JP4516134B2 - 歯車及び歯車装置 - Google Patents

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本発明は、歯車の構造及び組合わせに関する
無段変速装置は効率の良い省エネ効果の高い変速装置として期待されている。ゴムベルト式やチェ−ン式,金属ベルト式,金属円板の接触摩擦式等の無段変速装置があり実用化が進んでおり,近年は特にハイブリッドカ−や将来の電気自動車の変速機として期待されている。
ベルト式の無段変速機が実用化された当初はコニカルプ−リ−を向かい合わせた2個の可変径プ−リ−に歯付ゴムベルトを架け,片方のコニカルプ−リ−の溝幅を変化させて見掛けのプ−リ−径を変化させ変速した。入力側のプ−リ−で引っ張って回転させるゴムベルト式やチェ−ン式は耐久性や騒音の問題で市場が縮小傾向にあり,現在の自動車に使われているベルト式無段変速装置は入力側のプ−リ−で金属コマを押し出すタイプの金属ベルト式が大勢を占め,現在排気量3.5リッタ−クラス程度までの乗用車に搭載されている。
金属ベルト式の場合は金属ベルトが直接動力を伝達するのではなく,金属ベルトに隙間無く取り付けられた金属のコマが金属ベルト上を滑って押し出され出力側のプ−リ−を押して回す構造で,プ−リ−の変径方法は電動モ−タ−や油圧により細かくコニカルプ−リ−の溝幅を変化させて制御される。何れの場合もベルトとプ−リ−の摩擦力を期待するため歯車のような噛み合いではないので強い摩擦力を作り出す圧力が別に必要で,摩耗や発熱を伴う。
金属円板の摩擦接触式のトロイダルCVTは形状の違いによりフルトロイダルとハ−フトロイダルの2つに分類される。入出力用の2枚の回転ディスク円板の間にソロバン玉の形をしたロ−ラ−を挟み押し付けながらロ−ラ−を傾斜させることでディスク円板の見掛けの回転径を変化させ,金属円盤同士の摩擦接触で動力を伝達する方法で,1877年に米国特許として登録され1920年代には自動車の変速機として試作されたが金属同士を圧接,回転させるので高熱が発生し摩擦損傷の問題になり量産化されるまでには至らなかった。
近年日本の自動車メ−カ−で開発されたトロイダルCVTは,金属同士の直接の摩擦接触による動力伝達ではなく,高圧になるとガラス状に固化し圧力が無くなると元の液状に戻る特殊な潤滑油を使用してディスクとロ−ラ−の間に油膜を作り,油膜の剪断力で伝達することで摩擦損傷の問題を解決している。この方法での油膜の厚さは0.4μm程度ときわめて薄く,且つディスクとロ−ラ−には3tonから10tonの高い圧力を掛ける必要があり,特殊な潤滑技術や金属材料の材質,高い精度の表面加工仕上げ等高度な技術が要求され広く一般化するまでには至っていない。
「NSK TECHNICAL JOURNAL No.669,670,671より抜粋 」日本精工(株) 平成13年 「クルマのメカ&仕組み図鑑」 (株)グランプリ出版 2003年 「機械設計製図便覧 第9版」 理工学社 1999年
摩擦力を利用した動力伝達装置では材質や加工技術,発熱,摩耗などの問題点に加え、伝達動力が大きくなると大きな摩擦力も必要になり,装置全体の形状や価格に実用上の制約があることが多いと予想されるので,摩擦力に頼らない構造の動力伝達装置を提案する。
リムに取り付けられた歯車の歯を,回転及び移動させることでピッチ円径及び歯厚を変化させ,ピッチ円径や歯溝幅が異なる歯車と噛み合わせることを可能にした。
回転(自転)することで噛み合い時の歯厚を変化させることができる歯を取り付け歯溝幅が連続して変化する歯車と組合わせることで,固定形状の歯車を組合わせ機械式の装置に比べ,小型で構造の簡単な装置となる。
また外部より中間ディスクに入力して回転させることで同回転方向で左右別々回転を取り出すことが可能となり,ノンスリップデフ機能を持つ自動車の差動装置としての利用等が可能である。
摩擦力に頼らない装置を提案するという目的を,歯車同士が噛み合う構造にすることにより可能にした。
1本の軸(1)にそれぞれ独立して回転する入出力用円錐台形の歯車(2)(19),2個の円錐台形の歯車を背中合わせで1体形にした歯車を含む複数の円錐台形の歯車(16)(以下ディスク)と,隣り合うディスクの間に回転を伝達するための半球形の中間歯車(7)を取り付けて挟んだ装置で,
ディスク(2)(19)は底部円盤と頂部円盤の中心を回転軸芯が貫いた円錐台形で,斜面の断面形状は円弧状で斜面表面は半球形の中間歯車(7)に取り付けられ回転することで歯厚が連続的に変化する回転歯(4)と噛み合う歯及び歯溝をディスクの回転軸(1)芯を中心に放射状に等間隔に設ける。
2個のディスク(2)(19)の回転軸(1)芯を合わせセパレ−タ(17)を挟んでディスクの頂部円盤分部を向かい合わせ,できた半円状断面の溝に半球形状の中間歯車本体(7)を,中間歯車本体の回転軸芯がディスク(2)(19)の回転軸(1)芯に直角になるようにセパレ−タ(17)に取り付け,中間歯車本体(7)が円滑に回転するように適度な隙間で取り付ける。
中間歯車(7)の半球体本体表面に等間隔の緯線部分に設けられたガイド溝にスライドピ−ス(5)を取り付ける。複数のスライドピ−ス(5)は緯線上を別々に移動可能とし,取り付けられたスライドピ−スには中間歯車(7)の半球体本体外側にディスクの斜面表面の歯溝と噛み合う回転(自転)可能な歯(以下回転歯(4))を取り付け,回転歯の回転軸(10)芯には回転歯(4)の回転とは別々に回転する中間歯車(7)本体内のガイド溝脇に設けられた固定ラックギヤ(20)と噛み合う歯車(9)が設けられた回転軸を取り付け,回転歯(4)が取り付けられていない回転軸の他端を中間歯車(7)の半球体本体内部に組み込まれたスイングガイド(11)の環状の溝の中に銜え込み,スイングガイド(11)を揺動することで回転歯(4)をスライドピ−ス(5)と共に緯線上を移動したり支持する構造とする。
スライドピ−ス(5)が中間歯車(7)の半球体本体表面の緯線上を赤道部分から極付近までを上下に移動するが,極にあたる回転軸芯に近づくほど隣り合う回転歯の軸(10)芯となす角度が小さくなり,赤道部分に近づくほど隣り合う回転歯の回転軸(10)芯となす角度は大きくなるが,回転歯の軸がスイングガイド(11)の環状の溝の中を自由に移動することでスライドピ−ス(5)の緯線上の移動に伴う経線方向の移動を円滑にする。
スイングガイド(11)が揺動されると,中間歯車(7)の半球体本体内部にあるスイングガイドの環状の溝に銜えられた回転歯の回転軸(10)は,複数の回転歯の回転軸(10)芯が形成する円錐形の形状を保ったまま半球体球心位置にある円錐形の頂点を固定の回転端として,回転歯の回転軸(10)芯が形成する円錐形の頂点を通る中心線が向かい合うディスク(2)(19)の回転軸(1)芯上を揺動し,回転歯の軸心と軸心を合わせて組み合わせられた回転歯軸(10)がスライドピ−ス(5)と共に半球体本体表面の緯線上を,回転歯の軸(10)部分に設けられた歯車(9)が中間歯車本体内のガイド溝脇に設けられた固定ラックギヤ(20)と噛み合いながらスイングガイド(11)が揺動,停止する力で移動,停止,保持される。
スイングガイド(11)を揺動してスライドピ−ス(5)を緯線上で上下に移動させると,回転歯(4)は回転歯の回転軸(10)芯が形成する円錐形の中心線を挟んで向かい合うディスク(2)(19)のそれぞれの歯溝と噛み合うが,中間歯車(7)の回転歯(4)と噛み合うディスクの歯溝幅はディスクの回転軸(1)芯に近づくほど漸次狭くなるので,スイングガイド(11)の揺動量と噛み合うディスクの歯溝幅の変化に合わせて見掛けの歯厚を調節する回転歯(4)の歯の回転量を決める。
回転歯(4)の回転方法は,実施例ではスライドピ−ス(5)の回転歯軸(10)受けに取り付けられた回転歯の一部分から腕を出し腕(21)の先に開けた長穴をスライドピ−ス(5)のガイド溝間の中間歯車(7)の半球体本体に設けた固定ピン(22)に通し,スライドピ−ス(5)が中間歯車(7)の半球体本体の緯線上を移動したとき回転歯軸(10)と別々に回転する回転歯(4)分部だけがスライドピ−ス(5)の移動量に応じて回転する構造とした。(図4参照)
またディスク(2)(19)の歯溝に噛み合う回転歯(4)の歯たけは,噛み合うディスク側の歯溝幅が広い場合と歯溝幅が狭い場合では必要な歯たけの長さが異なるので噛み合いを考慮して適切な歯たけとする。
噛合いを変えるときは,回転歯(4)の回転歯軸(10)分部を銜え半球形状の中間歯車(7)本体の回転軸芯が向かい合うディスク(2)(19)の回転軸(1)芯上を揺動するように装置本体固定部から揺動中心軸を支持されているスイングガイド(11)を揺動させる。スイングガイドを揺動し回転歯(4)の回転歯軸(10)芯が形成する円錐形を揺動して一方のディスクと中間歯車(7)の回転歯(4)が噛み合う位置をディスクの回転軸(1)芯に近づけると,もう一方のディスクと中間歯車(7)の回転歯(4)が噛み合う位置はディスクの回転軸(1)芯から遠ざかる。
噛み合っている部分からディスクの回転軸(1)芯までの距離が同じ状態では入力回転と出力回転が同じとなる。
また上記の装置で中間ディスク(16)にかさ歯車(15)を取り付け,かさ歯車にピニオンギヤ(13)を噛み合せて回転力を入力し左右それぞれの中間歯車(7)操作することで,左右同じ回転方向で左右別々の回転にして出力することができる。(図5参照)
動力を使用する全ての産業用の機械と組合わせることで電気的な方法でのトラブルを回避したり,自動車などの乗り物の装置としての大きな需要とともに一定回転の電気モ−タ−と組み合わせることで多くの産業用の機械に利用されることが期待でき,特に電力の周波数が狭い国土の南北で異なる国内では移動のたびの組合わせの変更が解消する。
また当装置の中間ディスクにかさ歯車を取り付けることで1個の動力で2台の機械の運転が可能になる。
装置の正面図の説明図である。(実施例1) 装置の平面図の説明図である。(実施例1) 装置の側面図の説明図である。(実施例1) 回転歯を回転させるための構造の説明図である。 差動装置の正面図の説明図である。(実施例2)
1 センタ−シャフト
2 ディスク
3 歯車(操作用)
4 回転歯
5 スライドピ−ス
6 歯車(操作用)
7 中間歯車本体
8 スイングガイド支持フレ−ム
9 位置保持用歯車
10 回転歯軸
11 スイングガイド
12 ウォ−ムギヤ
13 ピニオンギヤ
14 駆動軸
15 かさ歯車
16 中間ディスク
17 セパレ−タ
18 サイドフレ−ム
19 ディスク
20 ラックギヤ
21 回転歯ア−ム
22 ピン

Claims (3)

  1. 半球形状の中間歯車本体表面に等間隔の緯線部分に設けられたガイド溝に,回転(自転)させることで歯車の歯厚に相当する寸法を連続的に変化させることが可能な歯を取り付けたスライドピ−スを取り付け,緯線上を別々に移動可能とし,それぞれの歯の位置を移動させながら回転させ,歯の間隔と歯厚に相当する寸法を変えることで異なる歯車と噛合わせることを可能にしたことを特徴とする歯車。
  2. 歯及び歯溝が放射状で,斜面の断面を四半円径の円錐台形とした同じ形の歯車2個(以下,「入,出力ディスク」)を斜面を向かい合わせて個々に回転するように軸に取付け,
    間にできる半円形の溝に,球芯を通る回転軸芯を中心に半球形の表面の入,出力ディスクの歯及び歯溝と同じ間隔の放射状の動線上を歯が移動,回転しながら入,出力ディスクの変化する溝幅と噛合い回転する半球形の中間歯車を半円形の中心と中間歯車の半球形の球芯を合わせて噛合わせ,回転を伝達することを特徴とする請求項1に記載の歯車を有する歯車装置。
  3. 外部から中間ディスクを回転し,入力された回転を左右同回転方向で左右別々回転に分けて出力することを可能としたことを特徴とする請求項2に記載の歯車装置を有する歯車装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5006997B1 (ja) * 2011-09-10 2012-08-22 有限会社ワンダー企画 歯車式無段変速装置

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