JP4576726B2 - 金属板の圧延用ロールの探傷方法、装置、及び、これを用いた金属板の圧延操業方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属板の圧延用ロールの探傷方法、装置、及び、これを用いた金属板の圧延操業方法に係り、特に、鉄鋼の熱間圧延等の金属材料を生産する製造ラインに用いるのに好適で、ロール割損事故を防止することが可能な、金属板の圧延用ロールの探傷方法、装置、及び、これを用いた金属板の圧延操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄鋼の熱間圧延等の金属材料を生産する製造ライン(以下、単にラインと称する)では、被圧延材であるスラブやシートバーあるいは熱間圧延後の金属板を薄く延ばすのに、圧延用ロール(以下、単にロールと称する)を用いる。ロールには、板と接触して直接圧延するのに用いるワークロール、該ワークロールを支持するバックアップロール、ワークロールとバックアップロールの間に設けられる中間ロール、幅圧下を目的として使用されるエッジャーロール等がある。通常、これらのロールは、金属板を生産するラインに併設された別エリア(ロールショップと称する)に移送され、メンテナンスされる。
【0003】
ここで、ロールショップで行うメンテナンスとは、圧延で生じたロール表面の凹凸を除去し、所望のロール曲線(クラウンとも称する)を付するために行われる表面研削や、ロールの軸部分を圧延機で使用するために支持する軸受箱(チョックと称する)を取付けたり、解体する作業を指す。又、これらのロールは、熱間圧延を例にとれば、数十〜百数十本のスラブやシートバーを圧延する毎にメンテナンスされ、繰り返し使用される。従って、ロール表面の研削後に、ロール表面あるいはロール内に欠陥が残っているにも拘らず、該ロールが再度圧延に供され、該ロールの割損事故を誘発して、長時間ラインが停止する場合がある。これを回避する目的で、研削結果の良否を判定するために、欠陥を検出する探傷も実施されるのが通常である。欠陥は多くの場合、傷(きず)やクラック(割れ)であるが、非金属介在物も欠陥の一種である。これらのいずれが検出の対象であっても、それを検出することを探傷と当業者間では称している。
【0004】
さて、通常、この探傷は、図1に示す如く、研削用に設置された設備(例えばグラインダ)20にロール10を載置した状態で回転させ(回転支持機構は図1中で図示省略した)、上面から、探傷設備30のうちの、プローブ又は探傷器と呼ばれる探傷発信及び受信センサユニット36を、ロール表面に着座させ、ロール軸方向に該プローブ36を移動させることにより、ロール表面上を螺旋状に網羅するように行われる。
【0005】
この探傷設備でロール表面の欠陥を検出するものとしては、物体の表面を伝わる超音波を利用して、欠陥からの反射波を捉えて欠陥を検出する表面波プローブ、物体の表面に発生させた渦電流の変化を捉えて欠陥を検出する渦流探傷プローブ、欠陥による漏洩磁束変化を捉えて欠陥を検出する漏洩磁束探傷プローブ等の他、ロール内部の欠陥を検出するものとして、物体の内部を貫通して伝わる超音波の内部欠陥からの反射波を捉えて欠陥を検出する垂直波プローブ等がある。これらのプローブは、単独で、あるいは、2種類以上を組み合わせて用いられる。
以下、これらの欠陥を検出するプローブ(探傷発信及び受信センサユニット)を、単に探傷器と称する。
【0006】
この探傷器36は、ロールを探傷するにあたり、例えば表面波プローブによる探傷であれば、反射波によるエコー高さを電圧値に変換した信号で外部に出力するというように、探傷時の各々の検出方法で得られた探傷結果を、電圧等の信号で外部に出力する。
【0007】
探傷器36から出力される信号(以下、探傷データと称する)は、パソコン等の計算機に取り込まれ、探傷データと共に、探傷中に採取されたロール回転数やロールを円柱に見立てた場合の中心軸方向の位置(以下、ロールの軸方向位置と称する)を基にして、例えばロールの回転方向位置を縦軸、ロールの軸方向位置を横軸として、ロール探傷結果(以下、単に探傷結果と称する)として表示される。
【0008】
例えば、特開平5−142215に示される技術では、探傷結果は、概して探傷データに対してある閾値を設定し、探傷データが閾値以下であれば黒線を表示し、閾値を超えていれば黒線を表示しない等して、表示されている。
【0009】
ロールショップで作業するオペレータは、この探傷結果を目視で観察し、欠陥が無い、あるいは有ったとしても問題ないレベルであることを確認して、該ロールを再度圧延に供しても支障無しと判断する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来は、オペレータは過去の探傷結果と比較することなく、今回の探傷結果にのみ基づいてロール研削結果の良否を判断していたため、一度除去できたと判断されたロールの欠陥が、実は微小に残っており、そのままそのロールを1回または複数回の圧延に供するうちに、次第にその欠陥が探傷器で検出できるような十分な形状、大きさ、方向を有するようになった場合にも、その欠陥が偶発的なものであると判断して、過去の探傷結果との関連性を考えずに軽視してしまう恐れがある。
【0011】
例えば、過去の圧延中にロール表面に欠陥が発生し、オペレータが自分の判断でそれを除去するべく研削深さを深めにそのロールを研削したところ、その直後に実施した探傷では、欠陥が除去できたかのような探傷結果が得られる場合がある。これは、なぜかはよくわかっていないが、深めに研削すると、欠陥の大きさや形状、その欠陥が割れであれば、その方向、探傷器の性能や寸法、あるいは探傷器の軸方向移動速度やロール回転速度等の探傷時の条件、更には探傷器の劣化等、様々な条件の変動があっても、欠陥有りの探傷効果が得られにくくなる経験的事実にもとづいている。また、前記のプローブの種類によっては、ロール内部にある欠陥を見逃し、十分な形状、大きさ、方向を有していても有していないと判定してしまう場合も有り得る。このようなロールを圧延に供すると、割損事故につながる可能性が非常に大きい。
【0012】
又、今度は逆のケースの話をすると、欠陥があると判定されるのに十分な探傷結果が得られた場合、即ち、例えば超音波探傷の場合で言えば、反射エコーの電圧変換値が、閾値を超えるほどの大きさを有しているような場合でも、その欠陥は、周囲で動作する電気設備からの突発的な外来ノイズによるものであったり、該超音波探傷器の偶発的な動作不良によるものであったり、ロールが元々有するミクロ的な組織の変化によるものであったりと、ロールの割損事故等につながるような欠陥ではない、いわば、擬似欠陥である場合も多い。このような擬似欠陥はいろいろと工夫を施しても、本当の欠陥なのか判断し難い場合がある。擬似欠陥を本当の欠陥と誤検出する頻度が多くなると、オペレータは心理的に、誤検出の再発と思い込んでしまい、本当の欠陥があった場合でもこれを誤検出の再発と思い込み、その欠陥を見逃し、割損事故につながる場合がある。
【0013】
逆に、少しでも疑わしい結果が得られた場合に、それを除去すべく研削深さを深めに研削する、というやり方を日常的に繰り返す、という安全側の措置を常にとることにつながり、それが、ロール原単位の悪化につながってしまう。
【0014】
本発明は、以上に述べた従来の問題点を解消するべくなされたもので、圧延中のロール割損事故につながる危険性のある欠陥を的確に検出することを第1の課題とする。
【0015】
本発明は、又、ロール割損事故によるライン停止を防ぐことを第2の課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属板(金属帯を含む)の圧延用ロールの探傷に際して、金属板の圧延用ロールの全周面中、過去の研削後の最大欠陥検出位置と、今回の研削後の最大欠陥検出位置とを比較し、前記過去の研削後の最大欠陥検出位置と前記今回の研削後の最大欠陥検出位置とが所定範囲内に近接していることを以って、今回の研削後に過去の研削後の最大欠陥と同一部位に最大欠陥がある、と判定することにより、前記第1の課題を解決したものである。
【0017】
又、本発明は、金属板(金属帯を含む)の圧延用ロールの探傷装置において、圧延用ロールの表面や内部の欠陥を検出する探傷手段と、検出された欠陥の圧延用ロールの軸方向位置及び回転方向位置の検知手段と、探傷結果の記憶手段と、今回の研削後の最大欠陥検出位置を、過去の研削後の最大欠陥検出位置と対比させて表示する表示手段と、を備えることにより、同じく前記第1の課題を解決したものである。
【0018】
又、本発明は、金属板(金属帯を含む)の圧延用ロールを該金属板の圧延に供し、研削し、研削後に探傷し、再び圧延に供する、という使用を繰り返すにあたり、研削後の探傷の際に、予め保存しておいた過去の研削後の最大欠陥検出位置と、今回の研削後の最大欠陥検出位置とを比較し、前記過去の研削後の最大欠陥検出位置と前記今回の研削後の最大欠陥検出位置とが所定範囲内に近接していることを以って、今回の研削後に過去の研削後の最大欠陥と同一部位に最大欠陥があると判定し、該圧延用ロールの同一部位に最大欠陥がある場合に、次回の圧延に該圧延用ロールを供することの適否を判断するようにして、前記第2の課題を解決したものである。
【0019】
本発明によれば、ある圧延用ロールの今回の研削後すなわち最新の探傷結果における最大欠陥について評価(圧延に使用して支障ないか判断)する際に、過去の研削後の最大欠陥検出位置の履歴(過去に研削は複数回行われている場合が殆ど)との比較を行うようにしたので、過去の研削後の最大欠陥検出位置と同じ部位(例えばロール軸方向位置、回転方向位置の両データが所定誤差内であることで判定)に今回の研削後の最大欠陥が発見された場合、そのロールの圧延への供用を停止したり、あるいは、欠陥が軽微であるので、圧延に供用する、という判断が可能となる。この判断は、オペレータが、探傷結果の表示、あるいは、そのハードコピー、あるいは今回の記録を過去の記録と比較することで行うことができる。
【0020】
探傷結果の表示は、探傷器の信号をリアルタイムに後述の実施の形態に登場するような表示装置に表示するのがよいが、それには次に述べる最大欠陥情報の表示という方法を用いているので、その判断が容易にできる。
【0021】
以下、超音波探傷の場合を例にとり、説明する。
【0022】
これは、探傷結果の全データ(即ち、回転方向の0〜360°×ロール軸方向のロール胴長分長さの全データ)で比較するのではなく、ロール全周面の探傷結果から得られた最大の欠陥による反射エコーの電圧変換値が、ロール全表面上のどこにあったかを示す情報の比較で行う、というものである。これは、通常の操業においては、(1)圧延により発生した割れ等の欠陥が存在する場合は、その箇所において、比較的高出力の探傷データが得られること、(2)突発的なノイズ等による擬似欠陥の信号は、複数回の探傷において、ロール表面上の同一部位に再度現われることは稀であること、という2つの特性に鑑みて考えられたもので、最新の探傷結果における最大欠陥情報と、過去の探傷結果における最大欠陥情報の比較を行えば、割れ等の欠陥の研削残りである場合には、ロール上の同じ部位に再度現れる可能性が高く、該同じ部位に再度現れた欠陥は、擬似欠陥ではない本当の欠陥である、という欠陥データとしての信頼性が高いものとなる。そのため、過去の探傷結果の履歴の中に、最新結果の最大欠陥情報と近いロール部位に最大欠陥情報を持つものがあることが分かれば、それは、最新の探傷結果が、過去の研削で欠陥を除去し切れなかったものが再度検出されたことを示していることになり、その情報を基に、オペレータは、そのロールを圧延に供するのに問題があるかないか判断することができるようになる。更に、そのような結果が得られたことを自動的に判定し、その旨を例えば後述する実施の形態に登場するような表示装置を用いて表示するようにして、オペレータの注意を喚起するようにすれば、オペレータの作業負荷を低減した上で、ロールの割損事故のより確実な防止へとつながる。
【0023】
又、最大欠陥情報は、欠陥が明らかに認識できるレベルであったかどうかに拘らず算出し、自動的に記録するようにしておくのがよい。又、探傷結果としては、本発明にかかる装置の使用開始後しばらくは、周囲と比べてわずかでも出力が大きいところが得られれば表示して、オペレータに情報として与えるようにするため、該出力を欠陥と判定する閾値を低くしておき、欠陥を除去する研削を行った後にそのロールを圧延に供し、結果は問題なかった(割損事故が起こらなかった)という日常操業を繰り返すうちに経験的にその閾値を次第に高くしていき、過研削を防止するようにして、ロール原単位を改善していく、といった具合にしてもよい。このように欠陥かどうかを判定するための閾値を、長期的に調整していけば、欠陥の誤検出の防止とロール原単位の改善を両立できるという効果を得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0025】
本発明が適用されるグラインダと探傷設備及び探傷器の配置を図1に示す。図1において、10は、例えば矢印A方向に回転しながら探傷されるロール、20は、砥石22が固定された往復台24をベース26に対して矢印Bに示すロール軸方向に移動させながらロール10を研削するためのグラインダ、30は、例えば前記往復台24に固定されたアーム駆動機構32により、旋回及び上下動可能とされたアーム34に取付けられ、前記ロール10の表面に対して矢印Cに示す如く昇降可能とされた探傷器36を有する探傷設備である。なお、ロール10の回転機構は図示を省略している。
【0026】
前記探傷器36としては、既に説明したように、超音波探傷器、渦流探傷器、あるいは漏洩磁束探傷器のいずれか、又は、その任意の組合せを用いることができる。
【0027】
ここで、グラインダ20でのロール回転機構や軸方向移動機構、及び、それらの構造、探傷器36の種類、及び、その原理等、各々の詳細は、如何なる形式のものであっても、本発明の実施を何ら妨げるものではないため、説明は省略する。
【0028】
本発明の第1実施形態における探傷の手順を図2に示す。手順は図2の通りであるが、ステップ54の探傷が本発明と関係がある。
【0029】
本実施形態は、オペレータの判断による場合である。オペレータはステップ54において、前記探傷設備30により得られた探傷結果を図示しない付属のプリンタによりそのハードコピーをプリントアウトする等して、ロール固有の情報(例えばロール単位に付されたロール番号)をキーデータとして、ロール単位に研削を実施する度毎に時系列的に探傷結果をファイリングして、最新の探傷結果において欠陥らしきものが発見されれば、ファイルから過去の探傷結果の履歴を調べ、目視で比較する等して、過去の欠陥残りか、突発的なノイズによる誤検出であるかを判断し、そのロールの圧延使用の適否を判断する。
【0030】
次に本発明の第2実施形態を詳細に説明する。
【0031】
本実施形態の制御系の構成を図3に示す。
【0032】
本実施形態は、図1に示したと同様のグラインダ20及び探傷設備30に対して、更に、グラインダ20を制御すると共に、ロール10の回転情報や軸方向移動情報、並びに、探傷中である等の情報を出力するグラインダ制御装置40と、探傷器36の探傷に関する信号の閾値の設定を行うと共に、探傷データを探傷器36から受信して外部に出力する探傷器制御装置42と、探傷結果を取り込んで、探傷結果の表示、データベースへの保存、探傷結果の履歴一覧表示、最大欠陥情報編集、最大欠陥情報比較、該比較で用いる近接度合いの所定範囲の設定等を行うパソコン44と、該パソコン44の画面表示結果等をプリントアウトするプリンタ46を備えている。ここで、パソコン44内部のメモリや、データベースを有するハードディスク等の内部部品とその構造等、各々の詳細は、如何なる形式のものであっても、本発明の実施を何ら妨げるものではないため、説明は省略する。
【0033】
本実施形態における、探傷結果が得られた後の、最大欠陥情報の作成、過去との比較、及び、その比較結果の表示までの処理は、図4に示すような手順に従って行われる。
【0034】
即ち、ステップ100で、最新の探傷結果の取得が完了すると、ステップ102で、その中の最大欠陥情報を作成し、ステップ104で、ロールのキーデータと共に、探傷結果と最大欠陥情報をデータベース(DB)に格納し、ステップ106で、図5に示すような探傷履歴一覧を、例えばパソコン44のディスプレイに表示する。
【0035】
次いでステップ108に進み、キーデータを元に、同じロールについて、最新の探傷結果における最大欠陥情報(最新結果)と過去の探傷結果における最大欠陥情報(過去の履歴)で、その回転方向位置Sに関して、過去の履歴Sxと最新結果S0の差の絶対値が所定の閾値Sk以下であり、且つ、軸方向位置Zについても、過去の履歴Zxと最新結果Z0の差の絶対値が所定の閾値Zk以下であるものがあるか否かを判定する。判定結果が正である場合には、ステップ110に進み、最新の最大欠陥情報と近い範囲に最大欠陥情報がある旨を表示する。
【0036】
ステップ110終了後、あるいはステップ108の判定結果が否である場合には、ステップ112に進み、過去の履歴の全数との比較を終了したか否かを判定する。判定結果が否である場合にはステップ108に戻る。
【0037】
ステップ112の判定結果が正である場合に、ステップ114に進み、ステップ108の条件成立件数が1以上あれば、圧延に使用するには注意が必要である旨を表示する。
【0038】
本実施形態における探傷結果履歴一覧の表示例を図5に、該探傷結果履歴一覧のNo.1のデータの表示例を図6の上段に、No.2のデータの表示例を図6の下段に示す。探傷データは、探傷器36より、フルスケール0−10Vで得られたものである。
【0039】
図5において、軸方向位置を示すZ軸の数値(mm)、回転方向位置θを示す数値(度)、アナログ最大出力値を示す電圧(V)の数値は、最大欠陥情報のものであり、コメントの「近接あり」は、最新結果と比較して近い範囲内にあることを示す。
【0040】
ここで、軸方向±20mm、回転方向位置±15°で近い範囲にあるか否かで判定した。
【0041】
又、図6では、横軸を軸方向位置(mm)、縦軸を回転方向位置(度)とし、表示例として、特願平10−128913で提案した方法により表示したものを示している。
【0042】
図5は、最新の探傷結果における最大欠陥情報と比較して、過去の探傷結果における最大欠陥情報の履歴の中には、位置的に近接しているものがあることを示している。更に、そのロールの使用は割損につながる危険があることを示している。この結果、このロールは、そのまま圧延に使用されることなく、再度検査等の処置を経て(例えば探傷結果履歴一覧に加工履歴に近い単位に最大欠陥情報を有するものがなくなるまで研削することで)、圧延中の割損事故を防ぐことができる。
【0043】
なお、前記実施形態においては、過去の探傷結果の履歴中に最新結果と比較して、最大欠陥情報の位置が近接しているものが存在すること、及び、そのまま圧延に使用することは危険である旨の表示の一例を示したが、近接しているものが存在する旨を示す表示方法や、表示の有無の判断条件、又、危険である旨の表示方法や、その表示の判断条件は、これに限るものではなく、使用されるロールの種類や状況に応じて、適宜変更できることは明らかである。
【0044】
又、本発明の適用対象は、熱間圧延に限らず、探傷を実施してから生産ラインに供給している繰り返し使用する圧延用ロール全ての探傷において、同様に適用可能である。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、今回の研削後の最大欠陥検出位置と過去の研削後の最大欠陥検出位置とを比較することで、ロール割損事故を防止することができる。従って、研削しては繰り返し使用する圧延用ロールの圧延ラインへの安定的な供給を行うことができ、操業の稼働率を高位に維持することができる。更に、ロール割損事故が無ければ、ロールを不要に廃却することもなく、ロール原単位の悪化を防止することができると共に、割損事故による生産ラインの圧延能率低下も防ぐことができる。又、過研削を抑制でき、ロール原単位の悪化防止にもつながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるグラインダ、探傷設備及び探傷器の配置を示す斜視図
【図2】本発明の第1実施形態における探傷の手順を示す流れ図
【図3】本発明の第2実施形態の制御系の構成を示すブロック図
【図4】同じく、探傷結果が得られた後の処理手順を示す流れ図
【図5】同じく、探傷結果履歴一覧の表示例を示す線図
【図6】同じく、探傷結果の表示例を示す線図
【符号の説明】
10…ロール
20…グラインダ
22…砥石
30…探傷設備
36…探傷器(プローブ)
40…グラインダ制御装置
42…探傷器制御装置
44…パソコン
46…プリンタ
Claims (3)
- 金属板の圧延用ロールの全周面中、過去の研削後の最大欠陥検出位置と、今回の研削後の最大欠陥検出位置とを比較し、前記過去の研削後の最大欠陥検出位置と前記今回の研削後の最大欠陥検出位置とが所定範囲内に近接していることを以って、今回の研削後に過去の研削後の最大欠陥と同一部位に最大欠陥がある、と判定することを特徴とする、金属板の圧延用ロールの探傷方法。
- 圧延用ロールの表面や内部の欠陥を検出する探傷手段と、
検出された欠陥の圧延用ロールの軸方向位置及び回転方向位置の検知手段と、
探傷結果の記憶手段と、
今回の研削後の最大欠陥検出位置を、過去の研削後の最大欠陥検出位置と対比させて表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする金属板の圧延用ロールの探傷装置。 - 金属板の圧延用ロールを該金属板の圧延に供し、研削し、研削後に探傷し、再び圧延に供する、という使用を繰り返すにあたり、
研削後の探傷の際に、予め保存しておいた過去の研削後の最大欠陥検出位置と、今回の研削後の最大欠陥検出位置とを比較し、
前記過去の研削後の最大欠陥検出位置と前記今回の研削後の最大欠陥検出位置とが所定範囲内に近接していることを以って、今回の研削後に過去の研削後の最大欠陥と同一部位に最大欠陥があると判定し、
該圧延用ロールの同一部位に最大欠陥がある場合に、次回の圧延に該圧延用ロールを供することの適否を判断することを特徴とする、金属板の圧延操業方法。
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