JP4485978B2 - 乾燥装置、溶液製膜方法及び設備 - Google Patents

乾燥装置、溶液製膜方法及び設備 Download PDF

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Description

本発明は、乾燥装置、溶液製膜方法及び設備に関するものであり、特に、ハロゲン化銀写真感光材料や液晶表示装置などの光学用途に用いられるポリマーフイルムを製造する溶液製膜方法及び設備、並びに乾燥装置に関するものである。
液晶表示装置は、低電圧・低消費電力であり、また、小型化・薄型化が可能であるなどの利点から、パーソナルコンピュータや携帯機器のモニターおよびテレビ用途などに幅広く利用されている。一般に液晶表示装置は、液晶セルと光学補償シートと偏光子とから構成されており、このような光学材料の技術分野では、偏光板の保護,画像着色の解消および視野角の拡大などの用途に応じて、様々なポリマーフイルムが用いられている。
ポリマーフイルムの代表例としてセルロースアシレートフイルムがある。セルロースアシレートフイルムは、大きな複屈折率や高いレターデーション値を発現し、また偏光板の保護膜になることができるなどの利点を有することから、安価で薄型な液晶表示装置の提供が可能なポリマーフイルムとして幅広く利用されている。セルロースアシレートフイルムの液晶表示装置における具体的な用途としては、偏光板の保護フイルムやカラーフィルタやパソコン用液晶表示装置の保護膜などが例示でき、特に、液晶用表示装置の保護膜としての用途は、近年著しく増大している。また、単なる保護膜でなく、視野角の拡大を可能としたフイルム(例えば、富士写真フイルム株式会社製WVフイルム)や液晶テレビの反射防止膜(例えば、富士写真フイルム製CVフイルム)などのように、機能を付与して利用するセルロースアシレートフイルムも増大している。さらには、セルロースアシレートフイルムに適度な光学特性を付与することで、偏光板保護膜と兼用したVA型(Vertical Alignment)またはIPS型(In Plane Switching)液晶表示装置の位相差フイルムおよび光学補償フイルムとしても用いられている。
セルロースアシレートフイルムを代表とするポリマーフイルムの製造方法としては、ポリマーを加熱して溶融状にしたものを用いてフイルムを製造する溶融製膜方法や、セルロースアシレートなどのポリマーと添加剤と微粒子と溶媒とを含むドープを用いてフイルムを製造する溶液製膜方法が知られている。一般的には、平面性や光学特性に優れたフイルムを製造することができることから、ポリマーフイルムの製造方法としては、溶液製膜方法が行なわれている。
溶液製膜方法とは、一般に、フイルムの原料となるセルロースアシレートなどのポリマーと添加剤と微粒子と溶媒とを混合した溶液(以下、原料ドープと称する)を、濾過装置を用いて濾過して流延ドープ(濾過後の原料ドープ)を調製し、これを支持体上に流延して流延膜を形成させる流延手段と、流延膜が自己支持性を有するものとなった後、これを支持体より溶媒を含むフイルムとして剥ぎ取り、複数のローラを用いて支持しながら搬送する間にフイルムに含有する溶媒を揮発させて乾燥させる乾燥手段を有する。
溶液製膜方法は光学特性に優れたポリマーフイルムの製造が可能である。しかし、上記のように、流延手段,乾燥手段など、複数の手段を有しているため、多くの製造時間を要することから、結果として生産性の低下という問題が生じる。これを受け、製膜速度を大きくして、製造時間の短縮を図る方法が考えられる。製膜速度を大きくした場合、製造時間の短縮は望めるが、一方で、フイルムにしわやつれなどの欠陥が生じてしまい、結果として、平面性が低下するおそれがある。これもまた、多くの製造時間を要する原因となるとともに、生産性の低下という問題を引き起こす。
また、溶液製膜方法において前記乾燥手段では、フイルムに含有する溶媒を揮発させるため、高温で乾燥する。しかし、前記乾燥手段においては、搬送方向に沿ってフイルムに連続的なシワ(以後、トタン板状変形と称する)が発生する。前記乾燥手段において発生するこのトタン板状変形は、巻き取られたフイルム製品中にも平面性欠陥として残存してしまうため、フイルム製品の平面性が低下するという問題が生じる。
上記の問題を解決するために、溶液製膜方法の製造時間を短縮する方法としては、前記流延手段において、できるだけ短時間で流延膜を形成させることを目的としてドープにブタノールなどの高沸点溶剤を添加する方法(例えば、特許文献1参照)や、乾燥手段での時間の短縮を目的として乾燥手段における乾燥温度を高くする方法や、フイルムの搬送速度向上による製造時間の短縮を目的として前記乾燥手段を用いる際に、フイルムに対して搬送方向に作用する張力を大きくする方法が例示される。また、フイルムの平面性を向上させる方法としては、乾燥手段を用いる際にフイルムの幅方向に力を付与して延伸させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
米国特許第2739069号明細書 特開平4−152125号明細書
製造時間を短縮する方法として提案されているいずれの方法も、製造時間を短縮することができる。しかし、乾燥温度の高温化や搬送張力の増大に伴い、製造するフイルム製品にトタン板状変形が発生して平面性が低下するという課題が残った。また、フイルムの平面性を向上させる方法として提案されている前記の方法では、フイルムの幅方向に力を付与して延伸させる装置(幅方向延伸機)の導入が必要となるため、結果として設備コストの増加を引き起こしてしまうという課題が残った。
したがって、光学特性や平面性などのポリマーフイルムの品質を低下させずにフイルムを製造すること、また製造時間の短縮、かつ生産性の向上を実現できる溶液製膜方法の確立が望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、乾燥手段において発生するトタン板状変形を低減させて光学特性や平面性に優れたフイルム製品を製造することができ、かつフイルム製品の歩留まりを高くして生産性を向上させることができる溶液製膜方法及び設備、並びに乾燥装置を提供しようとするものである。
本発明は、走行する支持体上にポリマー及び溶媒を含むドープからなる流延膜を形成する膜形成工程と、前記流延膜を前記支持体から剥ぎ取ってフイルムとする剥取工程と、複数の支持ローラにより搬送される前記フイルムから溶媒を蒸発させる乾燥工程とを有する溶液製膜方法において、第1支持ローラから前記フイルムが離れる位置と前記第1支持ローラと隣り合う下流側の第2支持ローラに前記フイルムが接触する位置との間のフイルム搬送長さLを上流側から順にL1,L2,L3とするときに、下記の式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。
(1)|L1−L2|/L1≧0.2
(2)|L2−L3|/L2≧0.2
下記式(3)を満たすことが好ましい。
(3)L1≠L3
また、前記フイルム搬送長さLが0.1〔cm〕≦L≦20〔cm〕の範囲であることが好ましい。
前記乾燥工程では、第1温度t1の前記フイルムから前記溶媒を蒸発させる第1乾燥工程と、前記第1温度t1より低い第2温度t2の前記フイルムから前記溶媒を蒸発させる第2乾燥工程とが順次行われることが好ましい。また、前記第1温度t1は120℃以上160℃以下であり、前記第2温度t2は80℃以上110℃以下であり、前記支持ローラに巻き掛けられる前記フイルムの巻き掛け長さをRとしたときに、L/Rが0.01≦(L/R)≦0.5とすることが好ましい。
前記乾燥工程における前記フイルムの搬送方向に対する張力が、50N以上500N以下であることが好ましい。
本発明は、複数の支持ローラにより搬送されるフイルムから溶媒を蒸発させる乾燥装置において、第1支持ローラから前記フイルムが離れる位置と前記第1支持ローラと隣り合う下流側の第2支持ローラに前記フイルムが接触する位置との間のフイルム搬送長さLを上流側から順にL1,L2,L3とするときに、前記支持ローラが下記の式(1)及び(2)を満たすように配されることを特徴とする。
(1)|L1−L2|/L1≧0.2
(2)|L2−L3|/L2≧0.2
下記式(3)を満たすように配されることが好ましい。
(3)L1≠L3
前記フイルム搬送長さLが0.1〔cm〕≦L≦20〔cm〕であることが好ましい。
第1温度t1の前記フイルムから前記溶媒を蒸発させる第1乾燥室と、第2温度t2の前記フイルムから前記溶媒を蒸発させる第2乾燥室とが上流側から順に設けられ、前記第2温度t2が前記第1温度t1よりも低くなるように調節する温度調節部を有することが好ましい。前記第1温度t1は120℃以上160℃以下であり、前記第2温度t2は80℃以上110℃以下であり、前記支持ローラに巻き掛けられる前記フイルムの巻き掛け長さをRとしたときに、L/Rが0.01≦(L/R)≦0.5とすることが好ましい。
前記フイルムの搬送張力が、50N以上500N以下であることが好ましい。
本発明の溶液製膜設備は、走行する支持体にポリマー及び溶媒を含むドープを流して、前記支持体上に流延膜を形成する膜形成装置と、前記流延膜を前記支持体から剥ぎ取って前記フイルムとする剥取ロールと、上記の乾燥装置とを備えることを特徴とする。
本発明により、ポリマーフイルムのトタン板状変形を低減し、光学特性や平面性に優れたフイルム製品を製造することができる。また、本発明により得られるポリマーフイルムは、液晶表示装置などに好ましく用いることができる。
本発明に用いられるポリマーは特に限定されるものではないが、セルロースアシレートを用いることが好ましく、特に酢化度が59.0%以上62.5%以下であることが好ましい。セルロースアシレートの酢化度は、ASTM D−817−91(セルロースアセテートなどの試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算にしたがうものとする。このようなセルロースアシレートを用いてフイルムを製造する場合には、光学特性や平面性に優れたセルロースアシレートフイルムを得ることができる。
セルロースアシレートは、セルロースの水酸基の水素に対するアシル基の置換度が下記の式(A)〜(C)の全てを満足するセルロースアシレートを用いることが好ましい。
(A):2.5≦X+Y≦3.0
(B):0≦X≦3.0
(C):0≦Y≦2.9
ただし、式中のXおよびYは、セルロースの水酸基中の水素がアシル基に置換されている割合を表わしており、Xはアセチル基の置換度、Yは炭素原子数が3以上22以下のアシル基の置換度である。なお、0.1mm以上4mm以下の粒子の割合が、全重量に対して90重量%以上であるセルロースアシレートを用いることが好ましい。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位,3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部が炭素数2以上のアシル基でエステル化された重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位,3位および6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化の場合、置換度1とする)を意味する。
全アシル基置換度、すなわち、DS2+DS3+DS6の値が、2.00以上3.00以下が好ましく、より好ましくは、2.22以上2.90以下であり、特に好ましくは、2.40以上2.82以下である。また、D6S/(DS2+DS3+DS6)の値が、0.32以上0.340以下が好ましく、より好ましくは、0.322以上0.340以下であり、特に好ましくは、0.324以上0.340以下である。ここで、DS2は、グルコース単位において、2位の水酸基の水素がアシル基により置換されている割合(以下、2位のアシル基置換度という)であり、DS3は、グルコース単位において、3位の水酸基の水素がアシル基により置換されている割合(以下、3位のアシル置換度という)であり、DS6は、グルコース単位において、6位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合である(以下、6位のアシル置換度という)。
セルロースアシレートが有するアシル基は1種類だけでもよく、あるいは2種類以上のアシル基が含まれていてもよい。アシル基が2種類以上のときには、その一つがアセチル基であることが好ましい。2位,3位および6位の水酸基がアセチル基により置換されている度合いの総和をDSAとし、2位,3位および6位の水酸基がアセチル基以外のアシル基により置換されている度合いの総和をDSBとすると、DSA+DSBの値が、2.2以上2.86以下が好ましく、特に好ましくは、2.40以上2.80以下である。また、DSBは、1.50以上であることが好ましく、特に好ましくは、1.7以上である。さらにDSBは、その28%以上が6位の水酸基が置換されたものであるが、30%以上が6位の水酸基が置換されたものであることが好ましく、より好ましくは31%以上であり、特に好ましくは、32%以上である。また、セルロースアシレートの6位におけるDSA+DSBの値が、0.75以上であることが好ましく、さらに好ましくは、0.80以上であり、特に好ましくは、0.85以上である。これらのセルロースアシレートを用いることにより、優れた溶解性の溶液(ドープ)を調製することができる。
本発明におけるセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定はされない。例えば、セルロースのアルキルカルボニルエステル,アルケニルカルボニルエステル,芳香族カルボニルエステル,芳香族アルキルカルボニルエステルなどが例示され、それぞれ、さらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、プロピオニル基,ブタノイル基,ケプタノイル基,ヘキサノイル基,オクタノイル基,デカノイル基,ドデカノイル基,トリデカノイル基,テトラデカノイル基,ヘキサデカノイル基,オクタデカノイル基,iso−ブタノイル基,t−ブタノイル基,シクロヘキサンカルボニル基,オレオイル基,ベンゾイル基,ナフチルカルボニル基,シンナモイル基などが例示される。これらの中でも、プロピオニル基,ブタノイル基,ドデカノイル基,オクタデカノイル基,t−ブタノイル基,オレオイル基,ベンゾイル基,ナフチルカルボニル基,シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくは、プロピオニル基,ブタノイル基である。
ドープを調製する溶媒としては、芳香族炭化水素(例えばベンゼン,トルエンなど),ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロホルム,クロロベンゼンなど),アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど),ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど),エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)およびエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが例示される。
上記のハロゲン化炭化水素においては、炭素原子数が1以上7以下のものが好ましく、ジクロロメタンがもっとも好ましく用いられる。セルロースアシレートの溶解性,支持体からの剥ぎ取り性,フイルムの機械強度,光学特性などの物性の観点から、ジクロロメタンの他に、炭素原子数が1以上5以下のアルコールを1種類、あるいは数種類混合することが好ましい。アルコールの含有率は、溶媒全体に対して、2重量%以上25重量%以下が好ましく、より好ましくは、5重量%以上20重量%以下である。アルコールの例としては、メタノール, エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノールなどが挙げられるが、メタノール,エタノール,n−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
最近、環境に対する影響を最小限に抑えるため、ジクロロメタンを用いない溶媒組成も提案されている。この場合、炭素原子数が4以上12以下のエーテル,炭素原子数が3以上12以下のケトン,炭素原子数が3以上12以下のエステルが好ましく、これらを適宜混合して用いる。これらのエーテル,ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。また、エーテル,ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−,−CO−およびCOO−)のいずれか2つ以上を有する化合物も有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合においては、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
なお、セルロースアシレートの詳細は、特願2004−264464号の[0140]段落から[0195]段落に記載されている。これらの記載は、本発明に適用することができる。また、溶媒および可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤(UV剤),光学異方性コントロール剤,レターデーション制御剤,染料,マット剤,剥離剤,剥離促進剤などの添加剤についても、同じく特願2004−264464号の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されている。これらの記載は、本発明に適用することができる。
本発明により製造されたポリマーフイルム、特にセルロースアシレートフイルムは、その優れた光学特性および平面性から、偏光板または液晶表示用部材などに用いられるが、これらの劣化防止を目的として、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤としては、オキシベンゾフェノン系化合物,ベンゾトリアゾール系化合物,サリチル酸エステル系化合物,ベンゾフェノン系化合物,シアノアクリレート系化合物,ニッケル錯塩系化合物などが例示される。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としての例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されない。2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2' −ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N' −ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。特に、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を用いることが好ましい。また、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジンなどのヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトなどの燐系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースアシレートに対して質量割合で、1ppm以上2ppm以下が好ましく、より好ましくは、10ppm以上5000ppm以下である。
また、特開平6−148430号公報および特開平7−11056号公報に記載されている紫外線吸収剤も好ましく用いることができる。上記記載の紫外線吸収剤のなかにおいて、本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れており、また、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である。紫外線吸収剤の使用量は、化合物の種類, 使用条件などにより一様ではないが、通常はセルロースアシレートフイルム1m2 当りに対して、0.2g以上5.0g以下が好ましく、より好ましくは、0.4g以上1.5g以下であり、特に好ましくは、0.6g以上1.0g以下である。
用いることができるその他の添加剤としては、旭電化プラスチック用添加剤概要「アデカスタブ」のカタログにある光安定剤が例示されるが、チバ・スペシャル・ケミカルズのチヌビン製品案内にある光安定剤および紫外線吸収剤も用いることができる。また、SHIPRO KASEI KAISHAのカタログにあるSEESORB,SEENOX,SEETECや城北化学工業のUV吸収剤および酸化防止剤や共同薬品のVIOSORB、吉富製薬の紫外線吸収剤も好ましく用いることができる。
なお、紫外領域の分光透過率に関しては、特開2003−043259号公報の記載にしたがうものとする。すなわち、色再現性に優れ、かつ紫外線照射の耐久性にも優れた光学フイルム,偏光板および表示装置を得るため、390nmにおける分光透過率が、50%以上95%以下であり、かつ350nmにおける分光透過率が5%以下である。
ドープを調製する際の温度は、0℃以上150℃以下であることが好ましく、より好ましくは、0℃以上100℃以下であり、さらには、0℃以上90℃以下であることが好ましいが、特に好ましくは、20℃以上90℃以下である。また、本ドープを調整する際には、塩基を用いないことが好ましいが、塩基を用いる場合には、有機塩基,無機塩基のどちらを用いてもよい。ただし、有機塩基を用いることがより好ましく、ピリジン,3 級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン,エチルジイソプルピルアミン)などが例示される。
本発明のセルロースアシレートフイルムの光学特性は、下記の式(D)および(E)で表されるReレターデーション値,Rthレターデーション値が、それぞれ、下記の式(F)および(G)を満たすことが好ましい。
(D):Re(λ)=(nx−ny)×d
(E):Rth(λ)={(nx+ny)/2−nz}×d
(F):46nm≦Re(630)≦200nm
(G):70nm≦Rth(630)≦350nm
ただし、式(D)中のRe(λ)は、波長λnmにおける面内レターデーション値(単位:nm)であり、式(E)中のRth(λ)は、波長λnmにおける厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。また、nxは、フイルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは、フイルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは、フイルムの厚み方向の屈折率であり、dはフイルムの厚さである。
さらには、下記の式(H)および(I)を満たすことが好ましい。
(H):46nm≦Re(630)≦100nm
(I):180nm≦Rth(630)≦350nm
湿度変化や高温経時による質量変化や寸法変化に伴い、ReおよびRthの光学特性値は変化する。しかし、ReおよびRthの値の変化は少ないほど好ましい。湿度による光学特性値の変化を少なくするためには、6位アシル置換度の大きなセルロースアシレートや疎水性の各種添加剤(可塑剤,レターデーション発現剤,紫外線吸収剤など)を用いて、フイルムの透湿度や平衡含水率を小さくする。透湿度は、60℃,95%RH24時間で1平方メートル当たり400g以上2300g以下であることが好ましく、平衡含水率は、25℃,80%RHにおける測定値が3.4%以下であることが好ましい。また、25℃における湿度を10%RHから80%RHに変化させたときの光学特性の変化量が、Re値で12nm以下,Rth値で32nm以下であることが好ましい。疎水性添加剤の量は、セルロースアシレートに対して10%以上30%以下であることが好ましく、より好ましくは、12%以上25%以下であり、特に好ましくは、14.5%以上20.0%以下である。さらに、添加剤が揮発性や分解性を有する場合、フイルムの質量変化や寸法変化が発生して、光学特性に変化が生じる。したがって、質量変化量は、80℃,90%RHで48時間経時後において、5%以下であることが好ましく、寸法変化量は、60℃,95%RHで24時間経時後において、5%以下であることが好ましい。また、寸法変化や質量変化が少々あっても、フイルムの光弾性係数が小さいと光学特性の変化量は少なくなる。したがって、フイルムの光弾性係数が、50×10-13 cm2 /dyne以下であることが好ましい。
セルロースアシレートフイルムを製造する際に原料として用いるポリマー溶液の製造方法について説明する。なお、ポリマー溶液の製造方法は本様態に限定されるものではない。ジクロロメタンを主溶媒とし、これにアルコール類を混合した混合溶媒の一部に、セルロースアシレートおよび可塑剤(例えば、トリフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェートなど)を添加し攪拌溶解して第1添加剤液を調製する。このとき、加温あるいは冷却することで溶解性を向上することができる。次に、前記混合溶媒の一部と紫外線吸収剤(例えば、ベンゾトリアゾール系化合物が好ましい)とを混合し、溶解させて第2添加剤液を調製する。さらに、前記混合溶媒の一部とマット剤(例えば、シリカ粒子など)とを混合し、分散させて第3添加剤液を調製する。さらに、目的に応じて劣化防止剤,光学異方性コントロール剤,染料および剥離剤をそれぞれ含む添加液を調製してもよい。
前記第1添加剤液と第2添加剤液と第3添加剤液とを混合し攪拌した後、これを、不純物を取り除くことを目的として濾過装置により濾過する。濾過した後に得られた溶液を支持体の上に流延するポリマー溶液として、フイルムを製造する際に用いる。この場合、濾過装置により1回以上濾過することが好ましい。濾過装置には、平均孔径が100μm以下の濾過フィルタを用いることが好ましい。濾過流量は、50L/時以上で濾過することが好ましい。また、第1〜第3添加剤液およびポリマー溶液は、泡抜きすることが好ましい。泡抜きの方法は公知のいずれの方法を適用することができる。
図1に、本発明を実施したフイルム製造設備10を示す。ストックタンク11には第1添加剤液12、ストックタンク13には第2添加剤液14、ストックタンク15には第3添加剤液16が、貯蔵されている。また、ストックタンク11,13,15には、上記の各添加剤液12,14,16を送液するための送液ポンプ17,18,19が取り付けられている。
第1添加剤液12と第2添加剤液14とをあらかじめ混合し、スタティックミキサ20を用いて攪拌して均一な溶液を調製後、この溶液を第3添加剤液16にオンラインで混合して、スタティックミキサ21を用いて攪拌して均一な混合溶液を調製する。前記混合溶液を濾過装置22により濾過したポリマー溶液を、流延ダイ30に送液する。
流延ダイ30の下方には、バックアップローラ31,32により支持された流延バンド33が設けられている。流延バンド33は、駆動装置(図示しない)によりバックアップロール31,32が回転することで、無端で走行する。流延バンド33の移動速度、すなわち流延速度は10m/分以上200m/分以下であることが好ましい。また、流延バンド33の周面温度を所定の値とするために、バックアップロール31,32には伝熱媒体循環装置が備えられており、その中に所定の温度に保持されている伝熱媒体を通過させることにより、バックアップロール31,32の温度を所定の温度に保持して、流延バンド33の周面温度を所定の温度に調整する。なお、流延バンド33の周面温度は、−20℃以上40℃以下であることが好ましい。
流延ダイ30,流延バンド33などは流延室35に収められている。流延室35には、流延室35の内部の温度を所定の値に保つために温調コントローラ36が取り付けられている。流延室35の内部の温度は、−10℃以上57℃以下であることが好ましい。また、流延室35には、揮発している溶媒を凝縮回収するための凝縮装置37が設けられている。凝縮した溶媒は、回収機38によって回収された後、再生されてポリマー溶液調製用溶媒として再利用される。
流延ダイ30から、ポリマー溶液を流延バンド33の上に流延して流延膜39を形成する。このときのポリマー溶液の温度は、−10℃以上57℃以下であることが好ましい。また、流延膜39は、流延バンド33の走行とともに移動する。このとき、流延膜39に含まれる溶媒を揮発させることを目的として、流延室35の内部に送風機41〜43を設けて乾燥風を送風することが好ましい。送風機41〜43の取り付け位置は、流延バンド33の上部上流側,下流側,流延バンド33の下部に設けられている形態を図示しているが、これに限定されるものではない。また、形成直後の流延膜39に乾燥風が吹き付けられることによって流延膜39に生じる面状変動を抑制するため、遮風装置44が設けられていることが好ましい。なお、図1では支持体として流延バンド33を用いている形態を示しているが、この流延バンド33に替えて流延ドラムを用いることもできる。この場合には、流延ドラムの周面温度は−20℃以上40℃以下であることが好ましい。また、流延バンド33は主に金属製であり、ステンレス製のものが一般的に用いられるが、その材質は特に限定されない。
流延膜39が自己支持性を有するものとなった後、流延膜39をフイルム(以下、湿潤フイルムと称する)46として、剥取ロール45により支持しながら流延バンド33から剥ぎ取る。次に、湿潤フイルム46を、複数のローラが設けられている渡り部50に送り込んでから、さらにテンタ60に送り込む。渡り部50では、送風機51から所望の温度の乾燥風を送風させることで湿潤フイルム46の乾燥を進行させる。乾燥風の温度は、20℃以上250℃以下であることが好ましい。テンタ60の内部において湿潤フイルム46は、その両側端部がクリップで把持され、複数のローラによって支持さて搬送される間に乾燥される。このとき、クリップを用いて湿潤フイルム46の両側端部を把持することにより、湿潤フイルム46の表面に生じるしわやつれなどの欠陥の発生を抑制する効果がある。
テンタ60の内部において、湿潤フイルム46は所定の溶媒の含有率になるまで乾燥された後、フイルム61として送り出される。フイルム61は、耳切装置62により、その両側端部が切断される。切断された両側端部は、カッターブロワ(図示しない)によってクラッシャ63に送られて、粉砕されることでチップになる。このチップをドープ調製に再利用すると、低コスト化の効果がある。フイルム61の両側端部を切断する工程は、省略することもできるが、前記流延手段からフイルム61を巻き取るまでの間のいずれかで実施することが好ましい。
フイルム61は、複数のローラ64と1基以上の駆動ローラ65とが備えられている乾燥室66に送られる。乾燥室66の内部の温度は、50℃以上200℃以下であることが好ましい。乾燥室66には、送風機67と接続している給気口66aが設けられており、送風機67からの送風により、乾燥室66の内部の温度は調整されている。乾燥室66において、フイルム61は複数のローラ64に支持されながら搬送される間に、有機溶媒がさらに揮発して乾燥する。このとき、フイルム61は、50N以上500N以下の張力がフイルム61の長手方向に対して付与されるように搬送されることが好ましい。前記張力を用いると、フイルム61の表面におけるしわやつれなどの欠陥の発生を抑制しながら搬送することができる。また、この張力は、フイルム61の両面側に千鳥に配された前記ローラ64の間隔を調節することにより、フイルム61に付与される。乾燥室66には、揮発した溶媒を回収するために、回収装置68が取り付けられている。なお、乾燥室66は、乾燥温度が異なる複数の区画を有することがより好ましい。このときの各区画の温度は、20℃以上80℃以下であることが好ましい。耳切装置62と乾燥室66との間に予備乾燥室(図示しない)を設けてフイルム61の予備乾燥を実施することが好ましい。予備乾燥室を設けた場合には、フイルム61の温度の急激な上昇によるフイルム61の形状変化を抑制することができる。
フイルム61は、冷却室69に搬送され室温まで冷却される。なお、乾燥室66と冷却室69との間には調湿室(図示しない)を設けてもよい。調湿室においてフイルム61に所望の湿度および温度に調整された空気を吹き付けることにより、フイルム61を巻き取る際の巻き取り不良の発生を抑制することができる。また、冷却室69の出口におけるフイルム61の溶媒の含有率が、0.1wt%以上5wt%以下であることが好ましい。
フイルム61が搬送されている間の帯電圧が、所定の範囲(例えば、−3kV以上+3kV以下)となるように、強制除電装置(除電バー)80を設けることが好ましい。図1では、冷却室69の下流側に設けられている例を図示しているが、その位置に限定されるものではない。さらに、ナーリング付与ローラ81を設けて、フイルム61の両側端部に対してエンボス加工によりナーリングを付与することが好ましい。なお、ナーリングされた箇所の凹凸は1μm以上200μm以下であることが好ましい。
フイルム61を巻取室82の内部の巻取ロール83に巻き取る。この際、フイルム61に対してプレスローラ84を用いて、所定の値の張力を付与しながら巻き取ることが好ましい。なお、前記張力は、巻取開始時から終了時までの間において時間の経過とともに徐々に変化させることがより好ましい。巻き取られるフイルム61は、長さが長手方向(流延方向)に少なくとも100m以上とすることが好ましく、幅は600mm以上であることがより好ましく、1400mm以上1800mm以下であることが特に好ましい。また、本発明は、フイルム61の厚みが、35μm以上110μm以下のときにおいてもっとも効果がある。
図2に溶液製膜方法における乾燥手段の概略図を示す。本実施形態における乾燥手段は、テンタ60により湿潤フイルム46を乾燥するテンタ手段と乾燥室66により乾燥する後乾手段を有し、複数のローラ64をフイルム61の搬送長さLを調整して配することでトタン板状変形の発生を抑制している。後乾手段は、給気乾燥部90とフイルム61を支持するローラ64が後述するように近接して配された密間隔ローラ乾燥部91とを備える。給気乾燥部90は、急激な温度変化によって生じるしわやつれなどの欠陥の発生を抑制することを目的に、徐々にフイルム61の温度を変化させるために、容積が異なるように分けられた3つ以上の区画で構成されている。給気乾燥部90には、複数のローラ64(図示しない)が配されており、フイルム61はローラ64に支持されながら搬送されて乾燥される。この場合、ローラ64は、フイルム61に関し、同一表面側に配されていてもよいし、あるいは、両面側に千鳥に配されていてもよい。給気乾燥部90には、フイルム61を温風により乾燥するための温風給気装置92が設けられており、20℃以上180℃以下の温風が送りこまれている。給気乾燥部90の各区画には、温風給気口(図示しない)がそれぞれ設けられており、温風給気装置92から温風を送り込むことによりフイルム61を乾燥させる。各区画において給気側の対面には、排気口(図示しない)がそれぞれ設けられており、区画の内部の溶媒を含んだ空気は、排気口を通じて排気される。この温風給気装置92は、各区画に対して1基以上設置されているのが好ましいが、その様態は、区画毎に設置されている独立型でもよく、各区画に共通して用いられる共有型でもよく、特に限定されない。また、密間隔ローラ乾燥部91に入るまでに、給気乾燥部90を搬送されたフイルム61の温度は、110℃以下まで下げられる。
図3に、前記後乾手段における密間隔ローラ乾燥部91の概略図を示す。密間隔ローラ乾燥部91は、第1乾燥室93と第2乾燥室94とを備えており、第1乾燥室93および第2乾燥室94の内部には、それぞれ複数のローラ64が配されている。なお、給気乾燥部90においても、ローラ64をフイルムの搬送長さLが第1乾燥室93および第2乾燥室94と同様となるように配してもよい。
第1乾燥室93では、フイルム61が所定の温度t1(℃)となるように加熱される。ただし、本実施形態のような給気乾燥部90(図2参照)を設けない場合など、フイルム61の温度がすでにt1である場合には、この第1乾燥室93による加熱は、フイルム61の温度を保持するための手段となる。第1乾燥室93の内部には、図3に示すように温風ダクト95が設けられている。温風ダクト95の設置箇所に関しては特に限定はされないが、ローラ64から30mm以上200mm以下の範囲内の位置に設けることが好ましい。温風ダクト95にはフイルム幅以上の長さを有するスリット(図示しない)がフイルムの長手方向に沿って複数設けられており、風速0.5m/秒以上10m/秒以下の空気をローラ64またはフイルム61に直接当たるように図の矢印方向に給気することが好ましい。本実施形態では、フイルム61の温度t1が120℃以上160℃以下となるように第1乾燥室93の内部を所定の温度に調整することが好ましい。第1乾燥室93の内部を加熱あるいは保温する手段としては、図3では温風ダクト95から温風を給気する方法を示しているが、特に限定されるものでなく、遠赤外線ヒーターなどの伝熱ヒーターを用いてもよく、t1(℃)に設定されたオイルを熱媒とした加熱ロールを1本あるいは複数用いてフイルムに接触させる方法であってもよい。また、これらの加熱手段を組み合わせて用いてもよい。温風ダクト95を用いて給気する場合には、例えばできるだけ広い範囲に給気してもよく、ノズル式給気ダクトを用いてローラ64あるいはローラ64に接触しているフイルム61に対し、位置選択的に直接吹き付けてもよい。ノズル式給気ダクトを用いる場合には、風速は前記の範囲であることが好ましい。第1乾燥室93の内部においては、前記のいずれの加熱手段を用いても、110℃以上180℃以下の範囲で調整することができ、また、設定温度に対して±2℃以内で制御できる。
第2乾燥室94では、フイルム61が所定の温度t2(℃)となるように降温される。第2乾燥室94の内部には、図3に示すように、冷却ダクト96が設けられている。冷却ダクト96の設置箇所に関しては特に限定はされないが、ローラ64から30mm以上200mm以下の範囲内の位置に設けることが好ましい。冷却ダクト96にはフイルム幅以上の長さを有するスリット(図示しない)が長手方向に沿って複数設けられており、風速0.5m/秒以上10m/秒以下の空気をローラ64またはフイルム61に直接当たるように図の矢印方向に給気することが好ましい。本実施形態では、フイルム61の温度t2が120℃以上160℃以下から110℃以下となるように第2乾燥室94の内部を所定の温度に調整することが好ましい。第2乾燥室94フイルム61の温度がt2となるように本実施形態では、設定温度に対して±2℃以内で制御できる冷却ダクト96を用いて20℃以上110℃以下の空気をフイルム61に直接当たるように給気する方法を示しているが、第2乾燥室94の内部を降温する手段としては、冷却ダクト96から空気を給気する方法に限定されるものでなく、放熱による自然冷却でもよく、t2(℃)に設定されたオイルや冷水を冷媒とすることができる冷却ローラを1本あるいは複数用いてフイルムに接触させる方法であってもよい。また、これらの冷却手段を組み合わせて用いてもよい。冷却ダクト96により給気する場合には、部給気でもよく、ノズル式給気ダクトによりローラ64あるいはローラ64に接触したフイルム61に直接吹き付けてもよい。ノズル式給気ダクトにより給気する場合には、できるだけ広い範囲に給気してもよく、ノズル式給気ダクトによりローラ64あるいはローラ64に接触しているフイルム61に対し、位置選択的に直接吹き付けてもよい。ノズル式給気ダクトにより給気する場合には、風速は前記の範囲であることが好ましい。第2乾燥室94の内部においては、前記のいずれの加熱手段を用いても、20℃以上110℃以下の範囲で調整することができ、また、設定温度に対して±2℃以内で制御できる。
第1乾燥室93および第2乾燥室94の内部において、フイルム61を支持するために用いるロール64の本数は、図3では、図の煩雑さを避けるために20本としたが、この本数に限定されるものではなく、実際にはより多くのローラ64を用いる。また、温風ダクト95および冷風ダクト96から各ローラ64までの距離,風速,スリットの幅とスリット同士の間隔,設定温度と温度制御の精度は前記の通りである必要はなく、あくまでも効率的にフイルムの温度を昇温または降温できるものであればよい。
第1乾燥室93と第2乾燥室94とに配されている複数のローラ64は、図3ではフイルム61の表面に接触するように千鳥に配されている図を示したが、フイルム61の片面側に配されていてもよい。また、溶液製膜設備の小型化などを目的としてスペースを考慮し、図4に示すように第1乾燥室93と第2乾燥室94とが、互いに所定の角度をなすように設置されていてもよい。図4は本発明の別の実施形態であり、温風ダクト97と冷風ダクト98とをそれぞれ備えた第1乾燥室99と第2乾燥室100とのなす角度が90°である形態である。このとき、温風ダクト97と冷風ダクト98とは、図4に示す温風ダクト95と冷風ダクト96とに対応している。いずれの温風ダクト95,97と冷風ダクト96,98とは、温度制御に関する性能や機能は変わらないものとし、それらの形状は第1乾燥室93,99と第2乾燥室94,100とにおいて、それらの内部に備えることができる形状であれば、特に限定はされない。
図5に、密間隔ローラ乾燥部91における一部のローラ64の配置を示す。各ローラ64はフイルムの巻き掛け角度(ラップ角度)θが、60°以上200°以下になるように配されることが好ましく、より好ましくは90°以上180°以下であり、特に好ましくは130°以上180°以下である。また、複数のローラ64のフイルムの搬送長さLは、0.1〔cm〕≦L≦20〔cm〕となるように配されることが好ましく、より好ましくは、0.3〔cm〕≦L≦5〔cm〕であり、特に好ましくは、0.3〔cm〕≦L≦0.5〔cm〕である。
ローラ64におけるフイルムの搬送長さLが上記範囲を満たすとき、隣接して搬送路に沿って配されるローラ64により形成されるフイルムの搬送長さLを、上流側からL1,L2,L3とするとき、L1〜L3は、図5に示すように、前記式(1)を満たすようにして配されることが好ましく、かつ前記式(2)および(3)を満たすことが好ましい。さらに、前記式(1)の左辺である|L1−L2|/L1をAとしたとき、A≧0.2であることが好ましく、より好ましくはA≧0.35であり、特に好ましくはA≧0.40である。くわえて、隣接するローラ64の軸間距離をL4とすると、L4が0.1〔mm〕≦L4≦1〔mm〕となるようにローラ64を配することが好ましく、より好ましくは0.3〔mm〕≦L4≦0.5〔mm〕である。ただし、フイルム61の搬送を安定化させるために、故意に前記誤差を大きくする場合もある。フイルム61を乾燥させる際に複数のローラ64を配した乾燥手段を用いる場合は、本実施形態のように、ローラ64に交互にフイルム61を巻き掛ける必要はなく、並列に隣接した2本以上のローラ64を用いて連続的に巻き掛けてもよく、特に限定はされない。また、フイルムのしわやつれの発生を抑制するためには、より密間隔にすればよく、そのため、L4の値をできるかぎり小さくすることが好ましい。しかし、L4を0.1以下としてローラ64配置を有する装置を用いるには、装置上作製が困難であることから、設備コストが増大してしまう。したがって、L4は上述の範囲を満たしていれば、特に問題はない。
密間隔ローラ乾燥部91において用いられる複数のローラ64は、その外径が50mm以上200mm以下であることが好ましく、その長手方向の長さは1000mm以上3000mm以下であることが好ましく、その構造は肉厚が3mm以上10mm以下とされた中空構造であることが好ましい。ローラ64の材質としては、鉄,アルミ,ステンレス,炭素繊維強化プラスチックなどが例示され、その外周面の材質は、鉄,アルミ,ステンレスなどが例示される。また、ローラ64の外周面が硬化処理されているものも用いることができる。前記硬化処理の方法としては、Niめっき,ハードクロムめっきなどが例示される。
第1乾燥室93および第2乾燥室94において、ローラ64にフイルム61が接触し始める点P1から離れる点P2までのローラ64に巻き掛けられるフイルム61の長さをRとしたとき(図5参照)、フイルム61の搬送長さLとRとの比をL/Rとすると、L/Rの値が、0.01≦L/R≦0.5となるように配されていることが好ましく、より好ましくは、0.01≦L/R≦0.1であり、特に好ましくは、0.01≦L/R≦0.05である。また、フイルムのしわやつれの発生を抑制するためには、上述のLの値と同様に、L/Rの値はできるかぎり小さい値をとることが好ましい。ただし、先ほどと同様にして、L/Rを0.01以下としてローラ64配置を有する装置を用いるには、装置上作製が困難であることから、設備コストが増大してしまう。したがって、L/Rは上述の範囲を満たしていれば、特に問題はない。
L/Rの値が前記範囲を満たすとき、フイルム61の温度は、第1乾燥室93の内部では、120℃以上160℃以下であることが好ましく、より好ましくは、130℃以上160℃以下であり、特に好ましくは、140℃以上160℃以下である。また、第2乾燥室94の内部での前記接触時間におけるフイルム61の温度は、80℃以上118℃以下であることが好ましく、より好ましくは95℃以上118℃以下であり、特に好ましくは、105℃以上118℃以下である。前記フイルム61の温度とは、各乾燥室の内部に設けられた接触式温度計などで測定したフイルム61の表面温度をいう。フイルム61の温度の測定方法に関しては、フイルムの温度が測定できるものであればよく、特に限定はされるものではない。
なお、TACフイルムを得る溶液製膜法における素材、原料、添加剤の溶解方法および添加方法、濾過方法、脱泡などのドープの製造方法については、特願2004−264464号の[0517]段落から[0616]段落に詳細に記載されている。これらの記載は、本発明に適用することができる。
流延ダイ、支持体などの構造、共流延、剥離法、延伸、各工程の乾燥条件、ハンドリング方法、カール、平面性矯正後の巻取方法から、溶媒回収方法、フイルム回収方法まで、特願2004−264464号の[0617]段落から[0889]段落に詳しく記載されている。これらの記載は、本発明に適用することができる。
[性能・測定法]
(カール度・厚み)
巻き取られたセルロースアシレートフイルムの性能およびそれらの測定法は、特願2004−264464号の[0112]段落から[0139]段落に記載されている。これらの記載は、本発明に適用することができる。
[表面処理]
前記セルロースアシレートフイルムの少なくとも一方の面が表面処理されていることが好ましい。前記表面処理が真空グロー放電処理、大気圧プラズマ放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、火炎処理、酸処理またはアルカリ処理の少なくとも一種であることが好ましい。
前記表面処理されたセルロースアシレートフイルムにより形成された積層部においては、少なくとも一種の界面活性剤を0.1mg/m2 以上1000mg/m2 以下含有することが好ましく、少なくとも一種の滑り剤を0.1mg/m2 以上1000mg/m2 以下含有することが好ましく、少なくとも一種のマット剤を0.1mg/m2 以上1000mg/m2 以下含有することが好まく、さらには、少なくとも1種の帯電防止剤を1mg/m2 以上1000mg/m2 以下含有することが好ましい。
[機能層]
(帯電防止・硬化層・反射防止・易接着・防眩)
前記セルロースアシレートフイルムの少なくとも一方の面が下塗りされていても良い。さらに、このセルロースアシレートフイルムをベースフイルムとして、他の機能性層を付与した機能性材料として用いることが好ましい。前記機能性層が帯電防止層,硬化樹脂層,反射防止層,易接着層,防眩層および光学補償層から選択される少なくとも1層を設けることが好ましい。
セルロースアシレートフイルムに、種々様々な機能、特性を実現するための表面処理機能性層の付与方法は、特願2004−264464号の[0890]段落から[1087]段落に詳細な条件、方法も含めて記載されている。これらの記載は、本発明に適用することができる。
(用途)
前記セルロースアシレートフイルムは、特に偏光板保護フイルムとして有用である。セルロースアシレートフイルムを偏光子に貼り合わせた偏光板を、液晶層に通常は2枚貼って液晶表示装置を作製する。ただし、液晶層と偏光板との配置は限定されるものではなく、公知の各種配置とすればよい。特願2004−264464号には、液晶表示装置として、TN型,STN型,VA型,OCB型,反射型,その他の例が詳しく記載されている。この記載は、本発明に適用することができる。また、同出願には光学的異方性層や、反射防止,防眩機能を付与したセルロースアシレートフイルムについての記載もある。さらには、適度な光学性能を付与して二軸性セルロースアシレートフイルムとした光学補償フイルムとしての用途も記載されている。これは、偏光板保護フイルムと兼用して使用することもできる。特願2004−264464号の[1088]段落から[1265]段落に詳細が記載されている。これらの記載は、本発明に適用することができる。
また、本発明により光学特性に優れるセルローストリアセテートフイルム(TACフイルム)を得ることができる。前記TACフイルムは、偏光板保護フイルムや写真感光材料のベースフイルムとして使用することができる。さらにテレビ用途などの液晶表示装置の視野角依存性を改良するための光学補償フイルムとしても使用することができる。特に、偏光板の保護膜を兼ねる用途に効果的である。そのため、従来のTNモードだけでなくIPSモード、OCBモード、VAモードなどにも用いられる。なお、前記偏光板保護膜用フイルムを用いて偏光板を構成してもよい。
本発明について実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら様態に限定されるものではない。本実施例においては、実施例1で詳細に説明し、実施例2から実施例12については、実施例1と同じ条件の箇所の説明は省略する。表1に各実施例の実施条件(および結果)を示す。
セルロースアシレートフイルムを作製するため、原料として、セルローストリアセテート:20重量部、酢酸メチル:58重量部、アセトン:5重量部、メタノール:5重量部、エタノール:5重量部、ブタノール:5重量部、可塑剤A(ジトリメチロールプロパンテトラアセテート):1.2重量部、可塑剤B(トリフェニルフォスフェート):1.2重量部、UV剤a(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3, 5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン):0.2重量部、UV剤b(2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール):0.2重量部、UV剤c(2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール):0.2重量部、剥離剤a(C1225OCH2 CH2 O−P(=O)−(OK)2 ):0.02重量部、剥離剤b(クエン酸):0.02重量部、微粒子(二酸化ケイ素(粒径20nm、モース硬度約7)):0.05重量部を適宜スタティックミキサにより混合した後、攪拌溶解させて、濾過装置により濾過したものを流延ドープ23とした。
図1に示すフイルム製造ライン10を用いるとともに、さらに、乾燥手段における密間隔ローラ乾燥部91については、図3に示す様態を用いて、セルロースアシレートフイルムを製造した。調製したポリマー溶液を、フイルム製品の厚みが80μmとなるように流延幅を1900mmとして、流延ダイ30から流延バンド33の上に流延した。流延ダイ30および配管は、製膜時においては36℃に保温した。流延ダイ30は、コートハンガー型のものを用い、厚み調整ボルトは20mmピッチに設けられているものを用いた。流延バンド39の上に流延膜39が形成された後、剥取ローラ45で剥ぎ取り湿潤フイルム46を作製した。次に、渡り部50の内部に湿潤フイルム46を送り込んでから、テンタ60の内部に送り込み、乾燥させた。テンタ60の内部の温度は140℃とした。このとき、湿潤フイルム46の溶媒の含有率は70重量%であった。次に、外径が300mmで、長手方向の長さが1900mmで、肉厚が5mmの中空構造であり、さらにはその材質がSUSで、その周面がHCrであるローラ64を複数用いて支持しながら、フイルム61を後乾手段である給気乾燥部90および密間隔ローラ乾燥部91へと搬送した。このとき、搬送方向にかかるフイルム61に対する張力は、300Nとした。また、給気乾燥部90の温度を150℃となるように、ローラ64から50mmの距離に設けた温風ダクト95を用いて、160℃の空気を風速5m/秒で給気した。また、第2乾燥室94での温度t2が100℃となるように、ローラ64から50mmの距離に設けた冷風ダクト96を用いて、100℃の空気を風速10m/秒で給気して温度を調整した。後乾工程におけるフイルム61の残留溶媒量は0.2重量%であった。また、後乾手段の第1乾燥室93においては、複数のローラ64をフイルム61の搬送長さLを5mm、隣り合うローラ64の軸間距離L4を4mmとして配した。一方で、第2乾燥室94の内部においては、表1に示すように、隣接するローラ64で形成されるフイルム61の搬送長さLを上流側から順にL1、L2、L3としたとき、L1〜L3が21cm、Rが30mmとなるようにローラ64を配し、フイルム61を乾燥した。乾燥したフイルム61を冷却室69で室温まで冷却した後、巻取室82の巻取ローラ83で巻き取った。
実施例1と同じ製造設備および方法を用いたが、第2乾燥室94において、L1〜L3を18cm、Rを30mmとし、t1を140℃としてフイルムを製造した。
実施例1と同じ製造設備および方法を用いたが、第2乾燥室94において、L1、L2、L3をそれぞれ、15cm、18cm、15cmとし、t1を140℃としてフイルムを製造した。
実施例1と同じ製造設備および方法を用いたが、第2乾燥室94において、L1、L2、L3をそれぞれ、1cm、1.3cm、1.6cmとし、t1を140℃としてフイルムを製造した。
実施例1と同じ製造設備および方法を用いたが、第2乾燥室94において、L1、L2、L3をそれぞれ、1cm、1.2cm、1.5cmとし、t1を140℃としてフイルムを製造した。
実施例1と同じ製造設備および方法を用いたが、第2乾燥室94において、L1、L2、L3をそれぞれ、0.2cm、0.15cm、0.22cmとし、t1を140℃としてフイルムを製造した。
実施例1と同じ製造設備および方法を用いたが、第2乾燥室94において、L1、L2、L3をそれぞれ、17cm、22cm、28cmとし、t1を140℃としてフイルムを製造した。
実施例1の製造設備および方法を用いて、L1〜L3、Rは実施例4と同じながら、t1を110℃、t2を100℃としてフイルムを製造した。
実施例1の製造設備および方法を用いて、L1〜L3、Rは実施例4と同じながら、t1を170℃、t2を100℃としてフイルムを製造した。
実施例1の製造設備および方法を用いて、L1〜L3、Rは実施例4と同じながら、t1を140℃、t2を70℃としてフイルムを製造した。
実施例1の製造設備および方法を用いて、L1〜L3、Rは実施例4と同じながら、t1を140℃、t2を125℃としてフイルムを製造した。
実施例1の製造設備および方法を用いて、L1〜L3、Rは実施例4と同じながら、t1を110℃、t2を70℃としてフイルムを製造した。
〔評価方法〕
フイルム製造より5日後のフイルム製品から、1m×2mの大きさに切り出してサンプルとし、そのサンプルにおけるトタン板状変形のレベルを目視によって確認し、下記の5段階で評価した。
レベル1 : トタン板状変形が全く確認できない
レベル2 : わずかに目視にて確認できるが、品質上問題は無い
レベル3 : 目視にて確認できるが、品質上問題は無い
レベル4 : 品質上限界である
レベル5 : 品質上問題となる
前記評価方法に基づき実施例1〜実施例12で得られた各フイルムに関して評価した結果を、表1に示す。
Figure 0004485978
実施例1〜実施例7では、Rを30mm、t1,t2を同じ値としたが、LおよびRの値を変化させてフイルムを製造した。これらの評価結果を比較した場合、実施例4において、トタン板状変形が確認されない非常に優れた状態のフイルムが得られた(レベル1)。ついで、実施例3,実施例5がレベル2、実施例6,実施例7がレベル3、実施例2がレベル4となり、実施例1は、品質上問題となるほどのトタン板状変形を確認した(レベル5)。このとき、Aの値を見ると、実施例4では0.3であり、次に状態が良好であった実施例3,実施例5では0.2であったのに対して、状態が悪かった実施例1、実施例2では、それぞれ0であった。したがって、Aの値が、0.2以上である場合において、トタン板状変形を低減することができることが分かった。ただし、実施例6、実施例7では、Aの値はともに0.3であり、A≧0.2であるが、レベル3であった。この原因としては、良好なレベルが得られた実施例4などに比べて、L/Rの値が小さいまたは大きいと異なっている。レベルが悪かった実施例1、実施例2を見た場合、Aの値はそれぞれ0.7、0.6であり、これもレベルが良好であったものに比べて値が大きい。したがって、L/Rの値もトタン板状変形の発生に大きく影響し、この値が、0.01≦L/R≦0.5である場合において、トタン板状変形を低減できることが分かった。また、実施例4のように、AおよびL/Rの各値が、上述の範囲を同時に満たす場合において、特に効果があることが確認できた。
実施例8〜実施例12では、もっとも状態が良好であった実施例4の製造条件を用いて、t1、t2の値を変化させてフイルムを製造した。したがって、これらの評価結果を比較することで、t1、t2がトタン板状変形の発生に与える影響について把握することができる。実施例8〜実施例11では、フイルムの評価結果がレベル3であったのに対して、実施例12のみがレベル5であった。温度条件と評価結果を比べた場合、実施例12は、他に比べて、t1、t2ともに低い温度であることから、低温ではトタン板状変形が増大してしまうことが分かる。ただし、t1に関しては実施例8と同じ110℃であり、t2は実施例10と同じ70℃である。このことから、t1、t2のどちらか一方をある程度高温に調整して乾燥させれば、トタン板状変形の発生を抑制することができるといえる。しかし、実施例11のように、t2を高温にしたからといって、フイルムのレベルが必ずしも向上するとはいえないことが分かる。以上より、評価結果を総論すると、t1が120℃以上160℃以下であり、t2が80℃以上118℃以下である場合において、トタン板状変形を低減することができることが分かった。
本発明を実施した溶液製膜設備の概略図である。 溶液製膜設備の後乾工程の概略図である。 密間隔ローラ乾燥部を示す概略図である。 別の実施形態の密間隔ローラ乾燥部を示す概略図である。 ローラの配置方法を示す説明図である。
符号の説明
10 フイルム製造設備
61 フイルム
64 ローラ
66 乾燥室
90 給気乾燥部
91 密間隔ローラ乾燥部
93,99 第1乾燥室
94,100 第2乾燥室
95,97 温風ダクト
96,98 冷風ダクト

Claims (13)

  1. 走行する支持体上にポリマー及び溶媒を含むドープからなる流延膜を形成する膜形成工程と、
    前記流延膜を前記支持体から剥ぎ取ってフイルムとする剥取工程と、
    複数の支持ローラにより搬送される前記フイルムから溶媒を蒸発させる乾燥工程とを有する溶液製膜方法において、
    第1支持ローラから前記フイルムが離れる位置と前記第1支持ローラと隣り合う下流側の第2支持ローラに前記フイルムが接触する位置との間のフイルム搬送長さLを上流側から順にL1,L2,L3とするときに、下記の式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする溶液製膜方法。
    (1)|L1−L2|/L1≧0.2
    (2)|L2−L3|/L2≧0.2
  2. 下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項記載の溶液製膜方法
    (3)L1≠L3
  3. 前記フイルム搬送長さLが0.1〔cm〕≦L≦20〔cm〕の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の溶液製膜方法。
  4. 前記乾燥工程では、第1温度t1の前記フイルムから前記溶媒を蒸発させる第1乾燥工程と、前記第1温度t1より低い第2温度t2の前記フイルムから前記溶媒を蒸発させる第2乾燥工程とが順次行われることを特徴とする請求項1〜3いずれかひとつ記載の溶液製膜方法
  5. 前記第1温度t1は120℃以上160℃以下であり、
    前記第2温度t2は80℃以上110℃以下であり、
    前記支持ローラに巻き掛けられる前記フイルムの巻き掛け長さをRとしたときに、L/Rが0.01≦(L/R)≦0.5とすることを特徴とする請求項記載の溶液製膜方法
  6. 前記乾燥工程における前記フイルムの搬送方向に対する張力が、50N以上500N以下であることを特徴とする請求項1〜いずれかひとつ記載の溶液製膜方法
  7. 複数の支持ローラにより搬送されるフイルムから溶媒を蒸発させる乾燥装置において、
    第1支持ローラから前記フイルムが離れる位置と前記第1支持ローラと隣り合う下流側の第2支持ローラに前記フイルムが接触する位置との間のフイルム搬送長さLを上流側から順にL1,L2,L3とするときに、前記支持ローラが下記の式(1)及び(2)を満たすように配されることを特徴とする乾燥装置。
    (1)|L1−L2|/L1≧0.2
    (2)|L2−L3|/L2≧0.2
  8. 下記式(3)を満たすように配されることを特徴とする請求項7記載の乾燥装置。
    (3)L1≠L3
  9. 前記フイルム搬送長さLが0.1〔cm〕≦L≦20〔cm〕であることを特徴とする請求項7または8記載の乾燥装置。
  10. 第1温度t1の前記フイルムから前記溶媒を蒸発させる第1乾燥室と、第2温度t2の前記フイルムから前記溶媒を蒸発させる第2乾燥室とが上流側から順に設けられ、
    前記第2温度t2が前記第1温度t1よりも低くなるように調節する温度調節部を有することを特徴とする請求項7〜9いずれかひとつ記載の乾燥装置。
  11. 前記第1温度t1は120℃以上160℃以下であり、
    前記第2温度t2は80℃以上110℃以下であり、
    前記支持ローラに巻き掛けられる前記フイルムの巻き掛け長さをRとしたときに、L/Rが0.01≦(L/R)≦0.5とすることを特徴とする請求項10記載の乾燥装置。
  12. 前記フイルムの搬送張力が、50N以上500N以下であることを特徴とする請求項7〜11いずれかひとつ記載の乾燥装置。
  13. 走行する支持体にポリマー及び溶媒を含むドープを流して、前記支持体上に流延膜を形成する膜形成装置と、
    前記流延膜を前記支持体から剥ぎ取って前記フイルムとする剥取ロールと、
    請求項7〜12いずれかひとつ記載の乾燥装置とを備えることを特徴とする溶液製膜設備。
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