以下、本発明をパチンコ機に適用した一実施形態について、各対応図面を参照しながら説明する。
(1.パチンコ機の概要)
図1および図2は、一実施形態となるパチンコ機1の構成を具体的に示している。パチンコ機1は枠体および遊技盤4から構成され、枠体には外枠2をはじめ本体枠3、前面枠5等が含まれている。このうち外枠2は、上下左右の枠材を矩形に組み合わせて構成されており、その前側下部には、本体枠3の下面を受けるための下受板6が備えられている。外枠2の一側縁部(この例では左側縁部)には、ヒンジ機構7を介して本体枠3の一側端部(この例では左側端部)が装着されており、図示のように本体枠3は外枠2の手前側にて開閉可能となっている。この本体枠3は、前枠体8と遊技盤装着枠9、機構装着枠10を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。このうち前枠体8は、本体枠3の前面側に位置して形成されており、その外形は、下受板6を除く外枠2の外郭形状に合致する大きさを有している。
遊技盤装着枠9は前枠体8の後部に一体的に形成されており、この遊技盤装着枠9には遊技盤4が前方から嵌め込むようにして装着されている。ここでは図示されていないが、遊技盤4もまたヒンジ機構を介して本体枠3より前面側へ開閉可能となっており、この開閉動作に伴って遊技盤4は本体枠3に対して着脱可能となっている。
遊技盤4の盤面(前面)には、環状に成形された案内レール11が配設されており、この案内レール11は外レールと内レールとから構成されている。そして遊技盤4の盤面には、案内レール11の内側にほぼ円形状の遊技領域12が区画して形成されている。なお、遊技領域12内の構成(盤面構成)については後述する。
図2に示されているように、前枠体8の下部で左寄りの位置には低音用スピーカ14が設けられており、この低音用スピーカ14は装着板13を介して前枠体8に装着されている。また、前枠体8の下部で中央から右寄りの位置には発射レール15が設けられており、この発射レール15は遊技盤4の発射通路に向けて遊技球を導く役割を果たしている。そして前枠体8には、発射レール15や低音用スピーカ14よりも下方の位置に下前面部材16が装着されている。この下前面部材16のほぼ中央位置に下皿17が形成されており、さらにその右寄り位置に発射ハンドル18が設けられている。
図2に一部が示されているように、本体枠3(前枠体8)の裏面側には、ちょうどヒンジ機構7と反対側に位置して施錠装置19が装着されている。この施錠装置19は、外枠2に対して本体枠3全体を施錠したり、あるいは、本体枠3に対して前面枠5を施錠したりする機能を備えている。施錠装置19は2種類の枠施錠ラッチ21および扉施錠ラッチ23を有しており、このうち一方の枠施錠ラッチ21は外枠2の閉止具20に対応している。例えば、図2に示されている状態から本体枠3を外枠2に対して押し込むと、上下で2つの枠施錠ラッチ21がそれぞれ対応する閉止具20に係合し、これにより本体枠3が外枠2に施錠した状態で固定される。
もう一方の扉施錠ラッチ34は、前面枠5の後面に設けられた閉止具22に対応しており、例えば図2に示されている状態から前面枠5を本体枠3に対して押し込むと、上下で3つの扉施錠ラッチ34がそれぞれ対応する閉止具22に係合し、これにより前面枠5が本体枠3に施錠した状態で固定される。
施錠装置19はまたシリンダー錠24を有しており、本体枠3および前面枠5が閉止された状態で、例えばホールの管理者・従業員等がシリンダー錠24の鍵穴に所定の鍵を挿入して一方向に回すと、枠施錠ラッチ21と外枠2の閉止具20との係合が解除されて本体枠3が解錠される。また、これとは逆方向に鍵を回すと、扉施錠ラッチ23と前面枠5の閉止具22との係合が解除されて前面枠5が解錠されるようになっている。なお、シリンダー錠24の前端部は、パチンコ機1の前方から鍵を挿入して解錠操作が行えるように、前枠体8および下前面部材16を貫通して下前面部材16の前面に露出するようにして配置されている。
前面枠5はガラス枠やガラス扉とも称され、この前面枠5はヒンジ機構25を介して本体枠3の前面側に開閉可能に装着されている。前面枠5は、その裏側に扉本体フレーム26を有するほか、前側にサイド装飾装置27や上皿28、音響電飾装置29を備えている。扉本体フレーム26は、プレス加工された金属製フレーム部材によって構成されており、この扉本体フレーム26は前枠体8の上端から下前面部材16の上縁に亘る部分を覆う大きさに形成されている。前面枠5を閉止すると、遊技盤4を含む前枠体8の前面側が前面枠5によって覆われることとなるが、扉本体フレーム26の中央にはほぼ円形の開口窓30が形成されており、この開口窓30を通じて遊技盤4の遊技領域12を前方から視認することができる。また、扉本体フレーム26の後側には、開口窓30よりも大きい矩形枠状をなす窓枠31が設けられており、この窓枠31には透明なガラス板32が前後に2重をなして装着されている。
図1に示されているように、前面枠5には開口窓30の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置27が配設されているほか、その下部に上皿28が配設されており、さらには上部に音響電飾装置29が配設されている。これらサイド装飾装置27や音響電飾装置29、上皿28等は全体として前面枠5の外形を構成するべく一体をなし、相互に外観上の一体感を想起させるデザインが施されている。
このうちサイド装飾装置27は、ランプ基板を内蔵したサイド装飾体33を主体として構成されており、サイド装飾体33はちょうど開口窓30の左右で一対をなしている。サイド装飾体33には、横方向に長いスリット状の開口孔(参照符号なし)が上下方向に複数配列されており、個々の開口孔には、ランプ基板に配置された光源(例えばLED)に対応するレンズ34が組み込まれている。
また音響電飾装置29は、透明カバー体35やスピーカ36、スピーカカバー37、リフレクタ体(図示しない)等を備えており、これらの構成部材が相互に組み付けられた状態でユニット化されている。
(2.盤面構成)
図3は、上記の遊技盤4を単独で示している。図3に示されているように、遊技領域12内には多数の障害釘(参照符号なし)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に風車40が設けられている。遊技領域12のほぼ中央位置には、ひときわ大きく目を引くセンター役物42が配設されており、このセンター役物42のデザインによってパチンコ機1の機種やゲームコンセプト等が特徴付けられている。
センター役物42は全体として額縁状の装飾体から構成されており、その上縁部には競走馬の頭部をデザインしたキャラクタ体42aが一体的に取り付けられている。さらに、キャラクタ体42aの左右には競走馬の前足をデザインした装飾体42b,42cが配設されており、このうち右側の装飾体42cは可動役物として機能することができる。
センター役物42の左右側縁部には、アルファベット文字をデザインした装飾が施されており、ここではアルファベット文字が図示しない装飾ランプ(LED)によって発光するものとなっている。また、センター役物42の上縁部または左右側縁部には、図示しないワープ入口とともにワープ通路が形成されており、遊技盤面に沿って流下する遊技球がワープ入口に入り込むと、ワープ通路を通じてセンター役物42の内側に取り込まれる。
センター役物42の内側には、その下縁部に球受け棚42dが形成されており、この球受け棚42dは前後方向に一定の奥行きを有している。ワープ通路を通って取り込まれた遊技球はセンター役物42の内側へ放出され、球受け棚42dに誘導される。球受け棚42dはその上面にて遊技球を転動させ、その動きにいろいろな変化を与えて遊技に面白みを付加することができる。あるいは、球受け棚42dには可動体(図示されていない)が配設されており、この可動体によって遊技球の動きに変化を与えることもできる。
また、センター役物42の下縁部には、その中央位置に球誘導路42eが形成されており、この球誘導路42eへの入口(図示されていない)は球受け棚42dの上面に形成されている。球受け棚42dから球誘導路42eの入口に落下した遊技球は、そのまま球誘導路42eを通じて下方に案内される。
一方、球誘導路42eの出口は正面に向けて開口しており、この出口から放出された遊技球は、ほぼ真下に向かって落下する。遊技領域12には、球誘導路42eの直ぐ下方位置に入球装置44が配置されており、この入球装置44に遊技球が入球すると始動入賞となる。したがって、球誘導路42eから放出された遊技球は、相当高い確率で始動入賞することができるものとなっている。入球装置44は左右一対の可動片44aを有しており、これら可動片44aを左右に拡開させて入球確率を高くすることができる。
また遊技領域12には、上記の入球装置44のさらに下方位置にアタッカ装置46が配設されており、このアタッカ装置46は開閉部材46aを前後方向に開閉動作させて大入賞口を開閉することができる。
その他、遊技領域12には始動ゲート口や一般入賞口等(参照符号なし)が配設されている。また、センター役物42の内側には液晶表示装置51が配設されており、この液晶表示装置51では、例えば映像による演出表示が行われる。
(3.特別図柄表示装置)
本実施形態では、センター役物42の上縁部のうち、上記のキャラクタ体42aの左側に4つの多色LED52が配列されており、これらLED52の配列が特別図柄表示装置として機能することができる。また、キャラクタ体42aの右側にある4つのLED54の配列は、始動保留ランプ(保留4個まで)となっている。
本実施形態において、特別図柄表示装置の機能はLED52の点灯・消灯によって実現することができる。例えば、始動入賞を契機として4つのLED52をいろいろなパターンで点滅させることにより、特別図柄の変動状態を表示することができる。そして、一定の変動時間が終了すると、4つのLED52の点灯・消灯表示パターンによって特別図柄の確定した停止状態を表示することができる。これにより、抽選が行われると、その結果情報がLED52の点灯・消灯によって表示される(抽選情報表示手段)。またLED52の点灯・消灯による特別図柄の変動表示および停止表示の制御は、後述の主制御基板により行われる(表示制御手段)。
具体的には、個々のLED52には2色(例えば赤色・緑色)ずつの点灯色が用意されており、これにより各LED52は「消灯」、「点灯色1で点灯」、「点灯色2で点灯」の3通りに点灯・消灯表示パターンを切り替えることができる。したがって、4つのLED52を配列した場合の点灯・消灯表示パターンは、全部で81通り(34=81)のものを用意することができる。なお、ここでは説明の便宜のために2色だけとしているが、LED52の点灯色は3色以上(7色程度が好ましい)であってもよい。また、LED52の配置は1箇所にまとまっている必要はなく、ばらばらに配置されていてもよいし、特に盤面上に配置されている必要もない。あるいは、特別図柄を5つ以上のLEDによって表示してもよいし、7セグメントLEDを用いて表示してもよい。
図4は、全81通りの点灯・消灯表示パターンを一覧表にして示している。図4の表中、シンボル「○」はLED52の「消灯」を表し、シンボル「◎」は「点灯色1で点灯」を表し、そして、シンボル「●」は「点灯色2で点灯」を表している。このため例えば、パターン番号0では全てのLED52が「消灯」している状態であるが、パターン番号1では右端に位置する1個のLED52が「点灯色1で点灯」しており、その他の3つは「消灯」している状態であることが理解される。
一方で、本実施形態のパチンコ機1では、遊技者に利益が付与される態様として4つの当り態様が用意されており、これらは(1)「通常(非確変)大当り」、(2)「確変大当り」、(3)「短開放確変当り」、(4)「短開放当り」の4つに区別される。一例として、図4の表中、パターン番号15,30,41,46,47,48,49,54,59,73,76,79は「確変大当り」に対応する表示パターン(停止時の表示目)であり、これら表示パターンで特別図柄が停止表示されると遊技者に「確変大当り」の利益(高付加価値利益)が付与される。
以下同様に、パターン番号35,53は「短開放確変当り」に対応し、パターン番号40(35),61(53),50,56,69,75は「短開放当り」に対応し、パターン番号63(73),70(54)は「通常(非確変)大当り」に対応している。なお、パターン番号が括弧付きで標記されているのは、「短開放確変当り」と「短開放当り」とで酷似した表示パターンが設けられていることを意味する。例えば、パターン番号40と35とは互いに点灯・消灯表示の組み合わせが酷似しており、これらの表示態様からは一見して表示パターンの区別が付きにくくなっている。ここでは同様にパターン番号61と53とが酷似している。
また、「通常(非確変)大当り」に対応するパターン番号63,70と「確変大当り」に対応するパターン番号73,54とがそれぞれ酷似しており、これらの表示態様からは一見して表示パターンの区別が付きにくくなっている。
以上のように図4に示されている表示パターンは、特別図柄表示装置60の確定停止時おける図柄表示態様(表示目)を表したものであるが、この図4から見てわかるとおり、本実施形態のパチンコ機1では、基本的に特別図柄表示装置60の図柄表示態様からは抽選結果やその後の内部状態が容易には判別できない仕様となっている。すなわち、本実施形態では特別図柄について多種多様の表示パターンや、複数の当選種類の間で酷似した表示パターンを用意することにより、遊技者にとって特別図柄の表示態様から抽選結果を読み取るよりも、その他の液晶表示装置51による演出表示や、アタッカ装置46等の挙動から抽選結果や内部状態を推測可能とする点に重点が置かれている。
したがって、遊技中に「通常(非確変)大当り」または「確変大当り」に当選して大当りになったとしても、果たしてどちらに当選したのかが遊技者には明確に知らされず、内部的に秘匿されたままとなる。あるいは、「確変大当り」または「通常大当り」に当選したとしても、いずれに当選したかは演出上も遊技者に明確に報知されない。さらに、「確変大当り」や「短開放確変当り」によって抽選確率が高く変更された場合であっても、例えば「確変中」等の文字情報によって内部状態が明確に報知されることはない。また、内部状態が通常状態(低確率時)であるか、確変状態(高確率時)であるかによって特別図柄の変動表示の態様(変動時間等)に特段の違いが設けられていないため、特別図柄の変動表示を見ても遊技者が「確変中」であることを判別できない。このため遊技者は、基本的に当選結果の種類や、内部確率状態についての明確な情報を提供されないまま遊技を行うことになる。
ただし、例えば図4中のパターン番号15,30のように、4つのLED52が全点灯した場合は見た目上の判断がしやすいため、本実施形態ではこれらの点灯パターンを「確変大当り」に対応するものとして割り当てている(いわゆる「鉄板パターン」)。これにより、遊技者が特別図柄表示装置60の停止時の表示パターン(表示目)によって明らかに当選種類を読みとれる可能性を残している。
その他、センター役物42の下縁部には、球誘導路42eの左右に2つずつのLED53,55が配列されており、このうち左側にある2つのLED55は例えば普通図柄表示装置として機能することができ、右側にある2つのLED53は遊技様態表示装置として機能することができる。
2つのLED55が普通図柄表示装置として機能する場合、通常遊技中にゲート口の通過があると、これを契機にLED55が点滅して変動表示を開始し、一定時間後に停止表示となる。このときの点灯パターンによって普通図柄抽選による当落が決定される。
一方、2つのLED53が遊技様態表示装置として機能する場合、例えば2つのLED55が高輝度で点灯することにより遊技様態が「確率変動中」であることを明示することが可能となっている。ただし、本実施形態のパチンコ機1では、通常は内部的な遊技様態を内部に秘匿し、これを外部に向けて開示することはしないので、この機能は特定の用途(例えばホール開店時の遊技様態確認)だけに用いられる。
(4.当りの態様)
次に、各当り態様の詳細は以下の通りである。
(1)「通常(非確変)大当り」は、例えば最大30秒間にわたってアタッカ装置46を一定パターンで開閉させるラウンド動作を10ラウンドまで繰り返すものであり、このようなラウンド動作の繰り返しは「大当り遊技」と称されている。遊技者は、大当り遊技の間に遊技球を大入賞口に入賞させることで、多くの賞球を獲得することができる(基礎的な利益)。なお、各ラウンド動作は30秒間が経過するか、10個の入賞球がカウントされるかのいずれかの条件を満たすと終了する。また大当り遊技は、ラウンド動作が10回終わると終了となる。
(2)「確変大当り」は、上記(1)と同様の大当り遊技を可能とするものであるが、大当り遊技の終了後、次回大当りの抽選確率を通常時よりも高く設定(例えば、通常の大当り確率が320分の1のところ、5倍の64分の1に変更)する特典が付加される(高付加価値利益)。このため遊技者が確変大当りを引き当てると、次の大当り確率が高くなって大当りを連続的に引き当てる(いわゆる連荘)ことが可能となる。
(3)「短開放確変当り」は、例えば0.3秒間だけ大入賞口を開放するラウンド動作を2回行うものであり、ラウンド間のインターバルは2秒となっている。この短開放確変当りは、アタッカ装置46が比較的短い時間(0.3秒間)、2回だけ開放されて終了となる。この間に大入賞口に入賞すると、規定数(例えば15個)の賞球払い出しが得られるが、大当り遊技のようにまとまって多くの入賞機会が与えられるわけではない(低付加価値利益)。ただし、遊技者が短開放確変当りを引き当てると、次の大当り抽選確率が高く設定(64分の1)される特典があるので、確変大当りの場合と同様に大当り遊技の連続性に期待できることとなる。
(4)「短開放当り」は、アタッカ装置46の作動こそ「短開放確変当り」と同じ態様であるが、大当り抽選確率の変動特典は付加されない。すなわち、短開放当りになると、アタッカ装置46が比較的短い時間(0.3秒間)、2回だけ開放されるだけで終了となる(小価値利益)。ただし、この間に大入賞口に入賞すると規定数(例えば15個)の賞球払い出しが得られる。
なお、以上の(1)〜(4)でいう具体的な数値は、本発明の実施において最良のものである。その上で、これら数値については各種の変更が可能であり、最良の数値によって限定されることはない。
遊技中の抽選によって上記(1)〜(4)の各当り態様に当選する確率は例えば以下の表1で表される。
(5.維持抽選)
本実施形態では、上記(2)の「確変大当り」、または(3)の「短開放確変当り」によって確率変動状態(高確率状態)になると、毎回の始動入賞を契機として確率変動状態の維持抽選(転落抽選)が行われるものとなっている。維持抽選は一定確率(例えば640分の1)で行われ、この維持抽選で落選すると、内部的に高確率状態から低確率状態(通常確率)へ引き戻される処理が行われる。
(6.制御構成)
図5は、パチンコ機1の動作を制御するための制御構成を概略的に示している。パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板のグループと周辺基板のグループとで分担されており、このうち主基板のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。この他にも、パチンコ機1には電源基板や発射制御基板、インタフェース基板等が装備されているが、いずれも公知のものを適用できるため、ここでは図示とともに詳細な説明を省略する。
(6−1.主基板)
主基板は、主制御基板56と払出制御基板58とからなり、このうち主制御基板56は遊技盤4の裏面側に配設されている。もう一方の払出制御基板58は、賞球装置とともに本体枠3の裏面側に配設されている。主制御基板56および払出制御基板58は、それぞれCPU56c,58cをはじめとして、これらに内蔵のRAM56d,58dやROM56e,58e等の電子部品を装備しており、これら電子部品によって各種の遊技制御プログラムを実行する。主制御基板56と払出制御基板58との間では、それぞれの入出力インタフェース56a,58aを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板56が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板58から主制御基板56にACK信号が返される。
主制御基板56には、遊技盤4に設けられている特別図柄表示装置60(LED52)や普通図柄表示装置65(LED55)、遊技様態表示装置63(LED53)等が接続されているほか、入球装置44、アタッカ装置46等を駆動するソレノイド62や入賞球を検出する入賞スイッチ64、始動保留ランプ(図5に示さず)等が接続されている。
一方の払出制御基板58には、払出装置を駆動する払出モータ66が接続されているほか、これに付随してモータインデックスセンサや賞球カウントスイッチ等(いずれも図示されていない)が接続されている。
(6−2.周辺基板)
周辺基板には、サブ統合基板68のほかに例えば複数の電飾制御基板70,72や波形制御基板74等が含まれる。上記の主制御基板56とサブ統合基板68との間では、それぞれの入出力インタフェース56aと入力インタフェース68aとの間で一方向だけの通信が行われており、例えば主制御基板56からサブ統合基板68へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。
サブ統合基板68もまた、CPU68cをはじめ内蔵のRAM68dやROM68e等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。また、その他の電飾制御基板70,72や波形制御基板74もまた、それぞれ図中に適宜符号を付したCPU(RAM・ROM内蔵)を有している。サブ統合基板68とその他の電飾制御基板70,72や波形制御基板74との間では、それぞれの入出力インタフェース68b,70a,72a,74aとの間で双方向に通信が行われる。例えば、1つ目の電飾制御基板70には主に装飾用のランプ(LED)76が接続されており、サブ統合基板68から電飾制御基板70に対してランプ76の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板70がランプ76を点灯させる処理を行う。あるいは、2つ目の電飾制御基板72には液晶表示装置51とともに装飾用のランプ78が接続されており、サブ統合基板68から液晶表示装置51に対する表示コマンドが電飾制御基板72に送信されると、これを受けて電飾制御基板72は実際に液晶表示装置51を作動させる処理を行う。またこれ以外にも、例えばドラムやキャラクタ体等の可動体によって演出動作を行う役物が盤面上に設けられている場合、これらを駆動するモータ、ソレノイド等の負荷が電飾制御基板70,72等に接続される。
波形制御基板74は、音響出力としての可聴音波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成・送受信する処理を実行している。例えば、サブ統合基板68から音響出力コマンドが波形制御基板74に送信されると、これを受けて波形制御基板74は上記のスピーカ14,36を駆動する処理を行う。このほかにも、波形制御基板74には超音波送受装置80が接続されており、この超音波送受装置80は、複数の台間で超音波による通信を可能とする。通常、ホールの島設備には複数台のパチンコ機1が並べて設置されるが、超音波送受装置80を装備しているパチンコ機1同士の間では、相互に超音波通信が可能となる。この通信機能を用いて、複数のパチンコ機1で演出動作をシンクロナイズさせたり、特定の台間で遊技情報の交換を行ったりすることができる。
(7.制御処理の例)
次に、主制御基板56(CPU)で実行される制御処理の例について説明する。
(7−1.始動入賞処理)
先ず図6は、始動入賞処理のルーチンを示している。この始動入賞処理では、遊技中に始動入賞が有るか否かが判断される(ステップS101)。具体的には、上記の入球装置44に対応する入賞スイッチ64(始動口スイッチ)から検出信号が入力されると、始動入賞有りと判断され(YES)、特に検出信号の入力がなければ、始動入賞は無いものと判断される(NO)。
始動入賞が有りと判断された場合(ステップS101=YES)、次に始動保留数が最大の4より少ないか否かが判断される(ステップS102)。このとき既に始動保留数が4に達していれば(NO)、そのまま始動入賞処理のルーチンがリターンされる。一方、始動保留数が4より少なければ(YES)、次に保留格納処理が行われる(ステップS103)。この保留格納処理では、例えばRAM内に確保されている保留数カウンタに「1」が加算され、合わせて始動保留ランプ54の点灯個数が1つ増加される。
また保留格納処理では、合わせて乱数値の取得が行われる。本実施形態においては、大当りの当否判定や特別図柄の変動・停止パターンの決定に使用される乱数の他に、内部遊技様態の維持、降格または転落(高確率遊技様態から低確率遊技様態への変更・降格・転落)を判断するために専用の乱数が使用されている。
したがって、保留格納処理(ステップS203)で取得される乱数値には、例えば当り判定用乱数(当り判定用乱数値)、当り図柄用乱数(当り種類判定用乱数値)、可変変動用乱数(可変変動カウンタ)等だけでなく、この他に維持または転落抽選専用乱数がある。このうち当り判定用乱数は、抽選結果が当選であるか否かを決定するためのものであり、また当り図柄用乱数は、上記の「通常大当り」であるか、「確変大当り」であるか、「短開放確変当り」であるか、それとも「短開放当り」であるかを判別するための乱数である。なお、本実施形態では「通常大当り」、「確変大当り」、「短開放確変当り」および「短開放当り」の判別について共通の乱数(0〜65535)を用いているが、内部的な条件装置の作動に関係しない「短開放当り」の抽選については、別途専用の乱数を用いるようにしてもよい。
また当り図柄用乱数は、当り判定用乱数によって当りと判別された場合に使用されるものであり、具体的には、特別図柄表示装置60によって停止表示される表示パターン(図4中にある当り表示のパターン番号)を特定するための乱数である。そして可変変動用乱数(可変変動カウンタ)は、例えば外れ変動時に特別図柄表示装置60による図柄の変動時間を可変させるための乱数である。
そして、維持または転落抽選専用乱数は、内部的に確率変動状態(高確率遊技様態)に変更されている場合に、その確率変動状態を維持するべきか否か、あるいは、高確率遊技様態から通常の低確率遊技様態へ降格(転落)させるか否かを判別するための乱数である。この維持または転落抽選専用乱数は、全く単独の乱数値として生成・取得されるものであってもよいし、別の乱数値(可変変動用乱数、はずれ図柄用乱数等)と兼用される態様であってもよい。
以上の各乱数値が取得され、これらが例えばRAMに格納(記憶)されると、保留格納処理を終えて本ルーチンがリターンされる。このように本実施形態では、大当りの当否判定関係に用いられる乱数値と、内部遊技様態の維持または転落・降格の判定に用いられる乱数が実質的に同時(制御処理上、同じ手順として分類されるステップ内で)に記憶される。なお、これら乱数値の記憶タイミングは全く同時であってもよいし、ほぼ同時でもよいし、僅かに時間差があってもよい。
(7−2.遊技作動処理)
次に図7は、始動入賞に伴う遊技作動処理のルーチンを示している。この遊技作動処理では、最初に始動保留が有るか否かが判断される(ステップS201)。具体的には、保留数カウンタの数値が0でない場合、始動保留が有ると判断され(YES)、次に特別図柄が未変動状態か否かが判断される(ステップS202)。このとき特別図柄表示装置60にて未だ変動表示(LED52の点滅による変動表示)が開始されていなければ(YES)、次に保留シフト処理が実行される(ステップS203)。
保留シフト処理では、保留数カウンタの値が「1」だけ減算されるとともに、RAMの保留格納領域に記憶されている各乱数値の内容をシフトする処理が行われる。そして、これに続いて図柄変動処理が実行され(ステップS204)、ここでは特別図柄の変動時間の設定や、変動停止時の表示パターンの設定等が行われる。なお、図柄変動処理の内容については、さらに別のフローチャート(図8,図10)を用いて詳しく後述する。
上記の図柄変動処理(ステップS204)が終了すると、次に情報出力処理(ステップS205)が実行され、ここでは主制御基板56からサブ統合基板68に対して各種制御情報コマンドの生成・送信が行われる。サブ統合基板68は、受信した制御情報コマンドに基づいて主制御基板56の制御情報(始動入賞・保留の有無、特別図柄の変動・停止表示態様、当り判定結果、確率変動の有無等)を解釈し、所定の演出動作を制御する。なお、制御情報コマンドの詳細については、後の(11.演出処理)以降において説明する。
図7の遊技作動処理では、最後に当り判定処理(ステップS206)が実行される。なお、遊技作動処理の開始時に保留数カウンタの値が0であったり(ステップS201=NO)、保留数カウンタの値が0でなくとも特別図柄表示装置60が変動中であったり(ステップS202=NO)した場合は、いずれも保留シフト処理(ステップS203)および図柄変動処理(ステップS204)を迂回して情報出力処理(ステップS205)および当り判定処理(ステップS206)が実行される。
当り判定処理(ステップS206)では、特別図柄の変動開始時にセットされた当りフラグ(1または2)を参照し、当りフラグがセットされていればさらに別の処理(図11)を実行する。なお、当りフラグをセットする処理や、当り判定処理の内容については、それぞれ別のフローチャート(図9,図11)を用いて詳しく後述する。
(7−3.特図変動設定処理A)
次に、図7の遊技作動処理で行われる図柄変動処理(ステップS204)の詳細について説明する。
図8は、上記の図柄変動処理に含まれる特図変動設定処理Aの内容を示している。この特図変動設定処理Aでは主に、抽選結果によって特別図柄表示装置60による変動時間の設定や停止時の表示パターンの選択が行われる。具体的には、既に取得されている当り判定用乱数に基づいて抽選の結果が判断され(ステップS301)、当選(当り)であった場合(YES)は当り時変動設定処理(ステップS302)が実行される。なお、ここでいう「当選」は、上記(1)通常大当りや(2)確変大当り、(3)短開放確変当り、(4)短開放当りのいずれかに該当していることを意味する。
これに対し、抽選の結果が外れ、つまり、(1)〜(4)のいずれの当りにも該当してないと判断された場合(NO)、既に取得されている可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値が所定値(例えば1024)と比較される(ステップS303)。可変変動用乱数は例えば0〜65535の範囲内で取得されており、この乱数値が1024未満であれば(YES)、可変変動設定処理(ステップS304)が実行される。逆に、可変変動用乱数の値が1024以上であれば(NO)、ステップS305またはステップS306の各判断を経て変動タイマがセットされる。変動タイマは、特別図柄表示装置60による変動時間を設定するためのタイマであり、具体的には、現在の始動保留数が0であれば(ステップS305=YES)、所定の変動タイマが比較的長めの10秒にセットされる(ステップS307)。同様に、始動保留数が1であれば(ステップS306=YES)、変動タイマが比較的中程度の8秒にセットされ、そして始動保留数が2以上でれば(ステップS306=NO)、変動タイマが比較的短めの6秒にセットされる(いわゆる保留時短)。いずれにしても、変動タイマがセットされると、続いて特別図柄の停止パターンが選択される(ステップS310〜S312)。停止パターンは、図4中でいずれの当り態様にも該当しない点灯・消灯表示パターンの中から適宜選択される。
以上の特図変動設定処理Aをまとめると、抽選結果がいずれかの当りに該当している場合は、別の当り時変動設定処理(ステップS302)が実行された後に特別図柄の変動表示が開始される(ステップS313)。一方、抽選結果がいずれの当りにも該当しない(外れ)場合は、取得済みの可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値によって64分の1の振り分け率で別の可変変動設定処理(ステップS304)が実行されるが、それ以外(64分の63)の場合は始動保留数に応じて変動タイマの時間が3段階に設定された後に特別図柄の変動表示が開始(ステップS313)されることとなる。
(7−4.可変変動設定処理)
ここで、ステップS304の可変変動設定処理は、従来の「外れリーチ変動」の考え方に基づくものである。すなわち、基本的に抽選で外れた場合は特別図柄の変動時間が始動保留数に応じて次第に短縮されるが(ステップS307〜S309)、外れの場合であっても、ときには始動保留数に関係なく変動時間を長短に変更したり、特別図柄の停止パターンを変更したりすることで、あからさまに外れ変動であることを遊技者に気付かせにくくするものである。この可変変動設定処理では、例えば以下の表2で表されるテーブルによって変動時間が振り分けられている。
本実施形態のパチンコ機1では、特別図柄の変動・停止に同期した演出(例えば、従来の装飾図柄の変動・停止表示等)が行われないことから、本来は変動毎に遊技者の期待感を高めるための「外れリーチ変動」を行う必要性はない。このため、基本的に特別図柄の変動時間の設定は「保留時短」の考え方に基づけばよいが、常に変動時間の設定が固定されていると遊技者に「外れ」を意識させやすくなる。
この点を考慮して、以上の可変変動設定処理が実行されることにより、抽選結果が外れの場合にも64分の1の出現率で「外れリーチ変動」が行われることとなる。この点、従来の「外れリーチ変動」が約11分の1の比較的高い出現率で行われていたことに鑑みると、本実施形態では遊技者の間を持たせることを目的とした長時間変動は64分の1の低い出現率に抑えられているといえる。したがって、遊技者からみれば、当りに関係のない「外れリーチ変動」を長々と見せられることが少なくなるし、ホール運営者からみれば、「外れリーチ変動」の多様によって稼働が下がる事態が回避されるため、双方にとって利点がある。
(7−5.当り時変動設定処理)
図9は、上記の当り時変動設定処理(図8中のステップS302)の内容を示している。ここでは抽選結果が当りである場合に、大きく分けて「通常大当り」の場合と「確変大当り」の場合とで変動時間の設定が共通化されるとともに、「短開放確変当り」の場合と「短開放当り」の場合とで変動時間の設定が共通化されるものとなっている。
すなわち、ステップS401で「短開放当り」に該当する(YES)と判断されるか、あるいはステップS402で「短開放確変当り」に該当する(YES)と判断されると、いずれの場合も共通の短開放当り変動設定処理(ステップS403)が実行される。このステップS403では、可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値を用いて、例えば以下の表3で表されるテーブルによって変動時間が4通りに振り分けられる。
可変変動カウンタの値は0〜65535の範囲内で取得されるので、この短開放当り変動設定処理では、ほとんどの場合(出現率256分の255)に通常変動が適用されることになる。これにより、相当高い出現率で始動保留数に応じた通常の変動タイマが設定されることとなるので、遊技者からは通常の外れ変動とほとんど見分けが付かなくなる。以上の短開放当り変動設定処理が実行されると、内部的な当りフラグに「2」がセットされて(ステップS405)、本ルーチンがリターンされる。
一方、「通常大当り」または「確変大当り」に該当する場合、ステップS401およびステップS402の判断がいずれも否定(NO)されるので、この場合は共通の大当り変動設定処理(ステップS404)が実行される。このステップS404では、0〜65535までの可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値を用いて、例えば以下の表4で表されるテーブルによって変動時間が6通りに振り分けられる。この大当り変動設定処理が実行されると、内部的な当りフラグに「1」がセットされて(ステップS406)、本ルーチンがリターンされる。
(7−6.特図変動実行処理B)
次に図10は、上記の図柄変動処理(図7中のステップS204)に含まれる特図変動実行処理Bの内容を示している。先の特図変動設定処理Aによって特別図柄の変動が開始されると、ここでは変動期間中であるか否かが判断される(ステップS501)。具体的には、変動期間中であるか否かは上記の変動タイマを参照することで判断可能であり、変動タイマが作動していると、それによって変動期間中である(YES)と判断され、逆に変動タイマが停止していれば、変動期間中でない(NO)と判断される。
ステップS501で特別図柄の変動期間中であると判断されると、次に変動表示制御処理(ステップS502)が実行される。ここでは、特別図柄表示装置60を構成する4つの2色LED52について、例えば0〜15のカウンタ値を取得しながらこれらを8ビットの値に割り当て、この値を用いて合計8つのスイッチ(2色LED×4個分)のON/OFFを40ms毎に切り替える処理が行われる。これにより、4つの2色LED52が点滅しながら特別図柄表示装置60による高速変動が実現される。なお、ここではカウンタ値を参照してLED52の点灯・消灯を制御しているが、例えば所定の変動パターンテーブルを用いてLED52の点灯・消灯パターンを切り替えることもできる。
この後、変動タイマがカウントアップして変動期間が終了すると、特別図柄の変動期間中ではない(NO)と判断されて、次に停止パターン表示制御(ステップS503)が実行される。この停止パターン表示制御では、先の特図変動設定処理A(図8)や当り変動設定処理(図9)等で既に選択されている停止パターンの点灯・消灯表示パターンデータが特別図柄表示装置60に送信される。なお、パターンデータの送信は毎回の割込周期(例えば4ms)で行う必要はなく、適宜サンプリングすることでLED52の発光輝度を調整することが好ましい。
(7−7.当り判定処理)
図11は、上記の遊技作動処理に含まれる当り判定処理(図7中のステップS206)の内容を示している。この当り判定処理は、抽選結果が当選の場合に実行され、抽選に外れた場合は実行されない。ここでは抽選結果が当りである場合に、その当りの種類に応じてアタッカ装置46の動作パターンが設定されるものとなっている。
処理順に見ると、抽選の結果が「短開放当り」であるか否かが判断され(ステップS601)、ここでの判断が否定(NO)されると、次に抽選の結果が「短開放確変当り」であるか否かが判断される(ステップS602)。したがって、抽選の結果が「通常大当り」か、あるいは「確変大当り」である場合、ここでも判断が否定(NO)されるため、次にステップS603が実行される。ステップS603では、アタッカ装置46の動作パターンに関して設定最大期間が30秒にセットされるとともに、設定最大継続回数(最大ラウンド数)が10ラウンドにセットされ、そして、設定インターバルが2秒にセットされる。
一方、抽選の結果が「短開放確変当り」である場合、ステップS602の判断が肯定(YES)されて、次にステップS604が実行される。ステップS604では、アタッカ装置46の動作パターンに関して設定最大期間が0.3秒にセットされるとともに、設定最大継続回数(最大ラウンド数)が2ラウンドにセットされ、そして、設定インターバルが2秒にセットされる。上記のステップS603またはステップS604が実行された場合は内部的に条件装置を作動させることで、大当り処理(ステップS605)が実行される。
これに対し、抽選の結果が「短開放当り」である場合、ステップS601の判断が肯定(YES)されて短開放当り処理(ステップS606)が実行される。この短開放当り処理では、内部的に条件装置を作動させないが、見た目上は「短開放確変当り」と同じか、もしくは近似した内容となる挙動を実現するため、単にアタッカ装置46を作動させて大入賞口を最初に0.3秒間だけ開放させるとともに、これを閉止して2秒間のインターバルをおいた後、再度0.3秒間だけ大入賞口を開放させて元どおり閉止する処理が行われる。
(7−8.大当り処理)
図12は、上記の当り判定処理に含まれる大当り処理(図11中のステップS605)の内容を示している。内部的に条件装置が作動して大当り処理が実行されると、先ず所定のラウンドカウンタが初期化される(ステップS701)。このラウンドカウンタは例えばRAM56d内に確保されており、この初期化に伴ってラウンドカウンタの値はリセットされる。なお、ラウンドカウンタは大当り遊技中のラウンド数をカウントするためのものであり、その値が設定最大回数に達すると大当り処理が終了となる。
上記のラウンドカウンタが初期化された後、所定の入賞球数カウンタに「0」がセットされると(ステップS702)、続いて大入賞口が開放される(ステップS703)。そして、次のステップS704では大入賞口の開放期間が設定最大期間内であるか否かが判断される。ここでの設定最大期間には、先の当り判定処理中のステップS603またはステップS604でセットされた時間(30秒または0.3秒)が適用される。開放期間が設定最大期間内であれば(YES)、次に入賞球カウンタの値が10未満であるか否かが判断される(ステップS705)。このとき入賞球カウンタの値が10に満たなければ(YES)、大入賞口に対応するカウントセンサの検出信号がONになったか否かが判断される(ステップS706)。大入賞口への入賞によりカウントセンサがONになると(YES)、次のステップS707で入賞球数カウンタに「1」が加算され、再度ステップS704の判断が行われる。あるいは、ステップS706で大入賞口への入賞がなく、カウントセンサがONになっていなければ(NO)、入賞球数カウンタが加算されることなくステップS704の判断が行われる。
「通常大当り」、または「確変大当り」の場合、通常は設定最大期間である30秒が経過するか、あるいは入賞球が10カウントに達するかのいずれかの条件が満たされると1ラウンドが終了となる。これら2つの条件のいずれかが満たされると、ステップS704またはステップS705の判断が否定(NO)されるので、ラウンド終了のために大入賞口が閉止(ステップS708)される。そして、次のステップS709でラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(10ラウンド)に達したか否かが判断される。
これに対し「短開放確変当り」の場合、設定最大期間が0.3秒と短期間である。このため、通常は入賞球数カウンタが10に達することはなく、先に0.3秒の設定最大期間が経過してステップS709の判断、つまり、ラウンドカウンタが設定最大回数(2ラウンド)に達したか否かが判断される。
いずれにしても、ラウンドカウンタの値が設定最大回数(10または2)に達していなければ(ステップS709=NO)、次にラウンドカウンタの値に「1」が加算(ステップS710)されて入賞球数カウンタが「0」にリセットされる(ステップS702)。
以上の処理は「通常大当り」、「確変大当り」または「短開放確変当り」中における1ラウンド目の処理に相当する内容である。この後、ラウンド動作が繰り返されてラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(10または2)に達したと判断されると(ステップS709=YES)、そこで大当り処理は終了となる。
(8.遊技様態/当選確率変更手段)
既に述べたように本実施形態のパチンコ機1では、「確変大当り」、または「短開放確変当り」による大当り遊技が終了すると、そこからの遊技様態がいわゆる「確変(高確率時)」に変更されるものとなっている(低確率遊技様態→高確率遊技様態)。つまりこの場合、上記の遊技様態フラグに「1」がセットされ、それ以降は内部的な遊技様態が「確変」に変更されることになる。そして、遊技様態が「確変」にある間は、大当りの抽選確率が通常(低確率時)の5倍になるため、遊技者は次の大当りを高確率で連続的に引き当てることが可能となっている。
この点、従来の確率変動タイプのパチンコ機では、大当り時の特別図柄(装飾図柄)の種類によって「確変大当り」であるか否かを遊技者に明確に報知するとともに、大当り遊技後に「確変中」等の文字情報を表示することによって「確変」であることを遊技者に大々的にアピールするものがほとんどであった。これに対し本実施形態のパチンコ機1では、たとえ「確変大当り」または「短開放確変当り」によって内部的に「確変」に移行されたとしても、そのときの内部状態は遊技者に対して明確にアナウンス(告知、報知、教示、示唆、伝達等に相当する)されないまま内部に秘匿される。しかも、特別図柄表示装置60による表示パターンが多種多様(81通り)にわたっているため、遊技者は特別図柄表示装置60による停止時の表示態様(LED52の点灯・消灯の組み合わせ態様)を一見しただけでは「確変大当り」を引き当てたのか、それとも「通常(非確変)大当り」を引き当てたのか、あるいは単に「外れ」だったのかを直ちに判別することが困難な仕様となっている。もちろん、「通常大当り」または「確変大当り」になると、条件装置の作動によって大当り遊技が可能となるため、それによって遊技者はいずれかの「大当り」が得られたことは察知できるが、明確にいずれの「大当り」であるかは容易に認識できない。
これに加えて本実施形態では、大入賞口が0.3秒間の開放を2回だけ行い、その後の遊技様態を「確変」に移行する「短開放確変当り」の態様があるが、この場合、ほとんどの遊技者はアタッカ装置46の開閉アクションに全く気付かないか、あるいは気付いても、「短開放確変当り」の開放期間内に大入賞口に入賞させることは容易でない。たまたまアタッカ装置46の開閉アクションに遊技者が気付けば、それによって「短開放確変当り」になったかもしれないという一応の予測は可能であるが、一方で、これと同じようなアタッカ装置46の開閉アクションが行われる「短開放当り」も本実施形態には存在するため、単にアタッカ装置46の動きや関連する演出動作に着目しただけでは「短開放確変当り」と「短開放当り」とを判別することは容易でない。
(9.一実施形態の特徴)
以上をまとめると、一実施形態のパチンコ機1における遊技には以下の特徴が見出される。
(1)通常の遊技様態(低確率時)で初めて「大当り」になったとしても、特別図柄の停止時の表示を見ただけでは、遊技者には果たしてそれが「通常大当り」であるか、「確変大当り」であるかの判別が容易に付かない。そして、その後も通常状態(低確率時)と確変状態(高確率時)とで特別図柄の変動表示の態様(変動時間等)が同様(または近似していてもよい)であるため、特別図柄の変動表示を見ても遊技者が「確変中」であることを判別できない。このため遊技者は、大当り遊技の終了後に遊技様態が「確変」に移行したことを期待しつつ、次の「大当り」を引き当てるまでの期待感や遊技意欲を高く維持することができる。なお、パチンコ機1の仕様上、「確変大当り」の振り分け率が16分の12であり、「通常大当り」の振り分け率が16分の2であることに鑑みると、多くの場合は大当り後に「確変」に移行したことを期待しやすいと考えられる。
(2)「確変大当り」以外にも、「短開放確変当り」を契機として遊技様態が「確変」に移行する可能性があるため、遊技者がアタッカ装置46の開閉アクションや関連する演出動作に気付いた場合は、たとえ未だ大当りを引き当てていなくても、通常の遊技様態から「確変」に移行したことを期待しつつ、そこから「大当り」を引き当てるまでの期待感や遊技意欲を高く維持することができる。
(3)ただし、パチンコ機1の仕様上、条件装置の作動を伴う「短開放確変当り」の振り分け率は「通常大当り」と同程度(16分の2)に抑えられており、そのままでは出現率が低く、遊技者に対するアピール度が相対的に低くなる。この点を補うものとして、条件装置を作動させないで「短開放確変当り」と同等の挙動(アタッカ装置46の開閉アクションや関連する演出動作)を示す「短開放当り」が別途用意されており、この「短開放確変当り」の当り確率(128分の1)と「短開放確変当り」の出現率との合成により、遊技者は比較的高い頻度でいずれかの当りに接する機会が与えられる。
(4)このため遊技者は、例えば通常の遊技様態(低確率時)でアタッカ装置46の開閉アクションや関連する演出動作等の挙動に接した場合、「短開放確変当り」によって「確変」に移行した可能性があることを期待しつつ、次に「大当り」を引き当てるまでの期待感や遊技意欲を高く維持することができる。
(5)また、ある時点で遊技者がアタッカ装置46の開閉アクションや関連する演出動作等に接したときに、実際にはそれが単に「短開放当り」によるものであったとしても、しばらく遊技を続けている間に次の開閉アクションや関連する演出動作が発生することもあるため、「確変」に移行したことに対する遊技者の期待感はなかなか減退しない。
(6)あるいは、なかなか「確変」に移行する機会に恵まれなかったとしても、遊技者が一度でも「大当り」を引き当てると、上記の(1)に戻って「確変」に移行したことへの期待感が沸々とわき出てくるため、そこから次の大当りを期待しつつ、ますます遊技意欲が高まることになる。
以上のとおり、本実施形態のパチンコ機1では遊技者の期待感や遊技意欲が途切れるポイントが少なく、常に大当り等の利益が得られることへの期待感を高く維持しながら長時間にわたって熱心に遊技に取り組むことができる。
逆に、ホールでの遊技者の立ち回りにおいて、従来は釘調整の具合を読んだり、台ごとの回転数や当り回数等のデータをみたりして台選びをするだけであったが、本実施形態の仕様では、たまたま前の遊技者が内部的に「確変」に入っていることに気付かず、そのまま放棄してしまった台を探し出すといった面白みも新たに加わる。
(10.遊技様態維持/降格判定処理)
以上のように、いつの間にか遊技様態が「確変」に移行することがパチンコ機1の興趣性を高める要因となっているが、本実施形態ではさらに別の趣向が凝らされている。具体的には、内部的に遊技様態が「確変」に移行した場合、例えば毎回の始動入賞を契機として「確変」を維持し続けるための抽選(維持抽選)か、あるいは、「確変」から通常の遊技様態に変更させるべきか否かの抽選(いわゆる降格・転落等の抽選)が行われる(維持抽選手段,転落抽選手段)。
図13は、上記の抽選を実行するための遊技様態維持/降格判定処理の内容を示している。上記のように遊技様態が「確変」に移行した場合、主制御基板56では図13の処理が実行される。ここでは先ず、始動入賞を契機として取得した乱数値を用いて遊技様態を「確変」のまま維持するべきか否かの抽選が行われる(ステップS801)。維持抽選で当選(反対に転落抽選の場合は落選)し、遊技様態が維持される方の当選確率は、例えば640分の639と比較的高く設定されており、相当低い確率640分の1でしか落選(反対に転落抽選の場合は当選)しないものとなっている。ここでの抽選に落ちなければ(NO)、そのまま本ルーチンはリターンされるが、逆に抽選に落ちると(YES)、通常の遊技様態への「降格判定」がなされる。なお、これ以降の説明では「遊技様態維持抽選」の方を例に挙げて説明するが、「遊技様態転落抽選」の場合は上記の括弧書きにならって考えればよい。
上記の抽選で落ちた場合、次に落選変動設定処理(ステップS802)が行われる。ここでは、上記の可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値を用いて、例えば以下の表5で表されるテーブルによって変動時間が3通りに振り分けられる。
可変変動カウンタの値は0〜65535の範囲内で取得されるので、この落選変動設定処理では、ほとんどの場合に通常変動が適用されることになる。これにより、相当高い出現率で始動保留数に応じた通常の変動タイマが設定されることとなるので、遊技者からは通常の外れ変動とほとんど見分けが付かなくなり、特に「確変」からの降格が行われたことが直ちに判別できなくなる。なお、落選変動設定処理では、あわせて所定の停止図柄(外れ表示パターン)が選択される。
以上の落選変動設定処理が実行されると、内部的な遊技様態フラグに「0」がセットされて(ステップS803)、本ルーチンがリターンされる。これ以降は遊技様態フラグが「0」となるので、内部的な遊技様態は通常時に引き戻されることになる。
このような仕様により、たとえ一度は「確変」に移行したとしても、そこから毎回の始動入賞によって高確率で大当りになる可能性もあれば、逆に640分の1の確率で「確変」から降格させられる可能性もあるといえる。したがって、遊技者は現在「確変」の遊技様態にあると予想を立てている場合であっても、常に大当りへの期待感と背中合わせに転落の危険性を身近に感じながら遊技を行うことができるため、そこにスリリングな興趣性が付加されることとなる。
さらに本実施形態では、内部的に「確変」から低確率遊技様態に降格・転落させられた場合であっても、その情報は外部に向けて積極的に開示されることなく秘匿される。これにより、遊技者がそれまで内部的な遊技様態が「確変」であると推測していた状態で、いつの間にか通常の低確率遊技様態に変更されていたとしても、特別図柄の変動態様や演出動作等の内容からこれを察知することができなくなっている。
このように本実施形態では、たとえ一度は「確変」に移行したとしても、そこから次の「大当り」に当選する可能性もあれば、逆に維持抽選に落選し、そこから通常確率状態に降格させられる可能性もあるといえる。このような維持抽選による降格の可能性があることを根拠に、本実施形態では当り時の「確変」への移行率を比較的高く(16分の14で確変、16分の2で非確変)設定することができ、これによって遊技者の期待感を高めつつ、ホール運営者より遊技者が一方的に有利になることを回避している。
(11.演出処理)
以上は、純粋に主制御基板56による遊技動作の制御に関する処理の内容であるが、サブ統合基板68は主制御基板56から制御情報コマンドを受け取ると、これに基づいて各種の演出処理を実行することができる。
既に説明したとおり、本実施形態の基本的な遊技仕様は、「特別図柄の変動・停止表示を一見しただけでは抽選結果を容易に判読できない」というものである。このため演出処理についても、基本的に液晶表示装置51において従来多くあるような特別図柄に対応付けられた装飾図柄(例えば1〜10の数字、文字、絵、キャラクタアイコン等)の組み合わせや、そのスクロール変動等は表示されない。同様に、特別図柄について従来のようなリーチ変動表示の手法が採用されていないことから、液晶表示装置51においても装飾図柄を用いたリーチ演出表示が行われない。
その代わり、当り判定の結果によって「通常大当り」や「確変大当り」となる場合は、これらの大当り遊技に移行する前に一連のストーリーを有したアニメーション画像が液晶表示装置51において表示され、ストーリー上で何らかの完結(例えば競走馬が国内レースで優勝する等)をみると、そこから大当り遊技の演出(例えば、同じ競走馬が海外レースに出走する等)に発展する。また、スピーカ14,36からは映像の変化に合わせて効果音等が出力される。
このほかに、「短開放確変当り」や「短開放当り」になった場合は、何らかの関連する演出動作(例えば、競走馬がパドックに位置を変えたり、出走ゲートに入ったりする等の視覚的変化のある映像)が液晶表示装置51にて表示されるとともに、スピーカ14,36からBGMや効果音が出力される。
(11−1.遊技演出処理)
以下、本実施形態のパチンコ機1における遊技演出処理について詳細に説明する。
図14は、遊技演出処理の基本的な流れを示している。この遊技演出処理はサブ統合基板68(CPU68c)において実行され、ここでの処理から派生してその他の電飾制御基板70,72や波形制御基板74等がそれぞれの処理(ランプの点灯、液晶表示装置51の駆動、スピーカ14,36の駆動等)を実行するものとなっている。
この遊技演出処理では、最初にコマンド受信処理(ステップS10d)が行われ、ここで主制御基板56から制御情報コマンドが受信される。サブ統合基板68が主制御基板56から受け取る制御情報コマンドには、例えば以下のものが挙げられる。
(1)特別図柄変動情報コマンド・・・特別図柄の可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値(0〜65535)または始動保留数に対応したコマンドである。このコマンドパターンに基づいて、サブ統合基板68では特別図柄の変動パターン(例えば、変動時間や保留残数等)が認識される。
(2)特別図柄当落情報コマンド・・・当り判定用乱数に対応した当落結果を表すコマンドである。このコマンドパターンに基づいて、サブ統合基板68では特別図柄抽選による当落結果(当選か落選か、当選の場合はどの種類であるか等)が認識される。
(3)遊技様態情報コマンド・・・遊技様態フラグ(0または1)に対応したコマンドである。このコマンドパターンに基づいて、サブ統合基板68では現状の遊技様態が低確率遊技様態であるか高確率遊技様態であるかが認識される。
以下の表6〜表8は、上記(1)の特別図柄変動情報コマンドについて、可変変動カウンタの乱数値に対応したコマンドパターンを一覧にしたものである。各表中のコマンドパターンはいずれも「(ステータス):(モード)」の形式で表記されており、コマンドパターン中のステータスが「10H」である場合、それは抽選結果が当りであるかはずれであるかを問わず、可変変動カウンタの乱数値に基づいて設定された変動パターンであることを表す。
ここで、表6に示されるコマンドパターンは、例えば上記の大当り変動設定処理(図9中のステップS404)で決定されたものであり、表7に示されるコマンドパターンは、例えば上記の短開放当り変動設定処理(図9中のステップS403)で決定される。また、表8に示されるコマンドパターンは、例えば上記の可変変動設定処理(図8中のステップS304)で決定される。
一方、以下の表9は、上記(1)の特別図柄変動情報コマンドについて、始動保留数に対応したコマンドパターンを一覧にしたものである。したがって、コマンドパターン中のステータスが「11H」「12H」「13H」である場合、それは始動保留数に基づいて設定された変動パターン(通常変動)であることを表している。表9に示されるコマンドパターンは、例えば上記の特図変動設定処理A(図8中のステップS307〜S309)においてそれぞれ決定される。
次に表10は、上記(2)の特別図柄当落情報コマンドについて、抽選の当落結果に対応したコマンドパターンを一覧にしたものである。ここでも同様に、表中のコマンドパターンは「(ステータス):(モード)」の形式で表記されている。したがって、コマンドパターン中のステータスが「18H」である場合、それは抽選の当落結果に対応したものであることを表し、さらに、そのときのモード「01H〜05H」によって当落の種類がいずれであるのかが識別される。表10のコマンドパターンは、例えば特図変動設定処理Aの当り判定(図8中のステップS301)において決定される。
そして、以下の表11は、上記(3)の遊技様態情報コマンドについて、各遊技様態に対応したコマンドパターンを一覧にしたものである。ここでも同様に、コマンドパターン中のステータスが「19H」である場合、それは遊技様態情報に対応したものであることを表し、さらに、そのときのモード「01H」または「02H」によって遊技様態がいずれであるのかが認識される。表11のコマンドパターンは、例えば遊技作動処理中の情報出力処理(図7中のステップS205)において、そのときの遊技様態フラグから決定される。
コマンド受信処理(ステップS10d)において各制御情報コマンドが受信されると、次にステージ選択処理(ステップS20d)が実行される。ステージ選択処理(A,Bがある)の詳細についてはさらに別のフローチャート(図18,図22)を参照して説明するが、ここでは例えば、液晶表示装置51に表示される画像のうち、基本となる演出場面(ステージ)の選択が行われる。演出場面には例えば3種類のものが用意されており、ここではその中から1種類の演出場面が選択されるものとなっている。既に述べたとおり、本実施形態のパチンコ機1では、現在の遊技様態が「確変」であるか否かが遊技者に明示されていないが、その代わり演出画像を通して内部的な遊技様態がどうなっているかを遊技者が探求・推測等できる余地を残している。このためステージ選択処理では、内部的な遊技様態の変更や遊技の進行状況に合わせて演出場面を適宜切り替えることで、遊技様態の変更があったことを遊技者に想起させたり、通常遊技中の目先を変えたりすることができる。
ステージ選択処理(ステップS20d)において基本的な演出場面が選択されると、次に様態潜伏演出処理(ステップS30d)が実行される。この様態潜伏演出処理では、基本的な演出画面の表示に加えて、現在の遊技様態がいずれであるのかに関連した内容の追加的な演出が行われる。なお、様態潜伏演出処理の詳細についても、別のフローチャート(図23)を用いて後に説明する。
上記の様態潜伏演出処理(ステップS30d)に続いて、変動演出処理(ステップS40d)が実行される。この変動演出処理では、例えば特別図柄の変動開始から停止表示の動作に合わせて、これに関連した内容の演出(例えば、連続動画を用いた演出)が行われる。既に述べたとおり、本実施形態のパチンコ機1では液晶表示装置51において装飾図柄を用いた変動演出やリーチ演出等は行われず、そこには図柄抽選の過程を演出的に表現するといった従来の考え方はない。その代わり、液晶表示装置51には例えば特別図柄の変動に合わせて、何らかの変化のあるアニメーション画像等が表示されるものとなっており、その変化の内容によって抽選の当落結果や当選種類等が演出的に表現されるものとなっている。この変動演出処理についても、別のフローチャート(図29)を用いて詳細に説明する。
残りの表示処理(ステップS50d)では、サブ統合基板68から電飾制御基板70,72や波形制御基板74等に具体的な演出制御コマンドの生成・送信が行われる。これを受けて、実際に液晶表示装置51や各種ランプ76,78、スピーカ14,36等が駆動される。
(11−2.ステージ選択処理)
ここで、本実施形態の演出処理で用いられる「ステージ」の意味合いについて明らかにしておく。本実施形態の演出処理でいう「ステージ」とは、液晶表示装置51において通常画像として表示される演出場面の基本的な概念・主題を識別するためのものであり、遊技者は通常画像としての演出場面に接しながら、そこから何からの概念・主題等の観念的な内容を感じ取って遊技を進行していくことになる。
「ステージ」は便宜上、競走馬が放牧されている演出場面を表す「ステージa」、競走馬が調教を受けている演出場面を表す「ステージb」、そして、競走馬がパドックで出走を控えている演出場面を表す「ステージc」として主に3種類に区別されている。ただし、各「ステージa〜c」にはそれぞれ遊技を進める上で何らかの意味合いを持たせてあり、具体的には、各「ステージa〜c」から一般的に抽出される観念の重要度によって次の大当りに当選する確率が高いか低いか(いわゆる信頼度)を暗に示唆するものとなっている。以下、各「ステージa〜c」にいて具体例を挙げて説明する。
図15は、演出場面として「ステージa」が選択された場合に表示される基本的な画像の一例を示している。この例では、のどかな牧草地に1頭のコミカルな競走馬が放牧されている様子が描かれている(便宜上、競走馬であることが分かりやすいように馬装具等は取り外されていない。)。ここに描かれている競走馬は、センター役物42のキャラクタ体42aとデザインが共通しており、パチンコ機1におけるゲームコンセプトの中心的な存在(主人公)となるキャラクタである。
次に図16は、演出場面の種類として「ステージb」が選択された場合に表示される基本的な画像の一例を示している。この例では、上記の競走馬が調教を受けている様子(例えば坂路を登る訓練)が描かれている。そして図17は、演出場面の種類として「ステージc」が選択された場合に表示される基本的な画像の一例を示している。この例では、競走馬がレース出走を控えてパドックを周回している様子が描かれている。そして、この後の演出(様態潜伏演出処理、変動演出処理等)は、全て基本となる「ステージa〜c」から展開していくものとなる。
以上に例示した「ステージa〜c」の各演出場面から明らかなように、「ステージa」からは競走馬の日常として比較的穏やかな観念が抽出され、そこにはレースの緊張感から解放された平穏な雰囲気が醸し出されている。したがって、一般的に「ステージa」の演出場面に接した遊技者は、どちらかといえば大当りまで少し間があるかのような印象を受ける傾向にある。
次の「ステージb」からは、競走馬がレース出走に向かって訓練途上にある中間的な観念が抽出される。このため、一般的に「ステージb」の演出場面に接した遊技者は、次第に大当りに近づきつつあるか、あるいは、大当りまでそう遠くないかのような期待感を抱く傾向にある。
そして「ステージc」からは、競走馬としての本分であるレース出走前の緊張した観念が抽出されるため、一般的に「ステージc」の演出場面に接した遊技者は、いよいよ大当りが近いのではないか、あるいは、大当り確率が高い状態(確変中)ではないか、との期待と興奮とが入り交じった感覚を抱く傾向にある。
このように、「ステージa〜c」の演出場面ごとに遊技者の抱く印象や感覚には異なる傾向がみられることから、通常遊技中に表示されている演出場面にいずれの「ステージa〜c」が選ばれているかによって、遊技者が持つ期待感の大きさは違ってくるといえる。この点に鑑みて、ステージ選択処理では現状の内部的な遊技様態とある程度の関連性をもって「ステージa〜c」が選択されるものとなっている。
単純に考えると、どちらかといえば大当りから遠い印象を与える「ステージa」は低確率遊技様態にある場合に高い頻度で選択されやすく、逆に、大当りに近い「ステージc」は高確率遊技様態にある場合(確変中)に高い頻度で選択されやすい態様が自然であるといえる。また中間的な「ステージb」は、遊技様態がどちらであっても、ある程度の頻度で選択される態様が自然であるといえる。このためステージ選択処理においても、基本的には上記の自然な考え方を踏まえた選択基準が適用されている。
その一方で、単純に現状の遊技様態とそのとき選択される「ステージa〜c」とを固定して関連付けてしまうと、あからさまに遊技様態がどちらであるかが遊技者にわかってしまう。このため本実施形態では、例えば高確率遊技様態の場合に、それに対応した「ステージc」が選択されていたとしても、何らかの契機が訪れると、そこであらためて「ステージ」を再選択することで「ステージ」の切り替え、つまり、演出上でステージ移行を発生させている。
図18は、上記のステージ選択処理(ステップS20d)で行われるステージ選択処理Aの内容を具体的に示している。ここでは、演出場面を切り替える契機(ステージ移行契機)が訪れたか否かの判断が行われる(ステップS201d〜S204d)。演出場面を切り替える契機としては、例えば高確率遊技様態のときに主制御基板56が行う様態維持抽選に落選し、内部的に遊技様態が降格された場合(ステップS201d)、可変変動カウンタの値が1024未満のときのコマンドパターンを受信した場合(ステップS202d)、サブ統合基板68が独自に判断するステージ移行条件が満たされた場合(ステップS203d)、あるいはサブ統合基板68においてステージ選択モードの移行があった場合(ステップS204d)のいずれかの場合(全てYESの判断)である。このうち、内部遊技様態の降格判断(ステップS201d)とコマンドパターンの判断(ステップS202d)については、いずれも主制御基板56から受け取るコマンドパターンに基づいて行うことができる。その他のステージ移行条件の判断(ステップS203d)およびステージ選択モードの移行判断(ステップS204d)については、サブ統合基板68においてそれぞれ独自の判断材料が用意されている。あるいは、ステップS201dにおいて、上記の「短開放確変当り」または「短開放当り」に当選したか否かを判断するようにしてもよい。
いずれの場合も、ステージの再選択(ステップS205d)が行われるので、そこで現状と異なる種類のステージが選択された場合は、演出場面が別のステージに切り替わる演出、つまり、演出上でステージ移行が発生する。ただし、単に現状と同じステージが繰り返し選択されただけの場合、演出上で見た目の変化は特に生じない。
以下の表12は、内部遊技様態の降格時(ステップS201d=YES)に用いられるステージ選択テーブル(選択基準1)を示している。表中の値は、ステージ移行先として各「ステージa〜c」が選ばれる確率(振り分け率)を表す。
表12に示される振り分け率の特徴は、各「ステージa〜c」がほぼ均等な頻度で選択されやすいところにある。このため、例えば内部的に高確率遊技様態にあって、これと関連性の強い「ステージc」が現状で選択されていたとすると、そこから低確率遊技様態に転落した場合は67%の振り分け率で別の「ステージa,b」への移行が発生するが、引き続き33%の振り分け率で「ステージc」が再選択されることもある。したがって、内部的に遊技様態の降格があったとしても、演出上は常にステージ移行が発生するとは限らないので、遊技者が内部遊技様態の変化に全く気付かないまま遊技を継続することもある。
なお、表12のステージ選択テーブルは、パチンコ機1の電源投入によってサブ統合基板68が初期化された場合に、最初に表示する演出場面(いわゆる初期画面)を選択するときにも使用できる。例えば、通常ホール開店時においてパチンコ機1は低確率遊技様態にあるが、表12のステージ選択テーブルでは各「ステージa〜c」がほぼ均等の振り分け率で選択されることから、ホール内で台ごとに初期の演出場面をランダムに異ならせることができる。この場合、遊技者は台ごとに初期画面を見比べながら多様な判断に基づいて台選びを行うことができる。もちろん、このような使い方をせずに、パチンコ機1において初期の演出場面は常に同じ種類(例えば「ステージa」)としてもよい。
上記の表12は、内部的に遊技様態が降格させられた場合に適用となるステージ選択テーブルであるが、その他の場合(ステップS202d〜204d)には別のステージ選択テーブルが適用される。具体的には、基本的にステージの再選択に際して、内部的に低確率遊技様態にある場合と高確率遊技様態にある場合とでは互いに異なるステージ選択テーブルが適用されるものとなっており、各ステージ選択テーブルには、遊技様態に関連のあるステージが選ばれやすいといった傾向が与えられている。
さらに本実施形態では、サブ統合基板68が演出処理上で複数の「ステージ選択モード」に滞在・移行する仕様が用意されている。ここでは低確率遊技様態の場合と高確率遊技様態の場合のそれぞれについて2つのステージ選択モードA,Bが設定されており、これらモードA,Bごとに別々のステージ選択テーブルが用意されている。サブ統合基板68は、演出処理を実行する上でいずれかのステージ選択モード(低確率時モードA、低確率時モードB、高確率時モードA、高確率時モードB)に滞在し、さらに所定の移行条件が満たされることでモード移行を行う。
以下の表13および表14は、低確率遊技様態にある場合に使用されるステージ選択テーブル(選択基準2,3)の例を示している。このうち表13のテーブルはサブ統合基板68が「低確率時モードA」に滞在している場合に適用され、表14のテーブルは「低確率時モードB」に滞在している場合に適用される。
表13,表14から以下の傾向が明らかである。
(傾向1)「低確率時モードA,B」に滞在中は、総じて観念的には遊技者の期待度が低くなる「ステージa」が比較的高い確率(頻度)で選ばれやすい。
(傾向2)「低確率時モードA」から「低確率時モードB」に切り替わると、現状と同一のステージが選ばれやすくなるか、あるいは、観念的に遊技者の期待度が高くなる「ステージc」が選ばれる確率(頻度)が高くなる。
(傾向3)ただし「低確率時モードB」に滞在中は、現状で「ステージc」が選ばれている場合に次の移行先として必ず別の「ステージa,b」が選ばれるので、全体的に「ステージc」が選ばれやすいとはいっても、見た目上は「ステージc」の演出場面が継続しにくくなっているといえる。
次に、以下の表15および表16は、高確率遊技様態にある場合に使用されるステージ選択テーブル(選択基準4,5)の例を示している。このうち表15のテーブルはサブ統合基板68が「高確率時モードA」に滞在している場合に適用され、表16のテーブルは「高確率時モードB」に滞在している場合に適用される。
表15,表16から以下の傾向が明らかである。
(傾向4)「高確率時モードB」に滞在中は、現状で「ステージa〜c」のいずれが選択されていても、ほぼ均等な割合(頻度)で「ステージa〜c」が次の移行先に選ばれやすい。
(傾向5)「高確率時モードB」から「高確率時モードA」に切り替わると、現状で「ステージc」が選ばれている場合に次の移行先として必ず別の「ステージa,b」が選ばれるので、見た目上で「ステージc」の演出場面が継続しにくくなっており、この点は上記の(傾向3)「低確率時モードB」のときと同じである。
さらに表14と表15とを対比すると、「低確率時モードB」と「高確率時モードA」とでは、どちらも「ステージa,b」が選択される確率(頻度)が近似しており、その内容には部分的な重複が見られる。このためステージ選択テーブルは、低確率遊技様態の場合と高確率遊技様態の場合とで傾向が異なっているとはいえ、そこには部分的に重複した内容が設定されていることが理解される。
このようなステージ選択テーブルの設定により、演出上で行われるステージ移行の傾向から内部的な遊技様態を遊技者が探求・推測できる材料を提供しつつ、一筋縄では簡単に判断が付かないような演出処理の味付けがなされている。
なお、ステップS203dの判断においてステージ移行条件が満たされるのは、例えばサブ統合基板68で行われる移行抽選に当選した場合である。サブ統合基板68は遊技様態別に一定確率(低確率遊技様態で64分の1、高確率遊技様態で26分の1)のもとで乱数抽選を行い、当選の場合にステージ移行条件が満たされたと判断する。これ以外にも、ステージ移行条件は演出処理上の理由によって判断される場合があり、例えば一定時間以上にわたって同じ「ステージ」が継続した場合であるとか、内部遊技様態と観念的に相違する「ステージ」が継続した場合(低確率遊技様態なのに「ステージc」が長く続いた場合)であるとか、その他の演出処理において何らかの一区切りが見られた場合(変動演出処理で一連の演出ストーリーが完結した場合)等にステージ移行条件が満たされたと判断される。
また実際の画面上、ステージ移行によって演出場面が切り替えられる場合は、例えば合間に移行契機画面が表示される。図19は、次の移行先として「ステージa」が選択された場合に表示される移行契機画面の一例を示している。図19の移行契機画面は、例えばそれまで「ステージb,c」が選択されていて、画面上は別の演出場面(図16,図17)が表示されていた場合、次に「ステージa」の演出場面(図15)に切り替えられるまでの合間にアイキャッチャーとして表示される。
同様に、図20は「ステージb」への移行契機画面であり、図21は「ステージc」への移行契機画面である。また、図19〜図20の移行契機画面では、それぞれ競走馬が出走予定とするレースの種類(例えば「GIII」,「GII」,「GI」等)が文字情報として表示されることにより、そこから観念される重要度・格の違いによっても大当りへの期待度が異なることを表現している。
図22は、ステージ選択処理Bの具体的な内容を示している。ここではモード移行条件が満たされたか否かが判断され(ステップS210d)、モード移行条件が満たされた場合(YES)にステージ選択モードの移行が行われる(ステップS211d)。上記のようにモード移行が行われると、それに合わせてステージの再選択が行われることから、モード移行条件が満たされるのは主に遊技の進行状況に何らかの変化が生じた場合が想定されている。
具体的には、モード移行条件は大きく分けて「大当り(または短開放確変当り)後」、「短開放当り後」、「内部遊技様態の降格時」のいずれかによって満たされる。遊技の進行状況にいずれかの変化が生じると、サブ統合基板68において一定の振り分け率でステージ選択モードが再度振り分けられる。また「大当り(または短開放確変当り)後」については、そのときの当りの種類、つまり、特別図柄の停止時の種類(図4に示される)別に異なる振り分け率が適用される。
以下の表17は、ステージ選択モードの振り分け率を一覧にして示している。
表17から明らかなように、同じ大当り後であっても、確変図柄か通常図柄かによって振り分け率が異なるし、確変図柄のなかでもさらに細かく振り分け率が異なる。特に、特別図柄の停止パターンから「確変大当り」であることを見分けやすい場合(いわゆる確変鉄板図柄)は、最も高確率で「高確率時モードB」に振り分けられるので、その結果として移行先に「ステージc」が選択される確率(頻度)が高くなる。この場合、特別図柄の停止パターンから「確変」に入ったことを確信している遊技者であれば、その先で期待したとおりの演出(いわゆる「熱い演出」)に接する確率が高くなるので、より熱心に遊技に取り組むことができる。
一方で、確変図柄や短開放確変図柄であった場合は「高確率時モードA」に振り分けられる確率が高いので、その結果としてステージ移行先の傾向が「低確率時モードB」と近似したものとなる。この場合、その後の演出からは単純に遊技様態の見分けが付きにくくなり、遊技者は探求心を刺激されながら遊技を続けることができる。
なお、大当り等によってモード移行が行われるのはあくまで「大当り後」であり、大当り遊技中の演出は従前から表示されているステージを変更することなく展開される。これにより、遊技者はそれまでの演出の流れから「大当り遊技」に入ったことを感覚的に受け入れやすくなるし、逆に「大当り遊技(ラウンド)」の終了後に演出上でステージが切り替わることにより、そこで何らかの区切りをつけることができる。ただし、「大当り遊技」の終了後に遊技者が一区切りつけたとしても、その後の演出でいきなり「ステージc」が選択されることもあるため、遊技者は「次も大当りを狙えるかもしれない」との期待感を抱いて、引き続き熱心に遊技を継続することができる。
その他にも、ステップS210dの判断では別の移行条件を設けることができる。例えば、同一のモードに一定時間以上にわたって滞在し続けた場合や、サブ統合基板68で行われる独自のモード移行抽選に当選した場合等である。これらの場合、例えば画面上で「ステージa〜c」とは別の特別な演出場面(競走馬とは別のキャラクタが登場する等)を間に挟み込む短い演出が行われ、その後で移行先のステージに切り替えられる演出処理が行われる態様であってもよい。
(11−2−1.ステージ選択処理のまとめ)
本実施形態では上記のステージ選択処理(図18,図22)が実行されることにより、例えば以下の利点を生じる。
(1)遊技者が比較的注目しやすい液晶表示装置51の演出画像(ステージ画像)がある程度の頻度で変更されるため、遊技者が長時間にわたって遊技を継続していくうちにたびたびステージ移行(ステージの切り替え)が演出として起こり、それによって遊技者の目先を変えたり、気分をリフレッシュさせたり、遊技に取り組む意欲を再確認させたりすることができる。
(2)各「ステージa〜c」の画像によって表現されている内容はいずれも観念的に異なったものとなっており、そこから抽出される観念の重要度や緊迫感・緊張感等の大小によって遊技者に異なった印象や感情を起こさせることができる。このため遊技者は、「ステージa〜c」から抽出される観念的な内容と、現在の内部的な遊技様態(低確率遊技様態または高確率遊技様態)とを関連付けてとらえることにより、パチンコ機の内部遊技様態をあれこれと推測しながら期待感を高めることができる。さらには、遊技者がホールで台選びをする際に、現在表示されている「ステージ」画面を基準にして立ち回りをすることができる。
(3)しかも本実施形態では、現在選択されている「ステージa〜c」の内容だけでなく、各「ステージa〜c」が選択される頻度(優先度合)やその移行パターンの違い(例えば「ステージa」から「ステージb」へ移行するか、「ステージc」へ移行するかの違い)もまた内部的な遊技様態を判断する際の材料となる。このため、たとえ現状ではあまり緊迫感のない「ステージa(放牧ステージ)」が選択されていたとしても、そこから緊迫感の高まる「ステージc(パドックステージ)」に移行されることもあるため、それによって急に遊技者の期待感が高まったりする。
(4)またステージ移行は、例えば「短開放確変当り」や「短開放当り」のような当選結果を契機として行われる場合があり、「短開放確変当り」または「短開放当り」の当選時にアタッカ装置46が作動したことに遊技者が気付くと、それに応じてさらに液晶表示装置51の画面上でステージ移行(「ステージc」への切り替え)が発生することがある。この場合、遊技者は内部的に「確変」に移行したことを期待しながら、次の当選に向けて遊技意欲を維持し続けることができる。
(5)ただし、選択された「ステージa〜c」の観念的な内容と、そのときの内部的な遊技様態とが常に一致(または対応)しているとは限らないので、外見的な「ステージ」の内容から現在の遊技様態を察知することは容易でない。したがって、遊技者はますます探求心をかき立てられ、それによってパチンコ機に新たな面白みが付加されることになる。
(6)またステージ選択テーブルにおいては、低確率遊技様態のときに選択されやすい「ステージa(放牧ステージ)」と高確率遊技様態のとき選択されやすい「ステージc(パドックステージ)」とが区別されているが、高確率遊技様態のときに「ステージa(放牧ステージ)」に移行することもあれば、低確率遊技様態のときに「ステージc(パドックステージ)」に移行することもあるし、両方で重複して選ばれやすい「ステージb(調教ステージ)」が設定されているため、ステージ移行の傾向から低確/高確を見分けることは難しく、それによって内容的に深みのある演出が実現される。
(11−3.様態潜伏演出処理)
図22は、様態潜伏演出処理の具体的な内容を示している。ここでは先ず、遊技様態情報コマンドに基づいて高確率遊技様態であるか否かが判断される(ステップS301d)。このときコマンドパターンが高確率遊技様態を表すものであった場合(YES)と、そうでなかった場合(NO)とではその後の処理内容が異なったものとなる。
例えば、遊技様態が低確率遊技様態である場合は、特別図柄の変動開始に合わせて単発的な演出(追加画像による演出)がその都度行われるだけであるが、高確率遊技様態の場合は、上記の単発的な演出に加えて、最大で4回の特図変動まで同じ演出が連続して行われる(以下、「連続演出」と称する。)ことがある。このような「連続演出」は、1回の特別図柄の変動開始から次回の変動開始までを1回分の演出期間として考えたとき、複数回分の演出期間にわたって同一内容の演出が連続して行われるものであり、遊技中に「連続演出」に遊技者が接することで、遊技様態が自己に有利な高確率遊技様態であるかもしれないことを推測可能にしている。
上記の「連続演出」は、例えば連続演出フラグと、演出内容ごとに設定されるモード値の判別を用いたロジックを通じて実現されている。これら連続演出フラグおよびモード値は、サブ統合基板68において独自に取得される乱数によって値が振り分けられ、所定の格納エリア(RAM上)に格納される。
先ず、様態潜伏演出処理において高確率遊技様態であると判断されると(ステップS301d=YES)、次に連続演出フラグが「0」であるかが判断される(ステップS302d)。ここで用いられる連続演出フラグは、上記の「連続演出」を行うか否か、さらには「連続演出」を何回分の演出期間にわたって行うべきかを判断するためのものである。このため連続演出フラグの値が「0」であれば、それは「連続演出」が行われないことを意味し、逆に、連続演出フラグの値が「0」以外であれば、それは「連続演出」が行われることを意味するとともに、そのときのフラグ値によって「連続演出」の回数(例えば1回〜4回)が規定される。なお、ここでは「フラグ」と称しているが、連続演出フラグは残り回数の概念を持つため、実際には減算式のカウント値を用いることが好ましい。
未だ連続演出フラグに値が格納されていなければ(ステップS302d=YES)、次のステップS303dにおいてモード格納エリア内のモード値がクリアされた後、サブ統合基板68において演出抽選が実施され、その当落が判別される(ステップS304d)。ここでは、高確率遊技様態の場合の抽選確率(例えば8分の1)で様態潜伏演出を行うべきか否かの抽選が行われ、これに当選した場合(YES)は次に連続演出フラグの値が決定される(ステップS305d)。
以下の表18は、連続演出フラグの値を決めるための連続演出回数振り分けテーブルを示している。ステップS305dでは、例えばサブ統合基板68において独自に取得された乱数値(0〜255)に基づき、連続演出フラグに「01」〜「04」のいずれかの値が格納される。表中の右端欄に示されているように、連続演出フラグの値「01」〜「04」は、それぞれ「連続演出」の実行回数(1回〜4回)に対応している。
連続演出フラグに値が格納されると、次にモード格納エリア内のモード値が判断される(ステップS306d)。なお、実際にモード値を割り当てたり、格納したりする処理はこれより後のステップS307d,S309dで行われるが、その前のステップS306dでは、過去に実行されたステップS308dおよびステップS309dの結果から、モード記憶エリアにモード値が格納されてないかどうか(モード値=0?)が判断される。このときモード値が格納されていなければ(=0)、次にステップS307dに進んで演出内容の振り分けが行われる。
以下の表19は、高確率遊技様態の場合に用いられる演出振り分けテーブルを示している。この演出振り分けテーブルでは、例えばサブ統合基板68において独自に取得された乱数値(0〜255)に基づき、中欄のモード値が割り当てられるものとなっている。
また、表19からモード値が決定されると、それによって液晶表示装置51に表示される追加画像を用いた演出内容が決定される。例えば、モード値に「01」が割り当てられると、液晶表示装置51に表示されている演出場面に追加して画面上で「弱風が吹く」といった内容の演出画像が表示されることとなる。このため上記の「ステージa」でいうと、それまでは画面上に放牧中の競走馬が表示されていただけであるが(図15参照)、そこへ「弱風が吹く」内容の追加画像が表示されるので、見た目上の変化が現れるという効果が得られる。
次のステップS308dでは、モード値が20未満であるか否かが判断される。本実施形態では、例えばモード値が20未満であるものを「連続演出」で用いる演出内容として位置付け、逆に20以上のものを単発的な演出内容として区別している。モード値が20未満であれば(ステップS308d=YES)、それは次のステップS309dでモード記憶エリアに格納される。格納されたモード値は次回の特図変動(演出期間)まで持ち越され、次回の演出期間でも連続して利用可能となる。
演出実行処理(ステップS310d)では、現在格納されているモード値か、あるいは演出振り分けテーブルで決定された20以上の各モード値に対応した演出内容によって様態潜伏演出が実行される。したがって、前回の特図変動(演出期間)までに20未満のモード値が格納されていた場合、当該モード値で表される演出内容が繰り返し実行され、これによって「連続演出」が行われるものとなっている。これに対し、20以上のモード値は格納されず、1回の特図変動(演出期間)の演出に1度利用されると破棄される。
また、演出実行処理(ステップS310d)が実行されると、そこで連続演出フラグが1度数だけ減算される。「連続演出」の回数は、そのときの連続演出フラグの値で決定されるため、たとえ20未満のモード値が格納されていたとしても、連続演出フラグの値が「0」になると(ステップS302d=YES)、そこでモード値はクリアされる(ステップS303d)。
なお、連続演出フラグが「0」になっても、演出抽選に当選していない場合(ステップS304d=NO)は、既にモード値がクリアされているため、ステップS310dで特段の演出を行うことなく本ルーチンはリターンされる。
次に、遊技様態が低確率遊技様態である場合の処理について説明する。サブ統合基板68で受信されたコマンドパターンが高確率遊技様態を表すものでなければ(ステップS301d=NO)、次にステップS311dにおいて低確率遊技様態の場合の演出抽選が行われる。この演出抽選は、高確率遊技様態の場合よりも高確率(例えば4分の1程度)で実施され、これに当選した場合に低確率遊技様態の場合の演出が行われる。
演出抽選に当選すると(ステップS312d=YES)、上記のモード格納エリア内にモード値が格納されていないかどうかが判断される(ステップS312d)。モード値が格納されていなければ(YES)、次にステップS314dにおいて低確率遊技様態の場合の演出振り分けが行われる。以下の表20は、低確率遊技様態の場合に用いられる演出振り分けテーブルを示している。
表20で示される低確率時の演出振り分けテーブルでは、先の高確率時の演出振り分けテーブルと比較して20未満のモード値の割り当てが多くなっている(モード値03,04)。その代わりこの演出振り分けテーブルでは、20以上のモード値の割り当てが高確率時よりも少なくなっている。
モード値の割り当てによって演出内容が決定されると、先で説明した高確率遊技様態の場合の処理(ステップS308d)に合流し、そこでモード値が20未満であるか否かが判断される。このようなロジックが組まれているのは、高確率遊技様態の場合だけでなく、低確率遊技様態の場合にも同じ内容の演出が連続して行われる可能性を実現するためである。すなわち、上記の「連続演出」は高確率遊技様態の場合に特有の処理であるが、見た目上で高確率遊技様態の場合にだけ連続的な演出が行われるようにロジックを固定してしまうと、演出内容を注視している遊技者に内部遊技様態を看破されてしまい、面白味に欠ける。このため本実施形態では、低確率遊技様態の場合にも見た目上では単発的な演出が連続して出現するロジックを構築し、結果的に「連続演出」との見分けを付きにくくすることに成功している。
これにより、例えば表20の低確率時演出振り分けテーブルによってモード値に「02」が割り当てられると、ステップS308dの判断が肯定(YES)されてモード値「02」がモード格納エリアに格納される(ステップS309d)。この場合、今回の演出実行処理(ステップS310d)ではモード値「02」に対応した内容の「蝶々が1匹飛来」する追加演出が行われるが、ここで割り当てられたモード値「02」は次回の特図変動(演出期間)まで持ち越されることになる。
この後、次回の特図変動による演出に際して低確率遊技様態の場合の演出抽選に当選すると(ステップS311d=YES)、今度は既にモード値が格納されているためステップS312dの判断が否定(NO)される。この場合、今回の演出ではモード格納エリアに格納されているモード値「02」が適用されるので、前回と同じ内容の「蝶々が1匹飛来」する追加演出が行われることになる。
以上の処理が行われた場合、遊技者には見た目上で同じ演出が連続して発生したものと受け取られる。このため、高確率遊技様態の場合にだけ行われる「連続演出」との見分けが単純に付きにくくなり、それによって遊技者の想像力や探求心が強く刺激されることになる。
なお、低確率遊技様態の場合は演出抽選で落選すると(ステップS311d=NO)、その時点で格納されていたモード値がクリアされる(ステップS314d)。このため、見た目上で同じ演出が連続して発生するのは、予め20未満のモード値が格納されていて、かつ、連続して演出抽選に当選した場合だけとなる。ただし、演出抽選の確率を比較すると、低確率遊技様態(4分の1)の方が高確率遊技様態(8分の1)よりも2倍程度に高く設定されていることから、その分、低確率遊技様態の場合は比較的高い頻度で演出が発生することになる。さらに、低確率時の演出振り分けテーブルは、高確率時よりも20未満のモード値を多く保有しているため、それだけモード値が格納される頻度も高いといえる。この結果、本実施形態では低確率遊技様態の場合にも見た目上では単発的な演出が連続して出現し、結果的に「連続演出」との見分けが付きにくくなる。
以上が様態潜伏演出処理の具体的な内容であるが、次に液晶表示装置51に表示される画像の例を挙げながら説明する。以下の例では、基本的な演出場面として上記の「ステージa」が選択されている場合を想定している。
(11−3−1.高確率時・低確率時共通)
図24および図25は、高確率遊技様態および低確率遊技様態に共通して表示される演出画像の例を示している。先ず図24では、基本的な演出場面において表示されている競走馬の他に、追加画像として「蝶々が1匹飛来」する演出内容(モード値=「02」)が表示されている。実際の演出処理上、このとき追加画像として表示される「蝶々」は例えば画面の右側から出現し、競走馬の周囲をひらひら飛び回りながら動画的に表示される。
また図25では、競走馬の他に追加画像として「馬が2頭合流」する演出内容(モード値=「29」)が表示されている。これら2頭の「馬」は例えば画面の両側から出現し、競走馬の周囲をゆっくり回りながら動画的に表示される。なお、ここでは画像の例だけを示しているが、実際の演出では画像の動きに合わせて効果音等も出力される。
図24,25に示される演出画像の例は、例えば特別図柄の変動開始とともに表示されると、次の変動が開始されるまで表示され続ける。特に図示されていないが、この他にも高確率時・低確率時に共通する演出画像例として、上記の「弱風が吹く」ものや、「強風が吹く」ものがある。
図24の演出画像例は、高確率遊技様態で「連続演出」の対象となっているため、この演出画像例は連続演出フラグの値(01〜04)に対応する変動回数だけ連続して表示されることになる。ただし、低確率遊技様態で図24の演出画像例が選ばれると、これに対応するモード値「02」がモード格納エリアに格納されるため、低確率遊技様態であっても、続けて演出抽選に当選した場合は複数回の変動にまたがって連続的に表示され続けることになる。このため、見た目上で図24の演出画像例が連続して表示されただけでは、それが高確率時の「連続演出」によるものであるのか、それとも低確率時にたまたま連続したのかを判別することは容易でない。
この後、図24の演出画像例が表示されている状態で、高確率遊技様態の場合に連続演出フラグが「0」になるか、あるいは低確率遊技様態の場合に演出抽選に落選すると、いずれのもモード値がクリアされるため、その後の演出実行処理(ステップS310d)において追加画像は消去される。
(11−3−2.低確率時)
図26から図28は、低確率遊技様態で表示される演出画像の例を示している。先ず図26では、基本的な演出場面において表示されている競走馬の他に、追加画像として「蜂が1匹飛来」する演出内容(モード値=「03」)が表示されている。ここでも同様に、追加画像として表示される「蜂」は例えば画面の左側から出現し、競走馬の周囲をぶんぶん飛び回りながら動画的に表示される。同様に図27では、競走馬の他に追加画像として「蜂が3匹飛来」する演出内容(モード値=「27」)が表示されている。
また図28では、競走馬の他に追加画像として「馬が1頭合流」する演出内容(モード値=「04」)が表示されている。この「馬」は例えば画面の右側から出現し、競走馬の周囲をゆっくり回りながら動画的に表示される。図28の演出画像例は、対応するモード値が20未満であるため、低確率遊技様態において連続的に表示される可能性がある。
(11−3−3.高確率時)
特に図示していないが、高確率遊技様態の場合だけに表示される演出画像例として、上記の表19中に示されている「花火が打ち上げられる」ものや「白馬が合流」するもの、はたまた「UFOが出現」するもの等がある。これら演出内容は出現率(振り分け率)が極めて低く設定(256分の1〜256分の2程度)されているため、いわゆる「プレミアム的」な演出としての位置付けとなっている。これらプレミアム演出が表示された場合は、それだけで高確率遊技様態であることが確定するため、プレミアム演出に接しただけで遊技者の期待感はいよいよ現実のものとなり、いきおい遊技に対するモチベーションも高まることになる。
このように本実施形態では、通常的に演出画像からは容易に内部遊技様態が判別できなくなっているが、その代わり極稀に高確率遊技様態であることを確定させる演出(いわゆる「鉄板画像」)が出現することもあるため、遊技者にとってはプレミアム演出を目撃するといった本来の遊技目的とは別の面白みも加わっている。
(11−3−4.内部遊技様態降格時)
上記のように高確率遊技様態の場合は「連続演出」が行われるが、連続演出フラグが「0」になる前に様態維持抽選で落選し、「連続演出」の途中で低確率遊技様態に転落することもあり得る。例えば、図24の演出画像例(「蝶々が1匹飛来」)を用いて「連続演出」が行われていた場合を想定する。このときの連続演出フラグの値が「03」であったとすると、ロジック上はモード値「02」が格納されたまま持ち越されるので、高確率遊技様態が続く限り、あと残り3回分の特図変動まで「連続演出」が継続して行われることが予定されている。
この途中で内部遊技様態が降格されてしまうと、ロジック上でステップS301dの判別結果が反転(YES→NO)してしまうことになるが、この場合であっても本実施形態では継続して演出画像を表示することが可能である。例えば、図23中のステップS301dより先にステップS302dの判断が実行されるようにロジックを組み替えれば、連続演出フラグが「0」になるまでの間は格納中のモード値「02」を用いてそのまま演出実行処理(ステップS310d)を行うことができる。この場合、見た目上は特に何事もなかったかのように同じ演出画像が表示されるので、演出画面の変化から内部遊技様態の降格・転落が生じたことは察知されにくい。
(11−3−5.様態潜伏演出処理のまとめ)
本実施形態では上記の様態潜伏演出処理(図23)が実行されることにより、例えば以下の利点を生じる。
(1)表19,表20の各振り分けテーブルに示されているように、本実施形態では個々の演出態様(モード値とそれに対応する追加画像の内容)が低確率遊技様態または高確率遊技様態のいずれか一方に種類分けして対応付けられている(第1種演出態様、第2種演出態様)。したがって、遊技者が1つ1つの演出態様を注意深く観察することで、表示される追加画像の種類から現在の内部的な遊技様態を推測できる余地が残されている。
(2)ただし、高確率時の演出振り分けテーブル(表19)と低確率時の演出振り分けテーブル(表20)とでは、部分的に内容の重複(例えばモード値01,02,28,29)が設けられており、ときには両方に共通した追加画像が表示されることがあるため、演出動作をヒントにした遊技様態の推測は一筋縄ではいかない。したがって、遊技者はますます演出動作に興味深く引きつけられ、それによって長らく遊技意欲の減退を抑えることができる。
(3)さらに本実施形態では、高確率時にのみ行われる連続演出(複数回の変動にわたって同じ追加画像が表示され続ける)の仕様が用意されており、このような連続演出に接することで、遊技者が「もしかしたら確変中(高確率)かもしれない」との期待感を高められるものとなっている(いわゆる「熱い演出」)。
(4)しかしながら、一部の演出内容(モード値20未満)については、低確率時においてもたまたま連続的に表示される可能性があるため、単純に同じ内容の追加画像が連続して表示されたからといって、それが直ちに「確変」を表すことにはならない。このため遊技者は、連続的な追加画像による様態潜伏演出に接することで一応は「確変」を期待しつつ、その反面でやはり低確率時の演出(いわゆる「ガセ演出」)かもしれないと内心で覚悟しながらその後の遊技を継続することができる。
(11−4.変動演出処理)
図29は、変動演出処理の内容を具体的に示している。本実施形態では、例えば特別図柄の変動表示に同期して何らかの演出が行われるものとなっているが、必ずしも特別図柄に同期している必要はない。
変動演出処理の内容は、例えば特別図柄の変動に合わせて一連のストーリーに沿って動画的な演出表示を行うというものであり、実際には液晶表示装置51の画面上に演出場面として表示されている画像を基本として、そこに何らかの動画が追加して表示されたり、画面が切り替わってストーリーが展開されたりする。以下の例では、基本的な演出場面として上記の「ステージa」が選択されている場合を想定している。
変動演出処理では、先ず特別図柄の抽選結果が「大当り」であるか否かが判断される(ステップS401d)。ここでの判断は、上記の特別図柄当落情報コマンド(18H:01H〜05H)に基づいて行われる。特別図柄の抽選結果が「大当り(通常大当り、確変大当り)であれば(YES)、大当り演出態様設定処理(ステップS402d)に進み、「大当り」以外(短開放確変当り、短開放当り、はずれ)であれば(NO)、非大当り演出態様設定処理(ステップS403d)に進む。
(11−4−1.非大当り演出態様設定処理)
非大当り演出態様設定処理(ステップS403d)では、サブ統合基板68において独自に取得された変動演出用カウンタの値に基づき、最初に変動演出そのものを実行するか否かの抽選が行われる。抽選確率(演出出現率)は、そのときの特別図柄変動情報コマンドのモード別で異なる。具体的には、特別図柄の通常変動によって比較的短い変動時間が設定されている場合は抽選確率が低く設定されており、そこから変動時間の設定が長くなるほど、抽選確率は高くなるように設定されている。
このため、特別図柄の抽選ではずれた場合は、その全ての図柄変動に合わせて演出が行われるわけではなく、ときには演出が全く出現しない場合がある。これにより遊技者は、従来のように大当りに無関係な演出を毎回のように見せられるといった不具合が回避される。その一方で、「短開放確変当り」や「短開放当り」の場合にも同じく非大当り演出態様設定処理が適用されるので、実際にこれらの利益が付与された場合であっても、単純に演出内容を見ただけでは「短開放確変当り」や「短開放当り」になったことを遊技者が察知しにくい仕様となっている。
以下の表21は、特別図柄変動コマンドで表されるモードが「01H」または「02H」の時に用いられる演出態様振り分けテーブル01を示している。表中の左端欄は変動演出用カウンタ(0〜255)の範囲を表しており、サブ統合基板68において取得されたカウンタの値が0〜31である場合(256分の32=8分の1の出現率)、そのときのカウンタ値に基づいて、表中の中欄に規定されるモード値(01〜03)が割り当てられるものとなっている。
図30は、表21中のモード値「01」に対応した演出内容を表す演出画像例を示している。この図30では、基本的な演出場面(放牧中の競走馬)の他に、追加画像(動画像)として「軽トラックが走ってきて、通り過ぎる。」という一連のストーリーを有する演出内容が途中まで表示されている。実際の演出処理上、このとき追加画像として表示される「軽トラック」は例えば画面の左側から出現し、画面奥(競走馬の後方)を左から右へ横切るようにして動画的に表示される。
図31は、表21中のモード値「02」に対応した演出内容を表す演出画像例を示している。この図31では、基本的な演出場面の他に、追加画像(動画像)として「軽トラックが走ってきて、一旦停まるが行ってしまう。」という一連のストーリーを有する演出内容が途中まで(一旦停止したところまで)表示されている。
図32は、表21中のモード値「03」に対応した演出内容を表す演出画像例を示している。この図32では、基本的な演出場面の他に、追加画像(動画像)として「軽トラックが走ってきて、一旦停まり、車から人物が降りて誰かと会話するが、行ってしまう。」という一連のストーリーを有する演出内容が途中まで(会話するところまで)表示されている。
これら図30〜図32に示される演出画像の例は、例えば特別図柄の変動開始から停止までの時間内で表示される。なお、特別図柄の変動パターンコマンド中、モード「01H」と「02H」とでは変動タイマの秒数が異なる(6500msまたは8500ms)が、モード値「03」に対応した演出内容では、「人物が誰かと会話する」ところで演出時間の調整が可能である。また、ここでは画像の例だけを示しているが、実際の演出では画像の動きに合わせて効果音等も出力される。
続いて、以下の表22は、はずれ変動時のコマンドパターンで表されるモードが「03H」または「04H」の時に用いられる演出態様振り分けテーブル02を示している。このテーブル02では、サブ統合基板68において取得されたカウンタの値が0〜223である場合(256分の224=8分の7の出現率)、そのときのカウンタ値に基づいて表中の中欄に規定されるモード値(01〜07)が割り当てられるものとなっている。なお表22中、モード値「01」〜「03」は上記の表21と同じ演出内容である。
図33〜図36は、表22中のモード値「04」に対応した演出内容を表す一連の演出画像例を示している。なお、図33の演出画像が表示される前に、先で説明した図30〜図32までの一連の演出画像が表示される。
先ず図33では、一連の演出画像のうち「吹き出しが出て競走馬をレースへ誘う」という部分の演出内容が表示されている。ここでは人物(馬主を模したキャラクタ)の台詞が吹き出し中に文字表記されているが、合わせてスピーカ14,36等から音声が出力されてもよい。
また図34および図35では、一連の演出画像のうち「競走馬が寝坊し」という部分の演出内容が連続で表示されている。例えば、図34では競走馬が寝床で布団をかぶったまま、目覚まし時計の音にも気付かずに熟睡している様子が描かれている。また図35では、ようやく目が覚めた競走馬が時計の針が指す時刻に驚愕し、レースの出走時間に寝過ごした様子がコミカルに描かれている。そして図36では、「競走馬が寝坊し」という一連のストーリーの最後を締めくくる演出内容(いわゆるオチ、結末画面)が表示されている。この図36では、競走馬が時間に遅れて競馬場に到着したものの、もはや入場が閉め切られてしまって中に入ることができず、絶望感に打ちひしがれている様子がコミカルに描かれている。
上記のような一連の演出画像に接することで、遊技者は途中あたり(図33)まで大当りへの期待感を僅かに高揚させることができるが、その後のストーリー展開から、実は抽選にはずれたことを面白おかしく認識することができる。
ここでは図示していないが、表22中のモード値「06」,「07」に対応した演出内容を表す演出画像は、例えば上記の「軽トラック」の画像を「馬匹運搬車」の画像に置き換えたものとして考えることができる。ただし演出の性質上は、「軽トラック」が出現するよりも「馬匹運搬車」が出現したときの方がいわゆる「信頼度」が高いものとなっている。すなわち、本実施形態では演出上の主人公が「競走馬」であることから、「馬匹運搬車」の出現によって「競馬場への輸送が行われる」という観念が想起され、そこから「レースに発展するかもしれない」といった期待感がもたらされるからである。したがってこれ以降も、演出上で「軽トラック」よりも「馬匹運搬車」が出現したときの方がより「信頼度」が高く、また、「レースに寝坊する」状況よりも「レースに出走する」状況が出現したときの方がより「信頼度」が高いものとして考えればよい。
以下の表23は、はずれ変動時のコマンドパターンで表されるモードが「05H」または「06H」の時に用いられる演出態様振り分けテーブル03を示している。このテーブル03では、サブ統合基板68において取得されたカウンタの値が0〜239である場合(256分の240=16分の15の出現率)、そのときのカウンタ値に基づいて表中の中欄に規定されるモード値(01〜08)が割り当てられるものとなっている。なお表23中、モード値「03」は上記の表21と同じ演出内容であり、またモード値「04」,「06」,「07」は上記の表22と同じ演出内容である。
図37〜図41は、表23中のモード値「05」に対応した一連の演出内容の一部を表す演出画像例を示している。なお、図37の演出画像が表示される前に、先で説明した図30〜図33までの一連の演出画像が表示される。
先ず図37では、一連の演出画像のうち「競走馬がレース(出走)へ」という部分の演出内容が表示されている。ここでは主人公となる競走馬を含めて、全ての出走馬が一斉にゲートインしている様子が描かれている。
また図38や図39、図40では、一連の演出画像のうち「レース中」の演出内容が表示されている。具体的には、先ず図38では、レーススタート直後に他の馬が先頭を切って駆け抜ける様子が臨場感のある構図(手前から見たアングル)で描かれている。また図39では、コーナーに差しかかって多数の馬が激しく競り合う様子が迫力のある構図で描かれている。次の図39では、いよいよ最後の直線で各馬がスパートをかけている様子が遠目から描かれている。
そして図40では、「競走馬がレースで負け」という一連のストーリーの最後を締めくくる演出内容が表示されている。この図40では、競走馬が一着をとれず、疲れ果てて伸びている様子がコミカルに描かれている。また画面上、「競走馬がレースで負け」たことをより明確にアピールするため、例えば「負け」を意味する英語の「LOSE」が文字表示されている。
上記のような一連の演出画像に接することで、遊技者は途中あたり(図40)まで大当りへの期待感をかなりのところまで高揚させることができるが、結末画面(図41)の内容から、抽選にはずれたことを面白おかしく認識することができる。
ここでは図示していないが、表23中のモード値「08」に対応した演出内容を表す演出画像は、例えば上記の「軽トラック」の画像を「馬匹運搬車」の画像に置き換えたものとして考えることができる。
なお、非大当り演出態様設定処理において、各振り分けテーブルでカウンタ値からモード「04」,「05」,「07」,「08」の演出内容が選ばれた場合、それぞれの演出終了後に上記のステージ移行条件(図18中のステップS203d)が満たされる。これにより、演出画像のストーリー上で一定の区切りがついたことを契機としてステージ移行が発生するので、そこで遊技者が気持ちを入れ替えて遊技に取り組み直すことができる。また、特別図柄の抽選結果がはずれではなく、「短開放確変当り」または「短開放当り」であった場合(コマンドパターン=18H:04H,05H)は、演出上で「レースには負けるが、2着になる」といったストーリーが与えられている態様が好ましい。このような演出内容に接することで、遊技者は「もしかしたらチャンス(遊技様態の昇格)であるかもしれない」との期待感を抱き、そこからさらに熱心に遊技に取り組むことができる。
以上は、非大当り演出態様設定処理(ステップS403d)において行われる演出処理の内容である。これに対し、当り演出設定処理(ステップS402d)では以下の演出が行われる。
(11−4−2.当り演出態様設定処理)
上記の非大当り演出態様設定処理では、最初に変動演出そのものを実行するか否かの抽選が行われていたが、大当り演出態様設定処理では必ず変動演出が実行されるものとなっている。なお、「大当り」の場合は特別図柄の変動タイマが比較的長時間(最長で60000ms)に設定されているため、それだけ大がかりな演出の実施が可能となっている。
以下の表24は、特別図柄変動情報コマンドで表されるモードが「11H」または「12H」の時に用いられる演出態様振り分けテーブル11を示している。表中の左端欄は変動演出用カウンタ(0〜255)の範囲を表しており、サブ統合基板68において取得されたカウンタの値の全てについて(256分の256=1分の1の出現率)、表中の中欄に規定されるいずれかのモード値(11〜13,16)が割り当てられる。
図42〜図44は、表24中のモード値「11」に対応した演出内容を表す一連の演出画像例を示している。なお、図42の演出画像が表示される前に、非大当り演出態様設定処理で説明した図30および図31による演出画像が表示される。また図31については、画面上で「軽トラック」がバックしながら戻ってくる態様が考えられる。そして図43の演出画像が表示される前に、同じく非大当り演出態様設定処理で説明した図37〜図40までの一連の演出画像(あるいは図37〜図40にそれぞれ近似した特別の演出画像)が表示される。
このうち図42では、一連の演出画像のうち「特別レース招待(大当り)へ」という部分の演出内容が表示されている。ここでは、これから特別レース(例えば重賞競争)が開かれる競馬場と、特別レースのタイトルを表す「GIビクトリーカップ」の文字が表記されている。この後、先で説明した図38や図39、図40により、一連の演出画像のうち「レース中」の演出内容が表示される。
図43では、「競走馬が特別レースで勝つ」という一連のストーリーの山場となる演出内容が表示され、さらに図44では、ストーリー上のクライマックスを迎える演出内容が表示されている。先ず図43では、競走馬が他の馬とゴール手前で激しい一着争いを展開し、まさに決勝線に向けて鼻先を突き出そうとしている様子が緊迫感を持って描かれている。そして図44では、最終的に競走馬がレースで一着になり(確定)、騎手とともに喜びながらウィニングランをしている様子が晴れ晴れしく描かれている。
上記のような一連の演出画像に接することで、遊技者は最初のうち(図30〜図32)は大当りへの期待感を僅かしか高めていなかったが、特別レース画面に突入したあたり(図42)で大きく期待感を高まらせ、ゴール手前まで演出が進むと(図43)その期待感は最高潮となる。そして、ストーリー上で一着が確定することにより(図44)、それまで遊技者が高めてきた期待感は達成感や満足感へと昇華され、この後に行われる大当り遊技への意気込みへと気持ちを切り替えることができる。
ここでは図示していないが、表24中のモード値「12」に対応した演出内容である「軽トラックが走ってきて、一旦停まるが行ってしまう」までの部分の演出画像は、先の非大当り演出態様設定処理で説明した表22中のモード値「02」と同じ(またはこれに近似した演出画像)である。また、表24中のモード値「13」に対応した演出内容である「軽トラックが走ってきて、一旦停まり、車から人物が降りて誰かと会話するが、行ってしまう」までの部分の演出画像は、先の非大当り演出態様設定処理で説明した表22中のモード値「03」と同じ(またはこれに近似した演出画像)である。なお、表24中のモード値「16」に対応した演出内容については、上記の「軽トラック」の画像を「馬匹運搬車」の画像に置き換えたものとして考えることができる。
また、以下の表25は、特別図柄変動情報コマンドで表されるモードが「13H」,「14H」または「15H」の時に用いられる演出態様振り分けテーブル12を示している。この表25でも同様に、取得されたカウンタの値の全てについて(256分の256=1分の1の出現率)、いずれかのモード値(14,15,17〜19,21)が割り当てられる。
ここで、表25中のモード値「14」に対応する演出内容については、いずれも先で説明した演出画像(例えば図30〜図35)により、「軽トラックが走ってきて〜競走馬は寝坊する」までの部分の演出内容をカバーすることができる。ここでは図示していないが、その後の「レースに間に合い」の部分の演出内容については、例えば図35と図37との間に別のつなぎの演出場面を挿入したり、あるいは音声によるナレーション等を流したりすることでカバーできる。
また、表25中のモード値「15」に対応する演出内容については、先で説明した表23中のモード値「05」に対応する演出内容の前段部分(「軽トラックが走ってきて〜レースへ」)に続けて、例えば図37〜図40、図43、図44で表される演出画像を用いることでカバーすることができる。
次に、表25中のモード値「17」に対応する演出内容については、先で説明した表24中のモード値「13」に対応する演出内容の前段部分(「軽トラックが走ってきて〜戻ってきて」)に続けて、例えば図37〜図40、図43、図44で表される演出画像を用いることでカバーすることができる。なお「軽トラック」については、これを「馬匹運搬車」の画像に置き換えて考えればよい。
表25中のモード値「18」,「19」に対応する演出内容については、それぞれ上記のモード値「14」,「15」に対応する演出内容について、「軽トラック」を「馬匹運搬車」の画像に置き換えて考えればよい。
そして、表25中のモード値「21」に対応する演出内容については、ひとまずは先で説明した表23中のモード値「08」に対応する演出内容の前段部分(「馬匹運搬車が走ってきて〜レースで負け」)を用いることができる。ここまでの演出内容に一通り遊技者が接すると、その段階で遊技者は「はずれ」を覚悟しているが、そこから画面上で特別稀少な演出画像として特別なキャラクタ(例えば「伝説の名馬」のようなキャラクタ)が表示され、そのまま一気に大当りへ発展するといった手の込んだ演出(いわゆる「逆転演出」)に接することができる。これにより、遊技者は大当りを獲得できたことへの満足感に加えて、極めて稀少な演出画像を目撃したことによる別の満足感をも得ることができる。
そして、以下の表26は、特別図柄変動情報コマンドで表されるモードが「16H」の時に用いられる演出態様振り分けテーブル13を示している。この表26では取得されたカウンタの値の全てについて(256分の256=1分の1の出現率)、同じモード値「22」が割り当てられる。
なお、特別図柄の抽選において、コマンドパターンのモードが「16H」となるのは確率的にみて極めて低い(65536分の2)ことから、この場合は演出画像にもさらに稀少な内容が割り当てられている。
特に図示されていないが、モード値「22」の演出内容は、これまでとは趣が異なったものとなっている。すなわち、大当り演出態様設定処理でモード値「22」が選択された場合であっても、そこから最初の10秒間は特段の演出(演出画像の表示)が行われず、例えば「ステージa」の基本的な演出場面が淡々と表示され続ける。そこへきて、画面上でいきなり競走馬が牧草地の柵を撃ち破り、いずこへか一目散に激走する演出画像に切り替えられる。そしてこの後、「競走馬が既に行われているレースに飛び入りのような形で割り込み、そのまま一着でゴールインしてしまう」という一連のストーリーが展開される。
このような稀少な演出内容に接することで、遊技者は急激な演出の展開に驚き、今までにない期待感の高揚に見舞われる。また、モード値「22」の演出内容は極めて稀にしか出現することがないため、遊技者は大当りを獲得できたことへの満足感に加えて、極めて稀少な演出を目撃したことによる別の満足感をも得ることができる。
なお、実際に「大当り」になると、ラウンド中(条件装置作動中)は競走馬が特定のレース(例えば、世界的に有名なレース)に出走している画像がラウンドごとに表示される。また、たとえ大当りでもレースで負ける演出画像を表示させておき、いきなり特定のレースに招待されるストーリーの演出内容を展開することで、突然の大当りが発生する演出を行うこともできる。
(11−4−3.変動演出処理のまとめ)
本実施形態では上記の変動演出処理(図29)が実行されることにより、例えば以下の利点を生じる。
(1)本実施形態では、始動入賞等を契機とした図柄抽選が行われると、その当落結果の発表までの過程(変動過程)を一連のアニメーション画像(追加動画像)によって演出的に表現している。このため、従来の装飾図柄(特別図柄に対応した装飾的な図柄)による変動とは異なり、当落結果をアニメーション画像のストーリーになぞらえて多彩に表現することができる。
(2)また、抽選にはずれた場合(表21〜表23)と当たった場合(表24〜表26)とで変動演出の内容が区別されているが、1つ1つの演出内容には、一連のストーリー展開が進行していく上で部分的な重複が見られる。例えば、表21中、はずれ変動時に選択されるモード値01〜03の演出内容と、表24中、当り変動時に選択されるモード値11〜13の演出内容とを1つ1つ対比すると、最終的なストーリーの結末は異なっているが、モード値11〜13の前半部分の演出内容とモード値01〜03の演出内容が重複していることがわかる。このため遊技者は、最初から明らかにはずれと分かる内容の変動演出を見せられることがなく、最後まで抽選結果の発表に期待しながら演出を楽しむことができる。
(3)さらに、本実施形態では「通常大当り」になる場合と「確変大当り」になる場合とで演出内容が区別されていないので、たとえ大当りになった場合でも、遊技者はいずれの大当り(通常大当りまたは確変大当り)に当選したのかを演出内容から見分けることができない。これにより、当選結果に関する情報や遊技様態に関する情報の秘匿がより確実なものとなる。