JP4499834B1 - 淡水生成装置および淡水生成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 海水よりも低塩濃度の低塩濃度廃水を逆浸透膜ろ過によって透過水と濃縮水とに分離する第1処理部と、該第1処理部で生成された濃縮水を海水に混合して混合水とし、該混合水を逆浸透膜ろ過によって透過水と濃縮水とに分離する第2処理部とを備え、各処理部にて分離された透過水が淡水として得られる淡水生成装置であって、
前記第1処理部には、前記低塩濃度廃水の塩濃度を測定する第1塩濃度測定手段が備えられ、得られた測定値に基づいて、前記第1処理部で得られる透過水の生成量と、前記第2処理部で得られる透過水の生成量とが制御されるように構成されていることを特徴とする淡水生成装置を提供することにある。
【選択図】 図1
Description
前記第1処理部には、前記低塩濃度廃水の塩濃度を測定する第1塩濃度測定手段が備えられ、得られた測定値に基づいて、前記第1処理部で得られる透過水の生成量と、前記第2処理部で得られる透過水の生成量とが制御されるように構成されていることを特徴とする淡水生成装置を提供する。
また、第2処理部では、海水を希釈できることから塩濃度を下げることができ、この点に於いても低エネルギーで淡水を生成することができる。
更に、淡水資源として海水をも用いることから、安定して淡水資源を確保することができ、低塩濃度廃水の塩濃度が変動した場合には、第1処理部及び第2処理部での生成量を制御してトータルの生成量を安定化させることもできる。
斯かる構成に於いては、塩濃度の測定値が所定基準以下又は未満である場合には、基準内である場合に比して、回収率を上げて同じエネルギーでより多くの淡水を得ることができる。
従って、その分だけ高エネルギーを要する第2処理部における生成量(淡水量)を少なくすることができ、同じエネルギーで効率よく淡水を得ることができる。
本実施形態の淡水生成装置1は、図1に示すように、海水Aよりも低塩濃度の低塩濃度廃水Bを逆浸透膜ろ過によって第1透過水と第1濃縮水とに分離する第1処理部2と、該第1処理部2で生成された第1濃縮水を希釈水として海水Aに混合して混合水とし、該混合水を逆浸透膜ろ過によって第2透過水と第2濃縮水とに分離する第2処理部3とを備えてなる。
本明細書において、海水Aは、海に存在する水に限定されず、塩濃度が1.0質量%以上の水であれば、湖(塩湖、汽水湖)の水、沼水、池水等の陸に存在する水も含む。
前記低塩濃度廃水Bは、有機物を含む廃水(以下、「有機性廃水」ともいう。)、無機物を含む廃水(以下、「無機性廃水」ともいう。)、若しくは有機物及び無機物を含む廃水である。
前記有機性廃水は、例えば、有機物濃度の指標としてのBOD(生物化学的酸素要求量)が2000mg/L以下の廃水であり、より具体的には、200mg/L程度の廃水である。有機性廃水としては、下水(生活廃水や雨水が下水道に流れた水等)や、工業廃水(食品工場、化学工場、電子産業工場、パルプ工場等の工場から排出される廃水)等が挙げられる。
前記無機性廃水は、無機物が含まれ且つ有機物濃度が低い廃水で、例えば、BOD(生物化学的酸素要求量)が50mg/L以下の廃水であり、好ましくは、10mg/L以下の廃水である。無機性廃水としては、工業廃水(鉄鋼工場、化学工場、電子産業工場等の工場から排出される廃水)等が挙げられる。
さらに、前記低塩濃度廃水Bは、廃水が沈殿分離槽で沈殿分離された上澄水、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、砂ろ過池等でろ過され除濁された透過水であってもよい。また、前記低塩濃度廃水Bは、有機性廃水の場合、生物種により浄化処理された生物処理水であってもよい。
尚、本明細書に於いて、除濁とは逆浸透膜ろ過よりも粗いろ過、即ち、逆浸透膜装置でろ過処理する前に実施され、逆浸透膜で分離するよりも粗い不純物(例えば、固形物質等)を除去することを意味する。
また、本明細書に於いて、生物種による浄化処理とは、細菌、原生動物、後生動物等の生物種によって水に含まれる有機物を分解することを意味する。具体的には、活性汚泥を用いた曝気処理等を挙げることができる。
尚、電気伝導度は、塩濃度との相関関係を有し測定も容易である点において、前記第1塩濃度測定装置23としては、電気伝導度を測定する機構を有するものが好適である。
しかも、電気伝導度計は、安価でメンテナンスも容易であることから、電気伝導度計を備えた第1塩濃度測定装置23は、淡水生成装置コスト、メンテナンスコストの低減に有効である。
具体的には、本実施形態の淡水生成方法は、前記第1塩濃度測定装置23によって得られた測定値に基づいて前記信号伝達機構4により、第1水量調整機構24により第1透過水の流量を調節し且つ第2水量調整機構34により海水Aの流量を調節して、前記第1処理部2で得られる第1透過水の生成量と、前記第2処理部3で得られる第2透過水の生成量とを制御する。
また、本実施形態の淡水生成装置1は、第2水量調整機構34が備えられてなるが、本発明の淡水生成装置は、図2に示すように、第1塩濃度測定装置23の測定結果に基づいて第2ポンプ32の回転数を変化させるための第2インバータ35が設けられ、信号伝達機構4が該第2インバータ35に接続されてもよい。
ここで、海水Aの塩濃度が変動した場合、前記第2逆浸透膜ユニット31での第2透過水の生成効率が変動する。具体的には、海水Aの塩濃度が低下した場合は第2透過水の生成効率が上昇し、海水Aの塩濃度が上昇した場合は第2透過水の生成効率は低下する。
そこで、本実施形態の淡水生成装置1は、前記第1塩濃度測定装置23によって得られた測定値に基づいて前記信号伝達機構4により、第1水量調整機構24により第1透過水の流量を調節し且つ第2水量調整機構34により海水Aの流量を調節するが、前記第2塩濃度測定装置33によって得られた海水Aの塩濃度に応じて決定される第2透過水の生成効率に基づいて海水Aの流量を補正するように構成されてなる。
海水Aよりも低塩濃度の低塩濃度廃水Bを逆浸透膜ろ過によって第1透過水と第1濃縮水とに分離する第1処理部2と、該第1処理部2で生成された第1濃縮水を希釈水として海水Aに混合して混合水とし、該混合水を逆浸透膜ろ過によって第2透過水と第2濃縮水とに分離する第2処理部3とを備えてなり、第1処理部2には、前記低塩濃度廃水Bの塩濃度を測定する第1塩濃度測定手段23(電気伝導率計)と、第1濃縮水の流量を調節する第3水量調整機構26とが備えられ、第2処理部3には、前記海水Aの塩濃度を測定する第2塩濃度測定手段33(電気伝導率計)と、該海水Aの流量を調節する第2水量調整機構34とが備えられ、得られた測定値に基づいて、前記第1処理部2で得られる透過水の生成量と、前記第2処理部3で得られる透過水の生成量とが制御されるように構成されている淡水生成装置1(図5)を用いて、海水A(15m3 /d)及び廃水B(第1処理部2への供給水)(50m3 /d)から淡水C、Dを得た。ここで、通常運転時は、海水Aの塩濃度が3.5質量%、廃水Bの塩濃度が0.035質量%であった。運転時において、第1処理部2及び第2処理部3それぞれにおける透過水量(淡水量)、濃縮水量、処理圧力、及び動力(消費動力)を測定した。結果を表1に示す。
尚、第2処理部3への供給水量は、海水Aと、第1処理部2で得られた濃縮水のうち第2処理部3へ供給されたものとの合計を意味する。
(a)低塩濃度廃水Bの電気伝導率が通常運転時よりも低下したとき
前記淡水生成装置1を用いて海水A及び低塩濃度廃水Bから淡水C、Dを得、低塩濃度廃水Bの電気伝導率が低下した(低塩濃度廃水Bの塩濃度が0.035質量%から0.02質量%へ低下した)際に、この値に基づいて前記第1処理部2及び前記第2処理部3での透過水の生成量を制御した時において、第1処理部2及び第2処理部3それぞれの透過水量(淡水量)、濃縮水量、処理圧力、動力を測定した。ここでの制御では、第3水量調整機構26の弁を狭めた。これにより、第1処理部2への供給水量は一定となるため、第1処理部2で得られる透過水量(淡水量)が増える。また、ここでの制御では、更に、所定の合計淡水量を得ることを考慮すると、第2処理部3で得るべき透過水量を低減できるため、第2水量調整機構34の弁を狭めて、第2処理部3で得る透過水量を低減した。結果を表1に示す。表1に示すように、第1処理部2では、供給水量は一定で且つ処理圧力(供給圧力)は一定でも電気伝導率の低下分で透過水量を増加させているため、消費動力はほとんど変わらない。一方で、第2処理部3では、処理圧力(供給圧力)は一定で供給水量を低減しているため、消費動力を低減することができた。従って、得られる総淡水量を一定に保ちつつ、全体の消費電力を低減することができた。
(b)海水Aの電気伝導率が通常運転時よりも低下したとき
前記淡水生成装置1を用いて海水A及び低塩濃度廃水Bから淡水C、Dを得、海水Aの電気伝導率が低下した(海水Aの塩濃度が3.5質量%から3.3質量%へ低下した)際に、この値に基づいて前記第1処理部2及び前記第2処理部3での透過水の生成量を制御した時において、第1処理部2及び第2処理部3それぞれの透過水量(淡水量)、濃縮水量、処理圧力、動力を測定した。ここでの制御では、第2処理部3での透過水量を一定とし、第2水量調整機構34の弁を狭めて海水Aの供給量を低減させた。これは、海水Aの電気伝導率が低下したことにより、より少ない海水Aの供給量(ここでは、第1処理部2から得られる濃縮水を第2処理部3へ供給する量は一定)から同量の透過水量が得られる、即ち、処理水回収率が高められることによる。結果を表1に示す。表1に示すように、第2処理部3での消費動力を低減することができた。従って、得られる総淡水量を一定に保ちつつ、全体の消費電力を低減することができた。
(a)低塩濃度廃水Bの電気伝導率が通常運転時よりも低下したとき
制御を実施しないように構成されたこと以外は実施例1と同じ淡水生成装置を用い、低塩濃度廃水Bの電気伝導率が低下した(低塩濃度廃水Bの塩濃度が0.035質量%から0.02質量%へ低下した)際における第1処理部2及び第2処理部3それぞれの透過水量(淡水量)、濃縮水量、処理圧力、動力を測定した。結果を表1に示す。表1に示すように、比較例1のように制御しない場合には、得られる総透過水量は一定であるが全体の消費動力を実施例1ほど低減することができなかった。
(b)海水Aの電気伝導率が通常運転時よりも低下したとき
制御を実施しないように構成されたこと以外は実施例1と同じ淡水生成装置を用い、海水Aの電気伝導率が低下した(海水Aの塩濃度が3.5質量%から3.3質量%へ低下した)際における第1処理部2及び第2処理部3それぞれの透過水量(淡水量)、濃縮水量、処理圧力、動力を測定した。結果を表1に示す。表1に示すように、比較例1のように制御しない場合には、得られる総透過水量は一定であるが全体の消費動力を実施例1ほど低減することができなかった。
Claims (3)
- 海水よりも低塩濃度の低塩濃度廃水を逆浸透膜ろ過によって透過水と濃縮水とに分離する第1処理部と、該第1処理部で生成された濃縮水を海水に混合して混合水とし、該混合水を逆浸透膜ろ過によって透過水と濃縮水とに分離する第2処理部とを備え、各処理部にて分離された透過水が淡水として得られる淡水生成装置であって、
前記第1処理部には、前記低塩濃度廃水の塩濃度を測定する第1塩濃度測定手段が備えられ、得られた測定値に基づいて、前記第1処理部で得られる透過水の生成量と、前記第2処理部で得られる透過水の生成量とが制御されるように構成されていることを特徴とする淡水生成装置。 - 前記測定値が所定基準以下又は未満である場合には、前記第1処理部での生成量を上げ、前記第2処理部での生成量を下げるように制御されてなる請求項1記載の淡水生成装置。
- 海水よりも低塩濃度の低塩濃度廃水を逆浸透膜ろ過によって透過水と濃縮水とに分離する第1処理工程と、該第1処理工程で生成した濃縮水を海水に混合して混合水とし、該混合水を逆浸透膜ろ過によって透過水と濃縮水とに分離する第2処理工程とを実施し、各工程の透過水を淡水として得る淡水生成方法であって、
前記低塩濃度廃水の塩濃度を測定し、得られた測定値に基づいて、前記第1処理工程での透過水の生成量と、前記第2処理工程での透過水の生成量とを制御することを特徴とする淡水生成方法。
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