JP4472031B2 - プラグと整形外科インプラント - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は整形外科インプラントの２個の構成要素を留めるための、好ましくは埋込み（移植）可能な装置の同心カップを連結するための装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
多くの埋込み可能な人工関節は、患者の人工関節を整合し取り付けるために互いに移動できる複数の構成要素を有する。一旦、最適な位置に取り付けられたこれらの構成要素は、次に、その部品が互いに動かないように、互いに留められ、あるいは固定される。例えば、非対称的なライナーが外カップ内で、あるいは外カップに対して回転し、その非対称的なライナーを埋込みに最適な位置に向けることができる。次に、ライナーはピンを使用してシェルあるいはカップに固定される。そのピンは通常、ライナーとカップの共通の又は位置合わせされた溝又は開口でできた孔に差込まれる。ピンが患者の寛骨臼あるいは肩における寛骨臼骨あるいは浅窩骨に接すると、ピンは孔を通してライナーから延び、シェルから出る。
【０００３】
そのようなピンは通常、頭部と、孔に挿入できるようにテーパーが付き、ライナーとカップあるいはシェルに接触しながら開くようにばね押しされる洗濯ばさみタイプの遠位部とからなっている。このタイプのピンについての潜在的な不具合の１つは、ばね力がその構成要素に接触しロックするように、ピンが十分に長くなければならないことである。従って、ピンは寛骨臼内に延び、使用の際にはピンが、ばね押し遠位部に対する寛骨臼の骨の力により緩んでしまう。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
従って、互いに移動できる２個の埋込み可能な構成要素を取り付けて互いにその構成要素が緩まないようにまたは動かないようにする手段を提供することが望ましい。また、互いに好ましく位置合わせされた位置に埋込みシステムの同心カップを固定するための手段を提供することも望ましい。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、整形外科インプラントの複数の移動可能に係合する構成要素を、選択した最適な位置に固定するためのロックピン（プラグ）を提供する。このプラグは、このプラグの材料より軟らかい材料からなる少なくとも１個の第一構成要素と、この第一構成要素に連結される第二構成要素とを含むインプラントに好適に使用される。２個の構成要素の各々は、他の構成要素の１個の溝あるいは複数の溝に位置合わせ可能な１個の溝、好ましくは、複数の溝を有して１個以上の共通の連続した孔を形成する。
【０００６】
プラグは歯あるいはセレーションを有する頭部（ヘッド）と、その頭部から延び近位部を有する胴部（ボディ）と、中間溝と、円錐円筒状遠位端部とからなる。この円錐円筒状遠位端部はリップを備え、また近位部もリップを備えている。これらのリップの各々は中間凹部で形成される。これらのリップは、離れた対向する位置で軟らかい材料の面に突き当たるように配置され、軟らかい材料の構成要素と他のインプラント構成要素とを固定位置に保持する。プラグの２個のリップの特徴によりプラグをよりコンパクトな大きさにすることができ、プラグと連結要素との間でさらなる表面積接触が行なわれる。
【０００７】
プラグは、ヒップあるいは肩関節のようなソケットタイプの関節の同心カップで好適に使用され、内カップが外カップに対して共通軸の周りを回転して内カップの角度方位を最適に配置する。インプラントは金属製の外シェルとポリエチレンのような生体適合性ポリマーから作られた内カップからなる。プラグはチタン合金のような金属から作られる。内カップは、外シェル内の溝と内カップ内の溝とで形成した孔に延びる２個のラグを有する。プラグは挿入すると孔にフィットし、プラグの頭部の一リップとセレーションとは外シェルのラグに当たり、外シェル内で内カップが回らないようにする。
【０００８】
別の実施態様では、中間凹部に、プラグ引き抜き力に抵抗するための面を増加するためのセレーションを備えることができる。これらのセレーションの面はプラグの下リップに代わるもの、あるいは下リップに加わるものでよい。
【０００９】
【発明の実施の形態】
図１ないし図４を参照する。図には本発明の好ましい実施態様のインプラント４０とプラグ１０が示されている。プラグ１０は、外周１２にセレーション１４を有する頭部（ヘッド）１１を含む。プラグ１０はさらに、中間凹部１８で形成したリップ１７を有する近位プラグ部１６を備えたプラグ部あるいは胴部１５を含む。円錐部１９は中間凹部１８から末端に延びる。その円錐部１９は、中間凹部１８が円錐部１９と一緒になる場所に形成したリップ２０を有する。
【００１０】
円錐部１９は、リップ２０からその遠位先端２１までテーパーが付いており、インプラント４０のライナー４２とシェル４１で形成した孔５０に入り込む。プラグ１０も内部に近位から遠位に延びる隠れた孔２５を有する。この孔２５は、内面ねじ山２６を備え、この内面ねじ山２６には、挿入器具６０のねじ山付き先端６４が取り付けられる。
【００１１】
インプラント４０は外側のシェル４１と内側のライナー４２を有する。シェル４１は、チタンあるいはコバルトクロム合金のような金属材料で形成され、ライナー４２はポリエチレンのような生体適合性のあるポリマーから作られることが好ましい。ライナー４２は、シェル４１内に配置され、シェル４１の内球面４３と関節結合がなされる外球面４５を有する。
【００１２】
シェル４１はさらに、そのシェル４１の内周辺の種々の位置に配置された一連の溝４４を備えている。ライナー４２もまた、そのライナーの外周辺に延びる一連の溝４６を備えている。溝４４、４６は、プラグ１０を通す孔５０を形成するために位置合わせすることができる。
【００１３】
シェル４１はライナー４２のリッジ４７を受けるための第一の溝４８も含み、シェル４１内の所定位置にライナー４２を保持し、シェル４１とライナー４２の共通軸の周りでライナー４２が回転する。シェル４１はさらに、第一の溝４８上方でライナー４２のリッジ４７の上方に位置する下ラグ５１を回転可能に受けるための第二の溝４９も含む。シェル４１はまた、このシェル４１の溝４４に隣接して第二の溝４９上方に一部が延びる突起５２も備えている。ライナー４２は、第二の溝４９が突起５２で邪魔されないところで下ラグ５１を第二の溝４９に位置合わせすることによってシェル４１内に挿入される。一旦、挿入されると、下ラグ５１は、シェル４１の内側周辺で回る。下ラグ５１は、溝４６と溝４４が位置合わせされた時、突起５２が下ラグ５１に係合してライナー４２がシェル４１から外れたりあるいは上がったりしないように、ライナー４２の溝４６に隣接している。ライナー４２はさらに、溝４６に隣接して位置する上ラグ５３を含む。上ラグ５３は、ライナー４２をシェル４１内に挿入した時、シェル４１の突起５２の上に載る。
【００１４】
プラグ１０は溝４４、４６で形成した孔５０に挿入できる。プラグ１０の頭部１１には孔２５を通して内面ねじ山２６が形成されている。内面ねじ山２６は、頭部１１に、ハンドル６１と、螺合するねじ山付き先端６４を備えた遠位端部６２とを有する挿入器具６０を取り付ける。この挿入器具６０はプラグ１０に取り付けられ、プラグ１０の円錐先端１９は孔５０内に挿入される。
【００１５】
プラグ１０を孔５０内に挿入すると、遠位のリップ２０は下ラグ５１に当たり、一方、近位のリップ１７は孔５０内でプラグ１０を中心に位置させる。頭部１１のセレーション１４はライナー４２の上ラグ５３を留めるか上ラグ５３に当たり、プラグ１０が緩まないようにする。
【００１６】
円錐部１９の外径と最も太い近位プラグ部１６は孔５０の内径に略等しく、そのため孔５０内にプラグ１０をフィットさせることができる。
使用時には、シェル４１を寛骨臼のような骨の空洞内に挿入し、ライナー４２をシェル４１内に入れる。ライナー４２のリップ５５はライナー４２の周囲で種々の角度に配置される。ライナー４２は、リップ５５が埋込み用に最適な位置に配置されるようにシェル４１内でリップ５５を回すことによって配置される。この最適なリップ５５の位置に最も近い隣接位置で溝４４を溝４６に位置合わせする。プラグ１０をそのような位置合わせで形成した孔５０に挿入する。
【００１７】
図５を参照する。図では、セレーション１１４を有する頭部１１１と、円錐部１１９を頭部１１１につなぐ中間溝付き部１１８を備えた胴部１１５とを有する別の実施態様が示されている。中間溝付き部１１８はライナー４２をインプラント４０のシェル４１にかみ合わすためのセレーション１２２を備えている。
【００１８】
この発明は特定の実施態様に関連させて説明しているが、本明細書の請求の範囲から逸脱することなく多数の変形がなされる。
以下本発明の具体的な実施態様を示す。
（Ａ）頭部と、
前記頭部に連結された近位部、円錐円筒状遠位部、及び前記近位部を前記遠位部に連結する中間凹部を有する胴部とからなる整形外科インプラントの少なくとも２個の構成要素を固定するためのプラグであって、
前記中間凹部が前記円錐円筒状遠位端部の遠位リップを形成するプラグ。
（１）前記頭部はさらに、セレーションを有する外周を含む実施態様（Ａ）に記載のプラグ。
（２）前記中間凹部は前記近位部の近位リップを形成する実施態様（Ａ）に記載のプラグ。
（３）前記中間凹部はさらに、表面に形成したセレーションを有する外周を含む実施態様（Ａ）に記載のプラグ。
（Ｂ）第一硬さを有する第一材料からできた第一構成要素と、
前記第一構成要素に連結される第二構成要素と、
前記第一構成要素と第二構成要素を固定するためのプラグであり、前記プラグが頭部と、前記頭部に連結された近位部、円錐円筒状遠位部、及び前記近位部を前記遠位部に連結する中間凹部を有する胴部とからなるプラグを有する整形外科インプラントであって、
前記中間凹部は前記円錐円筒状遠位端部の遠位リップを形成し、
前記第一構成要素は溝を備え、前記第二要素は溝を備え、前記第一及び第二構成要素の前記溝は共通の孔を形成するのに位置合わせ可能であり、
前記プラグの前記胴部は外径を備え、前記共通の孔は前記胴部の外径に略同様の外径を有し、
前記第一構成要素は、前記孔内に延在する第一ラグと第二ラグを有し、
前記頭部は前記第一ラグに係合可能であり、前記プラグ遠位リップは前記第二ラグと係合可能であり前記第二構成要素に対して前記第一構成要素を固定する整形外科インプラント。
（４）前記頭部はさらに、セレーションを有する外周を含む実施態様（Ｂ）に記載の整形外科インプラント。
（５）前記プラグは前記第一構成要素の前記第一硬さより大きな硬さを有する材料からなる実施態様（Ｂ）に記載の整形外科インプラント。
【００１９】
（６）前記第一構成要素は生体適合性ポリマーからなる実施態様（５）に記載の整形外科インプラント。
（７）前記第二構成要素は金属からなる実施態様（６）に記載の整形外科インプラント。
（８）前記第一構成要素は外凸球面を有する第一カップを有し、
前記第二構成要素は内凹球面を有する第二カップを有し、前記第一球面は前記第二球面と関節結合するように前記第一カップが前記第二カップ内で回転可能であり、
前記プラグを前記孔内に取り付けると、前記プラグにより前記第一カップが前記第二カップに対して回らない実施態様（Ｂ）に記載の整形外科インプラント。
（９）前記第一構成要素はライナーを含み、前記第二カップは寛骨臼シェルを含む実施態様（８）に記載の整形外科インプラント。
【００２０】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、互いに移動できる２個の埋込み可能な構成要素を取り付けることによって互いにその構成要素を緩めず移動させないようにした整形外科インプラントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のプラグの仮想線を備えた側面部分断面図。
【図２】寛骨臼シェル（部分断面図）とヒップインプラントのライナーを用いた使用の際での本発明のプラグの側面図。
【図３】寛骨臼シェルとライナーを用いた使用の際での本発明のプラグの分解図。
【図４】カップ内に挿入したプラグを有する図３のプラグとカップの図。
【図５】プラグの別の実施態様の図。

Claims (10)

1. 整形外科インプラントの少なくとも２個の構成要素を固定するためのプラグ（１０）において、
   頭部（１１）と、
   胴部（１５）と、
   を有し、
   前記胴部は、前記頭部に連なる近位部（１６）、円錐筒状の遠位端部（１９）、及び前記近位部を前記遠位端部に連ねる中間部（１８）を有し、
   前記中間部は、前記近位部及び前記遠位端部に対して凹部となっていて、前記近位部の近位リップ（１７）及び前記遠位端部の遠位リップ（２０）を形成する、プラグ。
2. 請求項１のプラグにおいて、
   前記頭部（１１）は、セレーション（１４）を有する外周（１２）をさらに含む、プラグ。
3. 整形外科インプラントの少なくとも２個の構成要素を固定するためのプラグ（１１０）において、
   頭部（１１１）と、
   胴部（１１５）と、
   を有し、
   前記胴部は、前記頭部に連なる近位部（１１６）、円錐筒状の遠位端部（１１９）、及び前記近位部を前記遠位端部に連ねる中間部（１１８）を有し、
   前記中間部は、表面に形成したセレーション（１２２）を有する外周をさらに含む、プラグ。
4. 整形外科インプラント（４０）において、
   第一硬さを有する第一材料からできた第一構成要素（４２）と、
   前記第一構成要素に連結される第二構成要素（４１）と、
   前記第一構成要素と前記第二構成要素を固定するためのプラグ（１０）であり、頭部（１１）及び胴部（１５）を有し、前記胴部は、前記頭部に連なる近位部（１６）、円錐筒状の遠位端部（１９）、及び前記近位部を前記遠位端部に連ねる中間部（１８）を有する、プラグと、
   を有し、
   前記中間部は、前記近位部及び前記遠位端部に対して凹部となっていて、前記近位部の近位リップ（１７）及び前記遠位端部の遠位リップ（２０）を形成し、
   前記第一構成要素は溝（４６）を備えるとともに前記第二構成要素も溝（４４）を備え、前記第一構成要素の前記溝及び前記第二構成要素の前記溝は共通の孔を形成するように位置合わせ可能であり、
   前記プラグの前記胴部は外径を有し、前記共通の孔は前記胴部の前記外径と同じ直径を有し、
   前記第一構成要素は、前記共通の孔内に延在する第一ラグ（５３）及び第二ラグ（５１）を有し、
   前記第一構成要素を前記第二構成要素に固定するために、前記頭部は前記第一ラグと係合可能であり、前記近位リップは前記共通の孔内において前記プラグを中心に位置させるように作用し、前記遠位リップは前記第二ラグと係合可能である、整形外科インプラント。
5. 請求項４の整形外科インプラントにおいて、
   前記頭部（１１）は、セレーション（１４）を有する外周（１２）をさらに含む、整形外科インプラント。
6. 請求項４の整形外科インプラントにおいて、
   前記プラグは、前記第一構成要素の前記第一硬さよりも大きな硬さの材料を含む、整形外科インプラント。
7. 請求項６の整形外科インプラントにおいて、
   前記第一構成要素は生体適合性ポリマーを含む、整形外科インプラント。
8. 請求項７の整形外科インプラントにおいて、
   前記第二構成要素は金属を含む、整形外科インプラント。
9. 請求項４の整形外科インプラントにおいて、
   前記第一構成要素は外側の凸状の第一球面を有する第一カップを備え、
   前記第二構成要素は内側の凹状の第二球面を有する第二カップを備え、前記第一カップは前記第一球面が前記第二球面と関節結合するように前記第二カップ内で回転可能であり、
   前記プラグが前記共通の孔内に取り付けられた際に、前記プラグは前記第一カップが前記第二カップに対して回転するのを防止する、整形外科インプラント。
10. 請求項９の整形外科インプラントにおいて、
    前記第一構成要素はライナー（４２）を含み、前記第二カップは寛骨臼シェル（４１）を含む、整形外科インプラント。

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