JP4590548B2 - 勢力圏図作成装置及びプログラム - Google Patents
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Description
第一の計算安定化の方法は、勢力圏図の構造を常に正しく判定するのに十分な精度の高い多倍長計算を用いる方法である。これは厳密計算法又は整数帰着法と呼ばれる。この方法によれば、誤差なく計算が進行するから、勢力圏図の構造が正しく決定され、理論どおりに計算ができる。この方法の詳しい解説は、下記非特許文献2等に記載されている。
第二の計算安定化の方法は、勢力圏図をディジタル画像の形式を模した方法を用いて近似的に計算する方法である。
第三の計算安定化の方法は、勢力圏図の境界が矛盾なくつながることを最優先の条件として計算を進める方法である。数値計算結果はこの条件に反しない場合にのみ採用することによって、計算誤差が発生しても、少なくとも矛盾が生じないことを保証する計算方法である。なお、ここでいう「矛盾が生じない」については、後に詳述する。
勢力圏図を求めるとは、各勢力圏の境界を求めることを一般には含む概念である。そして、勢力圏図においては、各勢力圏を区切る境界は、頂点と辺からなるグラフ構造をなしている。これは既に示した図7からも明らかであろう。換言すれば、このグラフ構造(位相)は、境界の頂点と頂点間を結ぶ辺の関係に他ならない。
・近似図しか得られないという制限がない勢力圏図計算装置を提供すること。 ・高度の専門知識を必要としない汎用性を有する勢力圏図計算装置を提供すること。
・これらの特徴を有する勢力圏図計算装置を構成するためのコンピュータプログラムを提供すること。
以下、上述した(1)−(10)の発明をプログラムとして表現したものであり、その作用効果は、上記(1)−(10)と基本的に同様である。
図1には、本実施の形態の勢力圏図計算装置10の構成ブロック図が示されている。この図1に示すように、勢力圏図計算装置10は、ディジタル画像生成手段12と、ラベル手段14と、境界グラフ抽出手段16と、頂点位相算出手段18と、座標計算手段20と、を備えている。
ディジタル画像生成手段12は、平面を一定の大きさに区分けし、各区分を表す画素からなるディジタル画像を作成する。作成したディジタル画像の様子が図3に示されている。図3における各四角の升目が「画素」である。この画素は、平面を区分けした各区分を表すものであり、平面状の区分と画素とは実質上同一視することが便利な場合もある。
ラベル手段14は、ディジタル画像の各画素に、その画素が最も近い生成元の番号を付する。本実施の形態では、距離として、日常的なユークリッド距離を採用している。その結果、いわゆる普通の距離として画素から最も近い位置にある生成元の番号を各画素に付していく。このように数値を付すことによって、同じ数値が付された画素の集合が、その数値が示す生成元の「近似」勢力圏となる。本実施の形態では、このような近似の勢力圏を近似ディジタル画像と呼ぶ。
境界グラフ抽出手段16は、この近似ディジタル画像から、勢力圏の境界のグラフ構造を抽出する。このグラフを境界グラフと呼ぶ。
頂点位相算出手段18は、上記境界グラフの中から頂点をとりだし、その頂点の周囲に存在する面、すなわち勢力圏を求める。この頂点位相算出18は、コンピュータと、コンピュータを頂点位相算出手段18として動作させるプログラムと、から構成することが好ましい。グラフの構造から、その頂点の周囲に存在する面(勢力圏)を知ることはグラフ構造の解析に基本的な動作であるので、当業者であれば容易にそのようなプログラムを作成可能である。
座標計算手段20は、各頂点の実際の座標を求める。上記頂点位相算出手段18によって、周囲の勢力圏が判明しているので、その頂点の周囲の生成元もまた判明する。したがって、本来、頂点はその周囲の生成元の中間に位置するので、3個の生成元の中間の座標を求めれば、その頂点の実際の座標を求めることができる。
以下、具体的な動作を説明する。
まず、ディジタル画像生成手段12は、与えられた平面中の各生成元の間の距離を算出する。そして、その中から最も短い距離を求める。求められた距離の1/2を画素の大きさとして記憶する。記憶は、コンピュータに用いられる種々の記憶手段中に行うことが可能である。記憶手段としては、ハードディスクや半導体メモリ、各種光学ディスク(CD−RW・DVD−RW等)を利用することができる。
ラベル手段14は、上記区切った各画素(区分)から最も近い生成元を算出する。そして、算出した生成元の番号を、対応する画素に書き込んでいく。ディジタル画像は、所定の記憶手段中に記憶されており、ラベル手段14を構成するプログラムが、各画素から最も近い生成元の番号を、ディジタル画像中の画素に書き込んでいくのである。この書き込みを、全画素に対して行う。行った結果が図3に示されている。
・分割した各領域が連結であること。
境界グラフ抽出手段16は、値の異なる画素の間を辿っていく動作(トレース)を行うことによって、境界グラフ(の構造)を抽出する。抽出した境界グラフの概念図が図5に示されている。トレースをすることによって、グラフの「辺」を辿ることが可能であり、3個以上の値の異なる画素が隣接している点をグラフの「頂点」であると認識することができる。このようなグラフの抽出は従来から知られている技術であるので、詳細な説明は省略する。図5に示す例では、v1、v2、v3、v4、v5、v6、v7、v8の8個の頂点が見いだされている。3個以上の値の異なる画素が隣接する点は、すなわち3個以上の勢力圏が接続する点である。境界グラフの頂点を抽出することによって、このような点を見つけ出すことができる。この技術は、従来から典型的な画像処理技術として知られている。
上述のようにして見つけられた8個の頂点v1−v8は、3個の勢力圏に隣接している。そして、頂点位相算出手段18は、動作各頂点毎にその周囲の3個の勢力圏を求める。これはグラフのデータ構造から求めることができる。
次に、境界における各頂点の実際の座標を求める。各頂点の位相、すなわち、周囲の隣接する勢力圏及びその勢力圏の基礎となる生成元、が判明するのでこれに基づき各頂点の実際の座標を求める。この動作は座標計算手段20が実行する。
P1:v3、v2、v1
P2:v3、v8、v6、v4、v2
P5:v7、v8、v3、v1
の3個の勢力圏が見いだされるので、頂点v3の周囲に隣接することが判明する。これはすなわち、頂点v3が、3個の生成元G1、G2、G5から等距離の座標に位置することを意味する。したがって、座標計算手段20は、この3個の生成元G1、G2、G5から等距離の位置の座標を計算する。求められた座標が頂点v3の実際の値である。
画素の並びとして、図3では正方格子状(碁盤の目状)に四角形の画素が並んでいるものを採用したが、行を1つおきにずらした(シフトした)画素群を用いることも好ましい。このような画素の並びの様子が図8に示されている。
画素の並びとして、図3では正方格子状(碁盤の目状)に四角形の画素が並んでいるものを採用したが、六角形の画素を並べて平面を埋め尽くす構成を採用することも好ましい。このような画素の並びの様子が図10に示されている。
これまで平面、すなわち2次元空間上での勢力圏図を説明してきたが、より高次元の空間で勢力圏図を作成する場合にも本発明は容易に応用可能である。
上述したように、3次元空間における勢力圏図を求める場合は、立方体を3次元の碁盤の目状(ルービックキューブの如く立方体を並べたもの)に並べ、各立方体に対してラベル付けをすることによって、近似ディジタル立体画像を得ていたが、この立方体を実施の形態2のようにずらす(シフトする)ことも好ましい。
12 ディジタル画像生成手段
14 ラベル手段
16 境界グラフ抽出手段
18 頂点位相算出手段
20 座標計算手段
G1、G2、G3、G4、G5、G6 生成元
p1、p2、p3、p4、p5、p6 近似の勢力圏
P1、P2、P3、P4、P5、P6 勢力圏
v1、v2、v3、v4、v5、v6、v7、v8 境界グラフの頂点
Claims (20)
- 平面上に配置されている複数の生成元に対して、前記平面を、前記各生成元に近い部分平面である勢力圏に分割し、前記各生成元の前記勢力圏を算出する勢力圏図計算装置において、
前記平面を小領域に分割する小領域分割手段と、
前記小領域が最も近い生成元の識別子を各小領域に付し、近似勢力圏図を作成するラベル手段と、
前記近似勢力圏図において識別子の値が異なる小領域の境界がなすグラフである境界グラフの構造を抽出する境界グラフ構造抽出手段と、
前記抽出した境界グラフの構造に基づきこの境界グラフの頂点が隣接する小領域の前記識別子を求めることによって、この頂点が隣接する勢力圏を求める頂点位相算出手段と、
前記頂点位相算出手段で求めたその頂点が隣接する勢力圏に基づき、最終的に求めたい勢力圏の境界の頂点の座標を算出する座標計算手段と、
を含むことを特徴とする勢力圏図計算装置。 - 請求項1記載の勢力圏図計算装置において、前記小領域の1辺の長さは、前記生成元の間の距離のうち、最も小さい距離の値の1/2未満であることを特徴とする勢力圏図計算装置。
- 請求項1記載の勢力圏図計算装置において、
前記小領域分割手段は、
前記平面を行と列からなる行列状に配置される小領域群に分割し、
分割後の一つの行に含まれる複数の小領域群を行方向に位置をシフトすることを特徴とする勢力圏図計算装置。 - 請求項3記載の勢力圏図計算装置において、
前記小領域分割手段の前記シフトする量が、前記小領域の1辺の長さの1/2であることを特徴とする勢力圏図計算装置。 - 請求項1記載の勢力圏図計算装置において、
前記小領域分割手段は、各小領域が六角形となるように小領域分割を行うことを特徴とする勢力圏図計算装置。 - 3次元空間上に配置されている複数の生成元に対して、前記3次元空間を、前記各生成元に近い領域毎に分割し、前記各生成元の勢力圏を算出する勢力圏図計算装置において、
前記3次元空間を小領域に分割する小領域分割手段と、
前記小領域が最も近い生成元の識別子を各小領域に付するラベル手段と、
前記識別子の値が異なる小領域の境界がなすグラフである境界グラフの構造を抽出する境界グラフ構造抽出手段と、
前記抽出した境界グラフの構造に基づきこの境界グラフの頂点に隣接する小領域に付されている生成元の識別子を求めることによって、最終的に求めたい勢力圏の境界がなすグラフの頂点が隣接する勢力圏の生成元を求める頂点位相算出手段と、
前記頂点位相算出手段で求めた生成元に基づき、最終的に求めたい勢力圏の境界がなすグラフの頂点の位置を算出する座標計算手段と、
を含むことを特徴とする勢力圏図計算装置。 - 請求項6記載の勢力圏図計算装置において、前記小領域の大きさは、前記生成元の間の距離のうち、最も小さい距離の値の1/2未満であることを特徴とする勢力圏図計算装置。
- 請求項6記載の勢力圏図計算装置において、
前記小領域分割手段は、
前記空間を縦・横・奥行き方向に所定間隔で区切り、直方体からなる小領域群に分割し、
分割後の一つの行に含まれる複数の小領域群を行方向に位置をシフトし、
分割後の一つの面に含まれる複数の小領域群をその面と平行な方向にシフトすることを特徴とする勢力圏図計算装置。 - 請求項8記載の勢力圏図計算装置において、
前記小領域分割手段の前記シフトする量が、前記小領域の1辺の長さの1/3であることを特徴とする勢力圏図計算装置。 - n次元空間上に配置されている複数の生成元に対して、前記n次元空間を、前記各生成元に近い領域毎に分割し、前記各生成元の勢力圏を算出する勢力圏図計算装置において、
前記n次元空間を小領域に分割する小領域分割手段と、
前記小領域が最も近い生成元の識別子を各小領域に付するラベル手段と、
前記識別子の値が異なる小領域の境界がなすグラフである境界グラフの構造を抽出する境界グラフ構造抽出手段と、
前記抽出した境界グラフの構造に基づきこの境界グラフの頂点に隣接する小領域に付されている生成元の識別子を求めることによって、最終的に求めたい勢力圏の境界がなすグラフの頂点が隣接する勢力圏の生成元を求める頂点位相算出手段と、
前記頂点位相算出手段で求めた生成元に基づき、最終的に求めたい勢力圏の境界がなすグラフの頂点の位置を算出する座標計算手段と、
を含むことを特徴とする勢力圏図計算装置。ここで、前記nは4以上の整数である。 - 平面上に配置されている複数の生成元に対して、前記平面を、前記各生成元に近い部分平面である勢力圏に分割し、前記各生成元の前記勢力圏を算出する勢力圏図計算装置として、コンピュータを動作させるプログラムにおいて、前記コンピュータに、
前記平面を小領域に分割する小領域分割手順と、
前記小領域が最も近い生成元の識別子を各小領域に付し、近似勢力圏図を作成するラベル手順と、
前記近似勢力圏図において識別子の値が異なる小領域の境界がなすグラフである境界グラフの構造を抽出する境界グラフ構造抽出手順と、
前記抽出した境界グラフの構造に基づきこの境界グラフの頂点が隣接する小領域の前記識別子を求めることによって、この頂点が隣接する勢力圏を求める頂点位相算出手順と、
前記頂点位相算出手段で求めたその頂点が隣接する勢力圏に基づき、最終的に求めたい勢力圏の境界の頂点の座標を算出する座標計算手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。 - 請求項11記載のプログラムにおいて、前記小領域の大きさは、前記生成元の間の距離のうち、最も小さい距離の値の1/2未満であることを特徴とするプログラム。
- 請求項11記載のプログラムにおいて、
前記小領域分割手順は、
前記平面を行と列からなる行列状に配置される小領域群に分割し、
分割後の一つの行に含まれる複数の小領域群を行方向に位置をシフトすることを特徴とするプログラム。 - 請求項13記載のプログラムにおいて、
前記小領域分割手順の前記シフトする量が、前記小領域の1辺の長さ大きさの1/2であることを特徴とするプログラム。 - 請求項11記載のプログラムにおいて、
前記小領域分割手順においては、各小領域が六角形であることを特徴とするプログラム。 - 3次元空間上に配置されている複数の生成元に対して、前記3次元空間を、前記各生成元に近い領域毎に分割し、前記各生成元の勢力圏を算出する勢力圏図計算装置として、コンピュータを動作させるプログラムにおいて、前記コンピュータに、
前記3次元空間を小領域に分割する小領域分割手順と、
前記小領域が最も近い生成元の識別子を各小領域に付するラベル手順と、
前記識別子の値が異なる小領域の境界がなすグラフである境界グラフの構造を抽出する境界グラフ構造抽出手順と、
前記抽出した境界グラフの構造に基づきこの境界グラフの頂点に隣接する小領域に付されている生成元の識別子を求めることによって、最終的に求めたい勢力圏の境界がなすグラフの頂点が隣接する勢力圏の生成元を求める頂点位置算出手順と、
前記頂点位相算出手段で求めた生成元に基づき、最終的に求めたい勢力圏の境界がなすグラフの頂点の位置を算出する座標計算手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。 - 請求項16記載のプログラムにおいて、前記小領域の1辺の長さは、前記生成元の間の距離のうち、最も小さい距離の値の1/2未満であることを特徴とするプログラム。
- 請求項16記載のプログラムにおいて、
前記小領域分割手順は、
前記空間を、縦・横・奥行き方向に所定間隔で区切り、直方体からなる小領域群に分割し、
分割後の一つの行に含まれる複数の小領域群を行方向に位置をシフトし、
分割後の一つの面に含まれる複数の小領域群をその面と平行な方向にシフトすることを特徴とするプログラム。 - 請求項18記載のプログラムにおいて、
前記小領域分割手順においては、
前記シフトする量が、前記小領域の1辺の長さの1/3であることを特徴とするプログラム。 - n次元空間上に配置されている複数の生成元に対して、前記n次元空間を、前記各生成元に近い領域毎に分割し、前記各生成元の勢力圏を算出する勢力圏図計算装置として、コンピュータを動作させるプログラムにおいて、前記コンピュータを、
前記n次元空間を小領域に分割する小領域分割手順と、
前記小領域が最も近い生成元の識別子を各小領域に付するラベル手順と、
前記識別子の値が異なる小領域の境界がなすグラフである境界グラフの構造を抽出する境界グラフ構造抽出手順と、
前記抽出した境界グラフの構造に基づきこの境界グラフの頂点に隣接する小領域に付されている生成元の識別子を求めることによって、最終的に求めたい勢力圏の境界がなすグラフの頂点が隣接する勢力圏の生成元を求める頂点位置算出手順と、
前記頂点位相算出手段で求めた生成元に基づき、最終的に求めたい勢力圏の境界がなすグラフの頂点の位置を算出する座標計算手順と、
を含むことを特徴とするプログラム。ここで、前記nは4以上の整数である。
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