JP4490545B2 - 携帯型の便器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に自動車内等において子供が使用するのに適する他、寝たきりの病人、高齢者等の介護用としても使用可能な携帯型の小便用の便器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
介護用の便器としては主にしびん、又はベッド、椅子等に備え付けの便器等が一般的に用いられているが、しびんは被介護人がベッドに寝ている場合には介護人がその都度、しびんを被介護人に渡し、使用後はこれを受け取らねばならないから人手を要し、また備え付け便器等はコストが高いという問題があった。
一方交通渋滞中の道路においては自動車が休憩所等へ着くのに長い時間を要することが多く、子供の場合には尿意をもよおした際に、長い時間辛抱し続けることが困難なため、道路わきに自動車を止めて道端等にて用を足す等の光景がまま見受けられる。しかしこのような行為はそれ自体、見苦しく、道徳的には勿論、また環境保護の面からみても問題がある外、夜間に車外に出て道路わきで用を足すことは交通事故等にあう危険性も大きい等の問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このため従来にあっては寝たきりの病人、又は高齢者の場合には直接排尿用のチューブを尿道から膀胱まで通して、採尿用の袋に直結させておく採尿器が用いられているが、これらの処置には医療技術者が必要となり、自宅等における介護等に適用するのは難しい。
また一方自動車内における子供用の対策としてはしびん等の容器を車内に用意しておき、車内で用を足すことが行われているが、揺れる車内では容器の外に尿を漏らす虞れがあり、また採尿後も蓋が出来ないため自動車の振動によって容器から尿が車内にこぼれ出ることがある他、臭気も車内にこもってしまう等、衛生上の問題があった。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは飲料用の空容器を利用することで病人、高齢者は勿論、子供でも他人の手を借りることなく使用出来、また自動車内に置いてもコンパクトで場所をとらず、簡単で、衛生的に使用することが出来、更に使用後も車の振動等によって尿が車内にこぼれ出、また臭気が室内、車内にこもる等の不都合のない携帯型の便器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の携帯型の便器は、一端部に採尿口を、他端部に排尿口を備えたロート状の採尿器と、一端部が前記排尿口に嵌着され、他端部に貯尿用容器の口部が着脱可能に外嵌圧入される円筒形の筒体を有する連結具とを備え、該連結具は、一端部外周に筒形の折り返し部を形成し、該折り返し部の内周面と前記筒体の外周面との間隔が一端部から他端部に向かって広くなる環状溝を備え、該環状溝内で前記筒体に外嵌された貯尿用容器の口部が折り返し部の内周面に密着することを特徴とする。
【0006】
この発明にあっては、連結具が有する円筒形の筒体の他端部に貯尿用容器の口部を外嵌圧入すると、筒体の一端部外周に形成した筒形の折り返し部の内周面と筒体の外周面との間隔が一端部から他端部に向かって広くなる環状溝内で貯尿用容器の口部が折り返し部の内周面に密着するので、ロート状の採尿器の採尿口を直接人体の尿道口を囲う、その周縁にあてがって採尿する場合に、貯尿用容器から尿を漏らすことがなく、たとえ貯尿用容器から漏れても、貯尿用容器の口部に内周面が密着した折り返し部によって外への尿の漏れが防止され、衣類を濡らす虞がない。また用済み後には貯尿用容器の口部を筒体の他端部から取り外して蓋をしておくことで尿及び臭気が外部に漏れることがなく、車内等の衛生状態が損なわれることがない。
【0009】
請求項2に係る発明の携帯型の便器は、前記連結具は、弾性部材で形成されていることを特徴とする。
【0010】
この発明にあっては、連結具を弾性材料で形成してあるから、水密性、気密性がよく、尿臭が漏出することが防止できる。
【0011】
請求項3に係る発明の携帯型の便器は、前記連結具は、これに接続される貯尿用容器内の空気を排出すべく、前記筒体の外周面の周方向の1又は複数個所に軸長方向に延在する空気抜き溝を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明にあっては、連結具が有する筒体の周方向の1又は複数個所に軸長方向に延在する空気抜き溝を備えるから、筒体の他端部に貯尿用容器の口部を外嵌させた際に空気抜き溝が貯尿用容器の口部の内側に臨むようになるので、貯尿用容器内の空気が尿の流入に伴って円滑に外部に排出され、尿が外部に流出する等の不都合を防止出来る。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る携帯型の便器の使用時の状態を示す斜視図、図2は図1のII−II線による部分拡大断面図であり、図中1は採尿器、2は貯尿用容器、3は採尿器1の排尿口と前記貯尿用容器2の装着口とを連結する弾性を備えた連結具を示している。
【0016】
図3は図1に示す便器から貯尿用容器を取り外した状態の採尿器1の拡大正面図、図4は同じく拡大背面図、図5は同じく拡大側面図、図6(a) は同じく拡大平面図、図6(b) は同じく拡大底面図、図7は連結具を取り外した状態の拡大正面図、図8は同じく拡大背面図、図9は同じく拡大側面図、図10(a) は同じく拡大平面図、図10(b) は同じく拡大底面図である。
【0017】
採尿器1は平面視で左右方向を押し狭めた状態の縦長楕円筒形のロート状をなし、上端部に採尿口11が、また下端部に排尿口12が夫々形成され、採尿口11を含む上方側の略1/3部分は楕円筒形をなし、断面積が最も大きくなっており、また下方の略2/3は楕円筒形をなしているが、下方に向かうに従って断面積が急激に縮小されており、側面視では図3に示す如く略逆三角形状をなし、更に下端部にはパイプ状の排尿口12が外方に突き出して設けられ、ここに連結具3の一端が外嵌固定されるようにしてある。
【0018】
採尿器1の外周面には上,下方向における上方から略1/5の位置の外周の全周にわたって鍔縁13が設けられ、また周方向の複数個所には前記鍔縁を支持する複数の補強リブ14が夫々外方に張り出して設けられ、また上,下方向における下方の略2/3の範囲であって、外周の前側面に沿って上,下方向に延びる把手15が設けられている。
鍔縁13は採尿器1のロート状部分の断面形状に合わせた楕円形をなしており、ここに必要に応じて蓋(図示せず)を外嵌させてもよい。
なお蓋を使用しない構成とする場合には鍔13、補強リブ14は設けなくてもよい。
【0019】
また採尿器1の採尿口11は人体の尿道口を囲ってその周縁部に密に当接せしめ得るよう前後方向の前側から略2/3の位置までは図5に示す如く鍔縁13からの高さhが漸減され、最も低いh0 の高さに達した後、後側に向けて再び高さが増大するよう成形してある。この採尿器1における採尿口11の形状は従来知られている女性用のしびんの開口部形状に合わせて楕円形としてあり、女性、男性のいずれにも兼用可能としてある。
【0020】
また採尿器1の採尿口11の周縁は全周にわたって肉厚を他の部分よりも若干大きくして条状の肉厚縁部11aを形成してあり、ここに採尿口11の平面形状に合わせて楕円形をなし、断面逆U字形をなす柔軟なゴム製の弾性リング部材16がそのU字形の溝16aを開口部の肉厚縁部11aに着脱可能に外嵌せしめてある。これによって人体の尿道口周縁部に採尿器1の採尿口11を直接あてがった際にも皮膚を傷つけることが防止出来、また皮膚との密着性を高めて尿が外部に漏出するのを阻止することが可能となる。
【0021】
更に採尿器1の下端部に設けてある排尿口12は採尿器1の下端部から延設したパイプ部の先端に開口されており、パイプ部の外周面には連結具3の端部を外嵌した際の抜け止めのためのもどり止め段差12aが形成されている。
【0022】
図11(a) は連結具3の正面図、図11(b) は同じく背面図、図11(c) は同じく右側面図、図11(d) は同じく平面図、図11(e) は同じく底面図である。
連結具3は比較的柔らかなゴム等の弾性材料にて筒形に形成され、内径は前記排尿口12を形成したパイプ部の外径よりも若干小さくしてあり、このように形成した筒体31の一端部 (図11では上端部) には傘状の折り返し部32が形成されている。この折り返し部32の内周面と前記筒体31の外周面との間は一端末から下方に向かうに従って少しずつ間隔が広くなる環状溝が形成され、ここに貯尿用容器2を構成する飲料用の空容器、例えば合成樹脂(ポリエチレンテレフタレート)製の容器(ペットボトルと称す)の口部が内嵌され、口部先端が折り返し部32の内側に密着せしめられるようにしてある。
【0023】
そして連結具3における筒体31の外周面には周方向の1個所に他端部から一端部側に向けて軸長方向に延在する断面U字形をなす空気抜き溝33が形成されている。
空気抜き溝33の上端は傘状の折り返し部32の折り返し点を経て折り返し部の内周面に達するようにしてある。
【0024】
また空気抜き溝33の下端は筒体31の下端部に達しており、ここに貯尿用容器2であるペットボトルの口部を外嵌させた際に、この口部の内側に臨むようにしてあり、これによって採尿時に尿がペットボトル内に流入するのに対応して空気抜き溝33を経てペットボトル内の空気が外部へ流出し、尿は円滑にペットボトル内に流入し得るようにしてある。
【0025】
このような携帯型の便器は、販売時は採尿器1、連結具3を装着した状態で筐等に収納して取り扱われる。使用者はこれを購入し、採尿器1の排尿口12に装着してある連結具3の他端部に使用済みのペットボトルの口部を、蓋を外した状態で外嵌圧入する。
ペットボトルは通常内容量500mlのものを使用するが、1000mlのものもその口部の寸法仕様が同じであれば使用可能である。
またペットボトル以外にも、口部の内,外径の寸法仕様が同じであればびん、その他専用の容器を用いてもよいことは勿論である。
【0026】
また貯尿用容器2はペットボトルが一般的に用いられるが、このペットボトルの口部を直接採尿器1の排尿口12に螺合密着させることとしてもよい。この場合は排尿口12の外周にペットボトルにおける螺条を備えた蓋部を設けておくこととなる。
勿論、連結具3における折り返し部32の内周面に螺条を形成してここにペットボトルの口部を螺合せしめてもよい。
【0027】
次に採尿器1の把手15を一方の手に持ってその採尿口11を人体の尿道口を囲うその周縁部にあてがって放尿すれば、尿は採尿器1から連結具3を経てペットボトルに導かれここに溜められる。ペットボトル内の空気は空気抜き溝33から外部に排出される。ペットボトルは他方の手で支えておくことで連結具3から抜け落ちることが防止出来る。採尿が終了すればペットボトルを連結具3から抜き取り、キャップを螺合し、口部を封止しておけば尿及び臭気が外部に漏出することはない。
【0028】
その後は連結具3が付けられた状態の採尿器をビニール袋等の合成樹脂製の袋等に収納しておき、必要に応じて水洗し、乾燥し、収納しておけば経年的に反復使用が可能である。
【0029】
【発明の効果】
請求項1に係る発明にあっては、採尿器の排尿口に装着した連結具を介して貯尿用容器をその水密性、気密性を保持した状態で用意に着脱することが可能となり、迅速な取り扱いが可能となり、自動車等の車内での使用に便利である。
加えて、連結具の筒体の他端部に貯尿用容器の口部に外嵌される折り返し部を形成し、該折り返し部の内周面と前記筒体の外周面との間に設けた環状溝内で貯尿用容器の口部が折り返し部の内周面に密着するようにしたので貯尿用容器から尿が漏出することがなく、またたとえ漏出しても衣類を濡らす虞れがない。
【0031】
請求項2に係る発明にあっては、連結具を弾性材料で形成してあるから、水密性、気密性がよく、尿及び臭いが漏出するのを防止できる。
【0032】
請求項3に係る発明にあっては、連結具が有する筒体の周方向の1又は複数個所に軸長方向に延在し、貯尿用容器の口部の内側に臨む空気抜き溝を備えるから貯尿用容器内の空気が尿の流入に伴って円滑に外部に排出され、尿が外部に流出する等の不都合を防止出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る携帯型の便器の使用時の状態を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線による部分拡大断面図である。
【図3】図1に示す便器から貯尿用容器を取り外した状態の採尿器の拡大正面図である。
【図4】図1に示す便器から貯尿用容器を取り外した状態の採尿器の拡大背面図である。
【図5】図1に示す便器から貯尿用容器を取り外した状態の採尿器の拡大側面図である。
【図6】図1に示す便器から貯尿用容器を取り外した状態の採尿器の拡大平面図及び拡大底面図である。
【図7】連結具を取り外した状態の拡大正面図である。
【図8】連結具を取り外した状態の拡大背面図である。
【図9】連結具を取り外した状態の拡大側面図である。
【図10】連結具を取り外した状態の拡大平面図及び拡大底面図である。
【図11】連結具の正面図、背面図、右側面図、平面図及び底面図である。
【符号の説明】
1 採尿器
2 貯尿用容器
3 連結具
11 採尿口
12 排尿口
13 鍔縁
14 補強リブ
15 把手
16 弾性リング部材
Claims (3)
- 一端部に採尿口を、他端部に排尿口を備えたロート状の採尿器と、一端部が前記排尿口に嵌着され、他端部に貯尿用容器の口部が着脱可能に外嵌圧入される円筒形の筒体を有する連結具とを備え、該連結具は、一端部外周に筒形の折り返し部を形成し、該折り返し部の内周面と前記筒体の外周面との間隔が一端部から他端部に向かって広くなる環状溝を備え、該環状溝内で前記筒体に外嵌された貯尿用容器の口部が折り返し部の内周面に密着することを特徴とする携帯型の便器。
- 前記連結具は、弾性部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型の便器。
- 前記連結具は、これに接続される貯尿用容器内の空気を排出すべく、前記筒体の外周面の周方向の1又は複数個所に軸長方向に延在する空気抜き溝を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯型の便器。
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