JP4544605B2 - 電気化学式センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスを検知する電気化学式センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばガス燃焼機器の不完全燃焼などで生じる一酸化炭素などのガスを検知するために電気化学式センサが用いられている。
【0003】
この電気化学式センサは、例えば、図3の模式図に示すように、電極部1を有し、この電極部1には、硫酸(H2SO4)水溶液などの電解質溶液2を満たした容器3の両端にガス透過性隔膜4a,4bが配置され、一方のガス透過性隔膜4aの内側に検知電極5が配置されるとともに、他方のガス透過性隔膜4bの内側に対向電極6および参照電極7が配置される。
【0004】
そして、これら検知電極5、対向電極6および参照電極7に接続されるポテンシオスタット回路8にて検知電極5の電位を一定に保つことにより、例えば、ガス透過性隔膜4aを透過した一酸化炭素(CO)が検知電極5において酸化反応するとともにガス透過性隔膜4bを透過した酸素(O2)が対向電極6において還元反応し、ガスの酸化還元反応が起こる。このとき、検知電極5と対向電極6との間に生じる電流を負荷抵抗9の両端に接続された出力端子10から取り出して測定することにより、電流値に応じたガス濃度が検知される。検知電極5と参照電極7との間の電位を変えることにより、酸化還元反応を起こすガスの種類を選択的に検知することができる。
【0005】
このような電気化学式センサの構造としては、例えば、図4に示すように、ケース11の一端側に電極部1を収納する電極収納部12が設けられているとともに他端側に電解質溶液2を貯留する電解質溶液貯留部13が設けられており、ガラス繊維などの親水性を有する導液シート14によって、電解質溶液貯留部13内の電解質溶液2を電極部1の電極間に絶えず補給する構造が採られている。
【0006】
ところで、電解質溶液2の多くには硫酸水溶液が用いられるが、この硫酸水溶液の吸湿性により雰囲気中の水分を吸収するため、電解質溶液貯留部13内の液量が徐々に増加し、電解質溶液貯留部13内の圧力が増加する。
【0007】
そして、図4に示すように電極部1が上向きに設置された場合には、電極部1を通じて電解質溶液貯留部13内の気体を逃がすことで圧力を解放できるが、電極部1が下向きに設置された場合には、気体が通過できる電極部1の部分が電解質溶液貯留部13の底となって電解質溶液2にて塞がれ、電解質溶液貯留部13内の気体の逃げ場がなくなるため、電解質溶液貯留部13内の圧力が増加してしまう。その結果、電解質溶液2が電極部1とケース11との間のシーリング部分から漏れ出したり、比較的に機械的強度の弱い電極部1に負荷がかかることで電極部1の一部が破損したりするなど、センサが破損してしまう問題がある。
【0008】
この電解質溶液貯留部13内の圧力増加による液漏れを防止するための構成としては、例えば、特表平10−508696号公報または特公平6−56376号公報に記載されている構造が知られている。すなわち、図5に示すように、ケース11の電解質溶液貯留部13の底部に通気のためのガス抜き孔15を設け、このガス抜き孔15を疎水性および通気性を有する多孔質フィルタ16で閉塞することにより、電極部1が下向きに設置された場合にガス抜き孔15および多孔質フィルタ16を通じて気体を逃がし圧力解放を可能にしているとともに、電極部1が上向きに設置された場合には疎水性を有する多孔質フィルタ16により電解質溶液2が漏れ出すことを防いでいる。
【0009】
また、電解質溶液貯留部13内の圧力増加による液漏れを防止するための構成としては、特開平6−229974号公報に記載されている構造なども知られている。すなわち、図6に示すように、電解質溶液貯留部13内に、電解質溶液2を吸収して保持する例えばグラスウールなどの吸収体17を配置し、この吸収体17を電解質溶液貯留部13内に押え体18で押えておくことにより、電極部1が下向きに設置された場合でも、吸収体17に吸収されている電解質溶液2が電解質溶液貯留部13の底となる電極部1側に移動して塞ぐことがなく、電極部1を通じて気体を逃がし圧力解放を可能にしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示すように、ケース11の電解質溶液貯留部13の底部にガス抜き孔15を設け、このガス抜き孔15を多孔質フィルタ16で閉塞した構造では、電極部1が下向きに設置された場合や電極部1が横向きに設置された場合など向きによっては、電解質溶液貯留部13内にまだ電解質溶液2の貯留を可能とする空間が残っていても、増加する電解質溶液2の液面が多孔質フィルタ16に達し、多孔質フィルタ16が塞がれれば、ガス抜き孔15から気体を逃がすことができなくなり、電解質溶液貯留部13内の圧力が増加して、電極部1とケース11との間のシーリング部分より電解質溶液2の液漏れを引き起こしたり、電極部1の一部を破損したりなど、センサの破損が起こり、その結果、寿命が短くなる問題がある。また、ケース11にガス抜き孔15や多孔質フィルタ16を形成する必要があるため、構造が複雑になり歩留まり低下やコスト高につながる問題がある。
【0011】
また、図6に示すように、電解質溶液貯留部13内に電解質溶液2を吸収して保持する吸収体17を配置し、押え体18で押える構造では、吸収体17の大きさで電解質溶液2の保持容量が決まるため、液量の増加によって保持容量を越えた電解質溶液2は吸収体17から漏れ出してしまう。そのため、電極部1が下向きに設置された場合、気体が通過できる電極部1の部分が吸収体17から漏れ出した電解質溶液2で塞がれて気体を逃がすことができなくなり、電解質溶液貯留部13内の圧力が増加して、電極部1とケース11との間のシーリング部分より電解質溶液2の液漏れを引き起こしたり、電極部1の一部を破損したりなど、センサの破損が起こり、その結果、寿命が短くなる問題がある。また、吸収体17や、これを押える押え体18を用いる必要があるため、構造が複雑になり、部品点数および組立工数が増加し、歩留まり低下やコスト高につながる問題がある。
【0012】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、簡単な構造で、ケースのあらゆる向きにかかわらず、電解質溶液貯留部が電解質溶液で満たされるまで、電解質溶液貯留部内の気体を確実に逃がすことで電解質溶液の液漏れを防止し、長寿命化できる電気化学式センサを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の電気化学式センサは、一端側に電極収納部を有するとともに他端側に電解質溶液を貯留する電解質溶液貯留部を有するケースと、このケースの電極収納部に収納される電極部と、前記ケースの電解質溶液貯留部内の電解質溶液を前記電極部に導く導液体と、一端が前記ケースの一端側から外部に連通されるとともに他端が前記電解質溶液貯留部内の他端側に配置される疎水性および通気性を有する多孔質体とを具備し、前記ケースは、前記電極収納部を有する電極収納ケース部と前記電解質溶液貯留部を有するタンク部とを備え、これら電極収納ケース部とタンク部とが液密に結合され、前記多孔質体は、少なくとも一端が面状で前記電極収納ケース部と前記タンク部との間に挟持されているものである。
【0014】
そして、多孔質体の一端をケースの一端側から外部に連通させるとともに他端を電解質溶液貯留部内の他端側に配置することにより、例えば検知部が上向き、下向きおよび横向きとなるいずれのケースの向きでも、電解質溶液貯留部が電解質溶液で満たされるまで、多孔質体を通じて電解質溶液貯留部内の気体を逃がし、圧力増加が防止される。さらに、ケースの電極収納ケース部とタンク部とを結合して組み立てる際、多孔質体の一端を電極収納ケース部とタンク部との間に配置するだけで、多孔質体の一端が挟持されるとともにケースの外部に連通される。
【0015】
請求項2記載の電気化学式センサは、請求項1記載の電気化学式センサにおいて、電解質溶液貯留部内には他端側から一端側に向けて突起部が突設され、多孔質体の他端には前記突起部の周囲に配置される環状部が形成されているものである。
【0016】
そして、電解質溶液貯留部内の他端側から一端側に向けて突設された突起部の周囲に、多孔質体の他端の環状部を配置することにより、多孔質体の他端がケースに対して位置決めされる。
【0017】
請求項3記載の電気化学式センサは、請求項2記載の電気化学式センサにおいて、導液体は、両端部が電解質溶液貯留部内の他端側に配置されるとともに両端部間の中間部が突起部で電極部に当接されるものである。
【0018】
そして、導液体の両端部が電解質溶液貯留部内の他端側に配置されるとともに両端部間の中間部が突起部で電極部に当接することにより、ケースの向きにかかわらず、導液体を通じて電解質溶液が電極部に供給される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1および図2を参照して説明する。
【0020】
なお、図3で説明した電極部1の構成と同一構成については同一符号を用いて説明する。
【0021】
図1において、電気化学式センサは、ケース21を有し、このケース21は、一端側の電極収納ケース部22と他端側のタンク部23とが図示しないシール材を介して液密に結合されて一体に構成されている。なお、以下、ケース21の一端側を上端側または上部、他端側を下端側または底部として説明する。
【0022】
電極収納ケース部22は、例えば合成樹脂製のカバー部24およびこのカバー部24に図示しないシール材を介して液密に固定される蓋部25を有し、これらカバー部24と蓋部25との間に円板状の外形に形成された電極部1を収納する電極収納部26が形成されている。カバー部24には、円板状の検知面部27およびこの検知面部27の周縁部から環状部28が形成され、検知面部27には複数の通気孔29が形成されている。蓋部25は、円板状に形成され、複数の通気孔30が形成されているとともに中央に開口部31が形成されている。
【0023】
そして、カバー部24の内側に、検知面部27に対してガス透過性隔膜4aが臨むように電極部1が挿入配置された後、図示しないシール材を介して蓋部25が液密に挿入固定されている。電極部1のガス透過性隔膜4a側がカバー部24の通気孔29を通じて外部に連通され、ガス透過性隔膜4b側が蓋部25の通気孔30および開口部31を通じてタンク部23内に連通されている。
【0024】
タンク部23は、例えば合成樹脂製で、円筒状の周面部32およびこの周面部32の下端側を閉塞する端面部33を有し、周面部32の上端側が開口されて電極収納ケース部22との間に例えば硫酸(H2SO4)水溶液などの電解質溶液2を貯留する電解質溶液貯留部34が形成されている。電解質溶液貯留部34内には、端面部33の中心から上端側の開口に向けて円柱状の突起部35が突設されている。
【0025】
また、ケース21内には、電解質溶液貯留部34内の気体を逃がし圧力増加を防止する多孔質体としての多孔質シート36、および電解質溶液貯留部34内の電解質溶液2を電極部1に導く導液体としての導液シート37が配置されている。
【0026】
多孔質シート36は、液体を通さない疎水性および気体を通す通気性を有する例えばポリテトラフルオルエチレン(PTFE)などの材質で、面状つまりシート状に形成されており、一端の通気端部38が電極収納ケース部22とタンク部23との間に配置されて外部に連通され、他端の環状部39が電解質溶液貯留部34内の底部に配置され、これら一端の通気端部38と他端の環状部39との間の中間部40がタンク部23の周面部32の内面に沿って配置されている。環状部39は、突起部35が挿通する挿通孔41を有する環状に形成され、突起部35の周囲に係合配置されている。
【0027】
導液シート37は、親水性を有する例えばガラス繊維などの材質で、シート状に形成されており、中間部で略V字形に折り曲げられ、両方の端部42が電解質溶液貯留部34内の底部に配置されるとともに、折り曲げられた中間部43が突起部35によって蓋部25の開口部31を通じて電極部1のガス透過性隔膜4bに当接されている。
【0028】
そして、電気化学式センサのケース21を組み立てるには、多孔質シート36の環状部39の挿通孔41を突起部35に通し、環状部39を電解質溶液貯留部34内の底部に挿入し、通気端部38をタンク部23の上端で電極収納ケース部22と結合される結合部23a上に配置する。導液シート37を中間部43で折り曲げて両端部42をタンク部23の電解質溶液貯留部34内に挿入し、中間部43を突起部35上に配置する。タンク部23の結合部23aに沿って図示しないシール材を配置する。
【0029】
このように組み立てられたタンク部23の電解質溶液貯留部34内に所定量の電解質溶液2を注入し、電極部1が収納された電極収納ケース部22とタンク部23とをシール材を介して液密に結合固定する。
【0030】
ケース21を組み立てることにより、電極収納ケース部22とタンク部23との間に多孔質シート36の通気端部38が挟持されて保持され、導液シート37の中間部43が突起部35で電極部1のガス透過性隔膜4bに当接される。
【0031】
そして、図1に示すように、電気化学式センサの電極部1が上向きで設置された場合、電解質溶液貯留部34内の底部に電解質溶液2が溜まり、導液シート37の両端の端部42が電解質溶液2に浸り、導液シート37を通じて吸い上げられた電解質溶液2が電極部1に導かれて供給される。
【0032】
電極部1が電解質溶液貯留部34の空気層の内部空間34aに連通してこの電極部1を通じて電解質溶液貯留部34内の気体を逃がし圧力を解放できる他、多孔質シート36の通気端部38がケース21の外部に連通するとともに多孔質シート36の中間部40が電解質溶液貯留部34の内部空間34aに連通し、この多孔質シート36の断面内部を通じてケース21の外部と電解質溶液貯留部34の内部空間34aとの通気性が確保されることから、多孔質シート36を通じて気体を逃がし圧力を解放できる。そのため、電解質溶液2に用いられる硫酸水溶液の吸湿性により雰囲気中の水分を吸収し、電解質溶液貯留部34内の液量が徐々に増加しても、電極部1および多孔質シート36の通気作用によって電解質溶液貯留部34内の圧力が増加するのを防止でき、液漏れなどによるセンサの破損を防止できる。そして、電解質溶液貯留部34の略全体が電解質溶液2で満たされるまで、電解質溶液貯留部34内の気体を逃がし圧力を解放できることで、長期にわたり液漏れを防止し、センサの破損を防止でき、長寿命化できる。
【0033】
また、図2(a)に示すように、電気化学式センサの電極部1が下向きで設置された場合、電極部1の部分が電解質溶液貯留部34の底となってその電極部1を塞ぐ形で電解質溶液貯留部34内に電解質溶液2が溜まる。電解質溶液2は電極部1に直接導かれて供給される。
【0034】
電極部1が電解質溶液貯留部34の内部空間34aに対して電解質溶液2で塞がれて電極部1からの通気が困難となるが、多孔質シート36の通気端部38がケース21の外部に連通するとともに多孔質シート36の中間部40および環状部39が電解質溶液貯留部34の内部空間34aに連通し、この多孔質シート36の断面内部を通じてケース21の外部と電解質溶液貯留部34の内部空間34aとの通気性が確保されることから、多孔質シート36を通じて気体を逃がし圧力を解放できる。そのため、電解質溶液2に用いられる硫酸水溶液の吸湿性により雰囲気中の水分を吸収し、電解質溶液貯留部34内の液量が徐々に増加しても、多孔質シート36の通気作用によって電解質溶液貯留部34内の圧力が増加するのを防止でき、液漏れなどによるセンサの破損を防止できる。そして、電解質溶液貯留部34の略全体が電解質溶液2で満たされるまで、電解質溶液貯留部34内の気体を逃がし圧力を解放できることで、長期にわたり液漏れを防止し、センサの破損を防止でき、長寿命化できる。
【0035】
また、図2(b)に示すように、電気化学式センサの電極部1が横向きで設置され、多孔質シート36の通気端部38が上側となった場合、タンク部23の周面部32の一側部分が電解質溶液貯留部34の底となって電解質溶液貯留部34内に電解質溶液2が溜まり、導液シート37の少なくとも一方の端部42が電解質溶液2に浸り、導液シート37を通じて吸い上げられた電解質溶液2が電極部1に導かれて供給される。
【0036】
多孔質シート36の通気端部38がケース21の外部に連通するとともに多孔質シート36の中間部40および環状部39が電解質溶液貯留部34の内部空間34aに連通し、この多孔質シート36の断面内部を通じてケース21の外部と電解質溶液貯留部34の内部空間34aとの通気性が確保されることから、多孔質シート36を通じて気体を逃がし圧力を解放できる。そのため、電解質溶液2に用いられる硫酸水溶液の吸湿性により雰囲気中の水分を吸収し、電解質溶液貯留部34内の液量が徐々に増加しても、多孔質シート36の通気作用によって電解質溶液貯留部34内の圧力が増加するのを防止でき、液漏れなどによるセンサの破損を防止できる。そして、電解質溶液貯留部34の略全体が電解質溶液2で満たされるまで、電解質溶液貯留部34内の気体を逃がし圧力を解放できることで、長期にわたり液漏れを防止し、センサの破損を防止でき、長寿命化できる。
【0037】
また、図2(c)に示すように、電気化学式センサの電極部1が横向きで設置され、多孔質シート36の通気端部38が下側となった場合、タンク部23の周面部32の一側部分が電解質溶液貯留部34の底となって電解質溶液貯留部34内に電解質溶液2が溜まり、導液シート37の少なくとも一方の端部42が電解質溶液2に浸り、導液シート37を通じて吸い上げられた電解質溶液2が電極部1に導かれて供給される。
【0038】
多孔質シート36の通気端部38がケース21の外部に連通するとともに多孔質シート36の環状部39が電解質溶液貯留部34の内部空間34aに連通し、この多孔質シート36の断面内部を通じてケース21の外部と電解質溶液貯留部34の内部空間34aとの通気性が確保されることから、多孔質シート36を通じて気体を逃がし圧力を解放できる。そのため、電解質溶液2に用いられる硫酸水溶液の吸湿性により雰囲気中の水分を吸収し、電解質溶液貯留部34内の液量が徐々に増加しても、多孔質シート36の通気作用によって電解質溶液貯留部34内の圧力が増加するのを防止でき、液漏れなどによるセンサの破損を防止できる。そして、電解質溶液貯留部34の略全体が電解質溶液2で満たされるまで、電解質溶液貯留部34内の気体を逃がし圧力を解放できることで、長期にわたり液漏れを防止し、センサの破損を防止でき、長寿命化できる。
【0039】
そして、表1に、液漏れからみた寿命を、比較例A,B,Cおよび上述した本発明の構成を適用した実施例Dについて示す。比較例Aは図4に示した構造であり、比較例Bは図5に示した構造であり、比較例Cは図6に示した構造である。条件としては、気温50℃、湿度90%で、電極部1を下向きとした場合とする。
【0040】
【表1】
【0041】
各比較例A,B,Cに対し、実施例Dでは、電解質溶液貯留部34の略全体が電解質溶液2で満たされるまで気体を逃がし圧力解放が可能で液漏れすることがなく、センサの破損を防止できるため、寿命を長くできる。しかも、電極部1を90°横向きとした場合でも同程度の寿命が得られる。
【0042】
このように、多孔質シート36の一端の通気端部38をケース21の一端側から外部に連通させるとともに他端の環状部39を電解質溶液貯留部34内の他端側に配置しただけの簡単な構造により、ケース21の向きにかかわらず、電解質溶液貯留部34が電解質溶液2で満たされるまで、多孔質シート36を通じて電解質溶液貯留部34内の気体を逃がし圧力を解放することで、センサの破損を防止し、長寿命化できる。
【0043】
また、ケース21の電極収納ケース部22とタンク部23とを結合して組み立てる際、多孔質シート36の面状の通気端部38を電極収納ケース部22とタンク部23との間に配置するだけで、多孔質シート36の通気端部38を挟持できるとともにケース21の外部に連通させることができ、簡単な構造で組立性を向上できる。
【0044】
また、電解質溶液貯留部34内に突設された突起部35の周囲に、多孔質シート36の環状部39を挿入配置することにより、多孔質シート36の他端をケース21に対して位置決めできる。
【0045】
また、導液シート37の両端部42が電解質溶液貯留部34内の他端側に配置されるとともに両端部42間の中間部43が突起部35で電極部1に当接するので、ケース21の向きにかかわらず、導液シート37を通じて電解質溶液2を電極部1に確実に供給できる。
【0046】
なお、多孔質シート36は、複数用いて通気端部38の位置をケース21の異なる方向に配置したり、あるいは、他端である環状部39を共通として一端である通気端部38を環状部39から複数方向へ設けた一体形とし、これら複数の通気端部38をケース21の異なる方向に配置してもよく、電解質溶液貯留部34内の気体をより確実に逃がし圧力を解放できる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1記載の電気化学式センサによれば、多孔質体の一端をケースの一端側から外部に連通させるとともに他端を電解質溶液貯留部内の他端側に配置しただけの簡単な構造により、ケースの向きにかかわらず、電解質溶液貯留部が電解質溶液で満たされるまで、多孔質体を通じて電解質溶液貯留部内の気体を確実に逃がし圧力増加が防止でき、センサの破損を防止し、長寿命化できる。さらに、ケースの電極収納ケース部とタンク部とを結合して組み立てる際、多孔質体の面状の一端を電極収納ケース部とタンク部との間に配置するだけで、多孔質体の一端を挟持できるとともにケースの外部に連通させることができ、簡単な構造で組立性を向上できる。
【0048】
請求項2記載の電気化学式センサによれば、請求項1記載の電気化学式センサの効果に加えて、電解質溶液貯留部内の他端側から一端側に向けて突設された突起部の周囲に、多孔質体の他端の環状部を配置するので、多孔質体の他端をケースに対して位置決めできる。
【0049】
請求項3記載の電気化学式センサによれば、請求項2記載の電気化学式センサの効果に加えて、導液体の両端部が電解質溶液貯留部内の他端側に配置されるとともに両端部間の中間部が突起部で電極部に当接するので、ケースの向きにかかわらず、導液体を通じて電解質溶液を電極部に確実に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す電気化学式センサの断面図である。
【図2】 同上電気化学式センサを示し、(a)は上下逆にした場合の断面図、(b)は横向きで多孔質シートの通気端部が上側に位置する場合の断面図、(c)は横向きで多孔質シートの通気端部が下側に位置する場合の断面図である。
【図3】 一般的な電気化学式センサの模式図である。
【図4】 従来の電気化学式センサの断面図である。
【図5】 従来の電気化学式センサの他の例を示す断面図である。
【図6】 従来の電気化学式センサのさらに他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 電極部
2 電解質溶液
21 ケース
22 電極収納ケース部
23 タンク部
26 電極収納部
34 電解質溶液貯留部
35 突起部
36 多孔質体としての多孔質シート
37 導液体としての導液シート
39 環状部
Claims (3)
- 一端側に電極収納部を有するとともに他端側に電解質溶液を貯留する電解質溶液貯留部を有するケースと、
このケースの電極収納部に収納される電極部と、
前記ケースの電解質溶液貯留部内の電解質溶液を前記電極部に導く導液体と、
一端が前記ケースの一端側から外部に連通されるとともに他端が前記電解質溶液貯留部内の他端側に配置される疎水性および通気性を有する多孔質体と
を具備し、
前記ケースは、前記電極収納部を有する電極収納ケース部と前記電解質溶液貯留部を有するタンク部とを備え、これら電極収納ケース部とタンク部とが液密に結合され、
前記多孔質体は、少なくとも一端が面状で前記電極収納ケース部と前記タンク部との間に挟持されている
ことを特徴とする電気化学式センサ。 - 電解質溶液貯留部内には他端側から一端側に向けて突起部が突設され、
多孔質体の他端には前記突起部の周囲に配置される環状部が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の電気化学式センサ。 - 導液体は、両端部が電解質溶液貯留部内の他端側に配置されるとともに両端部間の中間部が突起部で電極部に当接される
ことを特徴とする請求項2記載の電気化学式センサ。
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JP2001121573A JP4544605B2 (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | 電気化学式センサ |
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