以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタを示す。このインクジェットプリンタは、写真プリントシステムに用いられるものであって、画像データの取得及びオーダ情報の取得を行いかつ必要な補正処理等を行う受付ブロック100(図8参照)と通信ケーブルを介して接続されており、この受付ブロック100から通信ケーブルを介して伝送される画像データをオーダ情報に基づきプリントペーパPに対してプリントを行うようになされている。
上記インクジェットプリンタは、筐体1と、この筐体1内の下部に配設されたマガジン収容部2と、筐体1内の上下方向略中央部に配設されたカセット収容部3と、筐体1内の上部に配設され、プリントペーパPに対して画像データのプリントを行うプリント部4と、プリントペーパPをマガジン収容部2からプリント部4へ搬送するための第1搬送路と、プリントペーパPをカセット収容部3からプリント部4へ搬送するための第2搬送路と、プリント部4でプリントされたプリントペーパPを該プリント部4から筐体1の外部へ排出するための第3搬送路と、筐体1の外部に設けられ、第3搬送路から筐体1の外部へ排出されたプリントペーパPを受け止める排出トレイ5とを備えている。尚、上記プリント部4におけるペーパ搬送方向の前後方向を筐体前後方向として、筐体前後方向は図1の左右方向であり、ペーパ搬送方向前側としての筐体前側は図1の右側であり、ペーパ搬送方向後側としての筐体後側は図1の左側である。また、筐体左右方向は図1の紙面に垂直な方向である。
上記マガジン収容部2には、ロール状に巻かれた長尺状プリントペーパPがペーパマガジン8に収容保持された状態でセットされるようになっている。このプリントペーパPは、プリントされるプリント面が外側となるように巻かれている。一方、上記カセット収容部3には、単票紙である複数枚のプリントペーパPが矩形箱状の給紙カセット9内に収容保持された状態でセットされるようになっている。この給紙カセット9内のプリントペーパPは、プリント面を上側にして厚み方向(上下方向)に重ねられているとともに、押付け板10により、上側に位置する後述の送出しローラ35に押し付けられている。上記マガジン収容部2及びカセット収容部3は、プリントペーパPがセットされるペーパセット部を構成することになる。そして、マガジン収容部2又はカセット収容部3にセットされたプリントペーパPが、後述の如くプリント部4へと搬送されて該プリント部4でプリントされ、上記排出トレイ5へ排出されるようになっている。尚、マガジン収容部2には、幅寸法が小さいプリントペーパPを2つ筐体左右方向に並列にセットすることも可能になっており、このように2つ並列にセットした場合には、そのセットされた2つのプリントペーパPがマガジン収容部2から同時に引き出されて2列で搬送され、プリント部4において2つのプリントペーパPにプリントが行われ、排出トレイに同時に排出されることになる。
上記筐体1内には、上記第1〜第3搬送路を構成すべく、第1供給ユニットU1、カッターユニットU2、第2供給ユニットU3、スイッチバックユニットU4及びプリントユニットU5が設けられている。第1搬送路は、マガジン収容部2から順に、第1供給ユニットU1、カッターユニットU2、スイッチバックユニットU4及びプリントユニットU5で構成されている。また、第2搬送路は、カセット収容部3から順に、第2供給ユニットU3、スイッチバックユニットU4及びプリントユニットU5で構成されている。さらに、第3搬送路はプリントユニットU5で構成されている。
上記第1供給ユニットU1は、マガジン収容部2(ペーパマガジン8)内に設けられている。この第1供給ユニットU1は、ロール状のプリントペーパPを支持する3つの支持ローラ15と、プリントペーパPをカッターユニットU2へと導くガイド部材16と、このガイド部材16の途中に設けられかつプリントペーパPをカッターユニットU2へ搬送するための、駆動及び従動ローラ17a,17bからなる圧着型の供給ローラ17と、ガイド部材16の上流側に設けられ、プリントペーパPが巻き掛けられるガイドローラ18とを備えている。上記3つの支持ローラ15のうち筐体前側に配設されたローラは、不図示の電動モータによって回転駆動されて、プリントペーパPに対しロール中心回りに回転力を付与するようになっている。また、供給ローラ17の駆動ローラ17aは、カッターユニットU2に配設された電動モータ30により、伝動ベルト31及びギヤ列19を介して、同じくカッターユニットU2に配設された後述の送出しローラ25の駆動ローラ25aと共に回転駆動されるようになっている。この第1供給ユニットU1の下流側端には、第1ペーパ検出センサ20が設けられており、この第1ペーパ検出センサ20により、プリントペーパPがマガジン収容部2から全て引き出された場合の該プリントペーパPの後端が検出されるようになっている。このプリントペーパPの後端が検出された場合には、その旨をディスプレイ等を介してオペレータに知らせるようになっている。
上記カッターユニットU2は、上下方向に延びる縦フレーム6に固定された状態で第1供給ユニットU1の筐体後側に配設されていて、プリントペーパPをスイッチバックユニットU4へ送り出す圧着型の送出しローラ25と、この送出しローラ25の下流側に配設され、プリントペーパPを切断するための、固定刃26a及び可動刃26bからなるカッター26と、該可動刃26bを駆動する駆動機構等が収容されたカッター駆動部27と、水平方向に延び、プリントペーパPを送出しローラ25からカッター26による切断位置へ案内するガイド部材28とを備えている。上記カッター26により、マガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPが、受付ブロック100からのオーダ情報に基づいて予め決められた長さに切断されるようになっている。上記送出しローラ25は、プリントペーパPを挟持する1つの駆動ローラ25aと2つの従動ローラ25bとからなり、これら従動ローラ25bが1つの圧縮コイルばね29により駆動ローラ25aに押し付けられている。この駆動ローラ25aは、上述の如く、電動モータ30により、第1供給ユニットU1における供給ローラ17の駆動ローラ17aと共に、伝動ベルト31を介して回転駆動されるようになっている。そして、プリントペーパPは、送出しローラ25及びガイド部材28により水平方向で筐体後向きに移動してスイッチバックユニットU4へと送り出され、後述の如くスイッチバックユニットU4のローラ対41に受け取られて把持された後に、カッター26により切断されるようになっている。尚、このようにローラ対41がプリントペーパPを切断前に受け取るのではなくて、切断後に受け取るようにしてもよい。但し、この場合は、カッターユニットU2における搬送路が長くなるため、切断前に受け取るようにするのがよい。
上記第2供給ユニットU3は、カセット収容部3にセットされた複数枚のプリントペーパP(単票紙)の最上部に位置するプリントペーパPのプリント面に当接する送出しローラ35と、この送出しローラ35を、ギヤ列37を介して駆動する電動モータ36とを備えており、送出しローラ35の駆動により、最上部に位置するプリントペーパPが1枚だけ水平方向で筐体後向きに移動してスイッチバックユニットU4へと送り出されるようになっている。
上記スイッチバックユニットU4は、第1搬送路及び第2搬送路の途中に設けられたペーパ搬送装置兼スイッチバック装置を構成している。このスイッチバックユニットU4は、該スイッチバックユニットU4の上流側に位置する上流側搬送路(つまり第1供給ユニットU1及びカッターユニットU2、又は第2供給ユニットU3)より搬送されてきたプリントペーパPを受け取って、該プリントペーパPを受取り時のプリントペーパ移動方向とは逆向きに、スイッチバックユニットU4の下流側に位置する下流側搬送路(つまりプリントユニットU5)に送り出すようになっている。すなわち、上流側搬送路では、プリントペーパPがプリント面を上向きにした状態で筐体後側に向かって搬送され、該上流側搬送路よりも上側位置に設けられた下流側搬送路では、プリントペーパPがプリント面を上向きにした状態で上流側搬送路とは逆向きの筐体前側に向かって搬送されるが、スイッチバックユニットU4で、プリントペーパPの進行方向が、プリント面を上向きにした状態のまま逆転され、上流側搬送路から下流側搬送路へのプリントペーパPの移行が、プリントペーパPを曲げずにスムーズに行えるようになっている。
具体的には、スイッチバックユニットU4は、上流側搬送路より搬送されてきたプリントペーパPを受け取って把持する把持部材を備えている。本実施形態では、この把持部材は、それぞれ中心軸回りに正逆回転自在に構成されかつ互いに上下方向に対向してその間にプリントペーパPを挟持するローラ対41とされ、このローラ対41のうち一方(本実施形態では、プリントペーパPの裏面に接触するローラ)は駆動ローラ41aであり、他方(プリントペーパPのプリント面に接触するローラ)は従動ローラ41bである。そして、駆動ローラ41aは、駆動機構としての電動モータ42及び伝動ベルト43(図2及び図3参照)により、中心軸回りに正逆に回転駆動されるようになっており、この駆動ローラ41aの正転及び逆転により、上流側搬送路からのプリントペーパPの受取り及び引込みと、下流側搬送路へのプリントペーパPの送出しとをそれぞれ行うようになっている。尚、ローラ対41の両方のローラを駆動するようにしてもよく、上下で駆動及び従動の機能を逆にしてもよい。
上記ローラ対41は、移動機構によって、カッターユニットU2、第2供給ユニットU3及びプリントユニットU5の筐体後側位置において上下方向に直線移動するようになっている。この移動機構は、図2及び図3に示すように、縦フレーム6(図1参照、図2及び3では省略)に固定されかつ上下及び筐体左右方向に延びるレール架台45と、このレール架台45の筐体左右方向一端部に上下方向に延びるように取り付けられた走行レール46と、この走行レール46の上下両端部近傍にそれぞれ設けられた2つのプーリ47に巻き掛けられ、該走行レール46に沿って延びる駆動ベルト48と、レール架台45に取付固定されかつ下側のプーリ47に直結された電動モータ49とを備えている。この電動モータ49により駆動ベルト48が正逆駆動されるようになっている。そして、駆動ベルト48にはブラケット50が取付固定され、このブラケット50には、走行レール46と嵌合してスライドするスライド部材51が固定されており、電動モータ49による駆動ベルト48の正逆駆動により、ブラケット50が上下方向に往復移動するようになっている。尚、このブラケット50の上下位置は、ブラケット50を検出するセンサ等が設けられた基準位置(例えば最下端)からの移動量(例えばモータの回転量)を計測することで分かるようになっている。
上記ブラケット50には、支持板52が固定され、この支持板52に上記ローラ対41における駆動ローラ41a及び従動ローラ41bの各一端部が回転可能に支持されており、このことで、ブラケット50の移動に伴ってローラ対41が上下方向に直線移動することになる。尚、図示は省略するが、駆動ローラ41a及び従動ローラ41bの各他端部は、レール架台45の筐体左右方向他端部に形成された支持部に上下方向にスライド可能に支持されている。
上記支持板52に、上述の、駆動ローラ41aを駆動するための電動モータ42が固定されている。この電動モータ42の回転軸及び駆動ローラ41aの一端部には、プーリ54がそれぞれ固定されており、この両プーリ54に上記伝動ベルト43が巻き掛けられて、この伝動ベルト43を介して駆動ローラ41aが駆動されることになる。
上記移動機構によって、上記ローラ対41は、上流側搬送路よりプリントペーパPを受け取る受取り位置と該受取り位置に対して上側に所定距離だけ離れた位置に設けられかつ該プリントペーパPを下流側搬送路に送り出す送出し位置との間で直線移動するようになっている。すなわち、上記カッターユニットU2の下流端と略同じ高さ位置(走行レール46の下端近傍位置)が、カッターユニットU2よりプリントペーパPを受け取る受取り位置(以下、第1受取り位置という)とされ、上記第2供給ユニットU3の下流端と略同じ高さ位置(走行レール46の上下方向略中央位置)が、第2供給ユニットU3よりプリントペーパPを受け取る受取り位置(以下、第2受取り位置という)とされている。一方、プリントユニットU5の上流端と略同じ高さ位置(走行レール46の上端近傍位置)が、プリントペーパPをプリントユニットU5に送り出す送出し位置とされている。このように上流側搬送路の下流端と下流側搬送路の上流端とが所定距離(各ユニットU1〜U5の配置により決まる値であり、出来る限り小さい値に設定される)だけ離れており、これに対応してローラ対41が移動することになる。
そして、スイッチバックユニットU4は、第1受取り位置においてローラ対41により上流側搬送路(カッターユニットU2)よりプリントペーパPを受け取って把持した後でかつカッター26によりプリントペーパPが切断された後に、又は第2受取り位置においてローラ対41により上流側搬送路(第2供給ユニットU3)よりプリントペーパPを受け取って把持した後に、上記移動機構により、該プリントペーパPを把持したローラ対41を、該プリントペーパPが上流側搬送路から切り離された状態で送出し位置に移動させ、該送出し位置において該プリントペーパPを受取り時のプリントペーパPの進行方向とは逆向きに下流側搬送路に送り出すように構成されている。この下流側搬送路に送り出されるプリントペーパPの移動方向は、水平方向で受取り時の移動方向とは逆向き(筐体前向き)となる。
図2に示すように、上記支持板52におけるローラ対41の筐体前後部には、ローラ対41により把持されたプリントペーパPの下側に位置して該プリントペーパPを支持する第1及び第2支持部材56,57がそれぞれ固定されている(図3では図示を省略している)。この第1支持部材56は、プリントペーパPをカッターユニットU2から水平状態でローラ対41に導く役割を有している。この第1支持部材56には、プリントペーパPを検出するための第2ペーパ検出センサ58が設けられている。
一方、上記第2支持部材57の筐体後部には、下側に曲げられた曲げ部が形成され、この曲げ部には、押えローラ59が当接している。この押えローラ59は、支持板52に回動自在に支持されたアーム60の前端部に回動自在に取り付けられており、該押えローラ59の自重により第2支持部材57の曲げ部に当接している。そして、この第2支持部材57の曲げ部及び押えローラ59により、ローラ対41により把持されたプリントペーパPが下側に垂れて筐体1の後部内壁面に当接しないようになされている。すなわち、筐体1内におけるスイッチバックユニットU4の筐体後側(ローラ対41に対して上流側搬送路及び下流側搬送路とは反対側における該ローラ対41の移動範囲に対応する部分)には、ローラ対41により把持されるプリントペーパP用の空間スペース12が設けられているが、上記の如くプリントペーパPを下側に垂らすようにすることで、その空間スペース12の筐体前後方向(上流側搬送路の延長方向)に沿った長さを出来る限り小さくすることができる。一方、プリントペーパPを下側に垂らすことで、ローラ対41により把持されるプリントペーパP用の空間スペース12を、上記移動範囲に対応する部分の下方(第1受取り位置よりも下側)に延長する必要があるが、本実施形態では、第1搬送路に関して、スイッチバックユニットU4の上流側に位置する上流側搬送路及び第1受取り位置が、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPのロール中心よりも上側位置に設けられており、このことで、筐体1の高さを大きくすることなく上記空間スペース12を下方に容易に延長することができる。
尚、図示は省略するが、上記第1及び第2支持部材56,57におけるペーパ幅方向両端部には、プリントペーパPの幅方向への移動を規制する規制部材がそれぞれ設けられており、この両規制部材は、ペーパ幅(ペーパマガジン8に設けた識別コード部を検出することでペーパ幅が分かるようになっている)に応じてその間隔を変化可能に構成されている。上述の如くプリントペーパPが2列で搬送される場合には、上記両規制部材間の中央部に更にもう1つの規制部材が搬送路上に進入して、これら3つの規制部材により2列で搬送される各プリントペーパPの幅方向への移動を規制するようになっている。
上記プリントユニットU5は、上記縦フレーム6の上端位置において水平方向に延びる横フレーム7に固定された固定台65と、この固定台65の上下方向中間部に設けられ、プリント時にプリントペーパPを支持するプリント台66と、このプリント台66上に位置するプリントペーパPと対向し、該プリントペーパPのプリント面に対しインクを吐出してプリントを行うプリントヘッド67とを備えている。このプリント台66及びプリントヘッド67が上記プリント部4を構成する。また、プリントペーパPの搬送方向を単にペーパ搬送方向といい、プリントペーパPにおいて、プリント部4におけるペーパ搬送方向(図4に示すY方向)と同じ方向をペーパ長手方向とする一方、このペーパ長手方向に直行する方向(図4に示すX方向)をペーパ幅方向とする。
上記プリント台66は、プリントペーパPをファン等によりプリント台66の下側から吸引して吸着保持する構成にはなっておらず、図4に示すように、吸引用孔等を有していない。このプリント台66のペーパ幅方向(図4に示すX方向)両端部には、ペーパ搬送方向(Y方向)に延びる複数(本実施形態では、片側6つずつ)の溝66aがペーパ幅方向に所定間隔をあけて並ぶように形成されている。これら各溝66aは、種々のサイズのプリントペーパPの幅方向両端位置に対応して設けられており、各溝66a内には、上記プリントヘッド67から吐出されたインクがプリントペーパPの幅方向両端から外側に外れた場合(特に縁なしプリントを行う際に外側に外れ易い)に、該インクを吸収するためのインク吸収材68が嵌め込まれている。また、プリント台66のペーパ幅方向中央部には、後述の3つのヘッドユニット67aの各位置にそれぞれ対応して凹部66bが形成されており、この各凹部66b内には、プリントペーパPを2列で搬送してプリントする際に、プリントヘッド67の各ヘッドユニット67aより予備吐出(プリントを行う前の試し打ち)されたインクを吸収するインク吸収材69が嵌め込まれている。
本実施形態では、上記プリントヘッド67は、図4に示すように、その底面(プリント台66と対向する面)に複数のインク吐出ノズル67bが副走査方向(ペーパ搬送方向(Y方向))に列をなすように設けられた3つのヘッドユニット67aを有しており、これら3つのヘッドユニット67aが互いに副走査方向に間隔をあけて並んでいる。尚、各ヘッドユニット67aのノズル列は、図4では1列しか記載していないが、実際には、複数色のインクにそれぞれ対応してペーパ幅方向に複数並ぶように設けられる。また、ヘッドユニット67aは3つである必要はなく、1つや2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
上記プリントヘッド67の上面は、該プリントヘッド67を主走査方向(図1の紙面に垂直な方向(図4に示すX方向))に往復移動させるための駆動ベルト70に取付固定されている。この駆動ベルト70は、主走査方向に延びていて、その両端部にそれぞれ配設されかつ固定台65の上部に回転自在に支持された2つのプーリ71(図1では1つのみ示す)に巻き掛けられている。この一方のプーリ71は、不図示の電動モータにより回転駆動されるようになっている。また、固定台65の上部には、駆動ベルト70に沿って主走査方向に延びるガイドレール72が取付固定されており、プリントヘッド67は、このガイドレール72に案内されながら、駆動ベルト70によって主走査方向に往復移動するようになっている。そして、プリント台66上のプリントペーパPは、プリント台66の上流側に設けられた搬送ローラ75により一定の単位搬送量で間欠的に(ステップ状に)副走査方向に搬送され、この間欠搬送時におけるプリントペーパPの各停止時に、プリントヘッド67が主走査方向に一走査(一往動作又は一復動作)されて、この走査時に、主走査方向の各位置で、各ヘッドユニット67aのインク吐出ノズル67bからインクが吐出される。つまり、プリントヘッド67の一走査後に、プリントペーパPが単位搬送量だけ搬送され、その後、再びプリントヘッド67が一走査され、この動作が繰り返し行われて、所望の画像がプリントされることになる。
上記搬送ローラ75は、プリントユニットU5の上流側端部(つまり下流側搬送路の上流端部であって、送出し位置に位置するローラ対41(図5参照)の近傍)に設けられており、送出し位置に位置するローラ対41により送り出されたプリントペーパPを受け取ってプリント部4へ給紙する役割を有している。この搬送ローラ75は、カッターユニットU2における送出しローラ25と同様に、プリントペーパPを挟持する1つの駆動ローラ75aと2つの従動ローラ75bとからなり、2つの従動ローラ75bが1つの圧縮コイルばね76により駆動ローラ75aに押し付けられている。この駆動ローラ75aは、電動モータ77により伝動ベルト78を介して回転駆動されるようになっている。この搬送ローラ75は、プリントペーパPを挟持する挟持部分がプリント台66の上面よりも上方に位置し且つ、駆動75a及び2つの従動ローラ75bのうち下流側の従動ローラ75bの接線L(図9参照)がプリント台66の上面に対して上方に傾斜して延びるように配設される。そうして、搬送ローラ75は、プリントペーパPをプリント台66へ向かって斜め上方から給紙する。この駆動ローラ75a及び2つの従動ローラ75bとからなる搬送ローラ75は、プリントヘッド67の上流側に位置する給紙部を構成する。
また、プリント台66の上流側端部において搬送ローラ75の下流側には、該上流側端部に対して上方に隙間が空くように支持された案内ローラ79が設けられている。この案内ローラ79は、搬送ローラ75からプリント台66に向かって斜め上方から給紙されるプリントペーパPを確実にプリント台66上面に押し付ける役割を果たす。
この搬送ローラ75により挟持されたプリントペーパPは、駆動ローラ75aに巻き掛けられながらプリント台66に対して斜め上方から給紙され、プリント台66の上流側端部において案内ローラ79によって、駆動ローラ75aに巻き掛けられた部分とは反対側に曲げられて、プリントペーパPの裏面がプリント台66の上面に略接触した状態で搬送されることになる。
一方、プリントユニットU5の下流側端部には、プリントされたプリントペーパPを筐体1の外部へ排出すべく、駆動及び従動ローラ81a,81bからなる圧着型の排出ローラ81Aと、この排出ローラ81Aのさらに下流側に位置し且つ駆動及び従動ローラ81c,81dからなる圧着型の排出ローラ81Cとが互いにペーパ搬送方向に間隔をあけて設けられている。この、排出ローラ81Aは、プリントペーパPを挟持する挟持部分がプリント台66の上面と同じ高さ位置に位置し且つ駆動及び従動ローラ81a,81bの接線M(図11参照)はプリント台66の上面に沿って延びるように配設されると共に、プリント台66上のプリントペーパPをプリント台66上面に沿った方向へ排出する。また、排出ローラ81Cは、プリントペーパPを挟持する挟持部分がプリント台66の上面よりも上方に位置し且つ駆動及び従動ローラ81c,81dの接線N(図11参照)がプリント台66の上面に対して上方に傾斜して延びるように配設されると共に、排出ローラ81Aによってプリント台66上から排出されたプリントペーパPをプリント台66から斜め上方へ排出する。こうして、プリントペーパPは、排出ローラ81Aによってプリント台66上面に押し付けられながら、排出ローラ81Cによってプリント台66から斜め上方に排出される。この排出ローラ81Cは、プリントヘッド67の下流側に位置する排出部を構成する。これら排出ローラ81A、81Cの駆動ローラ81a、81cは、電動モータ82により伝動ベルト83を介して同時に駆動されるようになっている。そして、上流側の排出ローラ81Aと下流側の排出ローラ81Cとの間には、プリントペーパPを持ち上げて上流側の排出ローラ81Aから下流側の排出ローラ81Cへと導くガイド部材84が設けられている。
上記のように、プリントペーパPはプリント台66の上流側及び下流側でプリント台66の上面よりも高い位置に持ち上げられているため、プリントペーパPのプリント台66上の部分は、プリント台66の上面に押し付けられるようになる。これにより、プリント台66上でのプリントペーパPの平面性が確保される。
上記排出トレイ5は、筐体1の外部における上記排出ローラ81の筐体前側に設けられていて、筐体1の前方へ突出しており、その前端部には、補助トレイ5aが格納されている。この補助トレイ5aは、排出されるプリントペーパPの長さが排出トレイ5の長さよりも長い場合に、筐体1の前方へ引き出すことで、該長いプリントペーパPを受け止めることができるようになっている。
本実施形態では、上記スイッチバックユニットU4及びプリントユニットU5の搬送ローラ75は、マガジン収容部2から搬送されてきたプリントペーパPがカッター26により切断された後において、該プリントペーパPのカール量を調整するカール量調整装置を構成している。ここで、カール量とは、プリントペーパPをペーパ幅方向に見て凸形状にカールしている程度をいい、カール量が大きくなるほどプリント面側に凸形状にカールしていて、カール量が零のときはプリントペーパはカールしていない平坦な状態となっていて、カール量が小さくなって負の値になるとプリント面とは反対の面側に凸形状にカールしているものとする。そして、このカール量調整手段は、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPに対して、そのカール量が大きい場合に、そのカール量を減少させて、プリントペーパPがペーパ幅方向に見てプリント面側に凸形状にカールした所定のカール量となるように調整する。この所定のカール量とは、プリントユニットU5においてプリントペーパPがプリント台66に押し付けながら搬送されるときに、その端部がプリント台66から浮き上がらないだけでなく、プリントペーパPの端部よりも中央よりの中間部分も浮き上がらないでプリントペーパPの全体的な平面性が確保できる程度のカール量である。尚、所定のカール量は、さらに、カール量調整装置の調整量に誤差が生じてもプリントペーパPのカール量が負の値、即ち、プリントペーパPがペーパ幅方向に見てプリント面とは反対の面側に凸形状にカールしない値に設定されている。
具体的には、プリントユニットU5の搬送ローラ75は、送出し位置においてスイッチバックユニットU4のローラ対41により送り出されたプリントペーパPの一端部を保持する保持部材としての役割を有し、上記ローラ対41は、搬送ローラ75により保持されたプリントペーパPの幅方向に沿ってそれぞれ延びかつ互いに対向してその間に該プリントペーパPの上記一端部近傍を把持する。すなわち、搬送ローラ75は、スイッチバックユニットU4より送り出されたプリントペーパPを受け取ってその先端部(受取り時の後端部)を挟持したときに、作動を一旦停止して、該先端部を保持するようになっている。このとき、スイッチバックユニットU4のローラ対41は、搬送ローラ75により保持されたプリントペーパPの上記先端部近傍を把持していることになる。
そうして、図7に示すように、上記搬送ローラ75によってプリントペーパPを保持した状態で、プリントペーパPを把持したローラ対41を、スイッチバックユニットU4の移動機構により、ローラ対41の対向方向における駆動ローラ41a側に移動させる。これにより、プリントペーパPが該ローラ対41の上側の従動ローラ41bに上記カールとは反対側に曲げられた状態で巻き掛けられかつプリントペーパPの搬送ローラ75とローラ対41との間の部分にテンションが付与される。すなわち、プリントペーパPは、上記ロールによる巻き癖によって、長さ方向中央部が両端部に対してプリント面側に突出するようにカールしているため、プリント面側のローラである従動ローラ41bに巻き掛けることで、カールとは反対側に曲げるようにする。このために、ローラ対41を、プリント面とは反対側のローラである駆動ローラ41a側(つまり下側)に移動させて、プリントペーパPを従動ローラ41bに巻き掛けるようにする。このローラ対41の移動に伴って、プリントペーパPにおけるローラ対41が把持する部分は、上記先端部近傍から後端部側へ移動する。このことで、プリントペーパPが、ローラ対41によって、カールにより突出する側(プリント面側)が内側となるように曲げられた状態でしごかれることとなり、カール量が減少することになる。
尚、搬送ローラ75は、プリントペーパPのカール量調整中は、該プリントペーパPを、搬送を停止した状態で保持するように構成されている。
そして、上記ローラ対41のしごき動作を変更することでカール調整量を変更させ、プリントペーパPのカール量を調整する。具体的には、上記カール量調整装置の構成によれば、上記移動機構によるローラ対41の下方への移動速度を変更することによって、プリントペーパPのカール調整量を変更することができる。すなわち、ローラ対41の移動速度が遅いほど、プリントペーパPはゆっくりとしごかれてカール調整量は大きくなる。
或いは、移動機構によるローラ対41の移動時において該ローラ対41におけるプリントペーパPが巻き掛けられるローラ(ここでは、従動ローラ41b)への該プリントペーパPの巻き掛け長さを変更することで、プリントペーパPのカール調整量を変更できるようにしてもよい。すなわち、従動ローラ41bへの巻き掛け長さが長いほどカール調整量は大きくなる。尚、このように従動ローラ41bへの巻き掛け長さを変更するには、例えば、プリントペーパPのローラ対41よりも後端部側の部分を従動ローラ41b側又は駆動ローラ41a側に押し付けるローラを設け、この押付け量を変更することで巻き掛け長さを変更できる。
或いは、ローラ対41におけるプリントペーパPが巻き掛けられるローラ(従動ローラ41b)の径を変更することで、プリントペーパPのカール調整量を変更できるようにしてもよい。すなわち、従動ローラ41b又は駆動ローラ41aの径が小さいほどカール調整量は大きくなる。尚、このようにローラの径を変更するには、例えばローラの長さ方向において互いに径が異なる部分を複数段に設け、プリントペーパPと接触する部分に対応させてローラをその長さ方向に移動させることでローラ径を変更できる。
或いは、ローラ対41の移動中(つまりプリントペーパPのカール量調整中)も、ローラ対41の駆動ローラ41aを駆動させるようにし、このときの駆動ローラ41aの回転速度を変更することで、プリントペーパPのカール調整量を変更できるようにしてもよい。すなわち、駆動ローラ41aを逆転(送出し位置でプリントペーパPを送り出すときと同じ方向に回転)させる場合には、その回転速度とローラ対41の移動速度とを、プリントペーパPにテンションが付与されるようにそれぞれ設定する必要があるが、駆動ローラ41aの回転速度が遅いほど、プリントペーパPに付与されるテンションが強くなってカール調整量は大きくなる。一方、駆動ローラ41aを正転(第1受取り位置でプリントペーパPを受け取りかつ空間スペース12へ引き込むときと同じ方向に回転)させる場合には、駆動ローラ41aの回転速度が速いほど、プリントペーパPに付与されるテンションが強くなってカール調整量は大きくなる。尚、ローラ対41におけるプリントペーパPが巻き掛けられるローラを駆動するようにすれば、そのローラの回転速度を変更することで、プリントペーパPのカール調整量をより確実に変更できるようになる。
上記カール量調整装置は、詳しくは後述するが、上述したローラ対41の移動速度の変更、駆動ローラ41aの回転速度の変更、プリントペーパPの巻き掛け長さの変更、及び従動ローラ41b若しくは駆動ローラ41aの径の変更の内のいずれかを採用して、カール調整量をプリントペーパPのカール量に応じて変更する。尚、これら4つの方法の内のいずれか2つ若しくはいずれか3つを組み合わせることによって、又は4つ全てを組み合わせることによって、カール調整量をプリントペーパPのカール量に応じて変更してもよい。
上記ローラ対41は、プリントペーパPの後端部が該ローラ対41から外れると、そのまま下方移動を続けて、次のプリントペーパPを受け取るために第1受取り位置又は第2受取り位置に戻る。尚、カール量を調整する場合において、プリントペーパPの長さが、第1受取り位置又は第2受取り位置と送出し位置との間の距離よりも長い場合には、ローラ対41を第1受取り位置又は第2受取り位置よりも更に下方に移動させてプリントペーパPの後端部までカール量の調整を行い、その後に第1受取り位置又は第2受取り位置へ戻す。このようにプリントペーパPが長くても、上記の如くプリントペーパPを下方に垂らすスペースを利用することで、筐体1を上下に大きくすることなく、プリントペーパPの後端部までカール量の調整を行うようにすることができる。
本インクジェットプリンタは、制御系として、図8に示すように、マイクロプロセッサ101(以下、CPUという)と、このCPU101とデータバスを介して接続された搬送制御部102、ヘッド制御部103、プリント制御部104、半導体メモリRAM/ROM105、通信インタフェース106、上述の第1ペーパ検出センサ20及び第2ペーパ検出センサ58とを備えている。
上記搬送制御部102は、上記各ユニットU1〜U5夫々の動作制御を行う。ヘッド制御部103は、プリントヘッド67の動作制御を行う。通信インタフェース106は、受付ブロック100との間で情報の送受信を行うためのものである。プリント制御部104は、受付ブロック100から通信インタフェース106を介して受信した画像データに基づき、プリントペーパPに対して画像データのプリントを実現するための制御を行う。
上記搬送制御部102の制御により、上記各ユニットU1〜U5は以下のように動作する。
まず、プリントに用いるプリントペーパPのカール量を検出する。詳しくは、プリントに用いられるプリントペーパPがマガジン収容部2に収容されていたものか又はカセット収容部3に収容されていたものか、マガジン収容部2に収容されていたものであれば、収容時の巻き径はどのくらいかを検出する。これらを検出することによって、調整前のプリントペーパPのカール量を検出することができる。ここで、プリントペーパPがどちらの収容部に収容されていたかは、受付ブロック100から入力されたデータによって検出する。また、マガジン収容部2におけるプリントペーパPの巻き径は、第1供給ユニットU1に設けられた第1ペーパ検出センサ20によって積算されたマガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPの全積算長とマガジン収容部2に収容されたプリントペーパPの初期状態のロール径とから算出することができる。
マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、スイッチバックユニットU4のローラ対41を第1受取り位置に位置させておく(図1参照)。そして、第1供給ユニットU1の支持ローラ15及び供給ローラ17並びにカッターユニットU2の送出しローラ25を作動させることにより、プリントペーパPをマガジン収容部2から引き出して、第1受取り位置に位置するローラ対41へと搬送する。このとき、プリントペーパPは、マガジン収容部2におけるロールの巻き癖によりプリント面を上向きにした状態で且つプリント面側に凸形状にカールしている。
上記ローラ対41の駆動ローラ41aは、プリントペーパPの前端が第2ペーパ検出センサ58により検出されたときに駆動し始めて図1及び図2で反時計回り方向に回転(正転)し、カッターユニットU2より水平方向で筐体後向きに搬送されてきたプリントペーパPを受け取って把持する。つまり、プリントペーパPを駆動ローラ41aと従動ローラ41bとの間に挟持する。駆動ローラ41aは駆動し続けて、プリントペーパPを筐体後側の空間スペース12へと引き込む。そして、プリントペーパPの前端が第2ペーパ検出センサ58により検出されてから、オーダ情報に基づいて決定された量だけ搬送した後に、カッター26の可動刃26bが作動してプリントペーパPが切断される。この切断後も駆動ローラ41aは駆動し続け、切断されたプリントペーパPの後端部がローラ対41により把持されたところで停止する。この段階で、ローラ対41により把持されたプリントペーパPは、上流側搬送路には掛かっておらず、上流側搬送路から切り離された状態となる。尚、第1供給ユニットU1の支持ローラ15及び供給ローラ17並びにカッターユニットU2の送出しローラ25の作動は、プリントペーパPの切断後に停止する。
続いて、スイッチバックユニットU4の駆動ベルト48が作動し、ローラ対41が上方に移動して送出し位置で停止する(図5参照)。これにより、プリントペーパPが上流側搬送路(カッターユニットU2)から切り離された状態で受取り位置から送出し位置に搬送される。
その後、ローラ対41の駆動ローラ41aが図5で時計回り方向に回転(逆転)し、切断後のプリントペーパPを水平方向で筐体前向きにプリントユニットU5の搬送ローラ75へと送り出す。
上記プリントペーパPの送出し時に、プリントペーパPの先端(受取り時の後端)が第2ペーパ検出センサ58により検出され、この検出によりプリントユニットU5の搬送ローラ75が作動を開始し、該検出からプリントペーパPが所定量(プリントペーパPの先端部が搬送ローラ75に挟持されるまでの量)だけ送り出されたところで、搬送ローラ75の作動が一旦停止する。これにより、プリントペーパPの先端部が搬送ローラ75に挟持され保持された状態となる。その後、この保持状態で、上述の如く、プリントペーパPを把持したローラ対41を下方に移動させてプリントペーパPのカール量を調整する(図7参照)。このとき、検出されたプリントペーパPのカール量に応じて、ローラ対41の移動速度の変更、駆動ローラ41aの回転速度の変更、プリントペーパPの巻き掛け長さの変更、又は従動ローラ41bの径の変更を行うことによって、プリントペーパPのカール量が上記所定のカール量となるようにプリントペーパPに対するカール調整量を変更する。
尚、プリントペーパPのカール量が上記所定のカール量と一致している場合、又は上記所定のカール量よりも小さい場合には、カール量の調整を行わず、搬送ローラ75は作動し続けて、プリントペーパPをプリント台66へと搬送する。
やがて、プリントペーパPの後端部がローラ対41から外れるが、ローラ対41はそのまま下方移動を続けて第1受取り位置に戻る。
ローラ対41が第1受取り位置に戻った後、或いは第1受取り位置に戻る前でかつプリントペーパPの後端部がローラ対41から外れる位置を通り過ぎた後に、搬送ローラ75が再び作動して、カール量調整時に保持していたプリントペーパPをプリント台66へと搬送する。そして、搬送ローラ75により単位搬送量で間欠的に搬送しながら、プリントヘッド67を主走査方向に移動させて、該プリントヘッド67の各ヘッドユニット67aのインク吐出ノズル67bよりプリント台66上のプリントペーパPに対しインクを吐出することでプリントを行う。
上記プリントされたプリントペーパPは、排出ローラ81A、81Cによって、プリント面を上側にして筐体1の外部へ排出されて、排出トレイ5によって受け止められる。
一方、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、スイッチバックユニットU4のローラ対41を第2受取り位置に位置させておく(図6参照)。そして、第2供給ユニットU3の送出しローラ35の作動により、プリントペーパPをカセット収容部2から引き出して、第2受取り位置に位置するローラ対41へと搬送する。
続いて、ローラ対41がプリントペーパPを受け取って該プリントペーパPの後端部を把持したところで駆動ローラ41aの正転を停止し、その後、ローラ対41が上方に移動して送出し位置で停止する。これにより、プリントペーパPが上流側搬送路(第2供給ユニットU3)から切り離された状態で受取り位置から送出し位置に搬送される。その後、ローラ対41の駆動ローラ41aが逆転して、プリントペーパPを受取り時の移動方向とは逆向きにプリントユニットU5の搬送ローラ75へと送り出す。
このプリントペーパPの搬送ローラ75への送出し時に、プリントペーパPの先端が第2ペーパ検出センサ58により検出され、この検出によりプリントユニットU5の搬送ローラ75が作動を開始する。カセット収容部3にセットされたプリントペーパPの場合には、カール量の調整を行う必要がないので、搬送ローラ75は停止することなく作動し続けて、スイッチバックユニットU4より送り出されたプリントペーパPを受け取って、そのままプリント台66へと搬送する。尚、スイッチバックユニットU4のローラ対41は、第2ペーパ検出センサ58によりプリントペーパPの後端が検出された後に、下方に移動して第2受取り位置へ戻る。
次いで、マガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPと同様に、プリントペーパPを搬送ローラ75により単位搬送量で間欠的に搬送しながら、プリントヘッド67を主走査方向に移動させてプリントを行う。このプリントされたプリントペーパPは、排出ローラ81によって、プリント面を上向きにして筐体1の外部へ排出されて、排出トレイ5によって受け止められる。
ここで、カール量を調整されて所定のカール量となったプリントペーパPの、プリントユニットU5における搬送についてさらに詳述する。
まず、プリントペーパPがプリント台66へ給紙されるときについて説明する。プリントユニットU5の上流側端部において、搬送ローラ75によって挟持されたプリントペーパPは、図9に示すように、プリント台66に対して下流側の従動ローラ75bと駆動ローラ75aとの接線L方向に給紙される(まずは、上記案内ローラ79が設けられていないものとして説明する)。この下流側の従動ローラ75bと駆動ローラ75aとの接線Lはプリント台66上面に対して所定の傾斜角をなすように交差している。このときプリントペーパPは、プリント面を上向き、即ちプリントヘッド67側へ向けた状態で且つペーパ幅方向に見てプリント面側に凸形状にカールしているため、その前端部は該接線L方向よりも駆動ローラ75a側に垂れ下がった状態で、プリント台66上面と当接する((a)図)。
搬送ローラ75によってプリントペーパPをさらに送ると、プリント台66に向かって斜め上方から給紙されたプリントペーパPには、プリント台66に直交するプリント台66に押し付ける力と、プリント台66に沿ってペーパ搬送方向Yへ搬送する力とが作用する。その結果、プリントペーパPはプリント台66に押し付けられながらペーパ搬送方向Yへ搬送されていく((b)図)。
このように搬送されていくプリントペーパPは、その前端部がプリント台66と当接しているため、プリント台66に押し付ける力がその中間部分に作用して、プリントペーパP自身が有する凸形状に抗して強制的に平坦な形状に成形される。つまり、プリントペーパPの凸形状にカールした中間部分をプリント台66に押し付けてもプリントペーパPの前端部は浮き上がることなく、逆に、プリント台66に押し付けられることになる。その結果、プリントペーパPがプリント台66に給紙された直後であって、プリントペーパPが搬送ローラ75のみによって挟持され、プリントペーパPの前端が自由端となっている場合であっても、プリントペーパPの前端がプリント台66から浮き上がることを防止すると共に、プリントペーパPをプリント台66に押し付けてプリントペーパPの全体的な平面性を確保することができる((c)図)。
(a)、(b)図においては、プリントペーパPのプリント台66への入射角度とプリントペーパPの弾性(紙質)及びカール形状とによって、プリントペーパPとプリント台66との当接開始位置が決まる。そこで、(c)図に示すように、上記案内ローラ79を搬送ローラ75の直ぐ下流側に設けると、プリントペーパPは、案内ローラ79の位置においてプリント台66に押し付ける力をさらに付与される。よって、案内ローラ79を設けることにより、プリントペーパPはペーパ搬送方向Yのより上流側からプリント台66に対して当接するようになり、より広範囲で平面性を確保することができる。
ここで、プリントユニットU5へ給紙されるプリントペーパPが、本実施形態とは逆に、プリント面を上向きにした状態で且つペーパ幅方向に見てプリント面とは反対の面側に凸形状となるようにカールしている場合には、図10に示すように、搬送ローラ75によって給紙されるプリントペーパPは、上記接線L方向よりも従動ローラ75b側に反り上がった状態でプリント台66上面と当接する((a)図)。
搬送ローラ75によってプリントペーパPをさらに送ると、プリントペーパPにはプリント台に押し付ける力が作用するが、プリントペーパPの前端部はプリント台66と当接していないため、該押し付ける力がプリントペーパPの中間部分に効果的に作用しない。また、プリントペーパPとプリント台66とが当接する部分において、その入射角によりプリントペーパPはプリントペーパP自身のカール形状に沿った方向へ導かれ、プリントペーパPの前端部はプリント台から浮き上がる虞もある((b)図)。
プリントペーパPがこのまま搬送されていくと、その中間部はプリント台66に押し付けられているが、その前端部はプリントペーパP自身のカール形状、弾性(紙質)及び自重等により決まるカール量だけ上方にカールしてプリント台66から浮き上がる。ここで、案内ローラ79が設けられていると、プリントペーパPはプリント台66のより上流側で押し付ける力を付与され、すなわち、プリント台66のより上流側からその前端部が浮き上がることになる((c)図)。
次に、プリントペーパPがプリント台66から排出されるときについて説明すると、図11に示すように、排出ローラ81Aが上記案内ローラ79の役割を果たすと共に、排出ローラ81Cが上記搬送ローラ75の役割を果たす。排出ローラ81Aを構成する駆動及び従動ローラ81a、81bの接線Mはプリント台66上面に沿ってペーパ搬送方向Yへ延びると共に、排出ローラ81Cを構成する駆動及び従動ローラ81c、81dの接線Nはプリント台66上面に対して所定の排出角をなすように交差している。つまり、排出ローラ81Cによって、プリントペーパPをプリント台66から斜め上方へ排出することによって、プリントペーパPの後端部に対して、プリント台66に沿ったペーパ搬送方向Yの力と、プリント台66へ押し付ける力が作用する。その結果、上述のプリントペーパP前端部と同様に、プリントペーパPの後端が自由端となっている場合であっても、プリントペーパPの後端がプリント台66から浮き上がることを防止すると共に、プリントペーパPをプリント台66に押し付けてプリントペーパPの全体的な平面性を確保することができる。そして、この排出ローラ81Cの上流側に排出ローラ81Aを設けることによって、プリントペーパPはペーパ搬送方向Yのより下流側までプリント台66に対して当接することになり、より広範囲で平面性を確保することができる。
一方、プリントユニットU5から搬出されるプリントペーパPが、本実施形態とは逆に、プリント面を上向きにした状態で且つペーパ幅方向に見てプリント面とは反対の面側に凸形状となるようにカールしている場合には、図12に示すように、プリントペーパPの後端部がプリント台66から浮き上がった状態で搬送されることになる。
ところで、プリントペーパPの前端又は後端がプリント台66上に位置しないとき、即ち、プリントペーパPが搬送ローラ75及び排出ローラ81A,81Cによって挟持されて搬送されているときは、プリントペーパPがカールしていても搬送ローラ75及び排出ローラ81A,81Cによってプリント台66に押し付ける力が付与されるため、プリント台66に吸着させることなく平面性を確保することができるようになる。
尚、上記プリントペーパPのカール量は、上述の如く、カール量調整装置としてのスイッチバックユニットU4及びプリントユニットU5の搬送ローラ75によって上記所定のカール量に調整されているため、プリントペーパPが搬送ローラ75及び/又は排出ローラ81A,81Cによってプリント台66に押し付けられた際には、プリントペーパPの端部及び端部以外の中間部分の平面性がより確実に確保される。この上記所定のカール量は、プリントペーパPの紙質及び給紙・排出されるプリントペーパPとプリント台66との傾斜角度等によって決まる。上記図9及び11においては、プリントペーパPがカールしている状態を明確にするため誇張して描いているが、好ましくは、プリント台66上に位置するプリントペーパPは、その前端又は後端から中間部分に亘って全面がプリント台66と接触している。
一方、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPや、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPであって使い始めのロール径が大きいときのプリントペーパPのように、平坦な形状(又は、略平坦な形状)のプリントペーパPをプリント台66へ給紙する場合は、このプリントペーパPは、プリント台66に押し付けられた後も、プリント台66と接触して確実に平面性を確保した状態でプリント台66上を搬送されていく。
したがって、上記実施形態1では、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPについては、そのカール量を上記所定のカール量に調整すると共に、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPについては、そのカール量を調整せずにプリント台66へ給紙するように、カール量調整装置によってプリント台66へ給紙される前のプリントペーパPのカール量を所望の値に調整することによって、プリント台66へ給紙され且つ搬送ローラ75及び排出ローラ81A,81Cによってプリント台に押し付ける力を付与されながら搬送されるプリントペーパPの中間部分は勿論、その前端部又は後端部もプリント台66から浮き上がることを防止して、プリント台66上におけるプリントペーパPの全体的な平面性を確保することができる。その結果、上記プリント部4におけるプリントペーパPと上記プリントヘッド67との距離が安定し、インクの着弾精度の悪化を防止することができると共に、プリントペーパPが、その端部が浮き上がった状態でプリント台66上を搬送されてプリントペーパPの端部とプリントヘッド67とが干渉することを防止することができる。詳しくは、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPのカール量を上記所定のカール量に調整することによって、プリントペーパPの端部だけでなく、端部以外の中間部分もプリント台66に略接触させることができると共に、プリントペーパPがペーパ幅方向に見てプリント面とは反対の面側に凸形状にカールすることを防止することができ、その結果、プリントペーパPの端部及び端部以外の中間部分がプリント台66から浮き上がることをより確実に防止することができる。
上記実施形態1では、マガジン収容部2におけるプリントペーパPのロール径はプリントを実行するにつれて変化し、プリントペーパPの巻き癖によるカール量も変化する。また、複数のマガジン収容部2を設けた場合のようにカール量の異なるプリントペーパPに対してプリントを行う場合もある。かかる場合であっても、カール量調整装置によってプリントペーパPのカール量を調整することによって、プリント台66上におけるプリントペーパPの平面性を一定に確保することができ、その結果、プリントペーパPの紙質等にかかわらず、プリント品質を高いレベルで均一に維持することができる。
また、プリントペーパPを搬送ローラ75及び排出ローラ81A,81Cによってプリント台66に押し付けながら搬送すると共に、プリント台66に押し付けられる前のプリントペーパPのカール量を調整することによって、プリントペーパPのプリント台66から浮き上がりを防止することができるため、吸引や静電吸着等の手段によってプリントペーパPがプリント台66から浮き上がることを防止するインクジェットプリンタと比較して、コストを抑えることができる。さらに、このようにプリントペーパの前端部又は後端部をプリント台に直接押さえつける装置が不要であることに加えて、プリントヘッドの位置においてはプリントペーパの側縁部を直接押さえつける装置を設ける必要がないため、四辺縁なし印刷を容易に行うことができる。
尚、上記実施形態1について、以下のような構成としてもよい。すなわち、上記実施形態1では、プリントユニットU5の上流側端部において案内ローラ79を設けているが、この案内ローラ79は省略することもできる。かかる場合であっても、プリントペーパPは搬送ローラ75によってプリント台66に押し付ける力が付与され、プリント台66からの浮き上がりを防止することができる。
また、プリントユニットU5の下流側端部において排出ローラ81Aを省略してもよい。つまり、排出ローラ81Cだけが設けられた場合であっても、プリントペーパPに対してプリント台66に押し付ける力を付与しながらプリントペーパPを斜め上方に排出することができる。
また、上記実施形態1では、カール量調整装置による調整後のプリントペーパPの所定のカール量は、プリントペーパPがプリント台66に押し付けながら搬送されるときに、その端部がプリント台66から浮き上がらないだけでなく、プリントペーパPの端部よりも中央よりの中間部分も浮き上がらないでプリントペーパPの全体的な平面性が確保できる程度のカール量に設定されているが、これに限られるものではない。すなわち、プリントペーパPをプリント台66に押し付けられながら搬送する構成によれば、プリント台66に搬送されるプリントペーパPが、プリント台66側に凸形状にカールしていない限り、プリントペーパPの端部がプリント台66から浮き上がることを防止することができる。よって、所定のカール量は零以上、即ち、プリントペーパPが平坦な形状か、又はペーパ幅方向に見てプリント面側に凸形状にカールしている状態であれば任意の値に設定することができ、その結果、プリントペーパPの端部がプリント台66上で浮き上がることを防止することができる。ただし、プリント台66上におけるプリントペーパPの全体的な平面性をより確実に確保するためには、所定のカール量を、プリント台66からプリントペーパPの端部が浮き上がらないだけでなく、プリントペーパPの端部よりも中央よりの中間部分も浮き上がらない程度のカール量に設定することが好ましい。
また、上記実施形態1では、ペーパ搬送装置兼スイッチバック装置としてのスイッチバックユニットU4に、さらにカール量調整装置を兼用させたが、これに限られるものではない。すなわち、カール量調整装置としての役割のみを果たすユニットを設けてもよい。ただし、スイッチバックユニットU4にカール量調整装置を兼用させることによって部品点数を削減してコストダウンを図ることができるため、本実施形態のように、スイッチバックユニットU4にカール量調整装置を兼用させることが好ましい。
さらに、上記実施形態1では、マガジン収容部2及びカセット収容部3の両方を設けるようにしたが、マガジン収容部2だけを設けるようにしてもよく、マガジン収容部2又はカセット収容部3を複数設けるようにしてもよい。
さらにまた、上記実施形態1では、本発明のインクジェットプリンタを、写真プリントシステムに用いられるものに適用したが、プリントペーパP(ロール状に巻かれた長尺状ペーパ又は単票紙)をペーパセット部からプリント部4へ搬送するようにしたインクジェットプリンタであれば、本発明はどのようなものにも適用することができる。
続いて、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下では、前記実施形態1と同一の構成については同じ符号を付し、それ以上の説明を省略する。
《発明の実施形態2》
この実施形態2は、プリントペーパPのカール量を調整するカール量調整装置の構成が実施形態1と異なる。
図13に示すように、スイッチバックユニットU4には、実施形態1の第2支持部材57の代わりにカール調整面63aを有するペーパ受けガイド63が設けられている。このペーパ受けガイド63は、ローラ対41の筐体後部において、ローラ対41に把持されるプリントペーパPのペーパ幅方向に延び且つローラ対41と平行に延びる回転軸を中心に回動可能に支持板52に軸支されている。そして、ペーパ受けガイド63は、回転軸を中心に回動して、カール調整面63aが上方且つ筐体前方を向いて傾斜し且つ、このカール調整面63aがプリントペーパ引き込み方向と交差する傾斜姿勢(図中の実線)と、カール調整面63aが水平状態となり且つ、ペーパ受けガイド63がプリントペーパ引き込み方向よりも下方に位置する水平姿勢(図中の二点鎖線)とを切換可能に構成されている。また、傾斜姿勢においては、回転軸を中心に回動して、プリントペーパ引き込み方向に対するカール調整面63aの傾斜角度が変更可能に構成されている。
このペーパ受けガイド63が傾斜姿勢にあるときは、ローラ対41によって引き込まれたプリントペーパPは、傾斜姿勢のペーパ受けガイド63のカール調整面63aに押し付けられ、プリントペーパ引き込み方向からカール調整面63aに沿って斜め上方へ曲げられる。このとき、プリントペーパPはプリント面を上向きに搬送されているため、プリント面を内側にして曲げられることになり、カール量が減少するように調整される。
そして、ペーパ受けガイド63の傾斜角度を変更することによってプリントペーパPのカール調整面63aへの進入角度を変更してカール調整量を変更する。また、ローラ対41は、プリントペーパPをペーパ受けガイド63に対して1回押し当てるだけではなく、プリントペーパPの引込み動作(ペーパ受けガイド63に対しては送出し動作)と送出し動作(ペーパ受けガイド63に対しては戻し動作)とを複数回繰り返すことによって、プリントペーパPをペーパ受けガイド63に対して複数回押し当てることも可能にしている。この押し当て回数を変更することによってもカール調整量を変更することができる。尚、上記プリントペーパPのカール調整面63aへの進入角度の変更は、ローラ対41のプリントペーパ引き込み方向を変更することによって変更することもできる。具体的には、駆動ローラ41aの中心軸回りに従動ローラ41bを回転させて、両ローラ41a、41bの接線方向を変更することによってローラ対41のプリントペーパ引き込み方向を変更することもできる。
一方、ペーパ受取りガイド63が水平姿勢にあるときは、ローラ対41によって引き込まれたプリントペーパPは、ペーパ受けガイド63の上方又は上面に垂れ掛かりながら、筐体後方へ引き込まれ、そのカール量は調整されない。
このペーパ受けガイド63がペーパ受け部材を、カール調整面63aがペーパ受け部材の押し当て面を構成し、ペーパ搬送装置兼スイッチバック装置としてのスイッチバックユニットU4がカール量調整装置も兼用する。
このスイッチバックユニットU4によるカール量調整は、上流側搬送路からローラ対41がプリントペーパPを受け取る際に行われる。
つまり、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPに対しては、ローラ対41が上記第1受取り位置に位置すると共に、ペーパ受けガイド63が傾斜姿勢となる。このとき、上記所定のカール量及び検出されたプリントペーパPのカール量からカール調整量を決定して、このカール調整量に応じて、ペーパ受けガイド63の傾斜角度及び押し当て回数が決められる。
尚、プリントペーパPのカール量が上記所定のカール量と一致している場合、又は上記所定のカール量よりも小さい場合には、ペーパ受けガイド63を水平姿勢にして、カール量の調整を行わない。
また、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPに対しては、ローラ対41が上記第2受取り位置に位置すると共に、ペーパ受けガイド63が水平姿勢となる。つまり、プリントペーパPのカール量調整を行わない。
尚、カール調整量の変更は、ペーパ受けガイド63の傾斜角度又は押し当て回数のいずれか一方のみを変更させることによって行ってもよい。
したがって、本実施形態2によれば、ペーパ受けガイド63と送出し手段としてのローラ対41とを有するスイッチバックユニットU4によって、プリントペーパPのペーパ幅方向に見たカール量を上記所定のカール量に調整して、プリント台66へ搬送することができるため、プリントペーパPをプリント台66に押し付ける力を付与しながら搬送する構成において、プリントペーパPの中間部は勿論、その前端部又は後端部もプリント台66から浮き上がることを防止して、プリント台66上におけるプリントペーパPの全体的な平面性を確保することができる。その結果、上記プリント部4におけるプリントペーパPと上記プリントヘッド67との距離が安定し、インクの着弾精度の悪化を防止することができると共に、プリントペーパPが、その端部が浮き上がった状態でプリント台66上を搬送されてプリントペーパPの端部とプリントヘッド67とが干渉することを防止することができる。
つまり、マガジン収容部2におけるプリントペーパPのロール径がプリントを実行するにつれて変化していったり、マガジン収容部2やカセット収容部3等のように紙質やカール量等の異なるプリントペーパPに対してプリントを行う場合であっても、スイッチバックユニットU4によってプリントペーパPのカール量を調整することによって、プリント台66上におけるプリントペーパPの平面性を略一定に確保することができ、その結果、プリントペーパPの紙質等にかかわらず、プリント品質を高いレベルで均一に維持することができる。
尚、上記実施形態2においては、ペーパ受け部材としてペーパ受けガイド63を採用したがこれに限られるものではない。例えば、図14に示すように、ペーパ受け部材としてペーパ受けローラ64を用いてもよい。ペーパ受けローラ64は、ローラ対41の筐体後部において、ローラ対41に把持されるプリントペーパPのペーパ幅方向に延び且つローラ対41と平行に延びる回転軸を中心に回動可能に支持板52に軸支されている。また、ローラ対ペーパ受けローラ64はその円周面64aがペーパ受け部材の押し当て面を構成する。そして、ペーパ受取りローラ64は、カム機構等の周知の移動機構(図示省略)によってプリントペーパ引き込み方向に直交する方向(図では上下方向)に移動可能に構成されており、その円周面64aの少なくとも一部がペーパ幅方向に見て、ローラ対41のプリントペーパ引き込み方向(図中の一点鎖線)に延びる直線上に位置するカール量調整姿勢(図中の実線)と、その円周面64aが該直線よりも下側に位置する無調整姿勢(図中の二点鎖線)とを切換可能に構成されている。このペーパ受けローラ64がカール量調整姿勢のときは、ローラ対41によって引き込まれたプリントペーパPが、円周面64aに押し付けられ、プリントペーパ引き込み方向から円周面64aに沿って斜め上方へ曲げられる。このとき、プリントペーパPはプリント面を上向きに搬送されているため、プリント面を内側にして曲げられることになり、カール量が減少するように調整される。
そして、ペーパ受けローラ64のプリントペーパ引き込み方向に直交する方向の位置を変更することによって、ローラ対41によって引き込まれたプリントペーパPのペーパ受けローラ64の円周面64aに対する進入角度を変更してカール調整量を変更する。つまり、ペーパ受けローラ64の円周面64aが、プリントペーパ引き込み方向よりもプリントペーパPのカールにより突出する側(図では上側)に突出する量が大きくなるほど、カール調整量も大きくなる。また、ローラ対41は、プリントペーパPをペーパ受けローラ64に対して1回押し当てるだけではなく、プリントペーパPの引込み動作(ペーパ受けローラ64に対しては送出し動作)と送出し動作(ペーパ受けローラ64に対しては戻し動作)とを複数回繰り返すことによって、プリントペーパPをペーパ受けローラ64に対して複数回押し当てることも可能にしている。この押し当て回数を変更することによってもカール調整量を変更することができる。尚、上記プリントペーパPの円周面64aへの進入角度の変更は、ローラ対41のプリントペーパ引き込み方向を変更することによって変更することもできる。具体的には、駆動ローラ41aの中心軸回りに従動ローラ41bを回転させて、両ローラ41a、41bの接線方向を変更することによってローラ対41のプリントペーパ引き込み方向を変更することもできる。
一方、ペーパ受けローラ64が無調整姿勢のときは、ローラ対41によって引き込まれたプリントペーパPは、ペーパ受けローラ64の上方又は円周面64aに垂れ掛りながら、筐体後方へ引き込まれ、そのカール量は調整されない。
このペーパ受けローラ64がペーパ受け部材を、円周面64aがペーパ受け部材の押し当て面を構成し、ペーパ搬送装置兼スイッチバック装置としてのスイッチバックユニットU4がカール量調整装置も兼用する。
また、上記実施形態2においては、カール量調整装置をペーパ受けガイド63と送出し手段としてのローラ対41とを有するスイッチバックユニットU4によって構成したが、これに限られるものではない。つまり、プリントペーパPを押し当てる押し当て面を有するペーパ受け部材と、該ペーパ受け部材に対してプリントペーパPを送り出す送出し手段とを設けることによってカール量調整装置を構成することができる。具体的には、プリントユニットU5における搬送ローラ75(送出し手段)とプリント台66(ペーパ受け部材)によってカール量調整装置を構成することができる。つまり、搬送ローラ75によってプリントペーパPをプリント台66に対して傾斜させて押し当てることによってプリントペーパPのカール量を調整することができる。このとき、プリント台66へのプリントペーパPの押し当て回数を変更することによってカール調整量を変更することができる。また、搬送ローラ75の下流側に位置する案内ローラ79を、プリント台66に対して直交する方向又は平行な方向に移動可能に構成し、この案内ローラ79の位置を変更することによって、プリントペーパPがプリント台66に対して進入する角度を変更してカール調整量を変更することができる。
さらには、カール量調整装置をマガジン収容部2内に設けることもできる。例えば、マガジン収容部2内において、プリントペーパPがロール状に巻かれた状態から引き出された直後にカール量調整装置を配置する。カール量調整装置は、例えば、搬送ローラ及び押し当てガイド等によって構成することができる。
このように、カール量調整装置は、ペーパセット部(マガジン収容部2及びカセット収容部3)からプリント部4までの搬送路の途中の任意の位置に配置することができる。
《発明の実施形態3》
この実施形態3は、プリントペーパPのカール量を調整するカール量調整装置の構成が実施形態1と異なる。
本実施形態3では、図15に示すように、カッターユニットU2の下流側にカール量調整装置としてのカール量調整ユニットU6が配設されている。
上記カール量調整ユニットU6は、それぞれ中心軸回りに正逆回転自在に構成されかつ互いに上下方向に対向してその間にプリントペーパPを通過させるローラ対61とされる。ローラ対61のうち上側に位置する第1ローラ部61aは、図16に示すように、回転軸方向に所定の間隔を空けて配置された複数のローラとしての大径部61a1と、隣り合う大径部61a1の間に設けられた複数の小径部61a2とを有している。また、ローラ対61のうち下側に位置する第2ローラ部61bも同様に、回転軸方向に所定の間隔を空けて配置された複数のローラとしての大径部61b1と、隣り合う大径部61b1の間に設けられた複数の小径部61b2とを有しており、第2ローラ部61bの大径部61b1は第1ローラ部61aの小径部61a2と相対し、第2ローラ部61bの小径部61b2は第1ローラ部61aの大径部61a1と相対するようになっている。また、第1ローラ部61a及び第2ローラ部61bは、第1ローラ部61aの大径部61a1と第2ローラ部61bの大径部及び小径部61b1、61b2と、及び第2ローラ部61bの大径部61b1と第1ローラ部61aの大径部及び小径部61a1、61a2とはそれぞれ互いに非接触でかつ、第1ローラ部61aの大径部61a1の外周縁部と第2ローラ部61bの大径部61b1の外周縁部とは回転軸方向にみて上下に重なるように、配設されている。こうして、第2ローラ部61bの複数の大径部61b1が、それぞれ第1ローラ部61aの複数の大径部61a1の間に入り込むようになり、即ち、第1ローラ部61aの大径部61a1と第2ローラ部61bの大径部61b1とが回転軸方向に所謂千鳥状に配置されている。このように構成された第1ローラ部61aと第2ローラ部61bとの間には、図17に示すように、ペーパ搬送方向から見て波形状の間隙が形成される。尚、第2ローラ部61bは、第1ローラ部61aとの対向方向において、カム機構等の周知の移動機構(図示省略)によって移動可能に構成されており、第1ローラ部61aと第2ローラ部61bとの間に形成される間隙は、所望の幅に調整可能に構成されている。
本実施形態3においては、第1供給ユニットU1の支持ローラ15及び供給ローラ17並びにカッターユニットU2の送出しローラ25を作動させることにより、プリントペーパPをマガジン収容部2から引き出して、カール量調整ユニットU6のローラ対61の間隙を通過させて、第1受取り位置に位置するローラ対41へと搬送する。ここで、プリントペーパPが、それぞれ大径部61a1,61b1及び小径部61a2,61b2を有する第1ローラ61a及び第2ローラ61bの間隙を通過することによって、ペーパ長手方向から見て波形状に曲げられて(図17参照)、上記ロールの巻き癖によるカールしたプリントペーパPのカール量が調整されることになる。このとき、第1ローラ61aと第2ローラ61bとの対向方向における間隙の幅を変更することによってカール調整量を変更することができる。つまり、第1ローラ61aと第2ローラ61bとの間隙の幅を小さくすると、曲げられるプリントペーパPの曲率が大きくなって、カール調整量も大きくなる。一方、第1ローラ61aと第2ローラ61bとの間隙の幅を大きくすると、曲げられるプリントペーパPの曲率が小さくなって、カール調整量も小さくなる。そして、第1ローラ61aと第2ローラ61bとの間隙の幅をさらに大きくすると、プリントペーパPは曲げられず、カール量は調整されない。
したがって、上記実施形態3によれば、ローラ対61によって、プリントペーパPのペーパ幅方向に見たカール量を上記所定のカール量に調整して、プリント台66へ搬送することができるため、プリントペーパPをプリント台66に押し付ける力を付与しながら搬送する構成において、プリントペーパPの中間部は勿論、その前端部又は後端部もプリント台66から浮き上がることを防止して、プリント台66上におけるプリントペーパPの全体的な平面性を確保することができる。その結果、上記プリント部4におけるプリントペーパPと上記プリントヘッド67との距離が安定し、インクの着弾精度の悪化を防止することができると共に、プリントペーパPが、その端部が浮き上がった状態でプリント台66上を搬送されてプリントペーパPの端部とプリントヘッド67とが干渉することを防止することができる。
つまり、マガジン収容部2におけるプリントペーパPのロール径がプリントを実行するにつれて変化していったり、マガジン収容部2やカセット収容部3等のように紙質やカール量等の異なるプリントペーパPに対してプリントを行う場合であっても、ローラ対61によってプリントペーパPのカール量を調整することによって、プリント台66上におけるプリントペーパPの平面性を一定に確保することができ、その結果、プリントペーパPの紙質等にかかわらず、プリント品質を高いレベルで均一に維持することができる。
尚、上記実施形態3においては、ローラ対61が、カッターユニットU2とスイッチバックユニットU4のローラ対41との間に配置されているが、これに限られるものではない。つまり、マガジン収容部2からプリント部4までの搬送路の途中であれば、任意の場所に配置することができる。例えば、スイッチバックユニットU4のローラ対41の代わりに、上記ローラ対61を採用することもできる。かかる場合は、ローラ対61を構成する少なくとも一方のローラが駆動ローラとなり、ローラ対61によってプリントペーパPを引込み及び送出し可能に構成される。
また、上記第1ローラ61a及び第2ローラ61bの大径部61a1、61b1の個数は、任意の数で構成することができる。つまり、それぞれの大径部61a1、61b1がプリントペーパPをその搬送方向に直交する方向に曲げることができるように配置されていれば、その個数は任意の数に設定することができる。
さらに、上記第1ローラ部61a及び第2ローラ部61bがそれぞれ回動自在に構成されているが、第1ローラ部61a及び第2ローラ部61bのそれぞれの軸部は固定されており、それぞれの軸部に対して、大径部61a1及び大径部61b1がそれぞれ回動自在に構成されていてもよい。
《その他の実施形態》
上記実施形態1〜3においては、カール量調整装置のカール調整量の誤差を考慮して、プリントペーパPのカール量をカール量調整装置のカール調整量に誤差が生じてもプリントペーパPのカール量が負の値、即ち、プリントペーパPがペーパ幅方向に見てプリント面とは反対の面側に凸形状にカールしない値に設定しているが、これに限られるものではない。カール量調整装置によるカール調整量の誤差が小さいときには、プリントペーパPが平坦な形状となるようにカール量を調整するように構成してもよい。その結果、プリント台66上において、確実に平面性を確保した状態でプリントペーパPを搬送することができる。
また、上記実施形態1、2においては、カール量調整装置によって、カール量が大きすぎるプリントペーパPのカール量を減少させるように調整しているが、これに限られず、カール量が小さい場合にはプリントペーパPのカール量を増加させて上記所定のカール量になるように調整する構成としてもよい。すなわち、上記実施形態1、2の搬送路とは異なり、マガジン収容部2及びカセット収容部3にセットされたプリントペーパPが、搬送中にペーパ幅方向に見てプリント面とは反対の面側に凸形状にカールしてしまう場合や、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPがプリント面を内側にしてロール状に巻かれている場合などは、カール量調整装置によってペーパ幅方向に見てプリント面側に凸形状にカールする又は、平坦な形状となるようにプリントペーパPのカール量を増加させて調整する。
具体的には、上記実施形態1では、上記搬送ローラ75によってプリントペーパPの端部を保持した状態で、プリントペーパPを把持したローラ対41をローラ対41の対向方向における従動ローラ41b側に移動させる。これにより、プリントペーパPが該ローラ対41の下側の駆動ローラ41aにプリント面を外側にして曲げられた状態で巻き掛けられ且つプリントペーパPの搬送ローラ75とローラ対41との間の部分にテンションが付与される。こうして、プリントペーパPが、ローラ対41によってカールによりプリント面が外側となるように曲げられた状態でしごかれることになり、カール量が増加する。
また、上記実施形態2では、上記ペーパ受けガイド63を、そのカール調整面63aが上方且つ筐体後方を向いて傾斜、即ち、カール調整面63aとは反対側の面が下方且つ筐体前方を向いて傾斜し且つ、このカール調整面63aとは反対側の面がプリントペーパ引き込み方向と交差するように切り換える。そして、ロール対41によってプリントペーパ引き込み方向へ引き込まれたプリントペーパPをこのカール調整面63aとは反対側の面に押し付けてプリント面を外側にして曲げることによりカール量を増加させる。
このように、カール量調整装置は、プリントペーパPがペーパ幅方向に見てプリント面とは反対の面側に凸形状にカールした状態でプリント台66まで搬送され得る場合には、カール量を減少させるだけではなく、カール量を増加させてプリントペーパPをペーパ幅方向に見てプリント面側に凸形状にカールした状態、又は平坦な形状となるように調整するように構成してもよい。