JP4556033B2 - Dnaオリゴマー大型単結晶育成法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、10量体DNAオリゴマーの大型単結晶を育成する方法に関する。より具体的には、本発明は、10量体DNAオリゴマーの結晶化の相図を作成し、この相図を基にして、10量体DNAオリゴマーの大型単結晶を作成することに関する。
【0002】
【従来の技術】
DNAの構造および機能に関与する水分子や水素結合の役割については、以前から多くの研究が行われている。例えば、水分子がDNA結合タンパク質とDNAとを結び付ける“糊”のような役割をしていること(Otwinowski, Z., et al., Nature, 335 (1988) 321-329)、そしてB型DNA二重鎖の副溝(minor groove)内には水分子が規則的に配列し、構造安定化に寄与していること(Denisov, V.P. et al., J. Mol. Biol., 268 (1997) 118-136)などが知られている。このような研究から、核酸分子周辺には水和水のネットワークが存在し、それがゲノム情報認識と密接に関係していると考えられている(Otwinowski, Z., et al., Nature, 335 (1988) 321-329)。また、DNAの塩基対がネットワークの水和水の配位に影響し、タンパク質がそれを認識している可能性もあると考えられている(Otwinowski, Z., et al., Nature, 335 (1988) 321-329)。
【0003】
従来、DNAの構造解析に主として用いられてきたX線回折では、DNA中の水和水の酸素原子の位置情報については確認することができた。しかしながら、そのような酸素原子の位置情報だけからでは、DNAの塩基対が核酸分子周辺の水和水ネットワーク中の水和水の配位に影響しているかどうか、タンパク質がDNA中の水和水の配位を認識しているかどうかを確認することができない。このように、DNA中の水和水の配位を正確に決定するためには、水素を含む水和構造を完全に決定することが重要になっているが、現在まで、完全には決定されていない。そのためには、DNA分子に対する中性子結晶回折法による解析が必要になっている。
【0004】
現在、中性子結晶回折実験において使用することができる最高性能の中性子回折計(例えば、BIX-3)を用いる場合、利用できるビーム強度などの問題のため、試料として非常に大型の結晶を使用しなければならないという問題が存在する。例えば、ニワトリ卵白リゾチーム(Niimura, N. et al., Nat. Struct. Biol., 11 (1997) 909-914)、ルブレドキシン、ミオグロビンなどを用いたタンパク質の中性子結晶回折実験では、いずれも数mm角の大きさの結晶を必要とした。
【0005】
本発明者らは、中性子結晶回折実験を用いたDNAの構造解析実験において、0.3 mm3以下のDNA結晶を用いてきたが、十分な解析結果を得ることができなかった。したがって、DNAの中性子結晶回折実験では、これ以上の大きさのDNA結晶を用いることが必要と考えられ、上述したタンパク質の場合を考慮すると1 mm角以上の大きさの結晶が必要であると予想される。しかしながら、これまでにそのようなDNAの大型単結晶は得られていない。
【0006】
従来までのタンパク質や核酸等の生体分子の結晶化に用いられていたキャピラリーを用いた塩濃度勾配法は、キャピラリーの底部に金属塩の粉末を入れ、その上部に生体分子や沈殿剤を含む混合溶液を注入し、生体分子を結晶化させる方法である。この方法では、キャピラリー底部の金属塩が、混合溶液中に拡散すると共に、重力の作用により塩濃度の勾配を形成する(Ataka, M., et al., JAERI-M, 92-213, 61)。本発明者らは、この結晶化法をDNAに適用し、この塩濃度の勾配の中で、DNA濃度との関係でDNAを析出するために適した条件がそろった塩濃度の範囲にDNAの結晶を析出させることを試みた。
【0007】
この方法では、結晶析出位置の近傍から連続的にDNA分子を供給することができるため、従来よりも大型の結晶を得ることが可能になる。しかし、現実には、DNAの結晶の比重が高いため、キャピラリー中で形成された結晶が時間の経過と共にキャピラリーの底部に沈殿してしまい、大型の結晶を得るまでには至っていない。したがって、DNAの効率的な結晶化を図るためには、DNA結晶化の具体的な相図を作成することが必要である。
【0008】
これまでに、DNA結晶化についての相図に関するいくつかの研究が行われている。例えば、DNA濃度とスペルミン濃度に関する相図を作成し、4量体、6量体、7量体、8量体、および17量体DNAの結晶化に対するスペルミンとMg2+イオンの結合定数を検討する研究(Malinina, L.V. et al., J. Biomol. Struct. Dyn., 5 (1987) 405-433)、ヘキサマーDNA(d(CGCGCG))の結晶化についての相図を作成し、結晶化条件によって結晶系が異なることを示した研究(Malinina, L.V. et al., J. Cryst. Growth, 110 (1991) 252;Minasov, G. et al., J. Cryst. Growth, 122 (1992) 136)、沈殿剤である2-メチル-2,4-ペンタンジオール(MPD)の濃度と無機カチオンの濃度に関する相図を作成し、ヘキサマーDNA(d(CICICI)、ここでIはイノシン酸を示す)が結晶化条件によってB型DNAおよびZ型DNAの両者ともで結晶が得られることを示した研究(Ho, P.S. et al., Science, 254 (1991) 1003-1006)などが知られている。
【0009】
しかしながら、これまでの研究では、10量体のDNAオリゴマーを用いた高濃度無機カチオン存在条件における相図に関しては全く報告がなされていない。また、DNA二重鎖の水和構造をより生体内の条件に近づけて議論するためには、らせん1ピッチ以上の構造を有していることが必要と考えられる。また、相図に関するこれまでの研究では様々な結晶化法が使用されており、二重らせんDNAの結晶成長過程を統一的に解釈することが困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、10量体DNAオリゴマーの大型単結晶の育成方法を開発することを課題とする。本発明はまた、中性子結晶回折法での解析に適した、10量体DNAオリゴマーの大型単結晶の育成方法を開発することを課題とする。本発明はまた、1 mm角以上の大きさを有する10量体DNAオリゴマーの大型単結晶を育成するため、10量体DNAオリゴマー結晶化の相図を作成することも課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、20〜30%の2-メチル-2,4-ペンタンジオール(MPD)の存在下において、図1に示す各曲線より上方の領域内に位置するDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM)の条件下、バッチ法により、10量体DNAオリゴマーの単結晶を析出することを特徴とする、10量体DNAオリゴマー大型単結晶の育成方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【0012】
本明細書中において使用する“バッチ法”とは、ラージバッチ法およびマイクロバッチ法のいずれをも包含する概念であり、具体的には生体分子、沈殿剤等を目標とする濃度になるように溶液中で混合し、一定温度条件下に静置することにより行う。バッチ法は、たとえば蒸気拡散法などの従来の方法と比較すると、溶液の濃度条件を精密に調節することが可能であり、また、実験系の大型化が容易であるため、従来にない大型のDNA結晶を得ることができる。
【0013】
本発明においてバッチ法により結晶化させるために使用するDNAオリゴマーは、らせん一回転またはそれ以上の長さを有するヌクレオチドであることを特徴とする。これは、DNA二重鎖の水和構造をより生体内の条件に近づけて議論するためである。DNAのらせん1ピッチは、A型DNAでは10.7ヌクレオチド、B型DNAでは10.0ヌクレオチド、Z型DNAでは12ヌクレオチドである。したがって、DNAオリゴマーの長さは、A型DNAの場合には11ヌクレオチドまたはそれ以上、B型DNAの場合には10ヌクレオチドまたはそれ以上、Z型DNAの場合には12ヌクレオチドまたはそれ以上のヌクレオチド長を有するDNAオリゴマーであることが必要である。本発明においては、10量体のDNAに注目して鋭意研究を進めた。
【0014】
本発明で使用するDNAオリゴマーは、0.45 mMより低い濃度の場合には、その他の条件をどのように変更しても溶液中のDNAオリゴマーが析出しない。したがって、少なくとも0.45 mMの濃度のDNAオリゴマーを使用する。さらに、本発明で使用するDNAオリゴマーは、その濃度が5 mMを超えると、溶液中に溶解することができなくなり、その結果本発明のDNAオリゴマーの大型単結晶の育成方法には適さなくなる。したがって、本発明において使用するDNAオリゴマーは、0.45〜5.0 mM以下の濃度範囲で使用する。
【0015】
本発明の方法においては、結晶化剤の一つとして無機カチオンを使用する。無機カチオンの具体的な例としては、MgCl2、NaCl、KCl、NiCl2などが存在するが、これらには限定されない。DNAオリゴマーの結晶化のためには、MgCl2を使用することが好ましい。
【0016】
本発明の方法においては、DNAをより効率よく沈殿させるために、沈殿剤を使用する。沈殿剤の具体的な例としては、MPD等の有機溶媒や、ポリエチレングリコール、無機塩類などが存在するが、これらには限定されない。DNAオリゴマーの結晶化のためには、慣例として一般的に用いられることが多いMPDを使用することが好ましい。なお、結晶化剤と沈殿剤とを区別する厳密な定義は存在しない。
【0017】
以上の様な条件を考慮して、本発明においてはまず、10量体DNAオリゴマーの結晶化に適した条件を探すため、沈殿剤としての20〜30%の間の様々な濃度のMPDの存在下で、5 mM以下の様々な濃度の10量体DNAオリゴマーと無機カチオンとしての様々な濃度のMgCl2を含む溶液を用いて、マイクロバッチ法により結晶化の相図を作成する。より詳細な相図を作成するためには、MPD濃度、10量体DNAオリゴマー濃度、およびMgCl2濃度のできるだけ多くの組合せにて結晶化の実験を行うことが必要である。
【0018】
本発明の一態様においては、様々なMPD濃度、10量体DNAオリゴマー濃度、およびMgCl2濃度の組合せにおいて10量体DNAオリゴマーの結晶化を行った結果、10量体DNAオリゴマーの相図を作成することができ、その相図にしたがって相図の結晶化領域に含まれるDNA濃度、MPD濃度、およびMgCl2濃度の条件下で、10量体DNAの結晶化を行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
試料の選定
本発明においては、まず、相図を作成するために使用するDNAオリゴマーを選定した。このDNAオリゴマーは、B型DNAである。このDNAオリゴマーの塩基配列は、Nucleic Acid Data Base(NDB)、Protein Data Bank(PDB)、Biological Macromolecule Crystallization Database(BMCD)等のデータベースに含まれるDNAオリゴマーのうち、X線結晶構造解析がなされている21種類のB型DNAを選び出した。これらの具体的な配列、およびその物理化学的特徴を以下の表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
本発明においては、それらの配列について、当該技術分野において周知のハンギングドロップ蒸気拡散法による結晶化実験を行うことにより、いずれのDNA配列が結晶化に適したものであるかを検索した。結晶化条件は、各論文に記載されている条件や核酸結晶化条件検索キット(Hampton Research社製)を用いた。その結果、SEQ ID NO: 4に示す塩基配列を有する10量体DNAオリゴマー、d(CCATTAATGG)が短期間に比較的大型なDNA単結晶を形成することがわかったので、以下の実験においてはこの10量体DNAオリゴマー(SEQ ID NO: 4)を用いた。
【0022】
マイクロバッチ法による相図作成
相図を作成するために、本発明においてはマイクロバッチ法を使用した。上述した蒸気拡散法は、DNAオリゴマーを含む混合溶液中の水分が蒸発するため、DNA濃度やMPDの濃度などの実験条件が時間と共に変化し、結晶化とそれらの実験条件との詳細な関係を明らかにするためには適していないからである。また、蒸気拡散法では、大型結晶作成のための実験系の大型化にも限界があるためである。
【0023】
マイクロバッチ法では、緩衝液(100 mMカコジル酸ナトリウム、pH 7.0)中に様々な濃度のDNAオリゴマー、様々な濃度のMgCl2、および様々な濃度のMPDを含有する混合液を結晶母液として4μl、結晶化用96穴プレート中に添加し、パラフィンオイルを重層して封入した。この母液を6℃にて静置し、母液中のDNAを結晶化させた。
【0024】
DNAを結晶化させるために使用したDNAオリゴマーの濃度、MgCl2の濃度、MPDの濃度は、表2〜表5に示す。それぞれの条件においてDNAの結晶化を行った結果、実験開始後20日目において、結晶が析出されるか否かの結果も表2〜表5に示す。表2はMPDが30%(v/v)の場合、表3はMPDが25%(v/v)の場合、表4はMPDが22.5%(v/v)の場合、表5はMPDが20%(v/v)の場合の、実験条件およびデータを示している。
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】
これらの条件下におけるDNA単結晶析出の結果を、図1にグラフとして示す。図1においては、MPD濃度を20%、22.5%、25%、および30%としたときに、曲線の上方の領域にあるDNA濃度およびMgCl2濃度においてCCATTAATGG(SEQ ID NO: 4)の配列を有するDNAオリゴマーが結晶化することを示している。この相図から、10量体DNAオリゴマーの結晶析出境界線は、いずれのMPD濃度においても、塩濃度(すなわち本発明においてはMgCl2濃度)が相対的に低濃度側では塩濃度が増大するにしたがって境界線が降下し、さらに塩濃度を増大していくと再び境界線が上昇することがわかった。このようなDNAオリゴマーの相図の特徴は、Malininaらの研究(Malinina, L.V. et al., J. Biomol. Struct. Dyn., 5 (1987) 405-33)やHoらの研究(Ho, P.S. et al., Science, 254 (1991) 1003-1006)によっても知られていなかった。
【0030】
したがって、本発明は、上述した結果に基づいて、20〜30%の2-メチル-2,4-ペンタンジオール(MPD)の存在下において、図1に示す各曲線より上方の領域内に位置するDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM)の条件下、バッチ法により、10量体DNAオリゴマーの単結晶を析出することを特徴とする、10量体DNAオリゴマー大型単結晶の育成方法を新たに提供する。
【0031】
10量体DNAオリゴマー結晶化の詳細を検討すると、MPD濃度が20%から増加するにしたがって結晶が析出するDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM)の領域が拡大する。さらに、それぞれのMPD濃度において結晶析出境界線近傍のDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM)の条件で得られた10量体DNAの単結晶を比較すると、MPD濃度の増加と共に結晶の外形が整うという傾向が見られた。これは、有機溶媒であるMPDが溶液の誘電率を低下させ、その結果、静電的な相互作用が強まってDNA分子が会合しやするなるためであると考えられている。
【0032】
図1において、結晶析出領域は、MPDの濃度が20〜30%のいずれの濃度域の場合であっても、DNAの結晶析出境界線は下に凸の曲線を描くことが示される。従来の研究においても、結晶析出領域の広さがMPDの濃度に依存していることは示されているものの(Minasov, G. et al., J. Cryst. Growth, 122 (1992) 136)、DNAの溶解度が極小となっていることについては、知られていなかった。この結果から、結晶析出領域においてDNAの結晶析出境界線は下に凸の曲線を描くという性質は、アルコール濃度に依存する性質ではなく、無機カチオン、特にMgCl2の存在に対して特異的に現れる性質であることが示唆される。
【0033】
上述の結果をMPD濃度が20%、22.5%、25%、および30%としたときのそれぞれのデータについて、さらに詳細に説明する。
MPD濃度が30%である場合の相図を図2に示す。この図に示す曲線の上方の領域内に位置するDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM)の条件下、バッチ法により、10量体DNAオリゴマーの単結晶を析出することができることを示している。この図からもわかるように、MgCl2が存在しない条件下では、どのような濃度のDNAオリゴマーを用いても10量体DNAオリゴマーの結晶が析出しないが、MgCl2濃度が7.5 mMの場合には4.5 mMのDNA濃度において10量体DNAオリゴマーの結晶が析出することがわかった。また、MgCl2濃度が600 mMの場合には3.0 mMまたは4.0 mMのDNA濃度において10量体DNAオリゴマーの結晶が析出しているのに対して、MgCl2濃度が700 mMまたはそれ以上の濃度になると10量体DNAオリゴマーの結晶が析出しないことがわかった。このことから、本発明の好ましい一態様においては、10量体DNAオリゴマー単結晶の析出を行うために、30%のMPD濃度においては、7.5 mMから600 mMの濃度のMgCl2を使用する。
【0034】
本発明の詳細な一態様において、30%のMPDの存在下、5.0 mMまたはそれ以下のDNA濃度において、MgCl2濃度(mM)をX軸としおよびDNA濃度(mM)をY軸としたグラフを作成した場合に、以下の(MgCl2濃度、DNA濃度)からなる組合せ;
(7.5、5.0);(7.5、4.5);(15、1.8);(50、0.9);(200、0.9);(500、1.8);(600、3.0);そして(600、5.0);
であるような各点を、この順番に直線で結ぶことにより作られる折れ線よりYが大なる領域に含まれるDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM)において、バッチ法により、10量体DNAオリゴマーの単結晶を析出することを特徴とする、10量体DNAオリゴマー大型単結晶の育成方法を提供する。
【0035】
MPD濃度が25%である場合の相図を図3に示す。この図に示す曲線の上方の領域内に位置するDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM)の条件下、バッチ法により、DNAオリゴマーの単結晶を析出することができることを示している。この図2からもわかるように、MgCl2が存在しない条件下では、どのような濃度のDNAオリゴマーを用いても10量体DNAオリゴマーの結晶が析出しないが、MgCl2濃度が50 mMの場合には4.0 mMおよび2.5 mMのDNA濃度において10量体DNAオリゴマーの結晶が析出することがわかった。また、MgCl2濃度が600 mMの場合には4.5 mMのDNA濃度において10量体DNAオリゴマーの結晶が析出することがわかった。このことから、本発明の好ましい一態様においては、10量体DNAオリゴマー単結晶の析出を行うために、25%のMPD濃度においては、50 mMから600 mMの濃度のMgCl2を使用する。
【0036】
本発明の別の詳細な一態様において、25%のMPDの存在下、5.0 mMまたはそれ以下のDNA濃度において、MgCl2濃度(mM)をX軸としおよびDNA濃度(mM)をY軸としたグラフを作成した場合に、以下の(MgCl2濃度、DNA濃度)からなる組合せ;
(50、5.0);(50、2.5);(200、1.0);(300、1.5);(600、4.5);そして(600、5.0);
であるような各点を、この順番に直線で結ぶことにより作られる折れ線よりYが大なる領域に含まれるDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM)において、バッチ法により、10量体DNAオリゴマーの単結晶を析出することを特徴とする、10量体DNAオリゴマー大型単結晶の育成方法を提供する。
【0037】
MPD濃度が22.5%である場合の相図を図4に示す。この図に示す曲線の上方の領域内に位置するDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM)の条件下、バッチ法により、10量体DNAオリゴマーの単結晶を析出することができることを示している。この図からもわかるように、MgCl2が存在しない条件下では、どのような濃度のDNAオリゴマーを用いても10量体DNAオリゴマーの結晶が析出しないが、MgCl2濃度が100 mMの場合には4.5 mMのDNA濃度において10量体DNAオリゴマーの結晶が析出することがわかった。また、MgCl2濃度が400 mMの場合には3.0 mMまたは4.5 mMのDNA濃度において10量体DNAオリゴマーの結晶が析出しているのに対して、MgCl2濃度が600 mMまたはそれ以上の濃度になると10量体DNAオリゴマーの結晶が析出しないことがわかった。このことから、本発明の好ましい一態様においては、10量体DNAオリゴマー単結晶の析出を行うために、22.5%のMPD濃度においては、100 mMから400 mMの濃度のMgCl2を使用する。
【0038】
本発明のさらなる詳細な一態様において、22.5%のMPDの存在下、5.0 mMまたはそれ以下のDNA濃度において、MgCl2濃度(mM)をX軸としおよびDNA濃度(mM)をY軸としたグラフを作成した場合に、以下の(MgCl2濃度、DNA濃度)からなる組合せ;
(100、5.0);(100、4.5);(200、3.0);(400、3.0);そして(400、5.0);
であるような各点を、この順番に直線で結ぶことにより作られる折れ線よりYが大なる領域に含まれるDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM)において、バッチ法により、10量体DNAオリゴマーの単結晶を析出することを特徴とする、10量体DNAオリゴマー大型単結晶の育成方法を提供する。
【0039】
MPD濃度が20%である場合の相図を図5に示す。この図に示す曲線の上方の領域内に位置するDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM)の条件下、バッチ法により、DNAオリゴマーの単結晶を析出することができることを示している。この図からもわかるように、MgCl2が存在しない条件下では、どのような濃度のDNAオリゴマーを用いても10量体DNAオリゴマーの結晶が析出しないが、MgCl2濃度が200 mMの場合には4.5 mMのDNA濃度において10量体DNAオリゴマーの結晶が析出することがわかった。また、MgCl2濃度が400 mMの場合には4.5 mMのDNA濃度において10量体DNAオリゴマーの結晶が析出しているのに対して、MgCl2濃度が600 mMまたはそれ以上の濃度になると10量体DNAオリゴマーの結晶が析出しないことがわかった。このことから、本発明の好ましい一態様においては、10量体DNAオリゴマー単結晶の析出を行うために、20%のMPD濃度においては、200 mMから400 mMの濃度のMgCl2を使用する。
【0040】
本発明のさらに別の詳細な一態様において、20%のMPDの存在下、5.0 mMまたはそれ以下のDNA濃度において、MgCl2濃度(mM)をX軸としおよびDNA濃度(mM)をY軸としたグラフを作成した場合に、以下の(MgCl2濃度、DNA濃度)からなる組合せ;
(200、5.0);(200、4.5);(400、4.5);そして(400、5.0);
であるような各点を、この順番に直線で結ぶことにより作られる折れ線よりYが大なる領域に含まれるDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM)において、バッチ法により、10量体DNAオリゴマーの単結晶を析出することを特徴とする、10量体DNAオリゴマー大型単結晶の育成方法を提供する。
【0041】
本発明のより好ましい一態様において、10量体DNAオリゴマーがCCATTAATGG(SEQ ID NO: 4)の配列を有することを特徴とする、10量体DNAオリゴマー大型単結晶の育成方法を提供する。
【0042】
大型単結晶育成方法の検討
本発明の一態様において、上述したDNAオリゴマーの結晶化条件に従って、塩濃度勾配法、ラージバッチ法などの種々の方法を用いて、実際にDNAオリゴマーの大型結晶が形成されるか否かについて検討をした。例えば塩濃度勾配法は、キャピラリーの底部にMgCl2を入れ、その上部にDNAや沈殿剤であるMPDを含む混合溶液を注入し、DNAを結晶化させることにより行う。具体的には、キャピラリーの底部のMgCl2が混合溶液に対して拡散すると、重力の作用により塩濃度の勾配を形成し、この塩濃度の勾配の中でDNAを析出するために適した塩濃度の範囲にDNAの結晶を析出させることにより行う。またラージバッチ法は、MgCl2、DNAおよび沈殿剤であるMPDを含む結晶化溶液を平底プレートに注入して、6℃で2〜3箇月静置することにより行う。
【0043】
DNA 大型単結晶の作成
本発明の一態様においては、上述した10量体DNAオリゴマーの結晶化方法により作製され、構造学的・結晶学的解析に適した物理化学的性質を有する、10量体DNAオリゴマー大型単結晶もまた、提供する。本発明のより好ましい一態様においては、CCATTAATGG(SEQ ID NO: 4)の配列を有する10量体DNAオリゴマーの大型単結晶を提供する。
【0044】
ここで、構造学的・結晶学的解析に適した物理化学的性質としては、少なくとも0.2×0.2×0.2 mm3、より好ましくは0.5×0.5×0.5 mm3、最も好ましくは1.0×1.0×1.0 mm3程度の大きさを有し、偏光顕微鏡によって結晶の偏向を確認でき、さらにX線解説実験や中性子回折実験によって明瞭な回折斑点を得ることができる、などの性質があげられるが、これらのものには限定されない。
【0045】
【実施例】
本発明をさらに詳細に理解するために、以下にCCATTAATGG(SEQ ID NO: 4)の配列を有する10量体DNAオリゴマーに関する実施例を記載する。これらの実施例は本発明の例示を意図するものであり,本発明の範囲を制限するものではない。
【0046】
実施例1:適した条件の検討
本発明で作成されたCCATTAATGG(SEQ ID NO: 4)の配列を有するDNAオリゴマー結晶化の相図を基にして、MPD濃度、DNAオリゴマー濃度、そしてMgCl2濃度の観点から、10量体DNAオリゴマーの結晶化に適した条件を検討した。
【0047】
まず、MPD濃度に関して検討する。MPD濃度は、20%から30%まで、その濃度が増加するにしたがって結晶析出領域が拡大するという特徴を有する。これは、20%から30%の間のMPD濃度の場合にはMPD濃度が増大するにつれて、より低濃度のDNAオリゴマーであっても結晶が析出しやすくなるという特徴を有していることを示している。したがって、本発明の一態様において、MPD濃度を30%にすることとした。
【0048】
次に、実験開始20日後の30%MPD濃度条件下における相図(図2)に基づいて、DNAオリゴマー濃度とMgCl2濃度との関係を検討する。実験開始20日後には、MgCl2濃度が200 mM以下の結晶析出境界線近傍で、比較的大型の結晶が得られることがわかった。これはすなわち、MgCl2濃度を固定した場合には、結晶化が生じる限りにおいてできるだけ低いDNAオリゴマー濃度を用いると大型の結晶が得られることを示している。特に、予備的実験を行った際、2.7 mMのDNAオリゴマーおよび15 mMのMgCl2の条件下において、1.0×1.0×0.1 mm3程度の比較的大きな結晶が得られた。
【0049】
しかしながら、図2の結晶析出領域からもわかるように、MgCl2濃度が100 mM以下の条件下においては、塩濃度が増加するとともに、結晶析出境界線が急激に下降し、ごくわずかな塩濃度の差によっても、結晶析出が大きく影響を受けるという、実験条件の管理の困難性があることが、本発明の結果から導かれた。特に低濃度になればなるほど、この傾向は強くなることもわかった。また、結晶析出境界線にできるだけ近い条件を設定することが好ましいものの、実験中のMgCl2濃度の管理が困難である。
【0050】
したがって、実験条件の管理の厳密性あるいは困難性の観点から上述した2.7 mMのDNAオリゴマーおよび15 mMのMgCl2の条件は本発明においては使用しないこととした。本発明においては、DNAオリゴマー濃度およびMgCl2濃度の条件のみとしては最適とは言えないものの、より実験条件の管理が容易な、1.5 mMのDNAオリゴマーおよび100 mMのMgCl2の存在下、10量体DNAオリゴマーの結晶化を行うこととした。
【0051】
参考例:塩濃度勾配法を用いた結晶化
本発明においては、上述の結果に基づいて、本発明の以下において、上述した適した条件(30%MPD、1.5 mM DNA、および100 mM MgCl2)のもと、DNAの単結晶を作成した。そして、この場合のDNAオリゴマーの結晶化方法として、塩濃度勾配法を用いた。塩濃度勾配法を使用して結晶化を検討したのは、従来からタンパク質の結晶を作成する際に塩濃度勾配法が用いられており、そして、例えばニワトリ卵白リゾチームを用いて、3.0×3.0×4.0 mm3の大型の結晶が作成された事例が報告されている(峯崎義章、博士論文、日本原子力研究所先端基礎研究センター(2000))ためである。
【0052】
DNA結晶化に用いられていた塩濃度勾配法は、キャピラリーの底部にMgCl2を入れ、その上部にDNAや沈殿剤を含む混合溶液を注入し、DNAを結晶化させる方法である。本発明の方法では、内径2 mm、長さ200 mmのキャピラリー底部のMgCl2を添加し、そこに1.5 mMのDNA、30%のMPD、100 mMのカコジル酸ナトリウムを含む混合溶液中を注入する。この混この塩濃度の勾配の中で、合溶液に対してMgCl2が拡散すると、重力の作用により塩濃度の勾配を形成する。この塩濃度の勾配の中で、1.5 mMのDNAとの関係でDNAを析出するために適した塩濃度の範囲にDNAの結晶を析出させる。
【0053】
本発明においては、キャピラリー中にMgCl2が100 mMで平行に到達する用に結晶化溶液の液量を調節して注入し、キャピラリーごと6℃で静置した。その結果、実験開始後10日後程度でキャピラリーの中央付近に極めて小さな結晶が析出した。しかしながら、結晶の比重が高いために、時間が経過するとともにそれらの結晶はキャピラリー内で沈殿・凝集してしまい、大型結晶の形成までは至らなかった。このことから、DNAの大型結晶の形成のためには、結晶が沈殿・凝集して密度が上昇することが阻害要因として働くことがわかった。
【0054】
実施例2:ラージバッチ法を用いた結晶化
前述した塩濃度勾配法やその他の一般的結晶化法によりDNAオリゴマーの大型単結晶を生成できない理由を検討したところ、塩濃度などの化学的な条件により結晶の成長が阻害されるだけでなく、結晶が物理的に凝集することにより成長が阻害されていることも考えられた。
【0055】
そこで、本発明においては、結晶が分散しながら沈殿するように、平底のプレートを用いてラージバッチ法を行い、大型結晶が作成されるか否かについて検討した。
【0056】
塩濃度勾配法と同様に、結晶化に適した条件(30%MPD、1.5 mM DNA、および100 mM MgCl2)の下で、結晶化溶液を400μl調製した。結晶化溶液をメンブレンフィルター(MILLIPORE)を用いて濾過した後、平底のVDXプレート(Hampton Research)に注入して、6℃で保存した。
【0057】
平板プレート(VDXプレート)を用いて、結晶化溶液を2〜3箇月静置した結果、1.7×1.3×0.6 mm3の体積を有するCCATTAATGG(SEQ ID NO: 4)の配列を有するDNAオリゴマーの大型単結晶を作成することができた。
【0058】
実施例3:作成された DNA オリゴマーの大型単結晶
本発明の上述した方法により作製されたCCATTAATGG(SEQ ID NO: 4)の配列を有するDNAオリゴマーの単結晶を、光学顕微鏡による観察、X線結晶回折計などの方法により解析した。
【0059】
また、本発明の方法により作製されたCCATTAATGG(SEQ ID NO: 4)の配列を有するDNAオリゴマーの単結晶の構造解析を、中性子結晶回折実験により行った。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、10量体DNAオリゴマーを用いて、その結晶化のための相図を作成することができた。そして、その相図を基にして、10量体DNAオリゴマーの結晶化のため、30%MPD、1.5 mM DNA、および100 mM MgCl2の条件が適していることを見出した。さらに、本発明においては、このような条件下において、平板プレートを用いて結晶化を行うことにより、1.7×1.3×0.6 mm3という従来に得られたことのない大きな体積を有する10量体DNAオリゴマーの大型単結晶を作成することができた。
【0061】
【配列表】
<110> 日本原子力研究所(Japan Atomic Energy Research Institute)
<120> DNAオリゴマー大型単結晶育成法(Method of forming a large single crystal of DNA oligomer)
<130> 011326
<160> 13
<200> 1
<211> 10
<212> DNA
<213> Artificial sequence
<220>
<223> DNA oligomer for forming a single crystal of DNA.
<400> 1
ccaacgttgg 10
<200> 2
<211> 10
<212> DNA
<213> Artificial sequence
<220>
<223> DNA oligomer for forming a single crystal of DNA.
<400> 2
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<211> 10
<212> DNA
<213> Artificial sequence
<220>
<223> DNA oligomer for forming a single crystal of DNA.
<400> 3
ccaggcctgg 10
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<211> 10
<212> DNA
<212> DNA
<213> Artificial sequence
<220>
<223> DNA oligomer for forming a single crystal of DNA.
<400> 4
ccattaatgg 10
<200> 5
<211> 10
<212> DNA
<213> Artificial sequence
<220>
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ccactagtgg 10
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<212> DNA
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<220>
<223> DNA oligomer for forming a single crystal of DNA.
<400> 13
cgcaattgcg 10
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、MPD濃度が20%、22.5%、25%、および30%の条件下における、CCATTAATGG(SEQ ID NO: 4)の配列を有するDNAオリゴマー結晶化についての相図を示す。それぞれの曲線の上方の領域に存在するDNA濃度およびMgCl2濃度において、DNAが結晶化することを示している。
【図2】 図2は、MPD濃度が30%の条件下における、CCATTAATGG(SEQ ID NO: 4)の配列を有するDNAオリゴマー結晶化についての相図を示す。それぞれの曲線の上方の領域に存在するDNA濃度およびMgCl2濃度において、DNAが結晶化することを示している。
【図3】 図3は、MPD濃度が25%の条件下における、CCATTAATGG(SEQ ID NO: 4)の配列を有するDNAオリゴマー結晶化についての相図を示す。それぞれの曲線の上方の領域に存在するDNA濃度およびMgCl2濃度において、DNAが結晶化することを示している。
【図4】 図4は、MPD濃度が22.5%の条件下における、CCATTAATGG(SEQ ID NO: 4)の配列を有するDNAオリゴマー結晶化についての相図を示す。それぞれの曲線の上方の領域に存在するDNA濃度およびMgCl2濃度において、DNAが結晶化することを示している。
【図5】 図5は、MPD濃度が20%の条件下における、CCATTAATGG(SEQ ID NO: 4)の配列を有するDNAオリゴマー結晶化についての相図を示す。それぞれの曲線の上方の領域に存在するDNA濃度およびMgCl2濃度において、DNAが結晶化することを示している。
Claims (2)
- 20〜30%の2-メチル-2,4-ペンタンジオール(MPD)の存在下において、以下に示すDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM)の条件下、バッチ法により、CCATTAATGG(SEQ ID NO: 4)の配列を有するDNAの単結晶を析出することを特徴とする、DNA大型単結晶の育成方法であって、ここでDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM)が、
(i) 30%のMPDの存在下、5.0 mMまたはそれ以下のDNA濃度において、MgCl2濃度(mM)をX軸としおよびDNA濃度(mM)をY軸としたグラフを作成した場合に、以下の(MgCl2濃度、DNA濃度)からなる組合せ;
(7.5、5.0);(7.5、4.5);(15、1.8);(50、0.9);(200、0.9);(500、1.8);(600、3.0);そして(600、5.0);
であるような各点を、この順番に直線で結ぶことにより作られる折れ線よりYが大なる領域に含まれるDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM);
(ii) 25%のMPDの存在下、5.0 mMまたはそれ以下のDNA濃度において、MgCl2濃度(mM)をX軸としおよびDNA濃度(mM)をY軸としたグラフを作成した場合に、以下の(MgCl2濃度、DNA濃度)からなる組合せ;
(50、5.0);(50、2.5);(200、1.0);(300、1.5);(600、4.5);そして(600、5.0);
であるような各点を、この順番に直線で結ぶことにより作られる折れ線よりYが大なる領域に含まれるDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM);
(iii) 22.5%のMPDの存在下、5.0 mMまたはそれ以下のDNA濃度において、MgCl2濃度(mM)をX軸としおよびDNA濃度(mM)をY軸としたグラフを作成した場合に、以下の(MgCl2濃度、DNA濃度)からなる組合せ;
(100、5.0);(100、4.5);(200、3.0);(400、3.0);そして(400、5.0);
であるような各点を、この順番に直線で結ぶことにより作られる折れ線よりYが大なる領域に含まれるDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM);または
(iv) 20%のMPDの存在下、5.0 mMまたはそれ以下のDNA濃度において、MgCl2濃度(mM)をX軸としおよびDNA濃度(mM)をY軸としたグラフを作成した場合に、以下の(MgCl2濃度、DNA濃度)からなる組合せ;
(200、5.0);(200、4.5);(400、4.5);そして(400、5.0);
であるような各点を、この順番に直線で結ぶことにより作られる折れ線よりYが大なる領域に含まれるDNA濃度(mM)およびMgCl2濃度(mM);
のいずれかであることを特徴とする、DNA大型単結晶の育成方法。 - 30%のMPD、1.5 mMの濃度のDNA、100 mMの濃度のMgCl2の条件下において、バッチ法により、DNAオリゴマーの単結晶を析出することを特徴とする、請求項1に記載のDNA大型単結晶の育成方法。
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