JP4511365B2 - イノシトール化リン脂質 - Google Patents

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Description

本発明は、グリセロール主鎖のsn−1又はsn−2位に結合した置換された又は置換されていないポリヒドロキシル化脂肪族炭素環(polyhydroxylated aliphatic carbocycle)を有するリン脂質誘導体、前記リン脂質を含有する医薬組成物、前記リン脂質の製造方法及び前記リン脂質を含有する医薬に関する。
抗癌治療に現在用いられている細胞増殖抑制剤の大部分は、DNAに直接結合し(例えば、シスプラチン又はエピルビシン)又は細胞骨格を標的とし(例えば、ビンブラスチン)又は有糸分裂の紡錘体装置(spindle apparatus)を標的とする(例えば、タキソール)ことによって、細胞の周期進行を直接に阻害する。数年間で、リン脂質も細胞増殖及び細胞内シグナル伝達に関与していることが充分に立証された(Cullis,P.R.ら、Phospholipids and cellular regulation, I.Boca Raton(編),CRC Press,1-59(1985);Nishizuka,Y.,Science 258:607-614(1992))。これらの過程を妨害しそして増殖阻害剤として作用する高い代謝安定性のリン脂質アナログが合成されてきた。これらの阻害剤は、前立腺癌、膀胱の尿路上皮性癌、副腎様の癌(hypernephroid carcinoma)及び奇形癌(Berdel,W.E.ら,J.Natl.Cancer Inst.66:813-817(1981);Berdel,W.E.ら,J.Cancer Res.43:5538-5543(1983);Herrmann,D.B.J.,Neumann,H.A.,Lipids 22:955-957(1987))、種々のヒト及びネズミの白血病、ヒトの脳腫瘍、ヒトの肺癌(Berdel,W.E.ら,Cancer Res.43:541-545(1983);Scholar,E.M.Cancer Lett.33:199-204(1986))、及び線維肉腫(Houlihan,W.J.ら,Lipids 22:884-890(1987))を含む、多種多様の細胞に作用する。これらのリン脂質アナログの正確な作用機構は、なお依然として不明である。しかしながら、主として、前記化合物は、該化合物が蓄積しそして多種多様の鍵となる酵素を妨害する場所となる細胞膜中に吸収され、その大部分は膜に存在し、脂質代謝及び/又は細胞シグナル伝達機構に関与している(Arthur,G.,Bittman,R. Biochim.Biophys.Acta 1390:85-102(1998))。
多くのリン脂質アナログは、その抗増殖(antiproliferative)効果の他に、細胞培養試験においてその溶解(lytic)特性によって示される如く、潜在的に有毒でもあり(Wieder,T.ら,J.Biol.Chem.273:11025-11031(1998);Wiese,A.ら, Biol.Chem.381:135-144(2000))、従って、高い抗増殖能を有するが細胞毒性副作用が低いリン脂質アナログを合成するべき努力がなされてきた。
抗増殖剤としてのリン脂質アナログの開発は、リゾホスファチジルコリン(LPC;図1)が宿主の防御機構における役割を担っているという観察から生まれた(Burdzky,K.ら,Z.Naturforsch.19b:1118-1120(1964))。最も普通に用いられるリン脂質アナログは、リゾホスファチジルコリン及びリゾプレートレット(lysoplatelet)活性化因子(lyso−PAF)の誘導体である。エデルフォシン、1−O−オクタデシル−2−O−メチル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(ET−18−OCH3;図1)は、特異的に、腫瘍細胞の増殖、腫瘍細胞浸潤、及び転移を阻害しそしてマクロファージの殺腫瘍能を高めるPAF誘導化合物である(Houlihan,W.J.ら,Med.Res.Rev.15:157-223(1995))。構造的に類似した長鎖のグリセロール不含のリン酸ベース(phosphobase)剤、例えば、治療可能性を有する唯一の化合物である、ヘキサデシル−ホスホコリン(HePC;図1)もある。HePCは、現在、乳癌患者の皮膚転移(Unger,C.ら,Progr.Exp.Tumor Res.34:153-159(1992);Clive,S.,Leonard,R.C.F.,Lancet 349:621-622(1997))及び内臓リーシュマニア症(Jha,T.K.ら,N.Engl.J.Med.341:1795-1800(1999))の局所治療に用いられている。ネガティブな副作用、例えば、高い細胞毒性の理由から、細胞毒性が少ないリン脂質アナログを合成するべき努力がなされてきた。
その結果、新たな戦略が、グリセロール主鎖中に糖又は糖アルコールを導入することにより引き継がれた。sn−2位へのグルコースの導入は、グリセログルコホスホコリン(Glc−PC)並びに1−O−オクタデシル−2−O−α−D−グルコ−ピラノシル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(Glc−PAF;図1)を生じた(Mickeleit,M.ら,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.34:2667-2669(1995);Mickeleit,M.ら,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.37,351-353(1998))。両化合物は水溶性でありそしてさらに以下で記載するように無毒性濃度で増殖阻害特性を示す。
他のグループによって、糖含有リン脂質アナログの使用も述べられてきた。sn−3ホスホコリン残基を異なる単糖類によって置換することにより、グリコシド化(glycosidated)されていないホスホコリン含有化合物と比較して、より効力のあるアナログが生じる(Marino-Albernas,J.R.ら,J.Med.Chem.39:3241-3247(1996);Samadder,P.,Arthur,G.Cancer Res.59:4808-4815(1998))。
一方で、ホスフェート基でエステル化されたイノシトールを有する、ホスファチジルイノシトールの代謝は、細胞内メッセンジャー、例えば、イノシトール−1,4,5−トリホスフェートを遊離させることが周知である(Lehninger,A.L.ら,Prinzipien der Biochemie,Tschesche,H.(編),第2版,Spektrum Akademischer Verlag,298(1994))。従って、ホスファチジルイノシトールは、細胞内シグナル伝達に関与している。イノシトール含有リン脂質は、正確な構造の情報がなくそして前後関係において(in contexts)本明細書に記載のものとは異なっているが、WO01/82921A2、WO02/04959及び特開2002010796Aからも公知である。
しかしながら、前記のものより効果的でしかも同時に前記のいずれの欠点をも有さないリン脂質を発見することが、依然として望ましいままであった。
意外にも、本発明の発明者らは、イノシトール−PAF(Ino−PAF)を生じる、糖アルコールイノシトールの導入が、グルコース含有アナログよりはるかに強力に細胞の増殖に影響を与えることを見出した。従って、本発明は、脂肪酸分子の代わりに糖アルコールがホスファチジルコリン分子中に組み込まれた新規な種類のグリセロリン脂質を提供する。
前記グリセロリン脂質は、増殖及び他の生理学的過程への顕著な効果を示す。とりわけ、本発明は、
グリセロール主鎖のsn−1位又はsn−2位に結合した置換された又は置換されていないポリヒドロキシル化脂肪族炭素環を有するリン脂質;
前記(1)に定義したリン脂質を含有する医薬組成物;
前記(1)に定義したリン脂質の製造方法であって、グリセロール前駆体化合物を、活性化された置換された又は置換されていないポリヒドロキシル化脂肪族炭素環化合物の前駆体化合物と反応させる(それによって前記炭素環化合物を直接に又はリンカー分子を介してグリセロール主鎖の酸素原子に結合させる)ことを特徴とする製造方法;
前記(1)に定義したリン脂質の用途であって、前立腺癌、膀胱の尿路上皮性癌、副腎様の癌、奇形癌、ヒト及びネズミの白血病、脳腫瘍、肺癌、線維肉腫、及び皮膚の過剰増殖疾病(hyperproliferative disease)の治療用医薬の製造のための使用;及び
前記(1)に定義したリン脂質を患者に投与することを特徴とする、前立腺癌、膀胱の尿路上皮性癌、副腎様の癌、奇形癌、ヒト及びネズミの白血病、脳腫瘍、肺癌、線維肉腫、及び皮膚の過剰増殖疾病の治療方法
を提供する。
DNA合成を妨げず、又は細胞骨格に影響を及ぼさないが、他の標的に作用して、例えば、原形質膜の構造及び機能をリモデリングすることに導く特異的な抗癌剤に対する調査は、有望な将来性のある研究分野であると考えられる。既に確立された抗腫瘍リン脂質アナログに加え、新規な種類の合成リン脂質である、リゾホスファチジルコリンの糖アルコール含有アナログ、例えば、Ino−PAFを記載してきた。これらの型の化合物は細胞増殖を阻害しそしてインビトロで細胞マトリックス接着を活性化することが示された。
前記化合物の正確な作用機構はわかっていないが、前記化合物が、通常のリン脂質アナログによって影響を受ける以外の他のシグナル伝達経路に作用することは明らかと思われる。従って、これらの化合物は、他の公知の細胞増殖抑制薬剤と一緒に用いて薬剤耐性を相殺する(counteract)こともできる。
本発明のリン脂質の範囲内で、グリセロール主鎖の3個のOH基を、連続する順序で、化学の分野で広く認められる表示名sn−1、sn−2及びsn−3として示す。本発明の意味の範囲内で用語「リン脂質」は、当業界で一般的に認められるようにさらに置換されそして両親媒性を有する、sn−3位でリン酸化されたグリセロール主鎖からなる化合物をいう。
好ましい態様において、本発明のリン脂質は、下記式(I):
(上記式中、
(i)Aは、独立して、場合により置換されているC1−6アルキル基であるか、又は、2つのA残基が、場合により置換されている5〜7員環を形成していることがあり、
(ii)R及びR’の一方は、直接に又はリンカー分子を介してグリセロール主鎖の酸素原子に連結されているポリヒドロキシル化脂肪族炭素環又はその誘導体を含む第一の残基であり、そして前記の他方は、場合により不飽和の及び/又は場合により置換されているC1−20アルキル基、場合により不飽和の及び/又は場合により置換されているC2−26アシル基及び水素原子から選ばれる第二の残基であり、そして
(iii)nは、1〜5の範囲の整数である)
を有する。
用語「アルキル」又は「アルキル基」は、アルカンCの残基の任意の直鎖状又は分枝状の構造異性体を示し、ここで整数であるnはアルキル鎖の炭素原子の数、すなわち、CH基、CH基及びCH基の数を示す。用語「場合により不飽和のアルキル」又は「アルケン」は、モノ、ジ−、トリ−又はポリ不飽和アルケンを示す。
従って、本発明の範囲内で用語「場合により不飽和の及び/又は場合により置換されているC1−20アルキル」は、低級、例えば、C1−6アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基など及びさらに脂肪酸誘導(例えば、C14−20)アルキル基及びアルケニル基、例えば、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、アラキジル(arachidyl)基、オレイル基、リナイル(linayl)基、リノレニル(linolenyl)基、アラキドンイル(arachidonly)基などを含む。
用語「アシル」は、カルボキシレート残基、すなわち、アルカン又はアルケンカルボン酸残基の任意の直鎖状又は分枝状構造異性体を示す。本発明に係るアルカンカルボン酸残基の中で、ラウロイル(n−ドデカノイル)、ミリストイル(n−テトラデカノイル)、パルミトイル(n−ヘキサデカノイル)、ステアロイル(n−オクタデカノイル)、アラキドイル(n−エイコサノイル)及びリグノセロイル(n−テトラコサノイル)(lignoceroyl(n-tetracosanoyl))が好ましい。本発明に係るアルケンカルボン酸残基の中で、パルミトレイノイル(palmitoleinoyl)、オレオイル(oleoyl)、リノロイル(linoloyl)、リノレノイル(linolenoyl)及びアラキドノイル(5,8,11,14−エイコサテトラエノイル)(arachidonoyl(5,8,11,14-eicosatetraenoyl))が好ましい。
Aの定義の範囲内でC1−6アルキル基は、前記のものを含む。5〜7員環は、窒素原子の他に、さらにヘテロ原子、例えば、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子を含むことができる。Aの定義の範囲内で特に好ましい環は、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニルなどである。
A、R及びR’の定義の範囲内で基の任意の置換基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、オキソ基、C1−6アルコキシ基、カルボキシ基を含むが、これに限定されない。ポリヒドロキシル化脂肪族炭素環の置換基は、ヒドロキシ官能基のエステル、アセテート及びテル(ther)及び炭素環のC原子におけるオキソ及びハロゲン置換基を含む。
前記式(I)で表される化合物において、式中のAがCH、C、C及びCH(CHから選ばれ、好ましくは、AがCHである化合物がとりわけ好ましい。式中のRが第一の残基であり、すなわち、ポリヒドロキシル化脂肪族炭素環がsn−2位に位置しており及び/又は第二の残基がC10−20アルキル基、好ましくは、C16又はC18アルキル基である化合物がさらに好ましい。第一の残基が下記式:
(上記式中、Eは、H原子、C1−4アルキル基、C2−4アシル基、炭水化物基(carbohydrate moiety)などから選ばれ、好ましくは、EはH原子である)
の一つを有する化合物がなおさらに好ましい。
最後に、n=1である化合物が好ましい。
ポリヒドロキシル化脂肪族炭素環をグリセロール主鎖と連結するリンカー(以下で、しばしば「L」と呼ぶ)は、安定な結合を可能にするいずれかの官能構造(functional structure)である。適切なリンカーは、(ポリ)エーテル、(ポリ)ペプチド、グリコシド、(ポリ)エステル、アルキル又はアルケニルスペーサーなどであり、(ポリ)エーテルが最も好ましい。
より好ましい態様において、リン脂質は式(III)で表される残基である。式(III)で表される残基は、シス(cis)−イノシトール、エピ(epi)−イノシトール、アロ(allo)−イノシトール、ネオ(neo)−イノシトール、ミオ(myo)−イノシトール、ムコ(muco)−イノシトール、チロ(chiro)−イノシトール又はシロ(scyllo)−イノシトールを含み、そして好ましくは、ミオ−イノシトールである。本発明のさらにより好ましい態様において、リン脂質は、下記式:
(上記式中、Dは、前記定義した第二の残基であり、そしてE、A、L及びnは前記定義の通りである)
で表される式(V)に相当する。最も好ましいのは、図1に示した化合物Ino−Paf(又は、「Ino−C2−PAF」と呼ぶことがある)である。
立体異性形成性(stereogenic)炭素原子を含む本発明のリン脂質はいずれも、対応するラセミ体、並びに、命名法についてのCahn−Ingold−Prelog法に従ってR型又はS型で定義される立体異性形成性炭素原子から生じる可能なすべての立体配置異性体を含む。とりわけ、リン脂質のグリセロール主鎖のsn−2位の炭素原子の立体配置は、R又はSであることができ、好ましくは、Rである。
炭素−炭素二重結合を含む本発明のリン脂質はいずれも、E/Z異性から生じるすべての可能な立体配置異性体を含むことがさらに理解される。
本発明のリン脂質の製造方法は、好ましくは、下記式(I):
(上記式中、OR又はOR’の少なくとも一方は、脱離基又は−O(又はそれぞれのO原子に結合した適切に誘導体化された(derivatized)リンカー基)を表し、そして他方の変数は前記定義の通りであるか、又はその保護された型である)
で表される前駆体化合物を、官能型の第一の残基と反応させることを特徴とする。特に好ましい化合物Ino−PAFは、下記反応工程式に従って合成することができる。

(a)C1837Br,NaH;(b)AcOH;(c)DHP,p−TosOH;(d)臭化アリル,NaH;(e)i:O,ii:NaBH;(f)p−TolSOCl,NEt,DMAP;(g)ペンタ−ベンジルイノシトール[8],KHMDS,18−Cr−6;(h)ピリジニウムp−トルエンスルホネート;(i)i:POCl,NEt,ii:コリントシレート,iii:NaHCO,HO;(k)H,Pd/C 5%
Ino−PAF〔7〕は、D−マンニトールから3段階で容易に得ることができる(R)−(−)−1,2−O−イソプロピリデングリセロール〔1〕から合成することができる。最初に、グリセロール〔1〕を、ステアリルブロミドによるエーテル化、それに続く酸性条件下でのイソプロピリデン基の開裂及び生じる第一級アルコール基のテトラヒドロピラノイルエーテルとしての保護によって、第二級アルコール〔2〕に変換する。C−リンカーフラグメントを導入するために、アルコール〔2〕を臭化アリルでエーテル化する。得られたアリルエーテルをオゾンで処理しそして引き続いてホウ水素化ナトリウムにより還元する。得られた第一級アルコールのp−トルエンスルホニルクロリドとの反応は、トシレート〔3〕を与える。このトシレート〔3〕は、6段階の手順(Gigg,R.,Warren,C.D.,Chem.Soc.(C):2367-2371(1969))を経てミオ−イノシトールから予め合成した1,2,3,4,5−O,O,O,O,O−ペンタベンジル−ミオ−イノシトール〔8〕により置換する。得られたイノシトールエーテル〔4〕は、酸性条件下で脱保護して第一級アルコール〔5〕を得る。引き続くアルコール〔5〕と塩化ホスホリル及びコリントシレートとの反応は、ホスファチジルコリン〔6〕を生じる。〔6〕の最終的水素化は、目標化合物Ino−PAF〔7〕を与える。
本発明の目的で、用語「Ino−PAF」及び「Ino−C2−PAF」は同義語として用い、すなわち、同じ化合物を表す。
本発明の意味の範囲内で「医薬組成物」及び「医薬」は、本発明に係るリン脂質1種類以上及び場合により、薬学的に許容することができる担体、希釈剤などを含む。前記薬学的に許容することができる担体の中に、脂質ナノサスペンション、リポソーム、生分解性微小粒子などがある。
グリコシド化リン脂質アナログにおけるグリコシド化の効果を、ヒトケラチノサイト(HaCaT細胞)及び鱗状の癌腫細胞系(SCC−25)の無血清細胞培養において測定した。Glc−PC並びにGlc−PAFは、それぞれのLD50未満の半抑制濃度(IC50)を用いて、マイクロモル(μmolar)の範囲でHaCaT細胞の細胞増殖を阻害することが示された(表1)。
細胞毒性及び抗増殖能の直接比較は、Glc−PCがとりわけLD50とそのIC50との間で大きな差を示すのに対して、抗腫瘍リン脂質HePCで処理した細胞ではIC50が極めてLD50に近いことを示した。
SCC−25細胞において、グリコシド化リン脂質アナログの抗増殖効果ははるかに強力である。とりわけ、Glc−PAFは、これらの腫瘍細胞に対してサブマイクロモルの範囲で作用する。
Glc−PAF及びGlc−PCの毒性は、細胞膜(cellular membrane)中への物質のインターカレーションによって媒介される。蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer)(FRET)分光分析法(spectroscopy)を用いて、両方の化合物がリポソーム中にインターカレートされること及びインターカレーションがアルキル側鎖の長さに依存していることが明確に証明された。高濃度では、このことが原形質膜の損傷(lesion)の形成及び最終的に細胞の急速な溶解に導く。(Wiese,A.ら,Biol.Chem.381:135-144(2000))。同様にFRET分析に示されている、Glc−PAFと比較したときのGlc−PCの低い細胞毒性は、エーテル脂質の高い安定性及び強固さ(rigidity)によるものかもしれない(Eibl,H.,Angew.Chem.96:247-262(1996))。
既に記載したように、HaCaT細胞の増殖は無毒性濃度で阻害されたので、リン脂質アナログの抗増殖効果は、単純なその溶解特性の結果であるとは思われない。
グルコースに代えてlyso−PAFのsn−2位へのイノシトールの導入(Ino−PAF)は、抗増殖効果を高め(IC50=1.7μM)そしてGlc−PAFと比較して、毒性効果を低減する(LD50>10μM)(Fischerら、未発表データ)。この理由により、Ino−PAFは抗増殖薬の開発に対して有望な候補である。
充分に層化された表皮(well stratified epidermis)の形成に最終的につながる、ケラチノサイトの発生(development)及び分化は、細胞増殖の変異(modification)及び他の細胞と細胞外マトリックス成分との接着相互作用の変異を含む。表皮の悪性及び良性いずれの過剰増殖疾患においても、細胞増殖及び接着はいずれも損なわれる。
細胞マトリックス接着は、ヘテロダイマーの細胞表面レセプターのファミリーであるインテグリンにより媒介される。細胞外マトリックスの分子へのインテグリンの結合は、マイトジェン活性化(mitgen-acivated)プロテインキナーゼRhoA及びプロテインキナーゼCの活性化を含むシグナル伝達経路(アウトサイド−インのシグナル伝達 (outside-in signaling))の誘導を引き起こす。逆に、細胞内からのシグナルは、インテグリンのリガンドに対するインテグリンの親和性を調節して、細胞の接着及び移動の変化(インサイド−アウトのシグナル伝達)をもたらすことができる。
皮膚において、インテグリンは、表皮真皮接合部(dermo-epidermal junction)の機能上の完全性の確立に重要な役割を果たし(Kaufmann,R.ら,Hautarzt 41:256-261(1990))、そして皮膚の過剰増殖疾病においてインテグリンの発現パターンが変えられることが種々の報告に示されてきた(総説として次を参照されたい:De Luca,M.ら,J.Dermatol.21,821-828(1994))。グリコシド化リン脂質アナログは、細胞増殖への効果の他に、ケラチノサイトの細胞マトリックス接着に影響を及ぼす。Glc−PAF及び主としてIno−PAFを用いた2時間のHaCaT細胞の処理は、細胞外マトリックス成分であるフィブロネクチン、ラミニン及びコラーゲンIVへの細胞接着を増加させる(図3)。この効果は、グリコシド化エーテル脂質への48時間の長時間曝露後にも観察することができる(Fischerら、未発表データ)。このことは、記載した全てのマトリックス成分への細胞マトリックス接着を減少させることが示されてきた抗増殖薬HePCの作用とは明らかに対照的である(Schoen,M.ら,Brit.J.Dermatol.135:696-703(1996))。
マトリックス接着の増加は、細胞表面でのβ1インテグリンの増加によっては達成されない。このことは、細胞マトリックス結合の活性化は、細胞膜中へのリン脂質アナログのインターカレーションにより惹起されるインサイド−アウト機構によって媒介されることができるという結論を導く。別の可能性は、変化した膜組成(membrane composition)が、インテグリンヘテロダイマーの活性化及び/又はクラスター形成を導くインテグリンレセプターのコンホーメーション変化を直接に誘導することができるというものである。
リン脂質アナログは原形質膜中に蓄積することができるので、該リン脂質アナログは膜貫通シグナル伝達への影響を有すると推定されている。Et−18−OCH3のようなエーテル脂質は、リン脂質修飾(phospholipid-modifying)酵素、例えば、ホスファチジルイノシトール依存ホスホリパーゼC(PI−PLC)及びホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ(PI3−キナーゼ)を阻害することが示された(詳しくは、Arthur,G.,Bittman,R.,Biochim.Biophys.Acta 1390:85-102(1998)に概説)。
グリコシド化リン脂質の正確な作用機構は、さらに解明されなければならない。増殖及び接着へのグリコシド化リン脂質の影響は、標的細胞の脂質マトリックス中へのインターカレーションから生じ、このようにしてシグナル伝達過程及びそれに続く生物学的応答に影響を与えるのかもしれない。
グリコシド化リン脂質アナログによって調節されるシグナルトランスダクション経路は、充分には調べられていない。プロテインキナーゼC(PKC)の種々のイソ酵素は、細胞増殖のコントロールに必須の役割を果たしている(Clemens,M.J.ら,J.Cell Sci.103:881-887(1992))。無毒性濃度のGlc−PCを用いたHaCaT細胞の処理は、70%までの分この酵素の活性を増加させる(Mickeleit,M.ら,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.34:2667-2669(1995))。高濃度のGlc−PCでは、前記増加はなくなる。さらに高い毒性濃度のGlc−PCはインビトロでPKC活性を阻害しない。このことは、多くの公知の抗増殖剤とは対照的である。
Glc−PAFは、低濃度であるが抗増殖性である濃度においてアポトーシスを引き起こすことが示されている。アポトーシスを起こした細胞の数は、濃度依存性の増加を示す。高い毒性濃度では、サイトゾルヌクレオソームの存在により測定される、アポトーシス細胞数の著しい減少が生じる。このことは、細胞が前記高濃度での溶解により損傷を受けることも示している(Mickeleit,M.ら,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.37,351-353(1998))。
Ino−PAFの利点は、次のように要約することができる:
Ino−PAFは、治療に用いられるHePCより強い抗増殖効果を示す。
細胞マトリックス接着は、InoPAF又はHePCとのインキュベーション後に増加するが、後者は、遅効性の作用開始を示す。
接着の増大は、細胞表面上でβ1インテグリンの発現が高まることによるものではなく、インテグリンの誘導されたクラスター形成によるものである。
Ino−PAFを用いたHaCaT細胞の処理は、異なる効果、すなわち、接着に作用する最初の2時間以内の迅速な効果と移動及び増殖をもたらす48時間後の遅い効果とをもたらす。
従って、本発明の医薬組成物は、前立腺癌、膀胱の尿路上皮性癌、副腎様の癌、奇形癌、ヒト及びネズミの白血病、脳腫瘍、肺癌、線維肉腫、及び皮膚の過剰増殖疾病の治療に適している。
以下の実施例によって、本発明をさらに説明するが、本発明を限定するように構成されるものではない。
実施例1:Ino−PAFの合成
原料、方法及び略語
無水溶媒を用いて保護雰囲気(窒素、不活性ガス又は適切な場合には乾燥管)下に、感湿反応を実施した。フラッシュカラムクロマトグラフィーとは、圧力下でのシリカゲル60(それぞれ、ASTM、40〜63μm又は230〜400メッシュ)上のカラムクロマトグラフィーを称する。溶媒Aと溶媒Bとの混合物はA−Bとして示し、そして溶媒系が完全にX%A−Bを特徴とするように混合物A−B中の溶媒Aの容量濃度をX%として示す。
DCM ジクロロメタン
DMAP N,N−ジメチル−4−アミノピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
eqiv 当量
EtOH エタノール
h 時間
MeOH メタノール
PPTS ピリジニウムp−トルエンスルホネート
p−TsCl p−トルエンスルホニルクロリド
p−TsOH p−トルエンスルホン酸
rt 室温
sm 出発原料
THP テトラヒドロピラン
THF テトラヒドロフラン
IR(赤外)分光分析法によって観察される最大吸光度の波数を、単位cm−1でVmaxとして報告する。
H−NMR(核磁気共鳴)分光分析法によって観察される化学シフトを単位ppmでδとして報告する。
1.1:5,6−O−イソプロピリデンアスコルビン酸〔1a〕の製造
L−アスコルビン酸(ブロンソン・ファーマスーティカルズ(Bronson Pharmceuticals);10g、55ミリモル、1当量)をアセトン(40mL、0.55モル、1当量)及び塩化アセチル(1mL、15ミリモル、0.27当量)と混合し、そして得られたスラリーを室温で2〜3時間攪拌した。7℃で4〜8時間放置した後、固体を濾別しそして少量の冷アセトンで洗浄した。減圧下に短時間乾燥させることにより粗製生成物(9.63g、81%)を得た;融点195−200℃。極微量の残留する酢酸は、前記生成物を周囲雰囲気に暴露すると加水分解を起こした。粗製生成物をアセトン/ヘキサンから再結晶させて表題化合物〔1a〕を得た;融点214−218℃(分解)(文献(Jung,M.E.;Shaw,T.E.,J.Am.Chem.Soc.102:6304-6311(1980)):融点217−222℃(分解);Vmax(KBr)3300、3000、1720、1630、1300(br)、1100cm−1 ;δ(250MHz、アセトン−d、MeSO−d)3.9−4.65(m、6H、CHO及びOH)、1.35(s、6H、CH);δ(250MHz、CDCl、MeSO−d)6.15(br s、2H、OH)、3.98−4.62(m、4H、CHO)、1.35(s、6H、CH)。
1.2:(R)−グリセロールアセトニド(Glycerol Acetonide) 〔1〕の製造
エタノール(350mL)中〔1a〕(4.1g、19ミリモル)の溶液を1時間にわたりエタノール(50mL)中NaBH(0.72g、19ミリモル)の攪拌溶液に添加した。この少し曇った溶液を次に室温でさらに4時間攪拌し、その間にNaOHの添加に続きNaOH水溶液(1N;50mL)を添加することにより反応混合物のpHを塩基性にした。得られた混合物を室温で一夜間攪拌し、そして次に強い攪拌下に濃HCl水(concentrated aqueous HCl)を滴下に添加するによりpHを正確に中性に調節した。乾燥した白色で粉状の固体が得られるまで、共沸蒸留によって水の残分を除去するためにエタノールを数回添加しながら真空中で溶媒を除去し、そして前記乾燥した白色で粉状の固体を酢酸エチル(200mL)と混合し0℃まで冷却した。四酢酸鉛(酢酸から再結晶させた;29.5g、0.66モル)を1回で添加した。得られた褐色から黄色のスラリーを0℃で1〜1.5時間そして次に室温で1〜2時間攪拌した。0℃まで冷却した後、スラリーをセライト(Celite)(登録商標)の詰め物(pad)を通して濾過した。この濾液を再び冷却しそして次にこの冷たい黄色の溶液を30分間にわたりEtOH(150mL)中NaBH(7.2g、19ミリモル)の冷却溶液に添加すると、酢酸エチル溶液の添加後に濃灰色に変わりそして攪拌を助け発泡(foaming)を最少にするために時々EtOHの添加を要することがあった。添加を完了した後、この灰色の溶液を攪拌しながら2〜2.5時間室温まで加温した後、NaOH続いて水酸化ナトリウム水溶液(1N、100mL)を添加することにより溶液を塩基性にした。得られた混合物を室温で30分間攪拌し、次いでジエチルエーテル(100mL)を添加し、層を分離し、そしてその水性層をジエチルエーテル(2×50mL)で抽出した。一緒にした有機層をブライン(25mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)そして室温において減圧下に容量約50mLまで濃縮した。ジエチルエーテル(100mL)を添加し、その水性層をNaClで飽和し、そして層を分離した。その水性層をジエチルエーテル(4×50mL)で抽出した。一緒にした有機層を乾燥させ(NaSO)そして濃縮した。次いで、アセトン(25mL)との共沸混合物を形成することにより残留する水を全て蒸留して除きそして透明な液体として(R)−グリセロールアセトニド〔1〕(1.32g、53%)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル50g;DMC(350mL)で溶離して不純物除去;5%メタノール−DMC(500mL))によって生成物をさらに精製して(R)−グリセロールアセトニド〔1〕(1.26g、97%)を得た;Vmax3420、2950、1380、1260、1215、1160、1050cm−1 ;δ(250MHz、CDCl)、3.6−4.4(m、5H、CHO)、2.95(br s、1H、OH),1.43(s、3H、CH);サンプル184mgを蒸留(24℃(0.5トル))して透明な液体169mgを得、これを旋光度の測定のためにMeOH1.00mL中に溶解した:[α]24.8 −10.76(文献(Jung,M.E.;Shaw,T.E.,J.Am.Chem.Soc.102:6304-6311(1980)):逆のエナンチオマーについて[α]+10.7、ニート(neat)サンプルについて[α]−13.2〕:[α]578−11.27、[α]546−12.99、及び[α]436−23.59。
1.3:オクタデシルエーテル〔1b〕の製造
THF(20mL)中NaH(80%;0.55g、17.4ミリモル、2当量)の攪拌懸濁液に、THF(20mL)中(R)−グリセロールアセトニド〔1〕(1.15g;1当量)の溶液を滴下に添加した。その後、THF(25mL)中に溶解したオクタデシルブロミド(5.8g、17.4ミリモル、2当量)を滴下に添加しそして得られた混合物を80℃で一夜間攪拌した。この反応混合物を0℃まで冷却しそして水を添加した。得られた混合物を濃縮しそしてその残留物を水及びジエチルエーテルで抽出しそして一緒にした抽出液を乾燥させた(MgSO)。得られた粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル−n−ヘキサン)によりさらに精製して表題化合物〔1b〕を得た(2.03g、5.28ミリモル、61%)。
1.4:ジオール〔1c〕の製造
酢酸(150mL)と水(50mL)との混合物中アセトニド〔1b〕(2.03g、5,28ミリモル)の懸濁液を60℃で3時間攪拌した。その後、溶媒を除去しそして極微量の水及び酢酸の全てを完全に除去するためにその残留物をトルエンで3回共沸蒸留した。白色の固体として表題化合物〔1c〕(1.82g、5.28ミリモル、定量(quantitative))を得た;R0.2(50%酢酸エチル−n−ヘキサン)。
1.5:アルコール〔2〕の製造
DCM(100mL)中ジオール〔1c〕(2.5g、7.25ミリモル、1当量)の攪拌懸濁液に、室温でp−TsOHを添加し、次いでDCM(30mL)中ジヒドロピラン(0.65mL、1当量)の溶液を滴下に添加した。30分後、飽和NaHCO水溶液の添加により反応を急冷した。得られた混合物を水及びDCMで抽出しそして一緒にした有機抽出液を乾燥させた(MgSO)。粗製生成物(ジオール〔1b〕及び対応するモノ−及びジ−THPエーテルの混合物)をカラムクロマトグラフィー(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)により精製して表題化合物〔2〕(940mg、2.72ミリモル)、未反応出発原料及び対応するジ−THPエーテルを得、後者は80℃で一夜間MeOH中NHClとの反応により出発原料に再循環させた。前記反応を1回繰り返して表題化合物(1.88g、4.38ミリモル、60%)を得た;R0.1(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)。
1.6:アリルエーテル〔2a〕の製造
THF(15mL)中アルコール〔2〕(2.58g、6.01ミリモル、1当量)の溶液をTHF(50mL)中NaH(370mg、12.02ミリモル、2当量)の攪拌溶液に滴下に添加した。その後、THF(5mL)中アリルブロミド(1mL;1.45g、12.02ミリモル、2当量)の溶液を添加しそして得られた混合物を80℃で一夜間攪拌した。次いで、この反応混合物を室温まで冷却しそして水を添加し、溶媒を除去しそして得られた残留物をジエチルエーテルで抽出した。一緒にした有機層を乾燥させ(MgSO)そしてその粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(14.3%酢酸エチル−n−ヘキサン)によって精製して表題化合物〔2a〕(2.7g、5,76ミリモル、96%)を得た;R0.4(14.3%酢酸エチル−n−ヘキサン)。
1.7:アルコール〔2b〕の製造
−78℃の50%DCM−MeOH(250mL)中アリルエーテル〔2a〕(2.7g、5.76ミリモル、1当量)の攪拌溶液を、混合物が青色を呈すまでオゾンでパージした。その後、NaBH(0.9g、23.04ミリモル、4当量)を添加しそして得られた混合物を室温まで加温した。この反応を水の添加により急冷しそして得られた混合物をジエチルエーテルで抽出した。一緒にした抽出液を乾燥させ(MgSO)そしてこの粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)によって精製して表題化合物〔2b〕(2.64g、5,58ミリモル、97%)を得た;R0.1(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)。
1.8:p−トルエンスルホニルエステル〔3〕の製造
DCM(30mL)中アルコール〔2b〕(600mg、1.26ミリモル、1当量)の攪拌溶液に、トリエチルアミン(5mL)及びDMPA(触媒量)を添加した。得られた溶液に、DCM(10mL)中TsCl(360mg、1.9ミリモル、1.5当量)の溶液を添加した。一夜間攪拌した後、水を添加し、得られた混合物をジエチルエーテルで抽出しそして一緒にした有機層を乾燥させた(MgSO)。この粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)によって精製して表題化合物〔3〕(570mg、0.9ミリモル、72%)を得た;R0.2(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)。
1.9:ペンタベンジルイノシトール〔8〕の合成
1.9.1:アセトニド〔8a〕の製造
DMSO(75mL)中ミオ−イノシトール(20g、0.11モル、1当量)の攪拌溶液に、ジメトキシプロパン(75mL;63.75g、0.61モル、5.5当量)及びp−TsOH(0.15g)を添加した。得られた混合物を110℃まで加熱しそして1.5時間後、生成したMeOHを蒸留して除いた。減圧下に過剰のジメトキシプロパンを除去した。再度ミオ−イノシトール(20g、0.11モル)を添加しそして得られた混合物を120℃でさらに14時間攪拌した。その後、KCO(0.15g)を添加しそして粘稠なシロップが形成されるまで溶媒を除去した。このシロップを煮沸EtOH(1.5L)中に溶解し、まだ熱いうちに濾過し、そしてこの濾液を容量30mLまで濃縮した。この生成物を結晶化した後、液体を濾別し、結晶をEtOHで洗浄しそして引き続きEtOHからの再結晶に5回付して白色固体として〔8a〕(9.91g、45ミリモル、41%)を得た(過剰のミオ−イノシトールはEtOHに可溶性でないので容易に回収することができる)。
1.9.2:テトラベンジルエーテル〔8b〕の製造
短時間で50℃まで加温したDMF(10mL)中NaH(鉱油中80%分散体;0.9g、30ミリモル、1.5当量)の懸濁液に、DMF(10mL)中テトロール〔8a〕(1.1g、5ミリモル、1当量)の攪拌溶液を滴下に添加した。その後、DMF(5mL)中ベンジルブロミド(4.75mL;40ミリモル、2当量)の溶液を添加しそして得られた混合物を80℃で一夜間攪拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、同じ容量のジエチルエーテルで希釈しそして飽和NaHCO水溶液で洗浄した。この水性層をジエチルエーテルで抽出し、一緒にした有機層を乾燥させ(MgSO)そして溶媒を除去した。この粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)によって精製した。残留する極微量のベンジルブロミドを減圧下に除去して表題化合物〔8b〕(2.13g、3.7ミリモル、73.4%)を得た;R0.34(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)。
1.9.3:ジオール〔8c〕の製造
MeOH中アセトニド〔8b〕(1.02g、1.8ミリモル、1当量)の溶液を、HCl水を添加することによりpH2に調節しそして室温で一夜間攪拌した。その後、この反応混合物に飽和NaHCO水溶液を添加しそして減圧下に溶媒を除去した。得られた残留物をDCM中に溶解しそして乾燥させた(MgSO)。溶媒を除去しそしてその粗製生成物をMeOHから再結晶させて表題化合物〔8c〕(0.7g、1.3ミリモル、72%)を得た;R0.04(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)。
1.9.4:アリルエーテル〔8d〕の製造
トルエン(5mL)中ジオール〔8c〕(0.45g、0.83ミリモル、1当量)の攪拌溶液に、新たに砕いたNaOH(0.45g)及びアリルブロミド(0.12mL、1.5ミリモル、1.8当量)を添加した。65℃で約2時間(薄層クロマトグラフィー、50%酢酸エチル−n−ヘキサンによって監視)後、反応混合物を水で洗浄しそして乾燥させた(KCO)。フラッシュカラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル−n−ヘキサン)により、表題化合物〔8d〕(120mg、0.21ミリモル、25%)を得た;R0.6(50%酢酸エチル−n−ヘキサン)。
1.9.5:ペンタベンジルエーテル〔8e〕の製造
50℃のNaH(鉱油中80%分散体;0.08g)、アルコール〔8d〕(1g、1.72ミリモル、1当量)及びDMF(3.5mL)の攪拌混合物にベンジルブロミド(0.33mL;0.44g、2.6ミリモル、1.5当量)を滴下に添加した。約2時間(薄層クロマトグラフィー、25%酢酸エチル−n−ヘキサンによって監視)後、この反応混合物を室温まで冷却し、それに次いで水を滴下に添加した。得られた混合物をジエチルエーテルで抽出しそして一緒にした有機層を乾燥させ(MgSO)そして溶媒を除去した。この粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(14.3%酢酸エチル−n−ヘキサン)によって精製して表題化合物〔8e〕(1.1g、1.64ミリモル、95%)を得た;R0.45(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)。
1.9.6:ペンタベンジルイノシトール〔8〕の製造
アリルエーテル〔8e〕(0.5g、0.74ミリモル、1当量)、16.7%MeOH−水(6mL)、Pd/C(5%;20mg)及びp−TsOH(20mL)の混合物を煮沸温度で一夜間攪拌した(より良好な可溶化のために1,4−ジオキサンを添加することができる)。この反応混合物を室温まで冷却しそしてセライト(登録商標)を通して濾過した。この濾液を濃縮しそしてフラッシュカラムクロマトグラフィー(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)によって精製して表題化合物〔8〕(345mg、0.55ミリモル、74%)を得た。
1.10:イノシトール誘導体〔4〕の製造
THF(20mL)中イノシトール〔8〕(675mg、1.08ミリモル、1.2当量)及び18−クラウン−6−エーテル(18−Cr−6、320mg)の攪拌溶液に、KHMDS溶液(THF中15%;2.4mL)を添加した。得られた溶液を55℃で10分間加熱した。その後、THF(20mL)中に溶解したトシレート〔3〕(570mg、0.9ミリモル、1当量)を添加しそして得られた混合物を40℃で30分間攪拌した後、その反応を水の添加により急冷した。得られた混合物をジエチルエーテルで抽出しそして一緒にした有機層をブラインで洗浄しそして乾燥させた(MgSO)。濃縮後、粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)によって精製して表題化合物〔4〕(690mg、0.63ミリモル、70%)を得た;R0.25(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)。
1.11:アルコール〔5〕の製造
EtOH(15mL)中THPエーテル〔4〕(690mg、0.63ミリモル、1当量)の攪拌溶液にPPTS(60mg、0.1当量)を添加しそして得られた混合物を55℃で2時間攪拌した。溶媒を除去しそしてその粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)によって精製して表題化合物〔5〕(510mg、0.51ミリモル、81%)を得た;R0.1(25%酢酸エチル−n−ヘキサン)。
1.12:ホスホコリン〔6〕の製造
0℃のDCM(15mL)中POCl(0.17mL、1.85ミリモル、1.05当量)及びトリエチルアミン(1mL)の攪拌溶液に、クロロホルム(15mL)中アルコール〔5〕(1.78g、1.77ミリモル、1当量)の溶液を添加した。得られた混合物を0℃でさらに3時間攪拌した後、ピリジン(50mL)中コリントシレート(0.7g、2.66ミリモル、1.5当量)の溶液を0℃で直ちに添加した。その後、この反応混合物を一夜間、室温まで加温した。pHがわずかに塩基性に変化するまで飽和NaHCO水溶液を添加することにより反応を急冷し、そして得られた混合物を35℃未満の温度で減圧下に濃縮した。得られた残留物を50%トルエン−DCM(100mL)中に溶解し、濾過しそして再度濃縮した。THFを用いて同じ手順を繰り返しそして最終的に得られた粗製生成物をさらにフラッシュカラムクロマトグラフィー(17%→100%MeOH−クロロホルム)によって精製して表題化合物〔6〕(1.42g、1.21ミリモル、68%)を得た;R0.1(100%MeOH)。
1.13:ペントール〔7〕の製造
Pd/C(5%;触媒量)及び酢酸(触媒量)を含有するMeOH(15mL)中ベンジルエーテル〔6〕(1.42g、1.21ミリモル)の溶液を水素の雰囲気(2バール)下に3日間攪拌した。反応を薄層クロマトグラフィー(100%MeOH)によってモニターし、そして出発原料をもはや検出できなくなった後、反応混合物をセライト(登録商標)を通して濾過しそして溶媒を除去した。得られた濾液をMeOH中に再溶解し、ペーパーフィルターを通して濾過し、そして溶媒を除去した。その残留物を、洗浄にMeOHを用い少量のシリカゲルの詰め物を通して精製した。溶媒を再度除去しそして得られた粗製生成物をMeOH中に再溶解した。この生成物を、アセトンを添加し次いでその上澄みをデカンテーションしそして減圧下に乾燥させることによって沈殿させて、イノシトール−C2−PAF〔7〕(530mg、0.74ミリモル、61%)を得た;R<0.1(100%MeOH);融点190−210℃(分解);[α]20 −1.3(c1、MeOH)。
実施例2:Ino−PAFの抗増殖効果の測定
実施例1において得られたIno−PAF、Glc−PC及びGlc−PAF(Mickeleit,M.ら,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.34:2667-2669(1995)及び37:351-353(1998)に従って合成)、及びHePC(ヘキサデシルホスホコリン;ミルテホシン(Miltefosin)として市販)を、0.6〜5μMの量で細胞増殖ELISA、BrdU(コル.(col.))、ロシュにおいて試験した。アッセイの前に、無血清ケラチノサイト培地中に細胞を2時間保持した。アッセイは試験当り10.000個の細胞を用いて、少なくとも4連試験で実施した。
Ino−PAF及びGlc−PCは無毒性濃度で強い抗増殖効果を示す(図2)。
実施例3:Ino−PAFを用いたHaCaT細胞の処理はマトリックス接着に影響を与える
細胞マトリックス接着へのGlc−PAF、Ino−PAF及びGlc−PC(実施例2に詳細記載)の効果を試験するために、HaCaT細胞を4℃で15分間休止(rest)させそして37℃で90分間異なるECMタンパク質(コラーゲンIV、フィブロネクチン及びラミニン)に接着させた。細胞外マトリックス(ECM)のタンパク質を、4℃で一夜間処理することによってプラスチック表面上に載せた。固定しそしてクリスタルバイオレット中で染色した後、発色(coloring)を570nmで測定した。試験当り50,000個の細胞を用い、そして4連試験を実施した。2時間の処理は細胞マトリックス接着の増加を示し、48時間後にはもはやこれを観察することができない。
Ino−PAFを用いたインキュベーションは、試験したマトリックスタンパク質への細胞マトリックス接着の濃度依存性の増加をもたらすが、Ino−PAFは細胞マトリックス接着に対して最も大きな影響を与えた。細胞マトリックス接着を媒介するレセプターであるインテグリンの表面発現はその物質によって影響を受けない。図3に示した結果は、4連で実施した少なくとも3回の試験の平均値である。
実施例4:Ino−PAFを用いたHaCaT細胞の処理
Ino−PAF(実施例1に記載のように得た)を用いてHaCaT細胞を48時間処理した。免疫蛍光測定に対して、細胞を5μMのIno−PAFで処理した。検出に用いた抗体は、細胞マトリックス接着を与える表面レセプターであるβ1−インテグリンに向けられたものであった。免疫蛍光アッセイはコラーゲンIVマトリックスについて実施した。5×10個の細胞を90分間接着するに任せ、そしてK20−FITC(抗β1)又はファロイジン−TRITCでそれぞれ染色した。結果を図4に示す。
実施例5:ヘプトタクティック(haptotactic)移動アッセイ
Glc−PAF、Ino−PAF及びGlc−PC(実施例2に詳細記載)の移動への効果を調査するために、コラーゲンIVへのHaCaT細胞を用いたヘプトタクティック移動アッセイを実施した。移動アッセイは、トランスウェル(Transwell)(コスター社(Costar Corp.)、米国)モーティリティーチャンバー(motility chamber)を用いて実施した。膜の下面に室温で30分間マトリックスタンパク質をコートしそして引き続いてPBSで洗浄した。ウェル当り1×10個の細胞を上面上の無血清培地に平板培養(plate)しそして16時間移動するに任せた。上面上の細胞を取り除き、そして下面に移動した細胞を3%パラホルムアルデヒドで固定しそして0.1%クリスタルバイオレットで染色した。下面の細胞を、倍率20×で格子(grid)10×を用いてカウントした。フィルター当り4区画をカウントして平均した。
移動は濃度に依存して減少した。試験物質による細胞の処理は、処理24時間後にマトリックス依存性の移動を50%まで減少させることが判明した。
本明細書に記載したリン脂質アナログの化学構造を示す図である。 実施例2による、他のリン脂質アナログと比較したIno−PAFの抗増殖効果の測定を示す図である。 実施例3に示したHaCaT細胞試験モデルによるIno−PAF(他のリン脂質アナログとの比較)の試験における細胞マトリックス付着活性を要約する図である。 Ino−PAFを用いたHaCaT細胞の処理がどの程度インテグリンクラスター形成を誘導しそして細胞骨格に影響を与えるか(実施例4による処理及び視覚化)を示す図である。

Claims (18)

  1. 下記式(I)の構造:
    (上記式中、
    Aは、独立して、場合により置換されているC1−6アルキル基であるか、又は、2つのA残基が、場合により置換されている5〜7員環を形成してもよく、置換基がヒドロキシ、ハロゲン、オキソ、C1−6アルコキシおよびカルボキシから選択され、
    R及びR’の一方が下記式(II)〜(IV):
    を有するポリヒドロキシル化脂肪族炭素環を含む第一の残基であり、上記式中、Eは、H原子、C1−4アルキル基、C2−4アシル基および炭水化物基から選ばれ、かつリン脂質のグリセロール主鎖の酸素原子に直接連結されるか、または(ポリ)エーテル、(ポリ)ペプチドもしくはグリコシドであるリンカー分子を介して連結され、
    前記R及びR’の他方が、場合により不飽和の及び/又は場合により置換されているC1−20アルキル基、場合により不飽和の及び/又は場合により置換されているC2−26アシル基、ならびに水素原子から選ばれる第二の残基であり、置換基がヒドロキシ、ハロゲン、オキソ、C1−6アルコキシおよびカルボキシから選択され、かつ
    nは、1〜5の範囲の整数である)
    を有する、リン脂質。
  2. AがCH、C、C及びCH(CHから選ばれる、請求項1に記載のリン脂質。
  3. AがCHである、請求項2に記載のリン脂質。
  4. Rが第一の残基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリン脂質。
  5. 第二の残基がC10−20アルキル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリン脂質。
  6. 第二の残基がC16またはC18アルキル基である、請求項5に記載のリン脂質。
  7. 第一の残基が式(III)の残基である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリン脂質。
  8. EがHである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のリン脂質。
  9. リンカーが(ポリ)エーテルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のリン脂質。
  10. n=1である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のリン脂質。
  11. 前記式(III)で表される残基が、シス−イノシトール、エピ−イノシトール、アロ−イノシトール、ネオ−イノシトール、ミオ−イノシトール、ムコ−イノシトール、チロ−イノシトール又はシロ−イノシトールである、請求項7に記載のリン脂質。
  12. 前記式(III)で表される残基がミオ−イノシトールである、請求項11に記載のリン脂質。
  13. 下記式(V):
    (上記式中、Dは、請求項1、5又は6に定義した第二の残基であり、Aは請求項1、2又は3に定義した通りであり、Eは請求項1又は8に定義したとおりであり、nは請求項1又は10に定義したとおりであり、及びLは請求項1又は9に定義した化学結合又はリンカーである)
    で表される式に相当する、請求項7に記載のリン脂質。
  14. 式中のAがCHであり、nが1であり、Lが−CHCH−O−であり、DがC1837であり、及びEがH原子である、請求項13に記載のリン脂質。
  15. 請求項1〜14のいずれかに定義したリン脂質を含む医薬組成物。
  16. 細胞増殖の阻害、抗癌剤としての細胞−細胞及び細胞−マトリックス接着の調節、及び細胞移動の抑制に適している、請求項15に記載の医薬組成物。
  17. 前立腺癌、膀胱の尿路上皮性 癌、副腎様の癌、奇形癌、ヒト及びネズミの白血病、脳腫瘍、肺癌、線維肉腫、及び皮膚の過剰増殖疾病の治療に適している、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. 前立腺癌、膀胱の尿路上皮性癌、副腎様の癌、奇形癌、ヒト及びネズミの白血病、脳腫瘍、肺癌、線維肉腫、及び皮膚の過剰増殖疾病の治療用医薬の製造のための、請求項1〜14のいずれか一項に定義した化合物の使用。
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