JP4472291B2 - 無線型被検体内情報取得システム - Google Patents

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Description

本発明は、被検体内部に導入される被検体内導入装置と、被検体外部に配置され、無線送信によって前記被検体内導入装置に対して電力を供給する給電装置とを備えた無線型被検体内情報取得システムに関するものである。
近年、内視鏡の分野においては、飲込み型のカプセル型内視鏡が登場している。このカプセル型内視鏡には、撮像機能と無線通信機能とが設けられている。カプセル型内視鏡は、観察(検査)のために患者の口から飲込まれた後、人体から自然排出されるまでの間、体腔内、例えば胃、小腸などの臓器の内部をその蠕動運動に従って移動し、順次撮像する機能を有する。
体腔内を移動する間、カプセル型内視鏡によって体内で撮像された画像データは、順次無線通信により外部に送信され、メモリに蓄積される。患者がこの無線通信機能とメモリ機能とを備えた受信機を携帯することにより、患者は、カプセル型内視鏡を飲み込んだ後、排出されるまでの期間であっても、自由に行動できる。この後、医者もしくは看護士においては、メモリに蓄積された画像データに基づいて臓器の画像をディスプレイに表示させて診断を行うことができる。
かかるカプセル型内視鏡は、内蔵した電力供給源から駆動電力を得る構成としても良いが、近年、カプセル型内視鏡に対して外部から無線送信を介して駆動電力を供給する構成が注目されている。このように、外部から電力を供給する構成とすることによって、カプセル型内視鏡が体腔内を移動する途中で意図せず電力が消費し尽くされて駆動が停止するといったことを回避することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
図6は、無線送信された電力を受信する目的で従来のカプセル型内視鏡に内蔵される受信アンテナの構成を示す回路図である。図6に示すように、受信アンテナは、受信用コイル101と受信用コンデンサ102とを備えた受信用共振回路103と、交流信号を直流信号に変換する整流用ダイオード104と、整流用ダイオード104で整流された電力を蓄積する蓄電用コンデンサ105とを備える。受信用共振回路103が送信される電気信号の周波数に合わせた共振周波数を有するよう受信用コイル101および受信用コンデンサ102が形成され、受信された電気信号は、整流用ダイオード104で整流された後に蓄電用コンデンサ105に蓄積される。そして、蓄電用コンデンサ105に蓄積された電力を駆動電力として、カプセル型内視鏡内の各構成要素が動作する構成を有する。
特開2001−231186号公報(第3頁、図1)
しかしながら、従来の無線型被検体内情報取得システムでは、電力送信強度の上昇に伴いカプセル型内視鏡に供給される電力値が飽和する可能性があるという課題を有する。以下、かかる課題について詳細に説明する。
図7は、外部から送信された高強度の電気信号を受信する際に受信用共振回路103から出力される電気信号の電圧の波形を示す模式的なグラフである。なお、図7の例において、送信される電気信号の波形は正弦波である。
送信される電力の波形が正弦波である関係上、本来であれば受信用共振回路103から出力される電気信号の電圧波形も正弦波形を有するはずである。しかしながら、実際のカプセル型内視鏡では、高強度の電気信号を受信する際には、図7に示すように、電圧値が所定の値で飽和した波形が得られる。また、受信用共振回路103から出力される電流値は、電圧の値に対応することから、電圧波形に飽和が生じる場合には、電圧と電流の積で求まる電力値も飽和することとなる。従って、受信用共振回路103で受信した電気信号から直接電力を得る構成の場合には、外部から送信される電気信号の強度に関わらず、得られる電力の値を一定値以上とすることはできない。このことは、カプセル型内視鏡等の被検体内導入装置の高機能化に伴う消費電力の増大を考えた場合に電力の利用効率の点で不利となってしまう。
なお、電圧値の飽和を避けるためには、コイルを大型化する等の対策を考えることも可能である。しかしながら、カプセル型内視鏡は上記のように被検体内に導入されるものであるから、カプセル型内視鏡のサイズは一定以下に抑制する必要があり、カプセル型内視鏡の大型化につながるコイルの大型化を行うには種々の制約がともなってしまう。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、カプセル型内視鏡等の被検体内導入装置の大型化を避けつつ、無線送信によって供給される電力強度が飽和することのない無線型被検体内情報取得システムを実現することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる無線型被検体内情報取得システムは、被検体内部に導入される被検体内導入装置と、被検体外部に配置され、無線送信によって前記被検体内導入装置に対して電力を供給する給電装置とを備えた無線型被検体内情報取得システムであって、前記被検体内導入装置は、受信用コイルおよび受信用容量を備えた受信用共振回路と、前記受信用共振回路にて受信した電気信号の電圧値を、前記受信用コイルに生じる誘導起電力よりも低い値に変換する電圧変換手段とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、被検体内導入装置において、受信用共振回路で得られた電気信号から直接電力を抽出するのではなく、受信用共振回路で受信した電気信号の電圧を受信用コイルにおける誘導起電力よりも低い値に変換した上で電力を抽出することとしたため、電力として抽出する電力信号の電圧値が飽和することを防止することができる。
また、この発明にかかる無線型被検体内情報取得システムは、上記の発明において、前記電圧変換手段は、前記受信用コイルで受信時に生じる磁界に基づく誘導起電力を生じる電力供給用コイルを備えることを特徴とする。
また、この発明にかかる無線型被検体内情報取得システムは、上記の発明において、前記電力供給用コイルは、前記受信用コイルの巻数よりも少ない巻数を有することを特徴とする。
また、この発明にかかる無線型被検体内情報取得システムは、上記の発明において、前記電力供給用コイルは、内周が前記受信用コイルの外周に接触した状態で形成されていることを特徴とする。
このこの発明によれば、電力供給用コイルの内周を受信用コイルの外周に密着させることとしたため、電力供給用コイルを新たに配置したにもかかわらずコイルの占有領域が拡大することはなく、被検体内導入装置の大型化を抑制することができる。
また、この発明にかかる無線型被検体内情報取得システムは、上記の発明において、被検体内部に導入される被検体内導入装置と、被検体外部に配置され、前記被検体内導入装置との間で無線交信を行う送受信装置とを備え、無線送信を介して前記送受信装置から前記被検体内導入装置に対して電力を供給する無線型被検体内情報取得システムであって、前記被検体内導入装置は、受信用コイルおよび受信用容量を備えた受信用共振回路と、前記受信用共振回路にて受信した電気信号の電圧値を、前記受信用コイルに生じる誘導起電力よりも低い値に変換する電圧変換手段とを備えたことを特徴とする。
本発明にかかる無線型被検体内情報取得システムは、被検体内導入装置において、受信用共振回路で得られた電気信号から直接電力を抽出するのではなく、受信用共振回路で受信した電気信号の電圧を受信用コイルにおける誘導起電力よりも低い値に変換した上で電力を抽出する構成としたため、電力として抽出する電力信号の電圧値が飽和することを防止し、送受信装置から供給される電力値が飽和することのない無線型被検体内情報取得システムを実現できるという効果を奏する。
また、本発明にかかる無線型被検体内情報取得システムは、電力供給用コイルの内周を受信用コイルの外周に密着させる構成としたため、電力供給用コイルを新たに配置したにもかかわらずコイルの占有領域が拡大することはなく、被検体内導入装置の大型化を抑制しつつ電力値の飽和を抑制することができるという効果を奏する。
以下、この発明を実施するための最良の形態である無線型被検体内情報取得システムについて説明する。なお、図面は模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。また、以下の実施の形態では、体腔内画像を撮像するカプセル型内視鏡システムを例としたものについて説明を行うが、被検体内情報は体腔内画像に限定されず、無線型被検体内情報取得システムがカプセル型内視鏡システムに限定されることはないのはもちろんである。
図1は、本実施の形態にかかる無線型被検体内情報取得システムの全体構成を示す模式図である。図1に示すように、無線型被検体内情報取得システムは、無線送受信機能を有する送受信装置2と、被検体1の体内に導入され、送受信装置2から送信された無線信号から得られる駆動電力によって動作し、体腔内画像を撮像して送受信装置2に対してデータ送信を行うカプセル型内視鏡3とを備える。また、無線型被検体内情報取得システムは、送受信装置2が受信したデータに基づいて体腔内画像を表示する表示装置4と、送受信装置2と表示装置4との間のデータ受け渡しを行うための携帯型記録媒体5とを備える。送受信装置2は、被検体1によって着用される送受信ジャケット2aと、送受信ジャケット2aを介して送受信される無線信号の処理等を行う外部装置2bとを備える。
表示装置4は、カプセル型内視鏡3によって撮像された体腔内画像を表示するためのものであり、携帯型記録媒体5によって得られるデータに基づいて画像表示を行うワークステーション等のような構成を有する。具体的には、表示装置4は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等によって直接画像を表示する構成としても良いし、プリンタ等のように、他の媒体に画像を出力する構成としても良い。
携帯型記録媒体5は、外部装置2bおよび表示装置4に対して着脱可能であって、両者に対する挿着時に情報の出力または記録が可能な構造を有する。具体的には、携帯型記録媒体5は、カプセル型内視鏡3が被検体1の体腔内を移動している間は外部装置2bに挿着されてカプセル型内視鏡3から送信されるデータを記録する。そして、カプセル型内視鏡3が被検体1から排出された後、つまり、被検体1の内部の撮像が終わった後には、外部装置2bから取り出されて表示装置4に挿着され、表示装置4によって記録したデータを読み出される構成を有する。外部装置2bと表示装置4との間のデータの受け渡しをコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の携帯型記録媒体5によって行うことで、外部装置2bと表示装置4との間が有線接続された場合と異なり、被検体1が体腔内の撮影中に自由に動作することが可能となる。
送受信装置2は、カプセル型内視鏡3に対して電力送信を行う給電装置としての機能を有すると共に、カプセル型内視鏡3から送信された体腔内画像データを受信する受信装置としての機能も有する。図2は、送受信装置2の構成を模式的に示すブロック図である。図2に示すように、送受信装置2は、被検体1によって着用可能な形状を有し、受信用アンテナA1〜Anおよび給電用アンテナB1〜Bmを備えた送受信ジャケット2aと、送受信された無線信号の処理等を行う外部装置2bとを備える。
外部装置2bは、カプセル型内視鏡3から送信された無線信号の処理を行う機能を有する。具体的には、外部装置2bは、図2に示すように、受信用アンテナA1〜Anによって受信された無線信号に対して所定の処理を行い、無線信号の中からカプセル型内視鏡3によって取得された画像データを抽出し、出力するRF受信ユニット11と、出力された画像データに必要な処理を行う画像処理ユニット12と、画像処理が施された画像データを記録するための記憶ユニット13とを備える。なお、記憶ユニット13を介して携帯型記録媒体5に画像データが記録される。
また、外部装置2bは、カプセル型内視鏡3に対して送信する無線信号の生成を行う機能を有する。具体的には、外部装置2bは、給電用信号の生成および発振周波数の規定を行う発振器14と、カプセル型内視鏡3の駆動状態の制御のためのコントロール情報信号を生成するコントロール情報入力ユニット15と、給電用信号とコントロール情報信号とを合成する重畳回路16と、合成された信号の強度を増幅する増幅回路17とを備える。増幅回路17で増幅された信号は、給電用アンテナB1〜Bmに送られ、カプセル型内視鏡3に対して送信される。なお、外部装置2bは、所定の蓄電装置またはAC電源アダプタ等を備えた電力供給ユニット18を備え、外部装置2bの構成要素は、電力供給ユニット18から供給される電力を駆動エネルギーとしている。
次に、カプセル型内視鏡3について説明する。図3は、カプセル型内視鏡3の構成を模式的に示すブロック図である。図3に示すように、カプセル型内視鏡3は、被検体1の内部を撮影する際に撮像領域を照射するためのLED19と、LED19の駆動状態を制御するLED駆動回路20と、LED19によって照射された領域の撮像を行うCCD21とを備える。また、カプセル型内視鏡3は、CCD21の駆動状態を制御するCCD駆動回路22と、CCD21によって撮像された画像データを変調してRF信号を生成するRF送信ユニット23と、RF送信ユニット23から出力されたRF信号を送信する送信アンテナ部24と、LED駆動回路20、CCD駆動回路22およびRF送信ユニット23の動作を制御するシステムコントロール回路32とを備える。
これらの機構を備えることにより、カプセル型内視鏡3は、被検体1内に導入されている間、LED19によって照明された被検部位の画像情報をCCD21によって取得する。そして、取得された画像情報は、RF送信ユニット23においてRF信号に変換された後、送信アンテナ部24を介して外部に送信される。
また、カプセル型内視鏡3は、送受信装置2から送られてきた無線信号を受信する受信アンテナ部25と、受信アンテナ部25で受信した信号に対して電圧変換を行う電圧変換回路26と、電圧値が変換された信号から給電用信号を分離する分離回路27とを備える。さらに、カプセル型内視鏡3は、分離された給電用信号から電力を再生する電力再生回路28と、再生された電力を昇圧する昇圧回路29と、昇圧された電力を蓄積する蓄電器30とを備える。また、カプセル型内視鏡3は、分離回路27で給電用信号と分離された成分からコントロール情報信号の内容を検出し、必要に応じてLED駆動回路20、CCD駆動回路22およびシステムコントロール回路32に対して制御信号を出力するコントロール情報検出回路31を備える。
これらの機構を備えることにより、カプセル型内視鏡3は、まず、送受信装置2から送られてきた無線信号を受信アンテナ部25において受信し、電圧変換回路26で電圧変換を行った後に分離回路27によって無線信号から給電用信号およびコントロール情報信号を分離する。コントロール情報信号は、コントロール情報検出回路31を経てLED駆動回路20、CCD駆動回路22およびシステムコントロール回路32に出力され、LED19、CCD21およびRF送信ユニット23の駆動状態の制御に使用される。一方、給電用信号は、電力再生回路28によって電力として再生され、再生された電力は昇圧回路29によって電位を蓄電器30の電位にまで昇圧された後、蓄電器30に蓄積される。蓄電器30は、システムコントロール回路32その他の構成要素に対して電力を供給する。このように、カプセル型内視鏡3は、送受信装置2からの無線送信によって電力を供給される構成を有する。
次に、カプセル型内視鏡3の構成要素のうち、受信アンテナ部25および電圧変換回路26の構成について説明する。図4は、受信アンテナ部25を構成する受信用共振回路33と、電圧変換回路26との関係を示す回路図である。図4に示すように、受信用共振回路33は、受信用コイル34と受信用コンデンサ35とを備える。受信用共振回路33は、受信用コイル34の自己インダクタンス値と受信用コンデンサ35の静電容量値とに基づいて定まる共振周波数を有し、共振周波数が送受信装置2に備わる発振器14の周波数とほぼ等しい値となるよう受信用コイル34および受信用コンデンサ35の形状等が定められている。
一方、電圧変換回路26は、受信用コイル34の近傍に配置された電力供給用コイル36を備え、無線信号の受信時に受信用コイル34において生じる磁界に基づいて電力供給用コイル36に誘導起電力が生じる構成を有する。ここで、電力供給用コイル36は、後述する理由に基づき、受信用コイル34の巻数よりも少ない巻数を備えた構造を有する。
受信用コイル34と電力供給用コイル36との具体的構成について説明する。図5は、受信用コイル34と電力供給用コイル36との具体的構成を示す模式図である。図5に示すように、従来と同様の構造を有する受信用コイル34に対して、電力供給用コイル36は、受信用コイル34の外周上に少なくともその内周が接触し、より好ましくは密着するよう巻かれた構造を有する。ここで、受信用コイル34と電力供給用コイル36は例えば絶縁被覆された銅線等によって構成され、互いに電気的に絶縁された構造を有する。かかる位置関係を有することによって、受信用コイル34で生じた磁界の大部分は、電力供給用コイル36内を通過することとなる。
次に、電圧変換回路26の動作について説明する。まず、受信用共振回路33は、送受信装置2から送信される無線信号の周波数とほぼ等しい共振周波数を有することによって受信時に無線信号に共振し、回路内に電流が流れる。そして、受信時に受信用共振回路33内に流れる電流の変化に応じて、受信用コイル34において、無線信号に対応した磁界が図4の矢印に示すように生じる。
受信用コイル34で生じた磁界は受信用コイル34の近傍に設けられた電力供給用コイル36に到達し、電力供給用コイル36は、かかる磁界の強度変化に基づいて誘導起電力を生じる。ここで、コイルの巻数の大小関係により、電力供給用コイル36で生じる誘導起電力は、受信用コイル34で生じる電圧の値よりも小さな値となる。この誘導起電力に対応して電力供給用コイル36には所定の電流が流れ、かかる電流および誘導起電力に基づいて電力が再生され、再生された電力が蓄電器30に蓄積される。そして、カプセル型内視鏡3は、蓄電器30に蓄積された電力を用いて、撮像等の所定の機能を発揮すべく動作を行う。
次に、本実施の形態にかかる無線型被検体内情報取得システムの利点について説明する。まず、本実施の形態にかかる無線型被検体内情報取得システムでは、電圧変換回路26を備えることによって無線送信を介して高強度の電力を供給できるという利点を有する。
既に説明したように、カプセル型内視鏡3は、被検体1によって飲み込まれて被検体1内部を移動する構成を有することから、被検体1に与える負荷を低減するために小型化する必要があり、受信アンテナ部25を構成する受信用コイル34も小型形状とせざるを得なかった。従って、受信用共振回路33から直接電流を取り出す構成とした場合には、送信される電力の強度が高くなるにつれて出力される電圧値が飽和し、送信された無線信号の一部が電力として取り出せない可能性があった。
このため、本実施の形態では、カプセル型内視鏡3は、送信される無線信号と共振するための受信用共振回路33を備えた受信アンテナ部25とは別に、受信用共振回路33で生じる電気信号の電圧値を低減する電圧変換回路26を有することとしている。電圧変換回路26によって受信した電気信号の電圧値を変換した後に分離回路27等へ出力する構成とした場合には、受信用共振回路33から直接電力を抽出した場合よりも、電圧値の飽和が生じにくいことが発明者等によって確認されている。電圧飽和の発生回避がいかなるメカニズムによるものかは現時点では必ずしも明らかではないが、おそらくは共振回路と異なる回路構成を備えた電圧変換回路26から電力を抽出する構成としたことによるものと考えられる。
以上のことから、本実施の形態にかかる無線型被検体内情報取得システムは、電圧変換回路26を利用することで、送信される無線信号の強度に関わらず、抽出される電力の強度に飽和が生じることを抑制できるという利点を有する。すなわち、本実施の形態においてカプセル型内視鏡3は、送受信装置2から送信される無線信号の強度に応じた駆動電力を得ることが可能となり、本実施の形態にかかる無線型被検体内情報取得システムは、無線送信を介して高強度の電力を供給することが可能となる。
また、本実施の形態にかかる無線型被検体内情報取得システムは、図5に示すような電力供給用コイル36を備えることで電圧変換に伴う電力値の低下を抑制できるという利点を有する。図5に示すように、電力供給用コイル36は、受信用コイル34の外周上にその内周が配置されるよう構成されており、無線信号の受信時に受信用コイル34によって形成された磁界が電力供給用コイル36内を漏れることなく通過することとなる。このため、受信用コイル34によって生じた磁界を電力供給用コイル36における電磁誘導に漏れなく利用することが可能となり、電力低下を抑制しつつ電圧変換を行うことが可能である。
さらに、電力供給用コイル36が図5に示す構造を有することで、カプセル型内視鏡3を大型化することなく高効率の電力伝送を行えるという利点を有する。すなわち、受信用コイル34と電力供給用コイル36とを別個独立に配置した構造とするのではなく、受信用コイル34の外周上に電力供給用コイル36の内周が位置するよう配置することで、コイル内部の大部分を共有する構成となる。このため、電力供給用コイル36を新たに設けて、電力の利用効率を向上させた構成としたにも関わらず、カプセル型内視鏡3内部においてコイル部分の占有領域が増加することはなく、従来と同程度の大きさのカプセル型内視鏡3を実現することが可能である。なお、図5に示した構造の受信用コイル34の内部空間にLED19、CCD21等のカプセル型内視鏡3の構成要素のすべてまたは一部を配置する構成としても良く、かかる構成とした場合にはカプセル型内視鏡3をより小型化することが可能である。
以上、実施の形態によって本発明を説明してきたが、本発明は上記のものに限定されず、当業者であれば様々な実施例、変形例および応用例に想到することが可能である。例えば、本実施の形態では、カプセル型内視鏡はLED、CCD等を備えることによって被検体1内部の画像を撮像する構成としている。しかしながら、被検体内に導入される被検体内導入装置は、かかる構成に限定されるものではなく、たとえば温度情報やpH情報などの他の被検体内情報を取得するものとしても良い。また、被検体内導入装置が振動子を備える構成として、被検体1内の超音波画像を取得する構成としても良い。さらに、これらの被検体内情報の中から複数の情報を取得する構成としても良い。
また、送受信装置からカプセル型内視鏡に対して送信される無線信号は、給電用信号とコントロール情報信号とを含むこととしたが、給電用信号のみを含むこととしても良いし、これら以外の信号を含むこととしても良い。すなわち、送受信装置からカプセル型内視鏡3に対して、電力に変換される給電用信号を無線送信する構成であれば本発明を適用することが可能である。
さらに、本実施の形態では、送受信装置2は、送受信ジャケット2aを備え、送受信ジャケット2aに受信用アンテナA1〜Anおよび給電用アンテナB1〜Bmを備えた構成としたが、受信用アンテナおよび給電用アンテナを他の場所に配置する構成としても良い。さらに、送受信装置2と表示装置4との間で携帯型記録媒体5によってデータ転送を行うのではなく、送受信装置2と表示装置4との間を有線接続あるいは無線接続した構成としても良い。
また、電圧変換回路26の構造についても、必ずしも図4および図5に示すものに限定するものではない。図4および図5に示す構成は、電力低下を抑制すると共にカプセル型内視鏡3の大型化を抑制する一例として示したものであり、電圧変換回路としては、電圧変換機能を有するものであれば他の構造としても良い。
実施の形態にかかる無線型被検体内情報取得システムの全体構成を示す模式図である。 無線型被検体内情報取得システムを構成する送受信装置の構成を模式的に示すブロック図である。 無線型被検体内情報取得システムを構成するカプセル型内視鏡の構成を模式的に示すブロック図である。 カプセル型内視鏡を構成する受信用共振回路と電圧変換回路との関係を示す回路図である。 受信用共振回路を構成する受信用コイルと、電圧変換回路を構成する電力供給用コイルとの具体的位置関係を示す図である。 従来技術にかかるカプセル型内視鏡において、外部から送信される無線信号を受信して電力を抽出する構成を模式的に表す回路図である。 従来技術にかかるカプセル型内視鏡において、受信される電力信号の電圧波形を示す模式的なグラフである。
符号の説明
1 被検体
2 送受信装置
2a 送受信ジャケット
2b 外部装置
3 カプセル型内視鏡
4 表示装置
5 携帯型記録媒体
6 電力供給用コイル
11 RF受信ユニット
12 画像処理ユニット
13 記憶ユニット
14 発振器
15 コントロール情報入力ユニット
16 重畳回路
17 増幅回路
18 電力供給ユニット
19 LED
20 LED駆動回路
21 CCD
22 CCD駆動回路
23 RF送信ユニット
24 送信アンテナ部
25 受信アンテナ部
26 電圧変換回路
27 分離回路
28 電力再生回路
29 昇圧回路
30 蓄電器
31 コントロール情報検出回路
32 システムコントロール回路
33 受信用共振回路
34 受信用コイル
35 受信用コンデンサ
36 電力供給用コイル

Claims (2)

  1. 被検体内部に導入される被検体内導入装置と、被検体外部に配置され、無線送信によって前記被検体内導入装置に対して電力を供給する給電装置とを備えた無線型被検体内情報取得システムであって、
    前記被検体内導入装置は、
    受信用コイルおよび受信用容量を備えた受信用共振回路と、
    前記受信用共振回路にて受信した電気信号の電圧値を、前記受信用コイルに生じる誘導起電力よりも低い値に変換する電圧変換手段と、
    を備え
    前記電圧変換手段は、前記受信用コイルで受信時に生じる磁界に基づく誘導起電力を生じる電力供給用コイルであり、その内周が前記受信用コイルの外周に接触した状態で形成され、かつ、前記受信用コイルの巻数よりも少ない巻数を有することを特徴とする無線型被検体内情報取得システム。
  2. 前記被検体内導入装置は、
    前記電圧変換手段によって電圧値が変換された電気信号から給電用信号を分離する分離手段と、
    分離された前記給電用信号に基づき電力を再生する電力再生手段と、
    再生された電力を蓄積する蓄電手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の無線型被検体内情報取得システム。
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