JP4568932B2 - 視差表示ディスプレイおよびそれに用いるレンズアレイ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズを用いた水平方向のみに視差情報を持つ画像を表示するディスプレイに係わり、特に、視点位置によって見える画像が変化する(チェンジング)ディスプレイや立体像を観察できる立体ディスプレイ等及びこれらのディスプレイを構成するレンズアレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最も一般的な従来の視差表示ディスプレイは、レンチキュラー視差表示ディスプレイである。この視差表示ディスプレイの方式は、1932年にH.E.Ivesがレンチキュラーステレオの特許を取得している。
【0003】
レンチキュラー視差表示ディスプレイは、図8に示すように、一方向しか曲率を持たないシリンドリカルレンズ11を水平方向に配列させたディスプレイである。このレンズ11の焦点面に視差画像をストライプ状に配置することで、レンチキュラー板12を通して、視差画像を観察することができるという仕組みになっている。
【0004】
前記の視差画像とは、立体像を表示する場合に於いては、右眼、左眼用の視差の付いている各々の画像のことを、チェンジングの画像の場合に於いては、チェンジする各々の画像のことをいう。
【0005】
レンチキュラー視差表示ディスプレイの原理を、画像表示体が印刷物を例にして、以下に、詳細に説明する。
【0006】
図8では、視差数が2像の2眼式視差表示ディスプレイであるので、前記の視差画像をA像9、B像10とする。また、レンチキュラー視差表示ディスプレイを構成する1つのシリンドリカルレンズ11のピッチをPとする。
【0007】
A像9、B像10を1つのシリンドリカルレンズ11に収めるように、P/2の幅で細長く切断する。この切断した画像をA像9、B像10交互にストライプ状に配置する。
【0008】
シリンドリカルレンズ11はディスプレイの水平方向に曲率を持つように配置してある。レンチキュラー板12の背面に、前記のA像9、B像10交互ストライプ像を配置すると、各レンズ作用によって、 A像9とB像10を分離して観察することが可能である。
【0009】
図8は、2視差の2眼式レンチキュラー視差表示ディスプレイであるが、レンズピッチの制限範囲であれば、視差数を増やした多眼式のディスプレイも実現可能である。(図9参照)
【0010】
以上のように、従来のレンチキュラー視差表示ディスプレイは、メガネなどの補助装置なしに視差数が多い立体像などを観察できる上、画像表示体に印刷物を用いることでフルカラーを、画像表示体に液晶パネルを用いることでフルカラー動画像も実現可能にした。
【0011】
しかし、視差表示ディスプレイの背面に配置される液晶パネルや印刷物などの画像表示体は、通常、水平方向と垂直方向の解像度は、ほぼ等しい。
【0012】
ここで、従来の視差表示ディスプレイは、水平方向に曲率を持つシリンドリカルレンズを水平方向に配列配置するので、垂直方向の見た目の画素の大きさが「視差画像1画素の大きさ」であることに対し、水平方向の見た目の画素の大きさは「視差画像1画素の大きさ×視差数」になっていた。
【0013】
前記の見た目の画素とは、人間がある画像を観察したとき、画像の1画素として認識する画素のことである。例えば、垂直方向に視差がなく水平方向には9視差ある画像を考えると、図4(a)に示すように、垂直方向1画素2に対応する水平方向の画素3は9つである。ここで、人間が認識する1画素は、垂直方向に1画素2、水平方向に9画素分の大きさを有する画素4である。これを、見た目の画素と呼ぶ。
【0014】
上記のように従来の視差表示ディスプレイは、背面に配置される画像表示体が水平方向と垂直方向の大きさが等しい正方形の画素を持っているので、ディスプレイ全体で考えると、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさが等しくならない。
【0015】
視差表示ディスプレイの水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさが等しくないことは、ディスプレイの水平方向と垂直方向の解像度バランスが取れていないことを意味する。
【0016】
例えば、画像表示体が写真のように解像度が細かい画素を持つ表示体であれば、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさの違いも細かくなるため、観察者に認識されない。しかし、液晶や印刷物等のように人間が認識可能な大きさを持つ画像表示体であれば、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさが等しくないことは、観察者の見え方に大きく影響する。
【0017】
ディスプレイ全体で水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさを等しくするためには、画像表示体の画素自身の水平方向と垂直方向の大きさを任意の比率にすれば良いのだが、技術的に難しいのに加え、各視差数によって、比率を変化しなくてはならないため、手間やコストもかかり、なかなか実現できない。
【0018】
そのため、視差表示ディスプレイ全体の水平方向と垂直方向の解像度バランスを取るため、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさを等しく保つ必要がある。
【0019】
―方、ディスプレイ全体で高解像度を保つために、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさをほぼ等しく保つ場合、視差数が極めて少なくなるという問題が生じる。
【0020】
前記の問題は、「垂直方向の見た目の画素の大きさ」:「水平方向の見た目の画素の大きさ」=「視差画像1画素の大きさ」:「視差画像1画素の大きさ×視差数」という関係があるので、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさは、視差数を増やせば増やす程、バランスが崩れていくことが原因である。
【0021】
従来の視差表示ディスプレイに用いるシリンドリカルレンズは、曲率を持つ方向と曲率を持たない方向の見た目の画素の大きさが等しくないため、曲率を持つ方向と曲率を持たない方向の解像度バランスが非常に悪かった。
【0022】
また、従来のレンズを用いた視差表示ディスプレイに用いるシリンドリカルレンズは、視差数を増やせば増やすほど、曲率を持つ方向と曲率を持たない方向の見た目の画素の大きさのバランスが崩れるため、曲率を持つ方向と曲率を持たない方向の解像度バランスが更に悪くなった。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の視差表示ディスプレイに於いては、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさが異なるため、水平方向の解像度が低いという問題があった。
【0024】
同時に、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさをほぼ等しく保つ為には、視差数が極めて少なくなるという問題があった。
【0025】
本発明は上記のような課題を解決するために成されたもので、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさををほぼ等しくすることで解像度バランスを保ち、尚かつ視差数を増やすことが可能な高解像度視差表示ディスプレイを提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
レンズアレイを用いた視差表示ディスプレイにおいて、シリンドリカルレンズを曲率を持つ方向に複数分割し、その分割したレンズ(以下、分割レンズと記す)を曲率を持たない方向側に並べたものを分割レンズ群とし、それをアレイ状に配置したレンズアレイと、その背面に視差情報を持つ画像を有する画像表示体を配置してなることを特徴とする視差表示ディスプレイである。
【0027】
また、請求項2記載の発明は、
請求項1記載の視差表示ディスプレイにおいて、前記視差情報の視差数が、2以上の整数を自乗した数値であることを特徴とする。これによって、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさをほぼ等しくすることができる。
【0028】
また、請求項3記載の発明は、
請求項1又は2記載の視差表示ディスプレイにおいて、前記分割レンズのレンズ作用を行う開口部以外を黒く塗りつぶすことを特徴とする。これによって、
コントラストが向上する。
【0029】
また、請求項4記載の発明は、
請求項1乃至3いずれか1項に記載の視差表示ディスプレイにおいて、前記画像表示体が、液晶表示パネルであることを特徴とする。
【0030】
また、請求項5記載の発明は、
請求項1乃至3いずれか1項に記載の視差表示ディスプレイにおいて、前記画像表示体が、印刷物であることを特徴とする。
【0031】
また、請求項6記載の発明は、
視差表示ディスプレイに用いるレンズアレイにおいて、曲率を持つ方向を水平方向に配置したシリンドリカル水平方向に複数分割し、その分割したレンズを垂直方向側に並べた分割レンズ群をアレイ状に配置したことを特徴とするレンズアレイである。
【0032】
また、請求項7記載の発明は、
請求項6記載のレンズアレイにおいて、前記分割レンズ群が、正方形の外形形状を有することを特徴とする。
【0033】
また、請求項8記載の発明は、
請求項6又は7記載のレンズアレイにおいて、前記シリンドリカルレンズの曲率を持つ方向の断面形状が、非球面形状を有することを特徴とする。
【0034】
〈作用〉
本発明の分割レンズ群アレイを用いる視差表示ディスプレイに於いては、シリンドリカルレンズを曲率を持つ方向に複数分割し、その分割レンズを曲率を持たない方向側に並び替えることによって、分割レンズ群アレイの水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさが等しくなり、従来の水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさが等しくないディスプレイと比較すると、水平方向の悪い解像度を基準としないため、高解像度の視差表示が実現可能である。
【0035】
視差数が、4、9、16・・・等、2以上の整数を自乗した数値であれば、分割レンズ群の水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさが等しくなる。よって、分割レンズ群をアレイ状に配置した本発明視差表示ディスプレイに於いては、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさが等しくなるので、従来の水平方向と垂直方向の見た目の画素が等しくないディスプレイと比較すると、水平方向の悪い解像度を基準としないため、より高解像度の視差表示ディスプレイが実現可能である。
【0036】
以下、本発明の視差表示ディスプレイに用いる分割レンズ群アレイと従来の視差表示ディスプレイに用いるシリンドリカルレンズについて比較し、説明する
【0037】
本発明の視差表示ディスプレイに用いる分割レンズ群アレイに於いては、シリンドリカルレンズを曲率を持つ方向に複数分割し、その分割レンズを曲率を持たない方向側に並び替えることによって、分割レンズ群の水平方向と垂直方向の見た目の画素が等しくなるので、曲率を持つ方向と曲率を持たない方向の解像度バランスがほぼ等しくなる。
【0038】
従って、この分割レンズ群をアレイ状に配置した本発明視差表示ディスプレイは、曲率を持つ水平方向と曲率を持たない垂直方向の解像度バランスがほぼ等しくなるので、高解像度の視差表示ディスプレイが実現可能である。
【0039】
本発明の分割レンズ群の外形形状が正方形になる場合は、視差数が、4、9、16・・・等、2以上の整数を自乗した数値である。この場合、分割レンズ群の水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさが完全に等しくなるので、従来の水平方向と垂直方向の見た目の画素が等しくない視差表示ディスプレイを構成するシリンドリカルレンズと比較すると、水平方向の悪い解像度を基準としないため、より高解像度の視差表示ディスプレイが実現可能である。
【0040】
本発明の分割レンズ群アレイ視差表示ディスプレイに於いて、シリンドリカルレンズを曲率を持つ水平方向に複数分割し、垂直方向側に並び替える分割レンズ群を用いることで、同じ視域を持つ従来のディスプレイと比較すると、ディスプレイ面に於いて垂直方向側に水平方向の視差を並べることが可能なため、より多くの分割レンズ群を配置することができ、より高解像度の視差表示ディスプレイが実現可能である。
【0041】
また、本発明の分割レンズ群アレイ視差表示ディスプレイに於いて、シリンドリカルレンズを曲率を持つ水平方向に複数分割し、垂直方向側に並び替える分割レンズ群を用いることで、同じ視域を持つ従来のディスプレイと比較すると、同等の解像度を実現する場合でも、ディスプレイ面に於いて水平方向に空間的な余裕ができるため、曲率の小さなレンズを用いてより多くの画素を使用することができ、視差数を増やすことが可能である。
【0042】
従って、視差数が多いため滑らかな立体画像を形成することができ、より立体感がある画像を観察することが可能である。
【0043】
【発明の実施の形態】
本発明は、レンズアレイを用いた視差表示ディスプレイに於いて、シリンドリカルレンズを曲率を持つ水平方向に複数分割し、その分割レンズを曲率を持たない垂直方向側に並べ替えた分割レンズ群をアレイ状に配置することにより、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさをほぼ等しくするため、ディスプレイ全体の解像度バランスを整え、従来の同じ視域を持つ同視差数のディスプレイと比較すると、高解像度視差情報ディスプレイを実現可能にするものである。
【0044】
本発明は、レンズアレイを用いた視差表示ディスプレイに於いて、シリンドリカルレンズを曲率を持つ水平方向に複数分割し、その分割レンズを曲率を持たない垂直方向側に並べ替えた分割レンズ群をアレイ状に配置することにより、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさをほぼ等しくするため、ディスプレイ全体の解像度バランスを整え、従来の同じ視域を持つ同解像度のディスプレイと比較すると、多視差像を有する高解像度視差情報ディスプレイを実現可能にするものである。
【0045】
以下、上記のような考え方に基づく本発明に係わるレンズアレイを用いた視差表示ディスプレイについて、視差画像側を基準として、詳細に説明する。
【0046】
画像表示体に液晶表示パネルを使用した場合、図3に示すように、従来の視差表示ディスプレイを構成する各シリンドリカルレンズを垂直方向に液晶表示パネル上で1画素分だけ取り出し、水平方向に複数分割する。
【0047】
図1に示すように、水平方向の分割数は、「液晶表示パネル上での1画素8=視差画像の画素」であるので、基本的には、視差画像の画素数毎に分割し、適当に配置してレンズ群5を構成する。
【0048】
しかし、図2に於いては、視差画像の3画素分を1つの分割レンズ1として垂直方向へ並べ替えることで、レンズの分割数を減らしている。
【0049】
このように、分割レンズの曲率を持たない垂直方向への並び替えの方法により、必ずしも視差画像の画素数毎に分割しなくても良い。
【0050】
視差表示ディスプレイを構成するリンドリカルレンズを曲率を持つ水平方向に複数分割した各々の分割レンズ1を、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさ6、7がほぼ等しくなるように、曲率を持たない垂直方向側に並び替え、分割レンズ群5を形成する。
【0051】
図4に示すように、視差数が4、9、16・・・等、2以上の整数を自乗した数値であれば、分割レンズ群は水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさ6、7が等しくなるため、正方形の外形形状になる。
【0052】
図5に示すように、視差数が4、9、16・・・等、2以上の整数を自乗した数値でなければ、分割レンズ群は水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさ6、7が等しくならないため、長方形の外形形状になる。
【0053】
しかし、視差数が4、9、16・・・等、2以上の整数を自乗した数値でない場合も、分割レンズ群の水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさがほぼ等しければ、ディスプレイ全体の解像度を高解像度に保てるため、観察者が悪い解像度と認識するという問題は生じない。
【0054】
ここで、前記記述の正方形或いは長方形の分割レンズ群が、視差情報ディスプレイ全体に於いて、見た目の1画素に相当することになる。
【0055】
よって、前記記述の正方形或いは長方形の分割レンズ群をアレイ状に配置することで、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさがほぼ等しい視差情報ディスプレイを形成でき、水平方向と垂直方向の解像度バランスが取れた高解像度の視差表示ディスプレイが実現可能になる。
【0056】
画像表示体が印刷物であっても、同様に、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさを等しくすることによって、水平方向と垂直方向の見た目の解像度バランスが取れた高解像度の視差表示ディスプレイが実現可能になる。
【0057】
以上のことを、例を用いて簡単に説明する。画像表示体に用いる印刷物の1画素を0.1mmとし、9視差の場合の視差表示ディスプレイを考える。
【0058】
従来の視差表示ディスプレイでは、垂直方向に1視差=0.1mm、水平方向に9視差=0.9mmである。よって、見た目の画素の大きさは、0.1×0.9mmであり、垂直方向、水平方向の解像度バランスも悪く、画素の大きさとして考えても非常に荒い。
【0059】
本発明による視差表示ディスプレイに於いては、前記の見た目の画素を水平方向に3分割し、垂直方向に配置するため、0.3×0.3mmの見た目の画素の大きさにできる。これは、垂直方向、水平方向の解像度バランスも取れ、、画素の大きさも細かく、分解能の範囲に収まることが可能であり、高解像度の視差表示ディスプレイを提供できる。
【0060】
以下、視差数と解像度に着目して、本発明による視差表示ディスプレイと従来の視差表示ディスプレイを比較し、詳細に説明する。
【0061】
従来は、「垂直方向の見た目の画素の大きさ」:「水平方向の見た目の画素の大きさ」=「視差画像1画素の大きさ」:「視差画像1画素の大きさ×視差数」という関係から、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさをほぼ等しくするためには、視差は得ることができない。
【0062】
前記のことから、従来のレンズを用いる視差表示ディスプレイは、水平方向に視差を持たせるため、水平方向と垂直方向の見た目の画素を等しくすることは不可能であった。
【0063】
しかしながら、本発明による視差表示ディスプレイでは、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさをほぼ等しく保ちながら、視差数を増やすことが可能である。
【0064】
以下、画像表示体を1画素ピッチ0.2mmの液晶パネルとし、シリンドリカルレンズの水平方向ピッチが1.8mmの水平サイズが180mmの視差表示ディスプレイを例として、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさをほぼ等しく保ちながら、視差数を増やすことが可能な原理を説明する。
【0065】
ディスプレイの水平サイズが180mmの視差表示ディスプレイでは、水平方向には180mm×0.2mm=900画素の液晶表示パネルを使用していることが分かる。通常「液晶表示パネル上での1画素=視差画像の画素」であるので、シリンドリカルレンズの曲率を持つ水平方向のピッチが1.8mmであるから、1.8mm÷0.2mm=9となり、視差数が9像となる。よって、従来の垂直方向1画素分シリンドリカルレンズの見た目の画素の大きさは、水平方向が1.8mm、垂直方向が0.2mmである。
【0066】
視差数を固定として考えると、前記の垂直方向1画素分シリンドリカルレンズを分割し並び替えるので、本発明による分割レンズ群は、水平方向0.6mm、垂直方向0.6mmの大きさとなる。即ち、図4(b)に示すように、「液晶表示パネル上での3画素×液晶表示パネル上での3画素」の大きさとなる。これが見た目の画素の大きさとなる。
【0067】
従来のディスプレイを構成するシリンドリカルレンズは、水平方向に1.8mm(液晶パネル上で9画素分)であるのに対し、本発明による分割レンズ群では、水平方向に0.6mm(液晶パネル上で3画素分)であるので、水平方向に0.9mm(液晶パネル上で6画素分)短くなっていることが分かる。この空間に、分割レンズ群を2つ並べることが可能であるので、水平方向の解像度は3倍となり、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさが等しい高解像度視差表示ディスプレイを作成することが可能である。
【0068】
一方、解像度を固定として考えると、水平方向に1.8mmのピッチを持つシリンドリカルレンズでは、水平方向に液晶パネル上で9画素を使用することとなり、分割レンズ群の水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさを等しくするため、垂直方向にも液晶パネル上で9画素分とる必要がある。
【0069】
視差数は、「水平方向の液晶パネルの画素数×垂直方向の液晶パネルの画素数」となるので、前記の場合、9×9=81視差とることが可能である。従来のディスプレイでは、9×1=9視差であったので、比較すると9倍の視差数をとることが可能である。
【0070】
以上のことから、解像度と視差数をバランス良く取ることで、本発明の分割レンズ群アレイ視差表示ディスプレイは、従来の視差表示ディスプレイに比べ、高解像度を保ちながら、視差数を多くとる視差表示ディスプレイを実現可能とする。
【0071】
前記では3×3=9視差を例にあげたが、それに限定されるものではなく、視差数が、4、9、16・・・等、2以上の整数を自乗した数値であれば、分割レンズ群の水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさが、完全に等しくなる。よって、分割レンズ群をアレイ状に配置した本発明視差表示ディスプレイに於いては、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさが等しくなるので、従来の水平方向と垂直方向の見た目の画素が等しくないディスプレイと比較すると、水平方向の悪い解像度を基準としないため、より高解像度の視差表示ディスプレイが実現可能である。
【0072】
視差数が4、9、16・・・等、2以上の整数を自乗した数値でなくても、分割レンズ群の水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさがほぼ等しければ、従来の視差表示ディスプレイより解像度バランスが取れているので、悪い解像度を基準としないため、高解像度の視差表示が実現可能である。
【0073】
図6に示すように、本発明の分割レンズ群の構造として、シリンドリカルレンズを分割し並べ替えることにより、光学特性に関係する開口部以外の断面領域13が作られる。これは、従来のシリンドリカルレンズには発生しない領域である。この領域13に関係して、レンズ内部での光の多重反射などの迷光のような悪影響が生じる可能性がある。よって、この断面領域13を黒く塗りつぶすことにより、前記記載の悪影響を防ぐことか可能であり、更にコントラストを向上させる視差表示ディスプレイが実現可能である。
【0074】
ここで、断面領域13を塗りつぶす材料は、光を遮るものであれば何でも良いが、例として、黒色顔料、黒色染料、金属酸化物などがあげられる。
【0075】
図7に示すように、本発明の視差表示ディスプレイを構成する分割レンズ群の基となるシリンドリカルレンズの曲率を持つ方向の断面形状を非球面形状にすると、断面形状が球面形状のものより、分割レンズ群の凸凹の差15を小さくすることができるため、迷光などの影響を少なく抑えることができるので、より高精度のディスプレイの形成が実現可能となる。
【0076】
更に、シリンドリカルレンズの曲率を持つ方向の断面形状を非球面形状にした場合は、球面形状と比較すると、レンズ厚さ17が薄い状態で光学特性を満たすことができるため、より高精度のディスプレイの形成が実現可能となる。
【0077】
【発明の効果】
本発明の視差表示ディスプレイでは、水平方向と垂直方向の見た目の画素の大きさをほぼ等しくできるため、従来のディスプレイと比較すると、高解像度視差表示ディスプレイが実現可能となった。
【0078】
また、同じサイズの従来のディスプレイと比較すると、視差数も多くとれるため、より滑らかな立体感のある画像を観察することが実現可能となった。
【0079】
更に、図7に示すように、視差表示ディスプレイを構成するシリンドリカルレンズの曲率を持つ方向の断面形状を非球面形状にすると、分割レンズの凸凹差15が小さくでき、迷光の影響を抑えることができるため、より高精度のディスプレイの形成が可能となった。また、非球面形状の場合は球面形状と比べより薄型のディスプレイの形成が可能となるため、コストダウンの効果がある。
【0080】
加えて、図6に示すように、分割レンズ群の開口部以外の断面領域13を黒く塗りつぶすことにより迷光を防ぐため、コントラスト向上の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】視差表示ディスプレイを構成するシリンドリカルレンズを、垂直方向に1画素分取り出したもの(a)と、それを曲率を持つ水平方向に複数分割し、水平方向と垂直方向の見た目の画素数が等しくなるように並べ替えた分割レンズ群(b)の概略図である。
【図2】視差表示ディスプレイを構成するシリンドリカルレンズを、垂直方向に1画素分取り出したもの(a)と、それを曲率を持つ水平方向に視差数で分割し、水平方向と垂直方向の見た目の画素数が等しくなるように並べ替えた分割レンズ群(b)の概略図である。
【図3】従来のレンチキュラー視差表示ディスプレイと、従来の視差表示ディスプレイから垂直方向に1画素分取り出した分割レンズ群を作成する基本となるレンズの概略図である。
【図4】視差数が4、9、16・・・等、2以上の整数を自乗した数値の場合、従来のシリンドリカルレンズと本発明による分割レンズ群の背面に配置する画素並び替えを表した概略図である。
【図5】視差数が4、9、16・・等、2以上の整数を自乗した数値ではない場合、従来のシリンドリカルレンズと本発明による分割レンズ群の背面に配置する画素並び替えを表した概略図である。
【図6】本発明による分割レンズ群のレンズ作用を行う開口部以外の断面領域を黒く塗りつぶした概略図である。
【図7】視差表示ディスプレイを構成するシリンドリカルレンズの曲率を持つ方向の断面形状を球面形状にした場合の分割レンズ群の断面図(a)と、シリンドリカルレンズの曲率を持つ方向の断面形状を非球面形状にした場合の分割レンズ群の断面図(b)である。
【図8】従来の2視差の2眼式レンチキュラー視差表示ディスプレイの上面図である。
【図9】従来の9眼式レンチキュラー視差表示ディスプレイの概略図である。
【符号の説明】
1…分割レンズ
2…垂直方向の画素及び従来の見た目の画素の大きさ
3…水平方向の視差画像の画素の大きさ
4…従来の水平方向の見た目の画素の大きさ
5…分割レンズ群
6…本発明による垂直方向の見た目の画素の大きさ
7…本発明による水平方向の見た目の画素の大きさ
8…画像表示体に表示される視差画像の画素
9…視差画像A像
10…視差画像B像
11…従来のシリンドリカルレンズ
12…従来のレンチキュラー視差表示ディスプレイ
13…黒く塗りつぶされた開口部以外の断面領域
14…シリンドリカルレンズの曲率を持つ方向の断面形状を球面形状に
した場合の分割レンズの凸凹の差
15…シリンドリカルレンズの曲率を持つ方向の断面形状を非球面形状
にした場合の分割レンズの凸凹の差
16…シリンドリカルレンズの曲率を持つ方向の断面形状を球面形状に
した場合の分割レンズの厚さ
17…シリンドリカルレンズの曲率を持つ方向の断面形状を非球面形状
にした場合の分割レンズの厚さ
Claims (5)
- レンズアレイを用いた視差表示ディスプレイにおいて、シリンドリカルレンズを曲率を持つ方向に複数分割し、その複数の分割したレンズ(以下、分割レンズと記す)を曲率を持たない方向側に並べたものを分割レンズ群とし、それを曲率を持つ方向と曲率を持たない方向の2方向においてアレイ状に配置したレンズアレイと、その背面に視差情報を持つ画像を有する画像表示体を配置してなることを特徴とする視差表示ディスプレイ。
- 前記視差情報の視差数が、2以上の整数を自乗した数値であることを特徴とする請求項1記載の視差表示ディスプレイ。
- 前記分割レンズのレンズ作用を行う開口部以外を黒く塗りつぶすことを特徴とする請求項1又は2記載の視差表示ディスプレイ。
- 前記画像表示体が、液晶表示パネルであることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の視差表示ディスプレイ。
- 前記画像表示体が、印刷物であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の視差表示ディスプレイ。
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---|---|---|---|
JP36475099A JP4568932B2 (ja) | 1999-12-22 | 1999-12-22 | 視差表示ディスプレイおよびそれに用いるレンズアレイ |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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