JP4472271B2 - Method for producing phenol - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェノールの製造方法に関し、詳しくは無機酸類の存在下にクメンヒドロペルオキシドを主成分とするクメン酸化生成物からフェノール、アセトン及びα−メチルスチレンを製造する方法に関する。これらは合成樹脂、農薬、染料、医薬などの製造用の中間体として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、フェノールを合成する方法として、各種の方法が提案されている。これらの方法の中で、クメンを出発原料としてフェノールを合成するクメン法フェノール製造プロセスが一般的に実用化されている。この方法は、クメンを酸素または空気により酸化してクメンヒドロペルオキシド(以下、CHPと略す)を生成し、次いで得られたCHPを鉱酸触媒の存在下に分解反応させてフェノールとアセトンを得る方法である。
【0003】
近年、フェノールを製造するフェノールプラントにおいては、反応条件が温和で、経済性にも優れるこのクメン法プロセスが世界のフェノール製造法の主流を占め、その製造プロセスは、大きく分けて酸化系、濃縮系、クリベージ系、中和系、精製系、リサイクル系から成り、CHPを酸により開裂する工程(クリベージ系)には、触媒として鉱酸が、中でも硫酸が一般的に用いられている。
このクメン法プロセスでは、主生成物としてフェノールとアセトンが得られるが、同時にクメンの酸化反応時にジメチルフェニルカルビノールが副生し、さらにそのジメチルフェニルカルビノールの脱水反応によって、α−メチルスチレン(以下、α−MSと略す)が副生する。この副生するα−MSは、水素化反応により容易にクメンに転化して、再度、原料として利用することができ、また、樹脂の改質剤として工業的にも有効に活用できるものである。
【0004】
また、このクメン法プロセスにおいては、α−MSとフェノールが反応してクミルフェノールが生成したり、α−MSの2量化反応によりメチルスチレンダイマーが生成したりする。これらの物質はフェノールプロセスの回収工程にて熱分解され、一部は再びリサイクルされるが、さらに重質化した高沸点化合物は回収不能となり、系外に排出されて燃料になるため、原料原単位を悪化させる。その結果、CHPの分解反応による目的生成物であるフェノールやα−MSなどの収率低下の原因となる反応が生じる。
また、CHPの分解反応においては、微量のヒドロキシアセトン(以下、HAと略す)が生成する。このHAは、フェノールと蒸留分離し難いため、クメン法プロセスでは溶剤を用いた抽出蒸留が必要となったりするため、スチーム原単位の悪化をきたすことが知られている。さらに、最終生成物である製品フェノールに混入して、製品品質を悪化させる原因になる。例えば、HAが混入した製品フェノールを原料として、ビスフェノールAを製造すると、製品に着色し、商品価値を著しく低下させてしまう。また、HAは水溶性のため、廃水のCOD負荷の増大をもたらすなどの問題がある。
【0005】
このような問題の中でも、フェノール及びα−MSの収率の低下原因となる副反応を抑制する方法として、CHPをアセトンなどの溶剤により希釈した後、酸分解反応を行う方法(特公昭27−3875号公報、同28−4619号公報など)、反応を多段階に分ける方法(米国特許第2,757,209号明細書、特公昭37−13464号公報など)など反応方式の改良による方法が提案されている。これらの先行技術の中でも、アセトンなどの溶剤により希釈したCHPの酸分解反応を行う方法については、溶剤による希釈効果及び酸触媒とCHPの接触効率の向上により、副反応が抑制されると記載されている。
【0006】
また、反応を多段階に分けて行う方法である米国特許第2,757,209号明細書に記載の方法は、第1反応として、例えば、フェノール、アセトン及びα−MSの生成反応を1段階で終了させる方法に比べて、酸触媒濃度及び反応温度が低い穏和な条件で酸分解反応を行い、反応生成物中にCHPを数%残す。次に、第2段階の反応として、第1段階の反応生成物をプラグフロー型反応器に導入し、反応生成物中に存在する有機過酸化物及びジメチルフェニルカルビノールを分解する反応を行う方法である。
【0007】
製品フェノール中のHAの混入防止策としては、英国特許第1,231,991号明細書には、CHPを主成分とするクメン酸化生成物の酸分解反応の反応生成物から、アセトン、炭化水素類などの低沸点成分及び未反応のジメチルフェニルカルビノール、クミルフェノール、メチルスチレンダイマーなどの高沸点化合物を蒸留分離した粗フェノールを、酸性イオン交換樹脂にて処理し、粗フェノール中に含有するHAを蒸留分離しやすい高沸点化合物に転化し、その後蒸留分離する方法が記載されている。
また、米国特許第5,064,507号明細書には、粗フェノールを有機ポリアミンで処理し、粗フェノール中のHAが、添加した有機ポリアミンと反応して高沸点化合物となり、その後、この高沸点化合物を蒸留操作により分離する方法が記載されている。
【0008】
しかし、これらの方法を同時に行うと、フェノール製造プロセスを複雑にし、かつHA除去のための多大な設備を必要とするなどの問題点がある。そのため、クメン法プロセスにおいて、目的生成物の収率低下の原因となる高沸点化合物の生成を抑制すること及び製品フェノールの品質悪化の原因となるHAの生成抑制することは、実用上、重要な課題である。
【0009】
また、特公平2−51408号公報には、第1段階として、逆混合反応器を用いて30〜100重量ppmの硫酸濃度、50〜90℃の反応温度で、反応混合物中のCHP濃度を0.5〜5重量%まで低下させる反応を行う。この第1段階の反応においては、ジメチルフェニルカルビノールからジクミルペルオキシドへの転化率が40mol%以上になる。次に、プラグフロー型反応器に送り、120〜150℃の温度で第1段階の反応器で生成したジクミルペルオキシドを分解する第2段階を行う方法が提案されている。
【0010】
さらに、米国特許第5,254,751号明細書には、第1段階の反応を、非等温状態の反応装置内で150〜500重量ppmの酸触媒濃度、50〜62℃の温度範囲及びアセトンを添加した条件でCHP濃度を0.3〜1.5%まで低下させる反応を行う。次に、第1段階の反応生成物にアンモニア水を添加した後、プラグフロー型反応器に送り、80〜110℃の温度で第1段階の反応で生成したジクミルペルオキシドを分解する第2段階を行う方法が提案されている。
【0011】
特開平9−20699号公報では、第1段階として、逆混合反応器を用いて150〜350重量ppmの硫酸濃度、55〜75℃の温度で反応を行い、さらに、第2段階のプラグフロー型反応器に送り、120℃以下の温度で生成したジクミルペルオキシドを分解する第2段階を行う際に、過剰のアセトンの存在下で行うことにより、α−MSなどの高沸化とHAの副生を同時に抑制する方法が提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、CHPを主成分とするクメン酸化生成物からフェノール、アセトン及びα−MSを得る方法において、上述したような従来の方法における問題点を解決するためになされたものであって、高沸点化合物やHAの副生を抑えて、高効率にフェノール、アセトン及びα−MSを得る方法を提供することを目的とする。
【0013】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため、1段あるいは多段階法によるクメン法プロセスについて、鋭意研究を行った。本発明者らは、クメンを酸化して得られるCHPを無機酸触媒にて開裂し、フェノール、アセトン及びα−MSを得るに際し、供給するクメン酸化生成物中に含まれるジメチルフェニルカルビノールの濃度が5重量%以下とした該クメン酸化生成物を用いて反応を行うことにより、フェノールやα−MSの収率悪化の原因となる高沸点化合物の生成や製品フェノールの品質を悪化させるHAの生成を抑制することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
フェノール、アセトン及びα−メチルスチレンを製造する方法において、供給するクメン酸化生成物中に含まれるジメチルフェニルカルビノールの濃度が5重量%以下となるように調整された該クメン酸化生成物を反応器に供給する本発明において、反応温度55〜90℃、かつ反応混合物中のアセトン濃度を20〜70重量%に保ち、CHPの転化率が95〜99.9%まで反応を行うことが更に好ましい。
【0015】
【発明の実施の態様】
本発明でいう無機酸類とは、炭素を含まない酸全てを総称し、さらに炭素を含む酸のうち、炭酸もこれに属する。無機酸類には塩酸、フッ化水素酸のような二元酸(水素酸)と硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸などに代表されるようなオキソ酸(酸素酸)類が含まれる。またこのような均一酸以外に、ゼオライト、金属酸化物、一般的に言われる酸性イオン交換樹脂においてイオン交換基が炭素を含まない酸であるもの、さらに炭素を含まない酸を担体に固定化したもの、などの固体酸も含まれる。
CHPの分解反応には、通常、硫酸が用いられるが、一般的に言われる酸性イオン交換樹脂やゼオライト、前述の固体酸などの不均一酸触媒やヘテロポリ酸やホウフッ化水素酸などの均一酸触媒などが使用できる。
【0016】
本発明の方法は、前記無機酸類触媒の存在下に、主としてCHPの酸分解反応を行う反応法によって、CHPを主成分とするクメン酸化生成物から、フェノール、アセトン及びα−MSを製造する方法である。
原料には、クメン酸化生成物中に含まれるジメチルフェニルカルビノールの濃度が5重量%以下、好ましくは4重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下となるように調整した該クメン酸化生成物が供給される。該クメン酸化生成物の製法については特定しないが、以下の方法を単独あるいは複数組み合わせることで該クメン酸化生成物を得ることが可能である。
【0017】
ジメチルフェニルカルビノールの生成自体を抑える方法として、例えば、ナトリウムの存在下あるいは非存在下に、温和な条件、例えば110℃以下の低温下で、空気または酸素によってクメンを酸化し、その後生成物を蒸留操作によって所定の濃度になるように未反応クメンを分離して該クメン酸化生成物を得る方法が使用できる。
また例えば、通常行われるようなクメン酸化反応条件において、クメン酸化生成物のCHP濃度が30重量%以下で酸化反応を行い、前述したような蒸留操作によって該クメン酸化生成物を得る方法が使用できる。
【0018】
110℃以上の高温下で空気または酸素によってクメンを酸化した場合、またはクメン酸化生成物のCHP濃度が30重量%以上でクメンを酸化した場合、ラジカル停止反応の発生頻度が増加してCHPの選択率が悪化し、ジメチルフェニルカルビノール生成量が増加する為好ましくない。
また例えば触媒、具体的にはTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル)のようなラジカル捕捉触媒などの存在下、前述のような通常行われるような反応条件でクメンを酸化することなどによってCHPの選択性を向上させてジメチルフェニルカルビノールの生成を抑える方法が使用できる。
【0019】
クメン酸化反応において生成したジメチルフェニルカルビノールを変換または除去する方法としては、化学的に処理する方法と物理的に分離する方法が挙げられる。
化学的に処理する方法としては、例えば特定の触媒および溶媒存在下あるいは非存在下、特定の酸化剤によってジメチルフェニルカルビノールを酸化し、CHPとする方法が使用できる。
【0020】
ここでいう触媒には、金属酸化物などの固体酸触媒、無機酸類などの均一触媒が使用できる。また溶媒にはアセトンなどの有機溶媒、水などが使用できる。また酸化剤には、過酸化水素、金属化酸化物などの無機化酸化物、メチルヒドロペルオキシドなどの有機化酸化物が使用できる。
この方法は、クメンの酸化反応によって得たクメン酸化生成物を濃縮する工程の前および後に使用することが可能であり、また濃縮を行わないでCHP分解反応に供する場合にも使用することが可能である。
【0021】
また例えば、特定の金属触媒存在下あるいは非存在下、特定の還元剤によってジメチルフェニルカルビノールを還元し、クメンとする方法が使用できる。
ここでいう金属触媒には、PtやRuなど貴金属をシリカやカーボンなどの担体に担持した貴金属触媒や、ラネーニッケルやラネー銅などの合金触媒が使用できる。また、還元剤には水素、一酸化炭素などが使用できる。
【0022】
物理的に分離する方法としては、例えば特定の抽出剤を用いてジメチルフェニルカルビノールを選択的に抽出分離する方法が使用できる。
また例えば、高効率な蒸留塔で蒸留する方法が使用できる。
【0023】
化学的処理と物理的分離を組み合わせた方法としては、例えばクメン酸化物中のCHPをアルカリ金属の水酸化物の水溶液あるいはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液と反応させて塩として水相に抽出し、さらにその水相を無機酸類で中和してCHPとした後、前述したような蒸留操作によって該クメン酸化生成物を得る方法が使用できる。ここでいうアルカリ金属の水酸化物およびアルカリ土類金属の水酸化物には、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどが使用できるが、特に限定するものではない。容易かつ安価に入手できることから水酸化ナトリウムが好ましい。また詳細は後述するが、この方法でクメン酸化物を得るとき、該クメン酸化生成物中に塩分が残留していると無機酸類を中和しCHPの酸分解反応を阻害する為、濃縮を行う以前に痕跡量まで除去するのが好ましい。
【0024】
これらの方法により得られるクメン酸化生成物は、CHP(60〜90重量%)、ジメチルフェニルカルビノール(0〜5重量%)、クメン(10〜40重量%)、アセトフェノン(0〜2重量%)、その他少量のジクミルペルオキシドなどの成分組成を有するものである。
【0025】
本発明の方法を2段階の反応で行う場合について、以下に詳細に述べる。
まず、第1段反応に使用する無機酸類のクメン酸化生成物に対する濃度は、通常行われている濃度域(100〜500重量ppm)よりも低濃度域で高活性を発現するとされているが、一般にCHPからフェノール、アセトン及びα−MSを生成するプロセスにおいて、酸の変動は運転安定性に影響を与えるため、余り低濃度にすると反応液中の水濃度の増加や原料であるクメン酸化生成物中に同伴するナトリウム塩の影響を受け、酸強度及び酸濃度が低下し、未反応のCHPが増加する恐れがある。CHPの酸分解反応は、反応速度が半減期1秒以下と非常に早く、かつその際に発生する分解反応熱は、一般的な発熱型の有機化学反応の数倍にもなる。そのため、仮に数%のCHPが反応条件の変動により瞬時に分解反応を起こした場合、反応混合物の温度が急上昇し、反応器の破裂を招く可能性がある。また、余りに高濃度で反応を行っても、生成するα−MSの重質化反応が促進されるので好ましくない。従って、使用する無機酸類の濃度を特に制限はしないが、上述の影響から見て好ましい範囲は20〜300重量ppmである。
また、第1段反応におけるCHPの転化率は、出来るだけ高い方が良く、低転化率で反応を行った場合、第2段反応における反応温度が著しく上昇し、有効成分であるα−MSの重質化反応などが促進され、好ましくないだけでなく、プラントの安全運転上、問題である。従って、少なくとも95%以上、99.9%までであり、好ましくは97〜99.6%である。
【0026】
次に、第1段反応器における反応温度は、55〜90℃の範囲であり、好ましくは55〜85℃である。この反応温度の調節は、ここで蒸発するアセトンを冷却・凝縮し、環流することにより行うこともできる。この反応温度が90℃よりも高温の場合は、原料となるクメン酸化物中のジメチルフェニルカルビノールを取り除くなどしない限り、α−MSの重質化反応が促進し、目的生成物であるフェノール及びアセトンの収率低下を招く。一方、55℃に満たない温度では、反応熱の除去のために多大な設備を必要とし、かつ酸分解反応時の温度の安定性を悪化させるため好ましくない。
【0027】
本発明の方法において、第1段階の反応でもα−MSからクミルフェノールまたは、メチルスチレンダイマー及びこれらがさらに重質化した高沸点化合物が生成する。この反応を抑制するためアセトンを添加して反応器内のα−MS濃度を低下させることでα−MSの重質化反応を抑制することができ、しかも、このアセトンの添加は、反応混合物中のアセトン濃度が20〜70重量%になるように行われ、フェノール及びα−MSの収率低下を防ぐことができる。
【0028】
ここで、アセトンの添加量が70重量%より多い場合には、α−MSの重質化反応は抑制できるが、反応器とアセトンの蒸留設備間を循環するアセトン量を多くする必要があり、その結果、アセトンを蒸留するための消費エネルギーを多く必要とし、プロセス全体ではデメリットの方が大きくなる。また、アセトンの添加量が35重量%より少ない場合には、α−MSの重質化反応の抑制効果はほとんど得られない。
【0029】
また、参考までに述べると、特開平9−20699号公報では、硫酸触媒において第1段階の反応にアセトンを添加する方法において、HAの生成が増大して、品質を悪化させるという記載があるが、本発明の方法では、使用する無機酸類の濃度を低く、リサイクルするアセトン中の水濃度を通常言われている濃度域よりも低く保つことで、CHPの分解速度がHAの副生速度に比べて極めて速いため、過剰のアセトンによるヒドロキシアセトンの増大は認められない。
【0030】
また、第1段反応器における反応混合物の滞留時間は、5〜40分の範囲であり、通常、15〜30分程度になるように調整される。
第1段反応において、CHPの酸分解によってフェノールとアセトンが生成する際に生じる反応熱は、一般的な有機化学反応における反応熱の数倍の熱量になる。そのため、第1段における反応は、発生する反応熱を完全に除去して所定の反応温度に維持することで、CHPの分解速度を一定にし、第1段反応器からは、成分組成の安定した反応混合物を第2段の反応器に供給できるように、反応温度を制御して行う必要がある。
【0031】
このような温度制御が容易な反応器の形式としては、完全混合槽型反応器が好ましい。また、例えば、反応器内部に冷却管を備えた方式、反応器の外周に冷媒を流すためのジャケットを備えた方式、反応時に併産されるアセトンの蒸発潜熱を利用して反応熱を除去する方式などを採用することができる。また、反応熱の除去と生成したアセトンの分離を同時に行う反応蒸留方式にて反応を行うこともできる。この時、該反応器の温度制御に利用される反応で生成するアセトンは、反応熱によって蒸発し、反応器上部に取り付けた蒸留塔の塔頂より抜き出す。この場合、反応温度は塔頂圧力及びアセトンの還流比により調節する。従って、反応圧力は反応物の組成、反応温度により、減圧、常圧、加圧の全ての範囲から適切な条件を選ぶ必要がある。
【0032】
以上の方法により、第1段階の反応を行うことで、原料であるクメン酸化生成物中のジメチルフェニルカルビノールは、CHPとの反応生成物であるジクミルペルオキシドへ転化、もしくは未反応の状態で反応混合物中に存在し、α−MSへの転化、さらには高沸点物への転化は抑制される。このようにして第1段反応器から得た反応混合物は、フェノール、アセトン、ジメチルフェニルカルビノール、ジクミルペルオキシド及びクメンを主成分とするものであり、引き続き第2段反応器に供給される。
【0033】
次いで、第2段反応においては、主に反応混合物中のジメチルフェニルカルビノールまたは、ジクミルペルオキシドからα−MSを生成する反応が行われる。このα−MSの生成反応は発熱反応であることから、反応器入口の温度よりも出口の温度の方が高く、その温度差は、反応するジクミルペルオキシドの量に応じて変動するが、通常、2〜30℃程度になるため、第2段反応器の出口温度を制御する必要がある。
また、反応温度が高いと反応速度が速くなるため、反応時間を短縮するなどの制御をする必要がある。これらのことから第2段反応器における反応温度は55〜120℃であり、好ましくは、第2段反応器出の温度〜120℃未満である。第2段反応器の反応温度が120℃を越える場合に、ジクミルペルオキシド及びジメチルフェニルカルビノールからα−MSへの転化率が70%以上になると、α−MSの重質化物であるクミルフェノールやメチルスチレンダイマー及び高沸点化合物の副生速度が急激に増加するため好ましくない。
これらより、第2段反応器としては、内径に対して塔長を長くしたり、反応器の内部に邪魔板を設けて、反応混合物のバックミキシングを抑えることが出来るプラグフロー型反応器が好ましく用いられる。この第2段反応器での反応混合物の滞留時間は、通常、0.1〜60分程度、好ましくは0.5〜30分程度である。また、反応圧力は減圧、常圧、加圧のいずれでもよい。
【0034】
さらに、第2段反応器においては、ジクミルペルオキシド及びジメチルフェニルカルビノールからα−MSの生成反応が終了した直後に反応生成物を冷却し、酸触媒である無機酸類の中和処理を行って反応を停止することが必要である。これは反応生成物中に酸触媒が存在すると、有機過酸化物(CHPなど)の分解反応が終了しても、α−MSの重質化反応、すなわちクミルフェノール、メチルスチレンダイマー、さらにはさらに高沸化した化合物の生成反応が進行し、α−MS、フェノールの収率が悪化する。
ここで、反応混合物中の酸触媒である無機酸類の中和処理は、通常、水酸化ナトリウム水溶液、又は水酸化ナトリウムとフェノールの塩であるナトリウムフェノラート、あるいは炭酸ナトリウム水溶液を用いて行われる。
【0035】
本発明の方法において、中和後の反応生成物は、蒸留工程にてアセトン、フェノール、α−MS、クメンなどに分離される。この時、分離したアセトンの一部は、第1段反応器へ反応希釈剤及び無機酸類の供給溶媒として循環させて使用することが出来る。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0037】
比較例3
100℃でクメンを空気酸化し、濃縮してクメン酸化生成物(組成がCHP82.9重量%、ジメチルフェニルカルビノール4.5重量%、アセトフェノン0.5重量%、クメン10.7重量%)を得た。また、このクメン酸化生成物中のナトリウム塩濃度は、2.8重量ppm、有機酸濃度は、220重量ppmであった。
このようにして得られたクメン酸化生成物は、第1段反応器として除熱機能を有する連続式完全混合槽型反応器に供給されてCHPの分解反応を行い、引き続き第2段反応器として、断熱式プラグフロー型反応器を用いて、主としてα−MSの生成反応を行った。
【0038】
まず、第1段反応器にクメン酸化生成物を225g/hr、触媒として800重量ppmの硫酸(反応液中の濃度として200重量ppm)を含むアセトンを75g/hrでポンプにて連続供給した。圧力は常圧にて、該反応器で蒸発するアセトンを冷却・凝縮し、還流することにより反応温度を78℃に制御し、反応混合物を得た。第1段反応器の容積は100mlであり、この時の該反応器での滞留時間は17分であった。ここで、触媒と共に供給したアセトンは、後述の第2段階の反応生成物から蒸留分離したもので、アセトンよりも低沸点のアルデヒド類を1000重量ppm、水を3.0重量%含有しているものであった。また、反応混合物中の水濃度は、1.2重量%であった。
【0039】
得られた反応混合物の一部を分析用に採取し、冷却して、20重量%炭酸ナトリウム水溶液で中和した。この中和反応液をガスクロマトグラフで分析した結果、アセトン濃度は47.1重量%で、CHP転化率は99.5%、ジメチルフェニルカルビノール転化率は、85.2%であった。
【0040】
次いで、第1段反応器から留出した反応混合物を予め加熱昇温した断熱型のプラグフロー型反応器に供給して第2段反応を行った。第2段反応器の容積は6mlで、この時の該反応器における反応混合物の滞留時間は1分であり、反応器の出口温度は118℃であった。こうして得られた反応生成物は直ちに冷却され、20重量%炭酸ナトリウム水溶液で中和して反応を停止した。この反応生成物を分析し、高沸不純物FOとHAの単位フェノール生産量あたりの生成量を求めた。結果を表1に示す。
【0041】
参考例1
100℃、反応槽中のCHP濃度が15重量%の条件下でクメンを空気酸化し、濃縮してクメン酸化生成物(組成がCHP83.0重量%、ジメチルフェニルカルビノール2.5重量%、アセトフェノン0.4重量%、クメン12.7重量%)を得た。このようにして得られたクメン酸化生成物を原料に用いた他は比較例3と同様に行った。結果を表1に示す。
【0042】
実施例3
115℃でクメンを空気酸化し、濃縮して得たクメン酸化生成物を、クメン酸化生成物中のジメチルフェニルカルビノールと等モルの過酸化水素、液全体に対し5重量%の硫酸と、油水比が1になるように水を添加し、60℃で反応させた後、分離して回収した油相を濃縮し、クメン酸化生成物(組成がCHP83.4重量%、ジメチルフェニルカルビノール2.4重量%、アセトフェノン0.5重量%、クメン12.5重量%)を得た。このようにして得られたクメン酸化生成物を原料に用いた他は比較例3と同様に行った。結果を表1に示す。
【0043】
実施例4
115℃でクメンを空気酸化し、濃縮して得たクメン酸化生成物を、クメン酸化生成物中のCHPと量論量の苛性ソーダ水溶液と反応させて水相を回収し、CHPナトリウム塩水溶液を得た。このCHPナトリウム塩水溶液に油水比が1になるようクメンを添加、硫酸で中和し、分離して回収した油相を濃縮し、クメン酸化生成物(組成がCHP83.4重量%、ジメチルフェニルカルビノール0.4重量%、アセトフェノン0.1重量%、クメン15.0重量%)を得た。また、このクメン酸化生成物のナトリウム塩濃度は、0重量ppm、有機酸濃度は、20重量ppmであった。
【0044】
このようにして得られたクメン酸化生成物を、比較例3と同様に第1段反応器に225g/hr、触媒として1840重量ppmの硫酸(反応液中の濃度として40重量ppm)を含むアセトンを5g/hrでポンプにて連続供給した。圧力は常圧にて、該反応器で蒸発するアセトンを冷却・凝縮し、還流することにより反応温度を90℃に制御し、反応混合物を得た。この時の該反応器での滞留時間は22分であった。ここで、触媒と共に供給したアセトンは、比較例3と同様に、アセトンよりも低沸点のアルデヒド類を1000重量ppm、水を3.0重量%含有しているものであった。また、反応混合物中のアセトン濃度は33.2重量%で、水濃度は0.3重量%であった。
得られた反応混合物を分析用に採取し、冷却して、20重量%炭酸ナトリウム水溶液で中和した。この中和反応液をガスクロマトグラフで分析した結果、CHP転化率は99.9%、ジメチルフェニルカルビノール転化率は、88.5%であった。第2段反応は行わなかった。結果を表1に示す。
【0045】
比較例1
115℃でクメンを空気酸化し、濃縮してクメン酸化生成物(組成がCHP83.1重量%、ジメチルフェニルカルビノール6.6重量%、アセトフェノン0.9重量%、クメン7.7重量%)を得た。また、このクメン酸化生成物中のナトリウム塩濃度は、3.6重量ppm、有機酸濃度は、300重量ppmであった。このようにして得られたクメン酸化生成物を原料に用いた他は比較例3と同様に行った。結果を表1に示す。
【0046】
比較例2
115℃でクメンを空気酸化し、濃縮して得たクメン酸化生成物にジメチルフェニルカルビノール試薬(2−フェニル−2−プロパノール、東京化成製)を加え、調製クメン酸化生成物(組成がCHP82.1重量%、ジメチルフェニルカルビノール9.5重量%、アセトフェノン0.8重量%、クメン5.9重量%)を得た。このようにして得た調製クメン酸化生成物を原料に用いた他は比較例3と同様に行った。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】

Figure 0004472271
*C'nol:ジメチルフェニルカルビノール
*F.O.:ジクミルペルオキシド、クミルフェノール、
メチルスチレンダイマー、H.B.(高沸点化合物)の合算
*HA:ヒドロキシアセトン
*kg/t−Ph:フェノール1tあたりの生成量(kg)
【0048】
【発明の効果】
無機酸類触媒の存在下にクメンヒドロペルオキシドを主成分とするクメン酸化生成物の分解反応及びα−メチルスチレンの生成反応を行うにあたり、クメン酸化生成物中に含まれるジメチルフェニルカルビノールの濃度が5重量%以下となるように調整することにより、フェノールやα−MSの収率悪化の原因となる高沸点化合物の生成や製品フェノールの品質を悪化させるヒドロキシアセトンの生成を抑制することができ、産業上優位である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing phenol, and more particularly to a method for producing phenol, acetone and α-methylstyrene from a cumene oxidation product containing cumene hydroperoxide as a main component in the presence of inorganic acids. These are useful as intermediates for the production of synthetic resins, agricultural chemicals, dyes, pharmaceuticals and the like.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, various methods have been proposed as methods for synthesizing phenol. Among these methods, a cumene method phenol production process in which phenol is synthesized using cumene as a starting material is generally put into practical use. In this method, cumene is oxidized with oxygen or air to produce cumene hydroperoxide (hereinafter abbreviated as CHP), and then the obtained CHP is decomposed in the presence of a mineral acid catalyst to obtain phenol and acetone. It is.
[0003]
In recent years, in a phenol plant that produces phenol, the cumene process, which has mild reaction conditions and is excellent in economic efficiency, has become the mainstream of the world's phenol production process. The production process can be roughly divided into an oxidation system and a concentration system. In the process of cleaving CHP with acid (cribbing system), mineral acid is generally used as a catalyst, and sulfuric acid is generally used.
In this cumene process, phenol and acetone are obtained as main products. At the same time, dimethylphenylcarbinol is by-produced during cumene oxidation, and α-methylstyrene (hereinafter referred to as “dimethylphenylcarbinol”) is dehydrated. , Abbreviated as α-MS). This by-product α-MS can be easily converted to cumene by a hydrogenation reaction and reused as a raw material, and can also be effectively utilized industrially as a resin modifier. .
[0004]
Moreover, in this cumene method process, α-MS and phenol react to produce cumylphenol, or methylstyrene dimer is produced by a dimerization reaction of α-MS. These substances are thermally decomposed in the recovery process of the phenol process, and some of them are recycled again. However, heavier high-boiling compounds cannot be recovered and are discharged out of the system to become fuel. Deteriorate units. As a result, a reaction that causes a decrease in the yield of the target products such as phenol and α-MS due to the decomposition reaction of CHP occurs.
In addition, in the CHP decomposition reaction, a trace amount of hydroxyacetone (hereinafter abbreviated as HA) is generated. Since this HA is difficult to be separated from phenol by distillation, the cumene process is known to require extractive distillation using a solvent, which is known to cause deterioration in steam intensity. Furthermore, it mixes with the product phenol which is the final product, and causes the product quality to deteriorate. For example, when bisphenol A is produced using product phenol mixed with HA as a raw material, the product is colored and the commercial value is significantly reduced. In addition, since HA is water-soluble, there is a problem that the COD load of wastewater is increased.
[0005]
Among these problems, as a method for suppressing side reactions that cause a decrease in the yields of phenol and α-MS, a method in which CHP is diluted with a solvent such as acetone and then an acid decomposition reaction is carried out (Japanese Patent Publication No. Sho-27). 3875, 28-4619, etc.), a method of improving the reaction system, such as a method of dividing the reaction into multiple stages (US Pat. No. 2,757,209, Japanese Examined Patent Publication No. 37-13464, etc.) Proposed. Among these prior arts, a method for performing an acid decomposition reaction of CHP diluted with a solvent such as acetone is described as a side reaction is suppressed by a dilution effect by the solvent and an improvement in contact efficiency between the acid catalyst and CHP. ing.
[0006]
In addition, the method described in US Pat. No. 2,757,209, which is a method in which the reaction is performed in multiple stages, includes, for example, a one-stage production reaction of phenol, acetone, and α-MS as the first reaction. The acid decomposition reaction is carried out under mild conditions where the acid catalyst concentration and the reaction temperature are low, compared with the method terminated in step 3, leaving a few percent of CHP in the reaction product. Next, as a second-stage reaction, a method of introducing the first-stage reaction product into a plug flow reactor and performing a reaction for decomposing the organic peroxide and dimethylphenylcarbinol present in the reaction product. It is.
[0007]
As a measure for preventing the mixing of HA in the product phenol, British Patent No. 1,231,991 describes the reaction product of the acid decomposition reaction of cumene oxidation product mainly composed of CHP, acetone, hydrocarbon Crude phenol obtained by distilling and separating low-boiling components such as alcohol and high-boiling compounds such as unreacted dimethylphenylcarbinol, cumylphenol, and methylstyrene dimer is treated with an acidic ion exchange resin and contained in the crude phenol. A method is described in which HA is converted into a high-boiling compound that is easy to be separated by distillation, and then distilled and separated.
In US Pat. No. 5,064,507, crude phenol is treated with an organic polyamine, and HA in the crude phenol reacts with the added organic polyamine to form a high-boiling compound. A method for separating compounds by distillation is described.
[0008]
However, if these methods are carried out simultaneously, there are problems such as complicating the phenol production process and requiring a large amount of equipment for removing HA. Therefore, in the cumene process, it is practically important to suppress the production of high-boiling compounds that cause a decrease in the yield of the target product and to suppress the production of HA that causes a deterioration in the quality of product phenol. It is a problem.
[0009]
In JP-B-2-51408, as a first step, the concentration of CHP in the reaction mixture is set to 0 using a backmixing reactor at a sulfuric acid concentration of 30 to 100 ppm by weight and a reaction temperature of 50 to 90 ° C. The reaction is reduced to 5-5% by weight. In the first stage reaction, the conversion rate from dimethylphenyl carbinol to dicumyl peroxide is 40 mol% or more. Next, a method is proposed in which a second stage is performed in which the dicumyl peroxide produced in the first stage reactor is decomposed at a temperature of 120 to 150 ° C. by sending it to a plug flow reactor.
[0010]
Furthermore, US Pat. No. 5,254,751 describes the first stage reaction in a non-isothermal reactor with an acid catalyst concentration of 150-500 ppm by weight, a temperature range of 50-62 ° C. and acetone. Is carried out to reduce the CHP concentration to 0.3 to 1.5%. Next, after adding ammonia water to the reaction product of the first stage, it is sent to a plug flow type reactor to decompose the dicumyl peroxide generated in the first stage reaction at a temperature of 80 to 110 ° C. A method of performing is proposed.
[0011]
In JP-A-9-20699, as the first stage, the reaction is carried out at a sulfuric acid concentration of 150 to 350 ppm by weight using a backmixing reactor at a temperature of 55 to 75 ° C. In the second step of decomposing dicumyl peroxide produced at a temperature of 120 ° C. or less, the reaction is carried out in the presence of excess acetone, thereby increasing the boiling point of α-MS and the like as a by-product of HA. A method for simultaneously suppressing life has been proposed.
[0012]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made in order to solve the problems in the conventional methods as described above in the method of obtaining phenol, acetone and α-MS from cumene oxidation products containing CHP as a main component. An object of the present invention is to provide a method for obtaining phenol, acetone and α-MS with high efficiency by suppressing by-products of boiling point compounds and HA.
[0013]
[Means for Solving the Invention]
In order to solve the above-mentioned problems, the present inventors have intensively studied a cumene method process by a one-step or multi-step method. The present inventors cleaved CHP obtained by oxidizing cumene with an inorganic acid catalyst to obtain phenol, acetone and α-MS, and the concentration of dimethylphenylcarbinol contained in the cumene oxidation product supplied. By using the cumene oxidation product with an amount of 5% by weight or less, the production of high boiling point compounds causing deterioration of the yield of phenol and α-MS and the production of HA which deteriorates the quality of the product phenol It has been found that the present invention is suppressed, and the present invention has been completed.
[0014]
In the method for producing phenol, acetone and α-methylstyrene, the cumene oxidation product adjusted so that the concentration of dimethylphenylcarbinol contained in the supplied cumene oxidation product is 5% by weight or less is used as a reactor. In the present invention, it is more preferable to carry out the reaction at a reaction temperature of 55 to 90 ° C., an acetone concentration in the reaction mixture of 20 to 70% by weight, and a CHP conversion of 95 to 99.9%.
[0015]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The term “inorganic acids” as used in the present invention is a generic term for all acids not containing carbon, and among the acids containing carbon, carbonic acid also belongs. Inorganic acids include binary acids (hydrogen acid) such as hydrochloric acid and hydrofluoric acid and oxo acids (oxygen acids) represented by sulfuric acid, nitric acid, phosphoric acid, perchloric acid and the like. In addition to such homogeneous acids, zeolites, metal oxides, generally referred to acidic ion exchange resins whose ion exchange groups are acids that do not contain carbon, and acids that do not contain carbon are also immobilized on a carrier. Solid acids such as those are also included.
Sulfuric acid is usually used for the decomposition reaction of CHP, but generally referred to as acidic ion exchange resins, zeolites, heterogeneous acid catalysts such as the aforementioned solid acids, and homogeneous acid catalysts such as heteropolyacids and borohydrofluoric acid. Etc. can be used.
[0016]
The method of the present invention is a method for producing phenol, acetone and α-MS from a cumene oxidation product mainly comprising CHP by a reaction method in which an acid decomposition reaction of CHP is mainly performed in the presence of the inorganic acid catalyst. It is.
The raw material contains the cumene oxidation product adjusted so that the concentration of dimethylphenylcarbinol contained in the cumene oxidation product is 5% by weight or less, preferably 4% by weight or less, more preferably 3% by weight or less. Supplied. Although the production method of the cumene oxidation product is not specified, the cumene oxidation product can be obtained by combining the following methods singly or in combination.
[0017]
As a method of suppressing the production of dimethylphenyl carbinol itself, for example, in the presence or absence of sodium, cumene is oxidized with air or oxygen under mild conditions, for example, at a low temperature of 110 ° C. or less, and then the product is oxidized. A method of separating unreacted cumene so as to obtain a predetermined concentration by distillation operation to obtain the cumene oxidation product can be used.
In addition, for example, under the cumene oxidation reaction conditions that are normally performed, a method of performing an oxidation reaction with a CHP concentration of the cumene oxidation product of 30% by weight or less and obtaining the cumene oxidation product by the distillation operation as described above can be used. .
[0018]
When cumene is oxidized by air or oxygen at a high temperature of 110 ° C. or higher, or when cumene is oxidized when the CHP concentration of the cumene oxidation product is 30% by weight or more, the occurrence frequency of radical termination reaction increases and the selection of CHP This is not preferable because the rate deteriorates and the amount of dimethylphenylcarbinol produced increases.
Further, for example, cumene can be produced under the reaction conditions as described above in the presence of a catalyst, specifically a radical scavenging catalyst such as TEMPO (2,2,6,6-tetramethylpiperidine 1-oxyl). A method of suppressing the production of dimethylphenyl carbinol by improving the selectivity of CHP by oxidation or the like can be used.
[0019]
Examples of the method for converting or removing dimethylphenylcarbinol produced in the cumene oxidation reaction include a chemical treatment method and a physical separation method.
As a chemical treatment method, for example, a method of oxidizing dimethylphenylcarbinol with a specific oxidizing agent in the presence or absence of a specific catalyst and a solvent to form CHP can be used.
[0020]
As the catalyst here, a solid acid catalyst such as a metal oxide, and a homogeneous catalyst such as inorganic acids can be used. Moreover, organic solvents, such as acetone, water etc. can be used for a solvent. As the oxidizing agent, inorganic oxides such as hydrogen peroxide and metallized oxides, and organic oxides such as methyl hydroperoxide can be used.
This method can be used before and after the step of concentrating the cumene oxidation product obtained by the oxidation reaction of cumene, and can also be used when the product is subjected to a CHP decomposition reaction without concentration. It is.
[0021]
For example, a method of reducing dimethylphenylcarbinol with a specific reducing agent in the presence or absence of a specific metal catalyst to form cumene can be used.
As the metal catalyst, a noble metal catalyst in which a noble metal such as Pt or Ru is supported on a support such as silica or carbon, or an alloy catalyst such as Raney nickel or Raney copper can be used. Moreover, hydrogen, carbon monoxide, etc. can be used for a reducing agent.
[0022]
As a method of physically separating, for example, a method of selectively extracting and separating dimethylphenyl carbinol using a specific extractant can be used.
Further, for example, a method of distilling with a highly efficient distillation column can be used.
[0023]
  As a method combining chemical treatment and physical separation, for example, CHP in cumene oxide is reacted with an aqueous solution of an alkali metal hydroxide or an aqueous solution of an alkaline earth metal hydroxide to form a salt as an aqueous phase. Extract the water phaseInorganic acidsA method of obtaining the cumene oxidation product by the distillation operation as described above after neutralization with CHP can be used. Sodium hydroxide, potassium hydroxide, calcium hydroxide, and the like can be used as the alkali metal hydroxide and alkaline earth metal hydroxide here, but are not particularly limited. Sodium hydroxide is preferred because it is easily and inexpensively available. As will be described in detail later, when cumene oxide is obtained by this method, if salt remains in the cumene oxidation product, it is concentrated to neutralize inorganic acids and inhibit CHP acid decomposition reaction. It is preferred to remove to trace amounts previously.
[0024]
Cumene oxidation products obtained by these methods are CHP (60-90 wt%), dimethylphenyl carbinol (0-5 wt%), cumene (10-40 wt%), acetophenone (0-2 wt%). In addition, it has a component composition such as a small amount of dicumyl peroxide.
[0025]
The case where the method of the present invention is carried out in a two-stage reaction will be described in detail below.
First, the concentration of inorganic acids used in the first stage reaction with respect to the cumene oxidation product is said to exhibit high activity in a lower concentration range than the usual concentration range (100 to 500 ppm by weight), In general, in the process of producing phenol, acetone and α-MS from CHP, acid fluctuations affect the operational stability, so if the concentration is too low, the concentration of water in the reaction solution increases and the cumene oxidation product which is the raw material Under the influence of the sodium salt entrained therein, the acid strength and acid concentration may decrease, and unreacted CHP may increase. The acid decomposition reaction of CHP has a very fast reaction rate of half a second or less, and the heat of decomposition reaction generated is several times that of a general exothermic organic chemical reaction. For this reason, if several percent of CHP instantaneously undergoes a decomposition reaction due to fluctuations in reaction conditions, the temperature of the reaction mixture may rise rapidly, leading to a reactor burst. In addition, it is not preferable to carry out the reaction at an excessively high concentration because the reaction of increasing the α-MS produced is promoted. Therefore, the concentration of the inorganic acid to be used is not particularly limited, but a preferable range is 20 to 300 ppm by weight in view of the above-described influence.
In addition, the CHP conversion rate in the first stage reaction is preferably as high as possible. When the reaction is performed at a low conversion rate, the reaction temperature in the second stage reaction is remarkably increased, and the active ingredient α-MS This is not only unfavorable, but also a problem in the safe operation of the plant. Therefore, it is at least 95% or more and up to 99.9%, preferably 97 to 99.6%.
[0026]
Next, the reaction temperature in the first stage reactor is in the range of 55 to 90 ° C, preferably 55 to 85 ° C. The reaction temperature can be adjusted by cooling and condensing the evaporated acetone and circulating it. When this reaction temperature is higher than 90 ° C., unless the dimethylphenylcarbinol in the cumene oxide as a raw material is removed, the α-MS heavyization reaction is accelerated, and the target product phenol and The yield of acetone is reduced. On the other hand, a temperature of less than 55 ° C. is not preferable because a large amount of equipment is required for removing reaction heat and the stability of the temperature during the acid decomposition reaction is deteriorated.
[0027]
In the method of the present invention, cumylphenol or methylstyrene dimer and a high-boiling compound in which they are heavier are also produced from α-MS in the first stage reaction. In order to suppress this reaction, acetone can be added to lower the α-MS concentration in the reactor to suppress the α-MS heavier reaction, and the addition of acetone is not necessary in the reaction mixture. The acetone concentration is 20 to 70% by weight, and the yield of phenol and α-MS can be prevented from decreasing.
[0028]
Here, when the addition amount of acetone is more than 70% by weight, the α-MS heavyization reaction can be suppressed, but it is necessary to increase the amount of acetone circulating between the reactor and the acetone distillation equipment, As a result, a large amount of energy is required to distill acetone, and the demerit is greater in the entire process. In addition, when the amount of acetone added is less than 35% by weight, the effect of suppressing the α-MS heavy reaction is hardly obtained.
[0029]
For reference, Japanese Patent Application Laid-Open No. 9-20699 describes that in the method of adding acetone to the first stage reaction in a sulfuric acid catalyst, the production of HA increases and the quality deteriorates. In the method of the present invention, the concentration of inorganic acids to be used is kept low, and the water concentration in the acetone to be recycled is kept lower than the concentration range usually referred to, so that the decomposition rate of CHP is higher than the byproduct rate of HA. The increase in hydroxyacetone due to excess acetone is not observed.
[0030]
The residence time of the reaction mixture in the first stage reactor is in the range of 5 to 40 minutes, and is usually adjusted to be about 15 to 30 minutes.
In the first stage reaction, the reaction heat generated when phenol and acetone are produced by the acid decomposition of CHP is several times the amount of reaction heat in a general organic chemical reaction. Therefore, in the reaction in the first stage, the generated heat of reaction is completely removed and maintained at a predetermined reaction temperature, so that the decomposition rate of CHP is made constant. From the first stage reactor, the component composition is stabilized. The reaction temperature must be controlled so that the reaction mixture can be supplied to the second stage reactor.
[0031]
As a type of the reactor that can easily control the temperature, a complete mixing tank reactor is preferable. In addition, for example, a system having a cooling pipe inside the reactor, a system having a jacket for flowing a refrigerant around the outer periphery of the reactor, and removing reaction heat using latent heat of vaporization of acetone co-produced during the reaction. A method etc. can be adopted. The reaction can also be carried out by a reactive distillation system in which the reaction heat is removed and the produced acetone is separated at the same time. At this time, acetone generated in the reaction used for temperature control of the reactor is evaporated by the heat of reaction and extracted from the top of the distillation column attached to the top of the reactor. In this case, the reaction temperature is adjusted by the tower top pressure and the reflux ratio of acetone. Accordingly, it is necessary to select appropriate conditions for the reaction pressure from the range of reduced pressure, normal pressure, and increased pressure depending on the composition of the reactants and the reaction temperature.
[0032]
By performing the first stage reaction by the above method, dimethylphenylcarbinol in the cumene oxidation product as a raw material is converted into dicumyl peroxide as a reaction product with CHP, or in an unreacted state. Present in the reaction mixture, conversion to α-MS, and further to high boilers is suppressed. The reaction mixture thus obtained from the first stage reactor is mainly composed of phenol, acetone, dimethylphenyl carbinol, dicumyl peroxide and cumene, and is continuously supplied to the second stage reactor.
[0033]
Next, in the second stage reaction, a reaction for producing α-MS mainly from dimethylphenylcarbinol or dicumyl peroxide in the reaction mixture is performed. Since the α-MS production reaction is an exothermic reaction, the temperature at the outlet is higher than the temperature at the reactor inlet, and the temperature difference varies depending on the amount of dicumyl peroxide to be reacted. Therefore, it is necessary to control the outlet temperature of the second stage reactor.
In addition, since the reaction rate increases when the reaction temperature is high, it is necessary to perform control such as shortening the reaction time. From these facts, the reaction temperature in the second stage reactor is 55 to 120 ° C, and preferably the temperature from the second stage reactor to less than 120 ° C. When the reaction temperature of the second stage reactor exceeds 120 ° C. and the conversion rate from dicumyl peroxide and dimethylphenylcarbinol to α-MS is 70% or more, cumyl which is a heavy product of α-MS Since the byproduct rate of phenol, methylstyrene dimer and high boiling point compound increases rapidly, it is not preferable.
From these, as the second-stage reactor, a plug flow reactor that can lengthen the column length with respect to the inner diameter or provide a baffle plate inside the reactor to suppress back mixing of the reaction mixture is preferable. Used. The residence time of the reaction mixture in this second stage reactor is usually about 0.1 to 60 minutes, preferably about 0.5 to 30 minutes. The reaction pressure may be any of reduced pressure, normal pressure, and increased pressure.
[0034]
Furthermore, in the second-stage reactor, the reaction product is cooled immediately after the α-MS formation reaction from dicumyl peroxide and dimethylphenylcarbinol is completed, and neutralization treatment of inorganic acids as acid catalysts is performed. It is necessary to stop the reaction. This is because when an acid catalyst is present in the reaction product, even when the decomposition reaction of the organic peroxide (such as CHP) is completed, the α-MS is made heavy, that is, cumylphenol, methylstyrene dimer, Furthermore, the formation reaction of the highly boiling compound proceeds, and the yield of α-MS and phenol deteriorates.
Here, the neutralization treatment of inorganic acids which are acid catalysts in the reaction mixture is usually performed using an aqueous sodium hydroxide solution, sodium phenolate which is a salt of sodium hydroxide and phenol, or an aqueous sodium carbonate solution.
[0035]
In the method of the present invention, the reaction product after neutralization is separated into acetone, phenol, α-MS, cumene and the like in the distillation step. At this time, a part of the separated acetone can be circulated and used as a supply solvent for the reaction diluent and inorganic acids to the first stage reactor.
[0036]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although an Example demonstrates this invention still in detail, this invention is not limited at all by the following example.
[0037]
  Comparative Example 3
  Cumene is oxidized in air at 100 ° C. and concentrated to produce a cumene oxidation product (composition is CHP 82.9 wt%, dimethylphenyl carbinol 4.5 wt%, acetophenone 0.5 wt%, cumene 10.7 wt%). Obtained. The sodium salt concentration in the cumene oxidation product was 2.8 ppm by weight, and the organic acid concentration was 220 ppm by weight.
  The cumene oxidation product thus obtained is supplied to a continuous complete mixing tank reactor having a heat removal function as a first stage reactor to perform a CHP decomposition reaction, and subsequently as a second stage reactor. The α-MS production reaction was mainly carried out using an adiabatic plug flow reactor.
[0038]
First, 225 g / hr of cumene oxidation product and acetone containing 800 ppm by weight of sulfuric acid (concentration in the reaction solution as 200 ppm by weight) as a catalyst were continuously supplied to the first stage reactor by a pump at 75 g / hr. The reaction temperature was controlled at 78 ° C. by cooling, condensing, and refluxing acetone evaporated in the reactor under normal pressure, thereby obtaining a reaction mixture. The volume of the first stage reactor was 100 ml, and the residence time in the reactor at this time was 17 minutes. Here, acetone supplied together with the catalyst was distilled and separated from the reaction product of the second stage described later, and contained 1000 ppm by weight of aldehydes having a lower boiling point than acetone and 3.0% by weight of water. It was a thing. The water concentration in the reaction mixture was 1.2% by weight.
[0039]
A portion of the resulting reaction mixture was taken for analysis, cooled and neutralized with 20 wt% aqueous sodium carbonate. As a result of analyzing the neutralized reaction solution by gas chromatography, the acetone concentration was 47.1% by weight, the CHP conversion was 99.5%, and the dimethylphenylcarbinol conversion was 85.2%.
[0040]
Next, the reaction mixture distilled from the first-stage reactor was supplied to an adiabatic plug flow reactor heated and heated in advance to carry out the second-stage reaction. The volume of the second stage reactor was 6 ml, the residence time of the reaction mixture in the reactor at this time was 1 minute, and the outlet temperature of the reactor was 118 ° C. The reaction product thus obtained was immediately cooled and neutralized with a 20 wt% aqueous sodium carbonate solution to stop the reaction. This reaction product was analyzed, and the amount of high boiling impurities FO and HA per unit phenol production amount was determined. The results are shown in Table 1.
[0041]
  Reference example 1
  Cumene is oxidized by air under the conditions of 100 ° C. and CHP concentration in the reaction vessel of 15% by weight, and concentrated to produce a cumene oxidation product (composition is 83.0% by weight of CHP, 2.5% by weight of dimethylphenyl carbinol, 0.4 wt%, cumene 12.7 wt%). The same procedure as in Comparative Example 3 was performed except that the cumene oxidation product thus obtained was used as a raw material. The results are shown in Table 1.
[0042]
  Example 3
  Cumene oxidation product obtained by subjecting cumene to air oxidation at 115 ° C. and concentration was converted into dimethylphenylcarbinol and equimolar hydrogen peroxide in the cumene oxidation product.TheWater was added to 5 wt% sulfuric acid so that the ratio of oil to water was 1, and reacted at 60 ° C., then the separated and recovered oil phase was concentrated, and cumene oxidation product (composition was CHP 83.4 wt. %, Dimethylphenyl carbinol 2.4% by weight, acetophenone 0.5% by weight, cumene 12.5% by weight). Other than using the cumene oxidation product thus obtained as a raw material,Comparative Example 3As well as. The results are shown in Table 1.
[0043]
Example 4
The cumene oxidation product obtained by air-oxidizing and condensing cumene at 115 ° C. is reacted with CHP in the cumene oxidation product and a stoichiometric amount of aqueous sodium hydroxide solution to recover the aqueous phase to obtain an aqueous CHP sodium salt solution. It was. Cumene was added to this CHP sodium salt aqueous solution so that the ratio of oil to water was 1, neutralized with sulfuric acid, the oil phase recovered by separation was concentrated, and the cumene oxidation product (composition was CHP 83.4% by weight, dimethylphenylcarbyl). Nool 0.4 wt%, acetophenone 0.1 wt%, cumene 15.0 wt%). The sodium salt concentration of this cumene oxidation product was 0 ppm by weight, and the organic acid concentration was 20 ppm by weight.
[0044]
  The cumene oxidation product thus obtained isComparative Example 3Similarly, acetone containing 225 g / hr and 1840 ppm by weight of sulfuric acid (40 ppm by weight as the concentration in the reaction solution) as a catalyst was continuously supplied to the first stage reactor by a pump at 5 g / hr. The reaction temperature was controlled at 90 ° C. by cooling, condensing, and refluxing acetone evaporated in the reactor at normal pressure, thereby obtaining a reaction mixture. The residence time in the reactor at this time was 22 minutes. Here, acetone supplied with the catalyst isComparative Example 3Similarly, the aldehydes having a boiling point lower than that of acetone were 1000 ppm by weight and water was 3.0% by weight. The acetone concentration in the reaction mixture was 33.2% by weight, and the water concentration was 0.3% by weight.
  The resulting reaction mixture was collected for analysis, cooled and neutralized with 20 wt% aqueous sodium carbonate. As a result of analyzing the neutralized reaction solution by gas chromatography, the CHP conversion rate was 99.9%, and the dimethylphenyl carbinol conversion rate was 88.5%. The second stage reaction was not performed. The results are shown in Table 1.
[0045]
  Comparative Example 1
  Cumene is oxidized by air at 115 ° C. and concentrated to obtain a cumene oxidation product (composition: CHP 83.1 wt%, dimethylphenyl carbinol 6.6 wt%, acetophenone 0.9 wt%, cumene 7.7 wt%). Obtained. The sodium salt concentration in the cumene oxidation product was 3.6 ppm by weight, and the organic acid concentration was 300 ppm by weight. Other than using the cumene oxidation product thus obtained as a raw material,Comparative Example 3As well as. The results are shown in Table 1.
[0046]
  Comparative Example 2
  Dimethylphenylcarbinol reagent (2-phenyl-2-propanol, manufactured by Tokyo Chemical Industry Co., Ltd.) was added to the cumene oxidation product obtained by subjecting cumene to air oxidation at 115 ° C. and concentration, and a prepared cumene oxidation product (composition was CHP82. 1% by weight, dimethylphenyl carbinol 9.5% by weight, acetophenone 0.8% by weight, cumene 5.9% by weight). Other than using the prepared cumene oxidation product thus obtained as a raw material,Comparative Example 3As well as. The results are shown in Table 1.
[0047]
[Table 1]
Figure 0004472271
* C'nol: Dimethylphenyl carbinol
* F. O. : Dicumyl peroxide, cumylphenol,
            Methylstyrene dimer, H.P. B. Addition of (high boiling point compounds)
* HA: Hydroxyacetone
* Kg / t-Ph: Production amount per 1t of phenol (kg)
[0048]
【The invention's effect】
In the decomposition reaction of cumene oxidation product mainly composed of cumene hydroperoxide and the formation reaction of α-methylstyrene in the presence of an inorganic acid catalyst, the concentration of dimethylphenylcarbinol contained in the cumene oxidation product is 5 By adjusting it to be less than wt%, it is possible to suppress the production of high-boiling compounds that cause the deterioration of the yield of phenol and α-MS and the production of hydroxyacetone that deteriorates the quality of the product phenol. It is superior.

Claims (9)

クメンヒドロペルオキシドを主成分とするクメン酸化生成物を無機酸類によって分解して、フェノール、アセトン及びα−メチルスチレンを製造する方法において、供給するクメン酸化生成物(クメンヒドロペルオキシド含量:60〜90重量%)中に含まれるジメチルフェニルカルビノールの濃度を、以下の(b)および(c)のいずれか1種以上の方法により3重量%以下とすることを特徴とする製造方法。
(b)クメン酸化生成物に含まれるジメチルフェニルカルビノールを、無機過酸化物または有機過酸化物である酸化剤によりクメンヒドロペルオキシドに変換して、ジメチルフェニルカルビノール濃度を3重量%以下に低減する方法
(c)アルカリ金属の水酸化物の水溶液またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液と、クメン酸化生成物中のクメンヒドロペルオキシドを反応させて得たクメンヒドロペルオキシドの塩を水相に抽出分離し、該水相を無機酸類で中和する方法
In a method for producing phenol, acetone and α-methylstyrene by decomposing a cumene hydroperoxide-based cumene oxidation product with inorganic acids, a cumene oxidation product to be supplied (cumene hydroperoxide content: 60 to 90 wt. %) In which the concentration of dimethylphenylcarbinol is 3% by weight or less by one or more of the following methods (b) and (c).
(B) Dimethylphenylcarbinol contained in the cumene oxidation product is converted to cumene hydroperoxide by an oxidizing agent that is an inorganic peroxide or an organic peroxide to reduce the dimethylphenylcarbinol concentration to 3% by weight or less. (C) A solution of cumene hydroperoxide obtained by reacting an aqueous solution of an alkali metal hydroxide or an alkaline earth metal hydroxide with cumene hydroperoxide in the cumene oxidation product in an aqueous phase. Extraction and separation, and neutralizing the aqueous phase with inorganic acids
クメンヒドロペルオキシドを主成分とするクメン酸化生成物を無機酸類によって分解して、フェノール、アセトン及びα−メチルスチレンを製造する方法において、供給するクメン酸化生成物(クメンヒドロペルオキシド含量:60〜90重量%)中に含まれるジメチルフェニルカルビノールの濃度を、以下の(c)の方法により3重量%以下とすることを特徴とする製造方法。
(c)アルカリ金属の水酸化物の水溶液またはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液と、クメン酸化生成物中のクメンヒドロペルオキシドを反応させて得たクメンヒドロペルオキシドの塩を水相に抽出分離し、該水相を無機酸類で中和する方法
In a method for producing phenol, acetone and α-methylstyrene by decomposing a cumene hydroperoxide-based cumene oxidation product with inorganic acids, a cumene oxidation product to be supplied (cumene hydroperoxide content: 60 to 90 wt. %) In which the concentration of dimethylphenyl carbinol contained is 3% by weight or less by the following method (c).
(C) Extracting and separating a cumene hydroperoxide salt obtained by reacting an aqueous solution of an alkali metal hydroxide or an alkaline earth metal hydroxide with cumene hydroperoxide in the cumene oxidation product into an aqueous phase. And neutralizing the aqueous phase with inorganic acids
反応温度が55〜90℃の範囲にあり、かつ反応混合物中のアセトン濃度が20〜70重量%の範囲にあり、クメンヒドロペルオキシドの転化率が95〜99.9%まで反応を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。  The reaction temperature is in the range of 55 to 90 ° C., the acetone concentration in the reaction mixture is in the range of 20 to 70% by weight, and the conversion of cumene hydroperoxide is performed to 95 to 99.9%. The manufacturing method according to claim 1 or 2. クメンヒドロペルオキシドを主成分とするクメン酸化生成物(クメンヒドロペルオキシド含量:60〜90重量%)を無機酸類によって分解して、フェノール、アセトン及びα−メチルスチレンを2段反応で製造する方法において、第1段反応を請求項3に記載の方法で行ない、次いで反応温度55〜120℃の第2段反応器で反応を完結させることを特徴とするフェノールの製造方法。  In the method of producing a phenol, acetone and α-methylstyrene by a two-stage reaction by decomposing a cumene oxidation product (cumene hydroperoxide content: 60 to 90% by weight) based on cumene hydroperoxide with inorganic acids. A process for producing phenol, wherein the first stage reaction is carried out by the method according to claim 3 and then the reaction is completed in a second stage reactor having a reaction temperature of 55 to 120 ° C. 反応器で蒸発するアセトンを、冷却・凝縮し、還流することにより、反応温度を55〜90℃に保つ請求項3または4に記載の製造方法。  The production method according to claim 3 or 4, wherein the acetone evaporated in the reactor is cooled, condensed, and refluxed to maintain the reaction temperature at 55 to 90 ° C. 反応器を出た反応生成物から分離したアセトンの一部を反応器に循環させる請求項3または4に記載の製造方法。  The production method according to claim 3 or 4, wherein a part of the acetone separated from the reaction product leaving the reactor is circulated to the reactor. 反応器を出た反応生成物から分離したアセトン中の水濃度を、4重量%以下に制御して反応器に循環させる請求項6に記載の製造方法。  The production method according to claim 6, wherein the water concentration in acetone separated from the reaction product leaving the reactor is controlled to 4 wt% or less and circulated in the reactor. クメンヒドロペルオキシドを主成分とするクメン酸化生成物を無機酸類によって分解して、フェノール、アセトン及びα−メチルスチレンを製造する方法において、無機酸類が均一酸触媒であり、反応液中の濃度として20〜300重量ppm用いる請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。  In a method for producing a phenol, acetone and α-methylstyrene by decomposing a cumene oxidation product mainly composed of cumene hydroperoxide with an inorganic acid, the inorganic acid is a homogeneous acid catalyst, and the concentration in the reaction solution is 20 The production method according to any one of claims 1 to 7, wherein ˜300 ppm by weight is used. 反応器を出た反応生成物を、直ちに冷却及び中和して反応を停止させる請求項1または2に記載の製造方法。  The production method according to claim 1 or 2, wherein the reaction product exiting the reactor is immediately cooled and neutralized to stop the reaction.
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