JP4521531B2 - 不斉アシル化触媒及び光学分割方法 - Google Patents

不斉アシル化触媒及び光学分割方法 Download PDF

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Description

本発明は、ラセミの2級アルコールを光学分割する際に用いられる不斉アシル化触媒、及びこの不斉アシル化触媒を用いたラセミの2級アルコールの光学分割方法に関する。
従来より、光学活性アルコールは、医農薬や食品化学などの分野で重要な有機中間体として用いられている。このため、このような光学活性アルコールを効率よく入手し得る手法の開発が有機合成化学における重要なテーマとなっている。その手法の一つとして、ラセミアルコールを速度論的光学分割により光学活性アルコールを得る手法が知られている。これまでは、ラセミアルコールの速度論的光学分割には、リパーゼやエステラーゼのような酵素を用いることが多かったが、近年、酵素によらず人工的に合成した化合物を用いる試みがなされている。例えば、4−ジアルキルアミノピリジン骨格やN−アルキルイミダゾール骨格を有するキラルな不斉アシル化触媒を合成し、この不斉アシル化触媒とアキラルな酸無水物とを用いてラセミアルコールの不斉アシル化を行うことにより、ラセミアルコールを酵素によらずに速度論的に光学分割することが、非特許文献1,2に報告されている。
アドバンスト・シンセシス・アンド・キャタリシス(Adv.Synth.Catal.),2001,vol.343,p5 テトラヘドロン:アシンメトリ(Tetrahedron:Asymmetry),2003,vol.14,p1407
しかしながら、これまでに知られているキラルな不斉アシル化触媒は、例えばペプチド触媒のように複雑な構造を持つものであったり容易に合成できないものであったりしたため、比較的シンプルな構造でありながらラセミアルコールを高エナンチオ選択的にアシル化することのできる不斉アシル化触媒の開発が望まれていた。
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、比較的シンプルな構造でありながらラセミの2級アルコールを高エナンチオ選択的にアシル化することのできる不斉アシル化触媒を提供することを目的の一つとする。また、この不斉アシル化触媒を用いてラセミの2級アルコールを高選択的に光学分割することのできる光学分割方法を提供することを目的の一つとする。
上述した課題を解決するために、本発明者は、ヒスチジン由来の不斉アシル化触媒によるラセミの2級アルコールの光学分割手法について鋭意研究を行った結果、比較的シンプルな構造でありながらラセミの2級アルコールを高エナンチオ選択的にアシル化することのできる不斉アシル化触媒を見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の不斉アシル化触媒は、ラセミの2級アルコールを光学分割する際に用いられる不斉アシル化触媒であって、下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 0004521531
(式(1)中、R1は炭化水素基であり、R2はアリール基であり、Aは三置換シロキシ基、二置換アミノ基又はアシロキシ基であり、*は不斉炭素であり光学活性点である)
本発明の不斉アシル化触媒によれば、ヒスチジンから誘導することができる比較的シンプルな構造でありながら、酸無水物由来の酸によりラセミの2級アルコールのうち一方のエナンチオマーの2級アルコールを高選択的にエステル化することができる。ここで、本発明の不斉アシル化触媒は、イミダゾールの3位のNが酸無水物を求核攻撃してその酸のカルボニル炭素と結合すると考えられる。つまり、イミダゾールの3位のNが触媒活性部位と考えられる。また、本発明のアシル化触媒は、このイミダゾールの3位のNから適度な位置に不斉炭素(式(1)の*印の炭素)を有している。このため、式(1)において、R2にアリール基を導入し、Aに三置換シロキシ基、二置換アミノ基又はアシロキシ基のいずれかを導入することにより、触媒活性部位での不斉反応場が構築され、ラセミの2級アルコールの高選択的なアシル化が実現されるものと考えられる。
式(1)のR1の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基などの脂肪族、脂環族の飽和又は不飽和の炭化水素基;フェニル基、o−,m−又はp−トリル基、2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−又は3,5−キシリル基、ナフチル基などの単環又は多環の芳香族炭化水素基;さらにアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等の置換基をもつこれらの炭化水素基などが挙げられる。このうち、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基又はt−ブチル基が好ましい。
式(1)のR2のアリール基は、置換基を有するアリール基であってもよいし置換基を有さないアリール基であってもよい。また、このアリール基は、単環式であってもよいし多環式であってもよい。例えば、フェニル基やナフチル基のほか、これらにアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等の置換基を1以上有するものであってもよい。具体的には、2−,3−又は4−メチルフェニル基、2−,3−又は4−エチルフェニル基、2−,3−又は4−n−プロピルフェニル基、2−,3−又は4−イソプロピルフェニル基、2−,3−又は4−n−ブチルフェニル基、2−,3−又は4−イソブチルフェニル基、2−,3−又は4−t−ブチルフェニル基などのアルキルフェニル基;2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−又は3,5−ジメチルフェニル基、2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−又は3,5−ジエチルフェニル基、2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−又は3,5−ジ−n−プロピルフェニル基、2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−又は3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−又は3,5−ジ−n−ブチルフェニル基、2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−又は3,5−ジイソブチルフェニル基、2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−又は3,5−s−ブチルフェニル基、2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−又は3,5−ジ−t−ブチルフェニル基などのジアルキルフェニル基;2,3,4−,2,3,5−,2,3,6−,2,4,5−,2,4,6−,又は3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4−,2,3,5−,2,3,6−,2,4,5−,2,4,6−又は3,4,5−トリエチルフェニル基、2,3,4−,2,3,5−,2,3,6−,2,4,5−,2,4,6−又は3,4,5−トリ−n−プロピルフェニル基、2,3,4−,2,3,5−,2,3,6−,2,4,5−,2,4,6−又は3,4,5−トリイソプロピルフェニル基、2,3,4−,2,3,5−,2,3,6−,2,4,5−,2,4,6−又は3,4,5−トリ−n−ブチルフェニル基、2,3,4−,2,3,5−,2,3,6−,2,4,5−,2,4,6−又は3,4,5−トリイソブチルフェニル基、2,3,4−,2,3,5−,2,3,6−,2,4,5−,2,4,6−又は3,4,5−トリ−s−ブチルフェニル基、2,3,4−,2,3,5−,2,3,6−,2,4,5−,2,4,6−又は3,4,5−トリ−t−ブチルフェニル基などのトリアルキルフェニル基;2−,3−又は4−クロロフェニル基、2−,3−又は4−ブロモフェニル基などのモノハロゲノフェニル基;2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−又は3,5−ジクロロフェニル基、2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−又は3,5−ジブロモフェニル基などのジハロゲノフェニル基;2,3,4−,2,3,5−,2,3,6−,2,4,5−,2,4,6−又は3,4,5−トリクロロフェニル基、2,3,4−,2,3,5−,2,3,6−,2,4,5−,2,4,6−又は3,4,5−トリブロモフェニル基などのトリハロゲノフェニル基などが挙げられる。このうち、2,4,6位に置換基を有するフェニル基が好ましく、このときの置換基は、2つ以上が同じであってもよいしそれぞれが異なっていてもよく、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等の中から選ぶことができるが、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基等の分岐を有するアルキル基が好ましい。つまり、R2のアリール基としては、2,4,6−トリイソプロピルフェニル基、2,4,6−トリイソブチルフェニル基、2,4,6−トリ−s−ブチルフェニル基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル基、2,4,6−トリイソペンチルフェニル基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル基などが好ましい。
式(1)のAは三置換シロキシ基であってもよい。この三置換シロキシ基のうちケイ素に結合した三つの置換基は、少なくとも一つがアリール基であることが好ましい。ここで、アリール基は、置換基(例えばアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等)を1以上有するアリール基であってもよいし置換基を有さないアリール基であってもよい。また、このアリール基は、単環式であってもよいし多環式であってもよい。例えば、フェニル基やナフチル基のほか、これらにアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等の置換基を1以上有するものであってもよい。あるいは、三置換シロキシ基のうちケイ素に結合した三つの置換基は、少なくとも一つが分岐を有するアルキル基であることが好ましい。ここで、分岐を有するアルキル基は、分岐を有する炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜5)のアルキル基であってもよい。例えば、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基などのほか、これらにアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等の置換基を1以上有するものであってもよい。
三置換シロキシ基としては、具体的には、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、トリ−n−プロピルシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基、トリ−n−ブチルシロキシ基、トリイソブチルシロキシ基、トリ−s−ブチルシロキシ基、トリ−t−ブチルシロキシ基、トリイソペンチルシロキシ基、トリ−t−ペンチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基、ジフェニル−t−ブチルシロキシ基、ジ−t−ブチルフェニルシロキシ基、ジフェニル−t−ペンチルシロキシ基、ジ−t−ペンチルフェニルシロキシ基などが挙げられ、このうちトリ−t−ブチルシロキシ基、トリ−t−ペンチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基、ジフェニル−t−ブチルシロキシ基、ジ−t−ブチルフェニルシロキシ基、ジフェニル−t−ペンチルシロキシ基、ジ−t−ペンチルフェニルシロキシ基が好ましい。
また、三置換シロキシ基は、少なくとも一つの置換基がポリマーであってもよい。この場合、不斉アシル化反応の終了後に固形の不斉アシル化触媒をろ過等により回収し、次の不斉アシル化反応に再利用することができる。ポリマーとしては、不斉アシル化反応に影響を与えないものであれば特に限定されないが、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレングリコール樹脂などが挙げられる。
式(1)のAは二置換アミノ基であってもよい。窒素に結合した二つの置換基は、両方とも同じアルキル基であってもよいし、それぞれ異なるアルキル基であってもよいし、二つが結合して炭素鎖を形成していてもよい。ここで、アルキル基は、置換基(例えばアルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等)を1以上有するアルキル基であってもよいし、置換基を有さないアルキル基であってもよい。また、アルキル基は、分岐を有していてもよいし、分岐を有さない直鎖であってもよい。なお、炭素数は1〜10であることが好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基などが挙げられる。また、二つの置換基が結合して炭素鎖を形成する場合には含窒素複素環を形成することになるが、この含窒素複素環としてはピロリジン、ピペリジンなどが挙げられる。
また、二置換アミノ基は、少なくとも一つの置換基がポリマーであってもよい。この場合、不斉アシル化反応の終了後に固形の不斉アシル化触媒をろ過等により回収し、次の不斉アシル化反応に再利用することができる。ポリマーとしては、不斉アシル化反応に影響を与えないものであれば特に限定されないが、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレングリコール樹脂などが挙げられる。
式(1)のAはアシロキシ基であってもよい。このアシロキシ基には、カルボニル炭素に分岐を有するアルキル基、脂環式炭化水素基、アリール基又はアリールアルキル基が結合していてもよく、これらの基は、さらに置換基(例えばアルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等)を1以上有していてもよい。このようなアシロキシ基としては、例えば、カルボニル炭素にイソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基などの分岐を有するアルキル基が結合したもの;カルボニル炭素にシクロペンチル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基などの脂環式炭化水素基が結合したもの;カルボニル炭素にフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのアリール基が結合したもの;カルボニル炭素にジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基などのアリールアルキル基が結合したものなどが挙げられる。
また、アシロキシ基は、少なくとも一つの置換基がポリマーであってもよい。この場合、不斉アシル化反応の終了後に固形の不斉アシル化触媒をろ過等により回収し、次の不斉アシル化反応に再利用することができる。ポリマーとしては、不斉アシル化反応に影響を与えないものであれば特に限定されないが、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレングリコール樹脂などが挙げられる。
本発明の不斉アシル化触媒によるラセミアルコールの光学分割方法は、次のようにして行う。即ち、ラセミの2級アルコールと、該ラセミの2級アルコールに対して実質的に0.5等量の酸無水物と、上述した不斉アシル化触媒とを非極性溶媒中で反応させることにより、酸無水物由来の酸によりラセミの2級アルコールのうち一方のエナンチオマーの2級アルコールを選択的にエステル化して光学分割を行う。この光学分割方法によれば、ヒスチジンから誘導される比較的シンプルな構造の不斉アシル化触媒を用いることにより、酸無水物由来の酸によりラセミの2級アルコールを高エナンチオ選択的にエステル化して光学分割することができる。
また、不斉アシル化触媒の式(1)におけるAが三置換シロキシ基のケイ素にポリマーが結合したもの、二置換アミノ基の窒素にポリマーが結合したもの、又はアシロキシ基のカルボニル炭素にポリマーが結合したものである場合、次のようにして光学分割を行うこともできる。即ち、
(a)ラセミの2級アルコールと、該ラセミの2級アルコールに対して実質的に0.5等量の酸無水物と、請求項9に記載の不斉アシル化触媒とを非極性溶媒中で反応させることにより、前記酸無水物由来の酸により前記ラセミの2級アルコールのうち一方のエナンチオマーの2級アルコールを選択的にエステル化して光学分割を行う工程と、
(b)前記工程(a)の終了後反応混合液から前記不斉アシル化触媒を回収する工程と、
(c)前記工程(b)で回収した不斉アシル化触媒を再利用して前記工程(a)と同様の光学分割を行う工程と、
を含むようにする。
この場合、工程(a)を終えたあと工程(b)、工程(c)、工程(b)、工程(c)、……というように工程(b),(c)を繰り返し実行してもよい。この光学分割方法によれば、不斉アシル化反応の終了後に固形の不斉アシル化触媒をろ過等により回収し、次の不斉アシル化反応に再利用することができるため、経済的に優れている。
本発明の光学分割方法では、基質であるラセミの2級アルコールとして、1,2−ジオールであって一方の水酸基の酸素にカルボニル基が結合したものや、1,2−アミノアルコールであってアミノ基の窒素にカルボニル基が結合したものや、2-ヒドロキシカルボン酸または3-ヒドキシカルボン酸であってカルボン酸部位がエステル結合またはアミド結合したもの等を採用することができる。1,2−ジオールや1,2−アミノアルコール、2−ヒドロキシカルボン酸及び3−ヒドロキシカルボン酸は、基本骨格が脂環式炭化水素であってもよいし鎖状炭化水素であってもよい。
ラセミの2級アルコールは、シス−1,2−ジオールであって一方の水酸基の酸素にベンゾイル基が結合しているものが好ましい。このベンゾイル基は、置換基(例えばアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等)を1以上有するベンゾイル基であってもよいし、置換基を有さないベンゾイル基であってもよい。置換基を有するベンゾイル基としては、例えば、o−位及び/又はp−位に電子供与基を有するベンゾイル基が好ましく、例えばp−アルコキシベンゾイル基やp−ジアルキルアミノベンゾイル基などが挙げられる。あるいは、シス−1,2−ジオールであって一方の水酸基の酸素に−C(=O)NR34(R3,R4は同じであっても異なっていてもよいアルキル基、又は互いに結合して炭素鎖を形成する)が結合しているものが好ましい。このとき、−NR34としては、ジメチルアミノ(−NMe2)、ジエチルアミノ(−NEt2)、エチルメチルアミノ(−NEtMe)、ジ−n−プロピルアミノ(−N−nPr2)、ジイソプロピルアミノ(−N−iPr2)、ピロリジル(−N[(CH24])、ピペリジル(−N[(CH25])などが好ましく、ピロリジルが特に好ましい。
本発明の光学分割方法で使用する不斉化アシル触媒の量は、特に限定されないが、例えば、基質であるラセミの2級アルコールに対して0.1〜10.0モル%が好ましく、1.0〜5.0モル%がより好ましい。
本発明の光学分割方法で使用する酸無水物としては、特に限定されないが、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、イソ酪酸無水物などが挙げられ、このうちイソ酪酸無水物が好ましい。この酸無水物の使用量は、基質であるラセミの2級アルコールには2種類のエナンチオマーが存在し、その一方のエナンチオマーのみこの酸無水物由来の酸でエステル化することを考慮すれば、基質に対して実質的に0.5当量用いればよいことになる。なお、反応進行に伴って生成する酸無水物由来の酸を中和するための塩基を反応系内に入れておくことが好ましい。この塩基としては求核性を有しない有機塩基(例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなど)が好ましい。
本発明の光学分割方法で使用する非極性溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、四塩化炭素などの四ハロゲン化炭素又はこれらのうちの2種以上を混合した溶媒などが挙げられる。ここでは、芳香族炭化水素や四ハロゲン化炭素が好ましく、四ハロゲン化炭素がより好ましい。
本発明の光学分割方法の反応温度は、・20℃〜40℃で行うことが好ましく、0℃〜25℃で行うことがより好ましい。反応時間は、反応基質濃度や温度等の反応条件によっても異なるが、通常は数分から数日である。反応の進行具合は、TLCやHPLCで追跡することができる。反応終了後の後処理は、酸無水物によるエステル化反応の通常の後処理を採用することができる。例えば、まず酸を加えることによりエステル化反応を停止させ、続いて酢酸エチル等の適切な有機溶媒を用いて抽出操作を行うことにより目的物(ラセミの2級アルコールのうちエステル化された一方のエナンチオマーとエステル化されなかったもう一方のエナンチオマー)を有機相に移す。そして、有機相を重曹水や無水硫酸ナトリウムなどで乾燥し減圧濃縮したあとカラムを通すことによりエステル化された一方のエナンチオマーとエステル化されなかったもう一方のエナンチオマーを分離する。
本発明の不斉アシル化触媒によれば、比較的シンプルな構造でありながらラセミの2級アルコールを高選択的に光学分割することができる。
[合成例1]N(π)−メチル−L−ヒスチジノールの合成
キラル求核触媒の基本骨格となるN(π)−メチル−L−ヒスチジノールを、既存の合成法(Tetrahedron Lett.1989,vol30,p2145−2148)にならって合成した。まず、光学活性な天然物のL−ヒスチジンをメタノール中で塩化チオニル存在下、12時間還流することによりL−ヒスチジンのカルボン酸をメチルエステルにした。続いて、クロロホルム中で塩化ベンゾイルとトリエチルアミンの存在下、0℃で3時間反応させることによりアミノ酸部分の窒素にベンゾイル基を導入してアミドにすると共にイミダゾールの3位の窒素にもベンゾイル基を導入した。その後、精製することなくニトロメタン溶媒中でテトラフルオロホウ酸トリメチルオキソニウムと15時間室温反応させることによりイミダゾールの1位の窒素にメチル基を導入したあと、系中に水を加えてイミダゾールの3位の窒素上のベンゾイル基を加水分解し、更に水素化リチウムアルミニウムによりメチルエステルをアルコールに還元し、最後に塩酸によりアミドを加水分解することにより、N(π)−メチル−L−ヒスチジノールを高収率で合成した。
[合成例2]ラセミアルコールの速度論的光学分割
溶媒(2.5mL)にラセミアルコール(0.25mmol)と不斉アシル化触媒(0.0125mmol)を加えた混合液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(21.8mL,0.125mmol)とイソ酪酸無水物(20.7mL,0.125mL)を加えた。その後、所定の反応温度で所定の反応時間だけ攪拌した後、0.1M塩酸水溶液で反応を止め、酢酸エチルで抽出した。更に、有機相(酢酸エチル相)を飽和重曹水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。回収された未反応のアルコールとアシル化生成物のee(%)はキラルカラムによるHPLC分析により決定した。アルコールからアシル化体への変換率C及びS値(kfast/kslow)はKaganらの方法(Top.Stereochem.,1988,vol18,p249)によって次のように算出した。変換率C(%)=[回収アルコールのee]/[回収アルコールのee+アシル化体のee],S=[ln(1−C)(1−回収アルコールのee)]/[ln(1−C)(1+回収アルコールのee)]。
[1]各種触媒によるラセミアルコールの速度論的光学分割(実験例1〜11)
[実験例1]
N(π)−メチル−L−ヒスチジノールから、(1S)−N−[1−ジメチルアミノメチル−2−(3’−メチル−3’H−イミダゾル−4’−イル)エチル]−p−トルエンスルホンアミド(表1における実験例1の不斉アシル化触媒)を合成した。まず、N(π)−メチル−L−ヒスチジノール(620mg,1mmol)(合成例1参照)のピリジン(5mL)溶液にp−トルエンスルホニルクロリド(477mg,2.5mmol)を加え、室温で5時間攪拌した。その後、溶媒を減圧除去し、残った粗生成物を酢酸エチルで薄めた。この有機相を水と塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過し、そのろ液を減圧濃縮した。続いて、得られた粗生成物をジメチルアミンのTHF(2M,5mL,10mmol)溶液に溶かし、室温で5時間攪拌した。その後、溶媒を減圧除去し、残った粗生成物をカラムクロマトグラフィ(富士シリシア化学製、商品名Cromatorex NH−DM1020)を用いて酢酸エチル−メタノールの混合溶液で展開することにより精製した。47%収率;白色固体;[α]D 20=169.0(c=0.1,CHCl3);1H NMR(300MHz,CDCl3) d 1.85(s,3H),2.14(dd,J= 5.3,12.5Hz,1H),2.21(dd,J= 9.2,12.5Hz,1H),2.43(s,3H),2.84(dd,J= 9.0,16.1 Hz,1H),3.06−3.14(m,2H),3.65(s,3H),5.50(brs,1H),7.72(s,1H),7.32(d,J= 8.2,2H),7.37 (s,1H),7.76(d,J= 8.2Hz,2H);MS(FAB+)[M+H]+m/z337.このようにして得られた不斉アシル化触媒を用いて、ラセミアルコールである(±)−シス−1−[p−(ジメチルアミノ)ベンゾイルオキシ]−2−シクロヘキサノールの速度論的光学分割を合成例2にならって行った。ここでは、合成例2において、溶媒としてトルエンを使用し、反応温度を室温、反応時間を3時間とした。その結果を表1に示す。
なお、HPLC(ダイセル化学製、商品名Daicel Chiralcel OD−H,ヘキサン:2−プロパノール=20:1、流量1.0mL/min)での光学分割後のエステルの保持時間tRは9.4min((1R,2S),minor)、12.1min((1S,2R),major)であり、アルコールの保持時間tRは26.9min((1R,2S),minor)、55.5min((1S,2R),major)であった。
[実験例2,4〜7]
実験例1のp−トルエンスルホニルクロリドの代わりに2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニルクロリド、ブロモベンゼンスルホニルクロリド、ナフタレンスルホニルクロリドを用いて、表1における実験例2,4,5の不斉アシル化触媒を合成した。また、実験例1のp−トルエンスルホニルクロリドの代わりに2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニルクロリドを用いると共に、ジメチルアミンの代わりにピロリジン、ビピペリジンを用いて、表1における実験例6,7の不斉アシル化触媒を合成した。そして、これらの不斉アシル化触媒を用いて、実験例1と同じラセミアルコールの速度論的光学分割を合成例2にならって行った。ここでは、合成例2において、溶媒としてトルエンを使用し、反応温度を室温、反応時間を3時間とした。これらの結果も表1に示す。
[実験例3]
N(π)−メチル−L−ヒスチジノールから、N(π)−メチル−N(α)−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−L−ヒスチジノールを合成した。まず、N(π)−メチル−L−ヒスチジノール(621mg,4.0mmol)(合成例1参照)のピリジン(20mL)溶液に、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(1.67g,5.5mmol)を0℃で加え、室温に昇温した後、5時間攪拌した。反応後、減圧濃縮してピリジンを除き、酢酸エチルで薄めた。この有機相(酢酸エチル相)を水と塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(富士シリシア化学製、商品名Cromatorex NH−DM1020)を用いて酢酸エチルで展開することにより精製した。白色固体(838mg,2.0mmol,収率50%):[α]D 20 =20.4(c=1.0,CHCl3);1H NMR(300MHz,CDCl3) δ1.248(d,J=6.9Hz,12H),1.255(d,J=6.9Hz,6H),2.75−3.02(m,3H),3.42−3.52(m,3H),3.53(s,3H),4.13(septet,J=6.9Hz,2H),5.72(d,J=6.6Hz,1H),6.58(s,1H), 7.16(s,2H),7.27(s,1H);MS(FAB+)[M+H]+m/z422.
次に、N(π)−メチル−N(α)−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−L−ヒスチジノールから、(1’S)−N−[1’−ジメチルアミノメチル−2’−(3”−メチル−3”H−イミダゾル−4”−イル)エチル]−2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホンアミド(表1における実験例3の不斉アシル化触媒)を合成した。まず、N(π)−メチル−N(α)−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−L−ヒスチジノール(843mg,2mmol)のピリジン(5mL)溶液にp−トルエンスルホニルクロリド(477mg,2.5mmol)を加え、室温で5時間攪拌した。その後、溶媒を減圧除去し、残った粗生成物を酢酸エチルで薄めた。この有機相(酢酸エチル相)を水と塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過し、そのろ液を減圧濃縮した。続いて、得られた粗生成物をジメチルアミンのTHF(2M,5mL,10mmol)溶液に溶かし、室温で5時間攪拌した。その後、溶媒を減圧除去し、残った粗生成物をカラムクロマトグラフィ(富士シリシア化学製、商品名Cromatorex NH−DM1020)を用いてヘキサン−酢酸エチルの1:1混合溶液で展開することにより精製した。25%収率;白色固体;[α]D 20 =67.8(c=1.0,CHCl3);1H NMR(300MHz,CDCl3) d1.24(d,J=6.9Hz,6H),1.28(d,J=6.9Hz,6H),1.29(d,J=6.9 Hz,6H),1.88(s,6H),2.19(d,J= 6.9Hz,2H),2.83−2.93(m,2H),3.09(dd,J= 2.7,15.3Hz,1H), 3.40−3.52(m,1H),3.68(s,3H),4.15(septet, J=6.9Hz,2H),5.45(brs,1H),6.74(s,1H),7.18 (s 2H),7.39(s,1H);MS(FAB+)[M+H]+ m/z449.このようにして得られた不斉アシル化触媒を用いて、実験例1と同じラセミアルコールの速度論的光学分割を合成例2にならって行った。ここでは、合成例2において、溶媒としてトルエンを使用し、反応温度を室温、反応時間を3時間とした。その結果を表1に示す。
[実験例8]
N(π)−メチル−N(α)−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−L−ヒスチジノールから、(S)−1−(t−ブチルジフェニルシロキシ)−3−(3’−メチル−3’H−イミダゾル−4’−イル)−2−(2”,4”,6”−トリイソプロピルベンゼンスルホニルアミノ)プロパン(表1における実験例8の不斉アシル化触媒)を合成した。まず、N(π)−メチル−N(α)−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−L−ヒスチジノール(401mg,0.95mmol)(実験例7の前段部分参照)のDMF(5mL)溶液に0℃でt−ブチルクロロジフェニルシラン(304μL,1.17mmol)とイミダゾール(163mg,2.4mmol)を加えた。室温まで昇温し6時間攪拌した後、溶媒を減圧除去し粗生成物を得た。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(富士シリシア化学製、商品名Cromatorex NH−DM1020)を用いてヘキサン−酢酸エチル1:1混合溶液で展開することにより精製した。白色固体(615mg,0.93mmol,98%収率):[α]D 20=4.8(c=1.0,CHCl3);1H NMR(300MHz,CDCl3) d 1.05(s,9H),1.20(d,J=6.9Hz,6H),1.23(d,J=6.9Hz,6H),1.25(d,J=6.9Hz,6H),2.80−3.02(m,3H),3.43(s,3H),3.61(brs,3H),4.10(septet,J=6.9Hz,2H),4.95−5.15(br,1H),6.48(s,1H),7.08(s,2H),7.26−7.44(m,8H),7.52−7.68(m,5H);MS(FAB+)[M+H]+m/z660.このようにして得られた不斉アシル化触媒を用いて、実験例1と同じラセミアルコールの速度論的光学分割を合成例2にならって行った。ここでは、合成例2において、溶媒としてトルエンを使用し、反応温度を室温、反応時間を3時間とした。その結果を表1に示す。
[実験例9]
N(π)−メチル−N(α)−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−L−ヒスチジノール(422mg,1mmol)(実験例7の前段部分参照)のクロロホルム(10mL)溶液に0℃でイソ酪酸クロリド(1mmol)とトリエチルアミン(101μl,1mmol)を加えた。反応溶液を室温まで昇温し、6時間攪拌した後、溶媒を減圧除去し、残った粗生成物をカラムクロマトグラフィ(富士シリシア化学製、商品名Cromatorex NH−DM1020)を用いて酢酸エチル−メタノールの混合溶液で展開することにより精製し、表1における実験例9の不斉アシル化触媒を得た。29%収率;白色固体;[α]D 20=15.2(c=1.0,CHCl3);1H NMR(300MHz,CDCl3) d 0.99(d,J= 7.2Hz,3H),1.04(d,J= 7.2Hz,3H),1.19−1.26(m,18H),2.18(septet,J=7.2Hz,1H),2.84−2.95(m,2H),3.01(dd,J= 8.0,15.5Hz,1H),3.65(s,3H),3.74−3.84 (m,1H),3.95(dd,J= 6.5,11.3Hz,1H),4.05(dd,J= 4.7,11.3Hz,1H),4.17(septet,J=6.6Hz,2H),6.65(s,1H),6.70(d,J= 8.1 Hz,1H),7.15(s,1H),7.33(s,1H);MS(FAB+)[M+H]+m/z492.そして、この不斉アシル化触媒を用いて、実験例1と同じラセミアルコールの速度論的光学分割を合成例2にならって行った。ここでは、合成例2において、溶媒としてトルエンを使用し、反応温度を室温、反応時間を3時間とした。この結果も表1に示す。
[実験例10]
実験例9のイソ酪酸クロリドの代わりに1−アダマンタンカルボン酸クロリドを用いることにより、表1における実験例10の不斉アシル化触媒を得た。59%収率;白色固体;[α]D 20=20.6(c=1.0,CHCl3);1H NMR(300MHz,CDCl3) d 1.25(d,J=6.6Hz,12H),1.27(d,J=6.6Hz,6H),1.65(d,J=12.3Hz,3H),1.72(d,J= 12.3 Hz,3H),1.82(d,J= 2.1Hz,6H),1.99(brs,3H),2.84−3.02(m 3H),3.60(s,3H),3.72−3.82(m,1H),3.90(dd,J= 4.5,11.4Hz,1H),3.99(dd,J= 4.8,11.4Hz,1H),4.14(septet,J=6.6Hz,2H),5.79(brs,1H),6.72(s,1H),7.16(s,2H),7.35(s,1H); MS(FAB+)[M+H]+m/z584.そして、この不斉アシル化触媒を用いて、実験例1と同じラセミアルコールの速度論的光学分割を合成例2にならって行った。ここでは、合成例2において、溶媒としてトルエンを使用し、反応温度を室温、反応時間を3時間とした。この結果も表1に示す。
[実験例11]
実験例9のイソ酪酸クロリドの代わりにトリフェニル酢酸クロリドを用いることにより、表1における実験例11の不斉アシル化触媒を得た。21%収率;白色固体;[α]D 20=4.3(c=1.0,CHCl3);1H NMR(300MHz,CDCl3) d 1.20(d,J=6.6Hz,12H),1.26(d,J=6.6Hz,6H),2.44−2.58(m,2H),2.90(septet,J=6.6Hz,1H),3.34(s,3H),3.52−3.66(m,1H),3.96−4.16(m,5H),5.35(d,J= 8.7Hz,1H),6.42(s,1H),7.10−7.40(m,18H); HRMS(FAB+)[M+H]+m/zcalcd for C425034S692.3522,obsd692.3535.そして、この不斉アシル化触媒を用いて、実験例1と同じラセミアルコールの速度論的光学分割を合成例2にならって行った。ここでは、合成例2において、溶媒としてトルエンを使用し、反応温度を室温、反応時間を3時間とした。この結果も表1に示す。
Figure 0004521531
表1から明らかなように、実験例1〜11の各種不斉アシル化触媒によれば、いずれもラセミアルコールを高いエナンチオ選択性でもって光学分割することができることがわかった。なかでも、実験例8の不斉アシル化触媒は一段と高いエナンチオ選択性が得られることがわかった(S値=23.9)。
[2]ラセミアルコールの速度論的光学分割における溶媒効果(実験例12〜16)
[実験例12〜16]
溶媒として、実験例12ではアセトニトリル、実験例13ではテトラヒドロフラン、実験例14ではジクロロメタン、実験例15ではトルエン、実験例16では四塩化炭素を使用し、それぞれ実験例8で合成した不斉アシル化触媒を用いて、実験例1と同じラセミアルコールの速度論的光学分割を合成例2にならって行った。ここでは、合成例2において、反応温度を室温、反応時間を3時間とした。その結果を表2に示す。表2の実験例12〜16から明らかなように、溶媒としてはトルエン、四塩化炭素が好ましいことがわかった。
Figure 0004521531
[3]各種ラセミアルコールの速度論的光学分割(実験例16〜19,20〜27)
[実験例16〜19]
実験例16では(±)−シス−1−[p−(ジメチルアミノ)ベンゾイルオキシ]−2−シクロヘキサノール、実験例17及び実験例18では(±)−シス−1−ジメチルカルバモイルオキシ−2−シクロヘキサノール、実験例19では(±)−シス−N−(2−ヒドロキシシクロヘキサノキシカルボニル)ピロリジンの速度論的光学分割を、それぞれ実験例8で合成した不斉アシル化触媒を用いて合成例2にならって行った。ここでは、合成例2において、溶媒として四塩化炭素を用い、反応温度を室温、反応時間を3時間とした。但し、実験例18,19では反応温度を0℃、反応時間を3時間とした。その結果を表2に示す。表2の実験例16〜19から明らかなように、シス−ジオール型の片方のアルコールにジメチルアミノベンゾイルを付加したラセミアルコール(実験例16)に比べて、シス−ジオール型の片方のアルコールにカルバモイルを付加したラセミアルコール(実験例17〜19)の方が、より高いエナンチオ選択性が得られた。とりわけ、速度論的光学分割のS値は劇的に向上した。また、S値は反応温度が室温の場合よりも0度の方が高い値を示した(実験例17,18)。
なお、実験例17,18において、HPLC(ダイセル化学製、商品名Daicel Chiralpack AD−H,ヘキサン:2−プロパノール=40:1、流量0.25mL/min)でのエステルの保持時間tRは57.8min((1S,2R),major)、61.0min((1R,2S),minor)であった。アルコールについてはHPLCのかわりにGC(カラムを東京化成工業製Chiraldex γ・TA;カラム温度110度、インジェクション温度140度、N2(80Pa))を用いて分析し、その保持時間tRは29.4min((1S,2R),minor)、31.6min((1R,2S),major)であった。
また、実験例19において、HPLC(ダイセル化学製、商品名Daicel Chiralpack AS−H,ヘキサン:2−プロパノール=20:1、流量0.5mL/min)でのエステルの保持時間tRは13.5min((1R,2S),minor)、14.5min((1S,2R),major)であり、HPLC(ダイセル化学製、商品名Daicel Chiralpack AD−H,ヘキサン:2−プロパノール=20:1、流量1.0mL/min)でのアルコールの保持時間tRは22.3min((1R,2S),major)、24.6((1S,2R),minor)であった。
[実験例20〜27]
表3に示した各種ラセミアルコールの速度論的光学分割を、それぞれ実験例8で合成した不斉アシル化触媒を用いて合成例2にならって行った。ここでは、合成例2において、反応温度を室温、反応時間を3時間とした。また、溶媒は、実験例23ではクロロホルムを2.5mL使用し、実験例27ではクロロホルム2.25mLと四塩化炭素1.25mLの混合溶媒を使用し、その他の実験例ではトルエンを2mL使用した。その結果を表3に示す。表3から明らかなように、環状1,2−ジオールの誘導体(実験例20,21)のみならず非環状1,2−ジオールの誘導体(実験例22)であっても、高いエナンチオ選択性が得られ、S値は20以上という高い値を示した。また、アミノアルコールの誘導体やヒドロキシカルボン酸の誘導体についても、好ましい結果が得られた(実験例23〜27)。
なお、表3のエステル及びアルコールの欄にはHPLCでの保持時間tR(min)を併せて示した。この保持時間tRは、実験例20〜22ではカラムをダイセル化学製Daicel Chiralpak OD−Hとし、展開溶媒をヘキサン:2−プロパノール=20:1とし、流速を1.0mL/minとした。また、実験例23ではカラムをダイセル化学製Daicel Chiralpak AD−Hとし、展開溶媒をヘキサン:2−プロパノール=9:1とし、流速を1.0mL/minとした。また、実験例24ではカラムをダイセル化学製Daicel Chiralpak AD−Hとし、展開溶媒をヘキサン:2−プロパノール=5:1とし、流速を1.0mL/minとした。また、実験例25ではHPLCのかわりにGC(カラムを東京化成工業製Chiraldex γ・TA;カラム温度120度、インジェクション温度150度、N2(100Pa))を用いて分析し、その保持時間tRを示した。また、実験例26ではカラムをダイセル化学製Daicel Chiralpak AD−Hとし、展開溶媒をヘキサン:2−プロパノール=20:1とし、流速を1.0mL/minとした。また、実験例27ではカラムをダイセル化学製Daicel Chiralpak AD−H(2本)とし、展開溶媒をヘキサン:2−プロパノール=5:1とし、流速を0.5mL/minとした。
Figure 0004521531
[4]ポリスチレン担持型触媒の再利用(実験例28)
ポリスチレン担持型触媒を次のようにして合成した。まず、(4−メトキシフェニル)ジイソプロピルシリルプロピルポリスチレン(212mg,0.297mmol,1.40mmol−Si/g,50−100メッシュ,1%ジビニルベンゼン含有スチレンの重合体をマトリックスとして使用)(Novabiochem社製)をSchreiberらの方法(J.Comb.Chem.,2001,vol3,p312)に従い、4%トリフルオロメタンスルホン酸のジクロロメタン溶液でシリルトリフラート樹脂に変換した。次に、窒素雰囲気下、シリルトリフラート樹脂に2,6−ルチジン(280mL,2.40mmol,8当量/Si)を加え15分間攪拌した後、N(π)−メチル−N(α)−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−L−ヒスチジノール(253mg,0.600mmol)(実験例7の前段部分参照)のジクロロメタン(0.6mL)溶液を加えた。室温で10時間攪拌した後、溶媒を除去し、ジクロロメタン、THF、THF/i−Pr2EtN,THF/i−PrOH,DMF,THFの順で洗浄し、表4に示すポリスチレン担持型触媒を得た。減圧乾燥して得られた樹脂の量が278mg(0.229mmol,0.824mmolイミダゾール/g)であったことから、77%の担持率であったことがわかる。
続いて、ポリスチレン担持型触媒を用いるラセミアルコールの速度論的分割及び触媒の回収・再利用を行った。まず、(±)−シス−1−[p−(ジメチルアミノ)ベンゾイル]−2−シクロヘキサノール(65.8mg,0.25mmol)とポリスチレン担持型触媒(15.2mg,0.0125mmol,0.824mmol/g)のトルエン混合液(2.5mL)に、i−Pr2EtN(21.8mL,0.125mmol)とイソ酪酸無水物(20.7mL,0.125 mmol)を加え室温で6時間攪拌した。ポリスチレン担持型触媒はろ過によって回収し、トルエンで洗浄した。こうして、この触媒を6回繰り返し用いて同じ反応を行った。その結果を表4に示す。この表4から明らかなように、回収・再利用による触媒活性及びエナンチオ選択性の低下は認められなかった。
Figure 0004521531
なお、本発明は上述した実験例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
本発明は、主に薬品化学産業に利用可能であり、例えば医薬品や農薬の中間体として利用される種々の光学活性な2級アルコールを合成する際に利用することができる。

Claims (16)

  1. ラセミの2級アルコールを光学分割する際に用いられる不斉アシル化触媒であって、
    下記一般式(1)で表される不斉アシル化触媒。
    Figure 0004521531
    (式(1)中、R1は炭化水素基であり、R2はアリール基であり、Aは三置換シロキシ基、二置換アミノ基又はアシロキシ基であり、*は不斉炭素であり光学活性点である)
  2. 式(1)中、R2は2,4,6位に置換基を有するフェニル基であって該置換基は2つ以上が同じであってもそれぞれ異なっていてもよい、請求項1に記載の不斉アシル化触媒。
  3. 式(1)中、R2は2,4,6位に置換基を有するフェニル基であって該置換基は分岐を有するアルキル基である、請求項2に記載の不斉アシル化触媒。
  4. 式(1)中、Aは三置換シロキシ基であってケイ素に結合した三つの置換基のうちの少なくとも一つはアリール基である、請求項1〜3のいずれかに記載の不斉アシル化触媒。
  5. 式(1)中、Aは三置換シロキシ基であってケイ素に結合した三つの置換基のうちの少なくとも一つは分岐を有するアルキル基である、請求項1〜4のいずれかに記載の不斉アシル化触媒。
  6. 式(1)中、Aは三置換シロキシ基であってケイ素に結合した三つの置換基はアリール基と分岐を有するアルキル基との組み合わせからなる、請求項1〜5のいずれかに記載の不斉アシル化触媒。
  7. 式(1)中、Aは二置換アミノ基であって窒素に結合した二つの置換基はそれぞれ同じであっても異なっていてもよいアルキル基であるか又は該二つの置換基は炭素鎖を形成している、請求項1〜3のいずれかに記載の不斉アシル化触媒。
  8. 式(1)中、Aはアシロキシ基であってカルボニル炭素に分岐を有するアルキル基、脂環式炭化水素基、アリール基又はアリールアルキル基が結合している、請求項1〜3のいずれかに記載の不斉アシル化触媒。
  9. 式(1)中、Aは三置換シロキシ基のケイ素にポリマーが結合したもの、二置換アミノ基の窒素にポリマーが結合したもの、又はアシロキシ基のカルボニル炭素にポリマーが結合したものである、請求項1〜3のいずれかに記載の不斉アシル化触媒。
  10. ラセミの2級アルコールと、該ラセミの2級アルコールに対して実質的に0.5当量の酸無水物と、請求項1〜9のいずれかに記載の不斉アシル化触媒とを非極性溶媒中で反応させることにより、前記酸無水物由来の酸により前記ラセミの2級アルコールのうち一方のエナンチオマーの2級アルコールを選択的にエステル化して光学分割を行う、光学分割方法。
  11. (a)ラセミの2級アルコールと、該ラセミの2級アルコールに対して実質的に0.5当量の酸無水物と、請求項9に記載の不斉アシル化触媒とを非極性溶媒中で反応させることにより、前記酸無水物由来の酸により前記ラセミの2級アルコールのうち一方のエナンチオマーの2級アルコールを選択的にエステル化して光学分割を行う工程と、
    (b)前記工程(a)の終了後反応混合液から前記不斉アシル化触媒を回収する工程と、
    (c)前記工程(b)で回収した不斉アシル化触媒を再利用して前記工程(a)と同様の光学分割を行う工程と、
    を含む、光学分割方法。
  12. 前記ラセミの2級アルコールは、1,2−ジオールであって一方の水酸基の酸素にカルボニル基が結合したものであるか、1,2−アミノアルコールであってアミノ基の窒素にカルボニル基が結合したものか、2-ヒドロキシカルボン酸または3-ヒドキシカルボン酸であってカルボン酸部位がエステル結合またはアミド結合したものである、請求項10又は11に記載の光学分割方法。
  13. 前記ラセミの2級アルコールは、シス−1,2−ジオールであって一方の水酸基の酸素にベンゾイル基が結合している、請求項12に記載の光学分割方法。
  14. 前記ラセミの2級アルコールは、シス−1,2−ジオールであって一方の水酸基の酸素にp−アルコキシベンゾイル基又はp−ジアルキルアミノベンゾイル基が結合している、請求項13に記載の光学分割方法。
  15. 前記ラセミの2級アルコールは、シス−1,2−ジオールであって一方の水酸基の酸素に−C(=O)NR34(R3,R4は同じであっても異なっていてもよいアルキル基、又は互いに結合して炭素鎖を形成する)が結合している、請求項10又は11に記載の光学分割方法。
  16. 前記非極性溶媒は、芳香族炭化水素又は四ハロゲン化炭素である、請求項10〜15のいずれかに記載の光学分割方法。
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