JP4507243B2 - 行動分析方法及びシステム - Google Patents
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Description
これに対して、米国では、画像理解技術を用いたビデオ監視システムの研究プロジェクトVSAM(Video Surveillance and Monitoring)が行われた(非特許文献1)。このシステムは、非特許文献2にも記載されているように、動画像理解技術により検出した侵入物体を複数のカメラが協調してトラッキングし、その状況をリアルタイムで監視員に提示するものである。
測定した値X=xiから、ベイズの定理により、それが判別対象である確率 p(v|X=xi)と判別対象以外である確率p(s|X=xi)を演算し、確率の大小によって判別対象であるか否かを判別する。
前記平均値は、後述する実施例では、正規分布で近似できることがわかった。また判別対象の発生確率p(v)と判別対象以外の発生確率p(s)は、過去の実績等から予め求めることができるので、ベイズの定理により、判別対象と判別対象以外の確率を容易に演算することができる。この演算結果を比較し、確率の大きい方を選択することにより所定の判別対象精度よく判別することができることが後述する実施例により、確認された。
撮像装置12は、例えば人工網膜カメラ12aとこれを制御するCPUボード12bからなり、対象の行動を連続的に撮影して画像データを記録する。画像データは、一定の時間間隔(例えば1秒毎)に取得するのがよい。
移動軌跡計測装置14と行動分析装置16は、例えばLANボード13で撮像装置12にネットワーク接続されたコンピュータ15からなる。このコンピュータ15は、記憶装置を備え、撮像装置12で取得した複数の画像データを撮影時刻と共に記憶する。移動軌跡計測装置14は、コンピュータ15に記憶されたプログラムであり、複数の画像データから対象の移動軌跡を求める。行動分析装置16もコンピュータ15に記憶されたプログラムであり、移動軌跡計測装置14で得た移動軌跡から対象の行動を分析する。
なお、移動軌跡計測装置14と行動分析装置16をCPUボード12bで行うこともできる。
出力装置18は、例えばコンピュータ15に接続されたCRT装置、プリンタ、警報機等であり、分析結果を出力する。
撮像ステップS1では、対象の行動を経時的に撮影して画像データを記録する。移動軌跡計測ステップS2では、画像データから対象の移動軌跡を求める。行動分析ステップS3では、前記移動軌跡から対象の行動を分析する。出力ステップS4では、分析結果を出力する。
また、行動分析ステップS3は、移動軌跡から所定の単位時間毎の速度vと移動方向変位角θを求めるv・θ演算ステップS31と、所定の時間内の前記単位時間毎のv・cosθを計算するv・cosθ計算ステップS32と、その平均値Xを求める平均値X演算ステップS33と、平均値を動作要素指標として所定の判別対象を判別する統計ステップS34とを有する。
1. 個人が自分に最適な情報を探し出すのは困難となってきた今日、必要なときにユーザに対して有用な情報を提示できる環境が求められる。環境側がリアルタイムで有用な情報を提供するためにはユーザの状況、動きを正確に検出する必要がある。本発明では簡単なサービスである、道案内サービスを例としてユーザの移動軌跡から行動分析を行うシステムを提案する。
位置情報を検出する手段として、GPSを用いたものが挙げられるが、障害物などから屋内でリアルタイムにユーザを追跡できないという問題点があった。また、位置情報を取得してもそのデータを提示することに注力し、その行動の分析を行う方法は掲示されていない。そこで本発明では狭い範囲(建物内)でも誘導可能でリアルタイムな追跡が可能なユーザの位置情報検出を行い、その移動軌跡からユーザの行動分析を行うことにした。
屋内でのリアルタイムな追跡という点では位置精度の誤差や、障害物等により正確に取得できないという問題がある。そこで本発明では屋内でもユーザの行動が正確に判別できる、カメラを元にした画像処理を用いてユーザの移動を追跡することにした。また人に道案内サービスを提供するためには、人は周囲400mm程度であれば、画像や音声などの情報を容易に受け取ることができると考えられるので、位置検出システムには400mm以内の誤差で人が検出できることが要求される。
3.1 センシング手段
図3は本発明における撮像手段を示す模式図であり、図4は座標変換の模式図、図5は背景差分法の具体例である。
図3において、カメラ12aで得られる2次元の画像上の座標(u,y)から3次元の位置情報(x,y,z)を抽出するためにはパラメータがひとつ足らず、奥行きが得られない。そこで屋内での対象1(ユーザ)の移動というものが床面2の上で行われている点に注目し、画像上の移動体の最下点が図4の世界座標系でz=0であると仮定し、z=0となるユーザの足元を図5の背景差分法によって検出することで座標交換を利用して3次元でのユーザの位置情報を検出する。
足元を検出した後、カメラ座標系の原点と世界座標系の原点の距離をhとし、x軸,y軸,z軸の回転角度をそれぞれθx,θy,θzとして世界座標系(x,y,z)における移動体に位置を数1の式(1)で検出する。
図6は対象の行動パターンの模式図であり、図7はその動作要素指標の説明図である。図6(A)(B)に示すように、所定の判別対象(すなわち外来者や不審者)は、一般的にうろうろするのに対して、判別対象以外の内部者は通常うろうろせずに速く目的の方向に向かう。そのため図6(C)に示すように、ある一定の時間間隔で対象の位置を検出し(この例では1,2,3の3点)、位置2から3に至る間の速度と方向をv、θとすると、一般的に外来者や不審者は、一般にvcosθの平均値Xが小さくなり、内部者は平均値Xが大きくなる。
そこで本発明では、位置を検出した後、任意の時間長にも対応するため移動軌跡を動作要素(v,θ)に分解し動きによって行動パターンを比較する。このとき動作要素指標Xを数2の式(2)のように定義する。
実際にシステムを構築し、予備実験を行い行動分析のパラメータを定義し実証実験を行い、その分析精度を検証する。ここで測定対象は一人のみとする。
4.1 実験環境
図8は、実験場所の平面図である。この実験は、大学構内のエレベータ前の廊下で行った。
図9(A)は画像を取得するユビキタスデバイスとして使用した三菱電機製のμT-Engineの外観写真であり、図9(B)は実際に取得した画像である。
このマイクロサーバは、CPUボード、拡張LANボード、人工網膜カメラ、等で構成され、これを無線LANで別のPCに接続して用いた。人工網膜カメラの分解能による誤差は測定範囲で最大で垂直方向300mm、垂水平方向69mmであり、システムに要求される精度を満たしていた。なお、CPUボード、拡張LANボード、人口網膜カメラのスペック等のデータを表1に示す。
予備実験のために取得したサンプル数155(人)であり、そのうち内部者は、学生、教官56、秘書66、清掃の人5であり、外来者は訪問者12、会議参加者15、エレベータ点検1であった。
図10(A)(B)は移動軌跡の内部者の例を、図11は外来者の例を示す。これらの図から、外来者は、一般的にうろうろするのに対して、内部者は通常うろうろせずに速く目的の方向に向かうとする仮定が正しいことがわかる。
図12(A)(B)は、内部者と外来者の動作要素指標Xと頻度の計測値である。この図から、内部者と外来者それぞれについて動作要素指標Xが正規分布すると仮定すると、図13に示すように、それぞれの平均値μs=1135、μv=237と標準偏差σs=656,σv=270 が得られる。
これらの値を数4の式(4)に代入し、ベイズの定理により事後確率p(s|X=xi)、p(v|X=xi)を導く。ここでa=128は内部者数,b=27は外来者数であり、判別対象の比率p(v)と判別対象以外の比率p(s)はそれぞれb/(a+b)、b/(a+b)である。
実証実験のために取得したサンプル数は55(人)であり、内部者45人は学生、教官23、秘書20、清掃の人2であり、外来者10人は訪問者であった。
これらの対象の平均値X=xiを予備実験で求めた事後確率の式にXの値を代入し比較することで、外来者の検出を行った。すなわち得られた判別対象の確率p(v|X=xi)と判別対象以外の確率p(s|X=xi)を演算し、確率の大きい方を選択した。
外来者は90%、内部者は95.6%の認識率で判別が可能であった。外来者を内部者と誤認する第1種の誤りは10%あり、10人のうち9人は正解、1人は不正解であった。また内部者を外来者とする第2種の誤りは4.4%あり、45人のうち43人は正解、2人は不正解であった。
外来者や不審者を内部者とする第1種の誤りが特に重要であるが、この誤認識率は10%に留まっており、システムの有効性を検証できた。
道案内の行動分析において内部者を外来者と間違える第2種の誤りは許されるが、道案内の対象である外来者を検出できない第1種の誤りは好ましくないので、この値をさらに低下させるような改善が求められる。
10 分析システム、12 撮像装置、
12a 人工網膜カメラ、12b CPUボード、
13 LANボード、14 移動軌跡計測装置、
15 コンピュータ、16 行動分析装置、
18 出力装置
Claims (4)
- 所定の床面上を移動する対象を連続的に撮影して複数の画像データを記録する撮像ステップと、
前記対象を除く背景画像を予め記憶し、2次元の前記各画像データから背景画像を差分して差分画像を求め、該差分画像の下端と前記床面との交点を、対象の位置を示す3次元の位置情報とし、該位置情報からなる前記対象の移動軌跡を求める移動軌跡計測ステップと、
前記移動軌跡から所定の単位時間毎の速度vと移動方向変位角θを求め、所定の時間内の前記単位時間毎のv・cosθの平均値Xを求め、該平均値が予め定められた範囲の値かどうかを判別する行動分析ステップと、
該分析結果を出力する出力ステップとを備えた、ことを特徴とする行動分析方法。 - 前記統計的手段において、所定の判別対象の平均値Xの分布と判別対象以外の平均値Xの分布とで差異がある場合に、それぞれの分布をfv(X)とfs(X)で関数近似し、判別対象の発生確率p(v)と判別対象以外の発生確率p(s)を予め求め、
測定した値X=xiから、ベイズの定理により、それが判別対象である確率
p(v|X=xi)と判別対象以外である確率p(s|X=xi)を演算し、確率の大小によって判別対象であるか否かを判別する、ことを特徴とする請求項1に記載の行動分析方法。 - 所定の床面上を移動する対象を連続的に撮影して複数の画像データを記録する撮像装置と、
前記対象を除く背景画像を予め記憶し、2次元の前記各画像データから背景画像を差分して差分画像を求め、該差分画像の下端と前記床面との交点を、対象の位置を示す3次元の位置情報とし、該位置情報からなる前記対象の移動軌跡を求める移動軌跡計測装置と、
前記移動軌跡から所定の単位時間毎の速度vと移動方向変位角θを求め、所定の時間内の前記単位時間毎のv・cosθの平均値Xを求め、該平均値が予め定められた範囲の値かどうかを判別する行動分析装置と、
該分析結果を出力する出力装置とを備えた、ことを特徴とする行動分析システム。 - 前記統計的手段において、所定の判別対象の平均値Xと判別対象以外の平均値Xとで分布に差異がある場合に、それぞれの分布をfv(X)とfs(X)で関数近似し、判別対象の発生確率p(v)と判別対象以外の発生確率p(s)を予め求め、
測定した値X=xiから、ベイズの定理により、それが判別対象である確率
p(v|X=xi)と判別対象以外である確率p(s|X=xi)を演算し、確率の大小によって判別対象であるか否かを判別する、ことを特徴とする請求項3に記載の行動分析システム。
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