JP4528330B2 - マイクロポンプ及びマイクロ流体チップ - Google Patents

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Description

本発明は微小流量用マイクロポンプ及び該ポンプを使用するマイクロ流体チップに関する。更に詳細には、本発明は、操作性に優れた微小流量用マイクロポンプ及び該ポンプを着脱可能に配設することができるマイクロ流体チップに関する。
最近、マイクロ・トータル・アナリシス・システムズ(μTAS)又はラブ・オン・チップ(Lab-on-Chip)などの名称で知られるように、基板内にマイクロチャネルや反応容器及びポートなどの微細構造を設け、該微細構造内で物質の化学反応、合成、精製、抽出、生成及び/又は分析など各種の操作を行うように構成されたマイクロデバイスが提案され、一部実用化されている。このような目的のために製作された、基板内にマイクロチャネル、ポート及び反応容器などの微細構造を有する構造物は総称して「マイクロ流体チップ」又は単に「マイクロチップ」と呼ばれる。マイクロ流体チップの材質や構造及び製造方法は例えば、特許文献1及び特許文献2などに開示されている。
マイクロ流体チップ内のマイクロチャネルや反応容器では流体(主に薬液やサンプル等の液体)を扱うが、その為には流体の流れや移送を制御する機能が必要になる。特にマイクロ流体チップに内蔵した小さな機能部品は流体制御素子と呼ばれる。流体制御素子として一般的なものはマイクロバルブやマイクロポンプなどである。
マイクロ流体チップにおいて使用されるマイクロポンプの一例は特許文献3に記載されている。このマイクロポンプは、微小領域を通る電気的効果による膜通過流れを利用した微小流量用マイクロポンプである。図19に示されるように、特許文献3のマイクロポンプ200は、マイクロ流体チップ1の上面に載置されて使用されることがある。マイクロ流体チップ1におけるPDMS基板3には微細流路5とこの微細流路に連通したポート7及び9が形成されている。PDMS基板3の下面側には例えば、ガラス製の対面基板10が恒久接着されている。ポート7の上面に、マイクロポンプ100が載置されている。マイクロポンブ200は外殻203と、この外殻203に内蔵されたプラス電極205及びマイナス電極207とこの電極間に間挿された多孔質膜209とからなる。プラス電極205の上部は液体貯留空間211が形成されており、この液体貯留空間211内に液体を給送するためのチューブ213が適当な接着剤により固設されている。
図20は、図19に示されるプラス電極205及びマイナス電極207とこの電極間に間挿された多孔質膜209の分解斜視図である。多孔質膜209は実際には支持体217により支持されている。プラス電極205及びマイナス電極207にはそれぞれ円形の開口部219及び221が配設されている。この円形の開口部219及び221は、支持体217の円形の開口部すなわち多孔質膜209が流れに面する円形の領域と実質的に同じ半径を有し、全ての中心が同じ軸線上に位置している。
多孔質膜209前後の電極205,207間に直流数V〜数十V(例えば、5V〜15V)の電圧を印加すると、液体はプラス電極205側からマイナス電極207側に向かって流れる。従って、液体貯留空間211内の液体は多孔質膜を透過してポート7内に押し出される。この多孔質膜ポンプによる流量は0.02mm/s〜0.14mm/sの範囲内で変化させることができる。流量は印加電圧に概ね比例する。このようなマイクロポンプを使用することの利点は、脈流が発生しないことである。
図21は、図19に示されるような従来のマイクロポンブ200の或る使用例を示す部分概要断面図である。従来のマイクロポンプ200は、チューブ213から液体貯留空間211内に供給された駆動液223を用いて、ポート7内に予め充填されている別の試料液体225を微細流路5に押し出して送液する目的で使用されることがある。この場合、マイナス電極207の下部に存在するポート7との間の空間215内に駆動液223が満たされなければ、ポート7内の試料液体を微細流路5に押し出して送液することができない。空間215の容積にもよるが、前記のように多孔質膜ポンプによる流量は0.1μL/s〜100μL/s程度なので、空間215に駆動液223を満たすにはかなりの時間を要し、これが原因で分析作業の遅延を来すことがあった。
特開2000−27813号公報 特開2001−157855号公報 国際公開第2005/052379号パンフレット
従って、本発明の目的は、微小領域を通る電気的効果による膜通過流れを利用した微小流量用マイクロポンプの操作性を改善することである。
前記課題を解決するための手段としての請求項1の発明は、貫通中空部を有する外殻と、該中空部の内部に、該中空部を上下に2分するように配置された、プラス電極とマイナス電極の間に間挿された多孔質膜とからなり、前記多孔質膜を通る電気浸透流効果を利用した微小流量用マイクロポンプにおいて、
前記多孔質膜により2分された中空部の下部空間に連通する液体充填用バイパス流路が配設されており、かつ、前記下部空間から大気に連通する空気抜き流路が配設されていることを特徴とするマイクロポンプを提供する。
この発明によれば、前記マイクロポンプの外殻の多孔質膜により2分された中空部の下部空間に連通する液体充填用バイパス流路を介して駆動液などの液体類を迅速に下部空間内に充填することができる。この際、下部空間内の空気は空気抜き流路を経て大気に抜けていくので、駆動液などの液体類を下部空間に満たす際の障害にはならない。その結果、極めて短時間のうちに下部空間に駆動液などの液体類を充填することが可能となり、従来のマイクロポンプのように電圧を印加して長時間かけて下部空間に駆動液などの液体類を満たしていた緩慢で冗長な操作は不要になるので、マイクロポンプの操作性又は使い勝手が飛躍的に改善できる。
前記課題を解決するための手段としての請求項2の発明は、前記下部空間の内側に開口した前記空気抜き流路の入口の前記下部空間の底面からの高さが、前記下部空間の内側に開口した前記バイパス流路の出口の前記下部空間の底面からの高さ以上であることを特徴とする請求項1記載のマイクロポンプを提供する。
この発明によれば、液体充填用バイパス流路の下部空間出口の高さが空気抜き流路の下部空間入口の高さと同じか又はそれよりも高いので、下部空間内の空気を確実に空気抜き流路に誘導することができる。
前記課題を解決するための手段としての請求項3の発明は、前記バイパス流路は、前記外殻の外部か又は外殻の壁内に形成され、前記空気抜き流路は前記外殻の外部か又は外殻の壁内に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロポンプを提供する。
この発明によれば、バイパス流路を外殻の外部か又は外殻の壁内に形成し、空気抜き流路も外殻の外部か又は外殻の壁内に形成することができるので、都合の良い組合せを選択することができる。
前記課題を解決するための手段としての請求項4の発明は、前記外殻の外部に形成される前記バイパス流路は、前記外殻の下部空間に貫通して配設されたバイパス流路出口となる第2の穴と、下側端が該第2の穴に連通する第1の溝と、前記第2の穴及び前記第1の溝を遮蔽する第1の遮蔽シートとから構成されており、前記第1の溝は、前記外殻の外壁面上か、又は前記第1の遮蔽シートの接着面側の何れかに形成されており、前記第1の溝の上側端は、外殻の上部空間に貫通して配設され、かつ前記第1の遮蔽シートにより遮蔽される第1の穴に連通するか、又は、前記第1の遮蔽シートの上端で大気に連通しており、
前記外殻の外部に形成される前記空気抜き流路は、前記外殻の下部空間に貫通して配設された空気抜き流路入口となる第3の穴と、下側端が該第3の穴に連通する第2の溝と、前記第3の穴及び前記第2の溝を遮蔽する第2の遮蔽シートとから構成されており、前記第2の溝は、前記外殻の外壁面上か、又は前記第2の遮蔽シートの接着面側の何れかに形成されており、前記第2の溝の上側端は、外殻の上部空間に貫通して配設され、かつ前記第2の遮蔽シートにより遮蔽される第4の穴に連通するか、又は、前記第2の遮蔽シートの上端で大気に連通しており、
前記第3の穴の前記下部空間の底面からの高さは、前記第2の穴の前記下部空間の底面からの高さ以上であり、
前記第1の溝が前記第1の穴に連通し、前記第2の溝が前記第4の穴に連通する場合、下部空間底面からの第1の穴の位置は下部空間底面からの第4の穴の位置よりも低いことを特徴とする請求項3記載のマイクロポンプを提供する。
この発明によれば、バイパス流路又は空気抜き流路を様々な態様で外殻の外部に形成することができるので、都合の良い態様を適宜選択することができる。
前記課題を解決するための手段としての請求項5の発明は、前記外殻の壁内に形成される前記バイパス流路は、前記外殻の下部空間に配設されたバイパス流路出口となる第2の穴と、第1の溝とからなり、前記第1の溝の下側端は該第2の穴に連通しており、前記第1の溝の上側端は、前記外殻の上端面上で大気に連通するか、又は、前記外殻の上部空間内側に向かって開口するか若しくは前記外殻の外側に向かって開口する第1の穴に連通しており、
前記外殻の壁内に形成される前記空気抜き流路は、前記外殻の下部空間に配設された空気抜き流路入口となる第3の穴と、第2の溝とからなり、前記第2の溝の下側端は該第3の穴に連通しており、前記第2の溝の上側端は、前記外殻の上端面上で大気に連通するか、又は、前記外殻の上部空間内側に向かって開口するか若しくは前記外殻の外側に向かって開口する第4の穴に連通しており、
前記第3の穴の前記下部空間の底面からの高さは、前記第2の穴の前記下部空間の底面からの高さ以上であり、
前記第1の溝が前記外殻の上部空間内側に向かって開口する前記第1の穴に連通し、前記第2の溝が前記外殻の上部空間内側に向かって開口する前記第4の穴に連通する場合、下部空間底面からの第1の穴の位置は下部空間底面からの第4の穴の位置よりも低いことを特徴とする請求項3記載のマイクロポンプを提供する。
この発明によれば、バイパス流路又は空気抜き流路を様々な態様で外殻の壁内に形成することができるので、都合の良い態様を適宜選択することができる。
前記課題を解決するための手段としての請求項6の発明は、前記下部空間の内側に開口した前記空気抜き流路の入口(第3の穴)の内径が、前記下部空間の内側に開口した前記バイパス流路の出口(第2の穴)の内径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のマイクロポンプを提供する。
この発明によれば、空気抜き流路の入口(第3の穴)の内径が、バイパス流路の出口(第2の穴)の内径よりも大きいので、気泡は空気抜き流路の入口(第3の穴)に滞積することなく、スムーズに大気に逃がされる。
前記課題を解決するための手段としての請求項7の発明は、前記第1の溝及び第2の溝の形状は、直線状及び蛇行状からなる群から選択される何れかの形状であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のマイクロポンプを提供する。
この発明によれば、溝の形状として、直線状又は蛇行状の適宜都合の良い形状を選択でき、特に蛇行状形状の場合、溝全体の距離が長くなるので圧力損失を制御することが可能になるという利点を有する。
前記課題を解決するための手段としての請求項8の発明は、前記外殻がポリジメチルシロキサン(PDMS)又はガラスから形成されており、前記第1の遮蔽シート及び第2の遮蔽シートがPDMSから形成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のマイクロポンプを提供する。
この発明によれば、外殻をPDMS又はガラスから形成することにより、PDMS製遮蔽シートを外殻の外壁面に自己吸着させることが可能になる。
前記課題を解決するための手段としての請求項9の発明は、前記外殻の下部空間の端部付近に、前記下部空間を閉塞する隔膜を更に有することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のマイクロポンプを提供する。
この発明によれば、駆動液と試料液体とが明瞭な界面を形成できず、互いに混じり合ってしまうような場合、従来は駆動液と試料液体との間に緩衝液を介在させていたが、緩衝液を使用することなく、隔膜を介して電気浸透流の駆動力を試料液体に伝達することができる。その結果、緩衝液の使用に伴う様々な問題点を全て解決できる。
前記課題を解決するための手段としての請求項10の発明は、貫通中空部を有する外殻と、該中空部の内部に、該中空部を上下に2分するように配置された、プラス電極とマイナス電極の間に間挿された多孔質膜とからなり、前記多孔質膜を通る電気浸透流効果を利用した微小流量用マイクロポンプにおいて、
前記多孔質膜により2分された中空部の上部空間の端部付近に前記上部空間を密封する隔膜を有し、かつ、多孔質膜により2分された中空部の下部空間の端部付近に前記下部空間を密封する隔膜を有し、前記密封された上部空間及び下部空間内にはそれぞれ所定量の駆動液が充填されていることを特徴とするマイクロポンプを提供する。
この発明によれば、駆動液は上部空間及び下部空間にそれぞれ密封充填されている。電極間に電圧を印加して、多量の駆動液を有する上部空間内の駆動液を少量の駆動液を有する下部空間に移動させて試料溶液の送液を終了した後、マイクロポンプをひっくり返して、多量の駆動液を有する下部空間を上部空間とし、駆動液が少量になった上部空間を下部空間として元のポート開口部に載置し直し、電極間に電圧を印加すれば、再び駆動液を上から下へ移動させることができる。その結果、煩雑な駆動液供給操作を省略できるばかりか、駆動液が大気中の塵埃、微生物、炭酸ガスなどにより汚染されたり、変質したりすることが完全に防止される。駆動液の出し入れや交換又は補充などが不必要になるため、駆動液にかかる費用を節約できるばかりか、装置構成全体がシンプルになるので、装置コストも安価になる。
前記課題を解決するための手段としての請求項11の発明は、1個以上の大気に向かって開口したポートと、該ポートに連通する微細流路を有するポリジメチルシロキサン製基板と、該ポリジメチルシロキサン製基板の微細流路形成面に貼り合わされる対面基板とからなるマイクロ流体チップにおいて、
前記ポートのうちの少なくとも1個のポートの開口上面に、請求項1〜10の何れかに記載のマイクロポンプを着脱可能に載置したことを特徴とするマイクロ流体チップを提供する。
この発明によれば、マイクロ流体チップ使用後はPDMS基板からマイクロポンプを脱離させることにより、これらマイクロポンプを別のマイクロ流体チップで再使用することができ、大幅なコスト低減を実現することができる。
前記課題を解決するための手段としての請求項12の発明は、前記開口ポートが形成されている基板に、前記開口ポート内に試料溶液を補給するための試料溶液補給路と、前記開口ポート内の空気を抜くための空気抜き路が更に形成されていることを特徴とする請求項11に記載のマイクロ流体チップを提供する。
この発明によれば、試料溶液補給路を使用することにより、ポート上にマイクロポンプが載置されたままの状態で、ポート内に試料溶液を直接補給することができ、その際、空気抜き路から空気抜きがされるので安定なマイクロポンプ動作がなされる。
前記課題を解決するための手段としての請求項13の発明は、前記試料溶液補給路には、開閉弁と、試料溶液タンクから前記ポート内に試料溶液を送液する補給ポンプとが設けられ、試料溶液補給時に、前記開閉弁と前記補給ポンプとを操作する制御装置が更に設けられていることを特徴とする請求項12記載のマイクロ流体チップを提供する。
この発明によれば、制御装置が、試料溶液補給路に設けた開閉弁と、補給ポンプを操作することで、試料溶液の補給が自動化される。
本発明のマイクロポンプによれば、外殻の多孔質膜により2分された中空部の下部空間に連通する液体充填用バイパス流路を介して駆動液などの液体類を迅速に下部空間内に充填することができる。この際、下部空間内の空気は空気抜き流路を経て大気に抜けていくので、駆動液などの液体類を下部空間に満たす際の障害にはならない。その結果、極めて短時間のうちに下部空間に駆動液などの液体類を充填することが可能となり、従来のマイクロポンプのように電圧を印加して長時間かけて下部空間に駆動液などの液体類を満たしていた緩慢で冗長な操作は不要になるので、マイクロポンプの操作性又は使い勝手が飛躍的に改善できる。
また、駆動液と試料液体とが明瞭な界面を形成できず、互いに混じり合ってしまうような場合、従来は駆動液と試料液体との間に緩衝液を介在させていたが、下部空間の端部に隔膜を配設することにより、緩衝液を使用することなく、隔膜を介して電気浸透流の駆動力を試料液体に伝達することができる。その結果、緩衝液の使用に伴う様々な問題点を全て解決できる。
更に、上部空間及び下部空間を隔膜でそれぞれ密閉し、各密閉空間内に所定量の駆動液を充填しておくことにより、煩雑な駆動液供給操作を省略できるばかりか、駆動液が大気中の塵埃、微生物、炭酸ガスなどにより汚染されたり、変質したりすることが完全に防止される。駆動液の出し入れや交換又は補充などが不必要になるため、駆動液にかかる費用を節約できるばかりか、装置構成全体がシンプルになるので、装置コストも安価になる。
また、マイクロポンプの外殻をPDMS又はガラスで形成することにより、マイクロ流体チップのPDMS基板に対して自己吸着させることが可能になり、使用後にマイクロ流体チップ自体は廃棄されても、本発明のマイクロポンプは別の新たなマイクロ流体チップに再び自己吸着させることにより何度でも再使用が可能になる。その結果、高価なマイクロポンプに要するコストが大幅に軽減され、極めて経済的である。
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施態様について具体的に説明する。図1は本発明によるマイクロポンプ20の一例の概要断面図である。図1に示されるように、本発明のマイクロポンプ20は基本的に図19及び図20に示された従来のマイクロポンプと同様に、外殻23と、上部電極25と下部電極27の間に間挿された多孔質膜29とからなる。また、電極具備多孔質膜29は外殻23の中空部を上下に2分するように配置され、その結果、電極具備多孔質膜29を境にして上部空間31と下部空間33が形成される。図示されていないが、上部電極25は直流電源のプラス側に接続され、下部電極27は直流電源のマイナス側に接続されている。しかし、目的に応じて、プラス、マイナスを逆に接続することもできる。外殻23はポンプホルダーと呼ばれることもある。マイクロポンプ20をマイクロ流体チップ1(図19参照)の上面に安定的に載置可能にするため、外殻23の下部は拡大外径を有する所定の厚さのフランジ部35が形成されていることが好ましい。しかし、このフランジ部35の配設自体は本発明の必須要件ではない。外殻23はPDMSから形成されていることが好ましい。外殻23がPDMSから形成されていると、マイクロ流体チップ1のPDMS基板3のポート7の上面に載置することにより、マイクロポンプ20をPDMS基板3に自己吸着させることができる。その結果、マイクロポンプ20はPDMS基板3に対して脱着可能となる。従来のマイクロ流体チップでは、使用後に、マイクロポンプなどはチップと共に廃棄されてしまうが、本発明によれば、マイクロ流体チップ1の使用後はPDMS基板3からマイクロポンプ20を脱離させることにより、これらマイクロポンプ20を別のマイクロ流体チップで再使用することができ、大幅なコスト低減を実現することができる。
図1において、外殻23の上部空間31側の側壁を貫通する第1の穴37を開設し、下部空間33側の側壁を貫通する第2の穴39を開設し、この第1の穴37と第2の穴39を連通させる、所定の幅と深さを有する第1の溝41を外殻23の外壁面に配設する。第1の穴37、第2の穴39及び第1の溝41は公知慣用の手段で形成することができる。第1の穴37、第2の穴39及び第1の溝41を覆い隠す第1の遮蔽シート43を外殻23の外壁面に接着させる。この遮蔽シート43でシールされた第1の穴37、第2の穴39及び第1の溝41は、上部空間と下部区間を連通する液体充填用バイパス流路を構成する。第1の穴37及び第2の穴39の内径は一例として1mmであることができる。その他の内径を採用することもできる。第1の遮蔽シート43の材質は特に限定されないが、PDMS製外殻23と自己吸着可能にするため、第1の遮蔽シート43もPDMSから形成することが好ましい。第1の遮蔽シート43の厚さ及びサイズは特に限定されない。第1の穴37、第2の穴39及び第1の溝41をシールするのに必要十分な厚さ及びサイズを有すればよい。バイパス流路はマイクロポンプのための駆動液に限らず、液状の試薬やサンプルなどの液体類全般の充填用としても利用できる。
図1において、外殻23の上部空間31側の側壁には、前記第1の穴37と異なる位置に、第4の穴47が貫通して開設されている。同様に、下部空間33側の側壁を貫通する第3の穴45が、前記第2の穴39と異なる位置に開設されている。そして、この第3の穴45と第4の穴47を連通させる、所定の幅と深さを有する第2の溝49が外殻23の外壁面に配設されている。第3の穴45、第4の穴47及び第2の溝49は公知慣用の手段で形成することができる。第4の穴47の内径は一例として1mmであることができる。第3の穴45の内径は一例として2mmであることができる。第3の穴45の内径が気泡の外径よりも小さいと、第3の穴45の周囲に気泡が滞積して排出されなくなる恐れがある。効率的に空気抜きを行うために、第3の穴の内径は他の穴の内径よりも大きいことが好ましい。言うまでもなく、その他の内径も採用できる。第3の穴45、第4の穴47及び第2の溝49を覆い隠す第2の遮蔽シート51を外殻23の外壁面に接着させる。この第2の遮蔽シート51でシールされた第3の穴45、第4の穴47及び第2の溝49は、下部空間内の空気を大気中に抜くための空気抜き流路を構成する。第2の遮蔽シート51の材質は特に限定されないが、PDMS製外殻23と自己吸着可能にするため、第2の遮蔽シート51もPDMSから形成することが好ましい。第2の遮蔽シート51の厚さ及びサイズは特に限定されない。第3の穴45、第4の穴47及び第2の溝49をシールするのに必要十分な厚さ及びサイズを有すればよい。
重要なことは、第4の穴47が第1の穴37の高さ位置よりも上部に位置することである。第4の穴47の高さ位置が第1の穴37の高さ位置と同じか又はそれよりも下だと、第4の穴47は上部空間31に充填される駆動液の液面レベル以下となり、空気抜き流路としての機能を果たすことができない。
第3の穴45の高さ位置は、第2の穴39の高さ位置と同じか、又はそれよりも上部に位置することができる。図1では、第3の穴45の高さ位置は、第2の穴39の高さ位置よりも上になっているが、電極具備多孔質膜29を傾斜させ、多孔質膜29の傾斜上部が第3の穴45の高さ位置と略同一になるように配置すると、下部空間33内の空気は多孔質膜29の傾斜に沿って第3の穴45に導かれ完全かつスムーズに大気中に逃がされ、下部空間33内に留まることは無い。
第1の穴37と第2の穴39を連通させる第1の溝41は、図2(A)に示されるような直線状に形成することもできるが、図2(B)に示されるような蛇行状に形成することもできる。直線状の溝に比べて、蛇行状の溝は溝全体の距離が長くなるので圧力損失を制御することが可能になるという利点を有する。その結果、駆動液が下部空間33から上部空間31へ逆流するような不都合な事態を効果的に防止することができる。蛇行回数は図示された実施態様に限定されず、任意の回数を選択することができる。また、蛇行は図示されたようなクランク形状に限定されず、所定の曲率を有する曲線形状であることもできる。特別には図示されていないが、第3の穴45と第4の穴47を連通させる第2の溝49も、図2(A)及び図2(B)に示された実施態様と全く同様に構成することができる。第1の溝41及び第2の溝49の幅及び深さは例えば、数十μm〜数百μmの範囲内で適宜選択することができる。第1の溝41及び第2の溝49の長さは数mm〜数十mmの範囲内で適宜選択することができる。
別法として、外殻23の外壁面上に第1の溝41及び第2の溝49を配設する代わりに、図3に示すように、第1の遮蔽シート43A(又は第2の遮蔽シート51A)の接着面側に第1の溝41A(又は第2の溝49A)を形成することもできる。この場合、第1の溝41A(又は第2の溝49A)は、レジスト鋳型などを使用する公知の光リソグラフィー法などにより第1の遮蔽シート43A(又は第2の遮蔽シート51A)の接着面側に容易に形成することができる。第1の溝41A(又は第2の溝49A)の両端には、第1の穴37及び第2の穴39(又は第3の穴45及び第4の穴47)との位置合わせを容易にするために凹陥部53,55を形成することもできる。しかし、この凹陥部は無くてもよい。溝41A(又は49A)の一部が第1の穴37及び第2の穴39(又は第3の穴45及び第4の穴47)と交差すれば、駆動液充填用バイパス流路(又は空気抜き流路)として機能することができるからである。
図4は、図3に示された第1の溝41A及び第2の溝49Aを接着面側に有する第1の遮蔽シート43A及び第2の遮蔽シート51Aをマイクロポンプ20Aの外殻23Aに接着させた状態の断面図であり、図5はその斜視図である。
図6は第2の遮蔽シートの別の実施態様の概要平面図であり、図7はこの第2の遮蔽シートを用いた本発明のマイクロポンプの部分概要断面図である。図6に示されるように、第2の遮蔽シート51Bでは、第2の溝49Bの上端側がシートの端部にまで延長され、空気出口57を形成している。これにより、外殻23Bの上部空間31の側壁に空気抜き用の貫通した第4の穴47を設ける必要が無くなる。
図8は本発明のマイクロポンプの別の実施態様の部分概要断面図である。この実施態様では、第1の遮蔽シート43Bは、第1の溝41Bの上端側がシートの上端部にまで延長され、液体(例えば、駆動液など)注入口59を形成している。従って、バイパス流路に液体を注入するための第1の穴37を外殻23Cの上部空間31の側壁に穿設する必要が無いので、マイクロポンプの製造が容易になるばかりか、液体注入口59にシリンジを挿入することにより簡単に液体を下部空間33内に送液することができる。
図9は本発明のマイクロポンプの更に別の実施態様の部分概要断面図である。このマイクロポンプ20Dでは、駆動液などの液体類を下部空間33に送液するためのバイパス流路となる第1の溝41C及び空気抜き流路となる第2の溝49Cが外殻23Dの壁内に配設されている。従って、この実施態様では、第2の穴39及び第3の穴45は貫通孔ではなく、第1の溝41C及び第2の溝49Cに達する長さしか有しない。この実施態様によれば、第1の遮蔽シート及び第2の遮蔽シートを使用する必要がないので、すっきりとした構造のマイクロポンプ20Dが得られる。液体注入口59及び空気出口57は何れも外殻23Dの上端面上に開口しているが、この態様に限定されず、第1の溝41Cに連通する第1の穴を、上部空間の内側に向かって開口させるか、又は外殻の外側に向かって開口させることもでき、同様に、第2の溝49Cに連通する第4の穴を上部空間の内側に向かって開口させるか、又は外殻の外側に向かって開口させることもできる。
図10は本発明のマイクロポンプの更に他の実施態様の部分概要断面図である。このマイクロポンプ20Eでは、下部空間33の下端寄りに、隔膜61が配設されている。隔膜61は例えば、環状の隔膜ホルダー62により下部空間33の下端内壁面に定着させることができる。言うまでもなく、図示された以外の態様によっても隔膜61をマイクロポンプ20Eに配設することができる。隔膜61は熱可塑性合成樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、メチルメタクリレートなど)又はゴム(例えば、シリコーンゴム、ラテックスゴムなど)などのような可撓性又は柔軟性を有する素材から形成されていることが好ましい。隔膜61の膜厚は0.03mm〜1mm程度である。隔膜61の形状は図示されているような断面が楕円状のドーム形に限定されず、円形、コーン形あるいは不定形であってもよく、形状を変えることにより突出した部分の容積を変化させることができるものであればよい。
駆動液と試料液体とが明瞭な界面を形成せず、互いに混じり合ってしまう場合には、駆動液と試料液体とを分離させるために緩衝液を使用する必要性がある。しかし、緩衝液の使用には次のような問題点が存在する。
(a)緩衝液が試料液体を変質させたり、汚染したりすることがある;
(b)緩衝液による分離が上手く行かず、場合により駆動液が試料液体に混合して汚染する可能性がある;
(c)マイクロポンプの始動、試料液体の補充、メンテナンス等の際に、3種類の液体をハンドリングしなければならず、作業が繁雑となる;及び
(d)緩衝液を保持するために特別な管路を設ける必要が生じ、構造が複雑となり、マイクロチップへの組み込みが難しくなる。
図10に示されるように、本発明のマイクロポンプにおいて隔膜61を使用することにより緩衝液の使用は不要となり、その結果、前記(a)〜(d)の問題点は全て解決される。
本発明のマイクロポンプで使用される電極具備多孔質膜29自体は前記特許文献3に記載された公知の部材である。例えば、多孔質膜前後にパッキンを入れて電極を設置したものであることができる。多孔質膜は支持体により支持させることができる。多孔質膜は例えば、ニッケル金属フィルター又はポリカーボネートフィルターなどである。ポリカーボネートフィルターは(株)三商からアイソポア(登録商標)メンブレンフィルターとして市販されている。このメンブレンはポリカーボネートフィルムからなり、メンブレン表面で試料を観察するあらゆる分析に推奨されるトラックエッチドスクリーンフィルタである。このポリカーボネートフィルターの孔径は2μm、5μm又は12μmで、厚さは11μmである。一方、ニッケル金属フィルターの孔径は5μmで、厚さは10μmである。膜前後の電極間に直流数V〜数十V(例えば、2V〜15V)の電圧を印加すると、液体は陽極側から陰極側に向かって流れる。印加電圧の極性を逆にすると、液体の流動方向を逆転させることができる。この多孔質膜ポンプによる流量は0.02mm/s〜0.14mm/sの範囲内で変化させることができる。流量は印加電圧に概ね比例する。
本発明のマイクロポンプで使用される駆動液は、電気浸透流を起こすことが出来る液体であれば全て使用できる。一例として、液体中で耐電する性質を有している粒径0.01μm〜0.5μmの微粒子を浮遊させた液体を使用することができる。具体的には、溶液中に微粒子を分離させたコロイド状溶液(例えば、ポリスチレンコロイド溶液やシリカコロイド溶液)を駆動液として用いることができる。また、電気分解が発生しないように処理されている電解質溶液や、純水又は精製水なども使用することができる。
本発明のマイクロポンプ20〜20Dの使用方法は次の通りである。先ず、マイクロ流体チップ1(図19参照)のポート7に目的の試料溶液を注入する。その後、本発明のマイクロポンプ20(又は20A,20B,20C,20D,20E)の外殻23(又は23A,23B,23C,23D)の下部空間33の開口とポート7の開口とを位置合わせして、マイクロポンプ20をPDMS基板3上に載置する。外殻23がPDMSで形成されているため、マイクロポンプ20はPDMS基板3と自己吸着することができる。次いで、外殻23の上部空間31内に駆動液を充填する。駆動液は第1の穴37(又は駆動液注入口59)からバイパス流路(第1の溝)41(又は41A〜41D)を経て第2の穴39より下部空間33に流れ込む。下部空間33の空気は第3の穴45から空気抜き流路(第2の溝)49(又は49A〜49D)を経て第4の穴47(又は空気出口57)より大気に解放される。その結果、上部空間31に駆動液を充填すると同時に下部空間33にも駆動液を満たすことができる。上部空間31から下部空間33に駆動液を満たす際、必要に応じて上部空間に圧力を印加することもできる。また、必要に応じて、第1の穴37と第4の穴47又は空気出口57を封止することもできる。上部空間31及び下部空間33に駆動液が満たされたら、電極25及び27に所定のDC電圧を印加すると、上部空間31内の駆動液が多孔質膜29を介して下部空間33内に浸透していき、その際の電気浸透流の圧力によりポート7内の試料溶液は微細流路5内に送液される。駆動液と試料溶液が混ざり合わず、明瞭な界面を形成することが好ましい。
本発明のマイクロポンプ20Eの場合、電極25及び27に所定のDC電圧を印加すると、上部空間31内の駆動液が多孔質膜29を介して下部空間33内に浸透していき、隔膜61がポート7側に膨らみ、ポート7の容積が減少するので、駆動液の駆動力が隔膜61を介して試料溶液に伝達される。駆動液と試料溶液が隔膜61により分離されるので、試料溶液と駆動液が互いに混じり合ってしまうような場合には、マイクロポンプ20Eが有用である。言うまでもなく、駆動液と試料溶液が混ざり合わず、明瞭な界面を形成する場合であっても、隔膜61を有するマイクロポンプを使用することができる。
バイパス流路(第1の溝)41(又は41A)及び空気抜き流路(第2の溝)49(又は49A,49B,49C)の圧力損失が微細流路5(図10参照)よりも大きい場合、電気浸透流を起こさせても、下部空間33内の駆動液がバイパス流路41や空気抜き流路49から上部空間31に逆流することは無い。しかし、駆動液や気泡を流れ易くするために、バイパス流路41や空気抜き流路49の内径を大きくすると、逆流が生じることもあり得るので、そのような場合には、穴37(又は注入口59)及び穴47(又は空気出口57)を封止する必要がある。
図11は本発明のマイクロポンプの更に他の実施態様の部分概要断面図である。この実施態様では、図1〜図10に示されたバイパス流路(第1の溝)41(又は41A)及び空気抜き流路(第2の溝)49(又は49A,49B,49C)の代わりに、外殻23Eに駆動液供給管63及び65と、空気抜き管67及び69が配設されている。駆動液供給管63及び65はそれぞれ、開閉弁V1及びV2を介して駆動液源に接続されている。また、空気抜き管67及び69はそれぞれ、開閉弁V3及びV4を介して駆動液回収容器71に開口している。外殻23Eの上端面には上部空間31を覆う蓋73が載置されている。蓋73は上部空間31内の駆動液が大気中の塵埃、微生物、炭酸ガスなどにより汚染されることを防止するために使用されるが、無くてもかまわない。電極25及び27は切換スイッチ62を介して直流電源64に接続されている。直流電源64としては一次電池や二次電池などの他、交流電源からコンバータを介して直流電源を得る電源装置であってもよい。また、可変抵抗器などの電圧調整手段を具備することもできる。図11に示されるマイクロポンプの場合、外殻23Eは、PDMSの他、合成樹脂や金属から作製されていてもよい。
図11に示されるように、マイクロポンプ20Fは、マイクロチップ73のポート75の開口上部に載置されている。マイクロチップ73は従来のマイクロチップ1と同様に、上面基板77と下面基板79とから構成されており、上面基板77は料溶液を送液するためのマイクロチャネル81を有する。マイクロチャネル81はポート75に連通している。
図12に示されるように、このマイクロチップ73の特徴は、上面基板77がマイクロチャネル81の他に、ポート75に連通する2つの流路を更に有することである。一方は、ポート75に試料溶液を補給する補給管路83であり、他方は空気抜き管路85である。図示されているように、補給管路83はポート7の底部近傍に開口しているが、空気抜き管路85はポート7の頂部に開口している。すなわち、空気抜き管路85は上面基板77の上面に形成した溝で構成されているので、これを覆うように取り付けた継手87によって密封されている。
図11に示されるようなマイクロチップ73に実装されたマイクロポンプ20Fの動作について図13及び図14を参照しながら説明する。補給管路83は開閉弁V5を有する供給管89を介して、手押しポンプ91付きの試料溶液タンク93に連絡している。空気抜き管路85は、開閉弁V6を有する空気抜き管95を介して試料溶液回収容器97に開口している。空気抜き管95は、例えば、垂直部分がガラスなどの透明部材で形成し、液面の上昇を目視できるようにしてもよい。なお、上述した開閉弁V1〜V6は、マイクロポンプの動作に影響するものであるので、閉鎖時には漏れが無いような精密な構造のものを使用することが好ましい。また、マイクロチャネル81には、始動作業や補給作業の際に、補給された試料溶液が下流側に流れないようにするための開閉弁V7が設けられている。
ポンプ本体20Fの上部空間31及び下部空間33のいずれにも駆動液が充填されておらず、しかも、ポート75内にも試料溶液が充填されていない状態で始動する際には、先ず、開閉弁V1,V2及び試料溶液タンク93も開閉弁V8と、マイクロチャネル81へ通じる開閉弁V7を閉じ、開閉弁V4,V5,V6を開いて、試料溶液タンク93の手押しポンプ91を操作し、試料溶液をポート75に送る。空気抜き管路95の先端側から試料溶液が出てきたら、ポート75内の空気が押し出されたので、開閉弁V6を閉じる。ポート75内には試料溶液が溜まっていき、隔膜61を上方に押し出し、例えば、図14の破線で示すようになる。なお、この図では、隔膜61の変形を誇張して描いている。ポート75内に十分な量の試料溶液が溜まったら、試料溶液タンク93からの送液を止め、開閉弁V5を閉じる。
次に、駆動液タンク99に連絡する開閉弁V1,V2と空気抜き用の開閉弁V3,V4を開いて、駆動液をマイクロポンプ20Fの上部空間31及び下部空間33に供給する。開閉弁V3,V4から駆動液が出るようになったら、空気抜きが終わったので、開閉弁V1〜V4を閉じ、マイクロポンプ20Fの動作準備を完了する。なお、多孔質薄膜29や電極25,27近傍の空気抜きを十分に行うには、しばらくマイクロポンプを準備運転してから、もう一度上記の駆動液供給動作をおこなうことが好ましい。
上記において、試料溶液の充填を駆動液の充填よりも先に行ったのは、開閉弁V4を開いた状態で駆動液を供給すると、隔膜61が駆動液の自重で下方へ膨らんでしまい、十分に試料溶液を供給できないからである。しかしながら、下部空間30への駆動液の供給を所定量で止め、その後に開閉弁V2を「閉」、V4を「開」とした状態で試料溶液を供給すれば、やがて駆動液が開閉弁V4より押し出されるので、このようにしてもよい。上部空間31、下部空間33及びポート75のいずれにも、空気が抜けた状態で液が充填されればよいのであって、やり方は任意である。
このようにして、上部空間31、下部空間33及びポート75にそれぞれの液が供給された状態で、開閉弁V1とV7のみを開いて電極25、27間に所定電圧を印加して、マイクロポンプを作動させる。開閉弁V1を「開」とするのは、駆動液のヘッドhを一定に維持するためである。これにより、多孔質膜29を駆動液中の微粒子が通過し、これに伴って上部空間31から下部空間33へ駆動液が微小量ずつ流れる。これにより、隔膜61が下方へ膨らみ、下部空間33の容積が増大してポート75の容積が減少し、試料溶液がポート75からマイクロチャネル81へと送り出される。隔膜61が非圧縮性なので、駆動液の流量と試料溶液の流量は常に一致する。
マイクロポンプ20Fの動作に伴い、下部空間33の容積が増加し、やがて、隔膜61が図14において実線で示す原形に近ずく、そこで、所定のタイミングで運転を停止し、試料溶液の補充作業を行う。これは、供給管89の開閉弁V5と、下部空間33の空気抜き/駆動液排出のための開閉弁V4とを「開」とし、他の開閉弁を「閉」の状態で、手押しポンプ91を作動すればよい。これによりポート75に圧送された試料溶液は隔膜61を押し上げ、下部空間30内の駆動液を空気抜き/駆動液排出管69及び開閉弁V4より駆動液回収容器71へと押し出す。所定量が供給されたところで、開閉弁V4,V5を閉じ、開閉弁V7を「開」として、マイクロポンプ20Fの動作を再開すればよい。
図15は、本発明のマイクロポンプが実装されるマイクロチップの他の実施態様を示す概要図である。マイクロチップ73の下面基板81を貫通するようにポート75を拡大する。具体的には、下面基板81に貫通孔を設け、該貫通孔の下部にカップ状の容器101を配置する。容器101の内部が拡大ポート75となる。拡大ポート75の深さに応じて隔膜61のサイズ及び形状を適宜選択する。このようにして、拡大ポート75の深さを大きくすることにより、1回の試料溶液補給によって動作可能な期間を延長することができる。
図16は、本発明のマイクロポンプが実装されるマイクロチップの更に他の実施態様を示す概要図である。上記の実施態様では、試料溶液の補給を手押しポンプ91で人手により行ったが、図16の実施態様では、所定のアクチュエータで動作する補給ポンプ103を用いる。更に、この実施態様では、この補給ポンプ103の動作と開閉弁V1〜V7び開閉動作を必要に応じて制御し、所定のタイミングで補給動作を行う制御装置105が設けられている。補給動作を行うタイミングは、(A)マイクロポンプの動作時間を測定する、(B)流量計等により総流量を測定する、(C)隔膜61の変形をセンサで測定する等の方法が考えられる。このような構成により、長期に自動化したマイクロポンプ運転が可能となる。
図17は、本発明のマイクロポンプの更に別の実施態様の概要断面図である。このマイクロポンプ20Gは上下対称に構成されている。すなわち、外殻23Fの内部を2等分するように、多孔質膜27と、一対の電極25及び27を配設する。この場合、多孔質膜や電極を傾斜させて取付ける必要は無く、水平な状態に取付ければよい。空気抜きを行う必要が無いからである。多孔質膜27により2等分された外殻23Fの上部空間31の上端には隔膜61aが、また、下部空間33の下端には隔膜61bがそれぞれ固着されている。隔膜61aと多孔質膜27により画成される閉塞上部空間31内には駆動液223が密封充填されている。同様に、隔膜61bと多孔質膜27により画成される閉塞下部空間33内にも駆動液223が密封充填されている。ここで重要なことは、一方の閉塞空間内の駆動液量が、他方の閉塞空間内の駆動液量よりも多いことである。例えば、図示されているように、閉塞上部空間31内には隔膜61aが外殻23Fの外方へ向かって膨隆するほど駆動液が存在するのに対して、閉塞下部空間33内には隔膜61bが外殻23Fの内方へ向かって窪む程度の量の駆動液しか存在しない。各空間内の駆動液量に差を付けるのは簡単である。外殻23Fの内容積は既知であるから、その2等分量に相当する量の駆動液を注射器などのような公知慣用の手段で閉塞上部空間31及び閉塞下部空間33内にそれぞれ注入する。その後、電極に電圧を印加して電気浸透流を発生させ、一方の空間内の駆動液を他方の空間内へ移動させればよい。移動先の空間内の駆動液量は増大し、反対に移動元の空間内の駆動液量は減少する。換言すれば、移動先の空間内の圧力は増大するので隔膜が膨隆するのに対して、移動元の空間内の圧力は低下するので隔膜は凹む。従って、この実施態様におけるマイクロポンプ20Gでは、駆動液はポンプ内に常に密封状態で保持され、駆動液の出し入れや交換又は補充などは特別な場合を除いて行われない。
図18A〜図18Cを参照しながら、マイクロポンプ20Gの使用方法を説明する。図17に示される密閉型マイクロポンプ20Gをマイクロチップ73のポート75の開口上部に位置合わせして配置する。マイクロチップ自体は図示された態様のものに限定されず、ポートとマイクロチャネルを有するものであれば全て使用できる。例えば、図19におけるマイクロチップ1なども当然使用できる。ポート75の開口上部に配置した状態の時、上部空間31内の駆動液の量の方が、下部空間33内の駆動液量よりも多くなければならない。これは隔膜の外観を見れば容易に確認できる。すなわち、膨隆している方が上で、凹んでいる方を下にすればよい。図18Aに示されたマクロチップ73の場合、マイクロポンプ20Gを配置後に、ポート75内に試料溶液225を注入する。ポート75内への試料溶液の注入方法については既に具体的に説明したのでここでは省略する。補給管路83などの機構を有しないマイクロチップの場合、予めポート内に試料溶液を注入しておき、その後、マイクロポンプ20Gを配置すればよい。上部電極25側を直流電源のプラス側に、下部電極27をマイナス側に接続して所定の電圧を印加する。
電圧の印加により多孔質膜29を通して電気浸透流が発生し、上部空間31内の駆動液223が下部空間33に向かって移動する。この移動に伴い、下部空間33の隔膜61bが下方へ膨らみ、下部空間33の容積が増大してポート75の容積が減少し、試料溶液225がポート75からマイクロチャネル81へと送り出される。隔膜61bが非圧縮性なので、駆動液の流量と試料溶液の流量は常に一致する。図18Bに示されるように、下部空間33の隔膜61bの下方への膨隆が限界に達した時点で、電圧の印加を止める。
その後、マイクロポンプ20Gをマイクロチップ73から外し、マイクロポンプ20Gを上下転倒させて(すなわち、ひっくり返して)マイクロチップ73のポート75の開口上部に位置合わせして再び配置する。図18Cは、マイクロポンプ20Gをひっくり返してマイクロチップ73のポート75の開口上部に位置合わせして再配置した状態を示す。従前の下部空間33が今度は上側に位置し、上部空間31は下側に位置する。この場合、電極も上下ひっくり返っているので、電圧を印加する場合には、電極27をプラス側に接続し、電極25をマイナス側に接続しなければならない。斯くして、電極間に電圧を印加すれば再び電気浸透流が発生し、駆動液223は上側から下側に流れ、ポート75内の試料溶液225をマイクロチャネル81に送出させることができる。従って、図18A〜図18Cの操作を繰り返すことにより、試料溶液送出作業を効率的に実施することができる。
図17に示されるマイクロポンプ20Gを使用することにより、図11〜図16に示されるような煩雑な駆動液供給操作を省略できるばかりか、駆動液が大気中の塵埃、微生物、炭酸ガスなどにより汚染されたり、変質したりすることが完全に防止される。駆動液の出し入れや交換又は補充などが不必要になるため、駆動液にかかる費用を節約できるばかりか、装置構成全体がシンプルになるので、装置コストも安価になる。
以上、本発明のマイクロポンプの具体的な実施態様について図面を参照しながら説明してきたが、本発明のマイクロポンプは例示された実施態様にのみ限定されるものではなく、様々な改変を施すことができる。例えば、図示された実施態様では、第1の遮蔽シートと第2の遮蔽シートが別々のシートとして説明されているが、第1の遮蔽シートと第2の遮蔽シートは一枚の連続的なシートであることもできる。
第1の溝及び第2の溝を形成する際、外殻の外壁面に配設する態様と遮蔽シートに配設する態様及び/又は外殻の壁内に配設する態様を適宜都合良く組み合わせることもできる。例えば、第1の溝を外殻の外壁面に配設し、第2の溝を遮蔽シートに配設したり、逆に、第1の溝を遮蔽シートに配設し、第2の溝を外殻の外壁面に配設する態様を採用することもできる。
また、溝の形状も直線状と蛇行状を組み合わせて使用することもできる。例えば、第1の溝及び第2の溝の両方とも直線状の溝か又は蛇行状の溝であることもできるし、一方が直線状の溝で他方が蛇行状の溝であることもできる。
マイクロポンプ自体のサイズは本発明の必須要件ではない。用途に応じて適宜のサイズを選択することができる。マイクロポンプの選択された特定のサイズに応じて、シート、穴及び溝の各サイズを適宜最適値に調整、変更することができる。
また、外殻23の形状は円柱状に限らず、角柱状であることもできる。更に、外殻23の材質はPDMSだけに限定されず、PDMS基板3と自己接着することができるガラス、合成樹脂類、金属類であることもできる。
本発明のマイクロポンプで使用される駆動液として食塩水を使用すると電圧印加後に電気分解が起こり、気泡発生や流量の時間的減少が見られるので好ましくない。ポリスチレンコロイド溶液やシリカコロイド溶液では、このような気泡発生や流量の時間的減少が見られず、流量は一定になる。
(1)図19に示されるような断面構造を有するマイクロ流体チップ1を作製した。対面基板10は厚さ1mmのガラス製であり、基板3は厚さ2mmのPDMS製であった。微細流路5の幅及び高さは各200μmであり、長さ(距離)は50mmであった。ポート9の内径は1mmであった。ポート7の内径は9mmとした。
(2)図4に示されるマイクロポンプ20Aを作製した。マイクロポンプ20AのPDMS製外殻23Aの外径は20mm、高さは18mmであり、上部空間31の内径は13mm、下部空間33の内径は10mm、フランジ部35の外径は30mm、高さは2mmであった。外殻23Aの上端から5mmの位置に第1の穴37(内径1mm)を穿設し、フランジ部35の下面から6mmの位置に第2の穴39(内径1mm)を穿設した。同様に、外殻23Aの上端から2mmの位置に第4の穴47(内径1mm)を穿設し、フランジ部35の下面から7.9mmの位置に第3の穴45(内径2mm)を穿設した。多孔質膜29として、孔径2μm、孔数1500000個、厚さ11μmのポリカーボネート多孔質膜を使用した。この多孔質膜の上面側及び下面側にパッキンを介して電極25及び27をそれぞれ接続させた。電極具備多孔質膜29の外径は13mmであった。外殻23Aの中空部内に電極具備多孔質膜29を傾斜させて取り付けた。次いで、凹陥部53及び55(内径各100μm、凹陥部間隔7mm)及び第1の溝41A(幅100μm、深さ100μm、長さ8.1mm)が形成されているPDMS製第1の遮蔽シート43Aを、第1の穴37及び第2の穴39と位置合わせさせて外殻23Aの外壁面に自己吸着させた。同様に、凹陥部53及び55(内径各100μm、凹陥部間隔7mm)及び第2の溝49A(幅1000μm、深さ100μm、長さ8.1mm)が形成されているPDMS製第2の遮蔽シート51Aを、第3の穴45及び第4の穴47と位置合わせさせて外殻23Aの外壁面に自己吸着させた。
(3)マイクロ流体チップ1のポート7に赤色に着色された油性サンプル液を満たした。その後、このポート7の開口上面にマイクロポンプ20Aの下部空間33の開口を位置合わせさせて、マイクロポンプ20AをPDMS基板3に自己吸着させた。
(4)マイクロポンプ20Aの中空部上部空間31内にイオン交換水(イオンを取り除いた蒸留水)にシリカ粒子(粒子径:0.09μm)を濃度1%で分散させたコロイド溶液を駆動液として充填した。また、同じコロイド溶液を注射器で第1の穴37から注入した。コロイド溶液が第1の穴37から第1の溝41Aを経て第2の穴39より中空部下部空間33内に流入するのが確認された。中空部下部空間33がコロイド溶液で満たされるまでに要した時間は10秒間であった。
(5)下部空間33内がコロイド溶液で満たされた時点で、第4の穴47を封止した。プラス電極25及びマイナス電極27にDC電圧15Vを印加したところ、中空部上部空間31から中空部下部空間33への電気浸透流が発生し、それに伴い、ポート7内の油性着色液が微細流路5を経てポート9にまで送液されていくのが確認できた。駆動液と油性着色液との間には明瞭な界面が存在していた。
実施例1におけるマイクロポンプ20Aを、実施例1のマイクロ流体チップから剥離し、同じ流路構造を有する別のマイクロ流体チップのポート7の上面に自己吸着させ、実施例1と同じシリカコロイド溶液を用いて送液実験を行ったところ、実施例1と同じ結果が得られた。また、マイクロポンプ20AとPDMS基板3との接着界面からの漏液は発生しなかった。このことから、本発明によるマイクロポンプは、マイクロ流体チップにおける外付けマイクロポンプとして有効に繰り返し使用出来ることが理解できる。
図10に示されるマイクロポンプ20Eを実施例1に述べた方法と同様な方法で作製した。隔膜61には厚さ0.3mmのポリプロピレン製のドーム状の形状をしたフィルムを使用した。このフィルムを合成樹脂製のリングで下部空間下端内壁面に定着させた。マイクロ流体チップ1のポート7に赤色に着色された生理食塩水を満たした。その後、このポート7の開口上面にマイクロポンプ20Eを載置した。このとき、隔膜61は下部空間33内に入り込むように変形させておいた。実施例1と同様な方法で、マイクロポンプ20Eの上部空間及び下部空間に実施例1で使用されたものと同じ駆動液を充填し、プラス電極25及びマイナス電極27にDC電圧15Vを印加したところ、中空部上部空間31から中空部下部空間33への電気浸透流が発生し、それに伴い、隔膜61が徐々に下側に膨らみ、それに応じてポート7内の着色生理食塩水が微細流路5を経てポート9にまで送液されていくのが確認できた。
本発明のマイクロポンプは、免疫学的分野、血液学的分野、医学的分野、遺伝子工学的分野、応用生命科学的分野などにおいて、種々の細胞の採取や単離、特定細胞のクローニングや増殖、細胞表面に特定抗原を発現した細胞の分取、細胞膜分子の胴体解析、細胞染色体の解析、尿中の有形成分類の解析などの目的に使用されるマイクロ流体チップで有効に利用することができる。
本発明によるマイクロポンプの実施態様の一例の部分概要断面図である。 図1におけるマイクロポンプの外殻の外壁面に形成される第1の溝の形状の具体例を示す部分概要平面図である。 第1の遮蔽シート又は第2の遮蔽シートの別の実施態様の概要平面図である。 図3に示される遮蔽シートを使用した本発明のマイクロポンプの別の実施態様の部分概要断面図である。 図4に示されるマイクロポンプの部分概要斜視図である。 第2の遮蔽シートの更に別の実施態様の概要平面図である。 図6に示される遮蔽シートを使用した本発明のマイクロポンプの別の実施態様の部分概要断面図である。 本発明によるマイクロポンプの他の実施態様の部分概要断面図である。 本発明によるマイクロポンプの更に別の実施態様の部分概要断面図である。 本発明によるマイクロポンプの更に他の実施態様の部分概要断面図である。 本発明によるマイクロポンプをマイクロ流体チップに実装したマイクロポンプ装置の実施態様の一例の構成を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は平面図である。 図11のマイクロポンプの要部を示す部分断面図であり、(a)は図11(b)のa矢視図、(b)は図11(b)のb矢視図である。 図11のマイクロポンプ装置を用いたポンプシステムを示す概要図である。 図11のマイクロポンプ装置を用いたポンプシステムにおける液フローを模式的に示す図である。 本発明による他の実施態様のマイクロポンプ装置及びポンプシステムを示す概要図である。 本発明による更に他の実施態様のマイクロポンプ装置及びポンプシステムを示す概要図である。 本発明によるマイクロポンプの別の実施態様の部分概要断面図である。 図17のマイクロポンプの動作を説明する部分概要断面図である。 図17のマイクロポンプの動作を説明する部分概要断面図である。 図17のマイクロポンプの動作を説明する部分概要断面図である。 特許文献3に示される従来のマイクロポンプの一例の部分概要断面図である。 図19に示されるプラス電極205及びマイナス電極207とこの電極間に間挿された多孔質膜209の分解斜視図である。 図19に示される従来のマイクロポンブ200の或る使用例を示す部分概要断面図である。
符号の説明
1 マイクロ流体チップ
3 PDMS基板
5 微細流路
7 ポート
9 ポート
10 対面基板
20,20A〜20G 本発明のマイクロポンプ
23,23A〜23E 外殻
25 上部電極
27 下部電極
29 多孔質膜
31 上部空間
33 下部空間
35 フランジ部
37 第1の穴
39 第2の穴
41,41A〜41C 第1の溝
43,43A,43B 第1の遮蔽シート
45 第3の穴
47 第4の穴
49,49A〜49C 第2の溝
51,51A,51B 第2の遮蔽シート
53,55 凹陥部
57 空気出口
59 液体注入口
61,61a,61b 隔膜
62 隔膜ホルダー
83 試料溶液補給路
85 空気抜き路
89 試料溶液補給管
93 試料溶液タンク
105 制御装置
V1〜V7 開閉弁
V8 開放弁
200 従来のマイクロポンプ
205 プラス電極
207 マイナス電極
209 多孔質膜
211 液体貯留空間
213 送液チューブ
215 下部空間
217 多孔質膜支持体
219 開口部
221 開口部
223 駆動液
225 試料液体

Claims (13)

  1. 貫通中空部を有する外殻と、該中空部の内部に、該中空部を上下に2分するように配置された、プラス電極とマイナス電極の間に間挿された多孔質膜とからなり、前記多孔質膜を通る電気浸透流効果を利用した微小流量用マイクロポンプにおいて、
    前記多孔質膜により2分された中空部の下部空間に連通する液体充填用バイパス流路が配設されており、かつ、前記下部空間から大気に連通する空気抜き流路が配設されていることを特徴とするマイクロポンプ。
  2. 前記下部空間の内側に開口した前記空気抜き流路の入口の前記下部空間の底面からの高さが、前記下部空間の内側に開口した前記バイパス流路の出口の前記下部空間の底面からの高さ以上であることを特徴とする請求項1記載のマイクロポンプ。
  3. 前記バイパス流路は、前記外殻の外部か又は外殻の壁内に形成され、前記空気抜き流路は前記外殻の外部か又は外殻の壁内に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロポンプ。
  4. 前記外殻の外部に形成される前記バイパス流路は、前記外殻の下部空間に貫通して配設されたバイパス流路出口となる第2の穴と、下側端が該第2の穴に連通する第1の溝と、前記第2の穴及び前記第1の溝を遮蔽する第1の遮蔽シートとから構成されており、前記第1の溝は、前記外殻の外壁面上か、又は前記第1の遮蔽シートの接着面側の何れかに形成されており、前記第1の溝の上側端は、外殻の上部空間に貫通して配設され、かつ前記第1の遮蔽シートにより遮蔽される第1の穴に連通するか、又は、前記第1の遮蔽シートの上端で大気に連通しており、
    前記外殻の外部に形成される前記空気抜き流路は、前記外殻の下部空間に貫通して配設された空気抜き流路入口となる第3の穴と、下側端が該第3の穴に連通する第2の溝と、前記第3の穴及び前記第2の溝を遮蔽する第2の遮蔽シートとから構成されており、前記第2の溝は、前記外殻の外壁面上か、又は前記第2の遮蔽シートの接着面側の何れかに形成されており、前記第2の溝の上側端は、外殻の上部空間に貫通して配設され、かつ前記第2の遮蔽シートにより遮蔽される第4の穴に連通するか、又は、前記第2の遮蔽シートの上端で大気に連通しており、
    前記第3の穴の前記下部空間の底面からの高さは、前記第2の穴の前記下部空間の底面からの高さ以上であり、
    前記第1の溝が前記第1の穴に連通し、前記第2の溝が前記第4の穴に連通する場合、下部空間底面からの第1の穴の位置は下部空間底面からの第4の穴の位置よりも低いことを特徴とする請求項3記載のマイクロポンプ。
  5. 前記外殻の壁内に形成される前記バイパス流路は、前記外殻の下部空間に配設されたバイパス流路出口となる第2の穴と、第1の溝とからなり、前記第1の溝の下側端は該第2の穴に連通しており、前記第1の溝の上側端は、前記外殻の上端面上で大気に連通するか、又は、前記外殻の上部空間内側に向かって開口するか若しくは前記外殻の外側に向かって開口する第1の穴に連通しており、
    前記外殻の壁内に形成される前記空気抜き流路は、前記外殻の下部空間に配設された空気抜き流路入口となる第3の穴と、第2の溝とからなり、前記第2の溝の下側端は該第3の穴に連通しており、前記第2の溝の上側端は、前記外殻の上端面上で大気に連通するか、又は、前記外殻の上部空間内側に向かって開口するか若しくは前記外殻の外側に向かって開口する第4の穴に連通しており、
    前記第3の穴の前記下部空間の底面からの高さは、前記第2の穴の前記下部空間の底面からの高さ以上であり、
    前記第1の溝が前記外殻の上部空間内側に向かって開口する前記第1の穴に連通し、前記第2の溝が前記外殻の上部空間内側に向かって開口する前記第4の穴に連通する場合、下部空間底面からの第1の穴の位置は下部空間底面からの第4の穴の位置よりも低いことを特徴とする請求項3記載のマイクロポンプ。
  6. 前記下部空間の内側に開口した前記空気抜き流路の入口(第3の穴)の内径が、前記下部空間の内側に開口した前記バイパス流路の出口(第2の穴)の内径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のマイクロポンプ。
  7. 前記第1の溝及び第2の溝の形状は、直線状及び蛇行状からなる群から選択される何れかの形状であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のマイクロポンプ。
  8. 前記外殻がポリジメチルシロキサン(PDMS)又はガラスから形成されており、前記第1の遮蔽シート及び第2の遮蔽シートがPDMSから形成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のマイクロポンプ。
  9. 前記外殻の下部空間の端部付近に、前記下部空間を閉塞する隔膜を更に有することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のマイクロポンプ。
  10. 貫通中空部を有する外殻と、該中空部の内部に、該中空部を上下に2分するように配置された、プラス電極とマイナス電極の間に間挿された多孔質膜とからなり、前記多孔質膜を通る電気浸透流効果を利用した微小流量用マイクロポンプにおいて、
    前記多孔質膜により2分された中空部の上部空間の端部付近に前記上部空間を密封する隔膜を有し、かつ、多孔質膜により2分された中空部の下部空間の端部付近に前記下部空間を密封する隔膜を有し、前記密封された上部空間及び下部空間内にはそれぞれ所定量の駆動液が充填されていることを特徴とするマイクロポンプ。
  11. 1個以上の大気に向かって開口したポートと、該ポートに連通する微細流路を有するポリジメチルシロキサン製基板と、該ポリジメチルシロキサン製基板の微細流路形成面に貼り合わされる対面基板とからなるマイクロ流体チップにおいて、
    前記ポートのうちの少なくとも1個のポートの開口上面に、請求項1〜10の何れかに記載のマイクロポンプを着脱可能に載置したことを特徴とするマイクロ流体チップ。
  12. 前記開口ポートが形成されている基板に、前記開口ポート内に試料溶液を補給するための試料溶液補給路と、前記開口ポート内の空気を抜くための空気抜き路が更に形成されていることを特徴とする請求項11に記載のマイクロ流体チップ。
  13. 前記試料溶液補給路には、開閉弁と、試料溶液タンクから前記ポート内に試料溶液を送液する補給ポンプとが設けられ、試料溶液補給時に、前記開閉弁と前記補給ポンプとを操作する制御装置が更に設けられていることを特徴とする請求項12記載のマイクロ流体チップ。
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