JP4476544B6 - 酵素で切断可能な膜トランスロケーターを用いて改善されたペプチドの経口送達 - Google Patents

酵素で切断可能な膜トランスロケーターを用いて改善されたペプチドの経口送達 Download PDF

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(発明の背景)
関連出願
本出願は、2000年11月30日に出願され、現在同時係属中の米国特許仮出願番号第60/250,055号の一部継続出願である。
発明の分野
本発明は、その活性化合物がその分子構造中に複数のアミノ酸および少なくとも1個のペプチド結合を含む経口ペプチド医薬品、ならびにこのようなペプチド活性化合物を経口投与したときにその生物学的利用能を亢進する方法に関する。
関連技術の説明
多数のヒトホルモン、神経伝達物質、および他の重要な生体化合物は、その分子構造の実質的な部分としてペプチドを有している。患者においてこれらペプチド化合物の濃度が上昇すると、多数の疾患でポジティブな反応が見られる。治療に有効な量のこのような生物学的に関連するペプチドを、多様な方法で患者に投与することができる。しかし、以下でさらに考察するように、このタイプの活性化合物を好ましく経口投与することは極めて困難である。
例えば、サケカルシトニンは、骨からのカルシウムの放出を抑制するペプチドホルモンである。これは、(骨粗しょう症、パジェット病、悪性の高カルシウム血症などの)骨関連疾患やカルシウム障害を治療するために使用すると、骨密度の維持に役立つ効果がある。多数のタイプのカルシトニンが単離されている(ヒトカルシトニン、サケカルシトニン、ウナギカルシトニン、エルカトニン、ブタカルシトニン、およびニワトリカルシトニン)。様々なタイプのカルシトニンの間には、かなりの構造的相違がある。例えば、ヒトカルシトニンを構成するアミノ酸とサケカルシトニンを構成するアミノ酸とではわずか50%の同一性しかない。この分子構造の違いにもかかわらず、サケカルシトニンを、ヒトの前記カルシトニン応答性疾患の治療に使用できることがある。
従来技術で使用されているペプチド医薬品は、注射や経鼻投与によって投与されることが多い。インシュリンは、注射によって投与されることが多いペプチド医薬品の一例である。ペプチド活性化合物は胃や腸で極めて分解し易いので、より好ましい経口投与が問題になり易い。例えば、従来技術では、経口投与した場合に再現性の良いサケカルシトニン血中濃度を達成できることを報告しているものの、この血中濃度は低い。これは、サケカルシトニンが胃腸管内で十分に安定ではなく、腸壁から血中への輸送が不十分になり易いためと考えられている。しかし、注射および経鼻投与は、経口投与よりもかなり不便であり、患者の不快感も大きい。この不便さや不快感のため、かなりの患者が治療計画(treatment regimen)を承諾しなくなることが多い。したがって、インシュリン、サケカルシトニン、および本明細書により詳細に記載するペプチドなどのペプチド医薬品を、より効果的かつ再現性良く経口投与することが当分野で求められている。
胃および腸のタンパク質分解酵素は、ペプチドを分解することがあり、ペプチドが血流中に吸収される前にそれを不活性化することがある。(通常は酸性の最適pHを有する)胃のプロテアーゼによるタンパク質分解に耐えたどんな量のペプチドでも、その後、(通常は中性から塩基性の最適pHを有する)小腸のプロテアーゼおよびすい臓が分泌する酵素と対峙する。サケカルシトニンなどのペプチドの経口投与から生じる特有の問題には、その比較的大きな分子サイズと、それが運ぶ電荷の分布が関与している。このため、サケカルシトニンが腸壁に沿った粘液に浸透し、または腸の刷子縁膜を通過して血中に入ることがより困難になっているのかもしれない。
通常、真核細胞の原形質膜は、大きなペプチドやタンパク質に対しては不透過性である。しかし、フェリーペプチド(ferry peptides)または膜透過配列(membrane translocating sequences)など様々な名前で呼ばれるある種の疎水性アミノ酸配列は、機能性タンパク質のN末端またはC末端に融合したときに、膜トランスロケーター(membrane translocator)として働き、これらのタンパク質が生細胞内に入るのを仲介することができる。タンパク質を細胞内に送達させるこの方法は、潜在的に極めて有用であるものの、2つの主な欠点がある。第一に、このタンパク質は任意の特異的なタイプの細胞を標的にすることができない。したがって、このタンパク質は、注射されて血液循環(circulation)に入った後、おそらくは非特異的に、受容体が媒介することなくすべてのタイプの細胞内に入る。これは極めて大きな希釈効果をもたらし、その結果、標的とするタイプの細胞中で有効な濃度を達成するためには、極めて高い濃度のタンパク質を注射する必要がある。また、タンパク質は、非標的組織内の細胞に入ると、極めて有毒になる可能性がある。第三の欠点は、フェリーペプチドが引き続き存在することで、このタンパク質の抗原性が極めて高くなる可能性があり、その生物学的活性を妨害する可能性もあることである。この融合体を注射、経鼻、経口のいずれの経路で送達させてもこれらの欠点がある。
(発明の概要)
したがって、本発明の目的は、製薬ペプチド、例えば、インシュリン、サケカルシトニン、バソプレシン、および本明細書に記載する他のペプチドなどの生理活性ペプチド薬剤を確実に送達するための治療に有効な経口製薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、このようなペプチドの生物学的利用能を高める治療方法を提供することである。
本発明の別の目的は、サケカルシトニンを経口投与することによって、骨関連疾患およびカルシウム障害を治療する方法を提供することである。
本発明は、一態様では、生理活性ペプチド薬剤を経口送達させる製薬組成物であって、(A)血液系またはリンパ系プロテアーゼによって少なくとも部分的に切断することができる膜トランスロケーターと結合した治療に有効な量の前記活性ペプチド、(B)製薬上許容される少なくとも1種のpH降下剤および/またはプロテアーゼ阻害剤、および(C)前記活性ペプチド薬剤と胃のプロテアーゼとの接触を防止しながら、前記製薬組成物を患者の胃を通して輸送するのに有効な耐酸性保護ビヒクルを含む組成物を提供する。
好ましいペプチド活性薬剤は、インシュリン、バソプレシン、サケカルシトニン、グルカゴン様ペプチド1、副甲状腺ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、エリスロポエチン、およびそれらのアナログを含むが、これらだけに限定されない。特に好ましいのは、サケカルシトニンである。
本発明は、別の態様では、経口送達させる治療ペプチド活性薬剤の生物学的利用能を高める方法であって、(A)血しょうプロテアーゼによって少なくとも部分的に切断可能な膜トランスロケーターに前記ペプチド薬剤を結合させること、および(B)胃のプロテアーゼと前記ペプチド薬剤との接触を実質的に防止する耐酸性保護ビヒクルの保護下で、前記ペプチド活性薬剤、pH降下剤、および/またはプロテアーゼ阻害剤が患者の口および胃を通過した後に、前記膜トランスロケーターと結合した前記ペプチド活性薬剤を、少なくとも1種のpH降下剤および/またはプロテアーゼ阻害剤と共に、患者の腸内に選択的に放出することを含む方法を提供する。
本発明は、(1)一般に酸性のpHで最も活性な胃のプロテアーゼ、および(2)(一般に塩基から中性のpHで最も活性な)腸またはすい臓のプロテアーゼによるタンパク質分解攻撃からペプチドを同時に保護することによって、ペプチド活性化合物のタンパク質分解の可能性を低下させると考えられる。
また、本発明は、タンパク質分解からペプチドを保護し続けながら、膜トランスロケーターの存在によって、ペプチドが腸の刷子縁膜を通過して血中に入るプロセスを促進すると考えられる。
耐酸性保護ビヒクルは、酸性で作用する胃のプロテアーゼからペプチド活性薬剤を保護する。次いで、(ペプチド活性薬剤と混ざった)かなりの量の酸が、これら腸のプロテアーゼの最適活性範囲よりもpHを低下させることによって、中性から塩基性で作用する腸内のプロテアーゼ(例えば、管腔または消化のプロテアーゼ、および刷子縁膜のプロテアーゼ)の活性を低下させる。
有能な膜トランスロケーターは、活性ペプチド薬剤と結合すると、腸粘液層、刷子縁膜を通り、血中に入るペプチド薬剤の輸送を促進する。続いて、膜トランスロケーターは、血液系またはリンパ系プロテアーゼによって切断され、それによって活性ペプチド薬剤を患者の系内に放出する。
本発明の他の特徴および利点は、本発明の以下の詳細な説明によって明らかになるはずである。
(発明の詳細な説明)
本発明によれば、ペプチド活性成分を用いた治療を必要とする患者に、その経口製薬組成物が(適切な用量で)、好ましくは、ただし必ずしもこれらの形だけではないが、医薬品業界で一般的な大きさの錠剤またはカプセルの形で提供される。製品投与の用量と頻度を、以下により詳細に述べる。効果が期待できる患者は、ペプチド含有化合物の濃度増加に対して有利に反応する障害に罹っている患者である。例えば、本発明による経口サケカルシトニンを使用して、カルシウム障害または骨疾患に罹っている患者を治療することができる。例えば、本発明を用いて、骨粗しょう症、パジェット病、悪性の高カルシウム血症などを、経口のカルシトニン、好ましくはサケカルシトニンにより治療することができる。
サケカルシトニンは、いくつかの理由で本発明に使用される好ましい活性成分である。例えば、サケカルシトニンは、ヒト患者の医薬品として使用しても、ヒトカルシトニンと比べて多数の利点がある。ヒト骨粗しょう症の治療にヒトカルシトニンの代わりにサケカルシトニンを利用することによって提供される利点は、効力の増大、無痛、半減期の延長などである。サケカルシトニンは、天然のヒトカルシトニンよりも少ない用量で済むので、ヒトカルシトニンよりも治療効果が大きい。サケカルシトニンとヒトカルシトニンは、両カルシトニンのアミノ酸配列がわずか50%しか同一ではなく、実質的に非相同である。
サケカルシトニンを本発明に従って経口投与すると、その分子量から予想されるよりも高い生物学的利用能を予期せずして享受することができる。経口製剤では、サケカルシトニンの生物学的利用能は、本発明に従って膜トランスロケーター(MT)と結合したときにかなり増大する。
特定の理論に拘泥するものではないが、本発明の製薬組成物は、生物学的利用能に対する一連の異なる関連のない天然の障壁(natural barriers)を克服したと考えられる。この製薬組成物の多様な成分が、様々な障壁をそれぞれに適切な機序によって克服するように作用して、ペプチド活性成分の生物学的利用能に相乗効果をもたらしている。
このペプチド活性化合物は、経口投与することができる。本発明によれば、少なくとも1種のMT、好ましくは2種のMTが存在し、より好ましくは2種のペプチドMTが、腸管腔を通る融合ペプチドの膜透過性を高めて生物学的利用能を向上させる。活性ペプチドに結合したMTは血液系またはリンパ系内の酵素で切断することができ、それによって活性ペプチドが遊離してその標的に到達する。
また、本発明によれば、胃の酵素(その大部分は酸性pHで活性である)および腸やすい臓のプロテアーゼ(その大部分は中性から塩基性pHで活性である)によるペプチドおよび膜トランスロケーターのタンパク質分解が抑制される。
やはり特定の理論に拘泥するものではないが、本発明によれば、サケカルシトニンや他の活性ペプチドとそれを分解可能なあらゆる胃プロテアーゼとの接触を実質的に防止する適切な耐酸性保護ビヒクルの保護の下で、ペプチドが胃を通過して運搬されると考えられる。本発明の製薬組成物が胃を通過し、塩基性から中性のpHが支配的で、プロテアーゼが塩基性から中性の最適pHを有する傾向にある腸の領域に入ると、腸溶コーティングまたは他のビヒクルが、ペプチドと酸もしくはプロテアーゼ阻害剤を(互いに近い位置に)放出する。
この酸は、腸の(活性薬剤が放出された)局所のpHを、腸の多数のプロテアーゼおよび腸の他の酵素の最適pH範囲よりも低下させると考えられる。こうしてpHが低下すると、腸プロテアーゼのタンパク質分解活性が低下し、それによってペプチドおよび膜トランスロケーターを起こり得る分解から保護することができる。これらのプロテアーゼの活性は、本発明によりもたらされる一時的な酸性環境によって低下する。腸の局所的なpHが一時的に5.5以下、好ましくは4.7以下、より好ましくは3.5以下に低下するのに十分な酸を供給することが好ましい。以下(「pH降下剤」の項)に述べる炭酸水素ナトリウム試験は、酸の必要量を示すものである。腸のpHが低下した状態は、ペプチド薬剤の少なくともいくつかが腸壁を通過して血流中に入る機会を有するまで、ペプチド薬剤および膜トランスロケーターをタンパク質分解から保護するのに十分な時間持続することが好ましい。サケカルシトニンの場合、ラットの十二指腸、回腸、または結腸中に活性成分を直接注射したときに、サケカルシトニンの血中濃度のTmaxが5〜15分であることが実験で示された。
あるいは、プロテアーゼ阻害剤は、腸プロテアーゼのタンパク質分解活性を低下させ、それによってペプチドおよび膜トランスロケーターを早期に起こり得る分解から保護できると考えられる。
本発明の組成物は、任意選択で吸収促進剤を含むこともできる。本発明の吸収促進剤は、タンパク質分解活性が低下した状態にある間に、ペプチドの血中への吸収を相乗的に促進する。
本発明がそれによって高い生物学的利用能の目標を達成すると考えられる機序は、製薬組成物の活性成分を一緒にできるだけ同時に放出させることによって促進される。この目的のため、胃プロテアーゼからの保護を安定して提供できるように、腸溶コーティングの体積をできるだけ少なく保つことが好ましい。したがって、腸溶コーティングが、ペプチドの放出、またはそのペプチドと時間的に近い他の成分の放出を妨げる可能性が低くなる。腸溶コーティングとしては、通常、製薬組成物の残分(すなわち、腸溶コーティング以外の他の組成物成分)の重量の30%未満を添加すべきである。腸溶コーティングは、コーティングされていない成分の重量に対して、好ましくは20%未満、より好ましくは10%〜20%を添加する。
吸収促進剤は、(以下により詳細に示す)溶解促進剤および/または輸送促進剤であってもよく、ペプチド薬剤が腸から血液へ輸送されるのを助け、また、腸のpHが低く腸のタンパク質分解活性が低い期間により多く輸送されるようにこのプロセスを促進することができる。多数の界面活性剤は、溶解促進剤としても輸送(摂取)促進剤としても作用し得る。やはり特定の理論に拘泥するものではないが、溶解性が高くなると、(1)本発明の活性成分が腸の水性部分(aqueous portion)に同時により多く放出され、(2)腸壁に沿った粘液層中へのペプチドの溶解および輸送が促進されると考えられる。ペプチド活性成分が腸壁に達すると、摂取促進剤(uptake enhancer)が、経細胞輸送または傍細胞輸送のいずれでも腸の刷子縁膜を経由する血中への輸送を促進する。以下により詳細に考察するように、多数の好ましい化合物が両機能を提供することができる。この場合、これら両機能を利用した好ましい実施形態では、わずか1種の化合物を製薬組成物に追加することでこれら両方の機能を付与することができる。別の実施形態では、別個の吸収促進剤が、この2つの機能を個別に提供することができる。
本発明の製薬組成物の好ましい成分のそれぞれを、以下に個別に考察する。複数のpH降下剤や複数の促進剤の組合せも、単一のpH降下剤および/または単一の促進剤だけを使用するのと同様に使用することができる。いくつかの好ましい組合せも以下で考察する。
ペプチド活性成分
本発明による経口送達の利点を得るペプチド活性成分には、生理活性で、その分子構造中に複数のアミノ酸と少なくとも1つのペプチド結合を有するあらゆる治療薬が含まれる。これらのペプチド活性成分を、腸への吸収を促進するためにMT配列と結合させる。このMTを、その吸収前に胃および腸内のプロテアーゼによって切断されないように保護しなければならない。しかし、吸収された後は、MTは少なくとも部分的にプロテアーゼによって除去されて活性ペプチドを遊離できるべきである。
MTは、アミノ酸配列、好ましくは単一のペプチドまたはシグナル配列を含むことができる。本明細書で使用する「シグナルペプチド」とは、必ずしもそうである必要はないが、一般に約10個〜約50個またはそれ以上のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列であり、その残基の多く(通常約55〜60%)は疎水性であるため、それらは疎水性で脂溶性の部分を有する。疎水性部分はシグナルペプチドの共通の主要なモチーフであり、細胞から分泌されるタンパク質のシグナルペプチドの中心部分であることが多い。シグナルペプチドは、細胞膜を貫通して細胞タンパク質の搬出を可能にすることができるペプチドである。本発明のシグナルペプチドは、本明細書でわかるように「移入適格(importation competent)」でもあり、すなわち細胞外部から細胞内部に細胞膜を通過して侵入することができる。このアミノ酸残基は、ペプチドのトランスロケーション媒介機能(translocation-mediating function)にその改変が影響しない限り、変異かつ/または修飾(すなわち、ミメティック(mimetics)を形成)することができる。したがって、本明細書で使用する「ペプチド」という語はミメティックを含み、「アミノ酸」という語は修飾アミノ酸を含み、異常アミノ酸およびD型アミノ酸を含む。本明細書に包含される移入適格なシグナルペプチドはすべて、細胞外部から細胞内部への細胞膜を通るトランスロケーションを媒介する機能を有する。これらは、タンパク質を細胞から外部環境に搬出する能力も保有することができる。選択した任意のタイプの細胞に対する特異性の試験も含めて、本明細書の教示に従って、想定されるシグナルペプチドの移入活性を容易に試験することができる。
次の表1はアミノ酸配列を例示したものであり、それぞれMTとして使用することができる。
Figure 0004476544
MTは、脂肪酸および/または胆汁酸も含むことができる。このような分子は、使用時に、血しょう中のプロテアーゼにより切断され易いアミノ酸架橋によって活性ペプチドに結合する。あるいは、MTは、非ペプチジル(non-peptidyl)結合によって活性ペプチドに結合することができ、この場合、この結合を切断するインビボの酵素はプロテアーゼ以外の酵素であってもよい。アミノ酸架橋は、少なくとも1種の血しょうプロテアーゼによる切断の標的でなければならない。血しょうプロテアーゼならびにそれらの標的配列は、当分野ではよく知られている。表2は、これら酵素のいくつかとその特異的標的を例示したものである。
Figure 0004476544
本発明は、いくつかの機序により、MTと結合した活性成分がプロテアーゼによって分解されるのを抑制する。活性成分がMTと結合していなければ、その1個または複数のペプチド結合がプロテアーゼによって切断される傾向にある。この活性成分の分子構造は、さらに他の置換基または修飾を含むことができる。例えば、本明細書の好ましいペプチド活性薬剤であるサケカルシトニンは、そのC末端をアミド化することができる。合成および天然ペプチドを、本発明に従って経口で送達させることができる。
本発明のペプチド活性化合物としては、インシュリン、バソプレシン、カルシトニン(好ましいサケカルシトニンだけでなく、他のカルシトニンも同様に含む)が挙げられるが、これらだけに限定されない。他の例は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、副甲状腺ホルモン、黄体形成ホルモン放出因子、エリスロポエチン、組織プラスミノゲンアクチベーター、ヒト成長ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、種々のインターロイキン、エンケファリン、グルカゴン様ペプチド1、およびこれらのすべてのアナログである。他にも多くの化合物が当分野で知られている。本発明により提供されるこうした切断の減少に加え、腸からのこのような化合物の吸収が促進されるので、胃腸管内で切断され易いペプチド結合を有するあらゆる製薬化合物が、本発明の経口送達による利点を得ると期待される。
サケカルシトニンを使用する場合、(腸溶コーティングを除く)製薬組成物全体の総重量に対して、サケカルシトニンは0.02〜0.2重量%であることが好ましい。サケカルシトニンは(例えば、BACHEM、Torrence、カリフォルニア州から)市販されている。あるいは、サケカルシトニンは既知の方法によって合成することができ、そのいくつかを以下に簡単に述べる。他のペプチド活性薬剤は、活性化合物の所望の目標血中濃度、および本発明の経口送達系におけるその薬剤の生物学的利用能に応じて高濃度または低濃度とすべきである。
サケカルシトニン前駆体を、当分野で既知の化学合成または組換え合成(recombinant syntheses)によって生成させることができる。他のアミド化ペプチド活性薬剤の前駆体も、同様の方法で生成させることができる。組換え合成の方が、費用効果がかなり高いと考えられる。前駆体は、やはり当分野で既知のアミド化反応によって活性サケカルシトニンに転化される。例えば、酵素によるアミド化が米国特許第4,708,934号および欧州特許公報第0 308 067号および第0 382 403号に記載されている。組換え合成は、前駆体にとっても、前駆体のサケカルシトニンへの転化を触媒する酵素にとっても好ましい。このような組換え合成は、Biotechnology、11巻(1993)64〜70頁で考察されており、これにはさらに前駆体のアミド化産物への転化についても記載されている。そこで報告されている組換え産物は、天然のサケカルシトニン、ならびに液相および固相化学ペプチド合成により生成されるサケカルシトニンと同一のものである。
MTと活性ペプチド成分を、当分野で知られている化学合成または組換え合成により結合させることもできる。本明細書で使用する「結合」は、MTが細胞膜を通過するときに、活性ペプチドも細胞膜を通過して移入されるように、生物学的に活性なペプチドがMTに結合していることを意味する。このような結合手段の例としては、(A)ペプチド結合によってMTを活性ペプチドに結合させること、すなわち2個のペプチド(MTのペプチド部分と活性ペプチド)を隣接して合成できる、(B)(架橋剤によってシグナルペプチドをタンパク質に結合させることなど)非ペプチド共有結合によってMTを活性ペプチドに結合させること、(C)化学連結法(chemical ligation methods)を用いて、シグナルペプチドなどのMTのカルボキシ末端アミノ酸と活性ペプチドとの共有結合を形成させることが挙げられる。
方法(A)の例を以下に示すが、ここでは、ペプチドは当分野で知られている標準の手段によって合成され(Merrifield、J.Am.Chem.Soc.85:2149〜2154、1963;およびLin等、Biochemistry 27:5640〜5645、1988)、アミノ末端、シグナルペプチド配列(MT)、血しょうプロテアーゼで切断できるアミノ酸配列、および生物学的に活性なアミノ酸配列をこの順で直線的に含有する。このようなペプチドは、前記アミノ酸をコードする組換え構築体から発現されてペプチドが生成する組換えDNA技術でも産生することができる(Sambrook等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、ニューヨーク州、1989)。
方法(B)の場合、前記ペプチド結合を利用しても、非ペプチド共有結合を使用しても、生物学的に活性なペプチド、ポリペプチドすなわちタンパク質とMTを結合させることができる。この非ペプチド共有結合は、ペプチド、ポリペプチドすなわちタンパク質を、架橋剤、例えばグルタルアルデヒドによってMTと結合させるなど、当分野で標準の方法によって形成させることができる。このような方法は当分野では標準的である(Walter等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:5197;1980)。
方法(C)の場合、シグナルペプチドのカルボキシ末端アミノ酸と相互作用する化学架橋剤を用いるなど、標準の化学連結法を利用することができる。このような方法は当分野では標準的であり(Goodfriend等、Science 143:1344;1964、この論文では水溶性カルボジイミドを連結剤(ligating reagent)として用いている)、容易に実施してシグナルペプチドのカルボキシ末端を、選択した任意の生物学的に活性な分子と結合させることができる。
好ましい組換えサケカルシトニン(rsCT)の生成は、例えば、可溶性融合タンパク質としてグリシンによって伸長されたサケカルシトニン前駆体を、グルタチオン-S-トランスフェラーゼを用いて大腸菌中で産生することによって進めることができる。このグリシンによって伸長された前駆体は、先に引用したBiotechnologyの文献に記載されているように、C末端以外は活性サケカルシトニンと同じ分子構造を有している(サケカルシトニンは-pro-NH2で終結し、この前駆体は-pro-glyで終結する。前記文献に記載されているαアミド化酵素は、前駆体がサケカルシトニンに転化するのを触媒する。この酵素は、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中での、組換えによって産生することが好ましい)。他のアミド化ペプチドに対する他の前駆体も同様に生成させることができる。アミド化または他の追加の官能基を必要としないペプチドも同様に生成させることができる。他のペプチド活性薬剤は、市場で入手可能であり、当分野で知られている技術で生成させることもできる。
pH降下剤およびプロテアーゼ阻害剤
サケカルシトニンの投与ごとに投与されるpH降下剤化合物の総量は、腸内に放出される場合、好ましくは、腸内の局所的なpHを腸内のプロテアーゼに最適なpHよりも実質的に低下させるのに十分な量とすべきである。その必要量は、(以下に考察する)使用するpH降下剤のタイプ、および投与したpH降下剤によって供給される水素イオンの当量を含めて、いくつかの因子により必然的に変わる。実際には、良好な生物学的利用能を付与するのに必要な量は、10mlの0.1M炭酸水素ナトリウム溶液に添加したときに、この炭酸水素ナトリウム溶液のpHを5.5以下、好ましくは4.7以下、最も好ましくは3.5以下に低下させる量である。前記試験でpHを約2.8に低下させるのに十分な酸を、いくつかの実施形態では使用することができる。好ましくは少なくとも300mg、より好ましくは少なくとも400mgのpH降下剤を、本発明の製薬組成物に使用する。前記の好ましい量は、2種類以上のこのような薬剤を併用する場合には、pH降下剤すべての総重量に関する量となる。pH降下化合物と共に放出された場合、前記炭酸水素ナトリウム試験のpHが5.5以下に低下するのを妨げる量のいかなる塩基も経口製剤は含むべきではない。
本発明のpH降下剤としては、胃腸管内で無毒であり、水素イオン(一般的な酸)を送達できるか、局所環境から大量の水素イオンを誘導できる製薬上許容されるどんな化合物でもよい。このpH降下剤は、このような化合物の任意の組合せでもよい。本発明で使用する少なくとも1種のpH降下剤は、4.2以下、好ましくは3.0以下のpKaを有することが好ましい。また、このpH降下剤は、室温で水100ml当たり少なくとも30gの水溶性を有することが好ましい。
大量の水素イオンを誘導する化合物の例は、塩化アルミニウムおよび塩化亜鉛である。製薬上許容される一般的な酸としては、アミノ酸の酸性塩(例えば、アミノ酸塩酸塩)またはその誘導体が挙げられるが、これらだけに限定されない。このアミノ酸酸性塩の例は、アセチルグルタミン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベタイン、カルニチン、カルノシン、シトルリン、クレアチン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、ヒドロキシプロリン、ヒポタウリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチルヒスチジン、ノルロイシン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、サルコシン、セリン、タウリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンの酸性塩である。
有用なpH降下化合物の他の例は、アセチルサリチル酸、酢酸、アスコルビン酸、クエン酸、フマル酸、グルクロン酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリコール酸、グリオキシル酸、イソクエン酸、イソ吉草酸、乳酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、オキサロコハク酸、プロピオン酸、ピルビン酸、コハク酸、酒石酸、吉草酸などのカルボン酸である。
当分野でいつも「酸」と呼ばれるわけではないが、それにもかかわらず本発明に従えば有用となり得る他の有用なpH降下剤は、リン酸エステル(例えば、フルクトース1,6二リン酸塩、グルコース1,6二リン酸塩、ホスホグリセリン酸、およびジホスホグリセリン酸)である。CARBOPOL(商標)(商標BF Goodrich)、およびポリカルボフィルなどのポリマーもpHを低下させるのに使用することができる。
前記の炭酸水素ナトリウム試験で必要とされる5.5以下のpHレベルを実現するpH降下剤のどんな組合せでも使用することができる。好ましい一実施形態では、この製薬組成物の少なくとも1種のpH降下剤として、クエン酸、酒石酸、およびアミノ酸の酸性塩からなる群から選択される酸を利用する。
サケカルシトニンをペプチド活性薬剤とする場合、特定の比率のpH降下剤とサケカルシトニンが、特に有効であることが判明した。pH降下剤とサケカルシトニンの重量比が、200:1、好ましくは800:1、最も好ましくは2000:1を超えることが好ましい。
pH降下剤を使用する代わりに、またはそれに加えて使用されるのは、プロテアーゼ阻害剤、特に腸プロテアーゼ阻害剤である。以下の表3に、既知のいくつかの腸プロテアーゼを例示する。
Figure 0004476544
任意に選択できる成分-吸収促進剤
吸収促進剤は、使用する場合、(腸溶コーティングを除く)製薬組成物の全重量に対して0.1〜20.0重量%の量で存在することが好ましい。好ましい吸収促進剤は、溶解促進剤としても摂取促進剤としても作用する界面活性剤である。一般に、「溶解促進剤」は、本発明の成分が始めに放出される水性の環境中または腸壁の内側を覆う粘液層の親油性環境中のいずれかまたは両方に本発明の成分が可溶化する能力を向上させる。「輸送(摂取)促進剤」(これは、溶解促進剤として用いられる界面活性剤と同じものである場合が多い)は、ペプチド薬剤が腸壁を通るのを容易にするものである。
本発明の範囲内で、1種または複数の吸収促進剤が、ただ1つの機能(例えば、溶解性)しか示さなくとも、あるいは1種または複数の吸収促進剤が他の機能だけ(例えば、摂取)しか示さなくともよい。そのいくつかが溶解性を向上させ、そのいくつかが摂取を向上させ、かつ/またはそのいくつかが溶解性と摂取の両方を向上させる、いくつかの化合物の混合物を含むことも可能である。特定の理論に拘泥するものではないが、摂取促進剤は、(1)腸細胞の外側にある膜の疎水性領域の不規則性を増加させて、経細胞輸送を増加させる、または(2)膜タンパク質を浸出させて経細胞輸送を増加させる、あるいは(3)細胞間の細孔半径を広げて傍細胞輸送を増加させることによって作用すると考えられる。
界面活性剤は、溶解促進剤としても、摂取促進剤としても有用であると考えられる。例えば、界面活性剤は、(1)活性成分のすべてをそれらが始めに放出される水性の環境中に素早く可溶化させること、(2)本発明の成分、特にペプチド活性薬剤の親油性を増大させて、それが腸粘液中に入り、そこを通過するのを助けること、(3)一般に極性であるペプチド活性薬剤が、刷子縁膜の上皮性関門を通過する能力を高めること、および(4)前記経細胞または傍細胞輸送を増大させることに有用である。
界面活性剤を吸収促進剤として使用する場合、製造プロセス中のカプセルの混合および充填を容易にするためにそれらは易流動性の粉体であることが好ましい。サケカルシトニンや他のペプチドに固有な諸特性(例えば、それらの等電点、分子量、アミノ酸組成など)のために、特定の界面活性剤と最もよく相互作用するのは特定のペプチドである。実際、サケカルシトニンの帯電部分と不必要に相互作用してその吸収を妨害し、生物学的利用能を低下させる望ましくない結果となる場合がある。サケカルシトニンまたは他のペプチドの生物学的利用能を高めようとする場合、吸収促進剤として使用する任意の界面活性剤を、(i)コレステロール誘導体(例えば、胆汁酸)の陰イオン界面活性剤、(ii)陽イオン界面剤(例えば、アシルカルニチン、リン脂質など)、(iii)非イオン界面活性剤、および(iv)陰イオン界面活性剤(特に、直鎖の炭化水素領域を有するもの)と陰電荷中和剤との混合物からなる群から選択することが好ましい。陰電荷中和剤としては、アシルカルニチン、塩化セチルピリジニウムなどが挙げられるが、これらだけに限定されない。吸収促進剤は、酸性のpH、特に3.0〜5.0の範囲で可溶であることが好ましい。
サケカルシトニンとよく作用する特に好ましい組合せの1つは、酸性pHで共に可溶な陽イオン界面活性剤とコレステロール誘導体の陰イオン界面活性剤との混合物である。
特に好ましい組合せは、酸可溶性の胆汁酸と陽イオン界面活性剤である。アシルカルニチンとショ糖エステルも良好な組合せである。特定の吸収促進剤を単独で使用する場合、それは陽イオン界面活性剤であることが好ましい。アシルカルニチン(例えば、ラウロイルカルニチン)、リン脂質、および胆汁酸は特に良好な吸収促進剤であり、特にアシルカルニチンは良好な吸収促進剤である。コレステロール誘導体の陰イオン界面活性剤も、いくつかの実施形態で使用する。ペプチド薬剤の血中への吸収を妨害するペプチド薬剤相互作用を回避することがこれら好ましい形態の意図するところである。
副作用の可能性を低下させるために、本発明の吸収促進剤として使用した場合に好ましい界面活性剤は、生分解性または再吸収性(例えば、胆汁酸、リン脂質、および/またはアシルカルニチンなどの生物学的に再利用可能な化合物)、好ましくは生分解性である。アシルカルニチンは、傍細胞輸送を促進するのに特に有用と考えられる。胆汁酸(または直鎖炭化水素を欠く他の陰イオン界面活性剤)を陽イオン界面活性剤と併用すると、サケカルシトニンの腸壁への輸送も、腸壁を通る輸送も共により良好になる。
好ましい吸収促進剤としては、(a)サリチル酸ナトリウム、3-メトキシサリチル酸塩、5-メトキシサリチル酸塩、ホモバニリン酸塩などのサリチル酸塩、(b)タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、デオキシコール酸、コール酸、グリコール酸、リトコール酸塩(lithocholate)、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、ウルソコール酸、デヒドロコール酸、フシジン酸などの胆汁酸、(c)ポリオキシエチレンエーテル(例えば、Brij 36T、Brij 52、Brij 56、Brij 76、Brij 96、Texaphor A6、Texaphor A14、Texaphor A60など)、p-t-オクチルフェノールポリオキシエチレン(Triton X-45、Triton X-100、Triton X-114、Triton X-305など)、ノニルフェノキシポリオキシエチレン(例えば、Igepal COシリーズ)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、Tween-20、Tween-80など)の非イオン界面活性剤、(d)スルホコハク酸ジオクチルナトリウムなどの陰イオン界面活性剤、(e)リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミンなどのリゾリン脂質、(f)ラウロイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ラウロイルコリン、ミリストイルコリン、パルミトイルコリン、ヘキサデシルリジン、N-アシルフェニルアラニン、N-アシルグリシンなどのアシルカルニチン、アシルコリン、およびアシルアミノ酸、g)水溶性リン脂質、(h)中鎖長脂肪酸(カプリル酸、カプリン酸、およびラウリン酸)を含むモノ-、ジ-、およびトリグリセリドの混合物である中鎖グリセリド、(i)エチレンジアミン四酢酸、(j)塩化セチルピリジニウムなどの陽イオン界面活性剤、(k)Labrasol、Labrafacなどポリエチレングリコールの脂肪酸誘導体、および(l)ラウリルマルトシド、ラウロイルスクロース、ミリストイルスクロース、パルミトイルスクロースなどのアルキルサッカライドなどが挙げられる。
特定の理論に拘泥するものではないが、いくつかの好ましい実施形態では、陽イオン交換剤(例えば、界面活性剤)を入れて、別の可能な機序により溶解性を促進している。特に、陽イオン交換剤は、サケカルシトニンや他のペプチド活性薬剤が粘液に結合するのを防止することがある。好ましい陽イオン交換剤としては、塩化プロタミンまたは他のポリカチオンが挙げられる。
他の任意に選択できる成分
水溶性バリアが、プロテアーゼ阻害剤および/またはpH降下剤を耐酸性保護ビヒクルから分離することが好ましい。従来の製薬カプセルを、このバリアを設けるために使用することができる。多数の水溶性バリアが当分野で知られており、それにはヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび従来の製薬用ゼラチンが含まれるが、これらだけに限定されない。
いくつかの好ましい実施形態では、別のペプチド(アルブミン、カゼイン、大豆タンパク質、他の動物性または植物性タンパク質など)を入れて、非特異的な吸着(例えば、ペプチドの腸粘液バリアへの結合)を抑制し、それによって高価なペプチド活性薬剤の必要濃度を低下させる。ペプチドは、添加する場合、(保護ビヒクルを除く)製薬組成物総量に対して1.0〜10.0重量%が好ましい。好ましくは、この第2のペプチドは、生理的に活性ではなく、最も好ましくは大豆ペプチドなどの食用ペプチドである。特定の理論に拘泥するものではないが、この第2のペプチドは、プロテアーゼ相互作用に対して、望ましくはペプチド活性薬剤と競合するプロテアーゼ捕捉剤として作用することによって、生物学的利用能を増加させてもよい。第2のペプチドは、活性化合物が肝臓を通過するのを助けることもできる。
本発明の製薬組成物はすべて、必要に応じて、通常の製薬用稀釈剤、すべり剤(glidents)、潤滑剤、ゼラチンカプセル、防腐剤、着色剤などを一般に知られている大きさおよび量で含むことができる。
保護ビヒクル
サケカルシトニンを胃プロテアーゼから保護し、次いで本発明の他の成分が腸内で放出されるように溶解する任意の担体またはビヒクルが適切である。このような多数の腸溶コーティングが当分野で知られており、本発明に有用である。その例は、酢酸フタル酸セルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルエチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシルメチルエチルセルロース、およびメタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマーである。いくつかの実施形態では、活性ペプチド、溶解および/または摂取促進剤などの吸収促進剤、およびpH降下化合物が、本発明の成分が保護されて胃を通過できるように十分に粘稠な保護シロップ中に含まれている。
ペプチド薬剤を胃プロテアーゼから保護する好ましい腸溶コーティングを、例えば、本発明のその他の成分をカプセルに充填した後にカプセルに施すことができる。別の実施形態では、腸溶コーティングを錠剤の外面に塗布し、または活性成分粒子の外面に塗布する。この活性成分粒子は、次いで、錠剤の形にプレスされ、あるいは腸溶コーティングでそれ自体が好ましくは被覆されたカプセル中に充填される。
本発明のすべての成分が、担体またはビヒクルから放出され、腸環境中にできるだけ同時に可溶化することが極めて望ましい。ビヒクルまたは担体は活性成分を小腸で放出することが好ましい。経細胞または傍細胞輸送を増大させる摂取促進剤は、小腸では、同じ摂取促進剤が後に結腸中で放出される場合よりも望ましくない副作用を起こす可能性が低い。しかし、本発明が小腸中と同様に結腸中でも有効であると考えられることを強調しておく。前記のものに加え、多数のビヒクルや担体が当分野では知られている。(特に、本発明の成分が同時に放出される仕方を最適化するのに)腸溶コーティングの量を抑えることが望ましい。腸溶コーティングは、製薬組成物の残り(「残り」とは、腸溶コーティング自体を除いた製薬組成物である)の重量に対して30%以下であることが好ましい。腸溶コーティングは、より好ましくは、コーティングされていない組成物の重量に対して20%未満、特に12%〜20%である。腸溶コーティングは、好ましくは、0.1N HC1中で少なくとも2時間は本発明の製薬組成物の分解を防止するに十分なものであり、その後pHを6.3に上昇させてから30分以内にその製薬組成物のすべての内容物を、毎分100回転で前記組成物を撹拌している溶解浴中に放出させることができるべきである。
他の好ましい形態(Preferences)
好ましくは、pH降下剤および/またはプロテアーゼ阻害剤と吸収促進剤との重量比は、それらを使用する場合、3:1〜20:1、好ましくは4:1〜12:1、最も好ましくは5:1〜10:1である。所与の製薬組成物中のすべてのpH降下剤および/またはプロテアーゼ阻害剤の総重量、ならびにすべての吸収促進剤の総重量は、前記好ましい比率の中に含まれる。例えば、製薬組成物が2種のpH降下剤と3種の吸収促進剤を含む場合、2種のpH降下剤の総重量と3種すべての吸収促進剤の総重量をもとに前記比率を計算することになる。
pH降下剤および/またはプロテアーゼ阻害剤、ペプチド活性薬剤、および吸収促進剤は、使用する場合、(各範ちゅうの単一化合物であれ、複数の化合物であれ)製薬組成物中に均一に分散していることが好ましい。一実施形態では、製薬組成物は、ペプチド活性薬剤を含む製薬バインダーと、このバインダー中に均一に分散したpH降下剤および吸収促進剤とを含有する顆粒を含んでいる。好ましい顆粒は、有機酸の均一層と、促進剤層と、外側を有機酸の層で包まれたペプチド層とによって包まれた酸のコアからなっていてもよい。顆粒は、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの製薬バインダー、ならびに本発明のpH降下剤、吸収促進剤、およびペプチド活性薬剤からなる水性混合物から調製することができる。
製造方法
本発明の好ましい製薬組成物は、MTに結合したサケカルシトニン0.25mg、顆粒状クエン酸(例えば、Archer Daniels Midland Corp.から市販)400mg、タウロデオキシコール酸50mg(例えば、SIGMAから市販)、ラウロイルカルニチン50mg(SIGMA)を充填した00号のゼラチンカプセルを含んでいる。
成分はすべて、好ましくは最終的にゼラチンカプセル中に入れられ、好ましくは任意の順序でブレンダー中に添加される粉体である。その後、ブレンダーを約3分間運転して、粉体を完全に混合させる。次いで、混合した粉体を、ゼラチンカプセルの大きな片側に充填する。次いで、カプセルのもう一方の片側に充填して、パチンとカプセルを嵌める。500個以上のこのようなカプセルをコーティング装置に入れることができる(例えば、Vector LDCS 20/30ラボラトリーディベロップメントコーティングシステム(Laboratory Development Coating System)(Vector Corp.、Marion、アイオワ州から市販))。
腸溶コーティング溶液を次のようにして作製する。500グラムのEUDRAGIT L30 D-55(メタクリル酸メチルエステルとメタクリル酸のコポリマー、ROHM Tech Inc.、Maidan、マサチューセッツ州から市販の腸溶コーティング)を計量する。411グラムの蒸留水、15グラムのクエン酸トリエチル、および38グラムのタルクを添加する。このコーティング量は、約500個の00号のカプセルをコーティングするのに十分である。
カプセルを計量し、コーティング装置のドラム中に置く。この装置のスイッチを入れて(この時にはカプセルが入っている)ドラムを24〜28rpmで回転させる。入口の噴霧器の温度は、好ましくは約45℃である。排出ガスの温度は、好ましくは約30℃である。コーティングされていないカプセルの温度は、好ましくは約25℃である。空気流量は、毎分約38立方フィート(1.1m3)である。
次いで、前記と同様に調製したコーティング溶液中にこの装置のチューブを挿入する。次いで、ポンプのスイッチを入れて、溶液をコーティング装置に送る。次いで、コーティングが自動的に進行する。装置を任意の時間で停止し、カプセルを計量してコーティング量が十分かどうかを判定することができる。通常はコーティングを60分間行う。次いで、コーティングしたカプセルの乾燥を促進するようにまだ装置を運転しながら、ポンプを約5分間停止させる。次いで、装置を停止させることができる。これでカプセルのコーティングは終わりであるが、カプセルを約2日間空気乾燥することが推奨される。
本発明による生物学的利用能の増大により、本発明の医薬製剤中の高価なサケカルシトニンの濃度を比較的低く保つことができる。具体的な製剤の例を以下の例で示す。
患者の治療
サケカルシトニンを骨粗しょう症の治療の活性成分として選択する場合、定期的に投与することが推奨される。サケカルシトニンは、ヒトに皮下投与してからわずか20〜40分の半減期で急速に代謝される。しかし、破骨細胞に対するその薬効はそれよりもかなり長続きし、血中濃度が急速に低下するのにもかかわらず24時間以上持続することがある。従来の投与では、通常、サケカルシトニンの注射後2時間以上血中濃度が検出されない。したがって、週に約5日定期的に1用量を投与することが好ましい。サケカルシトニン(100国際単位)を皮下投与すると、最高血清濃度は約250ピコグラム/ミリリットルとなることが多い。経鼻投与したサケカルシトニン(200国際単位)は、わずか10ピコグラム/ミリリットルの最高濃度で骨粗しょう症に対して有効であることが判明した。(例えば、200ピコグラム/ミリリットル以上の)高い最高濃度で、ある胃腸障害を訴えた患者もいる。したがって、血清サケカルシトニンの最高濃度は10〜150ピコグラム/ミリリットル、より好ましくは10〜50ピコグラム/ミリリットルが好ましい。血清濃度は、当分野で知られている放射免疫測定法によって測定することができる。主治医は、特に治療の初期フェーズ(1〜6カ月)中の患者の反応、サケカルシトニン血中濃度、または(尿中のピリジノリンまたはデオキシピリジノリンなどの)骨疾患代理マーカーをモニターすることができる。次いで、主治医は、投与量を幾分変えて個々の患者の代謝と反応をみることができる。
本発明によって達成可能な生物学的利用能により、カプセル当たりわずか10〜1,000マイクログラム、好ましくは10〜400マイクログラム、特に10〜200マイクログラムのサケカルシトニンを用いて、先に特定した好ましい濃度レベルでサケカルシトニンを血中に経口送達させることが可能となる。
単一カプセルは、ポリペプチド、pH降下剤、および吸収促進剤を同時放出するのに最もよいので、各投与で単一カプセルを使用することが好ましい。酸は、ポリペプチドの放出と時間的に接近して放出されるときに、ポリペプチドに対する望ましくないタンパク質分解攻撃を最も抑制できるので、各投与で単一カプセルを使用することが極めて望ましい。本発明の成分すべてを単一のピルやカプセルとして投与することによって、ほぼ同時の放出を最適に達成できる。しかし、本発明は、例えば、酸および促進剤を使用する場合、その必要量を2個以上のカプセルに分け、それらを一緒に投与して成分すべての必要量を供給することも含む。本明細書で使用する「製薬組成物」とは、それが実質的に同時投与されるものである限りどう分割しようとヒト患者に対する特定の投与に適切である完全な製剤を含むものである。
実施例1-サケカルシトニン(sCT)の精製融合ペプチドおよび酵素で切断可能な膜トランスロケーター(MT)の調製
1.サケカルシトニン(sCT)の融合ペプチドおよび酵素で切断可能な膜トランスロケーター(MT)の構築
HIV TATタンパク質のタンパク質導入領域に対応する膜トランスロケーター配列を使用した。このMTのアミノ酸配列は以下の通りである。
TYR-GLY-ARG-LYS-LYS-ARG-ARG-GLN-ARG-ARG-ARG(配列番号18)。
このMT配列の下流は、酵素で切断可能な配列TRP-VAL-ALAである。この後にsCT-Glyに対する33アミノ酸配列が続く。
CYS-SER-ASN-LEU-SER-THR-CYS-VAL-LEU-GLY-LYS-LEU-SER-GLN-GLU-LEU-HIS-LYS-LEU-GLN-THR-TYR-PRO-ARG-THR-ASN-THR-GLY-SER-GLY-THR-PRO-GLY (配列番号19)
得られる融合配列の模式図を以下に示す。
Figure 0004476544
TRP-VAL-ALA配列は、まずエンドセリン変換酵素によってTRPとVALとの間が切断可能であり、生成するVAL-ALA-sCT-GLY配列は、ジペプチジルペプチダーゼIVによって切断可能で真正のsCT-Glyを遊離する。
この融合体のDNA配列を以下のようにして構築した。
2種の合成オリゴヌクレオチドを作製した。
オリゴ1(+)57:
5'-CCTACGGTCGTAAAAAACGTCGTCAGCGTCGTCGTTGGGTTGCGTGTTCTAACTTGT-3'(配列番号20)
オリゴ2(-)59:
5'-AGACAAGTTAGAACACGCAACCCAACGACGACGCTGACGACGTTTTTTACGACCGTAGG-3'(配列番号21)
オリゴ1および2は、MT配列、適切なベクターに連結するための5'末端側アミノ酸、酵素で切断可能な配列、およびsCT-Gly配列(配列番号22)の最初の4個のアミノ酸(CYS-SER-ASN-LEU)をコードする。マイナス鎖オリゴヌクレオチドを5'末端でリン酸化した。オリゴ1とオリゴ2をアニーリングし連結して二重鎖DNA配列を構築した。3'末端に形成されたオーバーハングは、Acc Iに適合する(compatible)付着末端を生成した。
sCT遺伝子を含む予め構築した発現プラスミドであるプラスミドpsCT025(図3参照)からの、または他の任意の適切なsCT遺伝子源からの適切な領域をPCR増幅してsCT-Glyの遺伝子を得た。PCR増幅に使用するプライマーから、sCT遺伝子全部を含む125bpの増幅断片を生成させた。PCR増幅は、Boehringer Mannheimの市販キットを用いて実施した。PCRサイクルを以下のように実施した。
94℃-2分-1サイクル
94℃-30秒-45℃-1分-68℃-1分-5サイクル
94℃-30秒-65℃-1分-68℃-1分-25サイクル
68℃-5分-1サイクル
4℃-浸漬
5'-PCRプライマーはAcc I部位を含み、3'プライマーはNco I部位を含む。125bpのPCR断片をAcc Iで消化し、生成した100bpの断片をアガロースゲルから単離して定量した。次に、オリゴ1と2を連結して形成させた二重鎖DNA断片を、Acc I共通部位で100bpのPCR断片に連結した。この連結生成物をNco Iで消化した。得られた150bpのDNA配列は、5'平滑末端およびNco Iに適合する3'末端を有していた。このMT3sCT01と称するDNA断片をゲル精製し定量した。
2.pUSEC-05汎用分泌ベクター(Universal Secretion Vector)中へのMT3sCT01のクローニング
汎用クローニングベクターpUSEC-05(図1)は、TacおよびLacの二重のプロモーターとそれに続くShine Delgarno配列およびomp Aシグナルペプチド用配列を含んでいる。omp Aシグナルの下流は、Stu I、Nco I、およびSty Iのクローニング部位である。pUSEC-05をStu IおよびNco Iで消化して直線化し、MT3sCT01配列を、5'末端上の平滑末端および3'末端上のNco I部位でベクターに連結してプラスミドpMT3sCT01(図2)を作製した。関連するすべての遺伝子の有無とクローン化されたDNA断片の配列とを確認するための制限消化によるマッピングおよび配列決定によって、MT3sCT01プラスミドの特性を明らかにした。
このプラスミドを使用して、宿主菌株の大腸菌BLRを形質転換して組換え発現菌株UGL286を作製した。
3.pUSEC-06汎用分泌ベクター中へのMT3sCT01のクローニング
汎用クローニングベクターpUSEC-06(図4)は、TacおよびLacの二重のプロモーターとそれに続くShine Delgarno配列およびomp Aシグナルペプチド用配列を含んでいる。pUSEC-06プラスミドベクターのマルチクローニング部位[MCS]は、BspE1およびAsc 1の制限酵素部位を含んでいる。pUSEC-06をこれらの酵素で消化して直線化し、定方向に連結(directional ligation)される付着末端を作製した。プラスミドpMT3sCT01をBspE1およびAsc 1で同様に切断し、MT3sCT01 DNA配列を含む713bpのDNA断片を単離し、ゲル精製し、定量した。MT3sCT01配列を、ベクター中にBspE1を用いて5'末端および3'末端上のAsc1部位で一方向に連結してプラスミドpMT3-sCT-02(図5)を作製した。
4.二重遺伝子カートリッジ(Double Gene Cartridge)としてのMT3sCTのクローニング
2種の他の制限酵素AflIIおよびMfe Iを用いて、MCS内の部位が互いに隣接した状態でpMT-sCT-02プラスミドを直線化した。pMTsCT01プラスミドも同じ2種の酵素を用いて切断してDNA断片MT3sCT01を遊離させた。単離し、ゲル精製したDNA断片を、Afl II/Mfe適合末端でベクター中に一方向にクローン化して、MT3sCT01タンデム配列、ならびにカナマイシン耐性遺伝子、lacIQ遺伝子、分泌因子遺伝子secEおよびprlA4をコードするプラスミドpMT3-sCT-03(図6)を作製した。
pMT3-sCT-03プラスミドを使用し、大腸菌BLRのコンピテント細胞を形質転換して、組換え発現菌株UGL 716を作製した。
5.発酵および分析
発現菌株UGL 716を、Series 700 Fermentation Protocol,ref.CPM:022:035に従って、標準的なpH、dO2、温度、および給餌/誘導計画(feeding/induction regime)の条件下で、ベンチスケールでの発酵により増殖させた。26時間遠心分離して発酵物を収集し、溶解するまでその細胞を-20℃で保存した。この発酵試料をDNA分析およびタンパク質発現解析によって評価した。
DNA分析:発酵試料から調製したプラスミドを制限酵素によりマッピング解析して、pMT3sCT03プラスミドおよび関連するすべての遺伝子の有無を確認した。
SDS-PAGE[mini-Protean system w/10〜20%勾配ゲル]およびウェスタンブロット/免疫測定法による発酵試料のタンパク質発現解析によって、sCT-特異的ポリクローナル抗体と積極的に反応する不溶性タンパク質の産生を確認した。
6.細胞の溶解および不溶性画分の単離
Rannie 8.30Hホモジナイザーを用いて、約12Kpsi(83MPa)で、pH8.5のトリス/NaCl溶解緩衝液とMgCl2、および約32K単位のBenzonase(商標)中に、UGL 716の発酵から収集した約124g[wcw]の細胞を溶解した。得られた溶解物のすべてを9Krpmで1時間遠心分離した。上清(sup)を除去し、沈殿物(pellet)をトリス/NaCl溶解緩衝液で1回洗浄し、さらに遠心分離した。この残留不溶性沈殿物を、組換えタンパク質の可溶化および精製に使用した。
7.可溶化および精製
約54グラム(湿重量)の大腸菌封入体を、800mLの0.1M HCl、5MグアニジンHClで部分的に可溶化した。この懸濁液を、20,000rpm(50,000xG)で60分間遠心分離した。得られた上清を収集し、0.1%トリフルオロ酢酸で平衡にしたVydac C18(22×250mm)、10m、300カラムに直接入れた。このカラムを、100%A(0.1%TFA)から100%B(0.1%トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic)、80%アセトニトリル)までの直線勾配に90分間かけた。このカラムを25L/minで運転し、そのUV吸収を280nmでモニターした。収集した画分をVydac C18(4.6×250mm)、5m、300カラムのRP-HPLCで分析した後、選別してプールした。このプールした画分を濃縮し凍結乾燥で乾燥して133mgの白色粉体を得た。この精製ペプチドを、フェニルイソチオシアネート(PITC)を用いたプレカラム誘導化法およびRP-HPLC分析法によりアミノ酸組成分析にかけた。このペプチドをエレクトロスプレー質量分析(ESI-MS)法で同定した。平均分子量の実験値は7,416.92Daと測定され、分子にOmpAシグナルがまだ結合しているMT3sCTglyの分子量予想値と一致した。
8.精製組換えOmpA-MT3-sCTqlyのSDS-PAGEによる分析
10〜20%勾配のSDS-PAGEゲルを用いて、図7の凡例に列記した試料を分析した。可溶化および精製のインプットとして使用した不溶性物質がMTS3sCTglyタンパク質を含有し[レーン3]、15kDaのマーカータンパク質[レーン2]と共に泳動することがゲル解析から判明した。異なる精製試料[レーン4〜6]でも同じバンドが観測される。GSTsCTglyのイムノブロットのためのポジティブコントロールはレーン7に見られ、ネガティブコントロールである大腸菌細胞系の全溶解物試料はレーン1に見られる。
ウェスタンブロット法および免疫測定法の標準手順により、同一ゲルをPVDF膜に移し、sCT特異抗体を1:10,000希釈で使用し、1分間インキュベートして発色させた(図8)。このウェスタンブロットは、ネガティブコントロールにおいて非特異抗体の反応性が低いことを示している[レーン1]。レーン2のPrecision Standards(商標)は抗体と反応しないが、参照を容易にするためそのマーカータンパク質がPVDF膜に移るように設計されている。レーン3はインプットであり、レーン4〜6は分析用および調製用精製試料である。
9.分析の結論
MTS3sCTgly組換えタンパク質と推定されるものは、不溶画分中にあった。その泳動は、MTS3sCTglyペプチドに対して予想された約5kDaの分子量とは一致せず、ゲル上のr-タンパク質は約15kDaのマーカータンパク質とほぼ同じように泳動した。分画およびゲル解析データも、シグナルペプチドがこの構築体中で処理を受けていないことを示唆しており、これはアミノ酸解析および質量分析法からのデータによって確認された。未処理のOmpA/MTS3/sCTglyからなるタンパク質の総分子量は約7KDaであった。しかし、MTS3が高度に帯電しているので、不溶の組換えタンパク質全体が異常な泳動をし、SDS-PAGE上に見られる15KDaの分子量を生じたものと考えられる。したがって、このプロセスの結果、融合OmpA/MTS3/sCTglyタンパク質、すなわちOmpAシグナルペプチドとMTS3の2つのMtに融合したサケカルシトニンが単離された。
実施例2-ラットの十二指腸からのサケカルシトニンの吸収に対するOmpA-MT3の効果
メスのSprague-Dawleyラット(250〜275g)(各ペプチドに対するn=4)にケタミンおよびキシラジンで麻酔をかけた後、カニューレをその頚動脈中に挿入した。カニューレは3方バルブに嵌められており、そこを通して血液が採取され、ヘパリンを含有する生理食塩水と交換される。腹腔を正中切開し、0.5Mクエン酸中の0.45mLのsCT-gly(10mg/mL)またはOmpA-MT3-sCT-gly(10mg/mL)を十二指腸に直接注射した。血液(0.5mL)をペプチド投与前と投与の5、15、30、45、および60分後に採取した。この血液を遠心分離し、血しょう上清中のsCT-glyまたはOmpA-MT3-sCT-glyの濃度(±SEM[平均値の標準誤差])を、競合的な酵素免疫測定法(EIA)で測定した。血しょう濃度の最高値(Cmax)を検査して決定した。各ペプチドの血しょう濃度を時間の関数としてプロットして、各ペプチドの(sCT[サケカルシトニン]の静脈内投与に対する)絶対的な生物学的利用能を計算した。
下記表1に要約した結果から、血中の各ペプチドはその投与後30〜60分で最高濃度になることがわかる。OmpA-MT3-sCT-glyのCmaxはsCT-glyのCmaxの25倍を超え、OmpA-MT3-sCT-glyの生物学的利用能はsCT-glyのそれの20倍を超えた。これらの結果から、OmpA-MT3をsCTglyに結合させると腸壁を通るペプチドの吸収が有意に促進されることが明らかである。
Figure 0004476544
実施例3-イヌの十二指腸からのサケカルシトニンの吸収に対するHIV TATタンパク質導入領域のMTとしての効果
1.イヌにおけるMT3sCT01融合ペプチドの封入および経口送達
2種の製剤を用いてMT3-sCT-01融合ペプチドの効力を試験する。
13gのクエン酸、1.3gのラウロイルカルニチン、0.65gのタルク、および0.03gのsCTを乳鉢と乳棒を用いて混合して第1の製剤(F1)を調製する。sCTを等量のMT3sCT01で置き換える以外は同じ混合物を混合してもう1つの製剤(F2)を調製する。00号のゼラチンカプセルに両混合物を充填し、そのカプセルをEudragit L30D-55でコートする。得られる腸溶コーティングされたカプセルは、カプセル当たり約1〜2mgのsCT(F1)またはMT3sCT01(F2)を含んでいる。絶食させたイヌ(n=8)にF1を経口投与し、t=-10分、0分、その後240分間15分ごとに血液試料をヘパリン処置した管に収集する。この血液試料を遠心分離し、得られる血しょうをその後の分析用に-20℃で保管する。1週間の洗い出し(washout)期間後、同じイヌにF2を経口投与し、同じ手順に従う。
2.イヌ血しょう中のサケカルシトニンの生物学的利用能の測定
2種の製剤のいずれかを与えたイヌの血しょう試料中のsCT量を、市販キットを用いて放射免疫測定法(RIA)で測定する。どちらの製剤も血中で測定可能な量のsCTを生成し、F1を投与したイヌの血中sCTの最高濃度は0.5〜6.0ng/mlであり、F2を投与したイヌのsCTの最高濃度は少なくとも1〜12ng/mlであることが予想される。
F1を投与したイヌにおけるsCTの生物学的利用能は約1%であり、F2を投与したイヌにおけるsCTの生物学的利用能は少なくとも1.2%であると予想される。F2を投与したイヌにおいてsCTからMTがインビボで切断されたかどうかは、F1およびF2を投与したイヌから採取した血しょう試料をHPLCカラムにかけ、その流出液をプラスチック管に収集して確認する。その管の中の溶媒を減圧除去し、RIAでsCTの有無を分析する。MT3sCT01がインビボで切断されたかどうかは、F2を投与したイヌから採取した血しょう中のsCTの保持時間が、F1を投与したイヌの血しょう中のsCTの保持時間と同じであることを示すことによって確認する。
本発明を、その具体的な実施形態について説明してきたが、多数のこれ以外の変形、修正、およびこれ以外の使用が当業者には明らかなはずである。したがって、本発明は、本明細書の具体的な開示によっては限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
汎用クローニングベクター(Universal Cloning Vector)pUSEC-05の環状プラスミドマップを示す図である。 MT-sCT融合配列(fusion sequence)の発現用ベクターであるpMT3-sCT-01の環状プラスミドマップを示す図である。 sCT遺伝子を含むpSCT025ベクターの環状プラスミドマップを示す図である。 汎用クローニングベクターpUSEC-06の環状プラスミドマップを示す図である。 MT-sCT融合配列の発現用ベクターであるpMT3-sCT-02の環状プラスミドマップを示す図である。 MT-sCT融合配列の発現用ベクターであるpMT3-sCT-03の環状プラスミドマップを示す図である。 以下の試料の10〜20%勾配SDS-PAGEゲルを示す図である。 レーン1 全溶解物試料=ネガティブコントロール レーン2 BioRad Precision(商標)Standards レーン3 不溶細胞溶解物(精製組換えOmpA-MT3-sCTgly)、精製のインプット レーン4 可溶化の分析用RP分析(Analytical RP analysis) レーン5 可溶化後の調製用精製試料(Preparative purification sample)4uL レーン6 可溶化後の調製用精製試料1.5uL レーン7 GST-sCTgly基準=ポジティブコントロール 以下の試料に対するsCT特異抗体を用いた標準のウェスタンブロットを示す図である。 レーン1 全溶解物試料=ネガティブコントロール レーン2 BioRad Precision(商標)Standards レーン3 不溶細胞溶解物(精製組換えOmpA-MT3-sCTgly)、精製のインプット レーン4 可溶化の分析用RP分析 レーン5 可溶化後の調製用精製試料4uL レーン6 可溶化後の調製用精製試料1.5uL レーン7 GST-sCTgly基準=ポジティブコントロール

Claims (57)

  1. 生理活性ペプチド薬剤の経口送達用製薬組成物であって、
    (A)インビボで少なくとも部分的に活性ペプチドからの酵素切断が可能な膜トランスロケーターに結合した治療有効量の前記活性ペプチド、
    (B)製薬上許容される少なくとも1種のpH降下剤および/またはプロテアーゼ阻害剤、および
    (C)前記活性ペプチド薬剤と胃のプロテアーゼとの接触を防止しながら、前記製薬組成物を患者の胃を通して輸送するのに有効な耐酸性保護ビヒクルを含む組成物であって、
    前記ペプチドの血しょうへの送達を促進することを意図した組成物。
  2. 前記膜トランスロケーターがペプチド、脂肪酸、および胆汁酸からなる群から選択される分子を含む、請求項1に記載の製薬組成物。
  3. 前記ペプチドがシグナルペプチドである、請求項2に記載の製薬組成物。
  4. 前記膜トランスロケーターが、カポジ線維芽細胞増殖因子シグナルペプチド、HIV TATタンパク質のタンパク質導入領域、ヒトインテグリンβ2シグナル配列、HSV-1 VP22タンパク質、およびOmpAシグナルペプチドのすべてまたは一部からなる群の少なくとも1つから選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の製薬組成物。
  5. 前記pH降下剤が、10ミリリットルの0.1M炭酸水素ナトリウム水溶液に前記組成物を添加した場合に、前記溶液のpHを5.5以下に低下させるのに十分な量で前記製薬組成物中に存在する、請求項1に記載の製薬組成物。
  6. 前記pH降下剤が、10ミリリットルの0.1M炭酸水素ナトリウム水溶液に前記組成物を添加した場合に、前記溶液のpHを3.5以下に低下させるのに十分な量で存在する、請求項1に記載の製薬組成物。
  7. 前記プロテアーゼ阻害剤が胃および/または腸のプロテアーゼ阻害剤である、請求項1に記載の製薬組成物。
  8. 前記プロテアーゼ阻害剤が、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、カリクレイン、およびカルボキシペプチダーゼからなる群から選択される酵素を阻害する、請求項1に記載の製薬組成物。
  9. 前記インビボの酵素が、カスパーゼ-1、カスパーゼ-3、プロタンパク質コンバターゼ1、プロタンパク質コンバターゼ2、プロタンパク質コンバターゼ4、プロタンパク質コンバターゼ4 PACE 4、プロリルオリゴペプチダーゼ、エンドセリン切断酵素、ジペプチジル-ペプチダーゼIV、シグナルプチダーゼ、ネプリライシン、レニン、およびエステラーゼからなる群から選択される、請求項1に記載の製薬組成物。
  10. 前記保護ビヒクルが、前記製薬組成物の残量の30%以下の重量で存在する、請求項1に記載の製薬組成物。
  11. 前記保護ビヒクルが、前記製薬組成物の残量の20%以下の重量で存在する、請求項1に記載の製薬組成物。
  12. 前記保護ビヒクルが、前記製薬組成物の残量の10〜20%の重量で存在する、請求項1に記載の製薬組成物。
  13. 前記保護ビヒクルが、0.1N HC1中で少なくとも2時間は前記製薬組成物の分解を防止するに十分なものであり、さらに、pHを6.3に上昇させてから45分以内に前記製薬組成物のすべての内容物を毎分100回転で前記組成物を撹拌している溶解浴中に完全に放出させることができる、請求項1に記載の製薬組成物。
  14. 前記活性薬剤の生物学的利用能を高めるのに有効な少なくとも1種の吸収促進剤をさらに含有する、請求項1に記載の製薬組成物。
  15. 前記吸収促進剤が界面活性剤である、請求項14に記載の製薬組成物。
  16. 前記界面活性剤が吸収性または生分解性である、請求項15に記載の製薬組成物。
  17. 前記界面活性剤がアシルカルニチン、リン脂質、および胆汁酸からなる群から選択される、請求項16に記載の製薬組成物。
  18. 前記促進剤がアシルカルニチンである、請求項17に記載の製薬組成物。
  19. ショ糖エステルをさらに含む、請求項18に記載の製薬組成物。
  20. 前記吸収促進剤が、(i)コレステロール誘導体である陰イオン薬剤、(ii)陰電荷中和剤と陰イオン界面活性剤との混合物、(iii)非イオン界面活性剤、および(iv)陽イオン界面活性剤からなる群から選択される界面活性剤である、請求項14に記載の製薬組成物。
  21. 前記吸収促進剤が、陽イオン界面活性剤およびコレステロール誘導体である陰イオン界面活性剤からなる群から選択される、請求項14に記載の製薬組成物。
  22. 前記製薬組成物が、1つは陽イオン界面活性剤、もう1つはコレステロール誘導体の陰イオン界面活性剤である少なくとも2種の吸収促進剤を含む、請求項14に記載の製薬組成物。
  23. 前記陰イオン界面活性剤が酸に可溶な胆汁酸である、請求項22に記載の製薬組成物。
  24. 前記ペプチド活性薬剤の生物学的利用能を高めるのに有効な生理活性ペプチドではない一定量の第2のペプチドをさらに含む、請求項1に記載の製薬組成物。
  25. 前記pH降下剤を前記保護ビヒクルから分離する水溶性バリアをさらに含む、請求項1に記載の製薬組成物。
  26. 前記組成物が、pKaが4.2以下である少なくとも1種のpH降下剤を含む、請求項1に記載の製薬組成物。
  27. 少なくとも1種のpH降下剤が、室温で水100ミリリットル当たり少なくとも30グラムの水溶性を有する、請求項1に記載の製薬組成物。
  28. 前記保護ビヒクル以外の成分すべてが均一に分散している、請求項1に記載の製薬組成物。
  29. 前記製薬組成物が、製薬バインダーを含有する顆粒、前記バインダー中に均一に分散した前記pH降下剤、前記吸収促進剤、および前記ペプチド活性薬剤を含む、請求項28に記載の製薬組成物。
  30. 前記組成物が、前記pH降下剤と前記吸収促進剤との重量比が3:1〜20:1である固形の剤形である、請求項14に記載の製薬組成物。
  31. 前記組成物が、前記pH降下剤と前記吸収促進剤との重量比が5:1〜10:1である固形の剤形である、請求項14に記載の製薬組成物。
  32. 前記pH降下剤が、クエン酸、酒石酸、およびアミノ酸の酸塩からなる群から選択される、請求項1に記載の製薬組成物。
  33. 前記pH降下剤が300ミリグラム以上存在する、請求項1に記載の製薬組成物。
  34. 前記pH降下剤が400ミリグラム以上存在する、請求項33に記載の製薬組成物。
  35. 前記ペプチド薬剤がヒトグルカゴン様ペプチド1またはそのアナログである、請求項1に記載の製薬組成物。
  36. 前記ペプチド薬剤がサケカルシトニンである、請求項1に記載の製薬組成物。
  37. 前記ペプチド薬剤がインシュリンである、請求項1に記載の製薬組成物。
  38. 前記ペプチド薬剤がヒト副甲状腺ホルモンまたはそのアナログである、請求項1に記載の製薬組成物。
  39. 前記保護ビヒクルが粘稠な保護シロップである、請求項1に記載の製薬組成物。
  40. 前記pH降下剤と前記サケカルシトニンとの重量比が少なくとも200:1である、請求項36に記載の製薬組成物。
  41. 前記pH降下剤と前記サケカルシトニンとの重量比が少なくとも800:1である、請求項36に記載の製薬組成物。
  42. 前記pH降下剤と前記サケカルシトニンとの重量比が少なくとも2000:1である、請求項36に記載の製薬組成物。
  43. 水溶性バリアが前記pH降下剤を前記保護ビヒクルから分離している、請求項32に記載の製薬組成物。
  44. 前記腸溶コーティングが、前記保護ビヒクルを除いた前記製薬組成物の残量の30%以下の重量で存在する、請求項36に記載の製薬組成物。
  45. インビボで少なくとも部分的に酵素切断が可能な膜トランスロケーターに結合させた経口送達させる生理活性ペプチド薬剤の、前記ペプチド薬剤の生物学的利用能を高めるのに適した製薬組成物の製造のための使用であって、
    前記製薬組成物が、前記ペプチドの血しょうへの送達を促進することを意図した組成物であり、
    前記ペプチド薬剤以外に、(A)製薬上許容される少なくとも1種のpH降下剤および/またはプロテアーゼ阻害剤、および(B)前記活性ペプチド薬剤と胃のプロテアーゼとの接触を防止しながら、前記製薬組成物を患者の胃を通して輸送するのに有効な耐酸性保護ビヒクルを含み、
    前記ペプチド、前記(A)成分および前記(B)成分を組み合わせる工程を含む使用。
  46. 前記膜トランスロケーターがシグナルペプチド、脂肪酸、および胆汁酸からなる群から選択される分子を含む、請求項45に記載の使用。
  47. 前記膜トランスロケーターが、カポジ線維芽細胞増殖因子シグナルペプチド、HIV TATタンパク質のタンパク質導入領域、ヒトインテグリンβ2シグナル配列、およびHSV-1 VP22タンパク質のすべてまたは一部からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項45に記載の使用。
  48. 前記pH降下剤が、10ミリリットルの0.1M炭酸水素ナトリウム水溶液に前記組成物を添加した場合に、前記溶液のpHを5.5以下に低下させるのに十分な量で前記製薬組成物中に存在する、請求項45に記載の使用。
  49. 前記pH降下剤が、10ミリリットルの0.1M炭酸水素ナトリウム水溶液に前記組成物を添加した場合に、前記溶液のpHを3.5以下に低下させるのに十分な量で存在する、請求項45に記載の使用。
  50. 前記プロテアーゼ阻害剤が胃および/または腸のプロテアーゼ阻害剤である、請求項45に記載の使用。
  51. 前記プロテアーゼ阻害剤が、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、カリクレイン、およびカルボキシペプチダーゼからなる群から選択される酵素を阻害する、請求項45に記載の使用。
  52. 前記血液またはリンパ系のプロテアーゼが、カスパーゼ-1、カスパーゼ-3、プロタンパク質コンバターゼ1、プロタンパク質コンバターゼ2、プロタンパク質コンバターゼ4、プロタンパク質コンバターゼ4 PACE 4、プロリルオリゴペプチダーゼ、エンドセリン切断酵素、ジペプチジル-ペプチダーゼIV、シグナルプチダーゼ、ネプリライシン、レニン、およびエステラーゼからなる群から選択される、請求項45に記載の使用。
  53. 前記製薬組成物が、前記ペプチド活性薬剤の生物学的利用能を高めるのに有効な少なくとも1種の吸収促進剤を含む、請求項45に記載の使用。
  54. 前記ペプチド薬剤がサケカルシトニンである、請求項45に記載の使用。
  55. 前記pH降下剤と前記サケカルシトニンとの重量比が少なくとも800:1である、請求項54に記載の使用。
  56. 前記pH降下剤と前記サケカルシトニンとの重量比が少なくとも200:1である、請求項54に記載の使用。
  57. 前記pH降下剤と前記サケカルシトニンとの重量比が少なくとも2000:1である、請求項54に記載の使用。
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