JP4544723B2 - ガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズル及びこれを備えたガスタービンプラント - Google Patents

ガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズル及びこれを備えたガスタービンプラント Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮機の上流側に吸気冷却用水噴霧ノズルが配置され、且つ前記圧縮機と水噴霧ノズルとの間に、同水噴霧ノズル又は系統内の部材の離脱、剥離片等捕集用のラストチャンスフィルタ等のフィルタ装置が配置されたガスタービンプラント、特に前記水噴霧ノズルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10に基づいて一般的なガスタービンプラントの概要について説明する。
図10は一般的なガスタービンプラントの要部を示すものであって、圧縮機CPと、同圧縮機CPからの高圧空気が供給される燃焼器CBと、同燃焼器CBから供給された高温高圧燃焼ガスによって動力を発生するガスタービンGTとを主要な構成として備えている。
更に加えて、前記圧縮機CPの上流側には吸気を脱塵するエアフィルタF、及び騒音の発生を抑制するサイレンサSが付設されている。
【0003】
前記の様な構成のガスタービンプラントでは、夏期等に気温が上昇すると空気が膨張し、圧縮機CPの吸い込みが悪化すると共に、圧縮の効率が低下し、ガスタービンの出力、効率共に低下する。
【0004】
その解決のため、従来の装置として図10中にも記載して示すように、圧縮機CPの上流側に複数の水噴霧ノズル20を具えた水供給管10を設け、同水供給管10によって供給された水が水噴霧ノズル20によって気化容易に噴霧され、その気化によって圧縮機CPの吸気が冷却されるよう構成されたものがある。
【0005】
ここで水噴霧ノズル20は図11に水供給管10との関連構成を、図12(a)、(b)に要部の詳細形状を示す様に、水噴霧ノズル20は水供給管10の軸方向に対して直交する方向に突出する様に設置され、その突出端部に先端をU字型に折り返すノズル先端部20aを設け、同ノズル先端部20aから噴射する冷却水が水噴霧ノズル20自体の突出端部に衝突して四方へ霧散状に分散する様に構成されている。
【0006】
また、圧縮機CPの吸気冷却機能の最適化のために、圧縮機CPの上流側、サイレンサSの下流側に噴霧ノズル20が配置されているだけでなく、その上流側に吸気冷却のために別の冷却手段が配置されるもの、さらにそれをベースに、液滴量やその割合、吸気が到達する湿度、液滴の粒径、液温その他の制御や限定がなされているもの、上記別の冷却手段の併設の限定なしに、吸気へ水蒸気が供給されるものや、水噴霧ノズル20のサイレンサSの下流側への配置の限定なしに、圧縮機CPの中間段から抽出された高圧空気によって液滴が噴霧されるもの等がある。
【0007】
その他、水噴霧ノズル、水供給管、噴霧用空気供給管が保護カバーで囲われると共に、水噴霧ノズルが保護カバーの下流端壁から斜めの方向にハの字に水を噴霧するよう配置されたもの等もある(例えば特開平11−22487参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記した従来のものにおいいては、前記した水噴霧ノズル20が何らかの原因で脱落した様な場合に備えて圧縮機CPの上流側に、同水噴霧ノズル20等の離脱、剥離片等の捕集用のラストチャンスフィルタLFを設けているものの、これが同ラストチャンスフィルタLFの目を通過する可能性があり、その様な場合の防御について何らかの考慮がなされた事例は実在していない。
【0009】
すなわち従来の装置では、前記水噴霧ノズル20等の離脱、剥離片等がラストチャンスフィルタLFの目を通過すると、それが下流側の圧縮機CPに落下し、圧縮機CPの損傷トラブルを起こすおそれのあるものであった。
【0010】
本発明は、このような従来の装置における問題点を解消し、万一水噴霧ノズルが脱落するようなことがあっても、簡単で安価な防止策を講じることにより、それがフィルタの目を通過するのを防止するようにしたガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズル及びこれを備えたガスタービンプラントを提供することを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記した課題を解決すべくなされたもので、その第1の手段として、ガスタービンに供給する高温高圧燃焼ガスを生成する燃焼器、同燃焼器に高圧空気を供給する圧縮機、同圧縮機の上流で同圧縮機の吸気を冷却する水噴霧ノズル、前記圧縮機と水噴霧ノズルとの間に配置され離脱片または剥離片を捕集するフィルタを有し、前記水噴霧ノズルはその周囲に被捕捉体を一体的に結合したガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを提供するものである。
【0012】
すなわち同第1の手段によれば、圧縮機の上流に設けられた水噴霧ノズルはその周囲に被捕捉体を一体的に結合しているので、同水噴霧ノズルが万一脱落してそれがフィルタを通過しようとしても、フィルタの目に引っ掛かって捕捉されるため、同水噴霧ノズルが下流側の圧縮機に落下し、その損傷トラブルを起こすという事故は発生しないようにしたものである。
【0013】
また、本発明は第2の手段として、前記第1の手段において、前記被捕捉体は、外側に拡がる複数の線状体又は帯状体の被捕捉部材よりなり、前記水噴霧ノズルと一体的結合により前記フィルタの開口最大径より大きく形成したガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを提供するものである。
【0014】
すなわち同第2の手段によれば、外側に拡がる複数の線状体又は帯状体の被捕捉部材よりなる被捕捉体は、水噴霧ノズルと一体的結合によりフィルタの開口最大径より大きく形成されているので、同水噴霧ノズルが脱落することがあっても、確実にフィルタで捕捉され、また、被捕捉体は線状体又は帯状体の被捕捉部材で形成されているので、通常状態で水噴霧ノズルの周囲を流れる空気の流路を狭めることは殆どなく、この様な被捕捉体の設置による空気の圧損失の増加が最小限に抑制され、しかも必要材料量も少なく、溶接等によってノズルに容易に結合可能であり、材料コスト、製作コスト共に低く、実施に伴う負担を軽微に抑えることのできるものである。
【0015】
また、本発明は第3の手段として、前記第2の手段において、前記被捕捉体は、前記被捕捉部材の少なくとも一部が前記水噴霧ノズルの中心軸に対して垂直方向で放射状に伸びているガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを提供するものである。
【0016】
すなわち同第3の手段によれば、前記被捕捉体を構成する被捕捉部材は、前記放射状に伸びる拡がりにより最小限の量の材料によって形成され、これによりフィルタによる水噴霧ノズルの被捕捉性が確保されるものである。
【0017】
また、本発明は第4の手段として、前記第2又は3の手段において、前記被捕捉体は、前記複数の被捕捉部材の先端を環状に連結したガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを提供するものである。
【0018】
すなわち同第4の手段によれば、前記被捕捉体を形成する複数の被捕捉部材は先端で環状に連結されているので、空気流れによる揺動・振動も少なく、その破損の危険性も少なくなり、被捕捉体の所定の拡がりを確実に維持し、フィルタへの引っ掛かりを確実にするものである。
【0019】
また、本発明は第5の手段として、前記第2乃至4の何れかの手段において、前記被捕捉体は、前記複数の被捕捉部材がそれぞれの基端部を環状体に一体的に結合され、同環状体を前記水噴霧ノズルに嵌着固定したガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを提供するものである。
【0020】
すなわち同第5の手段によれば、複数の被捕捉部材から形成される被捕捉体は、各被捕捉部材の基端部を環状体に一体的に結合され、かつこの環状体を水噴霧ノズルに嵌着固定しているので、水噴霧ノズルと被捕捉体は別々に工場等で製作可能であり、設置現場でノズルに容易に嵌着結合可能としたものである。
【0021】
また、本発明は第6の手段として、前記第2、3又は5の何れかの手段において、前記被捕捉体は、前記各被捕捉部材の先端を鉤状に折り曲げたガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを提供するものである。
【0022】
すなわち同第6の手段によれば、被捕捉体を形成する被捕捉部材はそれぞれ先端を鉤状に折り曲げているので、単純な構造ながら鈎状部分の追加によって形状の拡がり及び多様化が増幅され、被捕捉性が著しく増大するものである。
【0023】
また、本発明は第7の手段として、前記第1の手段において、前記水噴霧ノズルはその周囲に被捕捉体を一体的に結合することに代えて、水供給用短管に着脱可能に螺着する多角形の頭部に回動防止用枠体を結合したガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを提供するものである。
【0024】
すなわち同第7の手段によれば、水噴霧ノズルは被捕捉体を一体的に結合する代わりに、頭部に回動防止用枠体を結合しているので、これにより回動が防止され、緩んで脱落することはないものである。
【0025】
更にまた、本発明は第8の手段として、前記第1乃至7の何れかの手段におけるガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを備えたガスタービンプラントを提供するものである。
【0026】
すなわち同第8の手段によれば、水噴霧ノズルを前記第1乃至7の何れかの手段により構成し、かつこの水噴霧ノズルを有してガスタービンプラントを構成しているので、万一水噴霧ノズルが脱落することがあっても、それをフィルタで確実に捕捉し、後続のガスタービン圧縮機にトラブルを起こさない、安全性の高いガスタービンプラントを得る様にしたものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の第1形態について、図1に基づいて説明する。
図1は本実施の形態に係るガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを概略的に示す正面図である。
【0028】
すなわち、本実施の形態において、水噴霧ノズルを組み入れたガスタービンプラントは、圧縮機CPと、その圧縮機CPからの高圧空気が供給される燃焼器CBと、その燃焼器CBから供給された高温高圧燃焼ガスによって動力を発生するガスタービンGTと、を備えている。
【0029】
なお、このガスタービンプラントがコンバインドサイクル発電プラントの構成要素として組み入れられる場合には、この他にガスタービンGTの排ガスが供給される排熱回収ボイラと、その排熱回収ボイラからの高圧蒸気が供給される蒸気タービン等を備えている。
【0030】
また、前記圧縮機CPの上流側には吸気を脱塵するエアフィルタF、騒音の発生を抑制するサイレンサSが付設されており、圧縮機CPの上流側には、水供給管10によって供給される水が噴霧される径約30mmとした吸気冷却用の水噴霧ノズル20が配置され、さらに前記圧縮機CPと水噴霧ノズル20との間には開口径約50mmとした目(メッシュ)に構成され、同水噴霧ノズル20等の離脱、剥離片等捕集用のラストチャンスフィルタLFが配置されている。
【0031】
前記ガスタービンプラントにおいて、水供給管10には軸方向に多数の水噴霧ノズル20が設けられているが、この水噴霧ノズル20が取付位置から離脱し、ラストチャンスフィルタLFを通過しようとすると、同ラストチャンスフィルタLFの目に引っ掛かり、捕捉されるように水噴霧ノズル20の周囲に被捕捉体30が一体的に結合されている。
【0032】
さらに具体的に説明すると、被捕捉体30は、4本の先端が鈎状に折り曲げられた金属材料で構成された線状体又は帯状体等の被捕捉部材31よりなり、且つ、その線状体又は帯状体等の被捕捉部材31は、水噴霧ノズル20に一体的に結合された時、例えば、線状体又は帯状体等の被捕捉部材31の先端を連ねた、図1の点線で示す直径が、ラストチャンスフィルタLFの目の開口最大径より大きく、従って水噴霧ノズル20が直立した状態でも水平の状態でも斜めの状態でも、それがラストチャンスフィルタLFと交差する部分の最大長さは、ラストチャンスフィルタLFの開口最大径より大きくなるように設定されている。
【0033】
前記の様に構成された本実施の形態おいて、前記水噴霧ノズル20は本来の機能として圧縮機の吸気中に水噴霧を行うには全くの支障がなく、そのうえ、水噴霧ノズル20はその周囲に被捕捉体30が一体に結合されているので、万一水噴霧ノズル20が脱落するようなことが発生しても、ラストチャンスフィルタLFを通過しようとする際にその目に引っ掛かって捕捉されるため、この水噴霧ノズル20が下流側の圧縮機CPに落下し、それの損傷トラブルを起こすという事故が防止される。
【0034】
しかも、前記線状体又は帯状体等の被捕捉部材31の先端が、鈎状に折り曲げられているため、僅かな形状変更ながらそれによって被捕捉効果が一層高められるものである。
【0035】
しかも、被捕捉体30が線状体又は帯状体等の被捕捉部材31よりなり、水噴霧ノズル20の周囲を流れる空気の流路を殆ど狭めないため、被捕捉体30を一体的に追設したことによる空気の圧損失の増加は殆どない。
【0036】
また、この被捕捉体30は製作のための必要材料量も少なく、溶接等によって水噴霧ノズルに容易に結合可能であり、材料コスト、製作コスト共に低く、実施に伴う負担は軽微である。
【0037】
そのうえ、図1に示すように、線状体又は帯状体等の被捕捉部材31が水噴霧ノズル20に、斜め前方に伸びて放射状に結合されると、水噴霧ノズル20の側方に障害物がなく、その脱着用の締着金具等の使用に全く支障を生じない。
【0038】
従って本実施の形態によれば、圧縮機の直前に最後の異物防御として設置するラストチャンスフィルタLFの開口径を小さくする必要性がなくなり、これによる空気の圧損は低い値に維持されガスタービンプラントの効率低下に至らないものである。
【0039】
次に本発明の実施の第2形態について図2乃至図4に基づいて説明する。
図2は本実施の形態に係るガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを概略的に示す正面図、図3は図2のものの一部を変形した変形例で図2に相当する正面図、図4は図3のものを例にして水噴霧ノズル等の固定状況を示す説明図である。
【0040】
本実施の形態において図2に示す形状のものでは、被捕捉体130を構成する線状体又は帯状体等の被捕捉部材131は、その基端に近い部分が水噴霧ノズル20を中心に放射状に伸びると共に、水噴霧ノズル20の水噴霧範囲(図2の一点鎖線で示す範囲)の外側に拡がっているが、途中で水供給管10の軸に水平な方向に伸びている。
【0041】
そしてこの被捕捉体130を一体的に結合された水噴霧ノズル20は、殊更言うまでもないことではあるが、ラストチャンスフィルタLFに捕捉されるに十分な拡がりを持っている。
【0042】
他方、図3に示した一部変形例のものでは、被捕捉体230を構成する線状体又は帯状体等の被捕捉部材231は、水噴霧ノズル20を中心に放射状し、その基端から水供給管10の軸に水平な方向に伸びている。
【0043】
なお図4には、前記図3に示した水噴霧ノズル20を例として、水噴霧ノズル20が取り付けられた水供給管10が、直立の支柱40に取り付けられたクランプ50に対し締め付け用のボルトナット51で傾斜して固定された状態を示している。
【0044】
この様に構成された本実施の形態においては、基本的な作用効果は前記した実施の第1形態と同様であるが、それに加えて最小限の量の材料によって、被捕捉体130,230の拡がり、すなわち、それによるラストチャンスフィルタLFによる水噴霧ノズル20の被捕捉性が確保されるものである。
【0045】
次に本発明の実施の第3形態について図5及び図6に基づいて説明する。
図5は本実施の形態に係るガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを概略的に示す正面図、図6は図5のものの一部を変形した変形例で図5に相当する正面図である。
【0046】
すなわち本実施の形態は、被捕捉体30の一部に変更を加えたもので、被捕捉体330を構成する複数の線状体又は帯状体等の被捕捉部材331の先端を、それらを連ねる円環332で結合したものである。
【0047】
また、図6に示した変形例では、被捕捉体430の複数(図では3本)の線状体又は帯状体等の被捕捉部材431の先端に、それらを連ねる多角形環432(三角環)で結合したものである。
【0048】
前記の様に構成された本実施の形態においては、被捕捉体330又は430を構成する複数の線状体又は帯状体等の被捕捉部材331又は431が、それぞれ円環332又は多角形環432等で環状に一体的に結合されているため空気流れによる揺動・振動が少なく、従ってこの被捕捉体330又は430が破損に至る危険性も少なくなるものである。
【0049】
次に本発明の実施の第4形態について図7に基づいて説明する。
図7は本実施の形態に係るガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルの要部を抜粋して概略的に示す説明図である。
【0050】
すなわち本実施の形態においては、被捕捉体530を構成する複数(図では3本)の線状体又は帯状体等の被捕捉部材531は、その基端が環状体532に一体的に結合されており、図では省略しているがこの環状体532が水噴霧ノズル20に嵌着されるものである。
【0051】
なお、前記環状体532が水噴霧ノズル20に嵌着されるに際しては、脱落しないように水噴霧ノズル20に溶接されることが望ましく、この環状体532を用いた構造は前記した実施の第1〜第3形態のものにも応用可能である。
【0052】
前記の様に構成された本実施の形態においては、被捕捉部材として線状体又は帯状体のみよりなるものに比較して若干構造が複雑になり、必要材料量も僅かに増加するが、水噴霧ノズル20の本体とは別に線状体又は帯状体等の被捕捉部材531と環状体532が一体品として、水噴霧ノズル20本体とは別に工場等で製作可能であり、水噴霧ノズル20に予め結合される必要はなく、設置現場で水噴霧ノズル20に容易に嵌着結合可能となり、作業性が著しく向上する。
【0053】
次に本発明の実施の第5形態について図8及び図9に基づいて説明する。
図8は本実施の形態に係るガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを概略的に示す説明図、図9は図8のものを変形した変形例を示す説明図である。
【0054】
先ず図8に示すように、水噴霧ノズル20は、水供給用短管11に脱着可能に螺結(ネジ留め)されると共に、その頭部21が締結具(レンチ等)によって回動可能に多角形(通常六角形)に形成されており、水供給管10と共に、断面長方形のカバー60で囲われており、しかも、その表面に脱着可能に設けられた長方形の回動防止用枠体61に頭部21が嵌合されている。
【0055】
従って本実施の形態によれば頭部21の回動が防止され、それが緩んで脱落することはない。
なおここで回動防止用枠体61は、水噴霧ノズル20を交換可能にするよう、カバー60に点溶接で固定されている。
【0056】
また変形例として示した図9のものでは、カバー70に、水噴霧ノズル20の頭部21が嵌合可能、且つ回動防止用の長方形の開口71が形成され、カバー70が回動防止用枠体として機能するよう構成されている。
【0057】
そのため、頭部21の回動が防止され、それが緩んで脱落することはない。
なお、水噴霧ノズル20を交換可能とするように、枠体61に相当する開口71が形成されている板部分が、カバー70の残りの部分に点溶接で固定されている。
【0058】
以上、本発明を図示の実施の形態について説明したが、本発明はかかる実施の形態に限定されず、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えてよいことはいうまでもない。
【0059】
【発明の効果】
以上、本出願の請求項1に記載の発明によれば、ガスタービンに供給する高温高圧燃焼ガスを生成する燃焼器、同燃焼器に高圧空気を供給する圧縮機、同圧縮機の上流で同圧縮機の吸気を冷却する水噴霧ノズル、前記圧縮機と水噴霧ノズルとの間に配置され離脱、剥離片等を捕集するフィルタを有し、前記水噴霧ノズルはその周囲に被捕捉体を一体的に結合したガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを構成しているので、圧縮機の上流に設けられた水噴霧ノズルはその周囲に被捕捉体を一体的に結合したことにより、水噴霧ノズルが万一脱落するようなことが有ってもフィルタの目に引っ掛かって捕捉されるため、水噴霧ノズルが下流側の圧縮機に落下し、その損傷トラブルを起こすという事故は未然に防止され、極簡便な構成で安全性に優れた好適なガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを得ることが出来たものである。
【0060】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記請求項1に記載の発明において、前記被捕捉体は、外側に拡がる複数の線状体又は帯状体等の被捕捉部材よりなり、前記水噴霧ノズルと一体的結合により前記フィルタの開口最大径より大きく形成したガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを構成しているので、外側に拡がる複数の線状体又は帯状体等の被捕捉部材よりなる被捕捉体は、水噴霧ノズルと一体的結合によりフィルタの開口最大径より大きく形成されたことにより、万一水噴霧ノズルが脱落することがあっても確実にフィルタで捕捉され、また、被捕捉体は線状体又は帯状体等の被捕捉部材で形成されたことにより、水噴霧ノズルの周囲を流れる空気の流路を狭めることは殆どなく、空気の圧損失の増加が最小限に抑制され、しかも必要材料量も少なく、溶接等によってノズルに容易に結合可能であって、材料コスト、製作コスト共に低く、実施に伴う負担を軽微に抑える様にした好適なガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを得ることが出来たものである。
【0061】
また、請求項3に記載の発明によれば、前記請求項2に記載の発明において、前記被捕捉体は、前記被捕捉部材の少なくとも一部が前記水噴霧ノズルの中心軸に対して垂直方向に放射状に伸びているガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを構成しているので、被捕捉体を構成する被捕捉部材は、前記放射状に伸びる拡がりにより最小限の量の材料によって形成され、これによりフィルタによる水噴霧ノズルの被捕捉性が確保される安全性の高い好適なガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを得ることが出来たものである。
【0062】
また、請求項4に記載の発明によれば、前記請求項2又は3に記載の発明において、前記被捕捉体は、前記複数の被捕捉部材の先端を環状に連結したガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを構成しているので、被捕捉体を形成する複数の被捕捉部材はそれぞれ先端で環状に連結されたことにより、空気流れによる揺動・振動も少なくなって破損の危険性も減少し、被捕捉体の所定の拡がりを確実に維持し、フィルタへの引っ掛かりを確実にした、安全性に優れた好適なガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを得ることが出来たものである。
【0063】
また、請求項5に記載の発明によれば、前記請求項2乃至4に記載の発明において、前記被捕捉体は、前記複数の被捕捉部材がそれぞれの基端部を環状体に一体的に結合され、同環状体を前記水噴霧ノズルに嵌着固定したガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを構成しているので、複数の被捕捉部材から形成される被捕捉体は、各被捕捉部材の基端部を環状体に一体的に結合され、かつこの環状体を水噴霧ノズルに嵌着固定した構成としたことにより、水噴霧ノズルと被捕捉体は別々に工場等で製作可能であり、設置現場でノズルに容易に嵌着結合可能とし、作業の自由度を増加して安全性に富んだ好適なガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを得ることが出来たものである。
【0064】
また、請求項6に記載の発明によれば、前記請求項2、3又は5の何れかに記載の発明において、前記被捕捉体は、前記各被捕捉部材の先端を鉤状に折り曲げたガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを構成しているので、被捕捉体を形成する被捕捉部材をそれぞれ先端で鉤状に折り曲げたことにより、単純な構造の鈎状部分の追加だけで被捕捉体の形状の拡がり及び多様化が増大され、被捕捉性が著しく増大し、安全性を高めた好適なガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを得ることが出来たものである。
【0065】
また、請求項7に記載の発明によれば、前記請求項1に記載の発明において、前記水噴霧ノズルはその周囲に被捕捉体を一体的に結合することに代えて、水供給用短管に着脱可能に螺着する多角形の頭部に回動防止用枠体を結合したガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを構成しているので、水噴霧ノズルは被捕捉体を一体的に結合する代わりに、頭部に回動防止用枠体を結合したことにより、水噴霧ノズルの回動が防止され、緩んで脱落することはなく、安全性の高い好適なガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを得ることが出来たものである。
【0066】
更にまた、請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7の何れかに記載のガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを備えたガスタービンプラントを構成しているので、水噴霧ノズルを前記第1乃至7の何れかの手段により構成し、かつこの水噴霧ノズルを有してガスタービンプラントを構成したことにより、万一水噴霧ノズルが脱落することがあっても、それをフィルタで確実に捕捉し、後続のガスタービン圧縮機にトラブルを起こさない、安全性の高い好適なガスタービンプラントを得ることが出来たものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係るガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを概略的に示す正面図である。
【図2】本発明の実施の第2形態に係るガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを概略的に示す正面図である。
【図3】図2のものの一部を変形した変形例で図2に相当する正面図である。
【図4】図3のものを例にして水噴霧ノズル等の固定状況を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の第3形態に係るガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを概略的に示す正面図である。
【図6】図5のものの一部を変形した変形例で図5に相当する正面図である。
【図7】本発明の実施の第4形態に係るガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルの要部を抜粋して概略的に示す説明図である。
【図8】本発明の実施の第5形態に係るガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを概略的に示す説明図である。
【図9】図8のものを変形した変形例を示す説明図である。
【図10】一般的なガスタービンプラントの概要について示す説明図である。
【図11】図10のガスタービンプラントにおける水噴霧ノズルと水供給管との関連構成を示す説明図である。
【図12】図11の水噴霧ノズルの要部の詳細形状を(a)、(b)に区分して示す説明図である。
【符号の説明】
10 水供給管
11 水供給用短管
20 水噴霧ノズル
20a ノズル先端部
21 頭部
30 被捕捉体
31 被捕捉部材
40 支柱
50 クランプ
51 ボルトナット
60 カバー
61 回動防止用枠体
70 カバー
71 開口
130 被捕捉体
131 被捕捉部材
230 被捕捉体
231 被捕捉部材
330 被捕捉体
331 被捕捉部材
332 円環
430 被捕捉体
431 被捕捉部材
432 多角形環
530 被捕捉体
531 被捕捉部材
532 環状体
CP 圧縮機
CB 燃焼器
GT ガスタービン
F エアフィルタ
S サイレンサ
LF ラストチャンスフィルタ

Claims (8)

  1. ガスタービンに供給する高温高圧燃焼ガスを生成する燃焼器、同燃焼器に高圧空気を供給する圧縮機、同圧縮機の上流で同圧縮機の吸気を冷却する水噴霧ノズル、前記圧縮機と水噴霧ノズルとの間に配置され離脱片または剥離片を捕集するフィルタを有し、前記水噴霧ノズルはその周囲に被捕捉体を一体的に結合したことを特徴とするガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズル。
  2. 前記被捕捉体は、外側に拡がる複数の線状体又は帯状体の被捕捉部材よりなり、前記水噴霧ノズルと一体的結合により前記フィルタの開口最大径より大きく形成したことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズル。
  3. 前記被捕捉体は、前記被捕捉部材の少なくとも一部が前記水噴霧ノズルの中心軸に対して垂直方向に放射状に伸びていることを特徴とする請求項2に記載のガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズル。
  4. 前記被捕捉体は、前記複数の被捕捉部材の先端を環状に連結したことを特徴とする請求項2又は3に記載のガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズル。
  5. 前記被捕捉体は、前記複数の被捕捉部材がそれぞれの基端部を環状体に一体的に結合され、同環状体を前記水噴霧ノズルに嵌着固定したことを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載のガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズル。
  6. 前記被捕捉体は、前記各被捕捉部材の先端を鉤状に折り曲げたことを特徴とする請求項2、3又は5の何れかに記載のガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズル。
  7. 前記水噴霧ノズルはその周囲に被捕捉体を一体的に結合することに代えて、水供給用短管に着脱可能に螺着する多角形の頭部に回動防止用枠体を結合したことを特徴とする請求項1に記載のガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズル。
  8. 前記請求項1乃至7の何れかに記載のガスタービン圧縮機の吸気冷却用水噴霧ノズルを備えたことを特徴とするガスタービンプラント。
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