JP4583623B2 - 急冷金属の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属を急冷凝固させる製造方法に関し、特にフレーク状の薄片形態の急冷金属を製造するのに適した方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属溶湯を急冷する方法としては種々の方法があるが、代表的なものとして、図2に示す装置が挙げられる。該装置では、冷却用水冷ロール10を有し、該ロール10上にタンディッシュ11を備えており、該タンディッシュ11内に溶融金属12を貯留する。
次に、上記装置の使用方法について説明すると、電気炉等で熔解された溶融金属12はタンディッシュ11内に流し込まれ、そこから冷却用水冷ロール10に供給される。冷却用水冷ロール10は水冷によって冷却された状態にあり、水平方向の回転軸10aによって回転している。溶融金属は回転する水冷ロール10上で急冷され、薄板状に凝固して急冷金属12aが得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の急冷凝固装置では、凝固した金属は薄板状となるため装置そのもの、また金属板を回収、収納するためのスペースが大きくなるという問題がある。
【0004】
本発明は、上記のような従来のものの課題を解決するためになされたものであり、装置の小型化、作業スペースの狭小化が可能で、またフレーク状に金属を凝固させることができ、金属の粉砕を必要とする場合には作業を大幅に効率化することができる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明のうち請求項1の発明は、急冷金属の製造方法について、縦方向に沿った回転軸とともに回転し、回転方向側に縦方向に沿った冷却面を有する回転冷却板の上方から、前記冷却面が回転している領域に溶湯を落下させ、該溶湯を冷却面に接触させて前記冷却面上で引き延ばして急冷・凝固させ、凝固した該急冷金属を冷却面での遠心力によって脱落させてフレーク状にした急冷金属を製造することを特徴とする。
【0007】
すなわち、本発明の急冷金属の製造方法によれば、溶融金属は、回転する冷却面に付着して冷却され、その後、遠心力によって冷却面から脱落するので、装置の小型化と作業スペースの狭小化が可能になる。また、得られた急冷金属はフレーク状となるため、粉砕が容易であり、組織の微細化と粉砕が必要とされる水素吸蔵合金粒の製造に好適である。
【0008】
本発明で用いる製造装置として、縦方向に沿った回転軸と、該回転軸とともに回転する回転冷却部とを有する。
上記回転軸は、モータ等の適宜の駆動部に連結される。回転軸は、軸そのものが存在するものの他、仮想的に回転軸になるものであってもよい。回転軸は、通常は鉛直線方向に沿って配置されるが、本発明としては、鉛直線方向に限定されるものではなく、該方向と角度差を持って配置されるものでもよく、したがって回転軸は縦方向に沿って配置されることになる。
【0009】
また、回転冷却部は、該回転軸と一体になっていたり、回転軸に連結されることにより回転軸とともに回転する。回転冷却部は、回転方向に縦方向に沿った冷却面を有している。回転冷却部は、通常は縦方向に沿った回転冷却板で構成されるが、本発明としては、上記のように少なくとも回転方向に縦方向に沿った冷却面を有するものであればよく、背面の形状は特に限定されないものである。また、冷却面は、縦方向に沿うものであるから、回転軸と同様に鉛直方向に沿うものに限定されない。また、回転軸と同方向に沿っていることが必須とされるものではなく、回転軸とは、異なる方向、すなわち角度差を持って冷却面が伸長するものであってもよい。また冷却面は通常は平面で構成されるものであるが、溶融金属の冷却、脱落等の作用を考慮して、平面以外、例えば曲面等で構成することもできる。
また、冷却面は回転方向に適当な角度差を持って複数存在するものであってもよく、適宜その数を選定することができる。好適には2〜8の数をしめすことができる。
【0010】
また、冷却面が回転する領域の上方には、溶湯を冷却面側に落下させる溶湯落下部が配置されている。該溶湯落下部は通常はタンディッシュで構成されるが、本発明としてはこれに限定されるものではない。また、溶湯落下部は通常は、上記領域のいずれかの位置の直上に配置されるが、投射等の方法によって直上位置以外から冷却面側に溶湯を落下させるものであってもよい。
【0011】
さらに、回転冷却部では、少なくとも冷却面を適宜の方法で冷却するのが望ましい。この手段として本発明の装置は冷却手段を備えることができる。該冷却手段は、冷却媒の通路を回転軸や回転冷却部に設け、該通路に低温の水などの冷却媒を流して冷却面を冷却するものである。ただし、本発明としては冷却手段の構成が上記に限定されるものではなく、適宜の方法によって冷却面を適切に冷却できるものであればよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。
回転軸1は鉛直方向に沿って配置され、回転駆動部である回転駆動装置2に連結されており、該回転軸1は上方から見て時計回りに高速回転する。該回転軸1上端には、鉛直方向に沿った2枚の回転冷却板3、3が回転冷却部として固定されており、該回転冷却板3、3の回転方向側の面が冷却面3a、3aとなっている。回転冷却板3、3はよく研磨された銅もしくはステンレス鋼などの金属からなる。なお、回転冷却板3、3には図示しない冷却パイプが内蔵されており、該冷却パイプに冷却水が流されて回転冷却板3、3が冷却されるように構成されている。
また、回転冷却板3、3が回転する領域の上方には金属溶湯4を貯蔵し排出するタンディッシュ5が溶湯落下部として配置されている。。
【0013】
次に上記装置の動作について説明する。
回転軸1を回転駆動装置2によって高速に回転させ、この回転軸1に固定されている回転冷却板3、3を同様に高速に回転させる。
そしてこの回転する回転冷却板3、3に当たるように、電気炉などで溶融した溶融金属4をタンディッシュ5から流下させる。この際に圧力をかけてタンディッシュ5のノズルから溶融金属4を噴出させて、回転冷却板3、3に当ててもよい。溶融金属4は、高速回転する回転冷却板3、3の上から流下し、流下する間に回転冷却板3の冷却面3aに衝突する。
溶融金属4は回転冷却板3の冷却面3aに当たると遠心力で、冷却面3a上で引き延ばされる。引き延ばされた溶融金属4aは冷却面3aで熱を奪われ、急速に冷却・凝固する。凝固した急冷金属4bは遠心力で冷却面3aからフレーク状になって引き剥がされる。
【0014】
上記構成においては、回転冷却板は羽状となるためコンパクトになり、溶融金属は回転冷却板上で完全に凝固するので、凝固した金属は板ではなく、フレーク状となるために、凝固した金属を受ける容器が小さくできることにより、装置全体を小型化することができる。
得られたフレーク状の急冷金属は、粉砕が必要な場合には、極めて容易に粉砕を行うことができ、粉粒状の急冷金属を得たい場合に本発明は好適である。
【0015】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、凝固した金属は回転冷却部の冷却面上で薄く引き延ばされ、フレーク状となっているため、単ロール法などで作った急冷凝固板材と異なり、粉砕の手間が大幅に軽減される。また単ロール法に比べ、大量の溶融金属を短時間で凝固させることができるので、作業時間を大幅に短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の製造方法に用いる急冷金属製造装置を示す断面側面図である。
【図2】従来の単ロール式急冷凝固装置を示す断面側面図である。
【符号の説明】
1 回転軸
2 回転駆動装置
3 回転冷却板
4 溶融金属
4a 溶融金属
4b 急冷金属
5 タンディッシュ
Claims (2)
- 縦方向に沿った回転軸とともに回転し、回転方向側に縦方向に沿った冷却面を有する回転冷却板の上方から、前記冷却面が回転している領域に溶湯を落下させ、該溶湯を冷却面に接触させて前記冷却面上で引き延ばして急冷・凝固させ、凝固した該急冷金属を冷却面での遠心力によって脱落させてフレーク状にした急冷金属を製造することを特徴とする急冷金属の製造方法。
- 前記回転冷却板が羽状であることを特徴とする請求項1記載の急冷金属の製造方法。
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JP2001036789A JP4583623B2 (ja) | 2001-02-14 | 2001-02-14 | 急冷金属の製造方法および製造装置 |
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JP2001036789A JP4583623B2 (ja) | 2001-02-14 | 2001-02-14 | 急冷金属の製造方法および製造装置 |
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Family Applications (1)
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2001
- 2001-02-14 JP JP2001036789A patent/JP4583623B2/ja not_active Expired - Fee Related
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