JP4488697B2 - 組立型風車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はサボニウス型の風車に関し、特に、サボニウス型風車の原理に基づいた組立・分解が容易な組立型風車に関する。
【0002】
【従来の技術】
風車の一種として、サボニウス型風車が知られている。図9(a)はサボニウス型風車の原理を述べるための従来のサボニウス型風車の構成を示す斜視図であり、図9(b)は図9(a)に示すサボニウス型風車500における風の流れを示す図である。
【0003】
図9(a)に示すように、サボニウス型風車500は、所定の回転軸を中心に回転する伝動軸3pと、風を受けて伝動軸3pとともに回転する複数のブレード5pとを有する。図9(a)においては、2枚のブレード5pが接続部材8pを介して伝動軸3pに連結されている。
各ブレード5pは、たとえば、半円筒状をしており、湾曲した内周面が伝動軸3pのまわりを取り囲むように接続部材8pに設置される。この内周面が、風を受ける受風面5p_aとなる。このとき、2つのブレード5pは、受風面5p_aが互いに対向して一部オーバーラップするように設置される。
なお、図9(a)における符号9によって表わされる部材は、ブレード5pの強度を確保するための補強材である。
【0004】
図9(a)に示す風車500に風が当たった場合に、図9(b)に示すように、一方のブレード5pの受風面5p_aに当たる風の風圧による力(これを風圧力という)をa、他方のブレード5pの受風面5p_aとは反対側の面に当たる風の風圧力をbとする。風圧力bは、風圧力b1と風圧力b2との2つの風圧力に別れると考えられる。
風圧力aと風圧力bとが同じ大きさであるとすると、a+b1>bとなり、風圧力aと風圧力b1とが風車500を回転させる力として働くため、風車500は矢印RD方向に回転する。
また、一方のブレード5pの受風面5p_aに当たった風は湾曲した受風面5p_aに沿って伝動軸3p側に集まり、他方のブレード5pの受風面5p_aに当たる。これにより、図9(b)に示すように風圧力cが生じる。この風圧力cは風圧力bの一部を相殺し、風車500を回転させる力として働く。したがって、最終的にa+b1+c>bとなり、この風圧力cにより風車500の回転効率が上昇する。これがサボニウス型風車の原理である。
【0005】
以上のような原理を利用したサボニウス型風車の一種が、たとえば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のサボニウス型風車は、回転軸を中心とした半径方向の両端部から中央部に至るに従ってブレードの高さが小さくなり、かつ、受風開口部から奥部に至るに従って間隔が狭くなるようにブレードの上下の辺に天板および底板を設けたサボニウス型風車である。
特許文献1に記載のサボニウス型風車によれば、ブレードの余分な受風面が削除されるためブレードの背圧が減少し、また、風車の重量が減少する。その結果、風車の回転効率が上昇する。なお、風車の回転効率は、風車の回転を変換して得られる電力や動力等のエネルギーの発生効率に直接的に関係する。
【0006】
【特許文献1】
特開昭58−162776号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のサボニウス型風車を含め、従来の風車はエネルギーの発生効率を高めることが主として考慮されており、製造や組立等の取扱いの容易さや携行性はほとんど考慮されていなかった。
サボニウス型風車は、ほぼ無騒音、回転開始のための風速が比較的小さい等の利点を有する。また、風車によるエネルギーの発生にはCO2の発生等の環境への影響が少ない。このような利点を有するサボニウス型風車の利用の促進を図るために、サボニウス型風車の取扱い性、携行性の向上が望まれている。
サボニウス型風車の取扱い性および携行性を向上させ、風が存在する様々な場所で容易にサボニウス型風車を利用することが可能になれば、個々のサボニウス型風車から得られるエネルギーは小さい場合であっても、結果的にはエネルギーをより多く得られることになる。
【0008】
本発明の目的は、取扱いが容易になり携行性を向上させることも可能な、サボニウス型風車の原理を用いた組立型風車を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る組立型風車は、回転軸まわりに回転する回転部材と、前記回転部材に連結され、複数の受風部を備え当該複数の受風部の各受風部において受けた風を他の前記受風部に導く受風手段と、前記回転部材に装着される立体部材と、を有し、前記立体部材の内部に、当該立体部材と一体にして前記複数の受風部を設け、前記受風手段を縮小することができる組立型風車である。
【0010】
本発明においては、回転部材に連結された受風手段の複数の受風部のうちのある受風部の受風面に風が当たる。受風面に風が当たることにより、受風手段に回転部材まわりの回転トルクが発生する。
各々の受風部の受風面に当たった風は受風面に沿って流れ、他の受風部の受風面に導かれる。他のブレードの受風面に導かれて当たった風はさらに回転トルクを発生させる。
本発明においては、以上のような構成を有する受風手段を適宜縮小することができる。受風手段を縮小することにより、受風部および受風面が小さくなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら述べる。
【0012】
第1実施形態
図1は、サボニウス型風車の原理を利用した、本発明に係る組立型風車の第1実施形態を示す図である。図1において、(a)は第1実施形態に係る組立型風車の概略構成を示す立面図を、(b)は平面図を、(c)は(a)に示す組立型風車の一つの受風部を拡大して示した立面図をそれぞれ表わしている。
【0013】
図1に示すように、第1実施形態に係る風車1は、本発明における受風手段としてのロータ7と、伝動軸3と、支柱14と、発電機18とを有する。
ロータ7は、複数の受風部5と、接続部材8とをさらに有する。
【0014】
伝動軸3は、たとえば、円柱状に形成する。
また、支柱14は、内周側に伝動軸3を収容可能な中空構造とする。
本実施形態における伝動軸3と支柱14とは、伸び縮みが可能な伸縮構造にする。
内周側に伝動軸3を収容した支柱14は、発電機18に接続される。
【0015】
本実施形態における発電機18は、伝動軸3および支柱14を設置するための土台も兼ねている。
伝動軸3を収容した支柱14が、発電機18に取り外し可能に接続されて、たとえば、鉛直方向に立設される。
このとき、支柱14は発電機18に対して固定される。一方、伝動軸3は支柱14の内部において発電機18に対して自在に回転可能とする。
図1(a)においては、支柱14の内部の破線として伝動軸3を描いている。
【0016】
発電機18に対して回転自在に接続された伝動軸3が、発電機18に対する入力軸となる。
発電機18は、伝動軸3の回転力を利用して発電を行なう。
【0017】
伝動軸3と発電機18との間に、図示はしないが増速機を設置してもよい。増速機は、伝動軸3を入力軸とし、伝動軸3の回転力を利用して、発電機18に接続される出力軸の回転速度を上昇させる。
また、発電機18の代わりに、たとえば、クランク機構やギヤの組み合わせた変換機構を用いて、伝動軸3の回転力を、電力以外の動力に変換してもよい。
【0018】
支柱14の発電機18に接続している端部とは反対側の端部からは伝動軸3の一部が突出している。伝動軸3のこの突出している部分にロータ7が接続される。ロータ7と伝動軸3とは一体となって回転する。
ロータ7は、その接続部材8を介して伝動軸3に接続される。本実施形態においては、接続部材8は図1(b)に示すような三角形状の板とする。三角板状の接続部材8は、その平坦面を伝動軸3に直交させて伝動軸3に取付けられる。
なお、本発明における回転部材の一実施態様が、一体となって回転する伝動軸3と接続部材8とに相当する。
【0019】
上記接続部材8に、風を受けて回転部材10を回転させるための受風部5を接続する。
図1(a),(b)に示すように、第1実施形態においては、互いに独立した複数の受風部5を相互に接続して風を受けるようにしている。
【0020】
受風部5は、受風布6と、フレーム17_1〜17_5とを有する。
受風布6は風を受けるための布である。受風布6には、たとえば、キャンバスやテフロン(登録商標)をコーティングしたキャンバス等の布を用いる。また、布の代わりに漆塗和紙や油紙、ナイロンシートやビニールシート等の樹脂シートなど、膜状の材料を適宜利用することも可能である。なお、漆塗和紙は、和紙の表面に漆を塗ったものである。
上記の布や紙、樹脂シート等の材料は、折りたたむことが可能である。
【0021】
フレーム17_1〜17_5は、受風布6を所定の形状にするためのものである。
フレーム17_1〜17_5としては、たとえば、竹や、アルミニウム、SUS等の金属を用いることができる。
フレーム17_1〜17_5は、パイプ状にしてもよい。
受風布6には自重を支持できる強度はないため、フレーム17_1〜17_5はある程度の風速にも耐えられるように強度を大きくしておくことが好ましい。受風布6が比較的軽いため、フレーム17_1〜17_5はある程度重くともよい。
【0022】
図1(b),(c)に示すように、フレーム17_1とフレーム17_2とを十字型に組む。フレーム17_1とフレーム17_2との交点の位置から、フレーム17_1とフレーム17_2とのいずれにも直交するようにフレーム17_3をフレーム17_1に取付ける。
そして、フレーム17_3のフレーム17_1に取付けた端部とは反対側の端部とフレーム17_1の両端部とを結ぶように、フレーム17_4とフレーム17_5とをフレーム17_1およびフレーム17_3に接続する。
なお、これらのフレーム17_1〜17_5のうち、少なくともフレーム17_2はフレーム17_1から取り外すことができるようにしておく。
【0023】
上記のように組立てたフレーム17_1〜17_5のフレーム17_3側に、フレーム17_1,17_2のそれぞれの端部を結ぶように受風布6を張ることにより、図1に示すようなブレード状の受風部5ができあがる。
フレーム17_1〜17_5に受風布6を張るためには、たとえば、受風布6のうちフレーム17_1,17_2の両端部に位置する部分に、これらの端部に嵌合するキャップを取付けておけばよい。
なお、図1(c)に示すようなフレーム17_1,17_2のそれぞれの長さL,Hは、たとえば、L=1.2m、H=0.7m程度である。
【0024】
上記のようなブレード状の受風部5は、フレーム17_3が存在することにより、風をより効率的に受けることができるポケットが存在する形状となっている。このポケットの部分の内側の面が、風を受ける受風面5aとなる。
フレーム17_3の長さは、風を効率的に受けられるようにポケットがある程度形成され、かつ、受風布6がたるまない程度の適切な長さにする。
【0025】
フレーム17_1とフレーム17_2とを十字型に組んでいるため、受風面5aには図1(c)に示すように大きさの異なる第1の領域5a_Aと第2の領域5a_Bとが形成されることになる。
第1の領域5a_Aの面積は第2の領域5a_Bの面積よりも小さい。
【0026】
各々が以上のような構成を有する複数の受風部5は、サボニウス型風車の原理に従って回転するように、各々の受風面5aを回転方向に対して同じ側に揃えて接続部材8に接続される。このとき、複数の受風部5は、各々の受風面5aにおいて受けた風を他の受風部5の受風面5aに導くように配置される。
受風部5の個数は、後述するように受風部5によって生じる風の流れの力を有効に利用できるように、2個、もしくは3個以上の奇数個とする。
【0027】
本実施形態においては、3個の受風部5を、正三角形状の接続部材8の各辺に1個ずつ接続する。このとき、伝動軸3側に受風面5aの第1の領域5a_Aを位置させ、伝動軸3から離れた方向に第2の領域5a_Bを位置させる。
そのために、フレーム17_1には、受風面5aの第1の領域5a_A側の先端部と中途部とに留め具19a,19bがそれぞれ設けられる。留め具19aと留め具19bとの間の距離は、正三角形状の接続部材8の一辺の長さとほぼ同程度とする。
【0028】
3個の受風部5のそれぞれの留め具19aを接続部材8の頂点にそれぞれ位置させ、かつ、各留め具19aを接続部材8の各頂点に位置する他の受風部5の留め具19bにそれぞれ装着して固定する。以上により、3個の受風部5によって接続部材8が挟み込まれて3個の受風部5と接続部材8とが一体となる。
各フレーム17_1の留め具19a側の部分が、他のフレーム17_1および回転部材10への装着のための装着部となる。
【0029】
上述のようにロータ7を組立てたときには、回転部材10への装着部側に第1の領域5a_Aが位置し、装着部から離れた方向に第2の領域5a_Bが位置することになる。
また、各受風部5のフレーム17_3によるポケット部の深さは、装着部側に向かうに従って浅くなる。
【0030】
図1(b)に示すように矢印WDで示される風向きの風WAがロータ7に当たるとする。ロータ7の各受風部5の受風面5aに当たった風は、伝動軸3を取り囲むように受風面5aが配置されているため受風面5aに沿って伝動軸3側に向かって流れるように導かれる。
このとき、受風面5aの面積は装着部側に向かうに従って小さくなり、また受風面5aが存在するポケット部の深さは装着部側に向かうに従って浅くなっているため、風は装着部側の伝動軸3側に向かうに従って受風面5により絞られる。その結果、風を効率的に伝動軸3側に向かわせることができ、また、伝動軸3側に向かうに従って風の流速が上がる。
【0031】
受風面5aに導かれることにより風速が上がった風は、図1(b)に示すように風WCとなって他の受風部5の受風面5aに向かって流れる。
図9の説明においてサボニウス型風車の原理として述べたように、ある受風面5aに当たる風WAの風圧力aと他の受風面5aに導かれて当たったときの風WCの風圧力cとの和は、ロータ7の回転時に抵抗となる風WBの風圧力bよりも大きくなるため、ロータ7は矢印RD方向に回転する。
【0032】
ロータ7が回転することにより伝動軸3が回転する。
この伝動軸3の回転を利用して、発電機18によって発電が行なわれる。
【0033】
次に、組立型風車1を分解する手順について述べる。
まず、伝動軸3と共に支柱14を縮める。
そして、各受風部5の留め具19aを留め具19bから外すことによって各受風部5が接続部材8から取り外され、ロータ7が分解される。
さらに、伝動軸3および支柱14を発電機18から取り外す。
以上により、組立型風車1を発電機18と、接続部材8が接続された伝動軸3および支柱14と、個々に独立した受風部5とに分解することができる。
接続部材8と伝動軸3とは、さらに分解可能な構造であってもよい。
【0034】
各々の受風部5の分解の手順についてさらに述べる。
図2が、受風部5の分解の手順について述べるための図である。図2において、(a)は図1(c)と同様の受風部5の立面図であり、(b)は組立てた状態の受風部5の斜視図であり、(c)は受風部5を分解した状態を示す斜視図である。
【0035】
説明を容易にするために、図2(a),(b)に示すように受風面5aを受風面5a_1,5a_2,5a_3,5a_4の4つの部分にわける。
受風部5を分解するためには、まず、フレーム17_2の両端部のキャップを外してフレーム17_2から受風布6を外す。
そして、フレーム17_2をフレーム17_1から外す。
フレーム17_2が取り外された受風部5において、図2(b)の矢印Kで示すように受風面5a_1と受風面5a_2とが対向し、受風面5a_3と受風面5a_4とを対向させて受風布6を折りたたむと図2(c)のようになる。
図2(c)は、フレーム17_2を取り外された受風部5が、装着部側の留め具19aと第1の領域5a_Aと第2の領域5a_Bとを通るフレーム17_1に沿って折りたたまれた状態を示している。
【0036】
以上のように、フレーム17_2を取り外した受風部5を、細長い形状に縮小して持ち運ぶことが可能になる。
受風布6はさらに折りたたむことが可能であるため、フレーム17_2を取り外した受風部5をさらに小さく縮小することもできる。
【0037】
本実施形態によれば、ロータ7と伝動軸3および支柱14と発電機18とを有する組立型風車1を容易に組立・分解することができる。ロータ7の受風部5をさらに組立・分解可能な構造にもなっている。容易に組立・分解可能な構造であるため組立型風車1を容易に取り扱うことが可能になり、取扱い性が向上する。
また、組立型風車1のなかで容積が大きい受風部5を分解して縮小することができるため、携行性が向上する。その結果、組立型風車1を様々な場所において使用し易くなり、利用範囲が広がる。たとえば、組立型風車1をキャンプ場や無人島に運んで使用することが可能になる。
組立・分解が容易であるため、組立型風車1が故障した場合に各部分の交換や修理が容易であり、メンテナンス性が向上する。
受風部5が交換可能であるため、受風部5に求められる強度レベルを低くすることができる。その結果、受風部5を含めた組立型風車1の製造コストの上昇を抑制して安価に提供することができる。受風部5に用いる受風布6や紙や樹脂シート等の材料は比較的安価であるため、組立型風車1のコストはさらに小さくなる。
コストが下がることにより、組立型風車1の利用はさらに促進される。
【0038】
また、布や紙や樹脂シートも用いた受風部5は従来の風車の受風部よりもはるかに軽くなるため、従来よりもはるかに小さい風でロータ7が回転して回転効率が向上し、組立型風車1の発電効率が従来よりも向上する。
さらに、本実施形態においては、各受風部5の受風面5aを、留め具19aが取付けられている伝動軸3への装着側の第1の領域5a_Aの面積が伝動軸3から離れた第2の領域5a_Bの面積よりも小さい形状にしている。このため、受風面5aに当たる風WAが、より多く他の受風面5aに向かう風WCとなり、かつ、風WCの風速が上昇する。その結果、風WCの風圧力cが大きくなりロータ7がより回転し易くなりロータ7の回転効率が向上する。
各受風面5aは風を受け入れ易いポケット状に形成されているため、図1(a)に示すように伝動軸3に対して斜めの方向の風WWを捉え易くなり、ロータ7の回転に利用可能な風の力が増える。その結果、ロータ7の回転効率は従来よりもさらに向上する。
【0039】
第2実施形態
上記第1実施形態の受風部5に限らず、他の受風部を用いて組立型風車を構成することができる。その例を以下に第2実施形態として述べる。
なお、本発明の第2実施形態に係る組立型風車は、第1実施形態の受風部5の代わりに受風部60を用いている。この点以外は第2実施形態に係る組立型風車は第1実施形態に係る組立型風車1と同じであるため、同じ構成要素については同じ符号を付して用い、詳細な記述は省略する。
【0040】
図3が、第2実施形態に係る受風部60を用いたロータの構成を示す図である。図3において、(a)は複数の受風部の接続関係を示す平面図であり、(b)は1つの受風部60の立面図である。
ただし、図3(a),(b)において留め具19a,bは図示を省略している。
【0041】
図3(a)に示すように、第2実施形態に係るロータ70は、受風部60として、3(b)に示すような受風面60aに凹凸部60a_dを有する折りたたみ可能なブレードを有する。
3つの受風部60は、第1実施形態と同様に、ある受風部60の受風面60aに当たった風WAが風WCとなって他の受風部60の受風面60に向かって流れるように接続部材8に対して装着されて接続されている。
【0042】
各受風部60は、周知の扇子と同じ構造を有している。たとえば、第1実施形態と同様の竹やアルミニウムやSUS等の金属などの材料を用いた骨に、キャンバスやテフロンコーティングを施したキャンバス等の布、漆塗和紙や油紙、各種樹脂シート等の膜状の材料を張ることによって受風部60を構成することができる。
【0043】
扇子と同じ構造を有する受風部60は、扇の要の部分が装着部Ctとなる。
凹凸部60a_dは、装着部Ctから放射状にのびる筋状の溝60a_gが形成されるような筋状の凹凸部となる。
受風部60は、以上のような凹凸部60a_dを広げること、または折りたたむことにより、ある程度の範囲で自在に拡大、または縮小することができる。
凹凸部60a_dが意図せずに動くことを避けるためには、受風面60aを支持する図示しない支持部材を受風部60に設けることが好ましい。
【0044】
図3(a)に示すように、受風部60は装着部Ctを接続部材8側にして接続部材8に装着される。
このとき、受風部60の受風面60aを、折り曲げた状態で他の受風部60の装着部Ctに装着してもよい。たとえば、図3(a)に示すように、装着部Ctが位置する場所において、接続部材8を取り囲むように基準となる平面から角度θ1曲げる。
受風面60aの角度θ1は、受け止めた風を効率的に他の受風面60aに導くために、たとえば、0°≦θ1≦45°の範囲とする。
【0045】
風を装着部Ct側に導かせ易くするために、装着部Ctから離れた領域から装着部Ctに近い領域に近づくに従って受風面60の面積が小さくなることが好ましい。このため、図3(b)に示す受風面60による弧の角度θ2については、たとえば、20°≦θ2<180°の範囲とする。
【0046】
本実施形態においては受風面60aが受けた風WAが、溝60a_gにより捉えられて接続部材8側に導かれる。
その際に、溝60a_gの断面積は接続部材8側に向かうに従って小さくなっているため、接続部材8側に向かうに従って風の流速が上昇する。したがって、第1実施形態の場合と同様に、他のブレード60の受風面60aに当たる風WCの風圧力が増加する。
上記のように風が流れる本実施形態の組立型風車の動作は第1実施形態の風車1と同じであるため、詳細な記載は省略する。
【0047】
以上のように、第2実施形態によれば、扇子と同様の構造を有する受風部60を用いて組立型風車を構成することができる。
第2実施形態に係る組立型風車においても、第1実施形態に係る組立型風車1と同様の効果を得ることができる。
さらに、第2実施形態に係る受風部60は受風面60aを縮小した状態で風を受けることができる。このため、風が強過ぎるときには受風部を小さくして、組立型風車のオーバーロードや故障を防止することができる。
【0048】
第3実施形態
以下では、本発明の第3実施形態として、傘を用いた受風部を有する組立型風車について述べる。
図4が、サボニウス型風車の原理を利用した、本発明に係る組立型風車の第3実施形態を示す図である。図4において、(a)は第3実施形態に係る組立型風車の概略構成を示す立面図を、(b)は平面図を、(c)は(a)に示す組立型風車の一つの受風部の構成を示す模式図をそれぞれ表わしている。
【0049】
第3実施形態に係る組立型風車100は、第1実施形態の受風部5の代わりに傘を用いた受風部60を用いたロータ71を有している。この点以外は第3実施形態に係る組立型風車100は第1実施形態に係る組立型風車1と同じであるため、同じ構成要素については同じ符号を付して用い、詳細な記述は省略する。ただし、図4(b)において伝動軸3および留め具19a,bは図示を省略している。
【0050】
傘の構造は周知であるため、受風部61の構造についての詳細は省略する。傘の内側が受風面61aとなる。受風面61aを形成する材料にビニールや布等の慣用されている材料を用いた傘を受風部61として適宜利用することができる。
本実施形態においては、傘のシャフト61hを正三角形状の接続部材8の各辺に沿って配置させて、3つの受風部61を接続部材8に接続して装着している。各受風部61は、接続部材8から自在に取り外し、また接続部材8に装着することができる。
各受風部61は、受風面61aにおいて受けた風を他の受風面61aに導くように各受風面61aを接続部材8側に向けて接続部材8に取付けられる。
【0051】
以上のようなロータ71を有する組立型風車100は、これまでの組立型風車と同様に、ある受風面61aにおいて受けた風WAを受風面61aに沿って風WCとして他の受風面61aに導いて、矢印RD方向に回転する。
受風面61aは半球状をしているため、風WCの風圧力の上昇度は第1および第2実施形態よりは小さいと思われる。しかしながら、図4(a)に示すように伝動軸3に対して斜めの方向の風WWを捉えることは容易であるため、ロータ71の回転に利用可能な風の力を増やすことはできる。また、受風面61aに当たった風を受風面61aの外に逃がしにくく、風を有効に利用することができる。以上により、ロータ71の回転効率を従来よりも向上させることは可能である。
【0052】
本実施形態に係る受風部61を縮小する場合には、図4(c)に示すように、傘と同様に風面61aにつながっている骨をまとめたスライド部を、シャフト61hに沿って図中の矢印に示すようにスライドさせる。これにより、受風面61aがたたまれて縮小する。
受風部61以外の組立型風車100の組立・分解の手順は第1実施形態の場合と同様であるため記載を省略する。
【0053】
第3実施形態においても、前述の実施形態と同様に、取扱い性、携行性およびメンテナンス性の向上という効果を得ることができる。また、受風部61の軽量化によるロータ71の回転効率の向上の効果もある。
さらに、本実施形態においては受風部61として傘を用いているため、組立型風車100の組立・分解が容易である。また、傘は市場で容易に入手可能であるため、組立型風車100のコスト上昇を抑制して安価に組立型風車100を提供することができる。
【0054】
第4実施形態
第1〜3実施形態においては、個々に独立した受風部を有するロータを用いていた。以下では、本発明における受風手段として受風部と一体となった1つの立体型のロータを用いる組立型風車の形態について述べる。
なお、本発明の第4実施形態に係る組立型風車は、第1実施形態のロータ7の代わりに立体型のロータ72を用いている。この点以外は第4実施形態に係る組立型風車は第1実施形態に係る組立型風車1と同じであるため、同じ構成要素については同じ符号を付して用い、詳細な記述は省略する。
【0055】
図5は、第4実施形態に係るロータ72の構成を示す図である。図5において、(a)は縮小した状態のロータ72を示す立面図であり、(b)は使用状態におけるロータ72を示す立面図であり、(c)は(a)における断面I−Iから見た断面図である。
【0056】
ロータ72は、本発明における立体部材の一実施態様となっており、また、受風手段の一実施態様ともなっている。
ロータ72は、周知の提灯と同様の構造を有している。たとえば、漆塗和紙や油紙等の紙のような、形成が容易で形成した形を維持可能なある程度の強度を有する材料を用いて、内部が空洞の折りたたみ可能な立体部材を形成する。
ロータ72の形の維持と強度確保のために、ロータ72の骨格となる部材を折りたたみ可能に構成してもよい。骨格となる部材の材料には、たとえば、竹、アルミニウムやSUS等の金属を用いることができる。
【0057】
立体型のロータ72は、たとえば、接着剤や留め具を用いて伝動軸3を含む回転部材に装着されて固定される。これにより、ロータ72の回転と共に伝動軸3が回転することになる。
上述のような材料を用いて、ロータ72を蛇腹状に形成する。蛇腹状のロータ72の伸縮方向は、本実施形態においては、伝動軸3に直交する方向とする。したがって、図5(a)のような縮小した状態から、矢印方向にのばすことにより、ロータ72は図5(b)に示す使用状態となる。ロータ72を図5(a)に示す縮小状態に戻すことも可能である。
【0058】
立体に形成したロータ72には、ロータ72の内部の空洞への空気の流入または空洞からの外部への空気の流出のための開口11を設けておく。このため、開口11は少なくとも2つ存在する。2つの開口11,11は、ロータ72の回転に応じて、流入口として機能することもあれば流出口として機能することもある。以下では、流入口として機能する開口11を開口11a、流出口として機能する開口11を開口11bとして表わす。
【0059】
ロータ72の内部の空洞以外の部分が、受風部62となる。
また、開口11aから開口11bまでの空間が、ロータ72に流入した風が流れる流路PTHとなる。すなわち、開口11aと開口11bとは、流路PTHを介して互いに連通している。
【0060】
受風部62の流路PTH側の面のうち、風が当たる部分が受風面62aとなる。受風面62aは、図9(a),(b)を用いて述べたサボニウス型風車の原理に従ってロータ72を回転させるために複数存在する。
複数の受風面62aは、サボニウス型風車の原理に従うように、たとえば、各受風面62aにおいて受けた風を他の受風面62aに導くために伝動軸3を内側に取り囲むような湾曲した形状に形成する。
【0061】
ロータ72を滑らかに回転させるために、各受風部62と各受風面62aと各開口11の形状とは、断面I−Iに平行な断面において伝動軸3を中心として点対称であることが好ましい。
また、ロータ72の表面積および質量については、それぞれ伝動軸3の回転軸を中心として比率が均一であることが、ロータ72の回転を均一にさせるために好ましい。図5に示すロータ72は、これらの条件を満たしている。
ただし、伝動軸3の回転軸の延長上にロータ72の重心が存在しており、重心を中心にして表面積および質量のバランスがとれていれば、非対称な形状の立体型のロータであっても滑らかに回転する。
【0062】
流路PTHに効率的に風を導くためには、ロータ72の表面積ARと開口11ののべ面積AOとの比率は、たとえば、AR:AO=2:1〜4:1程度であることが好ましい。
【0063】
図5(c)に示すように開口11aから風WAがロータ72の内部に流入するとする。ロータ72内に流入した風WAは、流路PTHを流れて受風面62aに当たる。受62aは内側に伝動軸3が位置するように湾曲しているため、受風面62aに当たった風は風WCとなって受風面62aに沿って伝動軸3側に向かって流路PTH内を流れ、開口11b側の受風面62aに当たる。
開口11b側の受風面62aに当たった風はそのまま受風面52aに沿って開口11b側に向かって流路PTH内を流れ、開口11bから立体ロータ7の外部へ流出する。
【0064】
風WAの風圧による力(風圧力)をa、風WCの風圧力をcとする。また、ロータ72の回転時に抵抗となる風WBによる風圧力をbとする。
図9の説明においてサボニウス型風車の原理として述べたように、a+c>bとなるため、上記の風の流れが繰返されることにより、ロータ72は伝動軸3と共に矢印RD方向に回転する。
【0065】
以上のように、本実施形態においては、ロータ72が縮小可能な提灯状になっている。このため、前述の実施形態と同様に取扱い性、携行性およびメンテナンス性の向上と、コスト抑制という効果を得ることができる。
ロータ72は第3実施形態の傘を用いたロータ71と同様に伝動軸3に対して斜めの方向の風WWを容易に捉えることができる。さらに、ロータ72の内部に流入した風を全て回転のために利用することができる。このため、ロータ72の回転効率はロータ71よりも高くなる可能性が高い。
【0066】
変形形態
上記第4実施形態のように蛇腹の伸縮方向が伝動軸3に対して直交する方向であると、第1〜3実施形態のように受風面を3つ以上にした場合には受風部の容積が増えるため縮小することが困難になる。
以下では、第4実施形態の変形形態として、蛇腹の伸縮方向を変えることにより縮小可能としたロータについて述べる。
【0067】
図6は、本変形形態に係るロータ73の構成を示す図である。図6において、(a)は縮小した状態のロータ73を示す立面図であり、(b)は使用状態におけるロータ73を示す立面図であり、(c)は(a)における断面II−IIから見た断面図である。
ロータ73は、第4実施形態に係るロータ72と同様の蛇腹構造を有しており、形状および蛇腹の伸縮方向以外はロータ72と同じであるため詳細は省略する。
【0068】
ロータ73は、図6(a),(b)に示すように、伝動軸3に装着する状態において伝動軸3に沿った方向に伸縮可能な構造にする。
【0069】
ロータ73は、3つの開口111,111,111を有している。これら3つの開口をそれぞれ開口111a,111b,111cとする。
3つの開口111a,111b,111c以外のロータ73の内部の部分が受風部63になっていると考えることができる。受風部63は開口111a,111b,111cに対応して3つにわけて扱うことができる。したがって、受風部63の開口111a,111b,111cに対応した3つの受風面63a,63a,63aをそれぞれ受風面63a_1,63a_2,63a_3として扱う。
【0070】
また、開口111a,111b,111cがそれぞれ連通する流路を流路PTHNとする。流路PTHNについても開口毎に対応させて扱うことができる。開口111a,111b,111cに対応する流路PTHNをそれぞれ流路PTHN1,PTHN2,PTHN3とする。
【0071】
上記開口111のように、開口の数は2個だけでなく3個以上の数にすることができる。ある受風面に当たった風を他の受風面に集中的に導くために、開口の数は3以上の奇数が好ましい。受風面の数は、開口の数に対応した数になる。
【0072】
図6(c)に示すように開口111aから風WAがロータ73の内部に流入するとする。風WAは流路PTHN1を流れて受風面63a_1に当たる。受風面63a_1に当たった風は風WCとなって受風面63a_1に沿って伝動軸3側に向かって流れ、開口111b側の受風面63a_2に当たる。
受風面63a_2に当たった風はそのまま受風面63a_2に沿って開口111b側に向かって流路PTHN2内を流れ、開口111bからロータ73の外部へ流出する。
風WCによる風圧力がロータ73の回転時に生じる風WBによる抵抗力を一部相殺するため、サボニウス型風車の原理に基づいて、ロータ73が矢印RD方向に回転することになる。
【0073】
以上のように蛇腹の伸縮方向を伝動軸3に沿った方向とすれば、ロータ73を縮小したときにも受風部63の断面形状はほとんど変化しない。このため受風部の数を3つ以上に増やすことができる。したがって、3つ以上の開口を有するロータを蛇腹構造にして縮小することが可能になる。
【0074】
第5実施形態
受風部と一体となった立体型のロータは、蛇腹構造以外の他の手段によって実現することもできる。
以下では、風船を用いて立体型のロータを形成した形態について述べる。
【0075】
図7(a)は風船を用いたロータの一実施形態を示す立面図であり、図7(b)は風船を用いたロータの変形形態を示す立面図であり、図7(c)は図7(b)における断面III−IIIから見た断面図である。
【0076】
こられのロータの材料には、たとえば、紙やビニールやナイロンを用いることができる。
図7(a)に示すロータ74は、繭玉、あるいはピーナッツ状の風船を用いたロータである。
ロータ74は、空気出入口AINを介して空気を流出または流入させることにより、縮小または拡大が可能である。
【0077】
ロータ74として用いる風船は、前述のロータ72と同様に空洞の内部に受風部と受風面と流路とを有する形状に形成する。
また、ロータ74は、ロータ74の内部への風の流入、および内部からの風の流出のための複数の開口112も有する。図7(a)には1つの開口112しか図示していないが、ロータ74の中心に対して対称な位置に、もう1つの開口112が存在する。
ロータ74は、伝動軸3を含む回転部材に、たとえば接着されて装着される。伝動軸3と一体となったロータ74は、サボニウス型風車の原理に従って、矢印RD方向に回転する。
【0078】
第5実施形態の変形形態に係るロータ75は、図7(b)に示すように南瓜状の風船を用いたロータである。
ロータ75においては、たとえば、ヘタの部分を空気出入口AINとする。
ロータ75は、開口113aと開口113bの2つの開口113を有し、内部に受風部64と流路PTHを備える形状に形成する。
これらの開口113、受風部64および流路PTHを有するロータ75の回転時の動作は第4実施形態に係るロータ72と同じであるため記載は省略する。
【0079】
なお、ロータ74,75を、3つ以上の開口を有する形状にすることも可能である。
ロータ74,75は、滑らかに回転させるために、伝動軸3の回転軸の延長上に重心が存在し、重心を中心にして表面積および質量のバランスがとれるような形状にすることが好ましい。
【0080】
以上のように、第5実施形態においては風船を用いて立体型のロータを形成しているため、ロータの形状の自由度が上がる。また、ロータの製造が容易で非常に安価にロータを提供することができる。
【0081】
第6実施形態
以下では、得られるエネルギーの増大化を図るために、上記第1〜第4実施形態に係る風車のロータを複数個用いた風車について述べる。
【0082】
風は、低い位置においては弱く、高い位置ほど強く吹く傾向がある。本実施形態に係る風車は、このような風の特性を最大限に活用するためのものである。
図8は、本実施形態に係る風車の構成を示した立面図である。
図8に示すように、本実施形態にかかる連結型風車300は、複数のロータ70_1,70_2,70_3,70_4と、連通軸40と、複数の増速機16_1,16_2,16_3と、支柱14とを有する。
本実施形態においては、図8に示すように4個のロータと3個の増速機を用いた例を挙げているが、ロータおよび増速機の数は、大きさや質量などの点から物理的な限界に達するまで適宜増やすことができる。
【0083】
複数のロータ70_1〜70_4には複数の伝動軸31,32,33,34がそれぞれ接続され、ロータ70_1〜70_4と一体となっている。
各伝動軸31〜34および各増速機16_1〜16_3はそれぞれ内周側に連通軸40を収容可能な中空構造を有している。
なお、伝動軸31〜34に一体となったロータ70_1〜70_4と、増速機16_1〜16_3と、連通軸40と、支柱14とは、これらを自在に組立・分解できる構造にしておく。
【0084】
支柱14は、たとえば、地面等の設置場所に立設される。
支柱14から延長するように連通軸40が支柱14に分解可能に接続されて固定される。
図6に示すように、低い位置から高い位置に向かって順に、ロータ70_4、増速機16_3、ロータ70_3、増速機16_2、ロータ70_2、増速機16_1、ロータ70_1が、内周側に連通軸40を連通させ連通軸40に沿って分解可能に連結配置される。
増速機16_1〜16_3に関しては、下側の増速機ほど負荷が大きくなるように設定する。
【0085】
各増速機16_1〜16_3は連通軸40に分解可能に固定される。
伝動軸31が増速機16_1の入力軸となり、伝動軸32が増速機16_1の出力軸かつ増速機16_2の入力軸となる。また、伝動軸33が増速機16_2の出力軸かつ増速機16_3の入力軸となる。そして、伝動軸34が増速機16_3の出力軸となる。
また、図示はしないが、伝動軸34には前述の実施形態において用いたような発電機がさらに連結しているものとする。
【0086】
各伝動軸31〜34とそれぞれ一体化した各ロータ70_1〜70_4は、連通軸40を中心として自在に回転可能である。ただし、連通軸40は回転しない。
ロータ70_1〜70_4としては、第1〜第4実施形態に係るロータを適宜組み合わせて用いることができる。第5実施形態のような風船を用いたロータは連通軸40に連通させることが困難であるため、あまり適切ではない。
下側のロータのブレードほど受風面の面積を大きくして質量を大きくすることが、回転により得られるエネルギーを蓄えておく観点から好ましい。
【0087】
図8に示す矢印WD方向の風向きの風が吹く場合を考える。
風を受けた各ロータ70_1〜70_4はそれぞれ所定方向に回転する。このとき、伝動軸31の回転は増速機16_1により伝動軸32の回転に利用される。伝動軸32の回転は増速機16_2により伝動軸33の回転に利用される。伝動軸33の回転は増速機16_3により伝動軸34の回転に利用される。
伝動軸34の回転を利用して、図示しない発電機により発電が行なわれる。
【0088】
高い位置ほど風は強く吹く傾向にあり、また、最も上方の増速機16_1の負荷が最も小さいため、最も上方のロータ70_1が最初に回転を始める傾向にある。
上述のように、ロータ70_1の回転は、伝動軸31〜34および増速機16_1〜16_3を介して最も下方のロータ70_4まで伝達される。
したがって、たとえば、上方側のロータのみが回転を開始できる程度の風の状態であったとしても、下方側のロータも回転させることができる。
下側のロータほど受風面の面積を大きくして質量を大きくしておけば、回転により得られたエネルギーをより多く蓄えておくことができる。
【0089】
以上のように、本実施形態に係る連結型風車300によれば、連通軸40に沿ってロータを複数設けることにより、風力が小さくとも各ロータを回転させることができるようにしている。このため、連結型風車300から得られる電力等のエネルギーを増加させることができる。連結型風車300の各ロータは上記実施形態1〜4のように回転効率が従来よりも向上しているため、従来よりも効率的にエネルギーを得ることができる。
また、各ロータ70_1〜70_4および各増速機16_1〜16_3を上下方向に沿って連結するだけで風を有効利用することができる。このため、連結型風車300の製造や設置のコスト上昇を抑制し、安価に提供することができる。さらに、各ロータ70_1〜70_4および各増速機16_1〜16_3は容易に組立・分解が可能である。各ロータ70_1〜70_4もさらに縮小が可能である。このため、本実施形態のようなエネルギー発生効率を上昇させた連結型風車300を様々な場所に搬送して組み立てて、容易に利用することが可能になる。
【0090】
なお、上記の実施形態1〜6および図面に記載の内容は本発明を説明するための例であり、材料や形状、数値等の条件は、特許請求の範囲内において適宜変更可能である。
【0091】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、取扱いが容易になり携行性を向上させることも可能な、サボニウス型風車の原理を用いた組立型風車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は第1実施形態に係る組立型風車の概略構成を示す立面図を、(b)は平面図を、(c)は(a)に示す組立型風車の一つの受風部を拡大して示した立面図をそれぞれ表わしている。
【図2】(a)は図1(c)と同様の受風部の立面図であり、(b)は組立てた状態の受風部の斜視図であり、(c)は受風部を分解した状態を示す斜視図である。
【図3】(a)は第2実施形態に係る複数の受風部の接続関係を示す平面図であり、(b)は1つの受風部の立面図である。
【図4】(a)は第3実施形態に係る組立型風車の概略構成を示す立面図を、(b)は平面図を、(c)は(a)に示す組立型風車の一つの受風部の構成を示す模式図をそれぞれ表わしている。
【図5】(a)は第4実施形態に係るロータを縮小させた状態を示す立面図であり、(b)は(a)に示すロータを拡大させた状態を示す立面図であり、(c)は(a)における断面I−Iから見た断面図である。
【図6】(a)は第4実施形態の変形形態に係るロータを縮小させた状態を示す立面図であり、(b)は(a)に示すロータを拡大させた状態を示す立面図であり、(c)は(a)における断面II−IIから見た断面図である。
【図7】(a)は第5実施形態に係るロータの一実施形態を示す立面図であり、(b)は第5実施形態に係るロータの変形形態を示す立面図であり、(c)は(b)における断面III−IIIから見た断面図である。
【図8】第6実施形態に係る連結型風車の構成を示した立面図である。
【図9】(a)はサボニウス型風車の原理を述べるための従来のサボニウス型風車の構成を示す斜視図であり、(b)は(a)に示すサボニウス型風車における風の流れを示すための図である。
【符号の説明】
1,100…組立型風車
3…伝動軸
5,60,61,62,63,64…受風部
5a,60a,61a,62a,63a,64a…受風面
5a_A…第1の領域
5a_B…第2の領域
6…受風布
7,70,71,72,73,74,75,70_1〜70_4…ロータ(受風手段)
8…接続部材
10…回転部材
300…連結型風車
Ct…装着部
Claims (5)
- 回転軸まわりに回転する回転部材と、
前記回転部材に連結され、複数の受風部を備え当該複数の受風部の各受風部において受けた風を他の前記受風部に導く受風手段と、
前記回転部材に装着される立体部材と、を有し、
前記立体部材の内部に、当該立体部材と一体にして前記複数の受風部を設け、
前記受風手段を縮小することができる
組立型風車。 - 回転軸まわりに回転する回転部材と、
前記回転部材に連結され、複数の受風部を備え当該複数の受風部の各受風部において受けた風を他の前記受風部に導く受風手段と、
を有し、
前記受風手段を縮小することができ、
複数の前記受風部が各々独立し、
受風面において風を受け、
前記受風面のうち前記回転部材への装着部側の第1の領域の面積が前記装着部から離れた第2の領域の面積よりも小さく、
前記装着部と前記第1の領域と前記第2の領域とを通る線に沿って折りたたみ可能な
前記受風部を有する
組立型風車。 - 前記受風面が、前記装着部から放射状にのびる筋状の凹凸部を有する扇状をしており、前記凹凸部を折りたたんで前記受風部を縮小することができる
請求項2に記載の組立型風車。 - 前記立体部材が蛇腹状である
請求項1に記載の組立型風車。 - 前記受風部が一体となった前記立体部材に風船を用いる
請求項1に記載の組立型風車。
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