JP4511980B2 - T−rflp法による硝化活性能力の測定方法 - Google Patents

T−rflp法による硝化活性能力の測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、T−RFLP法による硝化活性能力の測定方法に関し、詳しくは生物的な硝化反応系として代表的な含窒素排液の生物的な汚水処理系の硝化活性能力をT−RFLP(Terminal Restriction Fragment Length Polymorphism:末端蛍光修飾制限酵素断片多型性)のフラグメント数により測定するT−RFLP法による硝化活性能力の測定方法に関する。
従来、特許文献1には、硝化活性測定装置および硝化方法が開示され、具体的には測定槽に試料汚泥とアンモニア性窒素を導入し、pH滴定装置によりpHを一定に保つようにアルカリを添加しながら、酸素消費量測定装置により酸素分圧を一定に保つように酸素を供給してアルカリ消費量および酸素消費量を測定し、これらの値から演算装置において亜硝酸化速度および硝酸化速度を演算し、得られた亜硝酸化速度および硝酸化速度を生物硝化における指標として用いる手法が開示されている。
また特許文献2には、含窒素排液の生物的な処理方法において、硝化槽から汚泥を採取して、これにアンモニアを注入し、アンモニアの消費量から汚泥の硝化活性を測定する
方法が開示されている。また特許文献2では、硝化活性の測定値が所定値以上を維持するように、硝化工程への汚泥返送量を制御している。
従来の汚泥の硝化活性を測定する手法は、アンモニアの分解値から算出したに過ぎず、微生物学的な視点が全くないため、再現性が乏しい欠点がある。
微生物学的な視点を考慮した方法としては、特許文献3に記載の方法が知られている。
特許文献3に記載の方法は、アンモニア性窒素含有排液を、アナモックス細菌を含む汚泥を用いて処理する方法において、処理方法を立ち上げる汚泥、または立ち上げ後の汚泥について、合成されたPCR産物を制限酵素で切断し、T−RFLP (Terminal Restriction Fragment Length Polymorphisms)解析を行うことによって、アナモックス細菌の種類を解析して、その解析結果に基づいてアンモニア性窒素含有排液を処理する方法である。
特開平09−206791号公報 特開2001−269697号公報 特開2004−283032号公報
特許文献3に記載のアナモックス細菌は、独立栄養性脱窒微生物であって、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素を直接窒素ガスに変換させる微生物であり、脱窒処理の方法を開示するのみである。
しかし、アンモニア性窒素含有排液を処理する場合、微生物の硝化活性能力が処理系を支配するが、特許文献3には、硝化活性に関しては開示されておらず、従来、硝化活性に関して微生物学的な考察は進んでいないのが実情である。
本発明者らは、分子生物学的な手法として、T−RFLP(末端蛍光修飾制限酵素断片多型性)法を採用し、T−RFLPによる活性汚泥の微生物解析を行い、生物的な硝化反応系内の硝化能力を測定する再現性に優れた新規な手法の開発に成功した。
そこで、本発明の課題は、生物的な硝化反応系として代表的な含窒素排液の生物的な汚水処理系の硝化活性能力をT−RFLPのフラグメント数により測定するT−RFLP法による硝化活性能力の測定方法を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の各発明によって解決される。
(請求項1)
生物的な硝化反応系内のバクテリアから抽出されたDNAのPCR(Polymerase Chain Reaction)産物を制限酵素で切断し、T−RFLP(Terminal Restriction Fragment Length Polymorphisms)法により解析し、硝化活性能力を測定する方法であって、
制限酵素としてHhaIを使用して得られるフラグメントサイズが28〜37baseのバクテリアの検出状況と、検出される全フラグメントの輝度の合計に対する目的フラグメントの輝度の割合で示される相対輝度により測定することを特徴とするT−RFLP法による硝化活性能力の測定方法。
(請求項
生物的な硝化反応系が、少なくとも腐植土を使用した含窒素排液の生物的な汚水処理系であることを特徴とする請求項1記載のT−RFLP法による硝化活性能力の測定方法。
本発明によると、生物的な硝化反応系として代表的な含窒素排液の生物的な汚水処理系の硝化活性能力をT−RFLPのフラグメント数により測定する、T−RFLP法による硝化活性能力の測定方法を提供できる。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。
〔予備的な検討及び実験〕
始めに、分子生物学的微生物群集解析手法として、T-RFLP法を採用するに際しての問題点を整理し、再現性及び普遍性のある手法にする上での予備的な検討、実験について説明する。
生物的な硝化反応系内のバクテリアからDNAを抽出するに際しては、以下の問題点が考えられる。即ち、(1)複合微生物サンプルの場合、抽出したDNAはサンプルのポピュレーションを反映しているかどうか、(2)推定DNA量はどのように取り扱っているか、(3)DNAの抽出手法による影響はどうかである。
(1)については、一般に推定されるDNA量の10%程度を回収できていれば有効とみなしており、公知の公定法で抽出するのが望ましい。このためキットによる抽出で推定DNA量の10%を回収できるかどうかを確認した。
次に、2)については、大腸菌の場合、菌体の乾燥重量の3.1%がDNAとする報告
(Biochim. Biophys Acta. 1972 Dec 22;287(3);477-84 Estimation of the double-helical content in various single-stranded nucleic acids by treatment with a single strand-specific nuclease)がある。従って、この値を基に推定DNA量を算出する。
次に、(3)については、グラム陽性菌のDNA抽出手法でグラム陰性菌のDNA抽出を行うと、ずたずたに切れてしまうという経験的認識があるので、汚泥のような複合微生物系の場合は両方の手法でDNAを抽出してバリエーションをT-RFLPで検討する必要がある。従って、陽性、陰性両方の手法でDNAを抽出し、回収率、PCR産物生成の確認、T-RFLPフラグメントのバリエーションを比較し、DNA抽出方法を決定する。
制限酵素によるフラグメント数の比較に関しては、
Terminal Restriction fragment length polymorphism(T-RFLP):an emerging method for characterizing diversity among homologous populations of amplification products Marsh著Techniques ,No.2,323-327,1999を参照できる。
PCRに関しては、複合微生物サンプルの場合、16SrRNAgeneのPCRはすべてのバクテリアで同じように増幅されるのか否かが問題となる。バクテリアにより16SrRNAgeneのコピー数が異なる。コピー数の多いバクテリアはPCR産物が多く、少ないものは少ない傾向があるが、コピー数以外の要因も影響していると考えられる。具体的にはゲノムのサイズやプライマーのアフィニティなどが挙げられる。この他に、グラム陽性菌はDNAの抽出効率が低いこともあって、PCRで増幅しにくい傾向がある。また、放線菌は単独ではPCR産物を得られても、ほかのバクテリアと混合してPCRを行うと、PCR産物が得られないことを経験している。従って、PCR増幅効率とコピー数との間に何らかの関係が見出せないか検討し、関係が見出せればコピー数を鑑みた結果から、注目するフラグメントの量的な解析も可能となる。
PCRにおけるコピー数の問題に関しては、
Terminal Restriction Pattern Analysis of 16S rRNA Genes for the Characterization of Bacterial Communities of Activated 平石ら著 Sludges J.of Bioscience and Bioengineering , vol.90,No.2,148-156,2000を参照できる。
T-RFLPに関しては、(1)T-RFLPの検出限界はどうか、(2)T-RFLPフラグメントによる菌種の特定は十分かどうか、(3)データの処理方法として具体的な方法はどうするかである。(1)に関しては、サンプル中の優占率0.01%程度であればピークとして検出できる。(2)に関しては、初期段階ではデータベースから検索することで十分であるが、確定する場合はサザンハイブリダイゼーションを行うことが望ましい。(3)に関しては、類似度を求めることを行う。従って、処理状態とリンクするフラグメントについてサザンハイブリダイゼーションを含めた検討を行い、微生物群集と処理状態を考察する場合は類似度よりもむしろ個別の菌株の動態変化と処理をリンクできるのが望ましいと考える。
以上の知見をふまえて、次の点について検討した。
(1)DNAの抽出:抽出率は10%の抽出率を確保できる手法とし、PCR産物量に関しては、PCR産物の得られるDNAの抽出方法に従い、従来の抽出方法との比較において、T-RFLPフラグメント数とバリエーションが同等であることを確認する。
(2)PCR回数
(3)DAPIサンプルの分散方法
(4)T-RFLP:安定した分析条件検討及びラダーの作成を行う。
以下に、具体的な検討内容を説明する。
<DNA抽出に関する検討>
数種の菌株を入手し、その培養液からDNA抽出率について検討した。実際には、培養菌体の乾燥重量からDNA量を推測し、回収されたDNA量から抽出効率を求め10%を確保していれば十分抽出されているとみなすこととした。特に、DNA抽出の省力化を期待して、QIAGEN社のDneasy Tissue Kit を使用し、従来の抽出方法によるDNAを使用してのT-RFLPの結果と比較を行い、有効性を検討した。
(1)使用菌株
購入菌株は汚泥から単離されたと報告のある菌株を中心に、微生物分類学での分類を考慮して選択し、JCM(理化学研究所)のコレクションより分譲したものを使用した。ただし、Bacillus菌株についてはSIGMAより販売されているものを使用した。(表1参照)
各菌株は指定の培地で調整したスラントにて培養後、一晩、指定の培地および温度で振とう培養し、遠心分離を行って菌体を回収し、滅菌水で洗浄して培地成分を除去後、DNA抽出に供した。
Figure 0004511980
(2)DNAの抽出
QIAGEN DNeasy Tissue Kit での検討では付属のプロトコールに従った。このプロトコールはグラム陰性菌と陽性菌では若干内容が異なる。そこで、全ての検討菌株について両方の手法で検討を行い抽出し、DNA回収率、回収したDNAによるPCRの可否等を検討した。
まず、Streptomyces vinaceus JCM4090以外の各菌株および汚泥のDNA抽出率について表2に示す。
Figure 0004511980
各菌、汚泥とも、推定DNA量に対する回収率がほぼ10%程度もしくはそれ以上であり、このキットでのDNA回収が十分なものであることを確認した。これらDNAを鋳型にしたPCRによってPCR産物も得ることができた。
このキットを用いてDNAを抽出した場合、陰性菌メソッドの回収率が高くなる傾向がみられた(図1参照)。
(3)T-RFLP
次に、T-RFLPを行ってフラグメント数の比較を行った。その結果を図2に示す。
これより、「陰性菌メソッドのみ」でのフラグメント数が多く、フラグメント数としても十分であることが示された。
フラグメント数の多かった「陰性菌メソッドのみ」については、そのフラグメントの種類について比較を行った(図3参照)。
フラグメントの厳密な塩基数を比較すると若干のずれがあるが、バリエーションとしてはほぼ同様のフラグメント分布であった。
以上の知見から、本実験においては、QIAGEN DNeasy Tissue Kit で行う汚泥由来DNA回収は、「陰性菌メソッドのみ」で行うことに大きな問題はないと判断した。
次に、従来のDNA抽出方法で抽出した汚泥由来DNAを鋳型とするPCR産物との、T-RFLPフラグメント数と分布の比較を、汚泥で行った。その結果、ほぼ同等フラグメント分布であった(図4参照)
従来法では抽出に供するサンプル量が固形分の湿重量で1gであるのに対し、キットを使用した場合は槽内水を含む0.3mlであることから、少ないサンプル量で全体を反映したデータを取得できるかという懸念があったが、本検討において、少ないサンプル量でも変わらないデータが取得できるものと判断した。
以上の結果より、DNAの抽出はQIAGEN DNeasy Tissue Kitの陰性菌メソッドで行うことで問題ないと判断した。
<PCRに関する検討>
PCRを行うにあたって考慮しなければならない問題としてPCR回数がある。これは、ある回数以上PCRを行ってもPCR産物量は増えず、横ばいとなるためである。そこで、PCR回数を何回行ったPCR産物を使用するか、検討を行った。
プライマーおよびPCR温度条件は以下のとおり。
Figure 0004511980
(処方)
キアゲンTaq Maste rMix Kit 50μl
4pM 27F 10μl
4pM 907R 10μl
4.5ng 分析するサンプル由来の鋳型DNA 4μl
DW 26μl
Total 100μl
(PCR温度)
4.5ng/μl DNA 4μl 95℃ 1分
4pmol/μl各プライマー7.5μl 47℃ 1分
PCR MIX kit 25μl 72℃ 1.5分
MiliQ 6μl 25回
この条件でPCRを13回から25回まで行い、PCR回数によるPCR産物量をプロットした結果を図5に示す。22回をピークに、PCR産物量は定常状態(プラトー)になった。この結果より、PCR回数はプラトーに達する直前の21回とした。
<T-RFLP分析条件>
長期間にわたって比較可能な分析結果を得るために、鋭意検討した結果、分析は以下の条件で行うこととした。
(分析手順)最初にPCR産物はQIAGEN Purification Kit を用いて、PCRプライマーを除く。次いでPCR産物濃度を分光光度計(日立製作所製 Gene Spec III)で濃度を測定する。その測定濃度より、分析に供するPCR産物量が150ng/tubeになるようにサンプルを使用する。次いで、HhaI(TAKARA社製)を加え、37℃にて2時間の酵素反応を行い、loading bufferを添加して酵素反応を停止する(このときサンプルの全量が20μlとなるように調節する)。次いで、97℃4分間の変性処理を行った後、氷冷する。2μlゲルにアプライした後、10時間電気泳動を行う。
(解析)解析範囲は35baseから890base付近とした。なお、分析範囲を網羅するため、500base以上のラダーを調整した。調整したラダーの大きさは529、605、697、891baseで、いずれもE.coliを鋳型としたPCRを行って得たPCR産物を精製して使用した。フラグメント数は60以上取れるまで分析作業を繰り返した。解析結果から各フラグメントの高さで各フラグメント割合を算出した。また経時的にフラグメントの変動をチェックした。
〔本発明の測定方法〕
次に、本発明の測定方法について説明する。
生物的な硝化反応系内のバクテリアから抽出されたDNAのPCR(Polymerase Chain Reaction)産物を制限酵素で切断する。PCRにおけるプライマーは、表4に2種のユニバーサルプライマーを用いて行う。かかるプライマーを用いてPCRを行うと、2種のプライマー間の塩基配列の核酸断片が増幅され、高濃度で得られる。このような核酸断片を検出するためには、検出のための標識をつけたプローブを用いることが出来る。
標識をつけたプローブとしては、核酸断片を放射性元素、酵素、蛍光物質または化学物質等の標識物質を結合させて標識した核酸断片を用いることができる。例えば蛍光物質を5’末端に付けたTEXAS−REDを用いることも好ましい。シーケンサーとしては、日立社製「SQ5500」を用いることができる。
本発明では、生物的な硝化反応系内のバクテリアから抽出されたDNAのPCR(Polymerase Chain Reaction)産物を制限酵素で切断した後、T−RFLP解析を行い、該T−RFLP法によるフラグメント数の推移を求める。
T−RFLP解析は、上記の説明を援用できる。フラグメント数の推移はQIAGEN Purification Kitを用いた場合には、最初にプライマーのピークがフラグメント数20base付近に現れ、次いでフラグメント数33base付近に本発明における硝化活性能力に優れた汚泥(バクテリア)が出現する。QIAGEN Purification Kit以外のものに代えた場合にも、本発明における硝化活性能力に優れた汚泥(バクテリア)は28〜37baseの範囲に出現することが判明した。
従って、本発明では、硝化活性能力と前記フラグメント数との関連を特定することができる。また制限酵素としてHhaI(TAKARA社製)を使用した場合の前記フラグメント数28〜37baseが、硝化活性能力と関連することが明らかとなった。
本発明においては、生物的な硝化反応系の汚泥が上記フラグメントの範囲に入るように制御すれば硝化活性能力を向上させることができる。
本発明の測定方法は、含窒素排液の生物的な汚水処理系に適用でき、腐植土(例えば(腐植ペレット)やシリカ薬剤を使用した含窒素排液の生物的な汚水処理系に適用できる。腐植土及びシリカ薬剤は各々単独で用いてもよいし、併用してもよい。シリカ薬剤の組成はシリカ原料を硫酸で溶解したものを好ましく使用でき、その成分例を示すと、SiO235.9wt%:Al12.8wt%:CaO37.8wt%:MgO6.3wt%:NaO1.48wt%:KO2.12wt%:Fe0.27wt%:T-S0.84wt%である。
さらに本発明では、硝化反応系で、制限酵素としてHhaI(TAKARA社製)を使用した場合のフラグメント数33base付近に関連のあるバクテリアの検出状況が相対輝度2.6%以上である場合、硝化処理を安定して行える効果がある。
以上の説明では、PCR産物を、制限酵素としてHhaI(TAKARA社製)を使用してフラグメント化しているが、制限酵素には、他にMsp1などがあり、酵素処理により多様性のあるフラグメントを調整できる酵素もある。酵素が変わると切れる場所も変わることは当然であり、フラグメント数28〜37baseという数値は、特定の制限酵素との関係で意味を持つものであり、HhaI以外の制限酵素を使用した場合には、硝化速度と関連するフラグメント数は変化する。
以下、実施例により本発明を説明するが、かかる実施例により本発明は何ら限定されるものではない。
実施例1
(処理系)
実験系列は以下のように構成し、試験用サンプル汚泥は硝化槽から所定量採取した。
図6に示す処理装置内の硝化タンク内の汚泥を試料とした。有機性またはアンモニア性窒素化合物、硝酸性または亜硝酸性窒素などを含む汚水を無酸素槽10と硝化槽11からなる反応タンク1に導入して、無酸素槽10では脱窒反応を行い、硝化槽11では好気下でアンモニアの酸化、亜硝酸の酸化などを行う。2は沈降槽であり、反応タンク1から送られる汚泥混合液を固液分離する。沈降分離汚泥の少なくとも一部は返送汚泥管20を介して反応タンク1に返送される。返送汚泥管20を介して返送される返送汚泥の一部又は全部は、安定好気槽3に送られ、酸素の補給、汚泥の混合及び攪拌を行う。4は腐植土ペレット40を充填した接触槽であり、安定好気槽3内の汚泥を導入して、腐食ペレットに接触させた後、再度安定好気槽3に返送するように構成されている。41は導入管、42は返送管である。
対照系列は実験系列における腐植土ペレット40を充填した接触槽4、導入管41及び返送管42を設けない以外は同様に構成した。比較試験用サンプル汚泥も硝化槽から所定量採取した。
両系列とも、反応タンクの滞留時間は6時間(流入水量23m/日、流量変動なし)、汚泥返送比は150%とし、返送汚泥の一部(全返送量の2.1%)は安定好気槽を介して、反応タンクに返送した。また、反応タンクは嫌気一好気に区分し、容量比を1:1とした。実験系列では、腐植土ペレットを接触槽に充填し、好気条件下で汚泥と接触させ、接触した汚泥は12時間ごとに安定好気槽内汚泥の5%相当量と入れ替えた。
(使用菌種)
上記サンプル汚泥から単離した各菌株は指定の培地で調整したスラントにて培養後、一晩、指定の培地および温度で振とう培養し、遠心分離を行って菌体を回収し、滅菌水で洗浄して培地成分を除去後、DNA抽出に供した。
(DNAの抽出及びPCR)
DNAの抽出はQIAGEN DNeasy Tissue Kitの陰性菌メソッドで行った。
前記表3に示すユニバーサルプライマーを用い、下記の処方、温度条件に従い、PCRを21回行った。
(処方)
キアゲンTaq Maste rMix Kit 50μl
4pM 27F 10μl
4pM 907R 10μl
4.5ng 分析するサンプル由来の鋳型DNA 4μl
DW 26μl
Total 100μl
(PCR温度)
4.5ng/μl DNA 4μl 95℃ 1分
4pmol/μl各プライマー7.5μl 47℃ 1分
PCR MIX kit 25μl 72℃ 1.5分
MiliQ 6μl 25回
(T-RFLP)
最初にPCR産物はQIAGEN Purification Kit を用いて、PCRプライマーを除いた。次いで、PCR産物濃度を分光光度計(日立製作所製 Gene Spec III)で濃度を測定した。その測定濃度より、分析に供するPCR産物量が150ng/tubeになるようにサンプルを使用する。
次いで、HhaI(TAKARA社製)を加え、37℃にて2時間の酵素反応を行い、loading bufferを添加して酵素反応を停止する(このときサンプルの全量が20μlとなるように調節する)。次いで、97℃4分間の変性処理を行った後、氷冷する。2μlゲルにアプライした後、10時間電気泳動を行う。
(フラグメントサイズと硝化速度の関係)
実験系列(A系列)と対照系列(B系列)における、T-RFLPフラグメントサイズ33base付近のピーク面積比(%)をRun開始後、0日、33日、54日、62日後の各々について求め、さらにそれらに対応する最大硝化速度(at20℃)を求めた。
その結果を表4に示す。
Figure 0004511980
(処理水中のアンモニア濃度とフラグメントサイズの検出状況の関係)
実験系列と対照系列に両方において、処理水中のアンモニア濃度を分析して調べ、それに対応するT-RFLPフラグメントサイズ33base付近検出状況と相対輝度(%)によって調べた。相対輝度(%)は検出される全フラグメントの輝度の合計に対する目的フラグメントの輝度の割合を日立電子エンジニアリングのフラグメント解析ソフト「FRAGRIS」で測定した。
その結果を図7に示す。(A)は実験系列、(B)は対照系列である。
図7から明らかなように、実験系列では相対輝度(%)が2.6%以上であれば硝化が順調であることが判った。
(予想されるフラグメントサイズとAccesson No.とバクテリアの種類の関係)
サンプル中のバクテリアについて、予想されるフラグメントサイズを調べた結果を表
に示す。表5に示すように、フラグメントサイズ28はNitrosomonasのようなAOB(アンモニア酸化菌)であり、フラグメントサイズ37はNitrospira のようなNOB(亜硝酸酸化細菌)である。
Figure 0004511980
(リアルタイム定量PCR)
PCRを行ってPCR産物の増え方をモニタリングして鋳型となったもともとのDNA量を推定する手法を採用してリアルタイム定量PCRを行った。
例えばQP(Quenching Primer)−PCR法は図8に示す方法である。
また、他の方法としては、図9に示すように、濃度既知サンプルの各サイクル毎の消光率をプロットし、検量線を作成しDNAを定量する方法がある。
(アンモニア酸化系の細菌の機能遺伝子の定量)
図10に示すアンモニア酸化系において、機能遺伝子として、アンモニア酸化細菌の機能遺伝子であるamoAと、亜硝酸酸化機能遺伝子であるNitorospira16Sの定量を行った。
amoA(アンモニア酸化機能遺伝子)のコピー数については、図11に示す。
図11(A)は汚泥ml当りのamoAのコピー数であり、図11(B)は汚泥VSS当りのamoAのコピー数である。図中のAは実験系列を示し、Bは対象系列を示す。
Nitorospira 属(亜硝酸酸化細菌)16Sのコピー数については、図12に示す。図12
(A)は汚泥ml当りのNitorospira属(亜硝酸酸化細菌)16Sのコピー数であり、図12(B)は汚泥VSS当りのNitorospira属(亜硝酸酸化細菌)16Sのコピー数である。図中のAは実験系列を示し、Bは対象系列を示す。
以上の結果は腐植ペレットとシリカ薬剤を併用した場合も同様の結果であった。硝化系の形成には腐植ペレットとシリカ薬剤の何れか又は両方が寄与するものと考えられる。
DNAを抽出した場合の陰性菌メソッドの回収率を表す図 処理方法におけるフラグメント数の比較を示す図 「陰性菌メソッドのみ」の場合のフラグメントサイズと占有率の関係を示す図 汚泥と、従来のDNA抽出方法で抽出した汚泥由来DNAを鋳型とするPCR産物のT-RFLPフラグメント数と分布の比較を示す図 PCR回数とPCR産物量の関係を示す図 実験に用いた処理装置例を示す図 処理水中のアンモニア濃度とフラグメントサイズの検出状況の関係を示す図 リアルタイム定量PCRの一例を示す図 リアルタイム定量PCRの他の例を示す図 アンモニア酸化系におけるアンモニア酸化機能遺伝子であるamoAと、亜硝酸酸化機能遺伝子であるNitorospira16Sの説明図 amoA(アンモニア酸化機能遺伝子)のコピー数を示す図 Nitorospira 属(亜硝酸酸化細菌)16Sのコピー数を示す図
符号の説明
1:反応タンク
10:無酸素槽
11:硝化槽
2:沈降槽
20:返送汚泥管
3:安定好気槽
4:接触槽
40:腐植土ペレット
41:導入管
42:返送管

Claims (2)

  1. 生物的な硝化反応系内のバクテリアから抽出されたDNAのPCR(Polymerase Chain Reaction)産物を制限酵素で切断し、T−RFLP(Terminal Restriction Fragment Length Polymorphisms)法により解析し、硝化活性能力を測定する方法であって、
    制限酵素としてHhaIを使用して得られるフラグメントサイズが28〜37baseのバクテリアの検出状況と、検出される全フラグメントの輝度の合計に対する目的フラグメントの輝度の割合で示される相対輝度により測定することを特徴とするT−RFLP法による硝化活性能力の測定方法。
  2. 生物的な硝化反応系が、少なくとも腐植土を使用した含窒素排液の生物的な汚水処理系であることを特徴とする請求項1記載のT−RFLP法による硝化活性能力の測定方法。
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