データの信頼性が向上する。
焦電性高分子フィルムは、温度変化に応じて電圧を出力するいわゆる焦電性と、歪に応じて電圧を出力するいわゆる圧電性とを備える高分子フィルムである。したがって、鼻呼吸あるいは口呼吸の有無に応じて生じる気流の温度変化、気流の圧力変化を検出して電圧を生じる。この電圧を出力するために、焦電性高分子フィルムの両面に電極薄膜が形成され、この両電極薄膜から端子をそれぞれ取り出し、適当な検出回路に接続することで、鼻呼吸又は口呼吸の有無を検出することができる。また、湿度等の外部環境から保護するために、全体が適当な保護膜で覆われる。かかる焦電性高分子フィルムとしては、例えば呉羽化学のKFピエゾフィルム(商品名)を用いることができる。このKFピエゾフィルムの例では、電極薄膜層を含む全体の厚さが約100μmから数分の1mm程度のものを用いることができる。図2においては、鼻呼吸センサ22から両電極端子32,34が引き出され、口呼吸センサ24から両電極端子36,38が引き出されている様子が示されている。
回路基板26は、呼吸データ収集装置20の各要素が搭載されている基板である。回路基板26は、配線パターンを有する基板上に、鼻呼吸センサ22の両電極端子32,34を接続するための両接続端子33,35、口呼吸センサ24の両電極端子36,38を接続するための両接続端子37,39、充電可能な2次電池40、解析表示装置70からの充電用高周波信号を受信する受電コイル部42、制御LSI44、解析表示装置との間で光データ通信等を行うためのLED46等が搭載される。なお、図2では図示を省略してあるが、制御LSI44以外にも、IC、電子部品等から構成される周辺回路部が回路基板26に搭載される。例えば、受電コイル部42によって受信された高周波信号は、整流等の処理が行われて2次電池に充電されるが、これらの機能は制御LSI44以外の周辺回路部によって実行される。
回路基板26用の配線パターンを有する基板としては、両面配線のフレキシブルフィルム基板、あるいはガラスエポキシ基板等を用いることができる。必要があればさらに多層配線の基板を用いてもよい。2次電池40は、例えば、公称電圧3Vの小型ボタン型のマンガンリチウム電池等を用いることができる。
受電コイル部42は、解析表示装置70から送信される2次電池充電用の高周波信号を受電する機能を有するコイルである。受電コイル部42は、両側にフランジを有するドラム型フェライトに、適当な巻数で巻回されたコイルを含んで構成することができる。受電コイル部42は、回路基板26の表面に搭載されるのではなく、回路基板26に穴を開け、受電コイル部42の一方端が回路基板26の裏側に露出するように取り付けられる。
制御LSI44は、鼻呼吸センサ22及び口呼吸センサ24からの検出信号を処理し、鼻呼吸の有無データ及び口呼吸の有無データに変換し、その呼吸データを収集し記憶する機能を有する集積回路である。これらの機能の一部を他のICや電子部品等に分担させて行わせてもよい。また、受電コイル部42によって受信された高周波信号の処理等の機能の一部を制御LSI44に持たせてもよい。
金属板28は、略T字型の平面形状を有する薄板で、回路基板26の裏側、つまり制御LSI44等が搭載される側の反対側に配置され、ゲル状の樹脂50によって回路基板26と一体化される。金属板28の材質及び厚さは、ゲル状の樹脂50によって一体化されたパッド状の呼吸データ収集装置20を指等で顔2に押し付けたときに、顔の形状に倣って容易に形状を変形できるものとして選択される。例えば厚さ0.2mmから0.5mm程度の銅板等を用いることができる。また、金属板28を、回路基板26の接地端子に接続し、回路基板26の背後からの電気的ノイズに対するシールド板の機能を持たせるものとしてもよい。
LED46は、制御LSI44のデータ送信機能部分に接続され、収集され記憶されている呼吸データを予め定められた送信プロトコルに従って解析表示装置70に送信するために点滅を行なう発光素子である。この光データ転送は、呼吸データ収集装置20が呼吸データの収集が終わって顔2から外されたときに実行される。また、LED46は制御LSI44のデータ収集機能部分に接続され、呼吸データ収集装置20が顔2に被着されて呼吸データを収集しているときに、呼吸ピッチをユーザに知らせる等のために、呼吸データを検出するのと同期して点滅する同期点滅機能を実行するためにも用いられる。制御LSI44のデータ転送機能と同期点滅機能とを切り替えるのは、呼吸データ収集装置20である被着パッドを顔から外し、解析表示装置70に搭載したことを検出して行うことができる。
ゲル状の樹脂50は、回路基板26と回路基板26に搭載される各要素、及び金属板28を完全に覆い、外部から遮断し、防水性を確保するためのもので、金型等を用いて一体化成形される。この場合に、鼻呼吸センサ22と口呼吸センサ24は、各電極端子32,34,36,38の部分を覆うようにされ、呼吸を検出する部分はゲル状の樹脂50の外側に残される。一体化成形された後の外形は、顔2に被着しやすいようにパッド形状とされる。ゲル状の樹脂50は、防水性と粘着性とを有している材料の中から選択される。かかるゲル状の樹脂50としては、例えばシリコン樹脂を用いることができる。また、ゲル状の樹脂50に、適当な抗菌剤を添加することが望ましい。
導光体30は、この一体化成形のときにLED46の上部の位置52に設けられ、LED46からの光をゲル状の樹脂50を通すことなく外部に放射する機能を有する透光性の光学部材である。導光体30の屈折率は、ゲル状の樹脂50との界面でLED46からの光が全反射するように選ばれることが好ましい。特に、ゲル状の樹脂50に抗菌剤が添加される場合は、ゲル状の樹脂50が半透明あるいは不透明となるので、この導光体30を用いることがLED46からの光を解析表示装置70に効率的に送信するために有効である。
非粘着性フィルム54は、ゲル状の樹脂50で一体化成形されたパッド形状のうち、顔2と接触する内面側以外の部分、すなわち、回路基板26の表側に対応する部分を覆い、その部分のべたつきをなくすためのプラスチックフィルムである。かかる非粘着性フィルム54としては、適当な厚さのシリコンシート等を用いることができる。非粘着性フィルム54をゲル状の樹脂50で一体化されたパッド形状の上に取り付けるには、ゲル状の樹脂50の粘着性をそのまま利用できる。非粘着性フィルム54が貼られる側は、LED46及び導光体30、受電コイル部42のように、解析表示装置70との間で光データ転送、充電用高周波信号の送信等を行なうので、それらの機能を損なわないように、適当な開口部あるいは局部的に薄い厚さの部分を設けられてもよい。図2では、受電コイルの位置58、LED46及び導光体30の位置56に開口部が設けられている。かかる開口部を非粘着性フィルム54に設けても、呼吸データ収集装置20の防水性は、ゲル状の樹脂50によって確保されている。
図3は、呼吸データ収集装置20を製作する手順を説明する図である。図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。最初に、回路基板26に各要素が実装され搭載される。受電コイル部42以外の各要素は、回路基板26に対し表面実装技術を用いて搭載することができる。受電コイル部42は、上記のように、回路基板26に設けられた開口穴に位置決めされ、受電コイル部42の一方端が回路基板26の裏側に露出するように取り付けられる。次に、回路基板26の各接続端子33,35,37,39に、鼻呼吸センサ22の各電極端子32,34と口呼吸センサ24の各電極端子36,38とがそれぞれ接続される。これらの接続は、焦電高分子フィルムの性能を損なわない条件の下で行なわれる。例えば、導電性接着テープ、導電性ペーストを用いることができる。場合によってはハンダ付けを用いてもよい。接続された後の状態を図3(a)に示す。
次に、回路基板26の裏側に金属板28を配置し、LED46の上に導光体30を配置し、ゲル状の樹脂50でパッド形状に一体化成形を行なう。この際に、上記のように、鼻呼吸センサ22及び口呼吸センサ24の呼吸検出部分は、ゲル状の樹脂50の外側に露出させておく。また、LED46の上には導光体30が配置され、その部分にはゲル状の樹脂50が来ないように成形される。成形は、成形金型を用い、抗菌剤を添加したシリコンゲルがゲル状の樹脂50として用いられる。その様子を図3(b)に示す。
その後、非粘着性フィルム54がゲル状の樹脂50の顔と接触する内面側以外の部分、すなわち、回路基板26の制御LSI44が搭載される側に相当する側に貼り付けられる。このようにして、2次電池40、受電コイル部42、制御LSI44、LED46、これらが搭載された回路基板26、金属板28等を内蔵し、パッド形状の外形を有し、防水性のゲル状の樹脂50で覆われ、顔に被着する側が粘着性を有する小型の呼吸データ収集装置20が出来上がる。その様子を図3(c)に示す。
このように、呼吸データ収集装置20は、ゲル状の樹脂50の内部に、制御LSI44、LED46、回路基板26、金属板28等を含み、外部から遮蔽される構造で構成されている。外形は、パッド状の平面形状を有し、その厚みは数mm程度である。また、鼻呼吸センサ22、口呼吸センサ24は、大部分がゲル状の樹脂50の外側に露出し、呼吸を検出しやすい適当な形状に癖付けがされる。もちろん自由形状としてもよい。呼吸データ収集装置20は、厚み方向の一方側はゲル状の樹脂50そのままで、防水性と共に粘着性を有する。この面が、粘着性を利用して、着脱自在に顔に被着する側として用いられる。その反対側は非粘着性フィルム54で覆われ、この面が表側として用いられる。表側とは、ユーザの顔を正面に見たときに、観察者から見える側であり、解析表示装置70に収納されるとき、光データ転送、高周波信号の送受信等が行なわれるインタフェース面側でもある。
このような構成の呼吸データ収集装置20の作用を次に説明する。呼吸データ収集装置20は、ユーザが呼吸データを収集しようとするときに、図1で説明したように、ユーザの顔2の口蓋部に相当する皮膚に、粘着性のある裏側が押し当てられ、金属板28を口蓋部の形状に倣わせてその形状を変形させ、しっかりと皮膚上に固定される。そして、例えばユーザが睡眠中に、鼻呼吸センサ22及び口呼吸センサ24によって、鼻呼吸の有無、口呼吸の有無が検出され、制御LSI44の機能により、呼吸データとして収集され記憶される。呼吸データ収集の際の呼吸ピッチの検出等のために、鼻呼吸センサ22及び口呼吸センサ24によって検出された呼吸のピッチに同期してLED46を点滅させることができる。睡眠からユーザが覚醒すると、呼吸データ収集装置20は、ユーザの顔2から外され、解析表示装置70に取り付けられ、収集され記憶された呼吸データが転送される。
ここで、解析表示装置70の構成について図4を用いて説明する。解析表示装置70は、1次電源や制御用CPU104等が内部に収納される下筐体72と、下筐体72の一部が薄く形成され、その薄い部分に対応する部分に配置され下筐体72開閉自在に取り付けられる上筐体74を有し、上筐体74が閉じられるときは下筐体72と一体化して平箱状となる装置である。図4においては、解析表示装置70の下筐体72の左半分の部分が右半分の部分に比べほぼ半分の厚さに薄く形成され、その薄くなった分の厚さに対応する厚さの上筐体74が、下筐体72に対し開閉自在に取り付けられる様子が示されている。フタ開閉スイッチ91は、下筐体72の上面に設けられ、上筐体74が閉じられることを検出するスイッチである。
上筐体74が配置されない下筐体72の右半分には表示用LCD90、表示用LCD90の表示内容を選択するためのλ/MODE選択ボタン92とUP−SELECTボタン93とDOWN−SELECTボタン94、時刻合わせのための時刻SETボタン95、呼吸データ収集装置20の呼吸モニタリングを行なうときにその支援のための光点滅を行なう呼吸モニタリングランプ96が設けられる。これらは、それぞれ制御用CPU104及びその周辺回路部に接続される。
上筐体74が開閉する下筐体72の部分に設けられるくぼみ76は、呼吸データ収集装置20を収納するためのものである。上記のように、ユーザの顔から取り外された呼吸データ収集装置20は、表側をくぼみ76の底に向けるようにして、くぼみ76の中に挿入され、上筐体74を下筐体72に対し閉じることで、解析表示装置70の内部に収納される。この収納状態の下で、以下に詳述するように、充電とデータ転送とが行なわれる。
くぼみ76には、呼吸データ収集装置20と間の無接点式の信号インタフェースが設けられる。1つ目は、呼吸データ収集装置20のLED46に対応する受光素子78で、2つ目は、呼吸データ収集装置20の受電コイル部42に対応する送信コイル部80である。
受光素子78は、呼吸データ収集装置20のLED46の点滅信号を検出するセンサで、例えば、フォトダイオード又はフォトトランジスタで構成できる。受光素子78によって検出されたLED46の点滅信号は、図示されていない制御部に伝送され、データ処理されて呼吸有無データに復元され、無呼吸に関する解析が行なわれ、その結果は表示用LCD90に表示される。このように、呼吸データ収集装置20と解析表示装置70との間のデータ転送は、LED46の点滅信号を検出する無接点式の光データ転送で行なわれる。
送信コイル部80は、下筐体72と上筐体74とに分けて配置される。図5は、送信コイル部80と、呼吸データ収集装置20の受電コイル部42との関係を説明する図である。送信コイル部80は、下筐体72に設けられるU字型の下側ヨーク82と、上筐体74に設けられるU字型の上側ヨーク84と、下側ヨーク82に巻回されるコイル86を含んで構成される。なお、コイル86は、上側ヨーク84に巻回するものとしてもよい。このように、送信コイル部80のヨークは下側ヨーク82と上側ヨーク84とに分割され、それぞれが下筐体72と上筐体74に分けて設けられる。ここで、図5に示されるように、U字型の上側ヨーク84と、U字型の下側ヨーク82とは、そのU字型の2つの先端部がそれぞれ向かい合う位置に配置される。また、下筐体72のくぼみ76の底面には、下側ヨーク82のU字型の先端部の1つが配置される。このくぼみ76内に配置される下側ヨーク82の先端部は、呼吸データ収集装置20の受電コイル部42のドラム型フェライトのフランジに対応する位置に設けられる。
したがって、上筐体74が下筐体72に対し開いているときは、送信コイル部80のヨークは空間的にばらばらの状態におかれ、コイル86に高周波信号を供給しても、それによって生成される磁束は空間の広い範囲に放射されるのみである。呼吸データ収集装置20が解析表示装置70のくぼみ76に収納され、上筐体74が下筐体72に対し閉じられると、図5に示す状態となる。すなわち、くぼみ76の中に設けられる下側ヨーク82のU字型の一方の先端部と、これに対応する上側ヨーク84のU字型の一方の先端部とは、呼吸データ収集装置20の受電コイル部42のドラム型フェライトの上下のフランジに接してこれを挟み込む。同時に、下側ヨーク82のU字型の他方の先端部と、これに対応する上側ヨーク84のU字型の他方の先端部が接触する。
これにより、下側ヨーク82−受電コイル部42−上側ヨーク84−下側ヨーク82と、磁気回路が閉じ、この状態で送信コイル部80のコイル86に高周波信号が供給されると、この磁気回路に磁束が流れ、その磁束によって受電コイル部42のコイルから高周波信号を受け取ることができる。このように、呼吸データ収集装置を収納して開閉型筐体を閉じたときに、上側ヨーク84と下側ヨーク82との間に呼吸データ収集装置20の受電コイル部42が配置されるように閉じた磁気回路を形成する構成をとることで、解析表示装置70の送信コイル部80から呼吸データ収集装置20の受電コイル部42へ、無接点式の無線電力供給を行うことができる。
図6は、呼吸データ収集装置20の制御部140の構成を示すブロック図である。ここでは、制御部140の構成要素ではないが、制御部140に接続される各要素として、鼻呼吸センサ22、口呼吸センサ24、2次電池40、データ転送用のLED46、受電コイル部42、呼吸データ記憶用のEEPROM142等も図示されている。
呼吸データ収集装置20の制御部140は、呼吸データの収集と記憶の制御等を行なう制御LSI44と、その周辺回路部とで構成される。制御LSI44の周辺回路部には、呼吸データを記憶するEEPROM142、受電コイル部42の受信した信号を波形成形してパルス信号に変換するパルス化回路144、受電信号を制御された一定電圧にして2次電池40に供給するDC/DCコンバータ109、パルス化回路144の出力からリセットのワンショットトリガ信号を生成するリセット信号生成回路146、パルス化回路144の出力に基づいて受電信号の検出をする受電検出回路148、受電検出に基づいてデータ転送用のLED46の点滅を行なうLED駆動回路150等が含まれる。DC/DCコンバータ109の出力は、2次電池40の仕様に合わせ、例えば3.2Vとすることができる。また、EEPROM142は、65kbitsの記憶容量を有する市販の電気的に書き換え可能なメモリを用いることができる。
図7は、解析表示装置70の制御部100の構成を示すブロック図である。ここでは、制御部100の構成要素ではないが、制御部100に接続される各要素として、1次電源102、表示用LCD90、受光素子78、送信コイル部80、受電コイル部42、LED46、フタ開閉スイッチ91、λ/MODE選択ボタン92、UP−SELECTボタン93、DOWN−SELECTボタン94、時刻SETボタン95等も図示されている。
解析表示装置70の制御部100は、呼吸データの解析等を行なう制御用CPU104と、その周辺回路部とで構成される。制御用CPU104の周辺回路部には、呼吸データを記憶するフラッシュメモリ106と、制御用CPU104、1次電源102の電圧を制御された一定電圧にするDC/DCコンバータ108、DC/DCコンバータ108の電圧を送信コイル部80に供給する高周波信号の電圧に昇圧する昇圧回路110、受光素子78の検出値を増幅するセンサ増幅回路112等が含まれる。ここで、例えば、1次電源102の電圧を約4.8V、DC/DCコンバータ108の出力を3V、昇圧回路110の出力を5Vとすることができる。
図8は、呼吸データ収集装置20と、解析表示装置70との協働関係を示すブロック図である。上記のように、呼吸データ収集装置20は、制御LSI44と、鼻呼吸センサ22、口呼吸センサ24、データ転送のための送信部であるLED46と、充電用受電コイル部42と、呼吸データ記憶用EEPROM142と、EEPROM142以外の周辺回路部144〜150とを含んで構成される。これらの要素は、内部バスで相互に接続される。また、解析表示装置70は、制御用CPU104と、データ転送のための受信部である受光素子78と、充電用送信コイル部80と、呼吸データ記憶用フラッシュメモリ106と、フラッシュメモリ106以外の周辺回路部108〜112と、表示用LCD90とを含んで構成される。これらの要素は、内部バスで相互に接続される。
ここで、呼吸データ収集装置20と解析表示装置70との間では、送信部であるLED46と受信部である受光素子78との間でデータ転送が行われ、送信コイル部80と受電コイル部42との間で2次電池への無線電力供給のための高周波信号の送受信が行なわれる。これらの信号の送受信は、呼吸データ収集装置20の制御LSI44と、解析表示装置70の制御用CPU104の協働的制御の下で実行され、全体として、呼吸データ収集システム10の効率的及び信頼性の高いデータ処理が行われて解析結果が外部に表示される。
呼吸データ収集装置20の制御LSI44は、呼吸データ収集と記憶を制御する呼吸データ収集モジュール176の他に、回路系にリセットをかけるリセットモジュール170、受電コイル部42が高周波信号を受信したことに基づいてデータ転送のための送信モードに移行させる送信モード移行モジュール172、収集し記憶された呼吸データを時間的に圧縮して送信させる圧縮データ送信モジュール174とを含んで構成される。これらの機能は、ソフトウェアで実現でき、具体的には、対応する呼吸データ収集プログラムを実行することで実現できる。これらの機能の一部をハードウェアで実現することもできる。
解析表示装置70の制御用CPU104は、呼吸データ収集装置20から転送を受けた呼吸データを解析し表示する解析表示モジュール168の他に、呼吸データに関し呼吸データ収集装置20と解析表示装置70との間の時刻の対応付けを行なう時刻対応付けモジュール160と、呼吸データ収集装置20のLED46の点灯の検出に基づいてデータ転送のための受信モードに移行させる受信モード移行モジュール164と、無線電力送受信の周波数をデータ転送の場合とそれ以外の場合とで異なる周波数とする送電周波数変更モジュール166とを含んで構成される。これらの機能は、ソフトウェアで実現でき、具体的には、対応する呼吸データ収集プログラムを実行することで実現できる。これらの機能の一部をハードウェアで実現することもできる。
上記構成の呼吸データ収集システム10の作用について、図9、図10のフローチャートを中心にして詳細に説明する。図9、図10は、呼吸データ収集装置20と解析表示装置70との協働関係を示すフローチャートで、図9は、呼吸データ収集装置20がユーザの顔に被着されて呼吸データを収集し記憶するデータ収集段階の手順を示し、図10は、呼吸データ収集装置20がユーザの顔から取り外されて解析表示装置70に設置収納されて呼吸データの解析表示が行われる解析表示段階の手順を示す。これらの手順のうち、ユーザによってのみ行なわれる手順については、破線の枠で囲み、信号処理の手順等と区別して示した。なお、以下において、図1から図8までの説明に用いた符号をもって説明を行なう。
図9において、呼吸データの収集を行なうには、まず、ユーザによって、解析表示装置70のくぼみ76から呼吸データ収集装置20が取り出され(S10)、ユーザの顔に被着される(S12)。解析表示装置70及び呼吸データ収集装置20がこれ以前に省電モードになっていたときは、通常の動作モードに復帰する。例えば、フタ開閉スイッチ91の作動等を検出して解析表示装置70の省電モードが解除され、鼻呼吸センサ22又は口呼吸センサ24が呼吸を検出したことによって呼吸データ収集装置20の省電モードが解除されるものとすることができる。
この取り出し又は被着の前後に、解析表示装置70においてユーザが任意のスイッチ等を押す(S14)。例えば、λ/MODE選択ボタン92を押す。解析表示装置70は、このユーザの任意のスイッチ操作を、呼吸データ収集装置20におけるデータ収集の開始に関連する信号として検出する。すなわち、データ収集開始に対応する収集開始信号として取得する(S16)。取得された収集開始信号は、正確にはデータ収集を開始する時刻を示さないことがあるが、後に述べる時刻対応付けにおけるデータ収集の期間の始まりを区切る時刻として利用することができる。
開始信号の取得の後、呼吸ピッチのモニタリングが開始する(S18)。呼吸ピッチのモニタリングとは、呼吸データ収集装置20の呼吸データ収集について、呼吸データ判断基準を適切に設定するために、呼吸データ収集装置20とユーザとの間で行われる協働作業である。呼吸データ判断基準とは、鼻呼吸センサ22及び口呼吸センサ24によって検出されたデータについて、鼻呼吸と口呼吸とのそれぞれについて呼吸ピッチを正しく検出するために用いられる基準である。具体的には、所定の判断閾値を用いることができる。
モニタリングは、解析表示装置70が適当な支援を行ないながら、次のような手順によって行われる。すなわち、解析表示装置70において呼吸モニタリングランプ96が、一定の時間間隔で点滅(S20)し、ユーザに知らせ、ユーザはこの点滅に合わせて呼吸を行なう。呼吸モニタリングランプ96は、鼻呼吸と口呼吸とで別のランプであるので、ユーザはその2つのランプを区別し、鼻呼吸と口呼吸とを呼吸モニタリングランプ96の点滅指示に合わせて行うことができる。例えば、鼻呼吸用のランプを緑色の点滅とし、口呼吸用のランプを赤色の点滅とすることができる。この場合、最初は緑色点滅を一定の時間間隔、すなわち一定のピッチで行い、ユーザはこれに合わせ鼻呼吸をそのピッチに合わせて行う。次に赤色点滅を一定のピッチで行い、ユーザはこれに合わせ口呼吸をそのピッチに合わせて行う。
そして、呼吸データ収集装置20は、ユーザが行なった鼻呼吸又は口呼吸を、鼻呼吸センサ22又は口呼吸センサ24で検出取得し(S22)、内蔵されている呼吸データ判断基準に照らし合わせて、呼吸有無データに変換する。呼吸データ判断基準とは、鼻呼吸センサ22又は口呼吸センサ24が検出する検出信号に対する適当な閾値とすることができる。この呼吸データ判断基準は可変的で、鼻呼吸センサ22又は口呼吸センサ24が検出する検出信号に応じて、自動的に設定される。例えば、検出信号が弱いときは閾値を下げ、検出信号が強いときは閾値を上げることができる。あるいは、検出信号のレベルを自動的に一定レベルに調整し、そのうえで一定の閾値で、呼吸有無を判断することとしてもよい。
呼吸データ収集装置20によって自動設定された呼吸データ判断基準に従って変換された呼吸有無データは、LED46の点滅信号に用いられる。すなわち、LED46は、呼吸データ収集装置20によって判断された呼吸有無データに合わせて点滅する。ここではLED46は、解析表示装置70に対するデータ転送のためでなく、呼吸データ収集装置20が検出した呼吸有無をユーザに知らせる機能として働いている。LED46について、データ転送のための機能と、モニタリングのための機能との切換は、呼吸データ収集装置20の制御LSI44の機能の1つとして実行される。
したがって、モニタリングにおいて、解析表示装置70は、鼻呼吸と口呼吸とについて呼吸モニタリングランプ96を一定ピッチで点滅させ、ユーザはこれに合わせて鼻呼吸又は口呼吸を行い、そのときのLED46の点滅ピッチが呼吸モニタリングランプ96の点滅ピッチと同じになるようにする。同じにならないときは、ユーザは、このモニタリングをやり直す。例えば、S10に一度戻って、再びモニタリングを行うことができる。あるいは、呼吸データ収集装置20が小型マイク等の指令受信手段を有することができる場合は、ユーザが呼吸データ収集装置20に対し、例えば「リトライ」等の音声信号を与え、これによって呼吸データ収集装置20に対し、呼吸データ判断基準の閾値等を初期値に戻させ、再びモニタリングを行なわせることができる。このようにして、解析表示装置70の呼吸モニタリングランプ96の点滅ピッチと、呼吸データ収集装置20のLED46の点滅ピッチとが一致すると、モニタリングが終了する(S24)。
なお、鼻呼吸及び口呼吸のモニタリング支援は、呼吸モニタリングランプ96以外の手段で行うことができる。たとえば、適当なスピーカとその駆動回路、音声メモリを用い、音声ガイダンスで、モニタリング支援を行なってもよい。音声ガイダンスとしては、「鼻呼吸を行なってください。ピッ、ピッ、ピッ・・」、「口呼吸を行なってください。ピッ、ピッ、ピッ・・」と、音声とピッチ音とを出力し、また「モニタリングを終わりました。お休みなさい」等の終了メッセージを出力することができる。
このように、モニタリングによって、呼吸データ収集装置20の呼吸データ収集について、鼻呼吸と口呼吸とを区別し、また呼吸ピッチを正しく検出する判断基準が定められる。以後は、モニタリングで定められた呼吸データ判断基準にしたがって、ユーザの鼻呼吸及び口呼吸について、呼吸有無が判断され、例えばユーザの睡眠中の8時間に渡って、呼吸データの収集と記憶が行なわれる(S26)。呼吸データの収集と記憶は、呼吸データ収集装置20の制御LSI44の呼吸データ収集モジュール176の機能によって実行される。呼吸データの収集と記憶については、データ転送に関連して後にさらに説明する。
解析表示装置70は、モニタリングが終了すると、自動的に省電モードに移行する(S28)。省電モードにおいて、各種スイッチ及び各種センサ等の検出回路は動作するように設定することが好ましい。このようにすることで、いずれかのスイッチの操作あるいはいずれかのセンサの状態変化によって、迅速に通常モードに復帰することができる。
図10は、ユーザが例えば睡眠から目覚めた後における手順を示すフローチャートである。ユーザは、目覚める(S30)と、解析表示装置70において任意のスイッチ等を押す(S32)。例えば、UP−SELECTボタン93を押す。解析表示装置70がこれ以前に省電モードにあるときは、このスイッチ等の作動の検出によって通常モードに復帰する。解析表示装置70は、このユーザの任意のスイッチ操作を、呼吸データ収集装置20におけるデータ収集の終了に関連する信号として検出する。すなわち、データ収集終了に対応する収集終了信号として取得する(S34)。取得された収集終了信号は、正確にはデータ収集を終了した時刻を示さないことがあるが、時刻対応付けにおけるデータ収集の期間の終りを区切る時刻として利用される。
すでに述べた開始信号取得工程(S16)で取得した収集開始信号と、この終了信号取得工程(S34)で取得した収集終了信号とに基づいて、呼吸データに関し、呼吸データ収集装置20と解析表示装置70との間の時刻の関係の対応付けが行なわれる(S36)。そして、再度モニタリングが行われる(S38,S40)。このモニタリングは、睡眠から寝覚めたときの被着状態のままで行われるもので、睡眠中に被着状態がずれて、鼻呼吸と口呼吸との区別の基準、呼吸ピッチ検出の呼吸データ判断基準がずれていないかを確認するためのものである。その内容は、図9のS18からS24に説明したものと同様であるので、詳細な説明を省略する。
時刻対応付けの機能は、解析表示装置70の制御用CPU104の時刻対応付けモジュール160によって実行される。時刻対応付けの様子について、図11を用いて説明する。
図11は、横軸に時間を取って、信号の推移を示したもので、図11(a)は呼吸データ収集装置20において検出された呼吸データを示し、(b)は解析表示装置70において検出された収集開始信号、収集終了信号、呼吸モニタリングランプ96の点灯信号を示す。両図において、時間軸の原点は合わせてある。これらの図から、解析表示装置70のいずれかのスイッチ等が押されて収集開始信号が取得された時刻t1の後に、モニタリングによる呼吸モニタリングランプ96の点滅が解析表示装置70側に現れ、それに対応する呼吸データが呼吸データ収集装置20側に現れる。モニタリングが終了した後は、呼吸データ収集装置20側にのみ睡眠中の呼吸データが現れる。そして、解析表示装置70のいずれかのスイッチ等が押されて収集終了信号が検出される時刻t2の前後で、睡眠中の呼吸データの出現がなくなる。その後、後述するように再度モニタリングが行なわれるので、呼吸モニタリングランプ96の点滅が解析表示装置70側に現れ、それに対応する呼吸データが呼吸データ収集装置20側に現れる。
呼吸データに関する時刻対応付けは、収集開始信号の取得時刻t1と収集終了信号の取得時刻t2との間を按分して時刻tを割り付けることで行うことができる。例えば、時刻t1が3月21日午後9時で、時刻t2が3月22日午前5時であるとし、対象となる呼吸データが時間軸で時刻t1と時刻t2の中間に記憶されている場合、すなわちt−t1=t2−tである場合は、その呼吸データが収集され記憶された時刻tを3月22日午前1時と対応付けることができる。このように、ユーザがスイッチを任意に押した時刻である収集開始時刻と収集終了時刻とに基づいて、呼吸データに関し、呼吸データ収集装置20と解析表示装置70との間の時刻の対応付けをすることができる。
時刻対応付けは、ユーザのスイッチ等の操作によらなくても、呼吸データ収集装置20の取り外しと設置に関する時刻を自動的に解析表示装置70が取得することでも行うことができる。例えば、呼吸データ収集装置20の取り外しのときのフタ開閉スイッチ91の作動を自動的に検出してこれを収集開始時刻として取得し、呼吸データ収集装置20の設置のときのフタ開閉スイッチ91の作動を自動的に検出してこれを収集終了時刻として取得することでもよい。
図12は、フタ開閉スイッチ91の作動を自動的に検出して時刻対応付けをする様子を示す図である。図12(a),(b)は、図11と同様な図で、横軸に原点を合わせた時間を取り、それぞれ呼吸データ収集装置20と解析表示装置70において検出された信号の推移を示す図である。これらの図から、呼吸データ収集装置20が取り出されるときに解析表示装置70のフタ開閉スイッチ91が作動し、時刻t1で収集開始信号が取得され、その後に、モニタリングによる呼吸モニタリングランプ96の点滅が解析表示装置70側に現れ、それに対応する呼吸データが呼吸データ収集装置20側に現れる。モニタリングが終了した後は、呼吸データ収集装置20側にのみ睡眠中の呼吸データが現れる。そして、呼吸データ収集装置20が取り外されて呼吸データの出現が止まり、その後に呼吸データ収集装置20が設置されて、解析表示装置70のフタ開閉スイッチ91が作動し、時刻t2で収集終了信号が取得される。この場合には、すでに呼吸データ収集装置20が取り外されているので、再度のモニタリングは行なわれない。
呼吸データに関する時刻対応付けは、図11の場合と同様に、収集開始信号の取得時刻t1と収集終了信号の取得時刻t2との間を按分して時刻tを割り付けることで行うことができる。例えば、時刻t1が3月23日午後9時で、時刻t2が3月24日午前5時であるとし、対象となる呼吸データが時間軸で時刻t1と時刻t2の間であって、(t−t1):(t2−t)=5:3である場合は、その呼吸データが収集され記憶された時刻tを3月24日午前2時と対応付けることができる。このように、適当なセンサあるいはスイッチの作動を検出して、自動的に収集開始時刻と収集終了時刻を取得し、呼吸データに関し、呼吸データ収集装置20と解析表示装置70との間の時刻の対応付けをすることができる。
再び図10に戻り、モニタリングが終了すると、ユーザは呼吸データ収集装置20を顔から取り外し(S42)、それを解析表示装置70のくぼみ76の中に設置し(S44)、上筐体74を閉じる。その設置を検出して、解析表示装置70の充電用送信コイル部80から充電用の高周波信号の送信が開始する。周波数は50kHzを用いることができる。すなわち、50kHz送電が開始し(S46)、呼吸データ収集装置20において50kHz受電が行なわれる(S48)。具体的には、例えばフタ開閉スイッチ91等によって呼吸データ収集装置20の設置が検出されると、図7に示すように、昇圧回路110に対し、解析表示装置70の制御用CPU104がOUT1から電源供給START信号を出力し、OUT2からICSTART信号を出力し、OUT3から発振クロックとして50kHzを供給する。
そして、図5に説明したように、解析表示装置70に呼吸データ収集装置20が収納されて上筐体74が閉じられることで、送信コイル部80の上側ヨーク84と下側ヨーク82と、呼吸データ収集装置20の受電コイル部42とで閉じた磁気回路が形成される。これによって、送信コイル部80に供給された高周波信号は、受電コイル部42によって効率よく受電される。このようにして、無接点式により無線電力供給が呼吸データ収集装置20に対し行なわれる。
S50は、リセット工程である。回路系にシステムリセットをかけるタイミングは、充電開始の過渡期をすぎて、回路系の電源電圧がある程度安定し、そして一連の信号処理が開始する前が好ましい。ここでは、呼吸データ収集装置20が解析表示装置70のくぼみ76に設置されるごとに、受電コイル部42が50kHzの高周波信号を受けたことを検出して、呼吸データ収集装置20の回路系、制御部140のシステムリセットがかけられる。この機能は、呼吸データ収集装置20の制御LSI44のリセットモジュール170の機能によって実行される。
具体的には、図6において、受電コイル部42が高周波信号を受信すると、パルス化回路144を経てDC/DCコンバータ109によって電圧が3.2Vに制御されて、2次電池40に充電が行なわれる。これと共に、パルス化回路144が出力したパルス信号は、リセット信号生成回路146においてワンショットパルスに変換され、制御LSI44のリセット信号入力端子に供給される。制御LSI44は、このリセット信号を受けると、制御部140等に対し、システムリセットをかける。このようにして、充電が開始し、ある程度電源電圧が安定したタイミングで、一連の信号処理が始まる前に、回路系のシステムリセットを自動的にかけることができ、データ処理の信頼性を向上させることができる。
図13は、ワンショットパルスを生成するリセット信号生成回路146に代えて、Nチャネルオープンドレイン型の電圧検出器147を用いてリセット信号を生成する例を示す図である。ここでは、電圧検出器147の入力側の電源と、出力側の電源とを別々とすることにより、呼吸データ収集装置20を解析表示装置70に設置又は取り外したときに、リセット信号を出力することができる。なお、呼吸データ収集装置20を解析表示装置70から取り外したときに生じるリセット信号は、制御LSI44のリセット端子を適当なプルアップ抵抗で2次電池40の電源電圧に吊ることで、ごく短い時間後にリセットが解除されるようにできる。したがって、Nチャネルオープンドレイン型の電圧検出器147のような簡単な構成で、実用上、呼吸データ収集装置20が解析表示装置70に設置するごとに、システムリセットをかけることができる。なお、リセット信号生成回路146、または電圧検出器147を、制御LSI44の周辺回路とせずに、制御LSI44そのものに内蔵させることもできる。
このようなシステムリセットの方法は、呼吸データ収集装置が呼吸データを収集した後、一旦記憶装置に記憶し、その後にその記憶されたデータを解析表示装置に転送する場合に限って用いられるわけではなく、広く2次電池を充電する呼吸データ収集システムに用いることができる。例えば、呼吸データ収集装置が呼吸有無データを収集すると共にリアルタイムで解析表示装置に転送する呼吸データ収集システムにおいても、上記のリセット方法を用いることができる。このようなリアルタイムデータ転送システムとしては、収集した呼吸データをそのまま微弱無線電波で解析表示装置側に転送するものがある。
再び図10に戻り、呼吸データ収集装置20は、S48で50kHz受電が行なわれたことに基づいて、呼吸データの送信モードに移行する(S52)。この機能は、呼吸データ収集装置20の制御LSI44の送信モード移行モジュール172によって実行される。具体的には、図6に示すように、受電コイル部42が受信した高周波信号はパルス化回路144によってパルス信号に変換されるが、そのパルス信号を受電検出回路148で検出し、AD3端子より制御LSI44に供給される。これによって、制御LSI44は、呼吸データに関し、今までのデータ収集記憶モードから、データ送信モードに切り換える。
これにより、呼吸データ収集装置20側でLED46が点滅を始める(S54)。この点滅は、実際の呼吸データの転送を開始するのに先立って行なわれることがよい。すなわち、呼吸データの転送のためのLED点滅とは別に行なわれるのが好ましい。解析表示装置70側では、このLED点灯を検出し(S56)、無線電力送信のための周波数を25kHzに変更する。この機能は、制御用CPU104の送電周波数変更モジュール166の機能によって実行される。送電周波数を今までの50kHzより25kHzに変更するのは、この後にデータ転送(S64,S66)が行なわれ、回路の電力消費が多くなるので、無線電力の供給を多くするためである。
具体的には、図7に示すように、LED46の点灯は受光素子78とセンサ増幅回路112によって検出され、端子IN6から制御用CPU104に供給される。制御用CPU104は、この検出信号を取得すると、OUT3から供給される発振クロックの周波数を50kHzから25kHzに変更する。これにより、解析表示装置70の送信コイル部80から25kHz送電が行なわれ(S58)、呼吸データ収集装置20の受電コイル部42において25kHz受電が行なわれる(S60)。
無線電力送受信の周波数変更が行なわれると、解析表示装置70側では受信モードへに移行が行なわれる(S62)。この機能は、制御用CPU104の受信モード移行モジュール164によって実行される。具体的には、上記のLED点灯検出と、送電周波数の変更に基づき、制御用CPU104は、受光素子78から入力される信号を、呼吸データの送信データとして、予め定められたプロトコルにしたがって解読する信号処理に切り換える。
そして、呼吸データ収集装置20から、ユーザの睡眠中に収集され記憶された呼吸有無データを予め定められた送信プロトコルに従い、圧縮データとして、LED46を点滅させて、データ送信が行われ(S64)、解析表示装置70では受光素子78によって、圧縮データの受信が行なわれる(S66)。すなわち、光通信によって、非接点式でデータ転送が行なわれる。ここで、圧縮データとは、時間的に圧縮する意味である。つまり、ユーザの睡眠中の呼吸有無データは、例えば睡眠時間の8時間に渡って収集されるが、データ転送は、データ収集に費やした8時間に比べ、はるかに短い時間で行なわれ、その意味で時間的に圧縮されて転送が行なわれる。換言すれば、データ収集のサンプリングレートに比べ、データ転送の送信レートは、はるかに高速である。このデータ圧縮送信は、呼吸データ収集装置20の制御LSI44の圧縮データ送信モジュール174の機能によって実行される。
図14に、呼吸データの収集記憶と、データ転送の様子を示す。図14の各図は、いずれも横軸に時間をとり、各信号の推移を示すものである。図14の(a)から(e)までの時間軸は、その原点を合わせてある。なお(f)は、時間軸の尺度が、(a)から(e)までのものに比べ、大幅に圧縮されている。
図14において、(a),(b)は横軸に時間をとって、それぞれ鼻呼吸センサ22、口呼吸センサ24が検出したセンサ検出信号を示し、(c),(d)は、それぞれのセンサ検出信号に適当な信号処理を施して、それぞれ呼吸有無信号とした様子を示す。すなわち、(c)は鼻呼吸有無を1又は0で示し、(d)は口呼吸有無を1又は0で示している。そして、(e)は、1秒ごとのサンプリングレートで、鼻呼吸有無データと口呼吸有無データのそれぞれを1ビットデータとし、同じ時刻における鼻呼吸有無データ及び口呼吸有無データを組として2ビットデータで示したものである。(e)の2段積みのデータのうち、上段が(c)に対応する鼻呼吸有無データで、下段が(d)に対応する口呼吸有無データである。
このように、呼吸データの収集は、鼻呼吸センサ22と口呼吸センサ24によって図14(a),(b)に示されるように、波形データとして検出され収集される。しかし、呼吸データ収集装置20のEEPROM142に記憶されるのは、(e)に示されるように、これらの波形データを信号処理して、サンプリングレート1秒ごとに2ビットのデジタルデータである。例えば、睡眠時間を8時間とし、この期間の呼吸有無データを1秒ごとに2ビットのデータで記憶する場合、8時間=8×60×60秒=28,800秒であるので、64kbitsの記憶容量のEEPROM142に記憶することが可能である。
このように、64kbitsのデータとして記憶された呼吸有無データは、データ転送においては、図14(f)に示されるようなプロトコルで配列される。すなわち、データ転送は、スタートコードとストップコードとの間のデータコードにおいて、8kbytesのデータとして転送される。データコードは、4bytes単位でまとめられて送られる。送信レートは、例えば25kHz等を用いることができる。これにより、8時間かけて収集され記憶された64kbitsの呼吸有無データは、数秒で転送することができる。これにより、以下の解析表示において、最新のデータにつき、迅速に処理を行うことができ、データが陳腐化せず、その信頼性を向上させることができる。
再び図10に戻り、呼吸データ収集装置20側で圧縮データの送信が終了する(S68)と、解析表示装置70側ではその送信終了を検出する(S70)。送信終了の検出は、図14(e)で説明したストップコードを用いて行なうことができる。データ転送が終了すると呼吸データ収集装置20は省電モードに入ることができる(S72)。
同様に、データ転送が終了すると、解析表示装置70は、その制御用CPU104の解析表示モジュール168の機能により、転送された呼吸有無データを、必要に応じ時刻対応付けを用いながら、解析を行い、その結果を表示用LCD90に表示する(S74)。例えば、図4に示されるように、鼻呼吸と口呼吸の割合の円グラフ、無呼吸の回数、無呼吸の最大長さ等の解析結果が表示される。表示内容の変更は、λ/MODE選択ボタン92等の操作によって行うことができる。解析表示が一段落すると、解析表示装置70は省電モードに入ることができる(S76)。
省電モードに入ると、解析表示装置70は、無線電力の送電周波数を150kHzに変更する。この機能は、上記の送電周波数変更モジュール166によって実行される。これにより、解析表示装置70の送信コイル部80において150kHz送電が行なわれ(S78)、呼吸データ収集装置20の受電コイル部42において150kHz受電が行なわれる(S80)。送電周波数を高くするのは、電力を多く使用するデータ転送が終了したためである。このように、データ転送中は、他の期間に比べ、低周波数で送電が行なわれることになる。この無線電力送電は、解析表示装置70及び呼吸データ収集装置20が共にデータ処理を行っていない期間を使って、2次電池40を十分に充電するもので、例えば、7時間から8時間かけて行われる。
充電のための高周波送信の期間は、例えばタイマー等によって定めることができる。この場合には、タイマーが設定された期間を経過することで送電が終了する(S82)。充電期間のためのタイマーは、上記のように7時間から8時間等として設定することができる。このタイマー機能、あるいは充電完了検出機能は、省電モードの間でも保持されている。充電が終了すると、解析表示装置70及び呼吸データ収集装置20は次の呼吸データ収集のために待機状態となる。
なお、上記の各工程の順序は、適宜変更することができる。例えば、時刻対応付け(S36)の工程は、解析表示(S80)の工程の前までに行えばよい。
上記において、呼吸データ収集装置20と解析表示装置70との間のデータの交信は、LED46と受光素子48とを近接させて、その間で光通信を用いるものとして説明した。したがって、呼吸データ収集装置20をユーザの顔2に被着させたままでは、データの交信ができない。この場合においても、呼吸モニタリングは、解析表示装置70の呼吸モニタリングランプ96を用いてかなりの案内をすることができる。しかし、呼吸モニタリングにおける呼吸データ判断基準の設定の適否は、ユーザが判断し、適正でないときはユーザが一々モニタリングをやり直す操作を行うため、ユーザの負担等が大きい場合がある。
呼吸データ収集装置20と解析表示装置70との間のデータの交信を微弱電波による無線通信で行うものとすることで、呼吸データの転送をリアルタイム的に行うことができるほか、呼吸データ判断基準の設定の適否をユーザの判断に頼らず、解析表示装置の機能とすることができる。図15は、無線通信により呼吸データの転送を行い、解析表示装置側にモニタリング判断機能を持たせる呼吸データ収集システム120構成を示す図である。無線通信方式の呼吸データ収集システム120は、無線通信機能を有する解析表示装置122と、無線通信機能を有する呼吸データ収集装置124とから構成される。
解析表示装置122は、無線送受信用アンテナ126と、呼吸データ収集装置124に対し、データ転送を行っている旨等を知らせるスピーカ128とを備える。そして解析表示装置制御用CPU104には、無線通信用の送信ブロック132と受信ブロック134、スピーカ128のための音声ドライバ136及び音声メモリ138が接続される。また、制御用CPU104には、モニタリング判断モジュール135が含まれる。それ以外の要素については、データ転送用の受光素子及びそれに関連する回路系が省略されていることを除き、図4等で説明した内容と同じである。すなわち、無線電力送信のための送信コイル部、呼吸データ収集装置124を収容するくぼみ、フタ開閉スイッチ等を備えるものとできる。
呼吸データ収集装置124は、被着パッドから例えば裏地に粘着テープ等の固定手段を有する無線送受信用アンテナ130が延ばされて設けられ、その制御LSI44には、無線通信用の送信ブロック132と受信ブロック134が接続される。図15に示されるように、送信ブロック132は、解析表示装置122及び呼吸データ収集装置124において同じ回路を用いることができる。同様に、受信ブロック134も、解析表示装置122及び呼吸データ収集装置124において同じ回路を用いることができる。それ以外の要素については、データ転送用のLED及びそれに関連する回路系が省略されていることを除き、図2等で説明した内容と同じである。すなわち、鼻呼吸センサ、口呼吸センサ、無線電力受電のための受電コイル部、2次電池等を備えるものとできる。また、受電コイル部が高周波信号を受け取ったことを検出して、システムリセットをかけることができることも同じである。なお、EEPROMは、無線通信で呼吸データをリアルタイム的に解析表示装置122に転送できるので、その容量を大幅に少なくできる。
このように、無線通信方式の呼吸データ収集システム120は、データ転送を光通信でなく無線通信で行うことを除けば、図1等で説明した呼吸データシステム10の内容と同様であるので、以下では、無線通信に関する部分を中心に説明する。図16は、送信ブロック132と受信ブロック134の内部回路構成を示す図である。図16(a)は送信ブロック132を示し、ここでは送信データ信号TxData、送信のオン・オフ信号、無線通信周波数f設定信号が用いられ、回路的には相互に異なる周波数を有する2つの発振回路と、PLL回路とで構成される。図16(b)は受信ブロック134を示し、ここでは受信データ信号RxData、受信同期信号DSR、無線通信周波数f設定信号が用いられ、回路的には発振回路を含む検波回路と、PLL回路とで構成される。
かかる構成の呼吸データ収集システム120のデータ転送について説明する。データ転送には、無線通信の法規制に適合した周波数帯及び送受信の電波強度の電波を用いることができる。例えば312.7MHzから318.4MHz帯の微弱電波を用いることができる。呼吸データの転送は、呼吸データ収集装置124において、鼻呼吸センサ22、口呼吸センサ24が検出したデータそのもの、あるいは簡単な信号処理を行った後のものを、無線送信可能なデータ形式にして、送信ブロック132からリアルタイムで送信する。解析表示装置122では、送信されてきた電波を受信ブロック134で受信する。受信された信号は適当な復調処理が行われ、呼吸データとして解析表示装置制御用CPU104に渡される。
図4等で説明した呼吸データ収集システム10では、呼吸データを一旦呼吸データ収集装置20のメモリに記憶し、その記憶されたデータを光通信によって解析表示装置70に転送するもので、例えば1睡眠に1回のデータ転送が行われる。これにいわばバッチ方式でデータが転送される。これに対し、図15で説明した無線通信方式では、呼吸データ収集装置が検出した呼吸データを、ほぼリアルタイムで、解析表示装置122に転送できる。したがって、上記のように、呼吸データ収集装置124におけるメモリ容量を大幅に削減できる。
ここで呼吸データ収集装置制御LSI44に含まれる呼吸データ判断基準設定モジュール133は、図9のモニタリングに関連してS22の工程で説明した呼吸データ判断基準の自動設定機能を有する。すなわち、この呼吸データ判断基準は可変的で、鼻呼吸センサ22又は口呼吸センサ24が検出する検出信号に応じて、自動的に設定される。例えば、検出信号が弱いときは閾値を下げ、検出信号が強いときは閾値を上げる機能を有する。あるいは、検出信号のレベルを自動的にあるいは、検出信号のレベルを自動的に一定レベルに調整し、そのうえで一定の閾値で、呼吸有無を判断する機能を有することとしてもよい。呼吸データ判断基準が設定されると、その基準に基づいて鼻呼吸センサ22又は口呼吸センサ24が検出する検出信号が呼吸有無データに変換され、無線送信ブロック132と無線送受信用アンテナ130を介し、解析表示装置122に送信される。呼吸モニタリングにおいては、呼吸モニタリングデータとして送信される。
解析表示装置制御用CPU104は、音声ドライバ136、スピーカ128、音声メモリ138を用いて、モニタリングを音声で案内する機能を有する。また、モニタリング判断モジュール135は、無線送受信の方法によって呼吸データ収集装置124から受け取ったモニタリング呼吸データに基づき、呼吸データ判断基準の適正か否かを判断し、呼吸データ収集装置124に対し、その結果を指示する機能を有する。呼吸データ収集装置124から受け取ったモニタリング呼吸データの適否判断は、例えば、音声案内によって示された呼吸ピッチと、受け取った呼吸モニタリングデータの呼吸ピッチとが一致しているか否か等で行うことができる。
図17は、無線電波の送受信機能と音声案内機能とを有する呼吸データ収集システム120において、解析表示装置122と呼吸データ収集装置124との協働による呼吸モニタリング及び呼吸データ転送を説明するフローチャートである。
初期状態においては、呼吸データ収集装置124が解析表示装置122のくぼみに収納されている。そして、通常ならば呼吸データ収集装置124の2次電池が十分に充電されている状態である。ユーザが呼吸データ収集装置124を用いて呼吸データ収集を行おうとするときは、解析表示装置122から呼吸データ収集装置124を取り出す動作を行う(S100)。なお、図17においても、ユーザの動作等は、破線で囲んで示されている。具体的には、解析表示装置122の上筐体を開けて呼吸データ収集装置124を取り出し、再び上筐体を閉める。この一連の動作をフタ開閉スイッチによって検出すると、解析表示装置122は、無線送受信の方法によって呼吸データ収集装置124に、充電状態を確認しその結果を返信する旨の指令を与える。呼吸データ収集装置124が充電チェックを行い(S102)、充電状態が十分である返信を受け取ると、解析表示装置122は、音声により、呼吸データ収集装置124を被着する案内を行う(S104)。例えば「検出ユニットを装着して下さい」等の案内文を音声メモリ138から読み出し、音声ドライバ136を介してスピーカ128より音声で出力させる。検出ユニットとは、呼吸データ収集装置124のことである。なお、図17において、音声案内に関する工程は、2重線の枠で示してある。以下の音声案内も、適当な案内文を音声メモリ138から読み出し、これを音声ドライバ136を介してスピーカ128より音声で出力させることは同様である。これにしたがって、ユーザは、呼吸データ収集装置124を顔に被着する(S106)。
被着に必要な適当な時間の経過後、解析表示装置122は、次に鼻呼吸をする音声案内を出す(S108)。例えば、「モニタリングを開始します」と案内し、ついで、「鼻呼吸をして下さい」の音声案内と共に、呼吸ピッチの案内を与える。呼吸ピッチの案内は、例えば「ピッ、ピッ、ピッ、・・」等の周期的音声で与えることができる。ユーザは、この呼吸ピッチの案内を聞きながら、鼻呼吸を行う(S110)。ここでは、鼻呼吸のモニタリングを口呼吸のモニタリングより先に行うものとしたが、その順序を逆にしてもよい。
呼吸データ収集装置124は、ユーザが行なった鼻呼吸を、鼻呼吸センサで検出し、制御LSI44の呼吸データ判断基準設定モジュール133の機能により、鼻呼吸センサが検出する検出信号に応じて、呼吸データ判断基準を自動的に設定する(S112)。上記のように、呼吸データ判断基準は、鼻呼吸センサ又は口呼吸センサが検出する検出信号に対する適当な閾値である。例えば、検出信号が弱いときは閾値を下げ、検出信号が強いときは閾値を上げることができる。あるいは、検出信号のレベルを自動的に一定レベルに調整し、そのうえで一定の閾値で、呼吸有無を判断することとしてもよい。
鼻呼吸データ判断基準が自動設定されると、その判断基準を用いて、鼻呼吸センサの検出信号が鼻呼吸有無データに変換され、予め定めた送信プロトコルに従い、無線送受信の方法によって、解析表示装置122に送信する(S114)。
解析表示装置122は、送信されたデータをモニタリング呼吸データとして取得し、モニタリング判断モジュール135の機能により、取得されたモニタリング呼吸データが鼻呼吸有無データとして適当か否かのモニタリング適否判断を行う(S116)。モニタリング適否判断は、取得されたモニタリング呼吸データのピッチが、S108で案内したピッチと一致するかどうか等で判断される。両ピッチが一致しないときはモニタリングが適当でないと判断され、その旨が音声で案内される(S118)。例えば、「もう一度、検出ユニットを付け直して鼻呼吸をして下さい」の音声案内を行い、被着に必要な時間経過後、再び呼吸ピッチの案内を行う。呼吸ピッチは、前と同じでもよく、取得されたモニタリング呼吸データの内容に応じ、適宜変更するものとしてもよい。これにより、ユーザは、リトライを行う(S120)。すなわち、ユーザはS106とS110とを行い、これにより、呼吸データ収集装置124は、鼻呼吸データ判断基準の自動設定をやり直すことができる。
取得されたモニタリング呼吸データのピッチと、S108で案内したピッチと一致すると、鼻呼吸におけるモニタリングが適当と判断され、次に口呼吸について同様な手順で、口呼吸案内(S112)、口呼吸(S124)、口呼吸データ判断基準の自動設定(S126)、口呼吸データ送信(S128)、口呼吸モニタリング判断(S130)、そして必要なときに判断案内(S132)、リトライ(S134)が行われる。このようにして、鼻呼吸と口呼吸について、それぞれの呼吸データ判断基準が適切に設定されると、解析表示装置122によって、モニタリングの終了が音声で案内される(S136)。例えば、「モニタリングを終了します。そのままお休み下さい」等で案内を与えることができる。
モニタリングが終了すると、その結果を用いての通常の呼吸データ収集に入る。つまり、モニタリングをティーチングとして、いわゆるランニングに入る。すなわち、睡眠状態等のあるユーザの呼吸データは、鼻呼吸センサ及び口呼吸センサによって検出され、それぞれ鼻呼吸データ判断基準及び口呼吸データ判断基準に従って、鼻呼吸有無データ及び口呼吸有無データに変換され、それぞれを1ビットデータとし、同じ時刻における鼻呼吸有無データ及び口呼吸有無データを組として、2ビットデータとして、収集される。そして無線送受信の方法で、呼吸データ収集装置124と解析表示装置122との間で、呼吸データの送受信が行われる(S138,S140)。呼吸データの送受信は、呼吸有無データのサンプリングに合わせ1秒毎に行うこともできる。この送受信の時間は、基本的に2ビットのデータ送受信であるので、きわめて短時間で行うことができる。
解析表示装置122は、このデータ収集の期間において、送信されてくる呼吸有無データの状態を監視する機能を有する。例えば、呼吸データ収集装置124が、ユーザの顔の適切な位置からずれて、呼吸データが送信されなくなることがある。単に呼吸データが無いだけでは、それがユーザの無呼吸状態のためか、何かの事故等でデータ送信が途絶えたのか、はまだ分からないが、ある程度の時間連続して呼吸データの取得が行われないときは、これを何かの事故と判断することができる。このような判断基準で、送信データの監視を行い、無呼吸状態も含め正常なデータ収集及び送信状態と判断するときは、送信されてきたデータを呼吸データ蓄積用フラッシュメモリに記憶する。何かの事故又はエラーと判断する(S142)場合には、無線送受信の方法で、呼吸データ収集装置124にデータ収集及び送信の中止を指令する(S144)。その指令により、呼吸データ収集装置124は、送信を中止する(S146)。ユーザが目覚め、データ収集装置124を解析表示装置122に収めると、解析表示装置122は、それまでに蓄積されたデータについて、時刻対応付け等を行って、解析し、表示する(S148)。
このように、無線電波を用いて解析表示装置122と呼吸データ収集装置124との間データ転送を含めて交信を行い、また音声案内によって呼吸モニタリングを案内することで、呼吸データ判断基準の設定及びその適否判断の操作性が向上する。また、これによって、以後の呼吸データの信頼性が向上する。
これらによって、呼吸データ収集装置のデータ収集の時刻を解析表示装置におけるデータの時刻と対応付け、データ自体の信頼性向上を図ることが出来る。また、データ圧縮によって、データ処理に要する時間を短縮し、最新の呼吸データについての迅速なデータ処理を可能にして、解析表示されるデータの信頼性向上を図ることが可能となる。また、強制的システムリセットを行なって、その後のデータ処理の信頼性向上を図ることが可能となる。また、呼吸データ判断基準の設定を適切に行って、呼吸データの信頼性を向上させることができる。
2 顔、4 鼻孔、6 口、10,120 呼吸データ収集システム、20,124 呼吸データ収集装置、22 鼻呼吸センサ、24 口呼吸センサ、26 回路基板、28 金属板、30 導光体、32,34,36,38 電極端子、33,35,37,39 接続端子、40 2次電池、42 受電コイル部、44 制御LSI、46 LED、50 ゲル状の樹脂、52,56,58 位置、54 非粘着性フィルム、70,122 解析表示装置、72 下筐体、74 上筐体、76 くぼみ、78 受光素子、80 送信コイル部、82 下側ヨーク、84 上側ヨーク、86 コイル、90 表示用LCD、91 フタ開閉スイッチ、92 λ/MODE選択ボタン、93 UP−SELECTボタン、94 DOWN−SELECTボタン、95 時刻SETボタン、96 呼吸モニタリングランプ、100,140 制御部、102 1次電源、104 制御用CPU、106 フラッシュメモリ、108,109 DC/DCコンバータ、110 昇圧回路、112 センサ増幅回路、126,130 無線送受信用アンテナ、128 スピーカ、132 送信ブロック、133 呼吸データ判断基準設定モジュール、134 受信ブロック、135 モニタリング判断モジュール、136 音声ドライバ、138 音声メモリ、142 EEPROM、144 パルス化回路、146 リセット信号生成回路、147電圧検出器、148 受電検出回路、150 駆動回路、160 時刻対応付けモジュール、164 受信モード移行モジュール、166 送電周波数変更モジュール、168 解析表示モジュール、170 リセットモジュール、172 送信モード移行モジュール、174 圧縮データ送信モジュール、176 呼吸データ収集モジュール。