JP4471531B2 - Material gripping device and automatic lathe - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械に装備できる素材把持装置に関する。さらに本発明は、素材把持装置を備えた自動旋盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械において、加工工程中に被加工素材を固定的に保持するために、開閉動作可能な把持部を有するチャックと、チャックの把持部を開閉動作させる作動機構と、作動機構を駆動する駆動部とを有する素材把持装置を装備したものは知られている。例えば、NC旋盤等の自動旋削加工を実施可能な工作機械(本明細書で自動旋盤と総称する)では、中空の筒状本体に弾性変形可能なすり割り構造の把持部を形成してなるチャック(一般にコレットチャックと称する)を、中空の主軸の内部先端領域に同心状に設置するとともに、チャックの把持部を弾性変形させるように作動する作動機構を主軸に併設して備える素材把持装置が周知である。この構成によれば、主軸の後方から主軸内部に軸線方向へ送給される棒状の被加工素材が、作動機構の作動によりチャックを介して主軸に固定的に保持される。
【0003】
従来、この種の素材把持装置では、駆動部として一般に、油圧又は空気シリンダ装置や回転電動機が採用されている。例えば自動旋盤の主軸に組み込まれる素材把持装置においては、作動機構が、主軸の軸線方向に移動可能な作動部材を備えて構成されるとともに、駆動部であるシリンダ装置の直動出力又は電動機の回転出力が、レバー組立体、送りねじ装置等の動力伝達機構を介して作動部材に伝達される構成が一般的である(例えば特開平7−328819号公報参照)。この構成では、駆動部の駆動により作動部材が主軸に沿って軸線方向へ移動し、それにより、チャックの把持部がその内径寸法を縮小する(すなわち縮径する)ように弾性変形して被加工素材を把持する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の素材把持装置において、駆動部としてシリンダ装置を採用した場合は、素材把持装置の全体寸法を削減することが困難であるだけでなく、被加工素材の外径寸法や剛性の変化に即時対応してチャックの把持力を自動調整することが困難である課題を有する。また、シリンダ装置自体に生じ得る圧力損失により、チャックの作動効率が低くなる傾向がある。
【0005】
他方、駆動部として回転電動機(通常はサーボモータ)を採用した場合は、電動機出力軸の回転制御により、チャックの把持力を比較的容易に自動調整できる利点がある。しかし、送りねじ装置等の動力伝達機構を必然的に使用するために、素材把持装置の全体寸法を削減することはやはり困難である。しかも、送りねじ装置自体、滑りや捩れ等による伝達損失を生じ得るので、チャックの作動効率を効果的に改善することは困難である。
【0006】
本発明の目的は、チャックを有する素材把持装置において、チャックの把持力を比較的容易に自動調整できる駆動部を備え、しかも装置の全体寸法を可及的に削減できるとともに、チャックの作動効率を著しく向上させることができる素材把持装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、そのような素材把持装置を備えた高機能の自動旋盤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、中心軸線を有する筒状本体及び筒状本体に設けられる開閉動作可能な把持部を有するチャックと、チャックに対して筒状本体の軸線方向へ移動することによりチャックの把持部を開閉動作させる作動部材と、推力により作動部材を軸線方向へ移動させるリニアモータとを具備する素材把持装置において、リニアモータと作動部材との間に設置され、リニアモータの推力を増大させて作動部材に伝達する推力伝達装置を具備し、推力伝達装置は、リニアモータの可動子に連結され、リニアモータの駆動により可動子と共に軸線方向へ移動する直動部材と、直動部材に係合する第1端と作動部材に係合する第2端とを有し、直動部材の軸線方向移動に連動して支軸旋回するとともに、梃子の作用により推力を作動部材に伝達するレバー部材とを備えることを特徴とする素材把持装置を提供する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の素材把持装置において、直動部材は、レバー部材の第1端に摺動可能に係合する係合面を有し、係合面が、チャックの把持部に素材を把持している間に推力伝達装置を介してリニアモータに加わる負荷を軽減する負荷軽減領域を有する素材把持装置を提供する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の素材把持装置において、作動部材は、チャックの筒状本体に共軸に配置される筒状体からなり、リニアモータは、作動部材の少なくとも一部分を囲繞するように配置される筒状の可動子を有する素材把持装置を提供する。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の素材把持装置において、リニアモータの推力を制御することによりチャックの把持力を調整する推力制御機構をさらに具備する素材把持装置を提供する。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の素材把持装置において、リニアモータの可動子の位置を制御することによりチャックの把持力を調整する位置制御機構をさらに具備する素材把持装置を提供する。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の素材把持装置を主軸に組み込んだことを特徴とする自動旋盤を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一又は類似の構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は、本発明の実施の形態による素材把持装置10を、自動旋盤の主軸12に組み込んだ状態で示す。図2及び図3はそれぞれ、主軸12に組み込まれた素材把持装置10の主要部を拡大して示す。素材把持装置10は、主軸12の軸線方向貫通穴12aの内側先端領域に同心状に設置されるチャック14と、チャック14の後述する把持部を開閉動作させて棒状の被加工素材W(図2:以下、棒材Wと称する)を固定的に把持させる作動機構16と、作動機構16を駆動する駆動部18とを備える。
【0018】
主軸12は、軸受装置20を介して自動旋盤の主軸台22に回転可能に搭載される。図示実施形態では、主軸台22に、主軸12を回転駆動する回転駆動装置24としてビルトイン型ACサーボモータが内蔵されている。主軸12は中空筒状の構造を有し、その後端から貫通穴12aの内部に軸線方向へ送給される棒材Wを所定位置でチャック14に把持した状態で、回転駆動装置24により回転駆動される。なお、主軸12の回転駆動装置は、図示構成に限定されず、主軸台22の外部に併設されるACサーボモータ(図示せず)の出力軸を、ベルト/プーリ等の動力伝達機構(図示せず)を介して主軸12に連結する構成であってもよい。
【0019】
図2に拡大して示すように、チャック14は、棒材Wを内部に受容可能な中空の筒状本体26と、筒状本体26の軸線方向前端(図で左端)領域に設けられる把持部28とを備えて構成される。把持部28は、筒状本体26の中心軸線26aを基準として内径寸法を弾性的に変更可能なすり割り構造を有する。すなわち、把持部28は、筒状本体26の前端領域で軸線方向へ所定長さに渡って刻設された複数のスリット30を備える。それらスリット30は、筒状本体26の中心軸線26aに関し放射状に形成されて周方向へ等間隔に配置され、隣合うスリット30の間に、径方向へ変位可能な縦割片32をそれぞれ形成する。各縦割片32は、その基端を支点として、筒状本体26の径方向へ板ばね状に弾性変形できるようになっている。
【0020】
把持部28に設けられた複数の縦割片32は、弓形の曲面をそれぞれの内面に有し、それら内面が互いに協働して、把持部28の実質的円筒状の棒材把持面34を構成する。把持部28は、複数の縦割片32に一様に径方向内方への外力を加えて弾性的に撓ませ、棒材把持面34を把持対象の棒材Wに密接するまで縮径することにより、棒材Wを強固に固定的に把持する。把持部28への径方向圧力が解除されると、各縦割片32が弾性的に復元して棒材把持面34が拡径し、棒材Wが把持部28から解放される。把持部28の各縦割片32には、その外面に、径方向内方への外力を受けるためのテーパ面36が形成される。それらテーパ面36は、互いに協働して、把持部28の軸線方向前端へ向かって徐々に拡径して延びる円錐台状の圧力受け面を構成する。また、各縦割片32のテーパ面36は、把持部28の前端面から軸線方向後方へ幾分離れた位置に形成され、それにより各テーパ面36の大径端に隣接して、中心軸線26aに略直交して延びる肩面38が形成される。
【0021】
素材把持装置10の作動機構16は、主軸12の貫通穴12a内に軸線方向摺動可能に同心に収容される作動部材40を備える。作動部材40は、棒材Wを受容可能な長尺の中空筒状体であり、その軸線方向貫通穴40aの内側前端領域に、チャック14を軸線方向摺動可能に同心に収容できる。作動部材40の貫通穴40aの軸線方向前端領域には、チャック14の把持部28に設けた全てのテーパ面36に係合可能な円錐台状の作用面42が形成される。作用面42は、作動部材40の前端面から軸線方向後方へ徐々に縮径して延び、その小径端で、作動部材40の円筒状内周面に接続される。作用面42の小径端の内径寸法は、チャック14の把持部28のテーパ面36が構成する圧力受け面の小径端の外径寸法に実質的に等しくなっており、それにより作用面42は、全てのテーパ面36に面接触式に当接される加圧面を構成する。
【0022】
作動部材40の円筒状内周面には、作用面42から軸線方向後方へ所定距離だけ離れた位置に、径方向へ延びる環状の支持面44が形成され、作用面42と支持面44との間の領域に、チャック14及び弾性部材46が軸線方向へ整列して同心状に収容される。弾性部材46は、例えば圧縮コイルばねからなり、チャック14の軸線方向後端面と作動部材40の支持面44との間に弾性的に撓んだ状態で介在して、チャック14を作動部材40の支持面44から離れる方向(すなわち主軸12の軸線方向前方)に付勢する。
【0023】
主軸12の先端には、チャック14の把持部28に設けた全ての肩面38に係合可能な係止面48を内側に備えるキャップ50が、脱着可能に取り付けられる。作動部材40の軸線方向前端領域にチャック14及び弾性部材46を適正に収容した状態で、キャップ50を主軸12の先端に取り付けると、その係止面48がチャック14の全肩面38に係合し、弾性部材46の付勢に抗してチャック14を作動部材40から脱落しないように保持する。なお、チャック14を交換する際には、キャップ50を主軸12から取り外してチャック14を作動部材40から抜き取ればよい。
【0024】
図3に拡大して示すように、作動部材40の軸線方向後端面40bは、駆動部18からの駆動力を受ける駆動力受け面を構成する。主軸12の軸線方向後端近傍には、主軸12の筒状壁を貫通する複数の開口部52が、好ましくは周方向へ等間隔に設けられ、それら開口部52の中に、作動部材40の軸線方向後端面40bが位置するようになっている。後述するように作動部材40は、主軸12の貫通穴12a内で駆動部18の駆動力を受けて、主軸12の軸線方向すなわちチャック14の筒状本体26(図2)の軸線方向に移動し、それによりチャック14の把持部28(図2)を弾性的に縮径させる。なお図示実施形態では、作動部材40は、支持面44(図2)の近傍及び後端面40bの近傍でそれぞれ分割された3部品構造を有するが、これに限定されず、例えば全体に一体の構造を有することもできる。
【0025】
素材把持装置10の駆動部18には、リニアモータ54が装備される。リニアモータ54は、円筒型リニアモータ(例えばリニアステップモータ)からなり、主軸12及び作動部材40の軸線方向後端領域を同心状に囲繞して配置される円筒状の可動子56と、主軸台22のハウジング58の内面に固定的に設置され、空隙を介して可動子56に対向する固定子60とを備える。図示実施形態では、リニアモータ54は、固定子60を一次側とし、かつ可動子56を二次側として構成されているが、その逆の構成とすることもできる。後述するようにリニアモータ54は、その推力を作動部材40に伝達して、作動部材40を主軸12の軸線方向すなわちチャック14の筒状本体26の軸線方向に移動させるように作用する。
【0026】
素材把持装置10はさらに、リニアモータ54と作動部材40との間に設置され、リニアモータ54の推力を増大させて作動部材40に伝達する推力伝達装置62を備える。推力伝達装置62は、リニアモータ54の可動子56に連結され、可動子56と一体的に主軸12の軸線方向へ移動可能な直動部材64と、直動部材64の軸線方向移動に連動して支軸旋回する複数のレバー部材66(以下、レバー66と略称する。)とを備えて構成される。
【0027】
推力伝達装置62の直動部材64は、リニアモータ54の可動子56の内側に同心状に配置される筒状体であり、その内周面64aを、主軸12の筒状壁の外周面12bに摺動可能に接触させて、主軸12の軸線方向後端領域で主軸12に同心に取り付けられる。直動部材64はさらに、それ自体の軸線方向一端で径方向外方へ突出するフランジ部分68と、フランジ部分68に隣接して形成され、それ自体の軸線方向他端へ向かって徐々に縮径して延びる略円錐状の外周面すなわち係合面70とを備える。直動部材64は、そのフランジ部分68で、リニアモータ54の可動子56を直接に支持する筒状の支持部材72に固定的に連結される。また直動部材64は、主軸12に適正に取り付けられた状態で、その係合面70が、主軸12の軸線方向後端へ向かって徐々に縮径するように配置される。
【0028】
推力伝達装置62の複数のレバー66は、直動部材64の軸線方向後方位置で、主軸12の外周面12bに沿って好ましくは周方向へ等間隔に配置される。各レバー66は、直動部材64に係合する第1端66aと、作動部材40に係合する第2端66bとを備え、第1端66aと第2端66bとの間の中間点で、主軸12の軸線方向後端領域に設置されたレバーホルダ74に、支軸76を介して回動可能に支持される。レバー66は、第1端66aと支軸76との間の距離が、第2端66bと支軸76との間の距離よりも十分に大きく、支軸76を支点として梃子の作用を発揮できるようになっている。
【0029】
各レバー66は、レバーホルダ74を介して主軸12に適正に取り付けられた状態で、その第1端66aが、直動部材64の係合面70に摺動式に係合可能な位置に配置される。またこの状態で、各レバー66の第2端66bは、主軸12の後端領域に形成された対応の開口部52に受容されて、開口部52内に位置する作動部材40の軸線方向後端面40bに摺動可能に係合する。このとき、前述したように、作動部材40の軸線方向前端領域にチャック14及び弾性部材46を適正に収容した状態でキャップ50を主軸12の先端に取り付けると、弾性部材46の付勢力下で、チャック14の肩面38がキャップ50の係止面48に当接され、それと同時に、弾性部材46の反作用力下で、作動部材40の軸線方向後端面40bが各レバー66の第2端66bに当接される。それにより、各レバー66は、その第1端66aが主軸12の外周面12bに接近する方向へ付勢され、またレバーホルダ74は、複数のレバー66を介して、主軸12の軸線方向後端に向かって付勢される。
【0030】
図4に示すように、レバーホルダ74は、それ自体に設けたガイドピン78が、主軸12の筒状壁に設けたガイド穴80に係合することにより、主軸12の外周面12b上に、軸線方向へ摺動可能に設置される。レバーホルダ74の軸線方向後方には、主軸12の筒状壁の軸線方向後端領域に螺着される調節ナット82が設置される。調節ナット82は、作動部材40及び複数のレバー66を介してレバーホルダ74に負荷される弾性部材46の付勢力に抗して、レバーホルダ74を主軸12上の所定位置に保持する。また、このように弾性部材46の付勢力がレバーホルダ74に負荷されている状態で、調節ナット82を主軸12に締め込んだり緩めたりすることにより、主軸12上でのレバーホルダ74及び複数のレバー66の軸線方向位置を調節することができる。
【0031】
直動部材64は、後述するようにリニアモータ54の駆動により主軸12の外周面12b上で軸線方向へ摺動し、それに伴い、その係合面70上に、各レバー66の第1端66aを摺動式に乗り上げさせることにより、複数のレバー66をそれぞれの支軸76の周りで同期して回転させる。ここで、図5(a)に拡大して示すように、直動部材64の係合面70は、その内周面64a(すなわち主軸12の外周面12b)との成す角度が段階的に増加するように、主軸12の軸線方向後端へ向かって徐々に縮径している。図示実施形態では、係合面70は、フランジ部分68に最も近接して、内周面64aに対し略平行に延びる第1領域70aと、第1領域70aの後方に隣接して、内周面64aに対し約5°の角度を成して延びる第2領域70bと、第2領域70bの後方に隣接して、内周面64aに対し約10°の角度を成して延びる第3領域70cと、第3領域70cの後方に隣接して、内周面64aに対し約25°の角度を成して延びる第4領域70dとを備えて構成される。このような構成により、直動部材64の係合面70は、特にその第1及び第2領域70a、70bが、後述するように、棒材把持中に推力伝達装置62を介してリニアモータ54に加わる負荷を軽減するように作用できる。
【0032】
上記構成を有する素材把持装置10の作動形態を、以下に説明する。
まず、駆動部18を構成するリニアモータ54の初期設定により作動部材40をチャック開位置に配置し、チャック14の把持部28を開状態に置く。この状態で、図1及び図3に示すように、リニアモータ54の可動子56は、推力伝達装置62の直動部材64と共に、直線往復動作ストロークの前端(図で左端)位置に配置される。また、直動部材64の係合面70は、複数のレバー66の第1端66aから軸線方向前方へ僅かに離れた位置に配置され、したがって各レバー66の第1端66aは、弾性部材46の付勢力下で主軸12の外周面12bに当接される(図5(a))。そして、作動部材40の作用面42は、チャック14の把持部28のテーパ面36を実質的に加圧しない位置に置かれる(図1及び図2)。この開状態の間に、主軸12の後端からその内部に長尺の棒材Wを挿入し、作動部材40の貫通穴40aに通してチャック14に送給する。
【0033】
棒材Wの所要の加工長さ部分が、チャック14の軸線方向前端面から突出した時点で、棒材Wの送給を停止する。そこで、リニアモータ54を起動して、その可動子56を直動部材64と共に、主軸12の軸線方向後方へ移動させる。それに伴い、レバーホルダ74に支持された複数のレバー66が、弾性部材46の付勢に抗して、それらの第1端66aで直動部材64の係合面70に漸進的に乗り上げ、それにより支軸76を中心に同期して回転する。このように複数のレバー66が同期して回転すると、それらレバー66は、梃子の作用下でリニアモータ54の推力を増大して作動部材40に伝達し、それぞれの第2端66bで作動部材40の軸線方向後端面40bを押圧する。それにより作動部材40は、弾性部材46の付勢に抗して、主軸12の貫通穴12a内を軸線方向前方に向けて移動する。
【0034】
その後、可動子56及び直動部材64が、直線往復動作ストロークの後端(図で右端)位置に到達した時点で、作動部材40はチャック閉位置に配置され、チャック14の把持部28が閉状態に置かれる(図4)。この状態で、作動部材40の作用面42は、チャック14の把持部28の全テーパ面36に押し付けられ、それにより把持部28の全縦割片32が一様に径方向内方へ撓んで棒材把持面34を縮径させ、棒材Wを把持部28に強固に固定的に把持する。また、このチャック閉位置で、各レバー66の第1端66aは、弾性部材46の付勢力下で、直動部材64の係合面70の第1領域70a(図5(b))又は第2領域70b(図5(c))に当接される。
【0035】
ここで、各レバー66の第1端66aが直動部材64の係合面70の第1領域70aに当接されている状態(図5(b))では、作動部材40及びレバー66を介して直動部材66に加えられる棒材把持力の反力及び弾性部材46の付勢力は、レバー66の第1端66aを、主軸12の外周面12bに平行な係合面第1領域70aに押し付けるように作用するので、直動部材64を主軸12の軸線方向前方に付勢する分力を実質的に生じない。したがってこの状態では、リニアモータ54に加わる負荷が実質的に零となり、結果としてリニアモータ54の励磁を休止することができる。
【0036】
他方、各レバー66の第1端66aが直動部材64の係合面70の第2領域70bに当接されている状態(図5(c))では、作動部材40及びレバー66を介して直動部材64に加えられる棒材把持力の反力及び弾性部材46の付勢力は、レバー66の第1端66aを、主軸12の外周面12bに対して傾斜する係合面第2領域70bに押し付けるように作用するので、直動部材64を軸線方向前方に付勢する分力すなわちリニアモータ54に加わる負荷が生じる。しかし、主軸外周面12bに対する第2領域70bの傾斜角度が約5°と小さいので、リニアモータ54に加わる負荷は比較的小さく、結果としてリニアモータ54の小さな推力で、チャック14を閉状態に保持できる。このように、直動部材64の係合面70の第1及び第2領域70a、70bは、チャック14の把持部28に棒材Wを把持している間に推力伝達装置62を介してリニアモータ54に加わる負荷を軽減する負荷軽減領域として機能する。
【0037】
上記した閉状態から、リニアモータ54を起動して、その可動子56を直動部材64と共に主軸12の軸線方向前方へ移動させると、複数のレバー66が、弾性部材46の付勢力下で、それらの第1端66aを直動部材64の係合面70に沿って摺動させ、それにより、第1端66aを主軸外周面12bに接近させる方向へ、支軸76を中心に同期して回転する。それに伴い、作動部材40は、弾性部材46の付勢力により、主軸12の貫通穴12a内を軸線方向後方に向けて移動する。その結果、作動部材40の作用面42がチャック14の把持部28の全テーパ面36に加えていた圧力が解除されて、把持部28の棒材把持面34が拡径し、棒材Wがチャック14から解放される。
【0038】
このように、上記構成を有する素材把持装置10によれば、作動機構16の作動部材40を駆動する駆動部18にリニアモータ54を装備したので、駆動部としてシリンダ装置を採用した従来の素材把持装置の構成に比べ、素材把持装置10の全体寸法を削減することが容易であるとともに、シリンダ装置の圧力損失の除外により、チャック14の作動効率を著しく向上させることができる。しかも、リニアモータ54の出力軸(図示実施形態では支持部材72)の直動制御(後述する)により、棒材Wの外径寸法や剛性の変化に即時対応して、チャック14の把持力を比較的容易に自動調整できる利点がある。また、駆動部として回転電動機を採用した従来の素材把持装置に比べても、送りねじ装置の排除により動力伝達機構を簡略化できるので、素材把持装置10の全体寸法を削減することが容易であるとともに、送りねじ装置の伝達損失の除外により、チャックの作動効率を効果的に改善することができる。したがって、素材把持装置10を主軸12に組み込んだ自動旋盤においては、小型化及び高機能化が促進される。
【0039】
特に、素材把持装置10では、円筒型のリニアモータ54を採用したので、固定子60に対する可動子56の回転方向の位置合わせを考慮する必要がない。したがって、主軸12に摺動可能に接触する直動部材64に連結されている可動子56は、主軸12と共に回転することができ、可動子56と直動部材64との間に軸受を介在させる必要がなくなるので、装置の小型化及び構造の簡略化がさらに促進される。また、円筒型リニアモータ54自体の特性として、磁気吸引力が相殺されて推力に影響を及ぼさないので、主軸回転中の磁気吸引力に起因する偏心を確実に防止できる利点がある。
【0040】
上記した素材把持装置10は、チャック14の把持力を自動調整するための一手段として、リニアモータ54の推力を制御することにより出力軸の直動制御を実施する推力制御機構84をさらに備えることができる。素材把持装置10では、駆動部18に装備したリニアモータ54の推力が、推力伝達装置62及び作動機構16を介してチャック14に伝達されてチャック14の把持力に変換されるので、チャック14の把持力はリニアモータ54の推力に比例することになる。
【0041】
図6に示すように、推力制御機構84は、リニアモータ54の動作中の実際の推力を測定する推力測定部86と、要求される把持力を生成するためのリニアモータ54の推力目標値を予め設定する推力設定部88と、推力設定部88によって設定された推力目標値を記憶する推力記憶部90と、推力測定部86で測定した実際の推力が推力記憶部90に記憶した推力目標値に達したか否かを判定する判定部92と、チャック開位置における直動部材64の位置(図5(a))を記憶する開位置記憶部94と、推力測定部86、判定部92及び閉位置記憶部94から受け取った情報を演算処理してリニアモータ54の動作を制御する制御部96と、制御部96での処理結果等を表示する表示部98とを備えて構成される。
【0042】
制御部96は、例えば自動旋盤に搭載される数値制御(NC)装置のCPUから構成でき、同NC装置の記憶部に予め記憶した図7に示すタイミングチャートに従って、リニアモータ54の動作を制御することができる。この場合、推力設定部88は、NC装置の入力部から構成でき、リニアモータ54の推力目標値をオペレータがキー入力することができる。また表示部98は、NC装置の表示部から構成でき、直動部材64と複数のレバー66との相対位置関係やリニアモータ54の推力等を表示できる。
【0043】
次に、推力制御機構84によるチャック14の動作制御及び把持力調整手順の一例を説明する。
まず、チャック14が棒材Wを把持しないチャック開位置において、推力伝達装置62の直動部材64と複数のレバー66との相対位置関係を、調節ナット82を操作することにより調節する。このとき、図5(a)に示すように、直動部材64と各レバー66とが軸線方向へ僅かに離れるように配置してもよいが、この場合、慣性等により直動部材64が主軸12上で容易に回転するので、主軸12の外周面12b及び直動部材64の内周面64aが経時磨耗することが懸念される。そこで、チャック開位置では、各レバー66の第1端66aが直動部材64の係合面70の第4領域70dに僅かに乗り上げた状態にすることが好ましい。このチャック開位置における直動部材64の位置は、例えばNC装置の入力部を介して入力したパルス数データによりリニアモータ54に指令され、また、開位置記憶部94に記憶される。以後、チャック閉位置からチャック開位置に移行させるときには、制御部96は開位置記憶部94に記憶された直動部材64の開位置データを読み出して、リニアモータ54を動作制御する。
【0044】
推力設定部88では、リニアモータ54の推力目標値として、所定寸法の棒材Wに対して適正なチャック把持力が得られる適正推力値Q1と、適正推力値Q1より僅かに大きい最大推力値Q2と、適正推力値Q1より小さく、チャック14を閉じた後にその棒材把持状態を保持するための保持推力値Q3とを予め設定し、これら推力値Q1、Q2、Q3(図7)を推力記憶部90に記憶する。制御部96は、図7に示すように、チャック閉操作のON信号に基づき、リニアモータ54を起動して、可動子56及び直動部材64を指定速度V1で、上記したチャック開位置からチャック閉方向(図3の右方向)に移動させる。それに伴い、前述したように、複数のレバー66がそれらの第1端66aで直動部材64の係合面70に漸進的に乗り上げて同期回転するとともに、第2端66bで作動部材40を押圧して主軸12の軸線方向前方に移動させる。この間、負荷の増加に対応して、リニアモータ54の推力は漸増する。
【0045】
作動部材40の移動によりチャック14は閉状態に移行する。このときリニアモータ54を、その推力が適正推力値Q1を超えて最大推力値Q2に達するまで、速度V1で作動させる。そして、リニアモータ54の推力が最大推力値Q2に達した時点で、リニアモータ54を一旦停止して、作動部材40の前方移動を終了させる。この状態で、推力伝達装置62の複数のレバー66は、それらの第1端66aで直動部材64の係合面70の第2領域70bに当接されている。
【0046】
その直後に制御部96は、リニアモータ54を、その可動子56が逆方向(図3の左方向)へ速度V2で僅かに移動するように動作させる。それにより、作動部材40を実質的に移動させることなく、推力伝達装置62からチャック14に至る間に溜まった応力を解除するとともに、リニアモータ54の推力を若干減少させる。そして、リニアモータ54の推力が適正推力値Q1まで減少した時点で、リニアモータ54を停止する。このようにして、チャック14の閉動作が完了する。
【0047】
チャック14が閉じた後、リニアモータ54が適正推力値Q1を発生し続けていると、必要以上に大きな負荷がリニアモータ54に加わって過熱してしまう懸念がある。そこで、チャック14の閉動作の完了後、リニアモータ54の推力を、チャック14の棒材把持状態を保持するに十分な保持推力値Q3まで減少させる。したがって、リニアモータ54が保持推力値Q3を生じている状態で、チャック14に把持された棒材Wに加工が施される。なお、チャック閉状態で、複数のレバー66の第1端66aが直動部材64の係合面70の第1領域70aに当接されている場合は、保持推力値Q3は実質的に零でよい。
【0048】
このように、推力制御機構84によれば、推力設定部88で予め設定される推力値Q1、Q2、Q3を適宜選択することにより、チャック閉状態での直動部材64と複数のレバー66との相対位置及び作動部材40の軸線方向位置を調整し、以ってチャック14の把持力を変更することができる。したがって、加工工程の途中であっても、棒材Wの外径寸法や剛性の変化に即時対応して、チャック14の把持力を適宜自動調整することができる。
【0049】
上記した素材把持装置10は、チャック14の把持力を自動調整するための他の手段として、リニアモータ54の可動子56の位置を制御することにより出力軸の直動制御を実施する位置制御機構100をさらに備えることもできる。素材把持装置10において、駆動部18に装備されるリニアモータ54がサーボモータである場合は、フィードバック制御用の位置検出器が備えられるので、この位置検出器を用いて位置制御機構100を構成することができる。
【0050】
図3及び図4に示すように、位置制御機構100は、主軸台22のハウジング58の軸線方向後端領域に設置される少なくとも1つの非接触センサ102と、リニアモータ54の可動子56を支持する支持部材72に固定されて軸線方向後方に延設され、非接触センサ102の感知部102aに対向可能に配置される延長部材104とを備える。非接触センサ102及び延長部材104は、リニアモータ54がサーボモータからなる場合、フィードバック制御用の位置検出器を構成できる。この場合、例えば自動旋盤に搭載されたNC装置の制御部に、非接触センサ102の検出信号が送られる。
【0051】
非接触センサ102は、例えば渦電流変位計やレーザ変位計から構成できる。延長部材104は、主軸12の軸線方向後方へ向けて徐々に縮径する円錐台状の外周面104aを有し、外周面104aと非接触センサ102の感知部102aとの間に可変ギャップを形成する。リニアモータ54の可動子56が推力伝達装置62の前述した直線往復動作ストロークの前端位置にあるときに、非接触センサ102の感知部102aと延長部材104の外周面104aとの間のギャップは最大になり、このとき直動部材64及び作動部材40がチャック開位置に置かれる(図3)。また、リニアモータ54の可動子56が推力伝達装置62の前述した直線往復動作ストロークの後端位置にあるときに、非接触センサ102の感知部102aと延長部材104の外周面104aとの間のギャップは最小になり、このとき直動部材64及び作動部材40がチャック閉位置に置かれる(図4)。直動部材64及び作動部材40がチャック開位置とチャック閉位置との間を移動する間に、非接触センサ102の感知部102aと延長部材104の外周面104aとの間のギャップは連続的に変化し、非接触センサ102はギャップ寸法に対応した信号を連続的に出力する。
【0052】
このように、位置制御機構100によれば、非接触センサ102が出力する信号に基づいて、リニアモータ54の可動子56の位置を適宜選択することにより、チャック閉状態での直動部材64と複数のレバー66との相対位置及び作動部材40の軸線方向位置を調整し、以ってチャック14の把持力を変更することができる。したがって、加工工程の途中であっても、棒材Wの外径寸法や剛性の変化に即時対応して、チャック14の把持力を適宜自動調整することができる。なお、位置制御機構100における非接触センサ102の使用は、リニアモータ54の可動子56及び延長部材104が主軸12とともに回転することを許容するためのものである。したがって、延長部材104の軸線方向位置を接触式に感知する接触センサを、例えば軸受を介してハウジング58に取り付けることによっても、位置制御機構を構成することができる。
【0053】
図8は、本発明の他の実施形態による素材把持装置110を示す。素材把持装置110は、駆動部112の構成以外は、上記した素材把持装置10と実質的同一の構成を有するので、対応の構成要素には共通する参照符号を付してその説明を省略する。
【0054】
素材把持装置110の駆動部112には、リニアモータ114が装備される。リニアモータ114は、扁平型リニアモータ(例えばリニアステップモータ)からなり、主軸12及び作動部材40の軸線方向後端領域に略平行に離間して配置される平板状の可動子116と、主軸台22のハウジング58の内面に固定的に設置され、空隙を介して可動子116に対向する平板状の固定子118とを備える。図示実施形態では、リニアモータ114は、固定子118を一次側とし、かつ可動子116を二次側として構成されているが、その逆の構成とすることもできる。
【0055】
リニアモータ114の可動子116は、支持部材120に固定的に支持され、支持部材120が軸受122を介して、推力伝達装置62の直動部材64に回動自在に連結される。したがって直動部材64は、可動子116と一体的に主軸12の軸線方向へ移動できる一方で、可動子116に対して主軸12と共に回転できる。
【0056】
上記構成を有する素材把持装置110によっても、前述した素材把持装置10と同様に、素材把持装置110の全体寸法を削減することが容易であるとともに、チャック14の作動効率を著しく向上させることができる。また、推力制御機構84や位置制御機構100を組み込むことにより、前述したようにリニアモータ114の出力軸(図示実施形態では支持部材120)を直動制御して、チャック14の把持力を容易に自動調整できる。
【0057】
図9は、本発明のさらに他の実施形態による素材把持装置130を示す。素材把持装置130は、作動機構132及び駆動部134の構成以外は、上記した素材把持装置10と実質的同一の構成を有するので、対応の構成要素には共通する参照符号を付してその説明を省略する。
【0058】
素材把持装置130の作動機構132は、主軸12の貫通穴12aの軸線方向前端領域に、軸線方向摺動可能に同心に収容される作動部材136を備える。作動部材136は、前述した素材把持装置10の作動部材40における支持面44の近傍で分割された前端側要素に対応するものであり、その軸線方向貫通穴136a内に、チャック14を軸線方向摺動可能に同心に収容できる。作動部材136の貫通穴136aの軸線方向前端領域には、チャック14の把持部28に設けた全テーパ面36に係合可能な円錐台状の作用面42が形成される。
【0059】
駆動部134には、リニアモータ138が装備される。リニアモータ138は、円筒型リニアモータ(例えばリニアステップモータ)からなり、主軸12の軸線方向中間領域を同心状に囲繞して配置される円筒状の可動子140と、主軸台22のハウジング58の内面に固定的に設置され、空隙を介して可動子140に対向する固定子142とを備える。図示実施形態では、リニアモータ138は、固定子142を一次側とし、かつ可動子140を二次側として構成されているが、その逆の構成とすることもできる。
【0060】
素材把持装置130では、素材把持装置10に装備された推力伝達装置62が省略されている。その代わりに、リニアモータ138の可動子140は、支持部材144に固定的に支持されるとともに、支持部材144の軸線方向前端に設置された複数の作動爪146に固定的に連結される。支持部材144は、リニアモータ138の可動子140の内側に同心状に配置される筒状体であり、その内周面144aを、主軸12の筒状壁の外周面12bに摺動可能に接触させて、主軸12の軸線方向中間領域で主軸12に同心に取り付けられる。複数の作動爪146は、支持部材144の軸線方向前端面に、好ましくは周方向等間隔配置で固定される。各作動爪146は、支持部材144の内周面144aよりも径方向内側に突出して支持部材144の軸線方向へ延びる押圧部分146aを有する。
【0061】
主軸12の軸線方向中間領域には、主軸12の筒状壁を貫通する複数の開口部148が、好ましくは周方向へ等間隔に設けられる。複数の作動爪146は、それらの押圧部分146aが、主軸12の対応の開口部148を通って主軸12の貫通穴12a内に挿入される。この状態で、それら作動爪146の押圧部分146aは、それぞれの軸線方向先端が作動部材136の軸線方向後端面に係合するとともに、それぞれの径方向端面146bが主軸12内で被加工素材を挿通可能な距離だけ互いに離隔される。このようにして、複数の作動爪146は、リニアモータ138の可動子140と一体的に主軸12の軸線方向へ移動して、リニアモータ138の推力を作動部材136に直接に伝えることができる。
【0062】
上記構成を有する素材把持装置130によれば、前述した素材把持装置10に比べて、推力伝達装置62を省略した分、素材把持装置130の全体寸法をさらに削減することができる。しかも、推力伝達装置62における伝達損失を除外できるので、チャック14の作動効率が一層向上する。また、推力制御機構84や位置制御機構100を組み込むことにより、前述したようにリニアモータ138の出力軸(図示実施形態では支持部材144)を直動制御すれば、チャック14の把持力の一層微妙な調整を容易に実施できる。ただしこの構成は、リニアモータ138の推力を拡大して作動部材136に伝達することができないので、時計部品等の小径素材、中空素材、外面の傷を嫌う素材のような、比較的小さな把持力が要求される用途に有効に利用できる。
【0063】
図10は、本発明のさらに他の実施形態による素材把持装置150を示す。素材把持装置150は、作動機構152及び推力伝達装置154の構成以外は、前述した素材把持装置10と実質的同一の構成を有するので、対応の構成要素には共通する参照符号を付してその説明を省略する。
【0064】
素材把持装置150は、上記した各素材把持装置10、110、130と異なり、作動機構152が、チャック14に固定的に連結される作動部材156を備えるとともに、推力伝達装置154が、リニアモータ54の推力を作動部材156に伝達して、作動部材156をチャック14と一体的に、主軸12の軸線方向後方へ移動させることにより、チャック14を開状態から閉状態に移行させるように構成される。したがって、主軸12の軸線方向前端領域には、チャック14の把持部外周の全テーパ面36に係合可能なテーパ状の作用面158が形成される。推力伝達装置154の直動部材64及び複数のレバー66は、前述した推力伝達装置62における相対配置と逆の相対配置で、主軸12の軸線方向後端領域に設置される。被加工素材を把持する際には、リニアモータ54の駆動により、作動部材156をチャック14と共に主軸12内へ引き込む方向へ移動させて、チャック14のテーパ面36を主軸12先端の作用面158に押し付けることにより、所望の把持力を得る。このような構成においても、前述した素材把持装置10の作用効果と同様の作用効果が奏されることは理解されよう。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、チャックを有する素材把持装置において、チャックの把持力を比較的容易に自動調整できる駆動部を備え、しかも装置の全体寸法を可及的に削減するとともに、チャックの作動効率を著しく向上させることが可能になる。したがって、この素材把持装置を自動旋盤に組み込めば、小型で高機能の自動旋盤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による素材把持装置を、自動旋盤の主軸台に組み込んだ状態で示す断面図である。
【図2】図1の素材把持装置のチャック及びその周辺部分を拡大して示す断面図である。
【図3】図1の素材把持装置の駆動部及びその周辺部分を拡大して示す断面図で、チャック開状態を示す。
【図4】図3に対応する断面図で、チャック閉状態を示す。
【図5】図1の素材把持装置の推力伝達装置の動作を説明する部分拡大断面図で、(a)チャック開位置、(b)チャック閉位置、及び(c)他のチャック閉位置をそれぞれ示す。
【図6】図1の素材把持装置に装備できる推力制御機構の構成を示すブロック図である。
【図7】図6の推力制御機構によるチャック閉動作制御のための駆動部の動作の一例を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態による素材把持装置を、自動旋盤の主軸台に組み込んだ状態で示す概略断面図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態による素材把持装置を、自動旋盤の主軸台に組み込んだ状態で示す概略断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態による素材把持装置を、自動旋盤の主軸台に組み込んだ状態で示す概略断面図である。
【符号の説明】
10、110、130、150…素材把持装置
12…主軸
14…チャック
16、132、152…作動機構
18、112、134…駆動部
40、136、156…作動部材
46…弾性部材
54、114、138…リニアモータ
56、116、140…可動子
60、118、142…固定子
62、154…推力伝達装置
64…直動部材
66…レバー
70…係合面
72、120、144…支持部材
84…推力制御機構
100…位置制御機構
146…作動爪[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a material gripping apparatus that can be installed in a machine tool. The present invention further relates to an automatic lathe provided with a material gripping device.
[0002]
[Prior art]
In a machine tool, a chuck having a gripping portion that can be opened and closed, an operating mechanism that opens and closes the gripping portion of the chuck, and a drive unit that drives the operating mechanism in order to hold a workpiece material during a machining process. Those equipped with a material gripping device having the following are known. For example, in a machine tool capable of performing automatic turning such as an NC lathe (generally referred to as an automatic lathe in the present specification), a chuck formed by forming a gripping portion having a slit structure capable of elastic deformation on a hollow cylindrical main body 2. Description of the Related Art A material gripping device is known in which a (generally referred to as a collet chuck) is concentrically disposed in an inner tip region of a hollow main shaft and an operation mechanism that operates to elastically deform a gripping portion of the chuck is provided along with the main shaft. It is. According to this configuration, the rod-shaped workpiece material fed in the axial direction from the rear of the main shaft into the main shaft is fixedly held on the main shaft via the chuck by the operation of the operation mechanism.
[0003]
Conventionally, in this type of material gripping device, a hydraulic or pneumatic cylinder device or a rotary electric motor is generally employed as a drive unit. For example, in a material gripping device incorporated in a main spindle of an automatic lathe, the operating mechanism is configured to include an operating member that can move in the axial direction of the main shaft, and the linear motion output of a cylinder device that is a drive unit or the rotation of an electric motor Generally, the output is transmitted to the operating member via a power transmission mechanism such as a lever assembly or a feed screw device (see, for example, JP-A-7-328819). In this configuration, the actuating member is moved in the axial direction along the main axis by driving the drive unit, whereby the gripping portion of the chuck is elastically deformed so that the inner diameter dimension thereof is reduced (that is, the diameter is reduced). Grab the material.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
In the conventional material gripping device described above, when a cylinder device is adopted as the drive unit, it is difficult not only to reduce the overall size of the material gripping device but also to changes in the outer diameter size and rigidity of the workpiece material. There is a problem that it is difficult to automatically adjust the gripping force of the chuck in an immediate manner. In addition, due to pressure loss that can occur in the cylinder device itself, the chuck operating efficiency tends to be low.
[0005]
On the other hand, when a rotary electric motor (usually a servo motor) is employed as the drive unit, there is an advantage that the gripping force of the chuck can be automatically adjusted relatively easily by controlling the rotation of the motor output shaft. However, since a power transmission mechanism such as a feed screw device is inevitably used, it is still difficult to reduce the overall size of the material gripping device. Moreover, since the feed screw device itself can cause transmission loss due to slipping, twisting, etc., it is difficult to effectively improve the operation efficiency of the chuck.
[0006]
An object of the present invention is to provide a material gripping device having a chuck with a drive unit that can relatively easily and automatically adjust the gripping force of the chuck, further reducing the overall size of the device as much as possible, and improving the operation efficiency of the chuck. An object of the present invention is to provide a material gripping device that can be remarkably improved.
Another object of the present invention is to provide a high-function automatic lathe equipped with such a material gripping device.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the invention described in claim 1 A cylindrical body having a central axis and provided on the cylindrical body A chuck having a gripper capable of opening and closing; By moving in the axial direction of the cylindrical body relative to the chuck Actuating to open and close the chuck grip Element When, By thrust Operation Element The Linear motor that moves in the axial direction In a material gripping device comprising , Near motor Installed between the actuator and the actuating member, and includes a thrust transmission device that increases the thrust of the linear motor and transmits it to the actuating member. The thrust transmitting device is connected to the mover of the linear motor and is movable by driving the linear motor. A linear motion member that moves in the axial direction together with the child, a first end that engages with the linear motion member, and a second end that engages with the actuating member, and a support shaft that is linked to the axial movement of the linear motion member. And a lever member that turns and transmits thrust to the operating member by the action of the lever. A material gripping device is provided.
[0011]
Claim 2 The invention described in
[0013]
Claim 3 The invention described in
[0014]
Claim 4 The invention described in
[0015]
[0016]
Contract Claim 6 The invention described in
[0017]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below in detail with reference to the accompanying drawings. In the drawings, the same or similar components are denoted by common reference numerals.
FIG. 1 shows a
[0018]
The
[0019]
As shown in an enlarged view in FIG. 2, the
[0020]
The plurality of vertically divided
[0021]
The
[0022]
An
[0023]
At the tip of the
[0024]
As shown in an enlarged view in FIG. 3, the axial
[0025]
The
[0026]
The material
[0027]
The
[0028]
The plurality of
[0029]
Each
[0030]
As shown in FIG. 4, the
[0031]
As will be described later, the
[0032]
The operation mode of the
First, the operating
[0033]
When the required processing length of the bar W protrudes from the front end surface in the axial direction of the
[0034]
Thereafter, when the
[0035]
Here, when the
[0036]
On the other hand, when the
[0037]
When the
[0038]
As described above, according to the material
[0039]
In particular, since the
[0040]
The material
[0041]
As shown in FIG. 6, the
[0042]
The
[0043]
Next, an example of the operation control and gripping force adjustment procedure of the
First, in the chuck open position where the
[0044]
In the thrust setting unit 88, as a thrust target value of the
[0045]
The
[0046]
Immediately thereafter, the
[0047]
If the
[0048]
As described above, according to the
[0049]
The material
[0050]
As shown in FIGS. 3 and 4, the
[0051]
The
[0052]
As described above, according to the
[0053]
FIG. 8 shows a material
[0054]
The
[0055]
The
[0056]
Also with the material
[0057]
FIG. 9 shows a material
[0058]
The
[0059]
The drive unit 134 is equipped with a
[0060]
In the material
[0061]
In the intermediate region in the axial direction of the
[0062]
According to the material
[0063]
FIG. 10 shows a material
[0064]
Unlike the above-described material
[0065]
【The invention's effect】
As is apparent from the above description, according to the present invention, the material gripping device having a chuck is provided with a drive unit that can relatively easily and automatically adjust the gripping force of the chuck, and further, the overall dimensions of the device can be made as much as possible. It is possible to significantly reduce the operating efficiency of the chuck as well as to reduce the number. Therefore, if this material gripping device is incorporated in an automatic lathe, a small and highly functional automatic lathe is provided.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view showing a material gripping device according to an embodiment of the present invention in a state where it is incorporated in a head stock of an automatic lathe.
2 is an enlarged cross-sectional view of the chuck and its peripheral portion of the material gripping apparatus of FIG.
3 is an enlarged cross-sectional view showing a drive unit and its peripheral portion of the material gripping apparatus of FIG. 1, showing a chuck open state.
4 is a cross-sectional view corresponding to FIG. 3, showing a chuck closed state.
5 is a partially enlarged cross-sectional view for explaining the operation of the thrust transmission device of the material gripping device of FIG. 1, wherein (a) chuck opening position, (b) chuck closing position, and (c) other chuck closing positions are respectively shown. Show.
6 is a block diagram showing a configuration of a thrust control mechanism that can be installed in the material gripping apparatus of FIG. 1;
7 is a diagram illustrating an example of the operation of a drive unit for chuck closing operation control by the thrust control mechanism of FIG. 6;
FIG. 8 is a schematic cross-sectional view showing a material gripping device according to another embodiment of the present invention in a state where it is incorporated in a head stock of an automatic lathe.
FIG. 9 is a schematic cross-sectional view showing a material gripping device according to still another embodiment of the present invention in a state where it is incorporated in a head stock of an automatic lathe.
FIG. 10 is a schematic cross-sectional view showing a material gripping device according to still another embodiment of the present invention in a state where it is incorporated in a head stock of an automatic lathe.
[Explanation of symbols]
10, 110, 130, 150 ... material gripping device
12 ... Spindle
14 ... Chuck
16, 132, 152 ... Actuating mechanism
18, 112, 134 ... drive unit
40, 136, 156 ... Actuating members
46. Elastic member
54, 114, 138 ... linear motor
56, 116, 140 ... mover
60, 118, 142 ... Stator
62, 154 ... thrust transmission device
64 ... Linear motion member
66 ... Lever
70 ... engagement surface
72, 120, 144 ... support member
84: Thrust control mechanism
100: Position control mechanism
146 ... Actuation claw
Claims (6)
前記リニアモータと前記作動部材との間に設置され、前記リニアモータの前記推力を増大させて前記作動部材に伝達する推力伝達装置を具備し、
前記推力伝達装置は、
前記リニアモータの可動子に連結され、前記リニアモータの駆動により該可動子と共に前記軸線方向へ移動する直動部材と、
前記直動部材に係合する第1端と前記作動部材に係合する第2端とを有し、前記直動部材の軸線方向移動に連動して支軸旋回するとともに、梃子の作用により前記推力を前記作動部材に伝達するレバー部材とを備えること、
を特徴とする素材把持装置。A chuck having a cylindrical main body having a central axis and a gripping portion that can be opened and closed provided on the cylindrical main body, and moving the gripping portion of the chuck in the axial direction of the cylindrical main body with respect to the chuck In a material gripping apparatus comprising an operating member that opens and closes and a linear motor that moves the operating member in the axial direction by thrust,
A thrust transmission device installed between the linear motor and the actuating member to increase the thrust of the linear motor and transmit the thrust to the actuating member;
The thrust transmission device is:
A linear motion member connected to the mover of the linear motor and moving in the axial direction together with the mover by driving the linear motor;
A first end that engages with the linearly moving member and a second end that engages with the actuating member, and pivots in conjunction with the axial movement of the linearly moving member; A lever member that transmits thrust to the actuating member;
A material gripping device characterized by this.
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