JP4560971B2 - Vapor deposition film forming equipment - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、希土類系永久磁石などの被処理物の表面に、アルミニウムなどの蒸着被膜を形成するために好適な蒸着被膜形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
Nd−Fe−B系永久磁石に代表されるR−Fe−B系永久磁石などの希土類系永久磁石は、高い磁気特性を有しており、今日様々な分野で使用されている。
しかしながら、希土類系永久磁石は、大気中で酸化腐食されやすい金属種(特にR)を含む。それ故、表面処理を行わずに使用した場合には、わずかな酸やアルカリや水分などの影響によって表面から腐食が進行して錆が発生し、それに伴って、磁気特性の劣化やばらつきを招くことになる。さらに、磁気回路などの装置に組み込んだ磁石に錆が発生した場合、錆が飛散して周辺部品を汚染する恐れがある。
上記の点に鑑み、希土類系永久磁石に優れた耐食性を付与することを目的として、その表面にアルミニウムなどの蒸着被膜を形成することが行われている。
従来、希土類系永久磁石表面に蒸着被膜を形成するために使用されていた装置としては、例えば、米国特許4116161号公報やGraham Legge :"Ion Vapor Deposited Coatings for Improved Corrosion Protection": Reprinted from Industrial Heating, September, 135-140, 1994に記載の装置がある。図9は、その一例の、図略の真空排気系に連なる真空処理室101の内部の模式的正面図(一部透視図)である。その室内上方には、例えば、ステンレス製のメッシュ金網で形成された円筒形バレル105が水平方向の回転軸線上の回転シャフト106を中心に回転自在に2個併設されている。また、その室内下方には、蒸着材料であるアルミニウムを蒸発させる蒸発部であるボート102が、支持テーブル103上に立設されたボート支持台104上に複数個配置されている。
そして、この装置によれば、被処理物である希土類系永久磁石130を円筒形バレル105内に複数個収容し、この円筒形バレルを矢示のごとく回転シャフト106を中心に回転させながら、図略の加熱手段によって所定温度に加熱されたボート102からアルミニウムを蒸発させ、円筒形バレル105内の希土類永久磁石130の表面にアルミニウム蒸着被膜を形成するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図9に示す蒸着被膜形成装置は、大量処理が可能であり、生産性に優れたものである。しかしながら、時として、希土類系永久磁石表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜に損傷が認められ、これが希土類系永久磁石への耐食性の付与に悪影響を及ぼし、歩留まりの向上を阻害する要因になっていた。また、時として、希土類系永久磁石表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜に突起物が生成してしまい、この突起物が接着剤を使用して磁石を部品に組み込む際の接着性に悪影響を及ぼすことがあった。
そこで、本発明においては、希土類系永久磁石などの表面に形成されたアルミニウムなどの蒸着被膜の損傷や突起物の生成を抑制し、耐食性などの点において高品質かつ低コストの蒸着被膜形成を可能とする蒸着被膜形成装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の点に鑑み種々の検討を行った結果、希土類系磁石表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の損傷や突起物の生成は、蒸着被膜形成工程中の磁石同士の衝突や、磁石とバレルとの擦れが主たる直接的原因であることを見出した。また、その背景には、図9に示す蒸着被膜形成装置では、円筒形バレルと蒸発部との間の距離が変化しないので、バレル内に収容された希土類系永久磁石は、常に蒸発部に近い一定の領域で攪拌され、蒸発部からの輻射熱などで加熱された状態になっており、これに起因した磁石の温度上昇によって、その表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜が軟化することにより、損傷したり、削り取られて粒状化して他の被膜部分に付着しやすくなっているという事実があることを見出した。
【0005】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、本発明の第一の蒸着被膜形成装置は、請求項1記載の通り、真空処理室内に、蒸着材料の蒸発部と、その表面に蒸着材料が蒸着される被処理物を収容するためのメッシュで形成された筒型バレルを備えた金属またはその合金の蒸着被膜を形成するための蒸着被膜形成装置であって、水平方向の回転軸線を中心に回転自在とした支持部材の回転軸線の周方向の外方に、支持軸を有する筒型バレルが支持軸によって公転自在に支持されており、支持部材を回転させることによって、支持部材の回転軸線を中心に公転運動する筒型バレルと蒸発部との間の距離が可変自在となり、かつ、筒型バレルは支持軸によって支持部材に着脱自在に支持されていることを特徴とする。
また、請求項2記載の蒸着被膜形成装置は、請求項1記載の蒸着被膜形成装置において、筒型バレルが支持部材の回転軸線の周方向の外方に環状に複数個支持されていることを特徴とする
た、本発明の第二の蒸着被膜形成装置は、請求項記載の通り、真空処理室内に、蒸着材料の蒸発部と、その表面に蒸着材料が蒸着される被処理物を収容するためのメッシュで形成された水平方向の回転軸線を中心に回転自在の筒型バレルを備えた蒸着被膜形成装置であって、筒型バレルの内部が分割されて2以上の収容部が、筒型バレルを回転させることによって、収容部と蒸発部との間の距離が可変自在となるように形成されていることを特徴とする。
また、請求項記載の蒸着被膜形成装置は、請求項記載の蒸着被膜形成装置において、筒型バレルの内部が回転軸線から放射状に分割されて2以上の収容部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の蒸着被膜形成方法は、請求項記載の通り、請求項1乃至のいずれかに記載の蒸着被膜形成装置を用いることを特徴とする。
また、請求項記載の蒸着被膜形成方法は、請求項記載の蒸着被膜形成方法において、被処理物が希土類系永久磁石であることを特徴とする。
また、請求項記載の蒸着被膜形成方法は、請求項または記載の蒸着被膜形成方法において、蒸着材料がアルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウム、これらの金属成分の少なくとも1成分を含む合金から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の蒸着被膜形成装置における蒸着被膜形成対象となる被処理物の代表例としては、希土類系永久磁石が挙げられる。なぜなら、本発明の蒸着被膜形成装置は、高品質の耐食性被膜を磁石の割れや欠けを発生させることなくその表面に形成することができる点においてとりわけ適しているからである。しかしながら、被処理物は、蒸着被膜を形成することができるものであれば希土類系永久磁石に制限されるものではない。
【0007】
本発明の蒸着被膜形成装置は、金属やその合金などの蒸着材料を使用した蒸着被膜形成に適用されるが、中でも、軟質金属や軟質金属成分を含む合金、例えば、アルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウム、これらの金属成分の少なくとも1成分を含む合金などを使用した蒸着被膜形成に好適に適用される。特に、蒸着材料としてのアルミニウムは、形成されるアルミニウム被膜が耐食性に優れることに加え、部品組み込み時に必要とされる接着剤との接着信頼性に優れる(接着剤が本質的に有する破壊強度に達するまでに被膜と接着剤との間で剥離が生じにくい)ことから、強い接着強度が要求される希土類系永久磁石を被処理物とする場合に好適である。これらの蒸着材料を用いて形成された被膜は、それ自体においても、また、その表面に他の被膜を形成した場合においても、被処理物の耐食性向上などに寄与する。
【0008】
本発明の蒸着被膜形成装置は、あらゆる方式による蒸着被膜形成のための装置として使用することができるが、真空蒸着法やイオンプレーティング法などで採用されるような、蒸着材料の蒸発部からの輻射熱が大きい抵抗加熱方式による蒸着被膜形成のための装置に対して効果が高い。とりわけ、通電加熱した蒸発部に蒸着材料を連続供給して溶解する方式の装置は、蒸発部全体を高温にする必要があり、結果として、蒸発部からの輻射熱が非常に大きくなるので、このような装置に対して効果が高い。
【0009】
まず、本発明の第一の蒸着被膜形成装置について説明する。この装置は、真空処理室内に、蒸着材料の蒸発部と、その表面に蒸着材料が蒸着される被処理物を収容するためのメッシュで形成された筒型バレルを備えた蒸着被膜形成装置であって、水平方向の回転軸線を中心に回転自在とした支持部材の回転軸線の周方向の外方に筒型バレルが公転自在に支持されており、支持部材を回転させることによって、支持部材の回転軸線を中心に公転運動する筒型バレルと蒸発部との間の距離が可変自在となることを特徴とする。以下に、この蒸着被膜形成装置の一例(希土類系永久磁石表面にアルミニウム蒸着被膜を形成するための装置)の概略について図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、図略の真空排気系に連なる真空処理室1の内部の模式的正面図(一部透視図)である。
室内上方には、水平方向の回転軸線上の回転シャフト6を中心に回転自在とした支持部材7が2個併設されており、この支持部材7の回転シャフト6の周方向の外方に6個のステンレス製のメッシュ金網で形成された円筒形バレル5が支持軸8によって公転自在に環状に支持されている。また、室内下方には、蒸着材料であるアルミニウムを蒸発させる蒸発部であるボート2が、支持テーブル3上に立設されたボート支持台4上に複数個配置されている。
支持テーブル3の下方内部には、蒸着材料であるアルミニウムのワイヤー9が繰り出しリール10に巻回保持されている。アルミニウムワイヤー9の先端はボート2の内面に向かって臨ませた耐熱性の保護チューブ11によってボート2の上方に案内されている。保護チューブ11の一部には切り欠き窓12が設けられており、この切り欠き窓12に対応して設けられた繰り出しギア13がアルミニウムワイヤー9に直接接触し、アルミニウムワイヤー9を繰り出すことによってボート2内にアルミニウムが絶えず供給されるように構成されている。
【0011】
図2は、水平方向の回転軸線上の回転シャフト6を中心に回転自在とした支持部材7の回転シャフト6の周方向の外方に6個のステンレス製のメッシュ金網で形成された円筒形バレル5が支持軸8によって公転自在に環状に支持されていることを示す模式的斜視図である(2連で支持されているので支持されている円筒形バレルの合計数は12個)(磁石は未収容)。
【0012】
回転シャフト6を中心に支持部材7を回転させると(図1矢印参照)、支持部材7の回転シャフト6の周方向の外方に支持軸8によって支持されている円筒形バレル5は、これに対応して、回転シャフト6を中心に公転運動する。その結果、個々の円筒形バレルと支持部材の下方に配置された蒸発部との間の距離が変動することになり、以下の効果が発揮される。
即ち、支持部材7の下部に位置した円筒形バレルは蒸発部に接近している。従って、この円筒形バレルに収容された希土類系永久磁石30に対しては、その表面にアルミニウム蒸着被膜が効率よく形成される。一方、蒸発部から遠ざかった円筒形バレルに収容された希土類系永久磁石は、蒸発部から遠ざかった分だけ加熱状態から開放されて冷却される。従って、この間、その表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の軟化が抑制される。このように、この蒸着被膜形成装置を用いれば、アルミニウム蒸着被膜の効率的形成と形成されたアルミニウム蒸着被膜の軟化抑制を同時に達成することが可能となる。
【0013】
図3は、図2に示した支持部材に支持された円筒形バレルの態様以外の態様を示す模式的斜視図である。水平方向の回転軸線上の回転シャフト36を中心に回転自在とした支持部材37の回転シャフト36の周方向の外方に6個のステンレス製のメッシュ金網で形成された円筒形バレル35が支持軸38によって公転自在に環状に支持されている(2連で支持されているので支持されている円筒形バレルの合計数は12個)(磁石は未収容)。
【0014】
図4は、図3に示した態様において使用される円筒形バレル35の模式的斜視図である。円筒形バレル35は長手方向に沿って開閉自在であり、図略の蝶番を介して開閉自在の対称体に構成された上籠部35aと下籠部35bからなり、支持部材37がバレルを支持するための支持軸38を有する。このような円筒形バレル35を使用すれば希土類系永久磁石の出し入れを容易に行うことができるので、磁石の出し入れの際の磁石の割れや欠けの発生を抑制することができる。なお、このような円筒形バレル35を連続使用した場合、蒸着処理に伴う熱履歴の影響によってバレルを形成するメッシュが変形してしまうことにより、上籠部35aと下籠部35bの間に隙間が生じてしまい、その隙間から磁石が脱落する恐れがある。従って、下籠部35bの開口部の長手方向には被処理物脱落防止板39を取り付けることが望ましい(被処理物脱落防止板は上籠部35aの開口部の長手方向に取り付けてもよい)。また、蒸着処理時には、上籠部35aと下籠部35bは図略のクリップで止められて使用される。また、円筒形バレル35の内部に、その長手方向に垂直に網状や板状の区画壁を設け、各区画室内に希土類系永久磁石を1つずつ収容し、磁石同士が互いに離間した状態で蒸着処理されるようにしてもよい。
【0015】
図5は、図3に示した態様における支持部材37の円筒形バレル35の支持様式を示す模式的部分正面図である。円筒形バレル35は支持軸38を支持部材37に挟持させることによって支持される。支持部材37の支持軸38の挟持は、例えば、バネの反発力を利用した機構のように弾性的に行わせて、円筒形バレル35を支持部材37から着脱自在に支持させることが望ましい。
【0016】
図1で示したような本発明の第一の蒸着被膜形成装置は、上述の効果を発揮するとともに、以下の利点を有する点において都合がよい。
即ち、大量処理を行う場合でも、従来の蒸着被膜形成装置における1個の円筒形バレルに磁石を大量に収容するよりも、この蒸着被膜形成装置における各円筒形バレルに分割して少量ずつ収容する方が、バレル内での磁石同士の衝突回数を減少させ、また、衝突エネルギーを低減させることができるので、磁石の割れや欠けの発生を抑制することが可能となる。
また、弓型形状の磁石や大型磁石などのように、従来の蒸着被膜形成装置におけるR(曲率半径)が大きい円筒形バレルに収容して蒸着処理した場合、バレル内面に沿って滑り落ちてしまい、片面のみが常に蒸発部に面するといった現象が起こりやすい被処理物であっても、この蒸着被膜形成装置における、従来の円筒形バレルのRよりも小さいRの各円筒形バレルに収容して蒸着処理することにより、攪拌を均一に行うことができるようになるので、膜厚差の少ない均一な被膜形成が可能となる。
また、円筒形バレルごとに異なる形状の磁石や異なる大きさの磁石を収容し、各円筒形バレルを支持部材の回転軸線の周方向の外方に環状に固定して蒸着処理を行うことができるようになるので、複数種類の磁石の蒸着処理を一度に行うことが可能となる。
また、それぞれメッシュ形状が異なる複数の円筒形バレルを組み合わせて使用し、各円筒形バレルを支持部材の回転軸線の周方向の外方に環状に固定して蒸着処理を行うことでバレルごとの蒸着効率を可変自在とすることができるようになるので、各円筒形バレルに収容した磁石ごとに異なる膜厚の蒸着被膜を形成することが可能となる。
また、従来は、磁石同士の衝突回数を減少させるために、バレル内に磁石とともに収容することがあったダミー(例えば、直径10mmのセラミックスボールが挙げられる)を使用する方法を採用する場合があったが、この蒸着被膜形成装置を使用することでその必要がなくなり、磁石への被膜形成効率を向上させることが可能となる。このことは、結果として、磁石温度の上昇抑制、蒸着被膜の損傷抑制や突起物生成抑制などの効果をもたらす。
また、磁石を保護するためのホルダー(例えば、線状部材を、隙間を存して巻回して両端に渦巻き線状面を備えるスプリング状の筒状体に形成し、この筒状体内に磁石を収容自在としたものが挙げられる)に磁石を収容するといったような手間を省くことが可能となる。
【0017】
また、円筒形バレルを支持部材から着脱自在にしておくことには、以下のような利点がある。
即ち、磁石の出し入れを任意の場所で行うことが可能となるので、利便性が向上するとともに、出し入れの際の磁石の割れや欠けの発生を抑制することが可能となる。
また、円筒形バレルの連続使用回数が増すに連れて、蒸着材料の蒸発部に面したメッシュ面に蒸着材料が優先的に付着してしまい、それに伴ってメッシュの開口率が徐々に減少したり、バレルの開閉部に蒸着材料が付着することによってバレルの開閉が徐々に困難になったりする恐れがある。従って、円筒形バレルは、適宜、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性水溶液で洗浄し、付着した蒸着材料を溶解して除去することが望ましいが、円筒形バレルを支持部材から着脱自在とし、さらに蒸発部に面するメッシュ面を可変自在とする手段を設けることにより、以下の効果が得られる。即ち、円筒形バレルを支持部材から着脱自在とし、さらに前記手段として、例えば、支持軸の断面形状を多角形状や楕円形状とすることにより、支持部材から一度取り外した円筒形バレルを再び支持部材に固定し直す際、蒸発部に面していなかったメッシュ面を蒸発部に面するように固定することができるようになる。従って、メッシュ面への蒸着材料の付着を分散化することができるので、アルカリ水溶液を使用した蒸着材料の除去作業の回数を低減することが可能となる。例えば、図3〜図5に示したように支持軸を板状体とすれば、一方のメッシュ面への蒸着材料の付着が進んだ時点で円筒形バレルを支持部材から取り外し、蒸発部に面していた蒸着材料の付着が進んだメッシュ面を支持部材の内方(即ち、図3〜図5に示した円筒形バレルの場合では、支持部材の外方に位置する蒸発部とは反対の中心方向)に向け、蒸着材料の付着の少ないメッシュ面が蒸発部に向くように円筒形バレルを支持部材に固定し直して(即ち、図3〜図5に示した円筒形バレルの場合では、円筒形バレルを回転軸線に平行に180度回転させて固定する)蒸着処理を行うことができるので、上記の効果が得られる。
さらに、円筒形バレルの大きさをハンドリング容易なものとすることにより、蒸着被膜形成工程とその前後工程(例えば、前工程としてはブラスト処理が、後工程としてはピーニング処理やその後の化成被膜形成処理が挙げられる)の各工程にて1つのバレルを一貫して使用することができるようになる。従って、各工程間における磁石の移し替え作業を行う必要がなくなるので、磁石を移し替える際に起こりうる磁石の割れや欠けの発生を抑制することが可能となることに加えて移し替え作業の手間を省くことが可能となる。
【0018】
なお、図1および図2に示す蒸着被膜形成装置においては、真空処理室1の室内上方に円筒形バレル5を支持する支持部材7が配置され、室内下方に蒸発部であるボート2が配置されているが、支持部材と蒸発部との位置関係は、この位置関係に限定されるものではなく、支持部材を回転させることによって、円筒形バレルと蒸発部との間の距離が可変自在となるような位置関係であれば、支持部材と蒸発部は真空処理室内のどのような場所に配置されていてもかまわない。しかしながら、支持部材の外方に蒸発部を配置すれば、支持部材と蒸発部との間の距離の設定を真空処理室の内部空間の中で広範囲に行うことができるので、蒸着被膜の効率的形成と形成された蒸着被膜の軟化抑制を行うために望ましい距離の設定が容易に行うことが可能となり、また、蒸着材料を溶融しながら蒸発させて蒸着被膜形成を行う場合であっても、各部材の配置を容易に設定でき、取り扱いにも優れたものとなる。
また、図1および図2に示す蒸着被膜形成装置においては、1個の支持部材7の片面に6個の円筒形バレル5が支持されているが(2連で支持されているので支持されている円筒形バレルの合計数は12個)、支持部材に支持される円筒形バレルの個数はこれに限るものではなく、1個であってもかまわない。
また、円筒形バレル5は、支持部材7を回転させることによって、支持部材7の回転シャフト6を中心に公転運動するとともに自体公知の機構によって自転運動するように支持されていてもよい。
また、バレルの形状は、筒型であれば円筒形に限定されるものではなく、断面が6角形や8角形などの多角筒形であってもよい。
また、円筒形バレル5を支持部材7から着脱自在とするとともに、支持部材7を真空処理室1から着脱自在としてもよい。
また、メッシュとしては、ステンレス製やチタン製のメッシュ金網などが挙げられる。メッシュの材質としてステンレスやチタンが望ましいのは、材質強度に優れることや、バレルに付着した蒸着材料の除去作業に使用されるアルカリ性水溶液に対する耐久性に優れることなどからである。なお、メッシュは、平板の打ち抜きやエッチングによって得られた網状板を使用して作成されたものであってもよいし、線状体を編んで作成されたものであってもよい。
また、メッシュの開口率(メッシュの面積に対する開口部の面積の割合)は、被処理物の形状や大きさにも依存するが、50%〜95%が望ましく、60%〜85%がより望ましい。開口率が50%よりも小さいと、メッシュ自体が蒸発部と被処理物間の障壁となってしまい、蒸着効率が低下してしまう恐れがあり、開口率が95%よりも大きいと、メッシュが蒸着処理時やその他の取り扱いの際に変形したり破損したりしてしまう恐れがあるからである。なお、メッシュの線径は、その開口率や強度を考慮して選定されるものであるが、一般には、0.1mm〜10mmが望ましい。さらに、取り扱いの容易性などを考慮すると、0.3mm〜5mmがより望ましい。本発明の第一の蒸着被膜形成装置によれば、大量処理を行う場合、従来の蒸着被膜形成装置における1個の円筒形バレルに磁石を大量に収容するよりも、この蒸着被膜形成装置における各円筒形バレルに分割して少量ずつ収容する方が、メッシュにかかる加重が小さくなるのでその変形が起こりにくい。従って、メッシュの線径を小さくして開口率を高めることができるので、蒸着効率を向上させることが可能となる。
【0019】
次に、本発明の第二の蒸着被膜形成装置について説明する。この装置は、真空処理室内に、蒸着材料の蒸発部と、その表面に蒸着材料が蒸着される被処理物を収容するためのメッシュで形成された水平方向の回転軸線を中心に回転自在の筒型バレルを備えた蒸着被膜形成装置であって、筒型バレルの内部が分割されて2以上の収容部が、筒型バレルを回転させることによって、収容部と蒸発部との間の距離が可変自在となるように形成されていることを特徴とする。以下に、この蒸着被膜形成装置の一例(希土類系永久磁石表面にアルミニウム蒸着被膜を形成するための装置)の概略について図面を用いて説明する。
【0020】
図6は、図略の真空排気系に連なる真空処理室51の内部の模式的正面図(一部透視図)である。
室内上方には、ステンレス製のメッシュ金網で形成された、水平方向の回転軸線上の回転シャフト56を中心に回転自在の円筒形バレル55が2個併設されている。この円筒形バレル55は、その内部が回転軸線から放射状に6分割されて断面が扇形の収容部が形成されている。また、室内下方には、蒸着材料であるアルミニウムを蒸発させる蒸発部であるボート52が、支持テーブル53上に立設されたボート支持台54上に複数個配置されている。
支持テーブル53の下方内部には、蒸着材料であるアルミニウムのワイヤー59が繰り出しリール60に巻回保持されている。アルミニウムワイヤー59の先端はボート52の内面に向かって臨ませた耐熱性の保護チューブ61によってボート52の上方に案内されている。保護チューブ61の一部には切り欠き窓62が設けられており、この切り欠き窓62に対応して設けられた繰り出しギア63がアルミニウムワイヤー59に直接接触し、アルミニウムワイヤー59を繰り出すことによってボート52内にアルミニウムが絶えず供給されるように構成されている。
【0021】
図7は、ステンレス製のメッシュ金網で形成された、水平方向の回転軸線上の回転シャフト56を中心に回転自在の、内部が回転軸線から放射状に6分割されて断面が扇形の収容部が形成された円筒形バレル55を示す模式的斜視図である(磁石は未収容)。
【0022】
回転シャフト56を中心に円筒形バレル55を回転させると(図6矢印参照)、円筒形バレルの内部に形成された個々の収容部と、その下方に配置された蒸発部との間の距離が変動することになり、以下の効果が発揮される。
即ち、円筒形バレル55の下部に位置した収容部は蒸発部に接近している。従って、この収容部に収容された希土類系永久磁石80に対しては、その表面にアルミニウム蒸着被膜が効率よく形成される。一方、蒸発部から遠ざかった収容部に収容された希土類系永久磁石は、蒸発部から遠ざかった分だけ加熱状態から開放されて冷却される。従って、この間、その表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の軟化が抑制される。このように、この蒸着被膜形成装置を用いれば、アルミニウム蒸着被膜の効率的形成と形成されたアルミニウム蒸着被膜の軟化抑制を同時に達成することが可能となる。
【0023】
図6で示したような本発明の第二の蒸着被膜形成装置は、上記の効果を発揮するとともに、以下の利点を有する点において都合がよい。
即ち、大量処理を行う場合でも、従来の蒸着被膜形成装置における円筒形バレルに磁石を大量に収容するよりも、この蒸着被膜形成装置における各収容部に分割して少量ずつ収容する方が、バレル内での磁石同士の衝突回数を減少させ、また、衝突エネルギーを低減させることができるので磁石の割れや欠けの発生を抑制することが可能となる。
また、従来は、磁石同士の衝突回数を減少させるために、バレル内に磁石とともに収容することがあったダミー(例えば、直径10mmのセラミックスボールが挙げられる)を使用する方法を採用する場合があったが、この蒸着被膜形成装置を使用することでその必要がなくなり、磁石への被膜形成効率を向上させることが可能となる。このことは、結果として、磁石温度の上昇抑制、蒸着被膜の損傷抑制や突起物生成抑制などの効果をもたらす。
また、磁石を保護するためのホルダー(例えば、線状部材を、隙間を存して巻回して両端に渦巻き線状面を備えるスプリング状の筒状体に形成し、この筒状体内に磁石を収容自在としたものが挙げられる)に磁石を収容するといったような手間を省くことが可能となる。
【0024】
なお、図6および図7に示す蒸着被膜形成装置においては、真空処理室51の室内上方に内部が回転軸線から放射状に6分割されて断面が扇形の収容部が形成された円筒形バレル55が配置され、室内下方に蒸発部であるボート52が配置されているが、円筒形バレルと蒸発部との位置関係は、この位置関係に限定されるものではなく、円筒形バレルを回転させることによって、収容部と蒸発部との間の距離が可変自在となるような位置関係であれば、円筒形バレルと蒸発部は真空処理室内のどのような場所に配置されていてもかまわない。
また、図6および図7に示す蒸着被膜形成装置においては、円筒形バレル55の内部が回転軸線から放射状に6分割されて断面が扇形の収容部が形成されているが、円筒形バレルの内部に形成される収容部は、円筒形バレルを回転させることによって、収容部と蒸発部との間の距離が可変自在となるものであれば、どのような分割形態によって形成されたものであってもかまわない。また、収容部を形成する仕切りは網状のものであってもよいし、板状のものであってもよい。なお、各収容部の内部に、その長手方向に垂直に網状や板状の区画壁を設け、各区画室内に希土類系永久磁石を1つずつ収容し、磁石同士が互いに離間した状態で蒸着処理されるようにしてもよい。
また、バレルの形状は、筒型であれば円筒形に限定されるものではなく、断面が6角形や8角形などの多角筒形であってもよい。
また、円筒形バレル55を真空処理室51から着脱自在としてもよい。
また、メッシュとしては、ステンレス製やチタン製のメッシュ金網などが挙げられる。メッシュの材質としてステンレスやチタンが望ましいのは、材質強度に優れることや、バレルに付着した蒸着材料の除去作業に使用されるアルカリ性水溶液に対する耐久性に優れることなどからである。なお、メッシュは、平板の打ち抜きやエッチングによって得られた網状板を使用して作成されたものであってもよいし、線状体を編んで作成されたものであってもよい。
また、メッシュの開口率(メッシュの面積に対する開口部の面積の割合)は、被処理物の形状や大きさにも依存するが、50%〜95%が望ましく、60%〜85%がより望ましい。開口率が50%よりも小さいと、メッシュ自体が蒸発部と被処理物間の障壁となってしまい、蒸着効率が低下してしまう恐れがあり、開口率が95%よりも大きいと、メッシュが蒸着処理時やその他の取り扱いの際に変形したり破損したりしてしまう恐れがあるからである。なお、メッシュの線径は、その開口率や強度を考慮して選定されるものであるが、一般には、0.1mm〜10mmが望ましい。さらに、取り扱いの容易性などを考慮すると、0.3mm〜5mmがより望ましい。
【0025】
【実施例】
本発明の蒸着被膜形成装置を以下の実施例と比較例によってさらに詳細に説明するが、本発明の蒸着被膜形成装置はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例と比較例は、例えば、米国特許4770723号公報や米国特許4792368号公報に記載されているようにして、公知の鋳造インゴットを粉砕し、微粉砕後に成形、焼結、熱処理、表面加工を行うことによって得られた14Nd−79Fe−6B−1Co組成の各種形状の焼結磁石(以下、磁石体試験片と称する)を用いて行った。
【0026】
実施例1:
図1および図2で示した蒸着被膜形成装置を用いて以下の実験を行った。ここで、円筒形バレルは、直径110mm×長さ530mmのステンレス製で、メッシュの開口率が79.4%(開口部となる目開きが一辺が9.0mmの正方形で、線径が1.1mm)のものであり、1個の支持部材に6個(2連で合計12個)着脱自在に支持されている。
30mm×15mm×6mm寸法の磁石体試験片に対し、ショットブラスト加工を行い、前工程の表面加工で生じた試験片表面の酸化層を除去した。この酸化層が除去された磁石体試験片を12個の円筒形バレルの各々に69個(このうちの5個の磁石は、サーモラベル(商品名:日油技研工業株式会社製)をアルミニウム箔に貼付したものをサーモラベル側を内面にして巻き付けてある磁石である)ずつ収容し(12個の円筒形バレルでは合計828個収容)、円筒形バレルを支持部材に固定した。真空処理室内を1×10−3Pa以下に真空排気した後、支持部材を1.5rpmで回転させながら、Arガス圧1Pa、バイアス電圧−500Vの条件下、20分間スパッタリングして磁石体試験片表面を清浄化した。続いて、Arガス圧1Pa、バイアス電圧−100Vの条件下、蒸着材料としてアルミニウムワイヤーを用い、これを加熱して蒸発させ、イオン化し、12分間イオンプレーティング法にて磁石体試験片表面にアルミニウム蒸着被膜を形成した。サーモラベルを貼り付けた磁石体試験片の平均最高到達温度を測定したところ、170℃であった。
磁石体試験片を放冷後、その表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の損傷や突起物の生成や試験片自体の割れや欠けなどによる磁石素材露出部が確認されないものについて、その膜厚を測定した結果(n=10の平均値)を表1に示す。
なお、アルミニウム蒸着被膜の膜厚は、蛍光X線膜厚計(SFT−7000:セイコー電子社製)を用いて測定した。
アルミニウム蒸着被膜を表面に有する磁石体試験片を円筒形バレルに収容したまま移し替えることなく、その円筒形バレルをブラスト加工装置に取り付け、Nガスからなる加圧気体とともに、平均粒径120μm、モース硬度6(ビッカース硬度500〜550)の球状ガラスビーズ粉末を、噴射圧1.5kg/cmにて5分間噴射して、ショットピーニングを行った。ショットピーニングを行ったアルミニウム蒸着被膜を有する磁石体試験片について、被膜の損傷や突起物の生成や試験片自体の割れや欠けなどによる磁石素材露出部が確認されるもの(不良品)の個数を検査した。結果を表1に示す。
磁石体試験片表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の損傷や突起物の生成や試験片自体の割れや欠けなどによる磁石素材露出部が確認されないものについて、温度80℃×相対湿度90%の高温高湿度条件下に放置するという耐食性加速試験を行った結果(n=5)を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の第一の蒸着被膜形成装置を用いて磁石体試験片表面にアルミニウム蒸着被膜を形成することにより、アルミニウム蒸着被膜の損傷や突起物の生成や試験片自体の割れや欠けなどを抑制できることや、優れた耐食性を付与できることが明らかとなった。
【0027】
実施例2:
図6および図7で示した蒸着被膜形成装置を用いて以下の実験を行った。ここで、円筒形バレルは、直径355mm×長さ1200mmのステンレス製で、メッシュの開口率が79.4%(開口部となる目開きが一辺が9.0mmの正方形で、線径が1.1mm)のものであり、内部が回転軸線から放射状に6分割されて断面が扇形の収容部が形成されたものである。
実施例1で使用した磁石体試験片と同一寸法の磁石体試験片に対し、ショットブラスト加工を行い、前工程の表面加工で生じた試験片表面の酸化層を除去した。この酸化層が除去された磁石体試験片を円筒形バレルの各収容部に138個(このうちの5個の磁石は、サーモラベルをアルミニウム箔に貼付したものをサーモラベル側を内面にして巻き付けてある磁石である)ずつ収容した(円筒形バレル全体では合計828個収容)後、実施例1と同様にして磁石体試験片表面にアルミニウム蒸着被膜を形成した。サーモラベルを貼り付けた磁石体試験片の平均最高到達温度を測定したところ、170℃であった。
磁石体試験片を放冷後、その表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の損傷や突起物の生成や試験片自体の割れや欠けなどによる磁石素材露出部が確認されないものについて、その膜厚を測定した結果(n=10の平均値)を表1に示す。
なお、アルミニウム蒸着被膜の膜厚の測定方法は、実施例1と同様である。
アルミニウム蒸着被膜を表面に有する磁石体試験片をアルミニウム製バットに移し替え、その後、ブラスト加工装置に投入し、実施例1と同様にしてショットピーニングを行った。ショットピーニングを行ったアルミニウム蒸着被膜を有する磁石体試験片について、不良品の個数を検査した。結果を表1に示す。
磁石体試験片表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の損傷や突起物の生成や試験片自体の割れや欠けなどによる磁石素材露出部が確認されないものについて、実施例1と同様の耐食性加速試験を行った結果(n=5)を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の第二の蒸着被膜形成装置を用いて磁石体試験片表面にアルミニウム蒸着被膜を形成することにより、アルミニウム蒸着被膜の損傷や突起物の生成や試験片自体の割れや欠けなどを抑制できることや、優れた耐食性を付与できることが明らかとなった。
【0028】
比較例1:
直径355mm×長さ1200mmのステンレス製で、メッシュの開口率が79.4%(開口部となる目開きが一辺が9.0mmの正方形で、線径が1.1mm)の円筒形バレルを使用した従来の蒸着被膜形成装置(図9参照。但し、蒸発部に関する構成は図1で示した蒸着被膜形成装置と同じ)を用いて以下の実験を行った。
実施例1で使用した磁石体試験片と同一寸法の磁石体試験片に対し、ショットブラスト加工を行い、前工程の表面加工で生じた試験片表面の酸化層を除去した。この酸化層が除去された磁石体試験片を円筒形バレルに828個(このうちの5個の磁石は、サーモラベルをアルミニウム箔に貼付したものをサーモラベル側を内面にして巻き付けてある磁石である)収容した後、実施例1と同様にして磁石体試験片表面にアルミニウム蒸着被膜を形成した。サーモラベルを貼り付けた磁石体試験片の平均最高到達温度を測定したところ、220℃であった。
磁石体試験片を放冷後、その表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の損傷や突起物の生成や試験片自体の割れや欠けなどによる磁石素材露出部が確認されないものについて、その膜厚を測定した結果(n=10の平均値)を表1に示す。
なお、アルミニウム蒸着被膜の膜厚の測定方法は、実施例1と同様である。
アルミニウム蒸着被膜を表面に有する磁石体試験片をアルミニウム製バットに移し替え、その後、ブラスト加工装置に投入し、実施例1と同様にしてショットピーニングを行った。ショットピーニングを行ったアルミニウム蒸着被膜を有する磁石体試験片について、不良品の個数を検査した。結果を表1に示す。
磁石体試験片表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の損傷や突起物の生成や試験片自体の割れや欠けなどによる磁石素材露出部が確認されないものについて、実施例1と同様の耐食性加速試験を行った結果(n=5)を表1に示す。
表1から明らかなように、従来の蒸着被膜形成装置を用いて磁石体試験片表面にアルミニウム蒸着被膜を形成した場合、本発明の蒸着被膜形成装置を使用した場合に比較して不良品の個数が遥かに多く、耐食性についても劣っていた。
【0029】
本発明者らは、アルミニウム蒸着被膜は、磁石温度の上昇とともに被膜硬度が低下することを明らかにしているが、以上の結果は、被膜形成時の磁石の温度上昇の程度の相違に起因しているものと判断された。
【0030】
【表1】

Figure 0004560971
【0031】
実施例3:
図1および図2で示した蒸着被膜形成装置を用いて以下の実験を行った。ここで、2連の一方には、直径110mm×長さ530mmのステンレス製で、メッシュの開口率が79.4%(開口部となる目開きが一辺が9.0mmの正方形で、線径が1.1mm)の円筒形バレル(バレルA)が、他方には、直径110mm×長さ530mmのステンレス製で、メッシュの開口率が62.0%(開口部となる目開きが一辺が4.1mmの正方形で、線径が1.1mm)の円筒形バレル(バレルB)がそれぞれ6個ずつ支持部材に着脱自在に支持されている。
6個のバレルAの各々に実施例1で使用した磁石体試験片と同一寸法の磁石体試験片(ショットブラスト加工を行い、前工程の表面加工で生じた試験片表面の酸化層を除去したもの)を69個ずつ収容し(6個のバレルAでは合計414個収容)、6個のバレルBの各々に10mm×8mm×4mm寸法の磁石体試験片(ショットブラスト加工を行い、前工程の表面加工で生じた試験片表面の酸化層を除去したもの)を500個ずつ収容し(6個のバレルBでは合計3000個収容)、円筒形バレルを支持部材に固定した後、実施例1と同様にして磁石体試験片表面にアルミニウム蒸着被膜を形成した。
磁石体試験片を放冷後、その表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の損傷や突起物の生成や試験片自体の割れや欠けなどによる磁石素材露出部が確認されないものについて、その膜厚を測定した結果(n=10の平均値:測定方法は実施例1と同様)、バレルAに収容して蒸着処理した磁石体試験片の表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の膜厚は6.9μm、バレルBに収容して蒸着処理した磁石体試験片の表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の膜厚は6.5μmであり、異なる形状の2種類の磁石体試験片に対して安定な蒸着処理を一度に行うことができた。
【0032】
実施例4:
実施例1と同様の蒸着被膜形成装置を用いて以下の実験を行った。外R25mm×中央厚み2mm×弦30mm×長さ32mm寸法の弓型形状の磁石体試験片(形状の概要は図8を参照のこと)に対し、ショットブラスト加工を行い、前工程の表面加工で生じた試験片表面の酸化層を除去した。この酸化層が除去された磁石体試験片を12個の円筒形バレルの各々に75個ずつ収容し(12個の円筒形バレルでは合計900個収容)、円筒形バレルを支持部材に固定した後、蒸着時間を20分間としたこと以外は実施例1と同様にして磁石体試験片表面にアルミニウム蒸着被膜を形成した。
磁石体試験片を放冷後、その表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の損傷や突起物の生成や試験片自体の割れや欠けなどによる磁石素材露出部が確認されないものについて、その外径面と内径面の膜厚を測定した結果(n=10の平均値:測定方法は実施例1と同様)を表2に示す。また、実施例1と同様の方法と基準で評価した不良品の個数を表2に示す。
表2から明らかなように、本発明の第一の蒸着被膜形成装置を用いて磁石体試験片表面にアルミニウム蒸着被膜を形成することにより、磁石体試験片は均一に攪拌され、アルミニウム蒸着被膜の損傷や突起物の生成や試験片自体の割れや欠けなどを発生させることなく、外径面と内径面に両者間で膜厚差の少ない均一な被膜を形成することができた。
【0033】
比較例2:
比較例1と同様の蒸着被膜形成装置を用いて以下の実験を行った。実施例4で使用した磁石体試験片と同一寸法の弓型形状の磁石体試験片に対し、ショットブラスト加工を行い、前工程の表面加工で生じた試験片表面の酸化層を除去した。
この酸化層が除去された磁石体試験片を円筒形バレルに900個収容した後、実施例4と同様にして磁石体試験片表面にアルミニウム蒸着被膜を形成した。
磁石体試験片を放冷後、その表面に形成されたアルミニウム蒸着被膜の損傷や突起物の生成や試験片自体の割れや欠けなどによる磁石素材露出部が確認されないものについて、その外径面と内径面の膜厚を測定した結果(n=10の平均値:測定方法は実施例1と同様)を表2に示す。また、実施例1と同様の方法と基準で評価した不良品の個数を表2に示す。
表2から明らかなように、従来の蒸着被膜形成装置を用いて磁石体試験片表面にアルミニウム蒸着被膜を形成した場合、本発明の第一の蒸着被膜形成装置を使用した場合に比較して不良品の個数が遥かに多く、外径面に形成された被膜と内径面に形成された被膜との間には大きな膜厚差があった。
【0034】
【表2】
Figure 0004560971
【0035】
【発明の効果】
本発明の第一の蒸着被膜形成装置によれば、従来の蒸着被膜形成装置と異なり、筒型バレルと蒸発部との間の距離が可変自在であるので、この筒型バレルに収容した被処理物表面への蒸着被膜の効率的形成と形成された蒸着被膜の軟化抑制を同時に達成することが可能となる。従って、被処理物表面に形成される蒸着被膜の損傷や突起物の生成を抑制し、耐食性などの点において高品質かつ低コストの蒸着被膜形成が可能となる。
また、本発明の第二の蒸着被膜形成装置によれば、筒型バレルの内部に形成された収容部と蒸発部との間の距離が可変自在である。従って、この蒸着被膜形成装置も、上記の本発明の第一の蒸着被膜形成装置と同様の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の蒸着被膜形成装置の一例の真空処理室の内部の模式的正面図(一部透視図)。
【図2】 同装置の一例の支持部材に支持された円筒形バレルの態様を示す模式的斜視図。
【図3】 同装置の一例のその他の支持部材に支持された円筒形バレルの態様を示す模式的斜視図。
【図4】 図3に示した態様において使用される円筒形バレルの模式的斜視図。
【図5】 図3に示した態様における支持部材の円筒形バレルの支持様式を示す模式的部分正面図。
【図6】 本発明の第二の蒸着被膜形成装置の一例の真空処理室の内部の模式的正面図(一部透視図)。
【図7】 同装置の一例の内部が分割された円筒形バレルの模式的斜視図。
【図8】 実施例4で使用した弓型形状の磁石の概要を示す図。
【図9】 従来の蒸着被膜形成装置における真空処理室の内部の模式的正面図(一部透視図)。
【符号の説明】
1、51、101 真空処理室
2、52、102 ボート(蒸発部
5、35、55、105 円筒形バレル
6、36、56、106 回転シャフト
7、37 支持部材
8、38 支持軸
9、59 アルミニウムワイヤー
30、80、130 希土類系永久磁石
35a 上籠部
35b 下籠部
39 被処理物脱落防止板[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a vapor deposition film forming apparatus suitable for forming a vapor deposition film of aluminum or the like on the surface of an object to be processed such as a rare earth permanent magnet.
[0002]
[Prior art]
Rare earth permanent magnets such as R-Fe-B permanent magnets represented by Nd-Fe-B permanent magnets have high magnetic properties and are used in various fields today.
However, rare earth-based permanent magnets contain metal species (particularly R) that are susceptible to oxidative corrosion in the atmosphere. Therefore, when used without surface treatment, corrosion progresses from the surface due to the influence of slight acid, alkali, moisture, etc., and rust is generated, resulting in deterioration and dispersion of magnetic properties. It will be. Furthermore, when rust is generated in a magnet incorporated in a device such as a magnetic circuit, the rust may be scattered and contaminate peripheral components.
In view of the above points, for the purpose of imparting excellent corrosion resistance to rare earth-based permanent magnets, it has been practiced to form a deposited film such as aluminum on the surface thereof.
Conventionally, as an apparatus used to form a deposited film on the surface of a rare earth-based permanent magnet, for example, US Pat. No. 4,116,161 and Graham Legge: “Ion Vapor Deposited Coatings for Improved Corrosion Protection”: Reprinted from Industrial Heating, There is an apparatus described in September, 135-140, 1994. FIG. 9 is a schematic front view (partially perspective view) of the inside of the vacuum processing chamber 101 connected to an unillustrated evacuation system, as an example. Two cylindrical barrels 105 formed of, for example, a stainless steel mesh wire mesh are provided at the upper part of the room so as to be rotatable around a rotation shaft 106 on a horizontal rotation axis. A plurality of boats 102, which are evaporating portions for evaporating aluminum as a deposition material, are arranged on a boat support base 104 erected on a support table 103 below the room.
According to this apparatus, a plurality of rare earth-based permanent magnets 130, which are objects to be processed, are accommodated in the cylindrical barrel 105, and the cylindrical barrel is rotated around the rotary shaft 106 as indicated by an arrow. Aluminum is evaporated from the boat 102 heated to a predetermined temperature by a substantially heating means, and an aluminum vapor deposition film is formed on the surface of the rare earth permanent magnet 130 in the cylindrical barrel 105.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
The vapor deposition film forming apparatus shown in FIG. 9 is capable of mass processing and is excellent in productivity. However, sometimes, an aluminum vapor-deposited film formed on the surface of the rare earth-based permanent magnet is damaged, which adversely affects the provision of corrosion resistance to the rare earth-based permanent magnet and becomes a factor that hinders improvement in yield. Also, sometimes protrusions are generated on the aluminum vapor-deposited film formed on the surface of rare earth permanent magnets, and these protrusions adversely affect the adhesion when incorporating magnets into parts using adhesives. was there.
Therefore, in the present invention, it is possible to form a high-quality and low-cost vapor-deposited film in terms of corrosion resistance, etc. by suppressing damage to the vapor-deposited film of aluminum or the like formed on the surface of a rare earth-based permanent magnet or the formation of projections. An object of the present invention is to provide a vapor deposition film forming apparatus.
[0004]
[Means for Solving the Problems]
As a result of various investigations in view of the above points, the inventors of the present invention have found that damage to the aluminum vapor-deposited film formed on the surface of the rare earth-based magnet and generation of protrusions can be caused by collisions between magnets during the vapor-deposited film formation process And found that rubbing between the magnet and the barrel is the main direct cause. In addition, in the background, in the vapor deposition film forming apparatus shown in FIG. 9, the distance between the cylindrical barrel and the evaporation portion does not change, so the rare earth permanent magnet accommodated in the barrel is always close to the evaporation portion. It is in a state where it is stirred in a certain area and heated by radiation heat from the evaporation section, etc., and due to the temperature rise of the magnet due to this, the aluminum vapor deposition film formed on the surface softens and is damaged. It was found that there is the fact that it is scraped off and granulated to easily adhere to other coating portions.
[0005]
  This invention is made | formed based on said knowledge, The 1st vapor deposition film forming apparatus of this invention is as follows in the vacuum processing chamber, the evaporation part of vapor deposition material, and its surface as described in Claim 1. Provided with a cylindrical barrel formed of a mesh for accommodating an object to be vapor-depositedFor forming a deposited film of metal or its alloysIt is a vapor deposition film forming apparatus, and it is outward in the circumferential direction of the rotation axis of the support member that is rotatable around the rotation axis in the horizontal direction., With support shaftCylindrical barrelBy supporting shaftIt is supported so that it can revolve, and by rotating the support member, the distance between the cylindrical barrel that revolves around the rotation axis of the support member and the evaporation section becomes variable.The cylindrical barrel is detachably supported by the support member by the support shaft.It is characterized by that.
  The vapor deposition film forming apparatus according to claim 2 is the vapor deposition film forming apparatus according to claim 1, wherein a plurality of cylindrical barrels are annularly supported outward in the circumferential direction of the rotation axis of the support member. Characterize.
MaIn addition, the second vapor deposition film forming apparatus of the present invention is as follows.3As described, a cylinder that is rotatable around a horizontal axis of rotation formed of a mesh for accommodating an evaporation portion of a vapor deposition material and an object to be vapor deposited on the surface thereof in a vacuum processing chamber. A vapor deposition film forming apparatus provided with a mold barrel, wherein the interior of the cylindrical barrel is divided and two or more storage sections rotate the cylindrical barrel so that the distance between the storage section and the evaporation section is variable It is formed to be free.
  Claims4The deposited film forming apparatus according to claim3The vapor deposition film forming apparatus described above is characterized in that the inside of the cylindrical barrel is radially divided from the rotation axis to form two or more accommodating portions.
  Further, the method for forming a deposited film of the present invention is as follows.5As described, claims 1 to4The vapor deposition film forming apparatus according to any one of the above is used.
  Claims6The method of forming a deposited film according to claim5In the described deposited film forming method, the object to be processed is a rare earth permanent magnet.
  Claims7The method of forming a deposited film according to claim5Or6In the described deposition film forming method, the deposition material is at least one selected from aluminum, zinc, tin, magnesium, and an alloy containing at least one of these metal components.
[0006]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
As a typical example of the object to be processed for forming a vapor deposition film in the vapor deposition film forming apparatus of the present invention, a rare earth permanent magnet can be cited. This is because the vapor deposition film forming apparatus of the present invention is particularly suitable in that a high quality corrosion-resistant film can be formed on the surface of the magnet film without causing cracks or chipping. However, the object to be processed is not limited to a rare earth permanent magnet as long as it can form a deposited film.
[0007]
The vapor deposition film forming apparatus of the present invention is applied to vapor deposition film formation using a vapor deposition material such as a metal or an alloy thereof. Among them, a soft metal or an alloy containing a soft metal component, for example, aluminum, zinc, tin, magnesium, etc. The present invention is suitably applied to the formation of a deposited film using an alloy containing at least one of these metal components. In particular, aluminum as a deposition material is excellent in adhesion reliability with an adhesive required when a part is incorporated in addition to the corrosion resistance of the formed aluminum film (reaching the breaking strength inherent in the adhesive). Therefore, it is suitable for the case where a rare earth permanent magnet that requires a strong adhesive strength is used as an object to be processed. The film formed using these vapor deposition materials contributes to the improvement of the corrosion resistance of the object to be processed, either by itself or when another film is formed on the surface thereof.
[0008]
The vapor deposition film forming apparatus of the present invention can be used as an apparatus for vapor deposition film formation by any method, but from the evaporation part of the vapor deposition material as employed in vacuum vapor deposition method, ion plating method, etc. It is highly effective for an apparatus for forming a vapor deposition film by a resistance heating method with a large radiant heat. In particular, an apparatus of a system that continuously supplies vapor deposition material to an electrically heated evaporation section and melts it requires the entire evaporation section to be at a high temperature, and as a result, the radiant heat from the evaporation section becomes very large. This is highly effective for various devices.
[0009]
First, the 1st vapor deposition film forming apparatus of this invention is demonstrated. This apparatus is a vapor deposition film forming apparatus having an evaporation part for vapor deposition material in a vacuum processing chamber and a cylindrical barrel formed of a mesh for accommodating an object to be processed on which vapor deposition material is vapor deposited. The cylindrical barrel is revolved outwardly in the circumferential direction of the rotation axis of the support member that is rotatable about the horizontal rotation axis, and the support member is rotated by rotating the support member. The distance between the cylindrical barrel that revolves around the axis and the evaporation section is variable. Below, an outline of an example of this vapor deposition film forming apparatus (apparatus for forming an aluminum vapor deposition film on the rare earth-based permanent magnet surface) will be described with reference to the drawings.
[0010]
FIG. 1 is a schematic front view (partially perspective view) of the inside of a vacuum processing chamber 1 connected to a vacuum exhaust system (not shown).
Two support members 7 that are rotatable around the rotation shaft 6 on the horizontal rotation axis are provided in the upper part of the room, and six support members 7 are provided outward in the circumferential direction of the rotation shaft 6 of the support member 7. A cylindrical barrel 5 formed of a stainless steel mesh wire net is supported in an annular shape by a support shaft 8 so as to be revolved. A plurality of boats 2, which are evaporation units for evaporating aluminum, which is a deposition material, are arranged on a boat support base 4 erected on a support table 3 below the room.
Inside the support table 3, an aluminum wire 9 as a vapor deposition material is wound and held on a supply reel 10. The tip of the aluminum wire 9 is guided above the boat 2 by a heat-resistant protective tube 11 facing the inner surface of the boat 2. A cutout window 12 is provided in a part of the protective tube 11, and a feeding gear 13 provided corresponding to the cutout window 12 is in direct contact with the aluminum wire 9, and the aluminum wire 9 is fed out so that the boat is The aluminum is constantly supplied into the interior 2.
[0011]
FIG. 2 shows a cylindrical barrel formed of six stainless steel mesh wire meshes on the outer side in the circumferential direction of the rotation shaft 6 of the support member 7 that is rotatable about the rotation shaft 6 on the horizontal rotation axis. FIG. 5 is a schematic perspective view showing that 5 is supported in an annular manner so as to be revolved by a support shaft 8 (the total number of cylindrical barrels supported is 12 because it is supported in series) (the magnet is Not contained).
[0012]
When the support member 7 is rotated about the rotation shaft 6 (see the arrow in FIG. 1), the cylindrical barrel 5 supported by the support shaft 8 on the outer side of the rotation shaft 6 in the circumferential direction of the support member 7 Correspondingly, a revolving motion is performed around the rotary shaft 6. As a result, the distance between the individual cylindrical barrels and the evaporating part disposed below the support member varies, and the following effects are exhibited.
That is, the cylindrical barrel located at the lower part of the support member 7 is close to the evaporation part. Therefore, an aluminum vapor deposition film is efficiently formed on the surface of the rare earth permanent magnet 30 accommodated in the cylindrical barrel. On the other hand, the rare earth permanent magnet housed in the cylindrical barrel away from the evaporation section is released from the heating state and cooled by the distance away from the evaporation section. Therefore, softening of the aluminum vapor deposition film formed on the surface is suppressed during this time. Thus, if this vapor deposition film forming apparatus is used, it becomes possible to achieve efficient formation of an aluminum vapor deposition film and suppression of softening of the formed aluminum vapor deposition film simultaneously.
[0013]
FIG. 3 is a schematic perspective view showing an aspect other than the aspect of the cylindrical barrel supported by the support member shown in FIG. A cylindrical barrel 35 formed of six stainless steel metal meshes is provided on the outer side in the circumferential direction of the rotation shaft 36 of the support member 37 that is rotatable about the rotation shaft 36 on the horizontal rotation axis. 38 is supported in an annular shape so as to be revolved freely (the total number of cylindrical barrels supported is 12 because it is supported in two stations) (no magnets are accommodated).
[0014]
FIG. 4 is a schematic perspective view of the cylindrical barrel 35 used in the embodiment shown in FIG. The cylindrical barrel 35 is openable and closable along the longitudinal direction. The cylindrical barrel 35 includes an upper collar part 35a and a lower collar part 35b that are configured to be opened and closed through a hinge (not shown), and a support member 37 supports the barrel. A support shaft 38 is provided. If such a cylindrical barrel 35 is used, the rare earth permanent magnet can be easily taken in and out, so that it is possible to suppress the occurrence of cracking and chipping of the magnet when the magnet is taken in and out. In addition, when such a cylindrical barrel 35 is continuously used, the mesh forming the barrel is deformed due to the influence of the thermal history associated with the vapor deposition process, so that there is a gap between the upper flange portion 35a and the lower flange portion 35b. May occur, and the magnet may fall out of the gap. Therefore, it is desirable to attach the workpiece drop prevention plate 39 in the longitudinal direction of the opening of the lower flange portion 35b (the workpiece fall prevention plate may be attached in the longitudinal direction of the opening portion of the upper flange portion 35a). . Moreover, at the time of a vapor deposition process, the upper collar part 35a and the lower collar part 35b are stopped and used by a clip not shown. Also, a net-like or plate-like partition wall is provided inside the cylindrical barrel 35 perpendicular to the longitudinal direction, and one rare earth permanent magnet is accommodated in each compartment, and the magnets are vapor-deposited in a state of being separated from each other. It may be processed.
[0015]
FIG. 5 is a schematic partial front view showing a support manner of the cylindrical barrel 35 of the support member 37 in the embodiment shown in FIG. The cylindrical barrel 35 is supported by holding a support shaft 38 between support members 37. It is desirable that the support shaft 38 of the support member 37 is clamped elastically, for example, like a mechanism using the repulsive force of a spring, so that the cylindrical barrel 35 is detachably supported from the support member 37.
[0016]
The first vapor-deposited film forming apparatus of the present invention as shown in FIG. 1 is advantageous in that it exhibits the effects described above and has the following advantages.
That is, even when a large amount of processing is performed, rather than storing a large amount of magnets in a single cylindrical barrel in a conventional vapor deposition film forming apparatus, the magnets are divided into individual cylindrical barrels in the vapor deposition film forming apparatus and stored in small quantities. However, since the number of collisions between magnets in the barrel can be reduced and the collision energy can be reduced, it is possible to suppress the occurrence of cracking and chipping of the magnets.
In addition, when it is deposited in a cylindrical barrel having a large R (curvature radius) in a conventional vapor deposition film forming apparatus such as a bow-shaped magnet or a large magnet, it slides down along the inner surface of the barrel. Even in the case of an object to be processed in which only one side always faces the evaporation part, it is accommodated in each cylindrical barrel of R smaller than R of the conventional cylindrical barrel in this vapor deposition film forming apparatus. By performing the vapor deposition treatment, the stirring can be performed uniformly, so that a uniform film formation with little difference in film thickness can be formed.
Further, magnets having different shapes and magnets of different sizes can be accommodated for each cylindrical barrel, and each cylindrical barrel can be annularly fixed outward in the circumferential direction of the rotation axis of the support member to perform the vapor deposition process. As a result, it becomes possible to perform vapor deposition of a plurality of types of magnets at a time.
In addition, a plurality of cylindrical barrels each having a different mesh shape are used in combination, and each cylindrical barrel is annularly fixed outward in the circumferential direction of the rotation axis of the support member, and vapor deposition is performed for each barrel. Since the efficiency can be made variable, it is possible to form vapor deposition films having different film thicknesses for each magnet accommodated in each cylindrical barrel.
Conventionally, in order to reduce the number of collisions between magnets, a method of using a dummy (for example, a ceramic ball having a diameter of 10 mm) that may be housed together with the magnet in the barrel may be employed. However, by using this vapor deposition film forming apparatus, the necessity is eliminated, and the film forming efficiency on the magnet can be improved. This results in effects such as suppression of increase in magnet temperature, suppression of damage to the deposited film, and suppression of formation of protrusions.
In addition, a holder for protecting the magnet (for example, a linear member is wound around a gap and formed into a spring-like cylindrical body having spiral spiral surfaces on both ends, and the magnet is placed in the cylindrical body. It is possible to save the trouble of storing the magnet in a case where the magnet can be stored freely).
[0017]
Moreover, there are the following advantages in making the cylindrical barrel detachable from the support member.
That is, since the magnet can be taken in and out at an arbitrary place, the convenience is improved, and the occurrence of cracking and chipping of the magnet at the time of taking in and out can be suppressed.
In addition, as the number of continuous use of the cylindrical barrel increases, the vapor deposition material preferentially adheres to the mesh surface facing the evaporation portion of the vapor deposition material, and the mesh opening ratio gradually decreases accordingly. The deposition material may adhere to the opening / closing portion of the barrel, which may make it difficult to open / close the barrel gradually. Therefore, it is desirable that the cylindrical barrel is appropriately washed with an alkaline aqueous solution such as an aqueous sodium hydroxide solution to dissolve and remove the deposited vapor deposition material. By providing means for making the mesh surface facing the surface variable, the following effects can be obtained. That is, the cylindrical barrel is made detachable from the support member, and as the means, the cylindrical barrel once removed from the support member is again used as the support member, for example, by making the cross-sectional shape of the support shaft polygonal or elliptical. When re-fixing, the mesh surface that did not face the evaporation part can be fixed so as to face the evaporation part. Therefore, since the adhesion of the vapor deposition material to the mesh surface can be dispersed, the number of operations for removing the vapor deposition material using the alkaline aqueous solution can be reduced. For example, if the support shaft is a plate-like body as shown in FIGS. 3 to 5, the cylindrical barrel is removed from the support member at the time when the deposition material advances to one mesh surface, In the case of the cylindrical barrel shown in FIGS. 3 to 5, the mesh surface on which the deposition material has progressed adheres to the inner side of the supporting member (that is, opposite to the evaporation portion located outside the supporting member. In the case of the cylindrical barrel shown in FIGS. 3 to 5, the cylindrical barrel is fixed to the support member again so that the mesh surface with less adhesion of the vapor deposition material faces the evaporation portion. (The cylindrical barrel is rotated by 180 degrees parallel to the rotation axis and fixed), and the above-described effects can be obtained.
Furthermore, by making the size of the cylindrical barrel easy to handle, a vapor deposition film forming process and its pre- and post-processes (for example, a blasting process as a previous process, a peening process and a subsequent chemical film forming process as a post-process) Can be used consistently in each step. Accordingly, since it is not necessary to perform a magnet transfer operation between each process, it is possible to suppress the occurrence of cracking and chipping of the magnet that may occur when the magnet is transferred, in addition to the labor of the transfer operation. Can be omitted.
[0018]
In the vapor deposition film forming apparatus shown in FIGS. 1 and 2, a support member 7 that supports the cylindrical barrel 5 is disposed above the vacuum processing chamber 1, and a boat 2 that is an evaporation unit is disposed below the chamber. However, the positional relationship between the support member and the evaporation unit is not limited to this positional relationship, and the distance between the cylindrical barrel and the evaporation unit can be varied by rotating the support member. In such a positional relationship, the support member and the evaporation unit may be arranged at any location in the vacuum processing chamber. However, if the evaporation part is disposed outside the support member, the distance between the support member and the evaporation part can be set in a wide range in the internal space of the vacuum processing chamber, so that the vapor deposition coating is efficient. It is possible to easily set a desired distance for forming and suppressing the softening of the formed deposited film, and even when forming the deposited film by evaporating while vapor-depositing material is melted, The arrangement of the members can be easily set and the handling is excellent.
Moreover, in the vapor deposition film forming apparatus shown in FIG. 1 and FIG. 2, six cylindrical barrels 5 are supported on one side of one support member 7 (since they are supported in duplicate, they are supported. The total number of cylindrical barrels is 12), and the number of cylindrical barrels supported by the support member is not limited to this, and may be one.
Further, the cylindrical barrel 5 may be supported so as to revolve around the rotation shaft 6 of the support member 7 by rotating the support member 7 and to rotate by a mechanism known per se.
Further, the shape of the barrel is not limited to a cylindrical shape as long as it is a cylindrical shape, and may be a polygonal cylindrical shape such as a hexagonal or octagonal cross section.
The cylindrical barrel 5 may be detachable from the support member 7 and the support member 7 may be detachable from the vacuum processing chamber 1.
Examples of the mesh include stainless steel and titanium mesh wire nets. The reason why the mesh material is stainless steel or titanium is that it is excellent in material strength and excellent in durability against an alkaline aqueous solution used for removing the vapor deposition material adhering to the barrel. The mesh may be created using a net-like plate obtained by punching or etching a flat plate, or may be created by knitting a linear body.
Further, the opening ratio of the mesh (ratio of the area of the opening to the area of the mesh) depends on the shape and size of the object to be processed, but is preferably 50% to 95%, more preferably 60% to 85%. . If the aperture ratio is less than 50%, the mesh itself becomes a barrier between the evaporation part and the object to be processed, and the deposition efficiency may be reduced. If the aperture ratio is greater than 95%, the mesh This is because there is a risk of deformation or damage during vapor deposition or other handling. The wire diameter of the mesh is selected in consideration of the aperture ratio and strength, but generally 0.1 mm to 10 mm is desirable. Furthermore, considering the ease of handling and the like, 0.3 mm to 5 mm is more desirable. According to the first vapor deposition film forming apparatus of the present invention, when performing a large amount of processing, each of the vapor deposition film forming apparatuses in this vapor deposition film forming apparatus is more than accommodating a large amount of magnets in one cylindrical barrel in the conventional vapor deposition film forming apparatus. When the container is divided into cylindrical barrels and accommodated in small amounts, the load applied to the mesh is reduced, so that the deformation is less likely to occur. Therefore, since the aperture ratio can be increased by reducing the wire diameter of the mesh, the deposition efficiency can be improved.
[0019]
Next, the 2nd vapor deposition film forming apparatus of this invention is demonstrated. This apparatus is a tube that is rotatable around a horizontal axis of rotation formed of a mesh for accommodating an evaporation portion of a vapor deposition material and an object to be vapor deposited on the surface thereof in a vacuum processing chamber. A vapor deposition film forming apparatus provided with a mold barrel, wherein the interior of the cylindrical barrel is divided and two or more storage sections rotate the cylindrical barrel so that the distance between the storage section and the evaporation section is variable It is formed to be free. Below, an outline of an example of this vapor deposition film forming apparatus (apparatus for forming an aluminum vapor deposition film on the rare earth-based permanent magnet surface) will be described with reference to the drawings.
[0020]
FIG. 6 is a schematic front view (partially perspective view) of the inside of the vacuum processing chamber 51 connected to an unillustrated vacuum exhaust system.
Two cylindrical barrels 55 that are rotatable about a rotation shaft 56 on a horizontal rotation axis formed of a stainless steel mesh wire mesh are provided at the upper part of the room. The inside of the cylindrical barrel 55 is radially divided into six from the rotation axis to form a fan-shaped housing portion. A plurality of boats 52, which are evaporation units that evaporate aluminum, which is a vapor deposition material, are arranged on a boat support base 54 erected on a support table 53 below the room.
Inside the support table 53, an aluminum wire 59, which is a vapor deposition material, is wound and held on a supply reel 60. The tip of the aluminum wire 59 is guided above the boat 52 by a heat-resistant protective tube 61 facing the inner surface of the boat 52. A cutout window 62 is provided in a part of the protective tube 61, and a feeding gear 63 provided corresponding to the cutout window 62 comes into direct contact with the aluminum wire 59, and the aluminum wire 59 is fed out to thereby Aluminum is continuously supplied into 52.
[0021]
FIG. 7 shows a stainless steel mesh wire mesh, which is rotatable about a rotation shaft 56 on a horizontal rotation axis and is divided into six radially from the rotation axis to form a fan-shaped housing section. It is a typical perspective view which shows the made cylindrical barrel 55 (a magnet is not accommodated).
[0022]
When the cylindrical barrel 55 is rotated around the rotary shaft 56 (see the arrow in FIG. 6), the distance between the individual accommodating portions formed inside the cylindrical barrel and the evaporation portion disposed below the individual accommodating portions is reduced. The following effects are exhibited.
That is, the accommodating part located in the lower part of the cylindrical barrel 55 is close to the evaporation part. Therefore, an aluminum vapor-deposited film is efficiently formed on the surface of the rare earth permanent magnet 80 accommodated in the accommodating portion. On the other hand, the rare earth-based permanent magnet housed in the housing part away from the evaporation part is released from the heating state and cooled by the distance away from the evaporation part. Therefore, softening of the aluminum vapor deposition film formed on the surface is suppressed during this time. Thus, if this vapor deposition film forming apparatus is used, it becomes possible to achieve efficient formation of an aluminum vapor deposition film and suppression of softening of the formed aluminum vapor deposition film simultaneously.
[0023]
The second vapor deposition film forming apparatus of the present invention as shown in FIG. 6 is advantageous in that it exhibits the above-described effects and has the following advantages.
That is, even when a large amount of processing is performed, it is more preferable to divide each container in the vapor deposition film forming apparatus and store a small amount than the cylindrical barrel in the conventional vapor deposition film forming apparatus. It is possible to reduce the number of times the magnets collide with each other and reduce the collision energy, so that it is possible to suppress the occurrence of breakage and chipping of the magnets.
Conventionally, in order to reduce the number of collisions between magnets, a method of using a dummy (for example, a ceramic ball having a diameter of 10 mm) that may be housed together with the magnet in the barrel may be employed. However, by using this vapor deposition film forming apparatus, the necessity is eliminated, and the film forming efficiency on the magnet can be improved. This results in effects such as suppression of increase in magnet temperature, suppression of damage to the deposited film, and suppression of formation of protrusions.
In addition, a holder for protecting the magnet (for example, a linear member is wound around a gap and formed into a spring-like cylindrical body having spiral spiral surfaces on both ends, and the magnet is placed in the cylindrical body. It is possible to save the trouble of storing the magnet in a case where the magnet can be stored freely).
[0024]
In the vapor deposition film forming apparatus shown in FIGS. 6 and 7, a cylindrical barrel 55 in which the inside is radially divided into six from the rotation axis and a fan-shaped housing section is formed above the vacuum processing chamber 51. Although the boat 52 which is an evaporation unit is arranged below the room, the positional relationship between the cylindrical barrel and the evaporation unit is not limited to this positional relationship, but by rotating the cylindrical barrel The cylindrical barrel and the evaporation unit may be disposed at any location in the vacuum processing chamber as long as the distance between the storage unit and the evaporation unit is variable.
In the vapor deposition film forming apparatus shown in FIGS. 6 and 7, the inside of the cylindrical barrel 55 is radially divided into six from the rotation axis to form a fan-shaped housing portion. The accommodating portion formed in the above is formed in any divided form as long as the distance between the accommodating portion and the evaporation portion can be varied by rotating the cylindrical barrel. It doesn't matter. Moreover, the partition which forms an accommodating part may be a net-like thing, and may be a plate-like thing. Each container is provided with a net-like or plate-like partition wall perpendicular to the longitudinal direction, one rare-earth permanent magnet is accommodated in each compartment, and vapor deposition is performed with the magnets separated from each other. You may be made to do.
Further, the shape of the barrel is not limited to a cylindrical shape as long as it is a cylindrical shape, and may be a polygonal cylindrical shape such as a hexagonal or octagonal cross section.
Further, the cylindrical barrel 55 may be detachable from the vacuum processing chamber 51.
Examples of the mesh include stainless steel and titanium mesh wire nets. The reason why the mesh material is stainless steel or titanium is that it is excellent in material strength and excellent in durability against an alkaline aqueous solution used for removing the vapor deposition material adhering to the barrel. The mesh may be created using a net-like plate obtained by punching or etching a flat plate, or may be created by knitting a linear body.
Further, the opening ratio of the mesh (ratio of the area of the opening to the area of the mesh) depends on the shape and size of the object to be processed, but is preferably 50% to 95%, more preferably 60% to 85%. . If the aperture ratio is less than 50%, the mesh itself becomes a barrier between the evaporation part and the object to be processed, and the deposition efficiency may be reduced. If the aperture ratio is greater than 95%, the mesh This is because there is a risk of deformation or damage during vapor deposition or other handling. The wire diameter of the mesh is selected in consideration of the aperture ratio and strength, but generally 0.1 mm to 10 mm is desirable. Furthermore, considering the ease of handling and the like, 0.3 mm to 5 mm is more desirable.
[0025]
【Example】
The deposited film forming apparatus of the present invention will be described in more detail with reference to the following examples and comparative examples, but the deposited film forming apparatus of the present invention is not limited to this. In the following examples and comparative examples, for example, as described in US Pat. No. 4,770,723 and US Pat. No. 4,792,368, a known cast ingot is pulverized, and after pulverization, molding, sintering, and heat treatment are performed. These were performed using sintered magnets having various shapes of 14Nd-79Fe-6B-1Co composition (hereinafter referred to as magnet body test pieces) obtained by performing surface processing.
[0026]
Example 1:
The following experiment was conducted using the vapor deposition film forming apparatus shown in FIG. 1 and FIG. Here, the cylindrical barrel is made of stainless steel having a diameter of 110 mm and a length of 530 mm, and has an opening ratio of mesh of 79.4% (a square opening with a side of 9.0 mm serving as an opening and a wire diameter of 1. 1 mm), and six (two in total, twelve in total) are detachably supported by one support member.
Shot blasting was performed on a 30 mm × 15 mm × 6 mm magnet body test piece to remove the oxide layer on the surface of the test piece generated by the surface processing in the previous step. 69 magnet specimens from which the oxide layer has been removed are provided in each of 12 cylindrical barrels (of which 5 magnets are thermolabels (trade name: manufactured by NOF Corporation) and aluminum foil. (The magnets wound with the thermolabel side as the inner surface) were accommodated one by one (a total of 828 were accommodated in the 12 cylindrical barrels), and the cylindrical barrel was fixed to the support member. 1 × 10 in the vacuum processing chamber-3After evacuating to Pa or lower, the surface of the magnet specimen was cleaned by sputtering for 20 minutes under the conditions of Ar gas pressure of 1 Pa and bias voltage of −500 V while rotating the support member at 1.5 rpm. Subsequently, an aluminum wire was used as a vapor deposition material under the conditions of Ar gas pressure of 1 Pa and bias voltage of −100 V, this was heated and evaporated, ionized, and aluminum was applied to the surface of the magnet specimen for 12 minutes by the ion plating method. A vapor deposition film was formed. It was 170 degreeC when the average highest attained temperature of the magnet body test piece which affixed the thermo label was measured.
After allowing the magnet specimen to cool, measure the film thickness of the exposed part of the magnet material due to damage to the aluminum vapor-deposited coating formed on the surface, formation of protrusions, cracks or chipping of the specimen itself, etc. The results (average value of n = 10) are shown in Table 1.
In addition, the film thickness of the aluminum vapor deposition film was measured using the fluorescence X-ray film thickness meter (SFT-7000: Seiko Electronics Co., Ltd. product).
The cylindrical barrel is attached to the blasting apparatus without transferring the magnet specimen having the aluminum vapor-deposited coating on the surface, while being accommodated in the cylindrical barrel.2A spherical glass bead powder having an average particle size of 120 μm and a Mohs hardness of 6 (Vickers hardness of 500 to 550) is applied together with a pressurized gas composed of a gas at an injection pressure of 1.5 kg / cm.2And shot peening was carried out for 5 minutes. For magnet specimens with aluminum vapor-deposited coatings that have undergone shot peening, the number of magnet material exposed parts (defective products) that are confirmed due to coating damage, formation of protrusions, cracks or chipping of the specimen itself, etc. Inspected. The results are shown in Table 1.
For magnets that do not show any exposed parts of the magnet material due to damage to the aluminum vapor-deposited coating formed on the surface of the magnet test piece, formation of protrusions, cracks or chipping of the test piece itself, etc. Table 1 shows the results (n = 5) of the corrosion resistance acceleration test in which the samples were left under humidity conditions.
As is apparent from Table 1, by forming the aluminum vapor-deposited film on the surface of the magnet test piece using the first vapor-deposited film forming apparatus of the present invention, damage to the aluminum vapor-deposited film, generation of protrusions, and the test piece itself It has been clarified that cracking and chipping can be suppressed and excellent corrosion resistance can be imparted.
[0027]
Example 2:
The following experiment was performed using the vapor deposition film forming apparatus shown in FIGS. Here, the cylindrical barrel is made of stainless steel having a diameter of 355 mm and a length of 1200 mm, and the mesh opening ratio is 79.4% (a square having an opening of 9.0 mm on one side and a wire diameter of 1. 1 mm), and the inside is radially divided into six from the rotation axis to form a fan-shaped housing section.
The magnet body test piece having the same dimensions as the magnet body test piece used in Example 1 was shot blasted to remove the oxide layer on the surface of the test piece generated by the surface processing in the previous step. 138 magnet specimens from which the oxide layer has been removed are wound around each receiving portion of a cylindrical barrel (of which five magnets are made by attaching a thermolabel to an aluminum foil with the thermolabel side as the inner surface. (A total of 828 are accommodated in the whole cylindrical barrel), and an aluminum vapor-deposited coating was formed on the surface of the magnet test piece in the same manner as in Example 1. It was 170 degreeC when the average highest ultimate temperature of the magnet body test piece which affixed the thermo label was measured.
After allowing the magnet specimen to cool, measure the film thickness of the exposed part of the magnet material due to damage to the aluminum vapor-deposited coating formed on the surface, formation of protrusions, cracks or chipping of the specimen itself, etc. The results (average value of n = 10) are shown in Table 1.
In addition, the measuring method of the film thickness of an aluminum vapor deposition film is the same as that of Example 1.
The magnet body test piece having the aluminum vapor-deposited coating on the surface was transferred to an aluminum bat, and then put into a blasting apparatus, and shot peening was performed in the same manner as in Example 1. About the magnet body test piece which has the aluminum vapor deposition film which performed shot peening, the number of inferior goods was test | inspected. The results are shown in Table 1.
The same corrosion resistance acceleration test as that in Example 1 was performed for the case where the exposed portion of the magnet material due to damage to the aluminum vapor-deposited coating formed on the surface of the magnet test piece, the formation of protrusions, or the crack or chipping of the test piece itself was not confirmed. The results (n = 5) are shown in Table 1.
As is apparent from Table 1, by forming the aluminum vapor-deposited film on the surface of the magnet test piece using the second vapor-deposited film forming apparatus of the present invention, damage to the aluminum vapor-deposited film, generation of protrusions, and the test piece itself It has been clarified that cracking and chipping can be suppressed and excellent corrosion resistance can be imparted.
[0028]
Comparative Example 1:
Uses a cylindrical barrel made of stainless steel with a diameter of 355 mm and a length of 1200 mm, with a mesh opening ratio of 79.4% (a square opening with a side of 9.0 mm and a wire diameter of 1.1 mm). The following experiment was performed using the conventional deposited film forming apparatus (see FIG. 9, where the configuration relating to the evaporation unit is the same as the deposited film forming apparatus shown in FIG. 1).
The magnet body test piece having the same dimensions as the magnet body test piece used in Example 1 was shot blasted to remove the oxide layer on the surface of the test piece generated by the surface processing in the previous step. 828 magnet specimens from which the oxide layer has been removed are wound on a cylindrical barrel (of which 5 magnets are magnets wound with an aluminum foil attached to an aluminum foil with the thermolabel side as the inner surface. After being housed, an aluminum vapor-deposited film was formed on the surface of the magnet test piece in the same manner as in Example 1. It was 220 degreeC when the average highest attained temperature of the magnet body test piece which stuck the thermo label was measured.
After allowing the magnet specimen to cool, measure the film thickness of the exposed part of the magnet material due to damage to the aluminum vapor-deposited coating formed on the surface, formation of protrusions, cracks or chipping of the specimen itself, etc. The results (average value of n = 10) are shown in Table 1.
In addition, the measuring method of the film thickness of an aluminum vapor deposition film is the same as that of Example 1.
The magnet body test piece having the aluminum vapor-deposited coating on the surface was transferred to an aluminum bat, and then put into a blasting apparatus, and shot peening was performed in the same manner as in Example 1. About the magnet body test piece which has the aluminum vapor deposition film which performed shot peening, the number of inferior goods was test | inspected. The results are shown in Table 1.
The same corrosion resistance acceleration test as that in Example 1 was performed for the case where the exposed portion of the magnet material due to damage to the aluminum vapor-deposited coating formed on the surface of the magnet test piece, the formation of protrusions, or the crack or chipping of the test piece itself was not confirmed. The results (n = 5) are shown in Table 1.
As is apparent from Table 1, when an aluminum vapor-deposited film is formed on the surface of a magnet specimen using a conventional vapor-deposited film forming apparatus, the number of defective products is greater than when the vapor-deposited film forming apparatus of the present invention is used. However, the corrosion resistance was also inferior.
[0029]
The inventors of the present invention have clarified that the film hardness of the aluminum vapor-deposited film decreases with increasing magnet temperature, but the above results are due to the difference in the degree of temperature increase of the magnet during film formation. It was judged that
[0030]
[Table 1]
Figure 0004560971
[0031]
Example 3:
The following experiment was conducted using the vapor deposition film forming apparatus shown in FIG. 1 and FIG. Here, one of the two series is made of stainless steel with a diameter of 110 mm and a length of 530 mm, and the mesh opening ratio is 79.4% (the opening opening is a square with a side of 9.0 mm and the wire diameter is 9 mm). 1.1 mm) cylindrical barrel (barrel A) is made of stainless steel having a diameter of 110 mm and a length of 530 mm on the other side, and the mesh opening ratio is 62.0% (the opening serving as an opening has a side of 4. Six cylindrical barrels (barrels B) each having a 1 mm square and a wire diameter of 1.1 mm are detachably supported by the support member.
Magnet body test pieces having the same dimensions as the magnet body test pieces used in Example 1 in each of the six barrels A (shot blasting was performed to remove the oxide layer on the surface of the test piece generated by the surface processing in the previous step) 69) (a total of 414 for 6 barrels A), and each of the 6 barrels B is subjected to a 10 mm × 8 mm × 4 mm magnet test piece (shot blasting). After removing the oxide layer on the surface of the test piece generated by the surface processing) 500 pieces each (with 6 barrels B containing 3000 pieces in total) and fixing the cylindrical barrel to the support member, Example 1 and Similarly, an aluminum vapor-deposited film was formed on the surface of the magnet body test piece.
After allowing the magnet specimen to cool, measure the film thickness of the exposed part of the magnet material due to damage to the aluminum vapor-deposited coating formed on the surface, formation of protrusions, cracks or chipping of the specimen itself, etc. As a result (average value of n = 10: the measurement method is the same as in Example 1), the film thickness of the aluminum vapor-deposited coating formed on the surface of the magnet test piece accommodated in the barrel A and vapor-deposited was 6.9 μm, The film thickness of the aluminum vapor-deposited film formed on the surface of the magnet test piece that is accommodated in the barrel B and vapor-deposited is 6.5 μm, and a stable vapor deposition process can be performed on two types of magnet test pieces of different shapes. Could be done at once.
[0032]
Example 4:
The following experiment was conducted using the same vapor deposition film forming apparatus as in Example 1. Shot blasting was performed on the outer R25mm x center thickness 2mm x chord 30mm x length 32mm in the shape of a bow-shaped magnet test piece (see Fig. 8 for the outline of the shape). The resulting oxide layer on the test piece surface was removed. 75 magnet specimens from which the oxide layer has been removed are accommodated in each of 12 cylindrical barrels (a total of 900 are accommodated in 12 cylindrical barrels), and the cylindrical barrel is fixed to a support member. A vapor deposited aluminum film was formed on the surface of the magnet test piece in the same manner as in Example 1 except that the vapor deposition time was 20 minutes.
After the magnet specimen is allowed to cool, the outer diameter surface of the magnet material is not confirmed due to damage to the aluminum vapor-deposited coating formed on the surface, generation of protrusions, cracks or chipping of the specimen itself, etc. Table 2 shows the results of measuring the film thickness of the inner diameter surface (average value of n = 10: the measurement method is the same as in Example 1). Table 2 shows the number of defective products evaluated by the same method and standard as in Example 1.
As is apparent from Table 2, by forming the aluminum vapor-deposited film on the surface of the magnet body test piece using the first vapor-deposited film forming apparatus of the present invention, the magnetic body test piece is uniformly stirred, A uniform film with little difference in film thickness between the outer diameter surface and the inner diameter surface could be formed without generating damage, generation of protrusions, cracking or chipping of the test piece itself.
[0033]
Comparative Example 2:
The following experiment was conducted using the same vapor deposition film forming apparatus as in Comparative Example 1. Shot blasting was performed on the bow-shaped magnet body test piece having the same dimensions as the magnet body test piece used in Example 4, and the oxide layer on the surface of the test piece generated by the surface processing in the previous step was removed.
After 900 magnet body test pieces from which the oxide layer had been removed were accommodated in a cylindrical barrel, an aluminum vapor-deposited film was formed on the surface of the magnetic body test piece in the same manner as in Example 4.
After the magnet specimen is allowed to cool, the outer diameter surface of the magnet material is not confirmed due to damage to the aluminum vapor-deposited coating formed on the surface, generation of protrusions, cracks or chipping of the specimen itself, etc. Table 2 shows the results of measuring the film thickness of the inner diameter surface (average value of n = 10: the measurement method is the same as in Example 1). Table 2 shows the number of defective products evaluated by the same method and standard as in Example 1.
As is apparent from Table 2, when an aluminum vapor-deposited film is formed on the surface of a magnet specimen using a conventional vapor-deposited film forming apparatus, it is less than when the first vapor-deposited film forming apparatus of the present invention is used. The number of non-defective products was much larger, and there was a large film thickness difference between the coating formed on the outer diameter surface and the coating formed on the inner diameter surface.
[0034]
[Table 2]
Figure 0004560971
[0035]
【The invention's effect】
According to the first vapor-deposited film forming apparatus of the present invention, unlike the conventional vapor-deposited film forming apparatus, the distance between the cylindrical barrel and the evaporating part is variable, so that the object to be processed accommodated in the cylindrical barrel is processed. Efficient formation of a vapor deposition film on the surface of an object and suppression of softening of the formed vapor deposition film can be achieved at the same time. Therefore, damage to the vapor deposition film formed on the surface of the object to be processed and generation of protrusions can be suppressed, and a high quality and low cost vapor deposition film can be formed in terms of corrosion resistance.
Moreover, according to the 2nd vapor deposition film forming apparatus of this invention, the distance between the accommodating part formed in the inside of a cylindrical barrel and an evaporation part is variable. Therefore, this deposited film forming apparatus also exhibits the same effect as the first deposited film forming apparatus of the present invention.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic front view (partially perspective view) of the inside of a vacuum processing chamber of an example of a first vapor deposition film forming apparatus of the present invention.
FIG. 2 is a schematic perspective view showing an aspect of a cylindrical barrel supported by a support member of an example of the apparatus.
FIG. 3 is a schematic perspective view showing an aspect of a cylindrical barrel supported by another supporting member of an example of the apparatus.
4 is a schematic perspective view of a cylindrical barrel used in the embodiment shown in FIG. 3. FIG.
5 is a schematic partial front view showing a support manner of a cylindrical barrel of the support member in the embodiment shown in FIG. 3. FIG.
FIG. 6 is a schematic front view (partially perspective view) of the inside of a vacuum processing chamber as an example of a second vapor deposition film forming apparatus of the present invention.
FIG. 7 is a schematic perspective view of a cylindrical barrel in which an example of the apparatus is divided.
FIG. 8 is a diagram showing an outline of an arcuate magnet used in Example 4;
FIG. 9 is a schematic front view (partially perspective view) of the inside of a vacuum processing chamber in a conventional vapor deposition film forming apparatus.
[Explanation of symbols]
      1, 51, 101 Vacuum processing chamber
      2, 52, 102 boats (Evaporator)
      5, 35, 55, 105 Cylindrical barrel
      6, 36, 56, 106 Rotating shaft
      7, 37 Support member
      8,38 Support shaft
      9, 59 Aluminum wire
    30, 80, 130 Rare earth permanent magnets
    35a upper buttocks
    35b lower arm
    39 Workpiece dropout prevention plate

Claims (7)

真空処理室内に、蒸着材料の蒸発部と、その表面に蒸着材料が蒸着される被処理物を収容するためのメッシュで形成された筒型バレルを備えた金属またはその合金の蒸着被膜を形成するための蒸着被膜形成装置であって、水平方向の回転軸線を中心に回転自在とした支持部材の回転軸線の周方向の外方に、支持軸を有する筒型バレルが支持軸によって公転自在に支持されており、支持部材を回転させることによって、支持部材の回転軸線を中心に公転運動する筒型バレルと蒸発部との間の距離が可変自在となり、かつ、筒型バレルは支持軸によって支持部材に着脱自在に支持されていることを特徴とする蒸着被膜形成装置。In a vacuum processing chamber, a vapor deposition layer of a vapor deposition material and a vapor deposition film of a metal or an alloy thereof having a cylindrical barrel formed of a mesh for accommodating a workpiece on which the vapor deposition material is vapor deposited are formed. An apparatus for forming a vapor-deposited film for a cylindrical barrel having a support shaft is supported by a support shaft so as to be revolved outwardly in a circumferential direction of a rotation axis of a support member that is rotatable about a horizontal rotation axis. are, by rotating the support member, the distance between the tubular barrel and the evaporating section revolves around the rotation axis of the support member Ri is Do freely varies, and the tubular barrel by a supporting shaft vapor deposited film forming apparatus characterized that you have been detachably supported to the support member. 筒型バレルが支持部材の回転軸線の周方向の外方に環状に複数個支持されていることを特徴とする請求項1記載の蒸着被膜形成装置 2. The vapor deposition film forming apparatus according to claim 1, wherein a plurality of cylindrical barrels are supported in an annular shape outward in the circumferential direction of the rotation axis of the support member . 真空処理室内に、蒸着材料の蒸発部と、その表面に蒸着材料が蒸着される被処理物を収容するためのメッシュで形成された水平方向の回転軸線を中心に回転自在の筒型バレルを備えた蒸着被膜形成装置であって、筒型バレルの内部が分割されて2以上の収容部が、筒型バレルを回転させることによって、収容部と蒸発部との間の距離が可変自在となるように形成されていることを特徴とする蒸着被膜形成装置。  In the vacuum processing chamber, there is an evaporation section for the vapor deposition material and a cylindrical barrel that is rotatable around a horizontal axis of rotation formed of a mesh to accommodate the workpiece on which the vapor deposition material is deposited. In the vapor deposition film forming apparatus, the inside of the cylindrical barrel is divided and the two or more accommodating portions rotate the cylindrical barrel so that the distance between the accommodating portion and the evaporation portion can be varied. The vapor deposition film forming apparatus characterized by being formed in this. 筒型バレルの内部が回転軸線から放射状に分割されて2以上の収容部が形成されていることを特徴とする請求項記載の蒸着被膜形成装置。The vapor-deposited film forming apparatus according to claim 3 , wherein the inside of the cylindrical barrel is radially divided from the rotational axis to form two or more accommodating portions. 請求項1乃至のいずれかに記載の蒸着被膜形成装置を用いることを特徴とする蒸着被膜形成方法。Vapor deposited film forming method, which comprises using a vapor deposited film forming apparatus according to any one of claims 1 to 4. 被処理物が希土類系永久磁石であることを特徴とする請求項記載の蒸着被膜形成方法。6. The vapor deposition film forming method according to claim 5, wherein the object to be processed is a rare earth permanent magnet. 蒸着材料がアルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウム、これらの金属成分の少なくとも1成分を含む合金から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項または記載の蒸着被膜形成方法。The vapor deposition material forming method according to claim 5 or 6 , wherein the vapor deposition material is at least one selected from aluminum, zinc, tin, magnesium, and an alloy containing at least one of these metal components.
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