以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明していく。
図1は本発明による通信システムの第1の実施形態を示す構成ブロック図であって、100A,100Bはマルチアプリケーションカード、101Aは非接触通信部、102Aは情報蓄積部、103Aは情報処理部、104Aはアンテナコイル、110はディレクトリカード、111は非接触通信部、112は情報蓄積部、113は情報処理部、120は制御装置、121は非接触通信部、122は情報蓄積部、123はユーザ操作部、124は外部機器通信部、125は情報処理部、126はアンテナコイル、201Aはカード固有ID、202Aはカード論理ID、203Aはカードアプリケーション、204AはアプリケーションID、205Aはアプリケーションプログラム、211は応用分野ID、212はカード固有ID、213はカード論理ID、214はディレクトリテーブル、215はディレクトリレコード、216はカード固有ID、217はアプリケーションID、221はアプリケーションIDである。
同図において、この第1の実施形態は、マルチアプリケーションカード100A,100B,……とディレクトリカード110を1セットとし、この1セットのカード群を制御装置120のリーダライタにかざすことにより、制御装置120との通信(ここでは、非接触通信)が可能となり、制御装置120が応用されている分野でのサービスを利用することができるようにしたものである。制御装120は、例えば、POS端末や自動改札機,自動販売機などに応用されるものであって、かかる1セットのカード群を使用することにより、その応用分野に応じたサービスが提供されるものである。マルチアプリケーションカード100A,100B,……は夫々、各応用分野のアプリケーションプログラムを搭載でき、非接触通信する制御装置120の応用分野(例えば、自動改札)に該当するアプリケーションプログラムが起動して、このアプリケーションプログラムにより、この制御装置120の利用分野でのサービスがユーザに提供されるものである。また、ディレクトリカード110は、どのアプリケーションプログラムがマルチアプリケーションカード100A,100B,……のいずれに搭載されているかを示す情報(ディレクトリテーブル)を搭載したものであり、制御装置120は、かかる情報をもとに、その応用分野での特定のサービスを提供するアプリケーションプログラムを搭載したマルチアプリケーションカード100A,100B,……を探し出すことができる。
ディレクトリカード110とセットをなすマルチアプリケーションカードは1以上の任意の枚数でよく、ユーザに応じてその所有枚数が異なるが、ここでは、これをマルチアプリケーションカード100A,100Bの2枚とする。かかる1セットのカード群は、財布やカードケースなどにまとめて収納しても、これを制御装置120のリーダライタにかざすことにより、この制御装置120との非接触通信が可能となる。
なお、以下では、非接触通信機能を有するこれらマルチアプリケーションカード100A,100Bやディレクトリカード110をまとめて呼ぶときには、非接触ICカードもしくは非接触ICカード100/110という。
制御装置120は、RF(無線周波)動作磁界を発生することによって非接触ICカード100/110へ電力を伝送し、また、このRF動作磁界をコマンドや情報などで変調することにより、非接触ICカード100/110との間で非接触通信を行なうことができる。
そこで、1つのセットをなすマルチアプリケーションカード100A,100Bとディレクトリカード110とを重ねて制御装置120のリーダライタにかざすことにより(即ち、これら非接触ICカード100/110が制御装置120からのRF動作磁界を受信可能領域内に存在させることにより)、これら非接触ICカード100/110がRF動作磁界によって制御装置120との非接触通信が可能となる。
次に、マルチアプリケーションカード100A,100Bの内部構成の一具体例について説明するが、いずれも同じ内部構成をなしているので、マルチアプリケーションカード100Aの内部構成について説明する。
マルチアプリケーションカード100Aは、非接触通信部101Aと情報蓄積部102Aと情報処理部103Aとアンテナコイル104Aとを備えている。非接触通信部101Aは、アンテナコイル104Aを用いて、制御装置120が発生するRF動作磁界から電力を取り込み、これをマルチアプリケーションカード100Aの電力とするとともに、制御装置120との非接触通信を行なうためのものである。情報蓄積部102Aは、マルチアプリケーションカード100Aが内蔵するプログラムや情報を、その情報などに応じて一時的あるいは永続的に、記憶保持する機能を有し、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory),フラッシュメモリなどの半導体メモリから構成されている。情報処理部103Aは、マイクロプロセッサなどを用いて情報蓄積部102Aに格納されているプログラムを実行し、情報の処理やこのマルチアプリケーションカード100A全体の制御を行なうものである。
情報蓄積部102Aには、カード固有ID(識別子)201Aとカード論理ID202Aとが蓄積され、また、応用分野が異なる複数のアプリケーションプログラム205Aが、夫々にアプリケーションIDが付加されて、カードアプリケーション203Aとして蓄積される。
カード固有ID201Aは、マルチアプリケーションカード100Aを一意に識別するための固定の値である。カード論理ID202Aは、カード固有ID202Aよりも桁数が少ない数値のIDであって、マルチアプリケーションカード100Aが活性化されたときに、制御装置120によって動的に割り当てられる値である。制御装置120は、マルチアプリケーションカード100Aを最初に指定するときには、これ固有のカード固定ID201Aを用いてこのマルチアプリケーションカード100Aを識別するが、このマルチアプリケーションカード100Aが活性化したときには、このカード論理ID202Aによって識別する。このように桁数が少ない数値のカード論理ID202Aを用いることにより、非接触ICカード100/110の判別処理などが簡略化される。
カードアプリケーション203Aは、アプリケーションプログラム205Aにこれを一意的に識別するための固定値のアプリケーションID204Aが付加されたソフトウェアであって、所定の応用分野での特定のサービスを提供するアプリケーションプログラム205Aがかかるカードアプリケーション203Aとして情報蓄積部102Aに蓄積される。制御装置120は、その応用分野のアプリケーションプログラム205A、従って、カードアプリケーション203Aを指定するとき、そのアプリケーションID204を用いる。ここで、制御装置120が特定のカードアプリケーション203Aを選択方法としては、例えば、ISO7816で規定されているICカードコマンドであるSELECT FILEコマンドに選択したいカードアプリケーション203AのアプリケーションID204Aを付加して送信する方法が採られる。
そこで、例えば、制御装置120をPOS端末とし、マルチアプリケーションカード100Aの情報蓄積部102Aに蓄積されている複数のカードアプリケーション203Aのうちの1つがPOS端末用のソフトウェアとすると、このPOS端末としての制御装置120がこのマルチアプリケーションカード100Aのカード論理ID202AとこのPOS端末用のカードアプリケーション203のアプリケーションID204Aを送信すると、このマルチアプリケーションカード100AのこのPOS端末用のカードアプリケーション203が選択されることになる。
なお、マルチアプリケーションカード100Aには、アプリケーションプログラム205Aの応用分野に関する情報が格納されていない。従って、マルチアプリケーションカード100Aの搭載情報からは、これに搭載されている各カードアプリケーション203Aの応用分野を識別することはできない。
また、図1では、マルチアプリケーションカード100Aについてのみ、カード固有ID,カード論理ID,アプリケーションID,アプリケーションプログラム,カードアプリケーションを夫々符号201A,202A,204A,205A,203Aで図示しているが、マルチアプリケーションカード100Bについても、これらを夫々符号201B,202B,204B,205B,203Bで表現することにする。マルチアプリケーションカード100A,100B両方のこれらをいう場合には、夫々の符号を数値だけの符号201,202,204,205,203で表わすことにする。
次に、ディレクトリカード110の内部構成の一具体例について説明する。
ディレクトリカード110は、非接触通信部111と情報蓄積部112と情報処理部113とアンテナコイル114とを備えている。非接触通信部111は、マルチアプリケーションカード100A,100Bでの非接触通信部101Aと同様、アンテナコイル114を用いて制御装置120と非接触通信を行なう。また、情報処理部113も、マルチアプリケーションカード100A,100Bでの情報処理部103Aのように、情報の処理やディレクトリカード110全体の制御を行なう。
情報蓄積部112は、マルチアプリケーションカード100A,100Bでの情報蓄積部103のように、例えば、ROMやRAM,フラッシュメモリなどの半導体メモリから構成されており、情報処理部113が実行するプログラムや処理する情報を、その情報などに応じて一時的あるいは永続的に、記憶保持するものであって、この情報蓄積部112に記憶される情報としては、このディレクトリカード110とセットをなすマルチアプリケーションカード(ここでは、マルチアプリケーションカード100A,100B)でのカードアプリケーション203A,203Bに関する情報を記述したディレクトリテーブル214などがある。
ここで、情報蓄積部112に格納している情報の詳細について説明する。
情報蓄積部112には、ディレクトリカード110とセットをなすマルチアプリケーションカード100A,100Bに搭載されているカードアプリケーション203A,203Bに関する情報が応用分野毎に区分されて、ディレクトリテーブル214として記憶されている。ここでは、1つの応用分野でのディレクトリテーブル214を示しているが、このディレクトリテーブル214は、該当する応用分野を識別するための応用分野ID211と、ディレクトリカード110を一意に識別するための固定値としてのカード固有ID212と、ディレクトリカード110が活性化されたときに、これを識別するために制御装置120によって動的に割り当てられるカード論理ID213とが付加されている。
ディレクトリテーブル214は、マルチアプリケーションカード100A,100Bに搭載されたカードアプリケーション203のうち、このディレクトリテーブル214に付加された応用分野IDに該当した応用分野のカードアプリケーション203に関する情報(即ち、ディレクトリレコード215)の全てからなるものであり、このディレクトリレコード215は、このカードアプリケーション203でのアプリケーションID204を表わすアプリケーションID216と、このカードアプリケーション203を搭載したマルチアプリケーションカード100Aまたは100Bのカード固有ID201A,201Bを表わすカード固有ID217とからなるものである。
このようなディレクトリテーブル214が分野毎に作成されて、情報蓄積部112に蓄積されている。なお、ここでは、カード固有ID212とカード論理ID213とは、各分野のディレクトリテーブル214毎に付加されているものとしたが、夫々1個ずつ情報蓄積部112に蓄積し、各分野のディレクトリテーブル214に共通に利用するようにしてもよい。
制御装置120は、ディレクトリカード110の存在を検出する場合、RF動作磁界でもってカード固有ID212とともに応用分野ID211を送信する。制御装置120がディレクトリカード110の存在を検出する方法としては、例えば、ISO14443規格で規定されているREQBコマンドを用いる。
なお、ここでは、ディレクトリカード110が応用分野毎にディレクトリテーブル214を搭載しているものとするが、応用分野毎に別々のディレクトリカード110が設けられているようにしてもよい。この場合でも、これら複数のディレクトリカードとマルチアプリケーションカード100A,100Bとが1セットのカード群となる。
次に、制御装置120の内部構成の一具体例について説明する。
制御装置120は、非接触通信部121と情報蓄積部122とユーザ操作部123と外部機器通信部124と情報処理部125とアンテナコイル126とを備えた構成をなしている。これらアンテナコイル126や非接触通信部121,情報処理部125が上記のリーダライタを構成する。
非接触通信部121は、アンテナコイル126を用いてRF動作磁界を発生し、それによって非接触ICカード100/110に電力を伝送し、また、動作磁界をコマンドや情報で変調することにより、非接触通信を行なうものである。情報蓄積部122は、非接触ICカード100/110から取得した情報、ユーザがユーザ操作部123でもって入力した情報、この制御装置120の応用分野を表わす応用分野ID、特定のサービスを提供するためのアプリケーションプログラムを表わすアプリケーションID221あるいはプログラムなどを、かかる情報に応じて一時的あるいは永続的に、蓄積するものであって、例えば、ハードディスクや半導体メモリなどから構成される。ユーザ操作部123は、ディスプレイや操作キーなどから構成され、ユーザに制御装置120の状態を通知したり、ユーザが制御装置120を操作したりするためのものである。外部機器通信部124は、図示しないネットワークを介して外部機器と通信を行なうものである。情報処理部125は、マイクロプロセッサなどを用い、情報蓄積部122に格納されているプログラムを実行することにより、情報の処理や制御装置120全体の制御を行なうものである。
ここで、マルチアプリケーションカード100A,100Bのいずれかが提供するサービスを受けることができる場合には、そのマルチアプリケーションカード100Aまたは100Bに、制御装置の情報蓄積部122に格納されているアプリケーションID221と等しいアプリケーションID204のアプリケーションプログラム205が搭載されていることになる。
情報蓄積部122には、アプリケーションID221を複数個格納されている。アプリケーションID221は、制御装置120が、自身が発生するRF動作磁界の受信可能領域内に非接触ICカード100/110が挿入された場合に、選択したいカードアプリケーションの識別子である。ここで、前述したように、制御装置120が、特定のカードアプリケーションを選択方法としては、例えばISO7816で規定されているICカードコマンドであるSELECT FILEコマンドで選択したいカードアプリケーションのアプリケーションIDを指定して、活性化しているICカードに送信する。
次に、制御装置120の応用分野に利用するカードアプリケーション203を選択するための本発明の動作の一具体例について説明するが、まず、図2により、制御装置120がディレクトリカード110からこのカードアプリケーション203を搭載したマルチアプリケーション100Aまたは100Bを検出するための動作を説明する。
図2において、制御装置120では、まず、処理ステップS1001が開始し、情報処理部125が情報蓄積部122から応用分野ID211を取り込み、これを検出コマンド301に付加し、非接触通信部121に供給する。非接触通信部121はかかる検出コマンド301でRF動作磁界を変調し、アンテナコイル126を用いて送信する(以下では、かかる動作を非接触通信部121が送信するという。マルチアプリケーションカード100A,100Bやディレクトリカード110についても同様)。このRF動作磁界の受信可能領域内に在るディレクトリカード110では、非接触通信部111がアンテナコイル114でこの検出コマンド301を受信すると(以下では、かかる動作を非接触通信部111が受信するという。マルチアプリケーションカード100A,100Bや制御装置120についても同様)、情報処理部113が受信した応用分野ID211と情報蓄積部112に格納されている応用分野ID211と比較し、これらが一致すると、情報蓄積部112からカード固有ID212を読み取り、検出コマンド応答302に設定して、非接触通信部111により、アンテナコイル114からRF動作磁界で返信する。
ここで、制御装置120から送信される上記のRF動作磁界の受信可能領域内に存在するマルチアプリケーションカード110A,100Bも、上記の検出コマンド301を受信するが、この検出コマンド301には、応用分野ID211が設定されているだけであって、これらマルチアプリケーションカード110A,100Bはこの応用分野ID211に応答できないため、応答は返さない。
制御装置120は、ディレクトリカード110からの検出コマンド応答302を受信することにより、RF動作磁界の受信可能領域内にディレクトリカード110が存在していることを確認する。
ここで、検出コマンド301としては、例えば、ISO14443規格で規定されているREQBコマンドを使用することができる。また、検出コマンド応答302としては、同じくATQBコマンドを使用することができる。但し、これらコマンドとしては、他の仕様に準拠したコマンドフォーマットであってもよい。
制御装置120は、ディレクトリカード110を検出すると、次に、処理ステップS1001から処理ステップS1002の処理に移り、ディレクトリカード110の活性化を行なうために、非接触通信部121から活性化コマンド303をディレクトリカード110に送信する。この活性化コマンド303には、上記の受信したディレクトリカード110のカード固有ID212と、活性化された後のディレクトリカード110を識別するために使用するカード論理ID213とが付加されている。このカード論理ID213は、制御装置120が決定する。
ディレクトリカード110では、非接触通信部111でこの活性化コマンド303が受信されると、情報処理部113がこのディレクトリカード110を活性化する処理を行ない、しかる後、活性化コマンド応答310を制御装置120に返す。ここで、活性化コマンド301としては、例えば、ISO14443規格で規定されているATTRIBコマンドが使用されるが、他の仕様に準拠したコマンドフォーマットであってもよい。
制御装置120は、この活性化コマンド応答310を受信すると、処理ステップS1002から処理ステップS1003の処理に移り、処理ステップS1001で応用分野IDで指定したディレクトリテーブル214をディレクトリカード110から読み出すために、ディレクトリカード110にレコード読出しコマンド305を送信する。
レコード読出しコマンド305はディレクトリテーブル214でのディレクトリレコード215を読み出すためのものであり、このディレクトリカード110を指定するカード論理ID213とレコード番号311が付加されている。レコード番号311はディレクトリレコード215の通し番号であって、まず、ディレクトリテーブル214での最初のディレクトリレコード215を指定する通し番号「0」のレコード番号311が送信される。
ディレクトリカード110では、このレコード読出しコマンド305が非接触通信部111で受信されると、情報処理部113が情報蓄積部112のディレクトリテーブル214から受信した「0」のレコード番号311の、従って、最初のディレクトリレコード215を読み取り、これをレコード読み出しコマンド応答306に付加して制御装置120に送信する。
ここで、レコード読出しコマンド305としては、例えば、ISO7816規格で規定されているREAD RECORDコマンドを使用する。また、このREAD RECORDコマンドを非接触通信で送信するために、ISO14443規格で規定されている伝送プロトコルを用いるが、他の仕様に準拠したコマンドフォーマットであってもよい。
制御装置120では、ディレクトリカード110からのレコード読み出しコマンド応答306を非接触通信部121で受信すると、処理ステップS1003から処理ステップS1004の処理に移り、情報処理部125がそのとき受信したディレクトリレコード215のカード固有ID216が情報蓄積部122に格納されているアプリケーションID221と比較し、これらが一致していれば、これと同時に受信したディレクトリテーブル214のカード固有ID216により、このアプリケーションID221のカードアプリケーション203を搭載しているマルチアプリケーションカード100Aまたは100Bを認識する。また、受信したディレクトリレコード215のアプリケーションIDが情報記憶部122のアプリケーションID221と一致しないときには、このアプリケーションID221のカードアプリケーション203を搭載しているマルチアプリケーションカードが見つからないとして、処理ステップS1003に戻る。
このように処理ステップS1003に戻ると、制御装置120では、情報処理部125がディレクトリカード110のディレクトリテーブル214での次のディレクトリレコード215を指定する次の「1」のレコード番号311を、ディレクトリカード110のカード論理ID213とともに、レコード読み出しコマンド305に付加してディレクトリカード110に送信する。そして、ディレクトリカード110から次のディレクトリレコード215が送られてくると、情報蓄積部122に蓄積されているアプリケーションID221と一致するか否かを判定し(処理ステップS1004)、このアプリケーションID221と一致するアプリケーションID217のディレクトリレコード215を取得するまで、処理ステップS1003,S1004の動作を繰り返してディレクトリカード110のディレクトリテーブル214でのディレクトリレコード215を順番に読み出していく。そして、アプリケーションID221と一致するアプリケーションID217のディレクトリレコード215を取得した場合には、あるいはディレクトリテーブル214での全てのディレクトリレコード215を読み出しても、アプリケーションID221と一致するアプリケーションID217のディレクトリレコード215を取得できない場合には、この図2に示す動作を終了する。後者の場合、マルチアプリケーションカード100A,100Bは制御装置120に使用できないことになる。
以上の処理により、特定のサービスを提供するアプリケーションID221のカードアプリケーション203を搭載したマルチアプリケーションカード100Aまたは100Bを判定することができる。
以下では、かかるカードアプリケーション203を搭載したマルチアプリケーションカードをマルチアプリケーションカード100Aとするが、次に、このマルチアプリケーションカード100Aから上記のアプリケーションID221に一致するアプリケーションID204のカードアプリケーション203を起動させるための処理動作について、図3により説明する。
図3において、まず、制御装置120は、処理ステップS1101の処理を開始し、図2に示した処理動作で判定された情報蓄積部122に格納されているアプリケーションID221と一致するアプリケーションID204Aのカードアプリケーション203Aを搭載したマルチアプリケーションカード100Aが、この制御装置120が発生するRF動作磁界の受信可能な領域内に存在するか否かを判定するために、非接触通信部121から検出コマンド401を送信する。この検出コマンド401では、この制御装置120の応用分野IDは指定しない。
この検出コマンド401はマルチアプリケーションカード100A,100Bのいずれにでも受信されるが、そのいずれかが応答を返信する。このようにいずれかが返答を返信するようにすることは、例えば、検出コマンド401としてISO14443規格で規定されているREQBコマンドを用いると、REQBコマンドを用いた衝突防止の手続きにより実現でき、応答の衝突を防止することが可能となる。ここでは、マルチアプリケーションカード100Bの方が先に検出コマンド応答402を制御装置120に返すものとしている。なお、検出コマンド応答402には、返信したマルチアプリケーションカード、この場合、マルチアプリケーションカード100Bのカード固有ID201Bが設定されている。
制御装置120では、マルチアプリケーションカード100Bからの検出コマンド応答402を非接触通信部121で受信すると、情報処理部125はこれに設定されているこのマルチアプリケーションカード100Bのカード固有ID201Bを抽出し、情報蓄積部122に格納されているアプリケーションID221と一致するか否かを判定する。この場合には、両者は一致しないから、このマルチアプリケーションカード100BはアプリケーションID221と一致するアプリケーションID204Aのカードアプリケーション203Aを搭載していないと判定し、次の検出コマンド403を非接触通信部121から送信する。この検出コマンド403に対しては、マルチアプリケーションカード100Aが応答して、その固有ID201Aを設定した検出コマンド応答404を制御装置120に返信する。
制御装置120では、非接触通信部121でこの検出コマンド応答404が受信されると、情報処理部125は、この検出コマンド応答404に付加されたカード固有ID201Aと情報蓄積部122のアプリケーションID221とを比較し、この場合には、これらが一致しているので、このアプリケーションID221と一致するアプリケーションID204Aのカードアプリケーション203Aを搭載したマルチアプリケーションカード100Aが制御装置120が発生するRF動作磁界を受信可能な領域内に存在すると判定する。
これにより、処理ステップS1101が終了して次の処理ステップS1101に移る。
そこで、制御装置120は、このマルチアプリケーションカード100Aを活性化するために、活性化コマンド405をマルチアプリケーションカード100Aに送信する。活性化コマンド405には、マルチアプリケーションカード100Aのカード固有ID201Aとカード論理ID202Aとが設定される。このカード論理ID202Aは制御装置120によって決定されたものである。ここで、活性化コマンド405としては、例えば、ISO14443規格で規定されているATTRIBコマンドを使用するが、他の仕様に準拠したコマンドフォーマットであってもよい。
マルチアプリケーションカード100Aでは、非接触通信部101Aで活性化コマンド405を受信すると、情報処理部103Aが活性化処理を行ない、非接触通信部101Aから制御装置120に活性化コマンド応答406を返す。
次に、制御装置120は、この活性化コマンド応答406を受信すると、処理ステップS1102から処理ステップS1103の処理に移り、上記のアプリケーションID221に一致するアプリケーションID204Aのカードアプリケーション203Aを選択するために、マルチアプリケーションカード100Aに選択コマンド407を送信する。選択コマンド407には、このカードアプリケーションカード100AのアプリケーションID204A(これは、制御装置120でのアプリケーションID221と一致する)とカード論理ID202Aが付加されている。
マルチアプリケーションカード100Aでは、非接触通信部101Aでこの選択コマンド407を受信すると、情報処理部103Aは、このアプリケーションID204Aのカードアプリケーション203Aのアプリケーションプログラム205Aを起動し、しかる後、選択コマンド応答408を非接触通信部101Aから制御装置120に返す。制御装置120は、これを受信して処理ステップS1103の処理を終了する。
ここで、選択コマンド407としては、例えば、ISO7816規格で規定されているSELECT FILEコマンドを使用する。また、このSELECT FILEコマンドを非接触通信で送信するために、ISO14443規格で規定されている伝送プロトコルを用いるが、他の仕様に準拠したコマンドフォーマットであってもよい。
以上の処理により、制御装置120は、利用したいカードアプリケーション203Aを的確に選択することが可能になり、マルチアプリケーションカード100Aでは、この選択されたカードアプリケーション203Aを用いて特定のサービスを提供するための所定の処理を行なうことができる。
なお、この第1の実施形態では、ディレクトリカード110はマルチアプリケーションカード100A,100Bとは独立したICカードとしたが、マルチアプリケーションカード100A,100Bのいずれか一方または双方にディレクトリカード110の機能も持たせるようにしてもよい。この場合には、ディレクトリカード110が搭載する応用分野ID211やディレクトリテーブル214がマルチアプリケーションカード110A,100Bの情報蓄積部102に格納され、かかるマルチアプリケーションカード110A,100Bがディレクトリカードとしても動作することになる。
図4は本発明による携帯端末及び通信システムの第2の実施形態を示す構成ブロック図であって、500は携帯端末、501,511A,511B,521はアンテナコイル、512A,512B,522は電波吸収体であり、図1に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
同図において、この第2の実施形態は、マルチアプリケーションカードが収納された携帯端末500と制御装置120との間で、RF動作磁界による非接触通信を行なうものである。この制御装置120は、図1に示す第1の実施形態での制御装置120と同様のものである。
携帯端末500は、マルチアプリケーションカード100A,とディレクトリカード110を収納可能に構成されている。ここで、これら非接触ICカード100/110は、図1における非接触ICカード100/110と同じものである。この携帯端末500には、収納されたマルチアプリケーションカード100Aのアンテナコイル104A(図1)と非接触通信可能にアンテナコイル511Aが設けられ、同様に、収納されたマルチアプリケーションカード100Bのアンテナコイル104B(図1)と非接触通信可能にアンテナコイル511Bが、収納されたディレクトリカード110のアンテナコイル114(図1)と非接触通信可能にアンテナコイル521が夫々設けられている。そして、これらアンテナコイル511A,511B,521はともに、アンテナコイル501と電気的に接続される。このアンテナコイル501が制御装置120と非接触通信を行なうものである。
また、この携帯端末500内では、マルチアプリケーションカード100Aが収納されると、アンテナコイル511とともに電波吸収体512Aで覆われる。同様にして、マルチアプリケーションカード100Bは、アンテナコイル511Bとともに、電波吸収体512Bで覆われ、ディレクトリカード110も、アンテナコイル521とともに、電波吸収体522で覆われる。これら電波吸収体511A,511B,522は電磁波を吸収する遮蔽板であり、例えば、フェライトや抵抗膜を用いることで実現できる。これにより、マルチアプリケーションカード100Aとアンテナコイル511Aとの間でRF動作磁界による非接触通信が行なわれるが、電波吸収体512Aにより、この磁界の他のアンテナコイルへの漏れが遮断される。同様にして、マルチアプリケーションカード100Aとアンテナコイル511Aとの間で非接触通信するために発生するRF動作磁界も、電波吸収体512Bにより、他のアンテナコイルへの漏れが遮断され、ディレクトリカード110とアンテナコイル522との間で非接触通信するために発生するRF動作磁界も、電波吸収体522により、他のアンテナコイルへの漏れが遮断される。
制御装置120も、図1における制御装置120と同様の構成をなしており、この制御装置120のアンテナコイル126からRF動作磁界が発生すると、このRF動作磁界の受信可能範囲内に携帯端末500が存在するとき、この携帯端末500のアンテナコイル501でこのRF動作磁界が受信され、その受信信号はアンテナコイル512A,512B,522に同時に供給される。このため、これらアンテナコイル512A,512B,522は同時にRF動作磁界を発生し、夫々マルチアプリケーションカード100A,100Bとディレクトリカード110で受信される。
携帯端末500に1セットをなすマルチアプリケーションカード100A,100Bとディレクトリカード110とが収納されているときには、制御装置120が発生したRF動作磁界がアンテナコイル501で受信されると、アンテナコイル511AでRF動作磁界が発生してマルチアプリケーションカード100Aと通信が行なわれる。また、これと同時に、アンテナコイル511BでRF動作磁界が発生してマルチアプリケーションカード100Bと通信が行なわれるし、アンテナコイル521でRF動作磁界が発生してディレクトリカード110と通信が行なわれる。ここで、マルチアプリケーションカード100Aがアンテナコイル511Aとともに電波吸収体512A内に収納されているので、マルチアプリケーションカード100Aとアンテナコイル511Aとの間に発生するRF動作磁界は、電波吸収体512Aの外部に漏れることがない。同様に、マルチアプリケーションカード100Bがアンテナコイル511Bとともに電波吸収体512B内に収納されているので、マルチアプリケーションカード100Bとアンテナコイル511Bの間に発生するRF動作磁界が電波吸収体512Bの外部に漏れることがないし、ディレクトリカード110がアンテナコイル521とともに電波吸収体522内に収納されているので、ディレクトリカード110とアンテナコイル521との間に発生するRF動作磁界が電波吸収体522の外部に漏れることがない。
図5は図4における携帯端末500の一具体例を示す断面斜視図であって、531A,531B,532はカード収納部であり、図4に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
同図において、携帯端末500には、この場合、3個のカード収納部531A,531B,532が階層状に設けられており、夫々の、例えば、図面上手前側にカード挿入口が設けられている。カード収納部531Aには、その内面全体に電波吸収体512Aが密着固定され、カード収納部531B,532でも夫々、それらの内面全体に電波吸収体512B,521が密着固定されている。
また、カード収納部531内では、その上面部分の電波吸収体512Aにアンテナコイル511Aが固定して設けられ、同様に、カード収納部531B,532内でも、夫々の上面部分の電波吸収体512B,522にアンテナコイル511B,521が固定して設けられている。これらアンテナコイル511A,511B,522は、携帯端末500に内蔵のアンテンコイル501と電気的に接続されている。
カード収納部531A,531B,532の、図面上、横幅は夫々、マルチアプリケーションカード100A,100Bやディレクトリカード110の横幅よりも若干大きく(これら非接触ICカード100/110のサイズは全て等しい)、図示しないカード挿入口からマルチアプリケーションカード100A,100Bやディレクトリカード110を挿入することができ、排出することができる。カード収納部531A,531B,532に対しては、挿入する非接触ICカード100/110が決められているものではなく、カード収納部531Aにマルチアプリケーションカード100A,100Bやディレクトリカード110のいずれを挿入してもよいし、カード収納部531B,532も、マルチアプリケーションカード100A,100Bやディレクトリカード110のいずれを挿入してもよい。図5では、カード収納部531Aにマルチアプリケーションカード100Aが、カード収納部531Bにマルチアプリケーションカード100Bが、カード収納部532にディレクトリカード110が夫々収納されている状態を示している。
カード収納部531Aには、非接触ICカード100/110が、そのアンテナコイル104A,104B,114(図1)側が内蔵のアンテナコイル511A側となるように、挿入される。挿入されて状態では、非接触ICカード100/110はこのアンテナコイル511Aと密着した状態となっている。例えば、カード収納部531Aに挿入されたアプリケーションカード100Aは、内蔵のアンテナコイル511Aと密着した状態となっている。これにより、アプリケーションカード100Aのアンテナコイル104Aは、このカード収納部531Aに内蔵のアンテナコイル511Aと互いに近接した位置関係に設定されることになる。他のカード収納部531B,532についても、同様である。
この第2の実施形態も動作も、図1に示す第1の実施形態と同様であって、図2及び図3に示されるものである。
以上の構成により、マルチアプリケーション100A,100Bやディレクトリカード110に作用するRF動作磁界を互いに分離させることができ、これらRF動作磁界が互いに干渉しあって正常に無線通信が行なえなくなるのを防止することが可能になる。また、同じRF動作磁界に複数枚の非接触ICカードを作用させた場合に、それぞれの非接触ICカードのアンテナコイルが、他の非接触ICカードのアンテナコイルと干渉して、正常に無線通信が行えなくなるという問題も解決することが可能である。
ここで、この第2の実施形態では、携帯端末500に2枚のマルチアプリケーションカードが格納可能としてたが、任意の枚数のマルチアプリケーションを格納可能にすることができるし、また、携帯端末500は、携帯電話やPDAなどの機能を合わせ持っていても良いし、あるいは様々なカードを収納できる財布などのケースとして実現してもよい。
図6は本発明による通信システムの第3の実施形態を示す構成ブロック図であって、600は携帯端末、601はアンテナコイル、602は外部非接触通信部、603は内部非接触通信部、604は情報蓄積部、605は情報処理部、606はアンテナコイル選択部、611A,611Bはアンテナコイル、612A,61Bは電波吸収体であり、前出図面に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
同図において、この第3の実施形態も、携帯端末600と制御装置120との間で、RF動作磁界による非接触通信を行なうものである。この制御装置120は、先の各実施形態での制御装置120と同様のものである。
携帯端末600においても、図4及び図5に示した第2の実施形態の携帯端末500と同様、2枚のマルチアプリケーションカード100Aとマルチアプリケーションカード100Bとを夫々挿入可能とするものであって、挿入されたマルチアプリケーションカード100Aは、これと非接触通信を行なうアンテナコイル611Aとともに、電波吸収体612Aで覆われ、挿入されたマルチアプリケーションカード100Bも、これと非接触通信を行なうアンテナコイル611Bとともに、電波吸収体612Bで覆われて、マルチアプリケーションカード100Aとマルチアプリケーションカード100Bとの間の干渉が防止されるようにしている。これら電波吸収体612A,612Bも、図4における電波吸収体511Aなどと同様である。これらアンテナコイル611A,611Bは、アンテナコイル選択部606によっていずれか一方が選択されて内部非接触通信部603と電気的に接続される。
このように、この携帯端末600で使用されるマルチアプリケーションカード100A,100Bも、図1に示したマルチアプリケーションカード100A,100Bと同様の構成をなすものであり、また、制御装置120も、図1での制御装置120と同様の構成をなすものである。
外部非接触通信部602は、アンテナコイル601を用いて、制御装置120が発生するRF動作磁界により、制御装置120と非接触通信を行なう。内部非接触通信部603は、アンテナコイル選択部606がアンテナコイル611Aを選択したときには、このアンテナコイル611AにRF動作磁界を発生させてマルチアプリケーションカード100Aと非接触通信を行ない、また、アンテナコイル選択部606がアンテナコイル611Bを選択したときには、このアンテナコイル611BにRF動作磁界を発生させてマルチアプリケーションカード100Bと非接触通信を行なう。アンテナコイル選択部606は、情報処理部605の制御により、アンテナコイル611Aとアンテナコイル611Bとのいずれか一方を選択するものである。
情報蓄積部604は、プログラムや情報を、その情報などに応じて一時的あるいは永続的に、記憶保持する機能を有し、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory),フラッシュメモリなどの半導体メモリから構成されている。情報処理部605は、マイクロプロセッサなどを用いて情報蓄積部604に格納されているプログラムを実行し、情報の処理やこの携帯端末600全体の制御を行なうものである。
ここで、情報蓄積部604に格納されている情報について説明する。
この携帯端末600は、挿入されたアプリケーションカード100A,100Bに搭載されているカードアプリケーションによって提供される特定のサービスを受けることができるものであって、情報蓄積部604には、これらの応用分野毎に、応用分野ID701と端末固有ID702と端末論理ID703とディレクトリテーブル704の各情報が格納されている。応用分野ID701は携帯端末600がサービスを受けることができる応用分野の識別子であり、端末固有ID702はこの携帯端末600を一意に識別するための固定値であり、端末論理ID703は携帯端末600を活性化したときに、制御装置120により、動的に割り当てられる値である。ディレクトリテーブル704は、マルチアプリケーションカード100A,100Bが搭載しているこの応用分野IDに該当する応用分野のカードアプリケーションに関する情報であるディレクトリレコード705からなるものである。応用分野が異なるカードアプリケーションに関するディレクトリレコードは、別の応用分野IDのディレクトリテーブルに格納される。
ディレクトリレコード705は、アンテナコイルID706とカード固有ID707とカード論理ID708とアプリケーションID709とからなるものであって、カードアプリケーションとそのカードアプリケーションが格納されているマルチアプリケーションカードとを関連付けているものであり、アンテナコイルID706はアンテナコイル611A,611Bを識別するための値であり、マルチアプリケーションカードと通信可能なアンテナコイルを判別できるようにしている。例えば、ディレクトリレコード705がマルチアプリケーションカード100Aに該当するものであるときには、そのアンテナコイルID706は、このマルチアプリケーションカード100Aと非接触通信できるアンテナコイル611Aに対するものである。なお、情報処理部605は、このアンテナコイルID706に基づいて、アンテナコイル選択部606にアンテナコイル611A,611Bのいずれかを選択させる。
このように、情報蓄積部604は、先の実施形態でのディレクトリカードの機能を持たせたものであり、かかるディレクトリカードを使用しなくともよいようにしている。
制御装置120は、携帯端末600を活性化した後、情報蓄積部604のディレクトリテーブル704を読み出すことにより、選択したいカードアプリケーションを格納しているマルチアプリケーションカードのカード固有ID707を取得することが可能になる。
図7はこのように制御装置120が所望とするカードアプリケーションを選択するための処理の一具体例を示すフローチャートである。ここでは、この携帯端末600には、図1に示したアプリケーションカード100A,10Bが挿入されており、制御装置120がこのマルチアプリケーションカード100Aに格納されているカードアプリケーション203A(図1)を選択するものとして説明する。なお、図1に示したように、マルチアプリケーションカード100Aはカード固有ID201Aで一意に識別され、また、そのカードアプリケーション203AはアプリケーションID204Aで一意に識別される。
図7において、制御装置120は、まず、処理ステップS1201を開始して検出コマンド701を送信する。
携帯端末600では、検出コマンド701がアンテナコイル601から外部非接触通信部602で受信され、情報処理部605により、処理ステップS1301の処理が開始して、情報蓄積部604に格納されているディレクトリテーブル704の中から最初のディレクトリレコード705のカードID707を取り出して検出コマンド応答702に付加し、外部非接触通信部602から制御装置120に返信する。
制御装置120は、この検出コマンド応答702を受信し、これに付加されているカード固有ID707を判定するが、このカード固有ID707がマルチアプリケーションカード100Bのカード固有IB201Bとすると、求めるカード固有ID201Aでないので、再び検出コマンド703を送信する。
携帯端末600では、上記と同様にして、この検出コマンド703が受信され、情報処理部605が再び情報蓄積部604のディレクトリテーブル704から次のディレクトリレコード705のカード固有ID707を読み取り、検出コマンド応答704に付加して制御装置120に返信する。
制御装置120は、この検出コマンド応答702を受信し、これに付加されているカード固有ID707を判定するが、このカード固有ID707が求めるマルチアプリケーションカード100Aのカード固有IB201Aとすると、処理ステップS1201から処理ステップS1202の処理に移って、活性化コマンド705を携帯端末600に送信する。このようにして、求めるマルチアプリケーションカード100Aのカード固有ID201Aが得られなければ、これが得られるまで、制御装置120は検出コマンド701の送信を繰り返す。
活性化コマンド705には、取得したマルチアプリケーションカード100Aのカード固有ID201Aと、制御装置120がこのときにマルチアプリケーションカード100Aに対して割り当てたカード論理ID202Aとが付加されている。
携帯端末600では、この活性化コマンド705が外部非接触通信部602で受信されると、処理ステップS1301から処理ステップS1302に移って、情報処理部605が、まず、受信したカード論理ID202Aを情報蓄積部604のディレクトリテーブル704でのカード固有ID707としてカード固有ID201Aを格納しているディレクトリレコード705に保存する。
そして、情報処理部605は、このカード固有ID201Aを格納しているディレクトリレコード705のアンテナコイルID706を取り込み、このアンテナコイルID706からマルチアプリケーションカード100Aと非接触通信可能なアンテナコイル611Aを識別し、アンテナコイル選択部606にこのアンテナコイル611Aを選択させる。しかる後、情報処理部605は、内部非接触通信部603を介して、このアンテナコイル611Aからマルチアプリケーションカード100Aに検出コマンド706を送信する。
これに対して、マルチアプリケーションカード100Aは自身のカード固有ID201Aを付加した検出コマンド応答707をアンテナコイル611Aに送信する。情報処理部605は、これを受信すると、受信したカード固有ID201Aにより、マルチアプリケーション100Aからの返信であることを確認し、このマルチアプリケーション100Aのカード固有ID201Aと先に制御装置120から取得してディレクトリレコード705にカード論理ID708として格納したこのマルチアプリケーションカード100Aのカード論理ID202Aとを付加した活性化コマンド708を、内部非接触通信部603を介してアンテナコイル611Aからマルチアプリケーションカード100Aに送信する。この場合でも、情報処理部605は、ディレクトリテーブル704でのカード固有ID707がマルチアプリケーションカードのカード固有ID201Aであるディレクトリレコード705内のアンテナコイルID706を確認し、このアンテナコイルID706に基づいて、これに該当するアンテナコイル611Aをアンテナコイル選択部606で選択させることにより、アンテナコイル611Aとマルチアプリケーションカード100Aとで通信可能とし、しかる後、上記の活性化コマンド708をマルチアプリケーションカード100Aに送信する。
このように、内部非接触通信部603からマルチアプリケーション100Aまたは100Bにコマンドを送信する場合には、その送信毎に、ディレクトリテーブル704での該当するディレクトリレコード705のアンテナコイルID706により、アンテナコイル611A,611Bのうちの該当する方を確認する処理が行なわれる。
情報処理部605は、この活性化コマンド708に対して、マルチアプリケーションカード100Aから活性化コマンド応答713を内部非接触通信部603を介して受信すると、外部非接触通信部602から活性化コマンド応答710を制御装置120に返信し、処理ステップS1302の処理を終了する。
制御装置120は、この活性化コマンド応答710を受信すると、処理ステップS1202から処理ステップS1203の処理に移り、マルチアプリケーションカード100Aに選択コマンド711を送信する。この選択コマンド711には、選択したいカードアプリケーションのアプリケーションID204Aとカード論理ID202Aが付加されている。
携帯端末600ではは、この選択コマンド711が外部非接触通信部602を介して受信されると、処理ステップS1303の処理が開始し、情報処理部605が、まず、情報蓄積部604のディレクトリテーブル704から受信したカード論理ID202Aに等しいカード論理ID708を格納しているディレクトリレコード705のアンテナコイルID706を取り込み、マルチアプリケーションカード100Aと非接触通信可能なアンテナコイル611Aを確認して、アンテナコイル選択部606にこのアンテナコイル611Aを選択させ、しかる後、マルチアプリケーションカード100Aに選択コマンド712を内部非接触通信部603を介して送信する。この選択コマンド712にも、マルチアプリケーションカード100Aのカード論理ID202Aと上記のアプリケーションID204Aとが付加されている。
そこで、このマルチアプリケーションカード100では、受信した選択コマンド712に付加されているアプリケーションID204Aのアプリケーションプログラム205Aが起動し、これによって特定のサービスが提供される状態となる。かかる状態になると、このマルチアプリケーションカード100Aは選択コマンド応答713をアンテナコイル611Aに送信し、情報処理部605に対して返信する。情報処理部605は、この選択コマンド応答713を取得すると、選択コマンド応答714を外部非接触通信部602から制御装置120に送信する。これにより、携帯端末600では、処理ステップS1303の処理が終了する。また、制御装置120は、この選択コマンド応答714を受信すると、処理ステップS1203の処理を終了し、特定のサービスが提供される動作に移る。
以上の処理動作により、制御装置120は携帯端末600に収納されているマルチアプリケーションカード100Aから求めるカードアプリケーション203Aを的確に選択することが可能になる。
ここで、非接触ICカードの通信規格ISO14443では、通信方式としてTypeAとTypeBの2種類が規定されており、同じ周波数帯のRF動作磁界を用いているが、ビット符号化方式やカード活性化のためのコマンドフォーマットが異なっている。この第3の実施形態では、TypeA,Bあるいはその他の通信方式の非接触ICカードを混在して携帯端末600に収納しても、適用可能であり、この場合には、外部非接触通信部602と内部非接触通信部603とは複数種類の非接触ICカード通信方式に対応するものであって、外部非接触通信部602が制御装置120が使用している通信方式を検出して情報処理部605に伝え、情報処理部605は、この検出した通信方式で非接触ICカード通信を行なうように、内部非接触通信部603に指示すればよい。
図8は本発明による通信システムの第4の実施形態を示す構成ブロック図であって、800は携帯端末、801はアンテナコイル、802は外部非接触通信部、803は内部非接触通信部、804は内部接触通信部、805は情報蓄積部、806は情報処理部、811Bはアンテナコイル、812Bは電波吸収体、900Aはマルチアプリケーションカード、901Aは接触通信部、902Aは情報蓄積部、903Aは情報処理部であり、前出図面に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
同図において、この第4の実施形態も、携帯端末800と制御装置120との間で、RF動作磁界による非接触通信を行なうものである。、この制御装置120は、先の各実施形態での制御装置120と同様のものである。
携帯端末800は、アンテナコイル801によって制御装置120と非接触通信を行なう外部非接触通信部801と、図6における情報蓄積部604と同様、プログラムやデータを一時的あるいは永続的に格納し、ディレクトリテーブル704が格納された情報蓄積部604と、マイクロプロセッサ等を用いて情報蓄積部805に格納されているプログラムを実行することにより、情報の処理や携帯端末800全体の制御を行なう情報処理部806と、接触ICカードと接触通信する内部接触通信部804と、アンテナコイル811Bを用いて非接触ICカードと非接触通信する内部非接触通信部803とを備えている。
この携帯端末800では、接触通信機能を有する(以下、接触通信型という)マルチアプリケーションカード(接触ICカード)と非接触通信機能を有する(以下、非接触通信型という)のマルチアプリケーションカード(非接触ICカード)とを挿入して用いることができる。ここでは、接触通信型のマルチアプリケーションカード900Aと非接触通信型のマルチアプリケーションカード100Bとが携帯端末800に挿入されているものとしている。このマルチアプリケーションカード100Bは、先の各実施形態でのマルトアプリケーションカード100Bと同様のものである。接触通信型のマルチアプリケーションカード900Aは、接触ICカード用の収納部(図示せず)に挿入されると、内部接触通信部804と電気的に接続され、この内部接触通信部804との間で接触通信が可能となる。また、非接触通信型のマルチアプリケーションカード100Bは、非接触ICカード用の収納部(図示せず)に挿入されると、アンテナコイル811Bを介して内部非接触通信部803と非接触通信が可能となる。
ここで、携帯端末800での非接触ICカード用の収納部は、図5に示した収納部531Aなどと同様、例えば、フェライトや抵抗膜などの電波を吸収する材料からなる電波吸収体812Bが設けられており、この収納部にマルチアプリケーションカード100Bが挿入されると、アンテナコイル811Bとともに、このマルチアプリケーションカード100Bがこの電波吸収体812Bに覆われる。これにより、マルチアプリケーションカード100Bとアンテナコイル811Bとの間で非接触通信が行なわれるときのRF動作磁界の電波吸収体812B外への漏れを防止している。
次に、マルチアプリケーションカード900Aの内部構成の一具体例について説明する。
マルチアプリケーションカード900Aは、接触通信部901Aと情報蓄積部902Aと情報処理部903Aとを有している。接触通信部901Aは、携帯端末800との間で接触通信を行なう機能を有しており、例えば、ISO7816規格などで規定している通信方式を用いる。情報蓄積部902Aは、先の実施形態でのマルチアプリケーションカードと同様であって、プログラムやデータを一時的あるいは永続的に格納する機能を有し、図1でのマルチアプリケーションカード100Aでの情報蓄積部102Aのように、このマルチアプリケーションカード900Aのカード固有IDやカード論理ID,カードアプリケーションが格納されている。情報処理部903Aは、マイクロプロセッサ等を用いて情報蓄積部902Aに格納されているプログラムを実行することにより、情報の処理やマルチアプリケーションカード900A全体の制御を行なう。
情報蓄積部805では、図6における情報蓄積部604と同様、図6に示されるような応用分野ID701,端末固有ID702,端末論理ID703,ディレクトリテーブル704が格納されているが、このディレクトリテーブル704での接触通信型のマルチアプリケーションカード900Aに関するディレクトリレコード705では、アンテナコイル706の代わりに、内部接触通信部804のIDが用いられる。
なお、この携帯端末800に、図示するように、非接触通信型のマルチアプリケーションカード100Bと接触通信型のマルチアプリケーションカード900Aとが夫々1枚ずつしか挿入できない場合、あるいは、非接触通信型と接触通信型とのマルチアプリケーションカードが夫々複数枚ずつ挿入して使用できるような場合であって、夫々のICカード毎に内部非接触通信部、内部接触通信部が設けられている場合には、これらマルチアプリケーションカードが内部非接触通信部、内部接触通信部と対応付けられるものであるから、ディレクトリテーブル704(図6)の全てのディレクトリレコード705では、アンテナコイルIDの代わりに、かかる内部非接触通信部、内部接触通信部のIDを用いるようにしてもよい。
また、複数の非接触通信型のマルチアプリケーションカードに対して、図6に示す第3の実施形態のように、これらに共通の内部非接触通信部とアンテナコイル選択部とを設け、このアンテナコイル選択部で非接触通信型のマルチアプリケーションカードのいずれかを選択してこの共通の内部非接触通信部と非接触通信させる構成の場合には、これら非接触通信型のマルチアプリケーションカードのディレクトリコード705(図6)では、アンテナコイルID706が用いられる。
さらに、接触通信型のマルチアプリケーションカードを携帯端末800に挿入して使用可能な場合には、これに共通の内部接触通信部とカード選択部とを用い、このカード選択部で選択した接触通信型のマルチアプリケーションカードをこの共通の内部接触通信部に接続する構成とすることができるが、この場合のディレクトリテーブル704(図6)のこの接触通信型のマルチアプリケーションカードに関するディレクトリレコード705では、アンテナID706の代わりに、このカード選択部の接触通信型のマルチアプリケーションカード毎の接続端子の番号を表わすIDが用いられることになる。
この第4の実施形態での非接触通信型,接触通信型のマルチアプリケーションカードのカードアプリケーションの選択のための処理動作も、図7に示される第3の実施形態での動作と同様である。
以上の構成により、携帯端末800に、非接触通信型のマルチアプリケーションカードと接触通信型のマルチアプリケーションカードとを混在させて収納し、これらを用いて提供するサービスを取得することができる。また、制御装置120は、携帯端末800に収納されているマルチアプリケーションカードが接触通信型,非接触通信型のいずれのものであるかを意識することなく、任意のマルチアプリケーションカードのカードアプリケーションを的確に選択することが可能になる。