JP4478494B2 - 補色顔料を用いた着色組成物 - Google Patents
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Description
CCDなどのカラー撮像素子は、その受光素子上にB(青)、G(緑)、R(赤)の加法混合の原色のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタをそれぞれ配設して色分解するのが一般的である。この加法混合の原色のカラーフィルタを用いることにより、色分解の容易さと良好な色再現が得られるものの、B(青)、G(緑)、R(赤)のフィルタセグメントは、それぞれ主波長付近の狭い範囲での光の透過領域しかなく、感度低下の原因の一つとなっていた。
補色カラーフィルタの場合、補色の色情報(分光特性)から原色の色情報(分光特性)を作るため、上記Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の3色の他に、G(緑)を加え4色としたものもあり、G(緑)は、C(シアン)とY(イエロー)の2色の色重ねで作成されることもある。
しかし、染色レーキ顔料を樹脂溶液に分散した着色組成物は、分散安定性が悪いという問題があった。分散安定性が乏しい結果発生する染色レーキ顔料の粗粒子は、撮像素子のコンパクト化、高精細化により1画素サイズがより小さくなってきていることから、画素の欠落等、撮像素子欠陥の一因となっている。
また、本発明のカラーフィルタは、マゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、およびイエロー色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタであり、前記マゼンタ色フィルタセグメントが、本発明の着色組成物を用いて形成されていることを特徴とする。
本発明の着色組成物は、C.I.Pigment Red 81:2顔料と、溶解度パラメーターが9.0(cal/cm 3 ) 1/2 以下の酢酸エステル系溶剤と、顔料担体とを含有する。
C.I.Pigment Red 81:2顔料は、W.Herbst、K.Hunger著「Industrial Organic Pigments(Second Edition)」の558〜560頁に記載されている染料レーキ顔料で、BASF社から「FANAL ROSE D4830」として販売されている。
C.I.Pigment Red 81:2顔料は、着色組成物中に1.5〜7重量%の割合で含有されることが好ましい。また、C.I.Pigment Red 81:2顔料は、最終フィルタセグメント中に好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜40重量%の割合で含有され、その残部は、顔料担体により提供される樹脂質バインダーから実質的になる。
混合溶剤の溶解度パラメーターδは、次式で求められる。
δ=(X1 V1 δ1 +X2 V2 δ2 +・・・・・XnVnδn)/(X1 V1 +X2 V2 +・・・・・XnVn)
ここで、Xnは構成溶剤のモル分率、Vnは構成溶剤のモル体積、δnは構成溶剤の溶解度パラメーターである。
なかでも、C.I.Pigment Red 81:2顔料を溶解または凝集させることなく安定に分散できることから、酢酸エステル系溶剤が好ましく、特に酢酸イソアミルが好ましい。また、酢酸イソアミルおよびメトキシプロピルアセテートからなる混合溶剤は、粘性および透明性に優れるため、より好ましい。
また、酢酸イソアミルとメトキシプロピルアセテートを混合して用いる場合の混合割合は、酢酸イソアミルが16〜98重量%、メトキシプロピルアセテートが2〜84重量%であることが好ましく、酢酸イソアミルが20〜80重量%、メトキシプロピルアセテートが20〜80重量%であることがより好ましい。
透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれ、その前駆体には、活性エネルギー線照射により硬化して透明樹脂を生成する光重合性モノマーあるいはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化するときには、光重合開始剤等が添加される。
顔料を顔料担体中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を顔料担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、1μm以上の粗大粒子、好ましくは0.6μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.2μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
本発明のカラーフィルタは、マゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、およびイエロー色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタであり、前記マゼンタ色フィルタセグメントは、本発明の着色組成物を用いて形成される。また、上記3色の他に、G(緑)や、その他の色を加えても良い。
シアン色フィルタセグメントは、通常のシアン色着色組成物を用いて形成することができる。シアン色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができ、この中でも銅フタロシアニン系顔料のC.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6が好ましい。
印刷法による各色フィルタセグメントの形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に、転写法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物は、いずれの方法にも用いることができる。なお、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層を所望の転送電極、フォトダイオードを設けたシリコンウエハー上に転写させる方法である。
JIS K 5600−1−1−4.1a)により、粘性異状がなく顔料凝集がない場合は○、粘性悪く顔料凝集が認められる場合は×、その中間の場合は△と判定した。
(2)顔料分散体の粘度
B型粘度計(東機産業社製BL型)を用いて、No.2ローター、回転数6rpm、25℃における粘度を測定した。
(3)レジストの粘度
E型粘度計(東機産業社製TV20型)を用いて、1°34′×R24コーン、回転数50rpm、25℃における粘度を測定した。
洗浄乾燥した100×100×0.7mmガラス基板に、顔料分散体およびレジストを、スピンコーターで乾燥膜厚1.5μmになる様に塗布し、80℃30分乾燥した。顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて、得られた塗膜の630nmの透過率を測定した。
(5)顔料分散体塗膜およびレジスト塗膜の2μm以上の粒子個数
(4)と同様にして作製した塗膜について、マイクロスコープ(キーエンス社製「デジタルHFマイクロスコープVH8000」)を用いて、450倍、4視野(1視野:200×200μm)の画像を2値化処理し、2μm以上の粒子個数を計測した。4視野の平均粒子個数が初期0個、促進経時で2個以下を良好と判定した。
顔料分散体およびレジスト作成に使用する樹脂溶液の製造例を以下に示す。
反応容器に酢酸イソアミル800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱し、同温度でスチレン60.0部、メタクリル酸60.0部、メタクリル酸メチル65.0部、メタクリル酸ブチル65.0部、アゾビスブチロニトリル10.0部の混合物を1時間かけて滴下し、重合を行った。滴下後、さらに100℃にて3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部を酢酸イソアミル50部で溶解したものを添加し、さらに1時間反応を続け、アクリル樹脂溶液を得た。アクリル樹脂の重量平均分子量は、約40,000(GPCによる測定)であった。得られたアクリル樹脂溶液を室温まで冷却した後、樹脂溶液の一部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、不揮発分が20重量%となるように、得られた樹脂溶液に酢酸イソアミルを添加してアクリル樹脂溶液A(酢酸イソアミル溶液)を調製した。
また、溶剤をメトキシプロピルアセテートおよびシクロヘキサノンに変え、前記と同様に反応・調整し、不揮発分20重量%のアクリル樹脂溶液B(メトキシプロピルアセテート溶液)、不揮発分20重量%のアクリル樹脂溶液C(シクロヘキサノン溶液)を得た。
C.I.Pigment Red 81:2顔料(BASF製「FANAL ROSE D4830」)を用い、下記の方法にてレジストを調製した。
表1に示す組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、顔料分散体を作製した。
ついで、表2に示す組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、2μmのフィルタで濾過し、更に0.6μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型マゼンタ色レジストを得た。
なお、モノマーとしてはトリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)、光重合開始剤としては「イルガキュアー907」(チバガイギー社製)、増感剤としては「EAB−F」(保土ヶ谷化学社製)、樹脂型分散剤としてはリン酸エステル系分散剤(ビックケミー社製「Disperbyk−111」)を用いた。
Claims (4)
- C.I.Pigment Red 81:2顔料と、溶解度パラメーターが9.0(cal/cm 3 ) 1/2 以下の酢酸エステル系溶剤と、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物からなる顔料担体とを含有する着色組成物。
- 酢酸エステル系溶剤が酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の着色組成物。
- 酢酸エステル系溶剤がさらにメトキシプロピルアセテートを含む混合溶剤であることを特徴とする請求項2に記載の着色組成物。
- マゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、およびイエロー色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタであり、前記マゼンタ色フィルタセグメントが、請求項1ないし3いずれか1項に記載の着色組成物を用いて形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
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