JP4482688B2 - 磁場発生方法および磁場発生装置 - Google Patents

磁場発生方法および磁場発生装置 Download PDF

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本発明は、磁場発生方法および磁場発生装置に関し、さらに詳細には、永久磁石や電磁石などの磁石や高透磁率高飽和磁束密度特性を有する磁性体よりなる磁極材を対向して配置することにより、対向した磁石や磁極材の磁極の間の間隙に磁場を発生する磁場発生方法および磁場発生装置に関する。
従来より、永久磁石や電磁石などの磁石や高透磁率高飽和磁束密度特性を有する磁性体よりなる磁極材を対向して配置することにより、対向した磁石や磁極材の磁極の間の間隙に磁場を発生するタイプの磁場発生装置が知られている。
ところで、この種の従来の磁場発生装置においては、対向する磁極の間の間隙、即ち、磁極間隔(以下、適宜に「ギャップ」と称する。)が大きくなるに従って、急激に磁場(磁束密度)が減少するという原理的な特性があることが知られている。
こうした特性から生ずる問題点の典型的な例が、以下に説明するように、放射光発生のためのシンクロトロン放射光源として利用されている挿入光源と称される装置において見られる(非特許文献1参照)。
なお、挿入光源とは、加速器における蓄積リングの偏向磁石の間にある直線スペースに挿入された周期的な磁場構造をもつ装置であって、電子ビームが通過することにより偏向磁石からのシンクロトロン放射光よりさらに質の高い強力な放射光を発生させる光源装置である。こうした挿入光源には、大別してアンジュレータおよびウィグラと称される2つの種類があるが、本願出願人が所有するSPring−8をはじめとする現在の放射光施設においては、光の干渉効果を利用して高輝度光を発生させるアンジュレータが主に用いられている。
上記したように、挿入光源には周期的な磁場構造が形成されているが、こうした周期的な磁場構造は、上記した従来の磁場発生装置、即ち、永久磁石や電磁石などの磁石や高透磁率高飽和磁束密度特性を有する磁性体よりなる磁極材を対向して配置することにより、対向した磁石や磁極材の磁極の間のギャップに磁場を発生するタイプの磁場発生装置を用いて構成されている。
即ち、挿入光源においては、磁極を対向させて周期的に並べて周期的な磁場構造を形成するようになされており、こうして形成された周期的な磁場構造により周期磁場を発生し、その周期磁場中を電子が運動するときに各周期磁場から発生した光が重なることにより、高強度の光が得られることになる。
従って、こうした挿入光源においては、電子を通過させるために、対向させた磁極のギャップを大きくする必要がある。
しかしながら、従来の磁場発生装置においては、上記したようにギャップを大きくするに従って急激に磁場(磁束密度)が減少してしまう特性があるため、このことが挿入光源において発生可能な磁場の上限を定めることとなっていたという問題点があった。
また、こうした問題点は、周期磁場の周期長が短くなった場合に、特に顕著に顕現されるものであった。
T. Hara, T. Tanaka, H. Kitamura, T. Bizen, X. Marechal, T. Seike, T. Kohda and Y. Matsuura, "Cryogenic permanent magnetic undulators", Physical Revew ST−AB 7 (2004)050702
本発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、磁極間隔(ギャップ)を大きくしても高い磁場を発生することを可能にして、発生する磁場の強度の向上を図るようにした磁場発生方法および磁場発生装置を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明による磁場発生方法および磁場発生装置は、超伝導体閉ループの基本的性質を利用することにより、磁束を維持して高い磁場を発生するようにしたものである。
即ち、磁極を囲むように配置された、例えば、超伝導材料により形成されたリング状の構造物(以下、適宜に「超伝導体リング」と称する。)などにより構成される超伝導体閉ループは、一種の永久磁石として働くものであり、その磁化は、ギャップを開く動きがもたらす電磁誘導により行われる。本発明による磁場発生方法および磁場発生装置は、こうした超伝導体閉ループの基本的性質を利用して、ギャップを大きくしても磁束を維持して高い磁場を発生することができるようにしたものである。
本発明による磁場発生方法および磁場発生装置においては、超伝導体閉ループを構成するためには、例えば、バルク型高温超伝導体により超伝導体リングのみを形成すればよく、追加的な外部電源や電流導入端子などを設ける必要はない。
なお、超伝導体の臨界電流密度は、本発明による磁場発生方法および磁場発生装置の性能に極めて重要な影響を与えるものである。
こうした本発明による磁場発生方法および磁場発生装置は、アンジュレータやウィグラといった挿入光源などの磁場発生装置として用いることができるものである。

以下に、本発明による磁場発生方法および磁場発生装置の原理について詳細に説明するが、はじめに、磁束を維持する超伝導体閉ループの基本的性質に基づく、電磁石の磁場強化の手法、即ち、超伝導体閉ループと磁極間隔を可変することのできる一対の可変ギャップを持つ電磁石とからなる磁気回路における磁場強化の仕組みについて説明する。
図1は、超伝導体閉ループを構成するための超伝導体リング10と、一対のギャップ12、14を形成するように対向して配置されたヨーク(継鉄)16、18およびヨーク16に巻回されたコイル20よりなる電磁石22とからなる磁気回路を示している。
より詳細には、超伝導体リング10は、ヨーク18に巻回されて嵌合されている。また、ギャップ12、14の間隔は変化させることができるものとする。
さらに、この磁気回路は、磁束路の断面がどの箇所でも一定であり、フリンジ効果あるいは磁束漏れは無視できる理想的なものと仮定する。

この図1に示す磁気回路において、超伝導体リング10の温度が超伝導転移温度Tより高くて、超伝導体リング10が超伝導状態にない、即ち、超伝導体閉ループが不活性である場合には、ギャップ12、14における磁場Bは単純なアンペールの法則により以下の通り得られる。
Figure 0004482688
ここで、NIはコイルの起磁力、μは真空の透磁率、kはヨークの比透磁率、gはギャップの大きさ(ギャップ幅)、Lはヨークの磁束路の全長である。
ヨークが飽和していなければ、比透磁率kは通常1000から10000以上の値を有する。例えば、コバルト−鉄−バナジウムでできたパーメンジュールは、2テスラの磁束密度で約1700という高い比透磁率kを有する。
従って、ギャップ12、14を完全に閉じた完全な閉ギャップ、即ち、g=0においては、極めて高い磁場を期待することができる。当然のことながら、電磁石22を磁束発生手段として利用するための意味のある値にまで、ギャップ12、14におけるギャップ幅gを拡げる(大きくする)べきであるが、ギャップ幅gを拡げてゆくと、図2における破線(a)で示すように磁場が急激に低下する。

次に、図1に示す磁気回路において、超伝導体リング10の温度を超伝導転移温度Tより低くして超伝導体閉ループを活性化させ、超伝導体閉ループによる超伝導現象を利用する場合の磁化工程について、図3に示す図1に対応する一部断面説明図を参照しながら説明する。
まず、超伝導体リング10の温度Tを超伝導転移温度Tより高く保ちながら、ギャップ12、14を完全に閉じて完全な閉ギャップ、即ち、g=0にしておく(図3(a))。この場合には、ヨーク16、18では、最大磁束が得られる。
次に、超伝導体リング10の温度Tを超伝導転移温度Tより低い温度まで冷却すると、超伝導状態への転移が起こる(図3(b))。このとき磁束は、超伝導体リング10により構成される超伝導体閉ループ10内に保たれるので、ギャップ12、14の間隔を開けてg>0としても(図3(c))、磁束は不変でなければならない。即ち、超伝導体リング10により構成される超伝導体閉ループ内の永久電流により、追加的な起磁力が発生するものである。
換言すると、超伝導体リング10により構成される超伝導体閉ループは、一種の永久磁石として作用する。つまり、ギャップ12、14を拡げる動きによりもたらされる電磁誘導によって磁化が行われることになる。従って、単位面積あたりの磁束である磁場は、図2における実線(b)で示すように、ギャップ幅gとは関係なくその最大値を保つことになる。

即ち、図2には、超伝導体閉ループが不活性である場合、即ち、超伝導体リング10の温度が超伝導転移温度Tより高い場合(図2の破線(a))と、超伝導体閉ループが活性である場合、即ち、超伝導体リング10の温度が超伝導転移温度Tより低い場合(図2の実線(b))とにおける、磁場の典型的なギャップ依存性を示すグラフが表されている。ただし、実際の磁気回路においては、ギャップ値が大なるほどフリンジ効果あるいは磁束漏れが顕著になる。この場合、実際に得られる磁場は図2の実線(b)で示す磁場よりも若干低い値となる。なお、図2における一点鎖線(c)は、超伝導体内の永久電流を示している。

このように、超伝導体を利用することにより、空気/真空ギャップを備えた磁場発生装置においてより高い磁場を得ることができる。

なお、超伝導体リング10により構成される超伝導体閉ループ、即ち、超伝導体の永久電流は、外部電源ではなくギャップ12、14を開く動きによりもたらされる電磁誘導によって発生する。このことは、電流リードを備えた超伝導体よりなるコイルをヨーク16に巻回する代わりに、バルク型や多層膜型の超伝導体を用いることができることを意味し、超伝導体閉ループを構成するための超伝導体として、例えば、銅酸化物高温超伝導体などの高温超伝導体を利用することが可能となる。
これにより、液体ヘリウムの温度よりはるかに高温で磁場発生装置を作動させることができるので、超伝導体を冷却するための極低温システムを大幅に単純化することができる。

上記した本発明による磁場発生方法および磁場発生装置は、以下に説明するように、例えば、磁極間隔を可変にするためのシステムを備えた各種の磁石や磁極材を用いた磁場発生装置を備えたアンジュレータなどの各種の装置に適用することができる。
つまり、挿入光源としてのアンジュレータは、一般に、磁極間隔を可変にすることにより放射光の波長を調整するための磁極間隔可変システム(ギャップ駆動システム)を備えているので、ギャップ幅を可変する本発明による磁場発生方法および磁場発生装置を適用することができる。
特に、従来より公知の極低温永久磁石アンジュレータ(クライオアンジュレータ)は、内部の磁気部品を冷却する真空構造とほぼ完全に閉じたギャップ(g≒0)を可能とする機械構造を持っているので、本発明による磁場発生方法および磁場発生装置を適用するのに最も適している。

ここで、従来より公知の極低温永久磁石アンジュレータに本発明による磁場発生方法および磁場発生装置を用いた場合に達成される機能について、以下に予測してみる。
なお、従来より公知の極低温永久磁石アンジュレータに本発明による磁場発生方法および磁場発生装置を用いる際には、永久磁石に超伝導体閉ループを構成するための超伝導体リングなど挿入するために、当該永久磁石をわずかだけ除去する必要がある場合があり、この永久磁石の部分除去は当該永久磁石により発生する磁場が幾分か下がることを意味する。従って、永久磁石に挿入する超伝導体リングなどの体積を最適化することが好ましい。
従来より公知の極低温永久磁石アンジュレータに本発明による磁場発生方法および磁場発生装置を用いた場合の磁気構造モデルの一例として、図4に示す磁気構造モデルについて説明する。なお、図5は、図4の磁気構造モデルの磁気性能の一例を示すグラフである。
図4に示すモデルは、従来より公知の極低温永久磁石アンジュレータにおけるギャップに、単にバルク型高温超伝導体により形成された超伝導体リング44を配設したものである。
より詳細には、図4は、永久磁石40と高透磁率高飽和磁束密度特性を有する磁性体よりなる磁極材により形成された磁極片42と超伝導体リング44とを有して構成された、周期長λが14mmの周期的な磁場構造を備えた極低温永久磁石アンジュレータを示している。なお、図4における白抜き矢印は、着磁方向を示している。

このモデルの磁気構造をさらに詳細に説明すると、永久磁石40の材料としては、例えば、NEOMAX社製のNEOMAX−53CRを使用することができ、磁極片42の材料としては、例えば、ネオマックス社製のパーメンジュールを使用することができる。
なお、NEOMAX−53CRは、プラセオジム−鉄−ホウ素でできており、残留磁束密度が温度77Kで1.5Tであり、パーメンジュールの飽和磁束密度が2.35Tである。なお、永久磁石40の温度を下げると、残留磁束が高くなると予想される。
ここで、図4に示すモデルの周期磁場の計算においては、超伝導体を電流ループ(同形で同寸法)と交換するということを想定して計算する。即ち、超伝導体が発生する磁場を、同形・同寸法の電流ループが発生する磁場と等価であるものとして計算する。
なお、この計算においては、超伝導体を流れる永久電流(I)を予測することが重要であり、このモデルにおける磁場強化のために必要である。
は、ファラデーの誘電の法則から決定することができ、超伝導体リング44が取り囲む磁束は、完全に閉じた閉ギャップ、即ち、g=0でI=0という初期条件をもったいかなるギャップにおいても保たれる。この想定により、磁場をRADIA(3次元静磁場コンピュータコード)で計算する(なお、RADIAについては、「O.Chubar, P.Elleaume & J.Chavanne, “A three−dimensional magnetostatics computer code for insertion devices”, J.Synchrotron Radiat. 5, 481−484(1998).」を参照する。)。

ここで、図4に示すモデルにおいては、操作するパラメータが2つある。極長(L)と超伝導体リング44の厚さ(T)である。この2つのパラメータを最適化して、臨界電流密度(J:超伝導体を流れることができる最大電流密度)を考慮しながら磁場の性能を向上させることになる。
従って、LとTの最適化された寸法で計算した周期磁場の達成可能ピーク値をJの関数としてプロットする必要がある。
図5は、アンジュレータ中に電子ビームを通すギャップ幅gを5mmと3mmとした場合についてのそれぞれの計算結果を示す。より詳細には、異なる2つのギャップ幅gであるg=5mm(実線曲線)とg=3mm(鎖線曲線)とについて、超伝導体の臨界電流密度(J)の関数として計算された、到達可能ピーク磁場が示されている。超伝導体のJ値が1.1kA/mmより高いと、図4に示すモデルで達成されるピーク磁場は1.3T(これはACCELインスツルメンツ社が最近開発した超伝導アンジュレータ(SCU:液体ヘリウム温度付近で作用する超伝導(SC)コイルを備えた超伝導アンジュレータ)において、5mmのギャップ幅で達成したピーク磁場である。なお、ACCELインスツルメンツ社が最近開発した超伝導アンジュレータについては、「R.Rossmanith, H.Moser, A.Geisler, A.Hobl, D.Krischel & M.Schillo, “Superconductive 14 mm period undulators for single pass accelerators (FELs) and storage rings”, Proceedings of the EPAC 2002, Paris, France, (EPS−IGA/CERN, Geneva, 2002), 2628−2630.」を参照する。)を超える。
即ち、Jの増加に伴い、達成可能ピーク磁場が著しく強化されるのがわかる。なお、図5に示すグラフにおいて、破線で示した1.3Tの値は、ACCELインスツルメンツ社が最近開発したSCUのギャップ幅が5mmでのピーク磁場を表している。
従って、もし超伝導体のJ値が1.1kA/mmより高いと、図4に示すモデルにおけるピーク磁場は同ギャップ幅においてSCUを超えると予想される。なお、SCUの動作温度(液体ヘリウム温度付近)では利用可能な小型冷凍機の冷却能力は高々2W程度である。一方、図4に示すモデルにおいては、動作温度(40〜80K)がはるかに高いので100W〜200W級の高い冷却能力を持つ高性能小型冷凍機が利用可能となる。一般にギャップ幅を狭くすると熱負荷が増大するが、動作温度の高い図4のモデルにおいては高性能小型冷凍機で十分対応できる。従って、最小ギャップをSCUよりも狭くでき、それによって図4に示すモデルの性能がさらに向上する。

本発明による磁場発生方法および磁場発生装置の原理をさらに検証するために、市販されているGd−Ba−Cu−Oからできた超伝導体リングを使った磁気回路を作成して実験を行った。
はじめに、超伝導体リング自体の性能を調査したが、図6には実験に用いられた超伝導体リング60の概略構成斜視図が示されている。この超伝導体リング60は、中央部に孔60aが穿設された矩形状の板状体である。超伝導体リング60の寸法は、図6に示した通りである。
まず、別の磁場発生装置を使って外部磁場をかけたときにおける、超伝導体リング60の磁気性能として、超伝導体リング60の孔60aの中央の磁場、即ち、超伝導体リング60中央における磁場を、ホールプローブ62により測定した。
図7に示すグラフにはその測定結果が示されており、横軸は外部磁場の強度を示し、縦軸はホールプローブ62で測定した超伝導体リング60中央における磁場を示している。測定の際の温度条件は、液体窒素の温度(77K)で測定した。その測定結果は、超伝導体リング60の反磁性がもたらす典型的なヒステリシス曲線を示すものである。つまり、図7は、温度77Kにおける超伝導体リング60についての磁場測定の結果を示すものであり、超伝導体の反磁性による典型的なヒステリシスループが観察された。ヒステリシスループの幅より、J値が200A/mmであると定められた。
より詳細には、この実験結果から、Jは、超伝導体リング60と同じ形状、寸法をもった電流ループによる磁場の計算と比較して、およそ200A/mmまでと予測された。これは、77Kでの銅酸化超伝導体材料の典型的値である。

その後に、図8に示すように、永久磁石と超伝導体からなる本発明による磁場発生装置を構成して実験を行った。なお、図8(a)は磁場発生装置80の側面図であり、図8(b)は図8(a)のA矢視図、即ち、磁場発生装置80の平面図である。
この磁場発生装置80について説明すると、NdFeBからなる永久磁石82a〜82cと永久磁石82d〜82fとがハルバック構造によりギャップのギャップ幅gを可変可能に対向して配置され、図6に示した超伝導体リング60が水平方向に磁化された永久磁石82a、82bのギャップに面した面上に配置され、図6に示したGd−Ba−Cu−Oからなる超伝導体リング60が水平方向に磁化された永久磁石82d、82eのギャップに面した面上に配置されている。なお、図8における白抜き矢印は着磁方向を示しており、それぞれの寸法は図8に示す通りである。
より詳細には、永久磁石の一方のブロックにおいては、着磁方向が垂直方向下向きである永久磁石82cを挟むようにして、着磁方向が互いに永久磁石82cへ向かう水平方向である永久磁石82a、82bが配置されている。ここで、永久磁石82cは、永久磁石82a、82bよりも2mm下方、即ち、2mmだけギャップ側へ突出するように配置されている。そして、超伝導体リング60が、孔60a内に上記した永久磁石82cの下方への突出部位を配置するようにして、永久磁石82a、82bのギャップに面した面上に配置されている。
また、永久磁石の他方のブロックにおいては、着磁方向が垂直方向下向きである永久磁石82fを挟むようにして、着磁方向が互いに永久磁石82fから離隔する方向へ向かう水平方向である永久磁石82d、82eが配置されている。ここで、永久磁石82fは、永久磁石82d、82eよりも2mm上方、即ち、2mmだけギャップ側へ突出するように配置されている。そして、超伝導体リング60が、孔60a内に上記した永久磁石82fの上方への突出部位を配置するようにして、永久磁石82d、82eのギャップに面した面上に配置されている。
なお、永久磁石82a〜82cと永久磁石82d〜82fとは、永久磁石82aと永久磁石82dとが対向し、永久磁石82bと永久磁石82eとが対向し、永久磁石82cと永久磁石82fとが対向している。また、永久磁石82a、82bのギャップに面した面上に配置された超伝導体リング60と永久磁石82d、82eのギャップに面した面上に配置された超伝導体リング60とが対向している。
この実験における永久磁石82a〜82fの材料としては、NEOMAX社製のNEOMAX 50BXを用いた。
この実験においては、ギャップ幅gの機能として、ギャップ中央の磁場を測定した。測定前に、温度300K(超伝導体リング60は超伝導状態にはなく、超伝導体リング60で構成される超伝導体閉ループが不活性である。)でギャップを完全に閉じ、磁場発生装置80の温度が77K(超伝導体リング60は超伝導状態にあり、超伝導体リング60で構成される超伝導体閉ループが活性である。)に下がるまで液体窒素を注いで冷却し、ギャップのギャップ幅gを2mmに開いた。その後、ホールプローブを挿入してギャップ中央で保持し、磁場のギャップ依存性を測定した。
図9における破線(a)は、超伝導体リング60は超伝導状態にはなく、超伝導体リング60で構成される超伝導体閉ループが不活性である場合におけるピーク磁場の測定結果を示し、図9における実線(b)は、超伝導体リング60は超伝導状態にあり、超伝導体リング60で構成される超伝導体閉ループが活性である場合におけるピーク磁場の測定結果を示している。この図9に示すグラフからは、超伝導体リング60により構成される超伝導体閉ループによる磁場強化がはっきりと現れている。
なお、超伝導体リング60における電流密度は、磁場強化により図9における一点鎖線(c)のように予測される。この図9における一点鎖線(c)に示す超伝導体リング60の電流密度は、ギャップのギャップ幅gを拡げると増加するが、200A/mm(超伝導体リング60の予想されたJ値)には届かないものと推定された。
即ち、ギャップを開けていくと、電流密度が前の実験で決定されたJ値である200A/mmに近づいくが、ギャップのギャップ幅gが8mmを超えると電流密度は下がり、Jが実験を通して下がっていったことを表している。この超伝導体リング60の性能劣化は、実験中における構造破損、即ちクラックの増加によるものである。

なお、上記した実験における超伝導体の200A/mmというJ値は、図5からわかるように本発明による磁場発生装置の原理を積極的に採用するには十分ではないかも知れないので、より高いJ値の超伝導体を用いることが好ましい。
しかしながら、この値は液体窒素の温度、即ち、77Kでのものであることに注意すべきである。超伝導体材料のJが温度(T)に強く依存していることは周知であり、通常、JとTとの関係は、およそ次のとおり表される。
Figure 0004482688
ここで、Jは0Kでの臨界電流密度、Tは超伝導転移温度、そして指数mはタイプIIの超伝導体のピンニング機構を示す1.0〜3.0の範囲にあるパラメータである。一例として、T=90K m=2で温度が77Kと40Kの場合のJを計算すると、J(40K)/J(77K)〜9となる。これを実験で使った超伝導体に適用すると、40KにおいてJが約1.8kA/mmであると予想できる。この場合、ギャップ5mmで本発明による磁場発生装置を備えたアンジュレータのピーク磁場を1.45Tと予想でき、これは従来のSCUで達成されているピーク磁場よりも高いものである。

即ち、本発明による磁場発生装置は、対向させた磁石あるいは磁極材などにより構成される磁極と、当該磁極の間隙を可変するための磁極間隙可変手段と、対向する磁極をそれぞれ取り囲むように設置された超伝導体閉ループとを有して構成され、対向した磁極の間隙が大きい場合でも、磁極が発生する起磁力に加えて超伝導体が起磁力を発生し、磁極のみで構成される磁気回路における磁場(磁束密度)よりも高い磁場を発生することができるようになる。
換言すると、本発明による磁場発生装置は、ギャップ(磁極間距離、磁極間隙)が可変である電磁石磁気回路あるいは永久磁石磁気回路において、上記磁気回路に鎖交する少なくとも一つの超伝導体の閉ループ(超伝導体閉ループ)を形成したものである。
当然ながら超伝導転移温度T以上の温度では超伝導体の効果はないので、超伝導体閉ループは不活性であって、上記磁気回路の総磁束およびギャップに得られる磁場(磁束密度)はギャップ幅が大(磁気抵抗が大)になるに従って急激に減少する。
一方、ギャップ幅が小(ゼロが好ましい。)に設定し、超伝導転移温度T以下となるよう超伝導体を冷却する。この状態でギャップ幅を拡げていくと、電磁誘導効果により上記磁気回路の総磁束が一定に保たれるように超伝導体閉ループに永久電流が流れる(超伝導体の基本的な性質)。つまり、磁気回路固有の起磁力に超伝導体で発生した起磁力が加算されることになり、この超伝導体閉ループの起磁力は、ギャップ幅が大になるほど大きくなる。従って、ギャップ幅が大なる状態でも、高い磁場が保たれることになる。
そして、本発明のうち請求項1に記載の発明は、対向して配置された磁極の間の間隙に磁場を発生する磁場発生方法において、対向して配置された磁極により構成される磁気回路と鎖交し、かつ、上記磁極を囲むように配置された少なくとも1つの超伝導体ループを超伝導転移温度より低い温度に冷却する第1の工程と冷却された上記超伝導体ループが起磁力を発生して上記超伝導体ループに囲まれた磁極の磁束を維持しつつ、該磁極間のギャップ幅を変更する第2の工程とを備えるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、対向して配置された磁極と、上記対向して配置された磁極の間のギャップ幅を可変するギャップ幅可変手段と、上記対向して配置された磁極により構成される磁気回路と鎖交し、かつ、上記磁極を囲むように配置された少なくとも1 つの超伝導体ループと、上記超伝導体ループを冷却する冷却装置を備え、上記冷却装置は上記超伝導体ループを超伝導転移温度以下に冷却し、上記ギャップ幅可変手段が上記対向して配置された磁極のギャップ幅を変化させるとき、冷却された上記超伝導体ループが対向して配置された磁極との間に起磁力を発生させて、上記超伝導体ループに囲まれた磁極の磁束を維持するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、本発明のうち請求項2に記載の発明において、上記超電導体ループは対向して配置された磁極のそれぞれに固定されているようにしたものである。
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、本発明のうち請求項3に記載の発明において、上記超伝導体ループは、前記磁極間のギャップに面した面上に配置されているようにしたものである。
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、本発明のうち請求項2〜4のいずれか1項に記載の発明において、上記磁極は、永久磁石、電磁石または高透磁率高飽和磁束密度特性を有する磁性体よりなるようにしたものである。
本発明は、以上説明したように構成されているので、磁極間隔を大きくしても高い磁場を発生することのできる磁場発生装置を提供することができるという優れた効果を奏する。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による磁場発生方法および磁場発生装置の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。

図10には、本発明の実施の形態の一例による磁場発生装置の概念構成斜視説明図が示されている。
この磁場発生装置100は、ギャップ幅を可変することのできる電磁石磁気回路を示すものであり、互いに間隔を開けて対向して配置された高透磁率かつ高飽和磁束密度の一対の磁性体102、104と、磁性体102の磁性体104と対向する面に並んで配設された磁極としてN極を形成するコイル106およびS極を形成するコイル108と、コイル106、108の磁性体104と対向する面にそれぞれ配設された超伝導体リング110、112と、磁性体104の磁性体102と対向する面に並んで配設された磁極としてS極を形成するコイル114およびN極を形成するコイル116と、コイル114、116の磁性体102と対向する面にそれぞれ配設された超伝導体リング118、120と、コイル106、108および超伝導体リング110、112を配設された磁性体102を磁性体104に対して接近あるいは離隔する方向(図10における矢印B方向)にギャップ幅可変駆動機構122とを備えている。
上記した構成の磁場発生装置100は、ギャップ幅gの間隔を開けて、磁性体102側のN極と磁性体104側のS極とが対向し、磁性体102側のS極と磁性体104側のN極とが対向するようになされている。また、ギャップ幅可変駆動機構122を作動することにより、ギャップ幅gを最小(ゼロが望ましい。)とすることができる。
ここで、この磁場発生装置100においては、磁場発生装置100により形成される電磁石磁気回路を鎖交する4つの超伝導体リング110、112、118、120によりそれぞれ構成される4つの超伝導体閉ループが存在する(図11を参照する。なお、図11は、磁気回路を鎖交する1つの超伝導閉ループを示している。)。さらに、この磁場発生装置100は、フリンジ効果あるいは磁束漏れが無視できる理想的なものと仮定する。

以上の構成において、磁場発生装置100により形成される電磁石磁気回路を概念的に示した図12ならびに図13を参照しながら、上記した磁場発生装置100の動作を詳細に説明する。
まず、超伝導転移温度T以上の温度(室温)では超伝導体リング110、112、118、120は超伝導状態にはないので、上記において説明したような超伝導体閉ループにより得られる効果は発生しない。従って、電磁石磁気回路の総磁束およびギャップに得られる磁場(磁束密度)は、ギャップ幅gが大(磁気抵抗大)になるにしたがって急激に減少する(図12の(1)、図13の(1)を参照する。)。
次に、超伝導転移温度T以上の温度(室温)でギャップ幅gを最小(ゼロが望ましい。)に設定した後に(図12の(2)、図13の(2)を参照する。)、超伝導転移温度T以下の温度(極低温)となるように超伝導体リングを冷却する(図12の(3)、図13の(3)を参照する。)。
この状態でギャップ幅gを拡げていくと、電磁誘導効果により電磁石磁気回路の総磁束が一定に保たれるように、超伝導体リングにより構成される超伝導体閉ループに永久電流が流れる(超伝導体の基本的な性質)。即ち、電磁石磁気回路固有の起磁力に超伝導体閉ループで発生した起磁力が加算されることになり、この超伝導体閉ループの起磁力はギャップ幅gが大きくなるほど大きくなる。従って、ギャップ幅gが大なる状態でも、高い磁場が保たれることになる(図12の(4)、図13の(4)を参照する。)。ただし、実際の磁場発生装置においては、ギャップ幅が大なるほどフリンジ効果あるいは磁束漏れが顕著になる。この場合、実際に得られる磁場は図13の(4)よりも若干低くなる。

次に、図14ならびに図15を参照して、磁極対が1組の電磁石を用いた電磁石磁気回路を備えた本発明による磁場発生装置について説明する。
なお、上記した図10に示す磁場発生装置100と同一または相当する構成については、図10において用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その詳細な構成および佐用の説明は省略する。
ここで、図14は磁場発生装置の概念構成斜視説明図を示し、図15は図14のC−C線による概略断面構成説明図を示している。
この図14ならびに図15に示される磁場発生装置140は、対向する磁極対が1組のみ設けられているとともに、磁性体102の矢印B方向へ移動をガイドするガイド部材142を備えている点において、磁場発生装置100と異なる。
従って、この磁場発生装置140によれば、ガイド部材142により磁性体102がガイドされて矢印B方向へ移動されるため、磁性体102の矢印B方向への移動を正確かつ滑らかに行うことが可能となる。

次に、図16ならびに図17を参照して、磁極対が2組の電磁石を用いた電磁石磁気回路を備えた本発明による磁場発生装置について説明する。
なお、上記した図10に示す磁場発生装置100と同一または相当する構成については、図10において用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その詳細な構成および佐用の説明は省略する。
ここで、図16は磁場発生装置の概念構成斜視説明図を示し、図17は図16のD−D線による概略断面構成説明図を示している。
この図16ならびに図17に示される磁場発生装置160は、コイル114、116および超伝導体リング118、120を配設された磁性体104を磁性体102に対して接近あるいは離隔する方向(図16および図17における矢印E方向)にギャップ幅可変駆動機構162を備えている点において、磁場発生装置100と異なる。
従って、この磁場発生装置160によれば、ギャップ幅可変駆動機構122によりコイル106、108および超伝導体リング110、112を配設された磁性体102を矢印B方向に移動することに加えて、ギャップ幅可変駆動機構162によりコイル114、116および超伝導体リング118、120を配設された磁性体104を矢印E方向に移動できるため、ギャップ幅gを可変する際の可変時間を短縮することが可能になる。

次に、図18および図19を参照して、本発明による電磁石磁気回路を備えた磁場発生装置を放射光発生用アンジュレータへ適用した場合について説明する。
ここで、図18は本発明による電磁石磁気回路を備えた磁場発生装置を組み込んだ放射光発生用アンジュレータの概念構成斜視説明図を示し、図19は図18のF−F線による概略断面構成説明図を示している。
この図18および図19に示すアンジュレータにおいては、アンジュレータの構成を大幅に変更することなく、図16ならびに図17に示される磁場発生装置の構成がそのまま利用されている。
従って、本発明による磁場発生装置を用いれば、現在各施設で利用されているアンジュレータをそのまま利用しながら、ギャップ幅gを大きくしても高い磁場を発生することができるようになる。
ここで、図20は本発明による永久磁石磁気回路を備えた磁場発生装置を組み込んだ放射光発生用アンジュレータの概念構成斜視説明図を示し、図21は図20のG−G線による要部概略断面構成説明図を示している。なお、図20ならびに図21における白抜き矢印は、着磁方向を示している。
この図20および図21に示すアンジュレータにおいては、アンジュレータの構成を大幅に変更することなく、図8に示される磁場発生装置の構成がそのまま利用されている。
従って、本発明による磁場発生装置を用いれば、現在各施設で利用されているアンジュレータをそのまま利用しながら、ギャップ幅gを大きくしても高い磁場を発生することができるようになる。

なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(4)に示すように変形することができるものである。
(1)上記した実施の形態においては、磁気回路と鎖交する超伝導体閉ループを複数備えた場合を中心に説明したが、これに限られるものではないことは勿論であり、磁気回路と鎖交する超伝導体閉ループは少なくとも一つあればよい。
(2)上記した実施の形態においては、本発明による磁場発生装置をアンジュレータに適用した場合を中心に説明したが、これに限られるものではないことは勿論であり、本発明による磁場発生装置をウィグラに適用するようにしてもよいし、あるいは、その他の磁場を使用する装置に適用するようにしてもよい。
(3)上記した実施の形態においては、ギャップを挟んで対向する電磁石あるいは永久磁石のそれぞれの対向する面に超伝導体リングを配置して超伝導体閉ループを形成することにより、磁気回路と鎖交する超伝導体閉ループを構成するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、ギャップを挟んで対向する電磁石あるいは永久磁石により形成された磁気回路内の任意の箇所に超伝導体リングを配置して、磁気回路内の任意の箇所で超伝導体閉ループが鎖交するようにしてもよい。
(4)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(3)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
本発明は、放射光発生のための挿入光源として用いることのできるアンジュレータやウィグラーといったシンクロトロン放射光源などに利用することができるものである。
図1は、本発明による磁場発生装置の原理を説明するための説明図である。 図2は、図1に示す構成において、超伝導体閉ループが不活性である場合、即ち、超伝導体リングの温度が超伝導転移温度Tより高い場合(破線(a))と、超伝導体閉ループが活性である場合、即ち、超伝導体リングの温度が超伝導転移温度Tより低い場合(実線(b))とにおける磁場の典型的なギャップ依存性を示すグラフであり、一点鎖線(c)は超伝導体内の永久電流を示している。 図3(a)(b)(c)は、本発明による磁場発生装置の原理を説明するための図1に対応する一部断面説明図である。 図4は、従来より公知の極低温永久磁石アンジュレータに本発明による磁場発生装置を用いた場合の磁気構造モデルの一例を示す構成説明図である。 図5は、図4に示す磁気構造モデルの磁気性能の一例を示すグラフである。 図6は、本願発明者が実験に用いた超伝導体リングの概略構成斜視図である。 図7は、図6に示す超伝導体リングの磁気性能を示すグラフである。 図8は、永久磁石と超伝導体と有して構成された本発明による磁場発生装置を示し、(a)は磁場発生装置の側面図であり、(b)は(a)のA矢視図、即ち、磁場発生装置の平面図である。 図8に示す磁場発生装置の磁気性能を示すグラフであり、破線(a)は、超伝導体リングは超伝導状態にはなく、超伝導体リングで構成される超伝導体閉ループが不活性である場合におけるピーク磁場の測定結果を示し、実線(b)は、超伝導体リングは超伝導状態にあり、超伝導体リングで構成される超伝導体閉ループが活性である場合におけるピーク磁場の測定結果を示し、一点鎖線(c)は、超伝導体リングにおける電流密度を示している。 図10は、本発明の実施の形態の一例による磁場発生装置の概念構成斜視説明図である。 図11は、磁気回路と超伝導体閉ループとの鎖交を示す説明図である。 図12は、図11に示す磁場発生装置により形成される電磁石磁気回路を概念的に示した説明図である。 図13は、図11に示す磁場発生装置における磁場特性を示すグラフである。 図14は、磁極対が1組の電磁石を用いた電磁石磁気回路を備えた本発明による磁場発生装置の概念構成斜視説明図である。 図15は、図14のC−C線による概略断面構成説明図である。 図16は、磁極対が2組の電磁石を用いた電磁石磁気回路を備えた本発明による磁場発生装置の概念構成斜視説明図である。 図17は、図16のD−D線による概略断面構成説明図である。 図18は、本発明による電磁石磁気回路を備えた磁場発生装置を組み込んだ放射光発生用アンジュレータの概念構成斜視説明図である。 図19は、図18のF−F線による概略断面構成説明図である。 図20は、本発明による永久磁石磁気回路を備えた磁場発生装置を組み込んだ放射光発生用アンジュレータの概念構成斜視説明図である。 図21は、図20のG−G線による要部概略断面構成説明図である。
符号の説明
10 超伝導体リング
12、14 ギャップ
16、18 ヨーク(継鉄)
20 コイル
22 電磁石
40 永久磁石
42 磁極片
44 超伝導体リング
60 超伝導体リング
60a 孔
62 ホールプローブ
80、100、140、160 磁場発生装置
82a、82b、82c、82d、82e、82f 永久磁石
102、104 磁性体
106、108、114、116 コイル
110、112、118、120 超伝導体リング
122、162 ギャップ幅可変駆動機構
142 ガイド部材
g ギャップ幅

Claims (5)

  1. 対向して配置された磁極の間の間隙に磁場を発生する磁場発生方法において、
    対向して配置された磁極により構成される磁気回路と鎖交し、かつ、前記磁極を囲むように配置された少なくとも1つの超伝導体ループを超伝導転移温度より低い温度に冷却する第1の工程と
    冷却された前記超伝導体ループが起磁力を発生して前記超伝導体ループに囲まれた磁極の磁束を維持しつつ、該磁極間のギャップ幅を変更する第2の工程とを備える
    ことを特徴とする磁場発生方法。
  2. 対向して配置された磁極と、
    前記対向して配置された磁極の間のギャップ幅を可変するギャップ幅可変手段と、
    前記対向して配置された磁極により構成される磁気回路と鎖交し、かつ、前記磁極を囲むように配置された少なくとも1 つの超伝導体ループと、
    前記超伝導体ループを冷却する冷却装置を備え、
    前記冷却装置は前記超伝導体ループを超伝導転移温度以下に冷却し、
    前記ギャップ幅可変手段が前記対向して配置された磁極のギャップ幅を変化させるとき、
    冷却された前記超伝導体ループが対向して配置された磁極との間に起磁力を発生させて、前記超伝導体ループに囲まれた磁極の磁束を維持する
    ことを特徴とする磁場発生装置。
  3. 前記超電導体ループは対向して配置された磁極のそれぞれに固定されていることを特徴とする請求項2に記載の磁場発生装置。
  4. 前記超伝導体ループは、前記磁極間のギャップに面した面上に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の磁場発生装置。
  5. 前記磁極は、永久磁石、電磁石または高透磁率高飽和磁束密度特性を有する磁性体よりなることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の磁場発生装置。
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