JP4549514B2 - 施設性能評価システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、オフィスビルの所有者がリニューアルの内容を検討したり、エンドユーザー(賃借もしくは購入希望者)が自分のニーズに合った集合住宅を選択する場面で、それらの意思決定を支援するための情報を提供するために、施設の性能を大まかに、しかし簡便かつ合理的に評価し、結果をわかりやすく表示する施設性能評価システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、施設の性能を評価する場合、専門家による建物診断が行われているのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、正確に評価しようとすると、高度な専門知識や特殊な機器による測定を必要とする項目もあり、コストがかかるために実施に踏み切れないことも多い。
【0004】
しかも、例えば、オフィスビルの所有者がリニューアルの内容を検討したり、エンドユーザーが自分のニーズに合った集合住宅を選択する場面では、当初から必ずしも正確な評価は必要ではなく、まずは大まかに施設の性能を評価し、精査すべき施設を絞り込むことが重要である。
また、建設業者などが顧客に対してリニューアル提案をする場合も、建物診断をしようとすれば、専門知識を有する複数の担当者の協力が必要なため、迅速な対応が難しいという課題がある。
【0005】
一方、従来の施設性能評価に含まれるのは、その性能をほとんどの人が必要とし、ある程度客観的な評価基準が存在する項目が多い。
ところが、顧客やエンドユーザー(以下、「利用者」と称す)の価値観によってその重要性が大きく異なる項目は含まれていないか、たとえあっても(きちんとした裏付けがないまま)画一的にその評価基準や重要性が設定されている。
【0006】
そのため、利用者によって異なる価値観やニーズに対応できない。
項目によっては、評価結果が専門的な数値で表示されているものがあり、利用者が望む水準が満たされているかどうかわかりにくい。
そこで、本発明の目的は、専門知識を持たない利用者(あるいは建設業の担当者)でも、手間やコストをかけずに施設の性能を大まかに評価できる施設性能評価システムを提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、結果がわかりやすく表示され、リニューアル内容の検討や、施設の選択などの意思決定に役立つことができる施設性能評価システムを提供することにある。
本発明の別の目的は、利用者が施設を評価する際に利用する項目を網羅すること、利用者によって異なる価値観を、評価に反映させることができる施設性能評価システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、入力装置と、記憶装置と、演算装置と、制御装置と、表示装置とを備え、施設の性能を評価し、結果を表示する施設性能評価システムであって、前記記憶装置は、施設の性能を評価する項目(評価項目)を基本的項目および魅力的項目に分類し、前記基本的項目および魅力的項目のそれぞれに含まれる評価項目ひとつひとつについて性能水準を決め、各評価項目について前記性能水準に応じた倍数の設定を行い、前記基本的項目および魅力的項目に共通ないくつかの指標を定めるデータベースを格納し、前記演算装置は、受付部と、演算部とを備え、前記受付部は、前記入力装置からの入力によって受け付ける、前記基本的項目に含まれる各評価項目の重みに関する専門家の判断の受付手段と、前記魅力的項目に含まれる各評価項目の重みに関する各利用者の判断の受付手段と、前記魅力的項目に含まれる各評価項目ついて、それが満たされることを要求する性能水準の上限値および下限値に関する各利用者の判断の受付手段と、建物の調査に基づく、各評価項目の性能水準の判断結果の受付手段とを有し、前記演算部は、前記魅力的項目に含まれる各評価項目ついて、それが満たされることを要求する性能水準の下限を満たさない評価項目がある建物を比較対象から除く手段と、前記各評価項目について、その重みに前記各性能水準に応じた倍数を乗じて評価点を求める手段とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の施設性能評価システムにおいて、前記演算部は、前記基本的項目に含まれる各評価項目の評価点を合計して基本的性能点を求める手段を、さらに有することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1記載の施設性能評価システムにおいて、前記演算部は、前記魅力的項目に含まれる各評価項目の評価点を合計して魅力的性能点を求める手段を、さらに有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3記載の施設性能評価システムにおいて、前記演算部は、前記基本的性能点と魅力的性能点を合計し、総合的性能点を求める手段を、さらに有することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項4記載の施設性能評価システムにおいて、前記演算部は、複数の施設を前記総合性能点で比較した棒グラフを作成する手段を、さらに有することを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1記載の施設性能評価システムにおいて、前記演算部は、前記求めた評価点が大きい評価項目をセールスポイント、求めた評価点が小さい評価項目をウイークポイントと判定する手段を、さらに有することを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項6記載の施設性能評価システムにおいて、前記演算部は、前記求めた評価点を、前記基本的項目および魅力的項目に共通ないくつかの指標ごとに集計する手段を、さらに有することを特徴とする。
【0012】
請求項8に係る発明は、請求項6記載の施設性能評価システムにおいて、前記演算部は、前記セールスポイントおよびウイークポイントのリストを作成する手段を、さらに有することを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項7記載の施設性能評価システムにおいて、前記演算部は、前記求めた評価点を、前記基本的項目および魅力的項目に共通ないくつかの指標を軸としてレーダーチャートを作成する手段を、さらに有することを特徴とする。
【0014】
本発明において、対象とする施設は、オフィスビルや集合住宅だけでなく、医療福祉施設や工場、教育施設あるいは戸建て住宅などあらゆる用途の建築物に及ぶとともに、新築、中古の別を問わない。
また、施設の性能とは、機能的な充足度や老朽度のことを指す。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る施設性能評価システムのフローチャートを示す(全ての請求項に対応する)。
以下、このフローチャートに従って本実施形態を説明する。ここでは、オフィスビルについて説明する。
先ず、ステップ(1)では、例えば、オペレータがパソコンなどの処理装置を介してハードディスクなどに格納されているデータベースから施設の性能を評価する項目(評価項目)を対象とする施設や目的に応じて抽出する。
【0017】
ここで、データベースとしては、例えば、株式会社竹中工務店建物維持管理ワーキンググループ編:建物維持保全ハンドブック日常管理からリニューアルまで、日本能率協会マネジメントセンター、1991、日本ファシリティマネジメント協会、JAST94(施設評価法)マニュアル、1994など従来の施設性能評価法に基づいて作成された評価項目から、施設の運営に関連するものを抽出後、収納したものを基礎とし、さらに、本実施形態では、施設管理者および利用者へのヒアリングおよび既存施設の調査を実施して、必要な項目を追加した。このとき、老朽化だけでなく陳腐化(社会的ニーズとの不適合)に関する項目も含めた。
【0018】
次に、ステップ(2)では、ステップ(1)で抽出した評価項目を、専門家が基本的項目であるか魅力的項目であるかを判別し、その判別に基づいて基本的項目および魅力的項目に分類する。
分類された評価項目は、例えば、所定の形式を備えた作業テーブルに貼り付け、そのデータを格納する。
【0019】
ここで、基本的項目とは、その性能をほとんどの人が必要とし、ある程度客観的な評価基準が存在する項目をいい、耐震性能や遮音性能など、主に安全性や健康の確保に関する項目が該当する。
また、魅力的項目とは、利用者の価値観によってその重要性や満たすべき性能水準が大きく異なる項目をいい、内外装のグレードや情報化対応など、主に利便性や快適性に関する項目が該当する。
【0020】
例えば、最寄り駅からの距離、駐車台数に関しては、オフィスビルを選択する際に、重視する人とほとんど気にしない人がいる。従って、これらは魅力的項目とみなす。一方、通路の段差や車椅子利用者専用トイレなどはオフィスビルに対して社会的に要求されている項目で、要求レベルがそれほど変わらないと思われる。よって、これらを基本的項目と定義する。
【0021】
次に、ステップ(3)では、図2,図3に示すように、作業テーブルに格納された評価項目を階層化する。
ここでは、基本的項目と魅力的項目に分けて行う。
【0022】
例えば、抽出した評価項目を一度に眺め、もっとも具体的なものから順に類似したものをグループ化してゆく。それに共通するより上位の概念を表す「表札」を付ける。
次に、「表札」を見比べ、同様にグループ化する。これを繰り返し、最終的に数個のグループにする。
【0023】
もし、具体的な評価項目がなければ、適宜作成する。
その手順の一例を図4に示す。
例えば、「(視覚障害者に対する)誘導器具の設置」と「点字による案内」は、「視覚障害者への配慮」という点で意味が似ている。そこで、これらに共通する表札「視覚障害者への配慮」を付ける。
【0024】
次に、「視覚障害者への配慮」と「車椅子利用者や高齢者への配慮」は、「弱者への配慮」という点で意味が似ている。そこで、これらに共通する表札「弱者への配慮」を付ける。
次に、「車椅子利用者や高齢者への配慮」だけでは、意味が抽象的なので、それを具体的に表す評価項目「通路の段差」、「(車椅子)専用のトイレ」などを設定する。
【0025】
ここで、第1レベルの指標の設定について説明する。
階層化の結果、最終的にいくつかのグループに分類されたものを第1レベルの指標とする(最初から設定するのではなく、結果的に得られる)。
従来は、老朽化と陳腐化、あるいは躯体と設備など専門的な基準で分類されていたため、利用者にとってどのような効用あるいは支障があるのかがわかりにくかった。同じ老朽化といっても、躯体の老朽化であれば耐震性能などの安全性に関わる問題であるし、一方、設備の老朽化であればメンテナンスコストなど運営コストに関わる問題であるというように、利用者にとっては意味が異なる。
【0026】
そこで、利用者にとって意味のある基準「安全性の確保」や「運営コストの低減」などで評価項目を分類した。
次に、ステップ(4)では、分類された基本的項目および魅力的項目のそれぞれに含まれる評価項目ひとつひとつについて性能水準を決める。
また、各評価項目について性能水準に応じた倍数の設定を行う。
【0027】
先ず、性能水準の設定に関しては、例えば、表1に示すように、まず、標準的な水準(レベル3)を設定する。基本的項目に関しては、法律や指針などを参考に、現時点で建物が満たすべき標準的な仕様を採用した。
例えば、通路の段差については、車椅子で乗り越えられる段差の目安として20mmがハートビル法(罰則規定があるわけではない)で設定されている。通路の幅に関しては、最近完成したオフィスビル群のデータから1.4mが標準であると判断した。
【表1】
Figure 0004549514
次に、魅力的項目に関しては、例えば、表2に示すように、標準的な水準を設定するために利用できる指針などはない。そのため、恣意的に決めざるを得ない。しかし、システム利用時に、利用者が自分の価値観で、ステップ(8)に示すように、レベルを変更するため、逆に言えば標準的な水準を設定する必要はない。
【表2】
Figure 0004549514
表1において、標準的な水準(レベル3)以外の水準は、下記を参考に設定した。
【0028】
表2において、標準的な水準(レベル3)以外の水準は、下記を参考に仮設定した。
レベル1:標準的な水準(レベル3)に比べて、非常に劣っている。
レベル2:標準的な水準(レベル3)に比べて、劣っている。
レベル4:標準的な水準(レベル3)に比べて、優れている。
【0029】
レベル5:標準的な水準(レベル3)に比べて、非常に優れている。
その結果を見直し、問題があれば調整(レベルを変更)した。例えば、表2で、丸の内にあるオフィスビルは赤坂にあるオフィスビルよりも、「エリア」に関して2倍の点数(ステップ(11)を参照)を与えることになるが、「それほどの違いが本当にあるのか(2倍も違わないのではないか)」あるいは「それ以上の違いがあるのではないか」と問い直し、レベルを確認した。当初、最寄り駅から10分以上離れたオフィスビルはレベル2であったが、市場ではもっと評価が下がるとの判断で、レベル1に変更した。
【0030】
次に、ステップ(5)では、図3に示すように、基本的事項と魅力的事項に共通ないくつかの指標(本実施形態では7つ)を定める。
ここで、7つの指標としては、「社会的なイメージ」、「運営コストの低減」、「組織変化への対応」、「安全性の確保」、「健康の維持」、「業務への対応」、「従業員の快適性」を掲げた。
【0031】
ここで、「運営コストの低減」とは、光熱費などのランニングコスト、機器や建物のメンテナンスコストなどをいう。
「組繊変化への対応」とは、情報機器の増設のしやすさや、レイアウトの変更のしやすいなどをいう。
「社会的なイメージ」とは、障害者や高齢者への配慮、環境への配慮、公衆災害の防止などをいう。
【0032】
「安全性の確保」とは、火災の防止および避難対策、防犯対策、什器や設備機器の転倒防止対策などをいう。
「健康の維持」とは、水道や空気の清浄度、騒音対策、リフレッシュ対応などをいう。
「業務への対応」とは、自席周りのスペースの広さ、移動のしやすさ、コミュニケーションのしやすさなどをいう。
【0033】
「従業員のモラール」とは、洗面所やトイレの状態、空間の見栄えのよさなどをいう。
この指標は、適宜変更することが可能であり、その数も任意である。
そして、図3に示すように、7つの指標ごとに基本的性能と魅力的性能が含まれている。なお、図3では、便宜上「社会的なイメージ」についてのみ表示してある。
【0034】
次に、基本的項目に含まれる各評価項目の重みを専門家の判断で決めるステップ(6)と、魅力的項目に含まれる各評価項目の重みを各利用者の判断で決めるステップ(7)に移行する。ここで、ステップ(6)、(7)には、前後関係はなく並行して行っても、あるいは個別に行っても良い。
先ず、ステップ(6)では、基本的項目に含まれる各評価項目の重みを専門家の判断で決める。
【0035】
ここで、重みを決めるのは、項目には重要なもの、それほど重要ではないものがあるため、それを結果に反映させることを目的として行っている。
数十の評価項目に一度に重みを設定することは非常に難しい。そこで、評価項目を階層化し、上位の評価項目から順に重みを振り分ける。階層化することで、一度に比べる評価項目の数が減る(2〜5程度)。振り分けられた重みを順にかけ合わせることで、各評価項目の重みを設定する。
【0036】
重みの振り分けには階層分析法と呼ばれる手法を用いる。階層分析法では、同じ上位の評価項目を持つ評価項目を2つずつのペアにし、どちらがどれくらい重要かを専門的な知識を有する人が判断する。
ここで、評価項目の重み付けについて説明する。
先ず、第2レベルの評価項目について、それらの上位項目(第1レベルの評価項目)に対する重要度の値を求める。図2の例では、「弱者への配慮」や「公衆災害の危険」など5つの評価項目について、それらの上位項目である「社会的なイメージ」に対する重要度の値が設定されており、「弱者への配慮」にもっとも大きな値(0.32)が与えられている。
【0037】
第3レベル、第4レベルの評価項目についても同様に、上位項目に対する重要度を数値化した後、第4レベルの評価項目(それがない場合は第3レベル)にある約70の評価項目の重みを、次の方法で求める。つまり、上位項目に対する重要度を第1レベルから順に乗じ、基本的性能に含まれる評価項目の重みの合計と、魅力的性能に含まれる評価項目の重みの合計のそれぞれが100になるように基準化する。図2の例では、「通路の段差」に100点中0.80の重みが与えられている。
【0038】
評価項目は原則として、7つの指標と一対一に関連付けられているが、複数の指標と対応するものもある。例えば、「リフレッシュスペースの状態」は「健康の維持」だけでなく、「従業員のモラール」にも関連付けられている。
なお、第1レベルの評価項目の重要度はすべて等しくしてある(0.14)が、「組織変化への対応」より「安全性の確保」を重視したいなど、独自のニーズがあれば、その重みの変更で対応することも可能である。例えば、「組織変化への対応」より、「安全性の確保」を重視したいという場合には、後者の重みを大きくすればよい。そうすれば、「安全性の確保」に属する下位項目の重みも、それにしたがって大きくなる。
【0039】
図5の例では、「社会的なイメージ」に対する「弱者への配慮」など3つの評価項目の重みを振り分けている。
「弱者への配慮」と「環境への配慮」を比べた場合、前者の方が「やや重要」と判断され、「やや重要」に対応した倍数1.4が表の右上に入る。
なお、この倍数は、程度の違いを表す「やや」、「かなり」などの言葉ごとに多くの実感に合うよう独自に設定したものである。
【0040】
図5の表は、左端に縦に並んだ評価項目が、一番上の行に横に並んだ評価項目に比べて、どれくらい重要と評価されたかを示すものである。ちょうど対角線上の反対側、左下には倍数1.4の逆数を入れる。対角線上には1が入る(同じ評価項目同士を比べるので「同じくらい重要」)。
【0041】
すべての組み合わせについて、重要度を比較したら、例えば、図6に示すように、各評価項目について横に並んだ倍数の相乗平均を求める。
次に、相乗平均の値を合計する。各評価項目の倍数の相乗平均を、その合計で割ったものがその項目の重みとなる。
図6の例では、「弱者への配慮」の横に並んだ1、0.71、1.4の相乗平均を求める。そのほかの項目についても相乗平均を求め、合計する。「弱者への配慮」の重みは、相乗平均1.00をその合計3.12で割った0.32となる。これは、「社会的なイメージ」の重み全体の32%が「弱者への配慮」に振り分けられることを意味する。
【0042】
同様に、「弱者への配慮」の重みを「車椅子利用者や高齢者への配慮」と「視覚障害者への配慮」に振り分ける。さらに、「車椅子利用者や高齢者への配慮」の重みを「車椅子利用者や高齢者への配慮」の重みを「通路の段差」など3つの項目に振り分ける。
最後に、上位の項目から振り分けられた重みをかけ合わせることで、各評価項目の重みを求める。
【0043】
Figure 0004549514
次に、魅力的項目に含まれる各評価項目の重みを各利用者の判断で決めるステップ(7)について説明する。
【0044】
図7では、「ステイタス」、特に立地(エリア)を重視する利用者Aの場合について示している。
図7(a)から、利用者Aの要求は、「ステイタス」の方が「来客へのサービス」より「非常に重要」であることが理解できる。
図7(b)から、利用者Aの要求は、「立地」の方が「内外装のグレード」より「とてつもなく重要」であることが理解できる。
【0045】
図7(c)から、利用者Aの要求は、「エリア」の方が「最寄り駅からの距離」より「とてつもなく重要」であることが理解できる。
そのため、利用者Aの要求に基づく、「エリア」の重み=0.80×0.89×0.89=0.63(社会的イメージ全体の63%)となるのに対し、「最寄り駅からの距離」の重み=0.80×0.89×0.11=0.08(社会的イメージ全体の8%)となった。
【0046】
図7(d)から、利用者Aの要求は、「駐車場」の方が「待ち合わせスペース」より「非常に重要」であることが理解できる。
図7(e)から、利用者Aの要求は、「駐車台数」と「駐車方式」は「同じくらい重要」であることが理解できる。
そのため、利用者Aの要求に基づく、「駐車台数」の重み=0.20×0.89×0.50=0.08(社会的イメージ全体の8%)となるのに対し、「方式」の重み=0.20×0.80×0.50=0.08(社会的イメージ全体の8%)となった。
【0047】
図8では、「来客へのサービス」、特に駐車場(駐車方式)を重視する利用者Bの場合について示している。
図8(a)から、利用者Bの要求は、「来客へのサービス」の方が「ステータス」より「やや重要」であることが理解できる。
【0048】
図8(b)から、利用者Bの要求は、「立地」と「内外装のグレード」は「同じくらい重要」であることが理解できる。
図8(c)から、利用者Bの要求は、「エリア」の方が「最寄り駅からの距離」より「かなり重要」であることが理解できる。
そのため、「エリア」の重み=0.42×0.50×0.67=0.14(社会的イメージ全体の14%)となるのに対し、「最寄り駅からの距離」の重み=0.42×0.50×0.33=0.07(社会的イメージ全体の7%)となった。
【0049】
図8(d)から、利用者Bの要求は、「駐車場」の方が「待ち合わせスペース」より「非常に重要」であることが理解できる。
図8(e)から、利用者Bの要求は、「駐車方式」の方が「駐車台数」より「非常に重要」であることが理解できる。
そのため、利用者Bの要求に基づく、「駐車台数」の重み=0.58×0.80×0.20=0.09(社会的イメージ全体の9%)となるのに対し、「駐車方式」の重み=0.58×0.80×0.80=0.37(社会的イメージ全体の37%)となった。
【0050】
以上のように、利用者Aは、社会的イメージ全体のうち63%を「エリア」が占め、利用者Bは、社会的イメージ全体のうち37%を「駐車方式」が占めることになる。
このように、利用者ごとに異なる価値観が、評価項目の重みの違いとなって反映されている。
【0051】
次に、ステップ(8)では、魅力的項目に含まれる各評価項目ついて、それが満たされることを要求する性能水準の上限値および下限値を各利用者の判断で決める。
【0052】
図9により、利用者Aの場合について説明する。
性能水準には、評価の対象になる範囲があり、それより水準が高くても評価があがらない上限(太字で表示)と、それより水準が低いと評価の対象にならない下限(斜め文字で表示)を設定する。
ここでは、各評価項目について目安となるレベルを標準(レベル3)とし、それに合わせてレベルを調整する。
【0053】
先ず、「エリア」について、利用者Aは、「エリアはどの辺りが目安ですか」という問いに、「赤坂か六本木が目安」、「丸の内から新宿、渋谷までが検討範囲」、「それ以下は問題外」との要求を提示したため、図9(b)に示すように、「赤坂、六本木」がレベル3(標準)になるように物差しを一つずつ右にずらし、それより上位のレベル4を「丸の内」、レベル3(標準)より下位のレベル2を「新宿、渋谷」、レベル2より下位のレベル1を「上野、池袋」として入力した。レベル(0)は「その他」とした。
【0054】
ここでは、レベル1が下限となる。
次に、「最寄り駅からの距離」について、利用者Aは、「最寄り駅からの距離は徒歩何分くらいが目安ですか」という問いに、「2〜3分」、「徒歩1分以内である必要はない」、「10分以上は問題外」との要求を提示するため、図9(a)に示すように、「2〜3分」がレベル3(標準)になるように物差しを一つずつ右にずらし、それより上位のレベル4を「1分以内」、レベル3(標準)より下位のレベル2を「4〜9分」、レベル2より下位のレベル0を「10分以上」として入力した。レベル1は空白とした。
【0055】
ここでは、レベル0が下限となる。
次に、上限値を超える場合は、上限値と同等とみなす。
例えば、「最寄り駅からの距離」において、徒歩1分であっても、徒歩2〜3分の物件と同等とみなす。
【0056】
図10には、図9と同様の質問を利用者Bに行った結果が示されている。
「駐車台数」および「駐車方式」についても同様に利用者Aに満たされる要求を確認し、該当する個所に入力する。
次に、ステップ(9)では、実際に建物を調査し、各評価項目についてどの性能レベルに該当するか判断する。
【0057】
基本的性能については、図13に示すように、通路に段差がない、専用のトイレがない、通路の幅が1.4m未満の場合を例として示している。ここで、丸印が、該当するものを示している。
一方、魅力的性能については、「丸の内、徒歩3分、駐車場なし」という物件イと、「渋谷、徒歩7分、駐車場あり(機械式、15台)」という物件ロを、利用者A,Bそれぞれの価値観を反映させて評価した。その結果を図11,図12に示す。
【0058】
図11(a)は、「エリア」を重視する利用者Aの物件イに対する評価が丸印で示されている。
図11(b)は、「駐車方式」を重視する利用者Bの物件イに対する評価が丸印で示されている。
図12(a)は、「エリア」を重視する利用者Aの物件ロに対する評価が丸印で示されている。
【0059】
図12(b)は、「駐車方式」を重視する利用者Bの物件ロに対する評価が丸印で示されている。
このように、利用者の価値観に合った建物の評価が高くなっている。
次に、ステップ(10)では、下限値を満たさない評価項目がある建物を候補から除く。図11(b)において、利用者Bについて、「駐車台数」が「なし」に丸印が付けられているため、利用者Bには不的確(下限値が「6〜9台」)となり、対象から外すこととなった。
【0060】
次に、ステップ(11)では、各評価項目について、性能レベルに該当する倍数にその項目の重みを乗じる。
先ず、基本的性能を見ると、図13に示すように、「通路の段差がない」のは、レベル5にあたる。レベル5に該当する倍数は×2であるから、この建物に関する通路の重み×倍数=0.11×2=0.22となる。
【0061】
同様に、「専用のトイレ」は−0.07、「通路の幅」は−0.08となる。
次に、魅力的性能を見ると、例えば、図11の物件イに対する利用者Aの場合は、「丸の内」がレベル4にあたる。レベル4に該当する倍数は×1であるから、この建物に関する「エリア」の重み×倍数=0.63×1=0.63となる。
同様に、「最寄り駅からの距離」は0、「駐車台数」は−0.08となる。
【0062】
なお、「駐車方式」は要求されていないので、点数が付かない。
また、物件ロについては、図12に示すとおりである。
図11の評価の結果、利用者Aの物件イに対する評価が高いことがうかがえる。
図12の評価の結果、利用者Bの物件ロに対する評価が高いことがうかがえる。
次に、ステップ(12)では、ステップ(11)の点数が大きい評価項目をセールスポイント、小さい評価項目をウィークポイントとする。
【0063】
図13に示す表の例では、通路の段差がないことがその建物のセールスポイントの一部である。逆に、点数の小さい、通路の幅や専用のトイレがその建物のウィークポイントの一部である。
次に、ステップ(13)では、ステップ(11)で求めた点数を7つの指標ごとに集計する。
【0064】
「社会的なイメージ」に該当する評価項目の点数を合計したものが、「社会的なイメージ」の点数となる。同様に、「安全性の確保」などの指標についても点数を求める。
【0065】
次に、ステップ(14)では、基本的項目について、ステップ(11)で求めた点数を合計し、建物の基本的性能点を求める。ここで、基本的項目に該当する全ての評価項目の点数を合計したものが、基本的性能点となる。
次に、ステップ(15)では、魅力的項目について、ステップ(11)で求めた点数を合計し、建物の魅力的性能点を求める。ここで、魅力的項目に該当する全ての評価項目を合計したものが、魅力的性能点となる。
【0066】
次に、ステップ(16)では、ステップ(14)で求めた建物の基本的性能点と、ステップ(15)で求めた建物の魅力的性能点とを加えて総合性能点を求める。
次に、ステップ(17)では、図14に示すように、比較対照となる建物の総合性能点を比較した棒グラフ(施設間の比較)を生成する。
【0067】
総合的に見て、どの建物がその利用者にふさわしいかを示す。利用者は、数多くの建物の中から自分のニーズに適した建物を絞り込むことができる。
図14に示す例は、異なる価値観をもつ二人に対して表示されるグラフのイメージであり、基本的性能点の大きい順に並べられている。利用者によって魅力的性能点が異なるため、総合性能点の順位は基本的性能点の順位とは一致しない。
図14(a)では建物Eや建物Dが、図14(b)では建物Bや建物Dが最有力候補となる。
【0068】
次に、ステップ(18)では、7つの指標を軸としたレーダーチャート(大まかな傾向)を生成する。
例えば、図15に示すように、各建物について、社会的なイメージや安全性の確保などの指標を軸にしたレーダーチャート(ステップ(13)をもとに作成)を表示する。利用者は、候補となる建物の大まかな特徴(長所や短所)を確認し、さらにニーズに適した建物に絞り込むことができる。
【0069】
次に、ステップ(19)では、セールスポイントやウィークポイントのリストを生成する。
例えば、表3に示すように、各建物について、重要な課題を表示する(ステップ(12)をもとに作成)。利用者は、絞り込んだ建物について、どのようなセールスポイントやウィークポイントがあるのかを具体的に確認することができる。
【表3】
Figure 0004549514
次に、図1に示すフローチャートに従って集合住宅(マンション)の性能評価を行う別の実施形態を説明する。なお、前述のオフィスビルの性能評価と同様の処理を行うステップではその説明を省略した。
先ず、ステップ(1)は、オフィスビルの場合に比し、具体的な評価項目の内容が相違する。
【0070】
次に、ステップ(2)では、オフィスビルの場合に比し、基本的項目および魅力的項目が相違する。
例えば、リビングルームの内装や眺めのよさに関しては、住宅を選択する際に重視する人と、ほとんど気にしない人がいる。従って、これらは魅力的項目とみなす。一方、床や戸境壁の遮音は(勿論、うるさくても構わない人はいるが)、多くの人が必要とする項目で、(個人差はあるにせよ、魅力的項目に比べれば)要求レベルがそれほど変わらないと思われる。よって、これらを基本的項目と定義する。
【0071】
次に、ステップ(3)では、図16、図17に示すように、オフィスビルの場合に比し、具体的な評価項目が相違する。階層化の手順の一例を図18に示す。
例えば、「床の遮音性能」と「戸境壁の遮音性能」は意味が似ている。そこで、これらに共通する表札「内部の騒音」を付ける。
次に、「内部の騒音」と「外からの騒音」は意味が似ている。そこで、これらに共通する表札「静かである」を付ける。
【0072】
次に、「外からの騒音」だけでは、意味が抽象的なので、それを具体的に表す評価項目「サッシの遮音性能」、「排気口の遮音性能」などを設定する。
第1レベルの指標の設定については、オフィスビルの場合と同様に、利用者にとって意味ある基準で評価項目を分類した。ただし、オフィスビルの場合に比し、「便利である」、「快適である」などの具体的な内容は異なる。
【0073】
次に、ステップ(4)では、分類された基本的項目および魅力的項目のそれぞれに含まれる評価項目ひとつひとつについて性能水準を決める。
また、各評価項目について性能水準に応じた倍数の設定を行う。
先ず、性能水準の設定に関しては、例えば、表4に示すように、まず、標準的な水準(レベル3)を設定する。基本的項目に関しては、法律や指針などを参考に、現時点で建物が満たすべき標準的な仕様を採用した。
【0074】
例えば、床の遮音性能については、LH−60等級以上を目安として設定されている。戸境壁の遮音性能に関しては、Rr−50等級以上を目安として設定されている。サッシの遮音性能に関しては、T−1等級想到以上を目安として設定されている。
【表4】
Figure 0004549514
次に、魅力的項目に関しては、例えば、表5に示すように、標準的な水準を設定するために利用できる指針などはない。そのため、恣意的に決めざるを得ない。しかし、システム利用時に、利用者が自分の価値観で、ステップ(8)に示すように、レベルを変更するため、逆に言えば標準的な水準を設定する必要はない。
【表5】
Figure 0004549514
表4において、標準的な水準(レベル3)以外の水準は、下記を参考に設定した。
表5において、標準的な水準(レベル3)以外の水準は、下記を参考に仮設定した。
レベル1:標準的な水準(レベル3)に比べて、非常に劣っている。
【0075】
レベル2:標準的な水準(レベル3)に比べて、劣っている。
レベル4:標準的な水準(レベル3)に比べて、優れている。
レベル5:標準的な水準(レベル3)に比べて、非常に優れている。
その結果を見直し、問題があれば調整(レベルを変更)した。
次に、ステップ(5)では、オフィスビルの場合と同様に、基本的事項と魅力的事項に共通ないくつかの指標(本実施形態では4つ)を定める。
【0076】
マンションの場合は、図16に示すように、「便利である」、「快適である」、「安心できる」、「長期間住める」という4つの指標を掲げた。
そして、図17に示すように、各指標が魅力的性能と基本的性能で構成されている点はオフィスビルの場合と同様である。
次に、ステップ(6)では、オフィスビルの場合と同様に、基本的項目に含まれる各評価項目の重みを専門家の判断で決める。
【0077】
次に、ステップ(7)では、オフィスビルの場合と同様に、魅力的項目に含まれる各評価項目の重みを各利用者の判断で決める。
図19では、見栄え、特にエントランスを重視する利用者Aの場合について説明する。
図19(a)から、利用者Aの要求は、「見栄えがよい」の方が「開放感がある」より「非常に重要」であることが理解できる。
【0078】
図19(b)から、利用者Aの要求は、「外装」の方が「内装」より「やや重要」であることが理解できる。
図19(c)から、利用者Aの要求は、「エントランスホール」の方が「リビングルーム」より「かなり重要」であることが理解できる。
そのため、利用者Aの要求に基づく、「リビングルーム」の重み=0.73×0.42×0.33=0.10(快適である全体の10%)となるのに対し、「エントランスホール」の重み=0.73×0.42×0.67=0.20(快適である全体の20%)となった。
【0079】
図19(d)から、利用者Aの要求は、「空間にゆとりがある」の方が「眺めがよい」より「かなり重要」であることが理解できる。
図19(e)から、利用者Aの要求は、「居住階」と「周辺環境」は「同じくらい重要」であることが理解できる。
そのため、利用者Aの要求に基づく、「居住階」の重み=0.18×0.33×0.50=0.03(快適である全体の3%)となるのに対し、「周辺環境」の重み=0.18×0.33×0.50=0.03(快適である全体の3%)となった。
【0080】
図20では、開放感、特に眺めのよい高い階を重視する利用者Bの場合について説明する。
図20(a)から、利用者Bの要求は、「開放感がある」の方が「見栄えがよい」より「非常に重要」であることが理解できる。
図20(b)から、利用者Bの要求は、「内装」の方が「外装」より「やや重要」であることが理解できる。
【0081】
図20(c)から、利用者Bの要求は、「リビングルーム」の方が「エントランスホール」より「かなり重要」であることが理解できる。
そのため、利用者Bの要求に基づく、「リビングルーム」の重み=0.11×0.58×0.37=0.04(快適である全体の4%)となるのに対し、「エントランスホール」の重み=0.11×0.58×0.33=0.02(快適である全体の2%)となった。
【0082】
図20(d)から、利用者Bの要求は、「眺めがよい」の方が「空間にゆとりがある」より「とてつもなく重要」であることが理解できる。
図19(e)から、利用者Bの要求は、「居住階」の方が「周辺環境」より「かなり重要」であることが理解できる。
そのため、利用者Bの要求に基づく、「居住階」の重み=0.44×0.89×0.67=0.26(快適である全体の26%)となるのに対し、「周辺環境」の重み=0.58×0.80×0.80=0.13(快適である全体の13%)となった。
【0083】
以上のように、利用者Aは、快適である全体のうち20%が「エントランスホール(の見栄え)」が占め、利用者Bは、快適である全体のうち26%が「(眺めのよい)居住階」が占めることになる。
このように、利用者ごとの異なる価値観が、評価項目の重みの違いとなって反映されている。
【0084】
次に、ステップ(8)では、下記のようになる。
図21により、利用者Aの場合について説明する。
「リビングルームの床仕上げは何が目安ですか」との問いに、「集積材のフローリングが目安」、「天然木だともっとよい」、「カーペットでもよいが、それ以外は問題外」との要求を提示したため、図21(a)に示すように、「集積材のフローリング」をレベル3(標準)、「天然木フローリング」をそれより上位のレベル5,「カーペット」をレベル3(標準)より下位のレベル2、「ビニルタイル」をそれより下位のレベル1として入力した。ここでは、レベル1が下限となる。
【0085】
次に、「エントランスホールの仕上げは何が目安ですか」との問いに、「花崗岩が目安」、「大理石だともっとよい」、「タイルでもよいが、それ以外は問題外」との要求を提示したため、図21(a)に示すように、「花崗岩」をレベル3(標準)、「大理石」をそれより上位のレベル4、「タイル」をレベル3(標準)より下位のレベル2、「仕上げなし」をそれより下位のレベル1として入力した。ここでは、レベル1が下限となる。
【0086】
次に、「居住階」および「周辺環境」についても同様に利用者Aから要求を聞いて図21(a)のように入力した。
次に、各評価項目について、目安となるレベル3(標準)とし、それに合わせてレベルを調整する。
【0087】
図22には、図21と同様の質問を利用者Bに行った結果が示されている。
次に、ステップ(9)では、オフィスビルの場合と同様に、実際に建物を調査し、各評価項目についてどの性能レベルに該当するか判断する。
基本的性能では、図23に示すように、「床の遮音性能」はLH−65等級未満、「戸境壁の遮音性能」はRr−55等級以上、「サッシの遮音性能」はT−2等級相当以上の場合を例として示している。
【0088】
次に、魅力的性能では、図24,図25に示す結果を得た。
図24(a)には、「見栄え」を重視する利用者Aの物件▲1▼に対する評価が丸印で示されている。
図24(b)には、「開放感」を重視する利用者Bの物件▲1▼に対する評価が丸印で示されている。
【0089】
図25(a)には、「見栄え」を重視する利用者Aの物件▲2▼に対する評価が丸印で示されている。
図25(b)には、「開放感」を重視する利用者Bの物件▲2▼に対する評価が丸印で示されている。
このように、利用者の価値観に合った建物の評価が高くなっている。
【0090】
次のステップ(10)からステップ(19)は、オフィスビルの場合と同様である。
なお、図26は、各建物について、「便利である」、「快適である」、「安心である」、「長期間住める」を軸としたレーダーチャートを示す。
また、表6には、ステップ(19)において生成されたセールスポイントおよびウィークポイントのリストが示されている。
【表6】
Figure 0004549514
以上では、本発明を、オフィスビル、集合住宅に適用して説明したが、本発明は、特にこれらに限定するものではない。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、ひとりひとり要求の異なる利用者が自分の要求に適した施設を選択することを支援するために、魅力的項目に含まれる各評価項目の重みと、それが満たされることを要求する性能水準の上限値および下限値を各利用者の判断で決めることで、各利用者の価値観を魅力的性能の値の大小に反映させることを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る施設性能評価システムのフローチャートである。
【図2】ステップ(3)における評価項目の階層化を示す説明図である。
【図3】図2の「社会的なイメージ」における評価項目の階層化を示す説明図である。
【図4】ステップ(3)における評価項目の階層化のプロセスを示す説明図である。
【図5】「社会的なイメージ」に対する「弱者への配慮」などの3つの評価項目の重要度の比較プロセスを示す説明図である。
【図6】図3の基本的性能の枠内の「社会的なイメージ」に対する「弱者への配慮」などの3つの評価項目の重みの振り分け処理を示す説明図である。
【図7】図3の魅力的性能の枠内の評価項目について、利用者Aの価値観に応じてその重みを振り分ける処理を示す説明図である。
【図8】図3の魅力的性能の枠内の評価項目について、利用者Bの価値観に応じてその重みを振り分ける処理を示す説明図である。
【図9】評価項目について、標準となる性能水準と、満たすべき性能水準の上限と下限を、利用者Aが決める処理を示す説明図である。
【図10】評価項目について、標準となる性能水準と、満たすべき性能水準の上限と下限を、利用者Bが決める処理を示す説明図である。
【図11】ステップ(9)、(10)における利用者Aの判断処理を示す説明図である。
【図12】ステップ(9)、(10)における利用者Bの判断処理を示す説明図である。
【図13】ステップ(9)、ステップ(11)、ステップ(12)における判断処理を示す説明図である。
【図14】ステップ(17)における棒グラフの生成処理を示す説明図である。
【図15】ステップ(18)におけるレーダーチャートの生成処理を示す説明図である。
【図16】本発明の別の実施形態におけるステップ(3)の評価項目の階層化を示す説明図である。
【図17】図16の「快適である」における評価項目の階層化を示す説明図である。
【図18】ステップ(3)における評価項目の階層化のプロセスを示す説明図である。
【図19】図17の魅力的項目の枠内の評価項目について、利用者Aの価値観に応じてその重みを振り分ける処理を示す説明図である。
【図20】図17の魅力的項目の枠内の評価項目について、利用者Bの価値観に応じてその重みを振り分ける処理を示す説明図である。
【図21】評価項目について、標準となる性能水準と、満たすべき性能水準の上限と下限を利用者Aが決める処理を示す説明図である。
【図22】評価項目について、標準となる性能水準と、満たすべき性能水準の上限と下限を利用者Bが決める処理を示す説明図である。
【図23】ステップ(9)、ステップ(11)、ステップ(12)における判断処理を示す説明図である。
【図24】ステップ(9)、ステップ(10)における利用者Aの判断処理を示す説明図である。
【図25】ステップ(9)、ステップ(10)における利用者Bの判断処理を示す説明図である。
【図26】ステップ(18)におけるレーダーチャートの生成処理を示す説明図である。

Claims (9)

  1. 入力装置と、記憶装置と、演算装置と、制御装置と、表示装置とを備え、施設の性能を評価し、結果を表示する施設性能評価システムであって、
    前記記憶装置は、
    施設の性能を評価する項目(評価項目)を基本的項目および魅力的項目に分類し、前記基本的項目および魅力的項目のそれぞれに含まれる評価項目ひとつひとつについて性能水準を決め、各評価項目について前記性能水準に応じた倍数の設定を行い、前記基本的項目および魅力的項目に共通ないくつかの指標を定めるデータベースを格納し、
    前記演算装置は、受付部と、演算部とを備え、
    前記受付部は、前記入力装置からの入力によって受け付ける、
    前記基本的項目に含まれる各評価項目の重みに関する専門家の判断の受付手段と、
    前記魅力的項目に含まれる各評価項目の重みに関する各利用者の判断の受付手段と、
    前記魅力的項目に含まれる各評価項目ついて、それが満たされることを要求する性能水準の上限値および下限値に関する各利用者の判断の受付手段と、
    建物の調査に基づく、各評価項目の性能水準の判断結果の受付手段と
    を有し、
    前記演算部は、
    前記魅力的項目に含まれる各評価項目ついて、それが満たされることを要求する性能水準の下限を満たさない評価項目がある建物を比較対象から除く手段と、
    前記各評価項目について、その重みに前記各性能水準に応じた倍数を乗じて評価点を求める手段と
    を有することを特徴とする施設性能評価システム
  2. 請求項1記載の施設性能評価システムにおいて、
    前記演算部は、前記基本的項目に含まれる各評価項目の評価点を合計して基本的性能点を求める手段を、さらに有することを特徴とする施設性能評価システム
  3. 請求項1記載の施設性能評価システムにおいて、
    前記演算部は、前記魅力的項目に含まれる各評価項目の評価点を合計して魅力的性能点を求める手段を、さらに有することを特徴とする施設性能評価システム
  4. 請求項3記載の施設性能評価システムにおいて、
    前記演算部は、前記基本的性能点と魅力的性能点を合計し、総合的性能点を求める手段を、さらに有することを特徴とする施設性能評価システム
  5. 請求項4記載の施設性能評価システムにおいて、
    前記演算部は、複数の施設を前記総合性能点で比較した棒グラフを作成する手段を、さらに有することを特徴とする施設性能評価システム
  6. 請求項1記載の施設性能評価システムにおいて、
    前記演算部は、前記求めた評価点が大きい評価項目をセールスポイント、求めた評価点が小さい評価項目をウイークポイントと判定する手段を、さらに有することを特徴とする施設性能評価システム
  7. 請求項6記載の施設性能評価システムにおいて、
    前記演算部は、前記求めた評価点を、前記基本的項目および魅力的項目に共通ないくつかの指標ごとに集計する手段を、さらに有することを特徴とする施設性能評価システム
  8. 請求項6記載の施設性能評価システムにおいて、
    前記演算部は、前記セールスポイントおよびウイークポイントのリストを作成する手段を、さらに有することを特徴とする施設性能評価システム
  9. 請求項7記載の施設性能評価システムにおいて、
    前記演算部は、前記求めた評価点を、前記基本的項目および魅力的項目に共通ないくつかの指標を軸としてレーダーチャートを作成する手段を、さらに有することを特徴とする施設性能評価システム
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