JP4559397B2 - 結晶性珪素膜の作製方法、及び薄膜トランジスタの作製方法 - Google Patents

結晶性珪素膜の作製方法、及び薄膜トランジスタの作製方法 Download PDF

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本明細書で開示する発明は、ガラス基板等の絶縁表面を有する基板上に形成される結晶性を有する珪素半導体薄膜の作製方法に関する。また、その半導体薄膜を用いたデバイスの作製方法に関する。
近年、ガラス基板上に形成された珪素薄膜を用いて薄膜トランジスタを構成する技術が注目されている。この薄膜トランジスタは、主にアクティブマトリクス型の液晶電気光学装置や、その他の薄膜集積回路に利用されている。液晶電気光学装置は一対のガラス基板間に液晶を封入して、液晶に電界を加えることによって、液晶の光学特性を変化させて、画像表示を行わせるものである。
特に、薄膜トランジスタが用いられるアクティブマトリクス型の液晶表示装置は、各画素にスイッチとして薄膜トランジスタを配置して、画素電極に保持される電荷を制御することを特徴とする。アクティブマトリクス型の液晶表示装置は、微細な画像を高速で表示できるため、各種電子機器(例えば携帯型のワードプロセッサーや携帯型のコンピュータ)のディスプレーに利用されている。
アクティブマトリクス型の液晶表示装置に利用される薄膜トランジスタとしては、非晶質珪素薄膜(アモルファスシリコン薄膜)を利用したものが一般的である。
しかしながら、非晶質珪素薄膜を用いた薄膜トランジスタでは、
(1)特性が低く、より高品質な画像表示を行うことができない。
(2)画素に配置された薄膜トランジスタを駆動するための周辺回路を構成することができない。
といった問題がある。
上記の問題点(2)は、非晶質珪素薄膜を用いた薄膜トランジスタではPチャネル型の薄膜トランジスタが実用にならないので、CMOS回路が構成できないという問題と、非晶質珪素薄膜を用いた薄膜トランジスタでは高速動作ができず、また大電流を流すことができないので、周辺駆動回路を構成することができないという問題とに分けて考えることができる。
これらの問題を解決する方法としては、結晶性珪素薄膜を用いて薄膜トランジスタを形成する技術を挙げることができる。結晶性珪素薄膜を得る方法としては、非晶質珪素膜に対して加熱処理を加える方法と、非晶質珪素膜に対してレーザー光を照射する方法とを挙げることができる。
加熱処理により非晶質珪素膜を結晶化させる方法は、一般的に以下のような問題がある。普通、液晶電気光学装置に利用される薄膜トランジスタを構成しようとするには、透光性を有する基板上に形成することが要求される。透光性を有する基板としては、石英基板やガラス基板を挙げることができる。しかし、石英基板は高価であり、コストの削減が大きな技術的課題である液晶電気光学装置に利用することはできない。従って、一般的にはガラス基板が利用されることになるが、ガラス基板はその耐熱温度が低いという問題がある。
一般に、液晶電気光学装置に利用されるガラス基板としてコーニング7059ガラス基板が利用されている。このガラス基板の歪点は593℃であり、この温度以上で加熱処理を加えると、基板の縮みや変形が顕著になってしまう。近年、液晶電気光学装置は大面積化される傾向にあり、基板の縮みや変形は極力抑えなければならない。
一方、非晶質珪素膜を加熱により結晶化させるには、600℃以上の温度が必要とされることが実験的に判明しており、またその加熱時間も数十時間が必要なことが判明している。このような高温でしかも長時間の加熱は、大面積のガラス基板に対して到底行うことができない。
また、レーザー光の照射によって、非晶質珪素膜を結晶化させる技術も知られている。しかし、大面積に渡ってレーザー光を一様に照射することや、一定の照射パワーを維持して照射することは現実問題として困難である。
本明細書で開示する発明の目的は、極力低温の加熱による処理で非晶質珪素膜を結晶性珪素膜に変成する半導体薄膜の作製方法を提供することにある。特に、高性能な特性を有する薄膜トランジスタを構成することができるような結晶性の半導体薄膜の作製方法を提供することにある。
上述の問題点を解消するために、本発明に係る半導体薄膜の作製方法は、
非晶質珪素膜中に金属元素を導入する工程と、
前記非晶質珪素膜を結晶化させて結晶性珪素膜を得る工程と、
前記結晶性珪素膜上に前記金属元素を拡散させる膜を形成する工程と、
前記金属元素を拡散させる膜中に前記金属元素を拡散させる工程と、
前記金属元素を拡散させた膜を除去する工程と、
を有することを特徴とする。
上記構成において、結晶化される非晶質珪素膜は、ガラス基板または絶縁膜が形成されたガラス基板上にプラズマCVD法や減圧熱CVD法で形成された膜を挙げることができる。
また、金属元素としては、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Auから選ばれた一種または複数種類の元素を挙げることができる。これらの金属元素は珪素の結晶化を助長する触媒作用を有し、これら金属元素の中で特に効果があるのがニッケル(Ni)である。
上記の金属元素の導入方法としては、非晶質珪素膜の表面にこれら金属の層または金属を含む層を形成する方法を挙げることができる。具体的には、CVD法やスパッタ法さらには蒸着法等によって、金属元素の層または金属元素を含む層を形成する方法や、金属元素を含んだ溶液を非晶質珪素膜上に塗布する方法を挙げることができる。
CVD法やスパッタ法さらには蒸着法等を用いた場合には、極薄い均一な膜を成膜することが困難であることから、金属元素が非晶質珪素膜上の不均一に存在することになってしまい、結晶成長の際に金属元素が偏在し易いという問題がある。
他方、溶液を用いる方法は、金属元素の濃度を容易に制御することができ、かつ、金属元素を均一に非晶質珪素膜の表面に接して保持させることができるので、非常に好ましい。
珪素の結晶化を助長する金属元素が導入された非晶質珪素膜を結晶化させるには、450℃以上の温度で加熱を行えばよい。この加熱温度の上限は基板として用いられるガラス基板の耐熱温度で制限される。ガラス基板の場合には、この耐熱温度はガラスの歪点と考えることができる。加熱処理の1例としては、550℃程度の温度とすることが、ガラス基板の耐熱性や生産性の観点から見て適当である。
また基板として石英基板等の1000℃以上の温度にも耐えるような材料を用いた場合には、この加熱における加熱温度もその耐熱温度に従って高くすることができる。また、加熱温度が高い程、結晶性の優れた膜を得ることができる。
上記の構成において、金属元素を拡散させるための膜には、一般的なCVD法で形成される非晶質珪素膜を挙げることができる。例えば加熱により結晶化された結晶性珪素膜の出発膜となった非晶質珪素膜と同じ成膜方法で得られる非晶質珪素膜を用いることができる。
しかしより好ましくは、欠陥密度が高く、当該金属元素をトラップし易い膜質とするとよい。これは、この珪素膜中に結晶性珪素膜中の金属元素をより拡散し易くすることができるからである。
欠陥密度の高い非晶質珪素膜を得るには、プラズマCVD法において水素を用いずにシランのみで成膜を行う、スパッタ法を用いる、プラズマCVD法において成膜温度を下げる、といった手段を採用することによって実現できる。
この非晶質珪素膜はその膜厚を結晶性珪素膜の膜厚よりも厚くすることが効果的である。これは、非晶質珪素膜の膜厚が厚いほど、結晶性珪素膜に対する体積比を大きくすることができ、より多くの金属元素を非晶質珪素膜中に拡散させることができるからである。
更に、金属元素を拡散させるための膜として、多結晶珪素膜、非晶質状態の非晶質状態のSiX Ge1-X 膜(0<x<1)を使用することもできる。多結晶珪素膜を得るには、減圧CVD法を採用すればよい。また、非晶質状態のSiX Ge1-X を得るには、原料ガスにシラン(SiH4 )とゲルマン(GeH4 )を使用して、プラズマCVD法により形成すればよい。
結晶性珪素膜中に金属元素を拡散させる(吸い取らせる)工程は、加熱処理により行う。加熱に伴って、金属元素を拡散させる膜中に、結晶化珪素膜中の金属元素が拡散するために、結晶化珪素膜中の金属元素の濃度を低くすることがてきる。
次に、金属元素を拡散させた膜を除去する。この際に、結晶化させる非晶質珪素膜上に、予め酸化膜を形成しておくと、エッチングストッパーとして機能させることができ、金属元素を拡散させた膜のみを選択的にエッチングすることができる。
図1を用いて、本発明の構成を具体例に説明する。
珪素の結晶化を助長する金属元素であるニッケルを用いて結晶性珪素膜105をガラス基板101上に形成する。結晶化の方法は加熱処理を利用する。なお、ガラス基板101の表面には、下地膜として酸化珪素膜102が形成されている。(図1(B))
次に図1(C)に示すように酸化膜106を形成し、さらに金属元素を拡散させる膜として非晶質珪素膜107を成膜して、加熱処理する。
この加熱処理は非晶質珪素膜が結晶化しない温度(一般的に450℃以下)で行う方法と、非晶質珪素膜が結晶化してしまう温度(一般的に450℃以上、好ましくは500℃以上)で行う方法とに分けることができる。
結晶性珪素膜105上に設けられた非晶質珪素膜107の結晶化が起こらない温度で加熱処理をした場合には、加熱処理の温度は400〜450℃とし、その加熱時間は5分〜10時間程度とすればよい。これにより、非晶質珪素膜107中に徐々に結晶性珪素膜105中の金属元素が拡散して(吸い取られて)いく状態となる。従って、長い時間に渡って加熱処理を行うと、徐々にではあるが、結晶性珪素膜105中の金属元素の濃度を下げることができる。
そして、非晶質珪素膜107を酸化膜106をエッチングストッパーとして除去することにより、非晶質珪素膜107中の金属元素の濃度に比較して、結晶性珪素膜105中の金属元素の濃度を小さな結晶性珪素膜108を得ることができる。(図1(D)
この作用は非晶質珪素膜107中に、金属元素と結合しやすい状態で珪素の原子が存在している(非晶質状態では不対結合手が多量に存在している)ためである。また、この作用は非晶質珪素膜107中の欠陥密度を人為的に多くした場合に、より顕著に得ることができる。
他方、結晶性珪素膜105上に設けられた非晶質珪素膜107の結晶化が進行する温度で加熱処理をした場合には、非晶質珪素膜107が結晶化した時点で金属元素の拡散が見かけ状停止してしまう。また、結晶性珪素膜105中の金属元素濃度と、この金属元素を吸い取らせるための珪素膜107(加熱処理において結晶化してしまう)中の金属元素濃度との平均値が概略同一になった時点で、金属元素の拡散は見かけ上停止してしまう。
しかしながら、結晶性珪素膜105中においては、金属元素が局部的に集中して偏在していることが判明しており、この現象を抑制するためには、本発明の方法は有効なものとなる。これは、結晶成長の先端部分に金属元素が集中して存在している現象を利用して、この結晶成長の先端部を後に除去される珪素膜中に追いやることにより、素子の作製に利用しようとする珪素膜中には、金属元素の集中した部分が存在しないようにする方法である。
即ち、非晶質珪素膜107が結晶化する温度で加熱処理を行い、この膜を結晶化させる。この際、結晶成長は珪素膜107の酸化膜106に接した面からその露呈した表面へと進行する。また、結晶成長と同時に金属元素の集中した部分は珪素膜107中を移動していく。結果として、ニッケル元素が集中した部分が珪素膜105中から追いやられて、珪素膜107中(特にその表面)に存在することになる。そして、珪素膜107を酸化膜106をエッチングストッパーとして除去することにより、ニッケル元素が偏在する領域が無い結晶性珪素膜108を得ることができる。(図1(D)
(作用)
結晶化を助長する金属の作用によって結晶化した結晶性珪素膜の表面に、非晶質珪素膜等の金属元素を拡散させるための膜を形成し、しかる後に加熱処理を行うことで、金属元素を拡散させるための膜中に金属元素を拡散させる。こうすることで、事実上、金属元素を拡散させるための膜によって結晶性珪素膜中の金属元素の吸い出しを行うことができるため、金属元素の濃度が低く、かつ結晶性の良好な結晶性珪素膜を得ることができる。
また、図1に示す結晶性半導体薄膜の作製工程は全て550℃以下というガラス基板の耐え得る温度で行うことができるので、例えば液晶電気光学装置のように、ガラス基板上に形成される薄膜トランジスタの作製工程に極めて有用なものとなる。
また金属元素を拡散させる膜を容易に除去するために、結晶性珪素膜上に酸化膜を形成しておくことは有効である。酸化膜は珪素膜のエッチングに用いられるエッチャント(例えばヒドラジンやClF3 )に対して選択性を有しているので、エッチングストッパーとして機能させることができる。
また金属元素の作用によって結晶化された結晶性珪素膜(第1の珪素膜)の表面に非晶質珪素膜(第2の珪素膜)を形成し、しかる後に加熱処理を行いこの2層目の非晶質珪素膜を結晶化させることで、第1の珪素膜中において存在する金属元素の集中した部分を第2の珪素膜中に追いやることができ、第1の珪素膜中に金属元素が偏在することを抑制することができる。
金属元素の作用によって、550℃程度以下という従来に比較して低温で結晶性珪素膜作製することができる。従って、ガラス基板上に結晶性珪素膜を形成することができる。
また、金属元素の作用によって結晶化した珪素膜中の金属元素を非晶質珪素膜中に拡散させることによって、金属元素の濃度の低い結晶性珪素膜を得ることができる。従って、結晶性珪素膜を用いて、金属元素の悪影響のないデバイス、例えば薄膜トランジスタを得ることができる。
また、金属元素の作用によって結晶化した珪素膜中の金属元素が偏在した部分を除去するようにしたため、金属元素が偏在した部分のない結晶性珪素膜を得ることができる。この結果、金属元素の影響のない半導体素子を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
本実施例は、ガラス基板上に非晶質珪素膜を形成し、しかる後に珪素の結晶化を助長する金属膜を非晶質珪素膜に導入し、しかる後に加熱により非晶質珪素膜を結晶化させ、さらに結晶化した珪素膜(結晶性珪素膜)上に酸化膜(酸化珪素膜)を介して非晶質珪素膜を形成し、再び加熱処理を施すことにより、非晶質珪素膜中に結晶性珪素膜中からニッケル元素を拡散させ(ニッケル元素を非晶質珪素膜に吸い出させる)、結果として結晶性珪素膜中におけるニッケル元素濃度を低下させる技術に関する。
図1に本実施例に示す結晶性珪素膜の作製工程を示す。まず、コーニング7059ガラス基板101(歪点593℃)上に、下地膜として酸化珪素膜102を3000Åの厚さに成膜する。この酸化珪素膜102は、ガラス基板101から不純物やアルカリイオンが後に形成される半導体薄膜中に拡散することを防ぐためのものである。
次にプラズマCVD法または減圧熱CVD法によって、非晶質珪素膜103を600Åの厚さに成膜する。
そして、所定のニッケル濃度に調整したニッケル酢酸塩溶液を非晶質珪素膜103上に滴下して、水膜104を形成する。そしてスピナー100を用いてスピンコートを行い、ニッケル元素が非晶質珪素膜103の表面に接して保持された状態とする。(図1(A))
次に加熱処理を行い非晶質珪素膜103を結晶化させて、結晶性珪素膜105を得る。この加熱温度は450℃以上、好ましくは500℃以上の温度で行うことができる。ガラス基板101の耐熱性を考慮すれば、ガラス基板101の歪点以下の温度とすることが好ましい。なお500℃以下の温度でこの加熱処理を行った場合には、加熱処理に要する時間が数十時間以上となるので実用的ではない。(図1(B))
この結晶性珪素膜105中におけるニッケル濃度は1×1016原子cm-3〜5×1019原子cm-3とする必要がある。このため、図1(A)の工程において、得られた結晶性珪素膜105中におけるニッケル濃度が上記範囲となるように、ニッケル酢酸塩溶液中のニッケル濃度を調整する必要がある。なお、ニッケル濃度はSIMS(2次イオン分析方法)を用いて計測した値の最小値として定義される。
結晶性珪素膜105が得られたら、その表面に酸化珪素膜106を形成する。
酸化珪素膜106の厚さは数十Å〜100Å程度とすればよい。このような薄い膜とするのは、この酸化珪素膜106を介して、結晶性珪素膜105中のニッケル元素が移動できるようにする必要があるからである。ここでは、空気中で、UV光の照射によって極薄い酸化珪素膜106を形成する。この酸化珪素膜106は自然酸化膜程度の極薄い膜であっても、後の非晶質珪素膜(107で示される)のエッチングに際してエッチングストッパーとしての効果があることが判明している。
ここでは、UV酸化法を用いて酸化珪素膜106を形成したが、熱酸化法を用いて形成してもよい。また、酸化珪素膜106は、後のエッチング工程におけるエッチングストッパーとして機能するもので、結晶性珪素膜105に対してエッチングの際の選択性が得られる膜であればよい。例えば酸化珪素膜106の代わりに極薄い窒化珪素膜を用いることもできる。
次にプラズマCVD法または減圧熱CVD法により、非晶質珪素膜107を600Åの厚さに形成する。
この状態でSIMS(2次イオン分析法)を用いて、ニッケル元素の膜厚方向の濃度分布を調べたものを図2に示す。図2に示されているのは、非晶質珪素膜107の表面から深さ方向におけるニッケル元素の分布を示すものである。図2を見れば分かるように、非晶質珪素膜107中におけるニッケル元素は測定限界以下(この場合は、1×1017原子cm-3が測定限界)であり、また結晶性珪素膜105中には最大で5×1018原子cm-3程度のニッケル元素が存在していることが分かる。
そして加熱処理を施すことにより、非晶質珪素膜107中に結晶性珪素膜105中のニッケル元素を酸化膜106を介して拡散させる。この工程は、非晶質珪素膜107によって、結晶性珪素膜105中のニッケル元素を吸い出させる工程であると理解することもできる。(図1(C))
加熱工程を非晶質珪素膜107が結晶化しない温度である400℃〜450℃の温度で行っている。本実施例では、450℃の温度で2時間の加熱処理を行う。加熱処理を行うと、結晶性珪素膜105中のニッケル元素が非晶質珪素膜107に拡散し、結晶性珪素膜105中のニッケル元素の濃度を低くすることができる。
一般的に非晶質珪素膜107の厚さを結晶性珪素膜105の厚さ以上のもとすれば、上記加熱処理を行うことにより、結晶性珪素膜105中のニッケル濃度を1/2以下とすることができる。
図3に上記図1(C)に示す加熱処理工程を2時間行った状態における膜厚方向におけるニッケル元素の濃度の分布を示す。図3に示すデータは図2に示すデータと同じ測定法によるものである。
図3を見れば明らかなように、ニッケルは非晶質珪素膜107中に拡散している。しかし、結晶性珪素膜105中に濃度の方がやや高いことが見てとれる。図3より、図1(C)に示す加熱工程において、結晶性珪素膜105中のニッケル元素が非晶質珪素膜107中に吸い出されたことが理解される。
図4に示すのは、図3に示すデータが得られてから、さらに450℃の温度で2時間の加熱処理を加えた状態(最終的に450℃の温度で4時間の加熱処理を加えた状態)における、ニッケルの濃度分布である。
図4と図3を比較すれば明らかなように、結晶性珪素膜105中のニッケル元素が徐々に非晶質珪素膜107に吸い出されていく様子が見てとれる。これは、非晶質珪素膜107中には不対結合手が多量に存在しており、ニッケルが結合し易い珪素原子が多数存在しているためであると考えられる。さらに長時間の加熱処理を加えることにより、徐々にではあるが、さらに結晶性珪素膜105中のニッケル濃度を下げることができる。このような作用は、非晶質珪素膜107を結晶化してしまう場合には、見られない顕著な特徴である。
そして、非晶質珪素膜107をエッチングによって除去する。ここでは非晶質珪素膜107のエッチャントとしてヒドラジン(N2 6 )を用いる。ヒドラジンをエッチャントとして用いた場合には、結晶性珪素膜105のエッチングレートに比較して、非晶質珪素膜107のほうがエッチングレートが速い。しかも本実施例においては、ヒドラジンではエッチングされない(そのエッチングレートは極めて低く、相対的に見た場合、エッチングされないと見なすことができる)
酸化珪素膜106がエッチングストッパーとして、結晶性珪素膜105上に形成されている。従って、ニッケルを吸い出した非晶質珪素膜107のみを選択的に取り除くことができる。なお非晶質珪素膜107のエッチングには、ドライエッチングを用いてもよい。
次に酸化珪素膜106をバッファフッ酸やフッ硝酸によって取り除き、図1(D)に示すようなニッケル元素の含有濃度を低くすることができた結晶性珪素膜108を得る。
この結晶性珪素膜108中のニッケル元素の濃度は、図4を見ても分かるように、例えば3×1018原子cm-3弱程度である。この値は、図2と比較すれば分かるように、図1(C)の加熱処理前に比較して、ニッケル元素の濃度を1/2(平均すれば1/2以下となる)にできたことを意味する。
本実施例においては、結晶性珪素膜105の上に形成される非晶質珪素膜107の膜厚を結晶性珪素膜105と同じものとした。しかし、非晶質珪素膜107の膜厚をさらに厚くすることで、最終的に得られる結晶性珪素膜108中に含まれるニッケル元素の濃度をさらに低くすることができる。即ち、結晶性珪素膜105の体積に比較して、非晶質珪素膜107の体積をより大きくすることで、より多くのニッケル元素を非晶質珪素膜107に吸い出させることができる。
本実施例の構成を採用することで、得られた結晶性珪素膜108中のニッケル濃度を5×1018原子cm-3以下とすることができる。
本実施例は、図1に示した実施例1の作製工程において、図1(C)に示す加熱処理工程を加熱温度を550℃とし、加熱時間を4時間とする条件で行うことを特徴とする。図1(C)に示す加熱処理工程を550℃、4時間の条件で行った場合、107で示される非晶質珪素膜は結晶性珪素膜105から拡散してくるニッケル元素の作用により結晶化してしまう。
この際、結晶化が酸化膜106を介して、結晶性珪素膜105から非晶質珪素膜107に向かう方向で進行する。前述したように、珪素の結晶化を助長する金属元素は、結晶成長の先端部分に集中する傾向がある。従って、結晶化された珪素膜107(この段階では結晶性珪素膜に変成されている)の表面に、ニッケル元素の集中した領域が形成される。すると当然のことであるが、結晶性珪素膜105中のニッケル濃度は低減される。
また、結晶性珪素膜105の表面に存在していたニッケル元素の偏在領域は、非晶質珪素膜107の結晶化が進行するのに従って、その結晶成長の先端部分と共に移動する。即ち、このニッケル元素の偏在領域は、結晶化の終了後において、珪素膜107(ここでは結晶化された状態を指す)中に存在することなる。従って、結晶性珪素膜105の表面に存在していたニッケル元素の偏在領域を消滅させることができる。
このように非晶質珪素膜107を結晶化させてしまった場合、この結晶化した珪素膜を選択的に取り除くことができるかが懸念される。しかし、エッチングストッパーとして機能する酸化珪素膜106が形成されているので、選択的に107で示される珪素膜(この場合は結晶化されている)のみを取り除くことができる。即ち、ヒドラジンやClF3 ガスを用いたエッチングを行うと、珪素膜107のエッチング速度に比較して、106で示される酸膜のエッチング速度が極めて小さいので、エッチングを珪素膜107のエッチングが終了した時点で停止させることができる。
本実施例に示すような構成を採用した場合、図1(B)に示す加熱工程と図1(C)に示す加熱工程とを同じ条件で行うことができる。
本実施例は、実施例1や実施例2で示す作製方法によって得られた結晶性珪素膜を用いて、薄膜トランジスタを作製する例を示す。図5に本実施例に示す薄膜トランジスタの作製工程を示す。
実施例1または実施例2に示した方法を用いて、下地膜502が形成されたガラス基板501上に結晶性珪素膜503を形成する。(図5(A))
次に得られた結晶性珪素膜503をパターニングして、504で示されるような薄膜トランジスタの活性層を形成する。そしてプラズマCVD法または減圧熱CVD法で、ゲート絶縁膜として機能する酸化珪素膜505を1000Åの厚さに形成する。(図5(B))
次に、スカンジウムを含有したアルミニウム膜を6000Åの厚さに成膜して、パターニングを施すことにより、506で示すゲート電極を形成する。そして電解溶液中において、ゲート電極506を陽極とした陽極酸化を行うことによって、酸化物層507を形成する。この酸化物層507の厚さは2000Åとする。この酸化物層507の厚さで、後の工程においてオフセットゲート領域を形成することができる。
さらに活性層504に対して不純物イオンの注入を行う。ここでは、不純物イオンとしてリンイオンを注入する。この工程で、508と511で示される領域にリンイオンが注入される。この508と511で示される領域がソース/ドレイン領域となる。また509の領域はオフセットゲート領域となる。また510の領域はチャネル形成領域となる。
不純物イオンの注入終了後、レーザー光を照射して、注入されたイオンの活性化とイオンの注入時において損傷を受けたソース/ドレイン領域508、511のアニールとを行う。(図5(C))
次に層間絶縁膜として酸化珪素膜512を形成し、さらにコンタクトホールの形成を行い、ソース電極513とドレイン電極514の形成をアルミニウムを用いて行う。さらに最後に350℃の水素雰囲気中において加熱処理を行って、薄膜トランジスタを完成させる。(図5(D))
本実施例は、珪素の結晶化を助長する金属元素であるニッケルの導入を選択的に行うことにより、基板に平行な方向に結晶成長した結晶性珪素膜を得ると同時に、この結晶性珪素膜中のニッケル濃度を低下させる技術に関する。
ガラス基板601上に、下地膜602として酸化珪素膜を3000Åの厚さにスパッタ法によって成膜する。次に非晶質珪素膜603を500Åの厚さにプラズマCVD法または減圧熱CVD法によって成膜する。
次に酸素雰囲気中においてUV光を照射し、非晶質珪素膜603の表面に極薄い酸化膜(図示せず)を形成する。この酸化膜は、後の溶液塗布工程で溶液の濡れ性を改善するためのものである。
そして、レジストを用いてマスク604を形成する。レジストマスク604によって露呈される領域605は、図6(A)の紙面に垂直な方向に長手方向を有するスリット状を有している。
次に所定の濃度でニッケルを含有したニッケル酢酸塩溶液を滴下し、水膜606を形成する。(図6(A))
さらにスピナー600を用いてスピンコートを行い、非晶質珪素膜603上にの領域605において、図示しない酸化膜を介してニッケル元素が接して保持された状態とする。
そしてレジストマスク604を取り除く。次に加熱処理を加えて、非晶質珪素膜603の結晶化を行う。ニッケル元素は605で示される領域において、非晶質珪素膜603に図示しない酸化膜を介して接して保持された状態から、図示しない酸化膜を通して非晶質珪素膜603中に拡散していく。ニッケル元素の拡散に伴って、非晶質珪素膜603は矢印607で示されるように基板に平行な方向に結晶成長が進行して、結晶性珪素膜608が形成される。
この結晶成長は柱状あるいは針状に進行する。本実施例の場合は、605で示される領域が図面の手前方向から奥手方向に長手方向を有するスリット状を有しているので、矢印607で示されるような結晶成長は、略1方向に沿って進行する。また結晶成長は数10μm〜100μm以上に渡って行わすことができる。
(図6(B))
結晶性珪素膜608を得た後に、酸化膜609を50Åの厚さに熱酸化法で成膜する。さらに、プラズマCVD法または減圧熱CVD法により、非晶質珪素膜610を1000Åの厚さに成膜する。(図6(C))
そして450℃、2時間の加熱処理を行い、結晶性珪素膜608中のニッケル元素を酸化膜609を介して非晶質珪素膜610中に拡散させる。そして、非晶質珪素膜610をClF3 ガスでエッチングし、さらに酸化膜609をバッファフッ酸によって除去する。こうして、図6(D)に示すようなニッケル濃度が低下した結晶性珪素膜611を得ることができる。この結晶性珪素膜611は607で示されるような基板に平行な方向に結晶成長した領域を有し、かつ膜中におけるニッケル濃度が低いという特徴を有する。
実験によれば、605で示される領域に導入されるニッケルの量がある程度多い方が、607で示す基板に平行な方向への結晶成長(横方向成長という)の距離を長くできることが判明している。しかしながら、ニッケル元素の導入量を多くすると、最終的に得られる結晶性珪素膜611中におけるニッケル濃度を高くする要因となるので、好ましくない。これは、膜中におけるニッケル濃度が高くなると(実験によれば5×1019原子cm-3以上となると)、珪素膜の半導体としての特性が損なわれたり、また作製される薄膜トランジスタの動作が不安定になったり、特性の劣化が激しくなったりする問題が顕在化してしまう。
しかし、本実施例に示すように、結晶化の終了後にニッケル元素を除去することで、横方向への結晶成長距離を長くするという要請と、得られた結晶性珪素膜611中におけるニッケル濃度(金属元素の濃度)を極力低くしたいという要請とを両立させることができる。
本実施例は、実施例4において得られた結晶性珪素膜を用いて薄膜トタンジスタを構成する例を示す。図7に本実施例の作製工程を示す。
図6に示す工程に従って、結晶性珪素膜を得る。この結晶性珪素膜は基板に平行な方向に結晶成長した領域を有している。
図7(A)に示すように、結晶性珪素膜をパターニングして薄膜トランジスタの活性層703となる領域を形成する。図7(A)において、701はガラス基板であり、702は下地膜の酸化珪素膜である。
ここで、活性層703内に図6(B)で示す結晶成長における結晶成長の始点(ニッケルが導入された領域)と結晶成長の終点とが存在しないようにすることが重要である。これは、結晶成長の始点と結晶成長の終点とには、ニッケルが高濃度に含まれているからである。
さらにゲート絶縁膜として機能する酸化珪素膜704を1000Åの厚さにプラズマCVD法により成膜する。(図7(A))
次にアルミニウムを主成分とする膜を形成し、さらにパターニングを施すことにより、ゲート電極705を形成する。ゲート電極705を陽極にして、電解溶液中で陽極酸化して、酸化物層706を形成する。酸化物層706の厚さで後の不純物イオンの注入工程において、オフセットゲート領域を形成することができる。(図7(B))
不純物イオンとしてリンイオンを注入する。この工程でソース領域707とドレイン領域710とが形成される。更に、オフセットゲート領域708とチャネル形成領域709とが形成される。不純物イオンの注入終了後、レーザー光または強光を照射することにより、ソース/ドレイン領域707、710を活性化する。
そして、層間絶縁膜となる酸化珪素膜711をプラズマCVD法によって、6000Åの厚さに成膜する。酸化珪素膜711にコンタクトホールを形成した後に、ソース電極712とドレイン電極713の形成を行う。こうして薄膜トランジスタが完成される。(図7(C))
本実施例は、図1に示す実施例1の結晶性珪素膜の作製工程の後に、再び加熱処理を行うことを特徴とする。
図1(C)に示す工程において加熱処理を施すと、図4に示すように徐々に結晶性珪素膜105中のニッケル(金属元素)が非晶質珪素膜107に吸い出されていく。この際、図4に示すように結晶性珪素膜105の表面付近のニッケル濃度が、結晶性珪素膜105の下層の酸化珪素膜102の界面付近のニッケル濃度と比較して高くなってしまう。これは、結晶性珪素膜105中のニッケルが非晶質珪素膜107の吸い出されていってしまう結果、結晶性珪素膜105の表面側にニッケル元素が偏析してしまっていることを意味している。
このため、図1(D)に示すようなガラス基板101上に形成された結晶性珪素膜108を用いて薄膜トランジスタを作製した場合には、この結晶性珪素膜108の表面をキャリアが伝導することになる。キャリアが伝導する領域にニッケルが高濃度に存在していることは好ましくない。
そこで、本実施例においては、図1(D)に示す状態を得た後、加熱処理を行い、ニッケルを結晶性珪素膜108中に再び拡散させる。ここで行う加熱処理はニッケルを拡散させることができればよいので、400℃以上の温度であればよい。またその上限は、ガラス基板101の耐熱性によって制限される。従って、ここで行う加熱の温度は、400℃以上であって、ガラス基板の歪点以下の温度であればよい。
以下に本実施例の詳細を図8を用いて説明する。
図1に示すような作製工程を経て、図1(D)に示す状態を得る。この状態を図8(A)に示す。図8(A)には、ニッケルが偏析し、ニッケルが高濃度に含まれている層802(表面側)と、ニッケル濃度が802で示される層側よりも低濃度に含まれている層801が示されている。この層801と802とで、下地膜102を介してガラス基板101上に形成された結晶性珪素膜108(図1(D)参照)が構成されている。
この図8(A)に示す状態で図8(B)に示すように加熱処理を施す。ここでは、500℃、2時間の加熱処理を施す。この結果、802で示される領域のニッケル元素は、より低濃度でニッケルが存在する801で示される領域に拡散する。こうして、この領域802はニッケルの偏析の無い状態とすることができる。そして、その表面におけるニッケル濃度を低くすることができた結晶性珪素膜803を得ることができる。(図8(C))
本実施例は、実施例7に示す構成において、結晶化工程において、加熱処理の代わりにレーザー光の照射を行った場合の例である。本実施例の工程を図9に示す。
まず図1に示す工程を経て、802で示されるその表面にニッケル元素が高濃度に存在した結晶性珪素膜から成る層と、ニッケル元素が低濃度に存在する結晶性珪素膜から成る層801とを得る。(図9(A))
次にレーザー光を照射することにより、ニッケル元素を層802から層801に拡散させる。(図9(B))
これにより、膜中に均一にニッケルが拡散した状態を有する結晶性珪素膜901を得る。(図9(C))
本実施例は、実施例1に示す工程において、図1(C)に示す非晶質珪素膜107を人為的に欠陥密度の高い状態として成膜することを特徴とする。
実施例1に示す工程においては、図2に示すように、結晶性珪素膜105中には平均で3×1018原子cm-3程度のニッケル元素が含まれている。そこで、本実施例ににおいては、ニッケル元素を除去するのための非晶質珪素膜107中の欠陥密度を少なくとも上記ニッケル元素の濃度以上として、その除去能力を高めることを特徴とする。
非晶質珪素膜107中の欠陥密度はスピン密度を計測することにより、見積もることができる。また、欠陥を人為的に形成するにはスパッタ法、低温でのプラズマCVD法、あるいは不対結合を中和するための水素を用いないで、シランやジシランのみよるプラズマCVD法や減圧熱CVD法を用いればよい。
非晶質珪素膜107の欠陥密度を高くすると、ニッケル元素の除去能力をより大きくすることができ、図3や図4に示すような効果をより大きなものとすることができる。
本実施例は、ニッケル元素を拡散させる(ニッケル元素を吸い出させる)膜に、多結晶珪素膜を使用するようにしたものである。
図1に本実施例に示す結晶性珪素膜の作製工程を示す。まず、コーニング7059ガラス基板101(歪点593℃)上に下地膜として酸化珪素膜102を3000Åの厚さに成膜する。
次にプラズマCVD法または減圧熱CVD法によって、非晶質珪素膜103を600Åの厚さに成膜する。そして、所定のニッケル濃度に調整したニッケル酢酸塩溶液を非晶質珪素膜103上に滴下して、スピナー100を用いてスピンコートを行い、水膜104を形成する。これにより、ニッケル元素が非晶質珪素膜103の表面に接して保持された状態となる。(図1(A))
次に加熱処理を行い非晶質珪素膜103を結晶化させ、結晶性珪素膜105を得る。ここでは、加熱温度を550℃とし、加熱時間を4時間とする(図1(B))
結晶性珪素膜105が得られたら、その表面に酸化珪素膜106を数十Å〜100Å程度の厚さに、空気中で、UV光の照射によって形成する。
次に減圧熱CVD法により、多結晶珪素膜107を600Åの厚さに形成する。この多結晶珪素膜107は半導体の活性層に必要な程度の膜質にする必要はなく、欠陥密度が高い膜とする。また、この欠陥密度は結晶性珪素膜105の欠陥密度よりも高いほうが好ましい。
次に、加熱処理を施すことにより、非晶質珪素膜107中に結晶性珪素膜105中のニッケル元素を酸化膜106を介して拡散させる。(図1(C))
この際に、加熱温度の下限はニッケルが拡散し得る温度で定義され、400℃以上である、また、上限はガラス基板101の歪み温度で定義される。この加熱処理により、結晶性珪素膜105中のニッケル元素が多結晶珪素膜107に拡散し、結晶性珪素膜105中のニッケル元素の濃度を低くすることができる。
一般的に多結晶珪素膜107の厚さを結晶性珪素膜105の厚さ以上のもとすれば、上記加熱処理を行うことにより、結晶性珪素膜105中のニッケル濃度を1/2以下とすることができる。
そして、非晶質珪素膜107をエッチングによって除去する。ヒドラジン(N2 6 )又はClF3 ガスを使用すればよい。これに対して、酸化珪素のエッチングレートは極めて低くいため、酸化珪素膜106がエッチングストッパーとして機能するので、ニッケルを吸い出した多結晶珪素膜107のみを選択的に取り除くことができる。
次に酸化珪素膜106をバッファフッ酸やフッ硝酸によって取り除き、ニッケル元素の含有濃度を低くすることができた結晶性珪素膜108を得る。(図1(D))
本実施例は、ニッケル元素を拡散させる(ニッケル元素を吸い出させる)膜に、非晶質状態のSiX Ge1-X 膜(0<x<1)を使用するようにしたものである。図1に本実施例に示す結晶性珪素膜の作製工程を示す。
コーニング7059ガラス基板101(歪点593℃)上に下地膜として酸化珪素膜102を3000Åの厚さに成膜する。
次にプラズマCVD法または減圧熱CVD法によって、非晶質珪素膜103を600Åの厚さに成膜する。そして、所定のニッケル濃度に調整したニッケル酢酸塩溶液を非晶質珪素膜103上に滴下して、スピナー100を用いてスピンコートを行い、水膜104を形成する。これにより、ニッケル元素が非晶質珪素膜103の表面に接して保持された状態となる。(図1(A))
次に加熱処理して、非晶質珪素膜103を結晶化させて、結晶性珪素膜105を形成する。ここでは、加熱温度を550℃とし、加熱時間を4時間とする(図1(B))
結晶性珪素膜105が得られたら、その表面に酸化珪素膜106を数十Å〜100Å程度の厚さに、空気中で、UV光の照射によって形成する。
次に原料ガスにシラン(SiH4 )とゲルマン(GeH4 )を使用して、プラズマCVD法により非晶質状態のSiX Ge1-X 膜107を600Åの厚さに形成する。非晶質状態のSiX Ge1-X 膜107を欠陥密度が高い膜とするには、成膜時の基板温度を低温にしたり、原料ガスを水素で希釈しないようにすればよい。
次に、加熱処理を施すことにより、非晶質状態のSiX Ge1-X 膜107中に、結晶性珪素膜105中のニッケル元素を酸化膜106を介して拡散させる。(図1(C))
この加熱温度の下限はニッケルが拡散しうる温度で定義され、400℃以上である。また、上限はガラス基板101の歪み温度で定義される。加熱処理により、結晶性珪素膜105中のニッケル元素が非晶質状態のSiX Ge1-X 膜107中に拡散し、結晶性珪素膜105中のニッケル元素の濃度を低くすることができる。
そして、SiX Ge1-X 膜107をエッチングによって除去する。この際に、SiX Ge1-X 膜107と酸化珪素膜106とのエッチング選択比の高いエッチング溶液、エッチングガスを使用して、酸化珪素膜106がエッチングストッパーとして機能させるよようにする。これにより、ニッケルを吸い出したSiX Ge1-X 膜107のみを選択的に取り除くことができる。
次に酸化珪素膜106をバッファフッ酸やフッ硝酸によって取り除き、図1(D)に示すようなニッケル元素の含有濃度を低くすることができた結晶性珪素膜108を得る。
結晶性珪素膜の作製工程を示す図。 ニッケル元素の濃度分布を示す図。 ニッケル元素の濃度分布を示す図。 ニッケル元素の濃度分布を示す図。 薄膜トランジスタの作製工程を示す図。 結晶性珪素膜の作製工程を示す図。 薄膜トランジスタの作製工程を示す図。 結晶性珪素膜の作製工程を示す図。 結晶性珪素膜の作製工程を示す図。
符号の説明
100、600・・・・・・・・・スピナー
101、501、601、701・ガラス基板
102、502、602、702・下地膜(酸化珪素膜)
103、603・・・・・・・・・非晶質珪素膜
104、602・・・・・・・・・水膜
105、608・・・・・・・・・結晶性珪素膜
106、609・・・・・・・・・酸化膜
107、610・・・・・・・・・金属元素を拡散させる膜
108、611・・・・・・・・・結晶性珪素膜

Claims (9)

  1. 第1の非晶質珪素膜に珪素の結晶化を助長する金属元素を導入し、
    前記第1の非晶質珪素膜を加熱して結晶性珪素膜を形成し、
    前記結晶性珪素膜上に酸化珪素膜又は窒化珪素膜を形成し、
    前記酸化珪素膜又は窒化珪素膜上に第2の非晶質半導体膜を形成し、
    前記結晶性珪素膜と前記第2の非晶質半導体膜を加熱することを特徴とする結晶性珪素膜の作製方法。
  2. 第1の非晶質珪素膜に珪素の結晶化を助長する金属元素を導入し、
    前記第1の非晶質珪素膜を加熱して結晶性珪素膜を形成し、
    前記結晶性珪素膜上に酸化珪素膜又は窒化珪素膜を形成し、
    前記酸化珪素膜又は窒化珪素膜上に第2の非晶質半導体膜を形成し、
    前記結晶性珪素膜と前記第2の非晶質半導体膜を加熱し、
    前記第2の非晶質半導体膜を除去し、
    前記酸化珪素膜又は窒化珪素膜を除去し、
    前記結晶性珪素膜に加熱処理を行う又はレーザー光を照射することを特徴とする結晶性珪素膜の作製方法。
  3. 第1の非晶質珪素膜に珪素の結晶化を助長する金属元素を導入し、
    前記第1の非晶質珪素膜を加熱して結晶性珪素膜を形成し、
    前記結晶性珪素膜上に酸化珪素膜又は窒化珪素膜を形成し、
    前記酸化珪素膜又は窒化珪素膜上に欠陥密度が前記第1の非晶質珪素膜に含まれている金属元素の濃度よりも高い第2の非晶質半導体膜を形成し、
    前記結晶性珪素前記第2の非晶質半導体膜を加熱することを特徴とする結晶性珪素膜の作製方法。
  4. 第1の非晶質珪素膜に珪素の結晶化を助長する金属元素を導入し、
    前記第1の非晶質珪素膜を加熱して結晶性珪素膜を形成し、
    前記結晶性珪素膜上に酸化珪素膜又は窒化珪素膜を形成し、
    前記酸化珪素膜又は窒化珪素膜上に欠陥密度が前記第1の非晶質珪素膜に含まれている金属元素の濃度よりも高い第2の非晶質半導体膜を形成し、
    前記結晶性珪素膜と前記第2の非晶質半導体膜を加熱し、
    前記第2の非晶質半導体膜を除去し、
    前記酸化珪素膜又は窒化珪素膜を除去し、
    前記結晶性珪素膜に加熱処理を行う又はレーザー光を照射することを特徴とする結晶性珪素膜の作製方法。
  5. 請求項1または請求項3において、前記第2の非晶質半導体膜を前記加熱することにより、結晶性半導体膜を形成することを特徴とする結晶性珪素膜の作製方法。
  6. 求項乃至請求項5のいずれか一において、
    前記第2の非晶質半導体膜の欠陥密度は、3×1018原子cm−3以上であることを特徴とする結晶性珪素膜の作製方法。
  7. 請求項乃至請求項6のいずれか一において、
    前記第2の非晶質半導体膜は、CVD法又はスパッタ法を用いて形成されることを特徴とする結晶性珪素膜の作製方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
    前記珪素の結晶化を助長する金属元素は、Fe、Co、Ni、Pd、Ir、Pt、CuもしくはAuであることを特徴とする結晶性珪素膜の作製方法。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか一において、
    前記結晶性珪素膜を用いて薄膜トランジスタを形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
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