JP4576532B2 - タンタル酸カリウム微結晶の製造方法 - Google Patents

タンタル酸カリウム微結晶の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、強誘電特性を有するタンタル酸カリウム微結晶の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、新規なタンタル酸カリウム微結晶を効率よく製造する方法に関するものである。本発明は、強誘電体・圧電体材料としての機能が注目されているタンタル酸カリウムの合成方法及びその製品の技術分野において、従来法では、例えば、固相反応による合成方法や高濃度のアルカリ水溶液を使用する合成プロセスが採用されており、多量の熱エネルギーの消費や環境負荷などの問題があったことを踏まえ、それらの諸問題を抜本的に解決することが可能な低環境負荷型の合成プロセスを確立することを目的として開発されたものである。
本発明は、良好な圧電特性を有するペロブスカイト型のタンタル酸カリウム微結晶を合成することが可能な、新規なタンタル酸カリウム微結晶の製造方法を提供し、強誘電体・圧電体デバイス用タンタル酸カリウム微結晶及び薄膜、及びその応用製品を提供することを可能とするものであり、本発明は、新しいデバイス用タンタル酸カリウム微結晶素材の合成技術を提供することで、当該技術分野における新技術・新産業の創出に資するものとして有用である。
圧電体は、例えば、通信用フィルターやマイクロプロセッサーの発振子、インクジェットプリンターヘッド用のアクチュエーター、液晶ディスプレイのバックライト用トランスなど、広い用途に用いられており、情報化社会において、その需要はますます増加している。また、該圧電体は、自動車においても、例えば、ナビゲーション用ジャイロ、衝撃センサー、及びノッキングセンサーなど、様々な用途に使用されている。
これまで、圧電セラミックス材料用の物質として、例えば、Pb(Zr,Ti)O、SrBiNb、CaBiTi15、(Li,Na)NbO、(K,Na)NbO)、(Ba,Sr)NaNb15、(Bi,Na)TiO、ZnOなど、数多くの結晶が、研究され、その多くは実用化されている。これらの圧電体結晶の利用の一つとして、その共振子素子としての利用がある。
タンタル酸カリウムは、強誘電体材料として、マイクロ波回路の制御系や高温Tc超伝導体の成長のための基板としての応用が注目されている。ペロブスカイト型KTaOは、希土類元素をドープすることにより高温プロトン伝導体として、燃料電池や湿度センサーとしての応用が期待される。また、この材料は、高温Tc超伝導体用の基板材料及びDRAM用キャパシターとして用いられる(特許文献1参照)。通常、タンタル酸カリウムは、炭酸カリウムと酸化タンタル粉末を原料として固相反応により合成されている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。この際、650℃以上の高温の加熱処理が必要であり、多量の熱エネルギーを要することから、固相合成操作に代わる穏和な条件下での合成プロセスの開発が望まれている。
水熱合成法は、1000℃を越える固相合成法で生成するものを、より穏和な温度条件下で合成できるようにし、また、生成物も均質な微結晶として得られるなど、有利な点があり、注目されている。水熱反応を利用したタンタル酸カリウム微結晶の合成例としては、出発物質として酸化タンタルを用い、水酸化カリウム水溶液中、200℃の条件下で反応させると、タンタル酸カリウムKTaOが生成することが報告されている(非特許文献3参照)。しかし、この種の方法では、合成の際に使用する水酸化カリウム水溶液の濃度は、7M以上の高濃度であり、合成条件として強アルカリ性であることが必要とされることに加え、製造後の廃水処理の問題として、高濃度のアルカリ水溶液は、環境負荷の原因となることから、環境負荷の少ない低濃度の水酸化カリウム水溶液の使用が望まれる。
特開平8−195328号公報 Applied Physics Letters,Vol.68,pp.1488(1996) Physica C,Vol.282−287,pp.111(1997) J.Mater.Res.,Vol.17,No.12,pp.3168−3176(2002)
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、タンタル酸カリウムの合成工程における上述の諸問題を抜本的に解決して低環境負荷型の合成プロセスを確立することを可能とするとともに、電子・光学材料として、実用化レベルで使用することが可能な新しいタンタル酸カリウム微結晶及び薄膜材料の合成プロセスを開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、酸化タンタルを、低濃度の水酸化カリウム水溶液とともに超臨界水熱条件下で処理することにより、強誘電特性に優れたペロブスカイト型タンタル酸カリウム微結晶が得られることを見出し、この知見に基づいて更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
本発明は、従来の製造手法が持つ欠点を克服し、環境への負荷が少なく、経済的に有利に、かつ、簡単な操作で、強誘電特性を有するペロブスカイト型タンタル酸カリウム微結晶を製造し得る、新しいタンタル酸カリウム微結晶及び薄膜の製造方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、更には、強誘電・圧電特性を有すタンタル酸カリウム微結晶・薄膜及びその応用製品を提供することを可能とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)酸化タンタルを、低濃度の水酸化カリウム水溶液と混合して、超臨界水熱条件下で処理することを特徴とする、基本構造が、次の一般式;
Ta・xKO (式中、xは、0.9〜1.1の数である。)
で表される、タンタル酸カリウム微結晶の製造方法。
(2)タンタル酸カリウムの結晶構造が、ペロブスカイトである、前記(1)に記載のタンタル酸カリウム微結晶の製造方法。
(3)水酸化カリウムを、タンタル酸カリウムに必要な化学量論比以上に過剰に混合する、前記(1)に記載のタンタル酸カリウム微結晶の製造方法。
(4)低濃度の水酸化カリウム水溶液の濃度が、0.1〜2.0Mである、前記(1)に記載のタンタル酸カリウム微結晶の製造方法。
(5)超臨界水熱条件下で処理する際に、温度が400〜600℃、圧力が20〜50MPaである、前記(1)に記載のタンタル酸カリウム微結晶の製造方法。
(6)(100)単結晶基板を種結晶に用いることにより、ペロブスカイト型タンタル酸カリウムエピタキシャル薄膜を作製する、前記(1)に記載のタンタル酸カリウム微結晶の製造方法。
次に、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明は、基本構造が、次の一般式;
Ta・xKO (式中、xは、0.9〜1.1の数である。)
で表される、強誘電特性を示すタンタル酸カリウム微結晶を、酸化タンタルを低濃度の水酸化カリウム水溶液と混合して、超臨界水熱条件下で処理することにより製造することを特徴とするものである。
すなわち、本発明の前記タンタル酸カリウム微結晶は、酸化タンタル粉末を、低濃度の水酸化カリウム水溶液とともに超臨界水熱条件下で水熱処理し、得られたスラリーを濾過し、濾別された生成物を水洗後、乾燥させることにより製造される。ここで、低濃度の水酸化カリウム水溶液としては、好適には、例えば、0.1〜2.0Mの水酸化カリウム水溶液が用いられる。このようにして得られた、前記一般式で表される基本構造を有するタンタル酸カリウム微結晶複合酸化物は、良好な強誘電・圧電特性を有している。
本発明において、タンタル酸カリウム微結晶は、酸化タンタルを水酸化カリウム水溶液中で超臨界水熱条件下にて水熱処理工程を施すことにより製造することができるが、この場合、カリウムの添加量は、タンタル酸カリウム(KTaO)に必要な化学量論量比以上とすることが好適である。本発明では、先ず、水酸化カリウム水溶液に、酸化タンタル粉末を添加し、懸濁溶液を調製するか、あるいは、酸化タンタル懸濁溶液に、水酸化カリウム水溶液を滴下して懸濁溶液を調製する。酸化タンタルを水酸化カリウム水溶液と混合する際の、タンタルに対するカリウムの原子比(K/Ta)の値は、1.5以上、好ましくは3以上である。
得られた懸濁溶液は、例えば、オートクレーブなどの密封容器を用い、超臨界水熱条件下で水熱処理を行う。ここで、超臨界水熱条件とは、水の臨界点(374.1℃、22.1MPa)より高温高圧の条件であり、気液が共存する2相の状態ではなく、溶質を溶解する点では液体的な挙動を、密度の可変性という点では気体的な挙動を示す高密度流体の状態を意味する。すなわち、水熱処理は、亜臨界ないし超臨界水熱条件下、具体的には、共存する水酸化カリウム濃度により臨界点がシフトするため、概して温度400℃以上、圧力20MPa以上の条件下、好適には温度が400〜600℃、圧力が20〜50MPaの条件下で実施される。
水熱処理をした後の懸濁溶液から生成物を濾別し、水洗により副生溶解質を除去する。次いで、水洗した生成物を乾燥させる。乾燥には、一般的な乾燥機や乾燥剤の入ったデシケータを用い、例えば、室温ないし50℃で乾燥する。また、生成物は、スプレードライ方式あるいは凍結乾燥方式によっても乾燥させることができる。乾燥前に、任意の形状に成形した後、乾燥することも適宜可能である。得られた生成物は、微結晶の形態を示す。
タンタル酸カリウム微結晶は、例えば、SrTiO,CaCO,MgAl,LaAlO,MgO,YSZ,Ge,Si,GaP,InAsなどの(100)単結晶基板を種結晶に用いることにより、ペロブスカイト型タンタル酸カリウムエピタキシャル薄膜として作製することができる。本発明において、薄膜とは、(100)単結晶基板上に、タンタル酸カリウム微結晶が(100)方向に成長してできたものであり、結晶面が配向した数十nmからサブミクロンの厚さを有する膜であることを意味する。本発明により、ペロブスカイト型の結晶構造を有するタンタル酸カリウム微結晶又は薄膜が得られる。このようにして得られたタンタル酸カリウム微結晶は、化学分析、X線回折、熱分析、走査型電子顕微鏡などによる測定等によって確認することができる。例えば、化学分析により、K/Ta原子比(x値)を得ることができる。結晶相の同定は、X線回折により、結晶粒子の大きさは、走査型電子顕微鏡観察により確認することができる。
本発明のタンタル酸カリウム微結晶の生成は、例えば、X線回折測定により容易に確認することができる。例えば、銅管球、ニッケルフィルターを使用して測定した場合、生成物は、2θ=22.3°、31.7°、39.1°、45.4°、51.2°、56.5°及び66.2°などに、それぞれ立方晶タンタル酸カリウム(KTaO:JCPDS38−1470)の(100)、(110)、(111)、(200)、(210)、(211)及び(220)回折線に対応するピークが認められる。
これらについては、処理温度、処理時間などの合成条件により、回折線のパターン及びピーク強度が変化し、例えば、パイロクロア型立方晶タンタル酸カリウムに対応する回折線パターンが得られる。(110)回折線の半価幅から、結晶子の大きさを見積もることができる。本発明のタンタル酸カリウムの形態は、走査型電子顕微鏡によって、数10μm程度の微結晶として観察され得る。
本発明の製造方法で得られるタンタル酸カリウム微結晶又は薄膜は、ペロブスカイト型の結晶構造を有し、不揮発メモリーに必須な強誘電体の分極特性、マイクロ波周波数域での周波数選択性及び温度安定性、更に大きな抗電界特性や高Tc(キュリ−温度)超伝導体の転移温度近傍での非線形誘電特性等の特性を有することから、これらの強誘電特性を利用して電子・光学部材を構成することができる。また、これらの電子・光学部材を用いて、強誘電機能を付加したDRAM(誘電体ランダムアクセスメモリー)用キャパシターやマイクロ波共振器、焦電素子、表面弾性波デバイス等の電子・光学製品を構成することができる。
従来法では、通常、タンタル酸カリウムは、炭酸カリウムと酸化タンタル粉末を原料として固相法により合成されているが、この際、650℃以上の高温の加熱処理が必要であり、多量の熱エネルギーを要することから、固相合成法に代わる穏和な条件下での合成プロセスの開発が求められていた。また、水熱反応を利用したタンタル酸カリウムの合成が行われているが、7M以上の高濃度の水酸化カリウム水溶液を使用する必要があり、また、ペロブスカイト型タンタル酸カリウム結晶を生成させることは困難であった。
これに対して、本発明では、超臨界水熱条件下で反応を行うことにより低濃度(0.1〜2.0M)の水酸化カリウム水溶液を用いて、ペロブスカイト型の結晶構造を有し、結晶径の小さい、一般式 Ta・xKO(式中、xは、0.9〜1.1の数である。)で表されるタンタル酸カリウム微結晶・薄膜を合成することが可能であり、しかも、不揮発メモリーに必要な強誘電体の分極特性、マイクロ波周波数域での周波数選択性及び温度安定性、更に大きな抗電界特性及び高Tc超伝導体の転移温度近傍での非線形誘電特性などの特性を有するタンタル酸カリウム微結晶・薄膜を製造し、提供することが可能である。
本発明により、(1)強誘電材料用タンタル酸カリウム微結晶を選択的に合成することができる、(2)立方晶タンタル酸カリウム微結晶を選択的に合成することができる、(3)本発明の製造方法で得られるタンタル酸カリウム微結晶は、従来の固相反応で得られたタンタル酸カリウム結晶に比べ、結晶子径が小さい、(4)本発明の方法は、固相合成に比較して、簡便な工程である、(5)従来の水熱合成法が高濃度(7M以上)の水酸化カリウム溶液を必要とするのに対して、本発明では、低濃度(2M以下)の水酸化カリウム溶液を用いることができる、(6)本発明のタンタル酸カリウム微結晶の製造方法は、低濃度の水酸化カリウム水溶液を使用する方法であることから、環境負荷の原因となることはなく、製造コストも安くなる、という格別の効果が奏される。
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
(1)本発明に係るタンタル酸カリウム微結晶の調製
5gの酸化タンタル(Ta)を、0.50M水酸化カリウム水溶液250mlに加え、1時間振り混ぜた後、金製の内筒に母液とともに移した。この内筒を、インコネル製オートクレーブに入れ、400℃において24時間保持した。オートクレーブを放冷後、内筒を取り出し、生成物を濾別し、水洗してから、乾燥させて、タンタル酸カリウム微結晶である本発明製品1を得た。
(2)タンタル酸カリウム微結晶の確認
上記調製方法で得られたタンタル酸カリウム微結晶のX線回折結果を、図1のaとして示す。図1のaにおける、2θ=22.3°、31.7°、39.1°、45.4°、51.2°、56.5°及び66.2°などのピークが、立方晶タンタル酸カリウム(KTaO:JCPDS38−1470)の(100)、(110)、(111)、(200)、(210)、(211)及び(220)のピークに帰属され、立方晶タンタル酸カリウムの生成が認められた。化学分析から求めたxの値は、0.95であった。結晶子径は59.0nmであった。また、本実施例で得られたタンタル酸カリウム微結晶の電子顕微鏡写真を、図2に示す。図2から、本実施例で得られたタンタル酸カリウム微結晶が、結晶性の高い、数ミクロンから数十ミクロンメートルの粒子径を有する微結晶体であることが分かる。
水酸化カリウム濃度を1.0Mとした以外は、実施例1と同様にして、タンタル酸カリウム微結晶である本発明製品2を得た。得られたタンタル酸カリウム微結晶のX線回折結果を、図1のbとして示す。図1のbでは、立方晶タンタル酸カリウムの(100)、(110)、(111)、(200)、(210)、(211)及び(220)に相当すると考えられる、2θ=22.3°、31.7°、39.1°、45.4°、51.2°、56.5°及び66.2°などにピークが認められた。本実施例のタンタル酸カリウムの(110)回折線の半価幅から求めた結晶子径は、54.3nmであった。化学分析から求めたxの値は0.97であった。
片側を研磨したSrTiO(100)基板(10x10x0.5mm)を液面より数センチの高さで内筒にセットとした以外は、実施例1と同様にして、タンタル酸カリウム微結晶である本発明製品3を得た。得られたタンタル酸カリウム微結晶のX線回折結果では、図1aと同様に立方晶タンタル酸カリウムの(100)、(110)、(111)、(200)、(210)、(211)及び(220)に相当すると考えられる、2θ=22.3°、31.7°、39.1°、45.4°、51.2°、56.5°及び66.2°などにピークが認められた。本実施例で得られたタンタル酸カリウムの(110)回折線の半価幅から求めた結晶子径は、58.5nmであった。化学分析から求めたxの値は、0.93であった。
また、本実施例で得られた基板上のタンタル酸カリウム微結晶の電子顕微鏡写真を、図2のbに示す。図2のbから、SrTiO基板の(bc)面にタンタル酸カリウム微結晶が配列している様子が観察される。基板の垂直方向である(100)方向に結晶がエピタキシャルに成長することにより薄膜が形成されることが見出された。基板のX線回折結果においても、基板であるSrTiOの(100)回折ピークに加え、立方晶KTaOの(100)及び(200)に相当すると考えられる、2θ=22.3°及び45.3°にピークが認められた。立方晶KTaOの(100)回折線の半価幅から求めた結晶子径は、53.9nmであった。
比較例1
原料として、酸化タンタル及び炭酸カリウムを組成比1:1.1とした粉末を白金ルツボに加え、高温の電気炉中で反応温度を900℃、反応時間を10時間として固相合成法により、比較例製品1を得た。得られたタンタル酸カリウム微結晶のX線回折結果を、図1のcとして示す。得られた比較例製品1のX線回折結果では、立方晶タンタル酸カリウムの(100)、(110)、(111)、(200)、(210)、(211)及び(220)に相当すると考えられる、2θ=22.3°、31.7°、39.1°、45.4°、51.2°、56.5°及び66.2°などにピークが認められた。(110)回折線の半価幅から求めた結晶子径は、413nmであった。化学分析から求めたxの値は、0.98であった。
比較例2
反応温度を175℃、反応時間を72時間、KOH濃度を3.5Mとした以外は、実施例1と同様にして比較例製品2を得た。得られた比較例製品2のX線回折結果では、パイロクロア型タンタル酸カリウムの(111)、(311)、(222)、(400)、(331)、(333)及び(440)に相当すると考えられる、2θ=14.4°、27.9°、29.2°、33.8°、36.9°、44.4°及び48.6°などにピークが認められた。(222)回折線の半価幅から求めた結晶子径は、40.0nmであった。化学分析から求めたxの値は、0.60であった。比較的高濃度のKOH溶液を用い、長時間反応させても、175℃では、ペロブスカイト型タンタル酸カリウムの生成は認められなかった。
以上詳述したように、本発明は、タンタル酸カリウム微結晶の製造方法に係るものであり、本発明により、次の一般式;
Ta・xKO (式中、xは、0.9〜1.1の数である。)
で表される基本構造を有し、強誘電特性を有するタンタル酸カリウム微結晶を、環境負荷の原因となることなく、低コストで製造し、提供することができる。本発明の製造方法で得られるタンタル酸カリウム微結晶は、例えば、SrTiO基板上でエピタキシャル結晶化させることができる。
このように、本発明で得られるタンタル酸カリウム微結晶及び薄膜は、通信用フィルターやマイクロプロセッサーの発振子、インクジェットプリンターヘッド用のアクチュエーター、液晶ディスプレイのバックライト用トランス、マイクロ波回路の制御系や高温Tc超伝導体の成長のための基板、また、希土類元素をドープすることにより高温プロトン伝導体として、燃料電池や湿度センサーなど広い応用分野で利用することが可能であって、本発明は、これらの技術分野における新技術・新産業の創出に資するものとして有用である。
本発明に係るタンタル酸カリウム微結晶生成物の、X線回折パターンを示す図である。a、b及びcは、それぞれ、実施例1(KOH濃度:0.50M)、実施例2(KOH濃度:1.0MKOH)及び比較例1(固相合成)で得られた各生成物に対応する。 実施例1で得られタンタル酸カリウム微結晶生成物の電子顕微鏡写真を示す図である。a及びbは、それぞれ、実施例1(KOH濃度:0.50M)の溶液中、及び実施例4(KOH濃度:0.50M)の基板上で得られた各生成物に対応する。

Claims (6)

  1. 酸化タンタルを、低濃度の水酸化カリウム水溶液と混合して、超臨界水熱条件下で処理することを特徴とする、基本構造が、次の一般式;
    Ta・xKO (式中、xは、0.9〜1.1の数である。)
    で表される、タンタル酸カリウム微結晶の製造方法。
  2. タンタル酸カリウムの結晶構造が、ペロブスカイトである、請求項1に記載のタンタル酸カリウム微結晶の製造方法。
  3. 水酸化カリウムを、タンタル酸カリウムに必要な化学量論比以上に過剰に混合する、請求項1に記載のタンタル酸カリウム微結晶の製造方法。
  4. 低濃度の水酸化カリウム水溶液の濃度が、0.1〜2.0Mである、請求項1に記載のタンタル酸カリウム微結晶の製造方法。
  5. 超臨界水熱条件下で処理する際に、温度が400〜600℃、圧力が20〜50MPaである、請求項1に記載のタンタル酸カリウム微結晶の製造方法。
  6. (100)単結晶基板を種結晶に用いることにより、ペロブスカイト型タンタル酸カリウムエピタキシャル薄膜を作製する、請求項1に記載のタンタル酸カリウム微結晶の製造方法。
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