JP4469810B2 - 時定数自動調整回路、フィルタ回路システム、及び無線端末 - Google Patents

時定数自動調整回路、フィルタ回路システム、及び無線端末 Download PDF

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Description

本発明は、フィルタ回路の時定数自動調整回路に係り、特にセルラなどの無線通信用の集積回路中に用いるフィルタ回路の時定数自動調整回路などに関する。
無線通信システムの受信部および送信部では所望信号帯域以外の信号をフィルタリングするために一般にフィルタ回路を用いる。フィルタ回路には数々の種類があるが、そのなかでも抵抗値(R)および容量値(C)の積で時定数(カットオフ周波数)が決まるフィルタ回路などは集積化に適しているため携帯電話などの無線通信端末中で集積回路として広く用いられている。
ただし、集積回路上に構成されたフィルタ回路は、素子の製造ばらつきがあるために、その時定数がバラついてしまい、製造歩留まりが低くなってしまうという問題がある。このような製造ばらつきによる歩留まり低減を改善するための手法の1つに、例えば非特許文献1に記載の手法のように、テストフィルタ回路にクロックを入力し、テストフィルタ回路の出力におけるクロックの移相量が所定の値になるように時定数を自動調整する手法がある。
この手法は、2つのコンパレータの出力結果に応じてアップダウンカウンタはその出力ビットをアップまたはダウンし、位相比較回路の出力結果が所定の値になるまでアップまたはダウンを繰り返し、フィルタ回路における位相変化量、すなわち、時定数を調整する。
しかしながら、このような回路構成では、素子ばらつきが大きい場合にアップまたはダウンの繰り返し回数が多くなり、調整終了までの時間が長くなる分、電流の消費量が増大し、また短い調整時間が要求されるシステムに用いる場合には歩留まりが低下してしまうといった問題がある。
"An Ultra Low−Voltage Gm−C Filter for Video Applications", S. Mehrmanesh, et. al., ISCAS2003, I−561−564
前述のとおり、上記従来技術では、集積回路中のフィルタ回路の時定数自動調整を行う場合の調整時間が長く、集積回路の消費電力が増大する、もしくは、集積回路の歩留まりが低下するといった問題が生じていた。本発明の目的の1つは、フィルタ回路の時定数自動調整を行う場合の調整時間が短い集積回路を実現するための時定数自動調整回路、その回路を用いたフィルタ回路などを提供することにある。
本発明の請求項1によれば、時定数を変化させることが可能であり、入力されるクロック信号の位相を変えて出力するフィルタ回路と、このフィルタ回路の出力と前記クロック信号の位相を比較し、前記フィルタ回路の出力と前記クロック信号の位相の差に応じた電圧を出力する位相比較回路と、この位相比較回路の出力電圧を、各々異なる複数の参照信号と各々比較する少なくとも3つのコンパレータと、これらコンパレータの出力結果に応じて予め設定された少なくとも3種類の異なる値のいずれかに対応したカウント数分だけ、出力ビット数をカウントアップ又はカウントダウンするアップダウンカウンタと、このアップダウンカウンタの前記出力ビット数に応じて前記フィルタ回路の前記時定数を変化させる制御回路と、を備え前記参照信号の値が、前記アップダウンカウンタに設定されたカウント数mに対して、前記位相比較回路の所望出力レベルからm/2 LSB離れた値に設定されていることを特徴とする時定数自動調整回路を提供する。
本発明の請求項8によれば、時定数を変化させることが可能であり、入力されるクロック信号の位相を変えて出力するフィルタ回路と、このフィルタ回路の出力と前記クロック信号の位相を比較し、前記フィルタ回路の出力と前記クロック信号の位相の差に応じた電圧を出力する位相比較回路と、この位相比較回路の出力電圧を、各々異なる複数の参照信号と各々比較する少なくとも3つのコンパレータと、これらコンパレータの出力結果に応じて予め設定された少なくとも3種類の異なる値のいずれかの出力ビット数をカウントアップ又はカウントダウンするアップダウンカウンタと、このアップダウンカウンタの前記出力ビット数に応じて前記フィルタ回路の前記時定数を変化させる制御回路と、前記フィルタ回路への前記クロック信号の入力および前記フィルタ回路からの前記位相比較回路への出力を接続・切断するスイッチと、を備え前記参照信号の値が、前記アップダウンカウンタに設定されたカウント数mに対して、前記位相比較回路の所望出力レベルからm/2 LSB離れた値に設定されていることを特徴とする時定数自動調整回路を提供する。
本発明によれば、フィルタ回路の時定数自動調整を行う場合の調整時間が短い集積回路を実現するための時定数自動調整回路、その回路を用いたフィルタ回路システムなどが得られる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る時定数自動調整回路のブロック図である。
この時定数自動調整回路100は、クロック信号を入力されるフィルタ回路101と、このフィルタ回路101の出力の位相と上記クロック信号の位相とを比較する位相比較回路102と、この位相比較回路102の出力を入力とする3つ以上のコンパレータ103−1、103−2、〜103−nと、これらコンパレータの出力を入力とするアップダウンカウンタ104と、このアップダウンカウンタ104の出力に基づいて上記フィルタ回路101の時定数を制御する制御回路105とを備える。位相比較回路102−コンパレータ103−1、103−2、〜103−n−アップダウンカウンタ104ー制御回路105が、フィルタ回路101の時定数の自動調整ループを形成する。
図12にフィルタ回路101の、入力信号の位相(θ0)と出力信号の位相(θ1)との位相差(Δθ)の周波数特性の例を示す。フィルタ回路101は、入力信号の位相(θ0)と出力信号の位相(θ1)の位相差(Δθ)の周波数特性が制御信号により、例えば図12の実線および破線で示された曲線で示された特性に変化させることができる、すなわち制御信号により時定数を可変とすることの可能なフィルタ回路である。図12において横軸に周波数を縦軸に位相差を取ってある。
フィルタ回路101に入力されたクロックは、フィルタ回路101の出力においてフィルタ回路101の時定数とクロックの周波数に応じて位相が変化した状態で出力される。位相比較回路102は、例えば図13に示すように、フィルタ回路101から出力された信号とフィルタ回路101に入力されたクロックとの位相差(Δθ)に応じた信号(VPD)を出力する。
位相比較回路102から出力された信号は、3つ以上のコンパレータ103−1、103−2〜103−nにおいて3種類以上の参照信号Vref1、Vref2〜Vrefnと比較される。各コンパレータの出力はアップダウンカウンタ104に入力され、各コンパレータの出力結果に応じてアップダウンカウンタの出力ビットがアップカウントもしくはダウンカウントされる。各コンパレータ103−1、〜、103−k,103−k+1,〜、103−nの参照信号の電圧は、図13に示すように、Vref1>〜>Vrefk>V0>Vrefk+1>〜>Vrefnと設定されており、k番目の参照信号Vrefkと(k+1)番目の参照信号Vrefk+1は位相比較回路102の出力の所望値V0から1LSB以内に設定される。
制御回路105は、アップダウンカウンタ104の出力ビットに応じてフィルタ回路101の時定数を制御する。制御方法の具体例としては、例えば抵抗値または電流値で時定数が決定されるフィルタ回路101中に、図2に示す可変抵抗網や図3に示す可変電流源のような回路などを設け、制御手段においてアップダウンカウンタ104の出力ビットを図2または図3中のスイッチを制御する信号に変換すればよい。
この時定数制御は、位相比較回路102の出力が、所望値V0に近づくように、例えば位相比較回路102の出力値がV0よりも1/2LSB大きければ、位相比較回路102の出力が小さくなるように行われる。逆に、例えば位相比較回路102の出力値がV0よりも1/2LSB小さければ、位相比較回路102の出力が大きくなるように行われる。このようなループを組むことにより、フィルタ回路101の時定数は位相比較回路102の出力がV0近辺の所定の範囲内に収まるまで前述の動作が繰り返され、最終的に所望とされる時定数近辺に調整される。
ここで3つ以上のコンパレータ103−1から103−nの出力結果に対して、アップダウンカウンタ104の出力ビット数のカウントアップ数を例えば3種類以上とする。詳細は、図9を用いて後述する。
位相比較回路102の出力結果、すなわちフィルタ回路101の時定数の所望の値のずれに応じたアップダウンカウンタ104のカウントアップ数を設ける。より具体的には、ずれが大きい場合にはカウントアップ数の絶対値を大きくする。例えば後述するように所望値V0との差が大きいときには、カウントアップ数を+7、−7とし、所望値V0との差が小さいときにはカウントアップ数を+1,−1とする。ここで、カウントアップ数がマイナスの場合は、実際にはカウントダウンを行うことを意味する。このように、フィルタ回路101の時定数が所望の値から大きくずれている場合においては、アップダウンカウンタ104のカウントアップ数を例えば上述の±7とするように、大きくすれば、短い時間で時定数自動調整が可能となる。
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る時定数自動調整回路のブロック図である。
この時定数自動調整回路200は、クロック信号を入力されるフィルタ回路101と、このフィルタ回路101の出力の位相と上記クロック信号の位相とを比較する位相比較回路102と、この位相比較回路102の出力を入力とする3つ以上のコンパレータ103−1、103−2、〜103−nと、これらコンパレータの出力を入力とするアップダウンカウンタ104と、このアップダウンカウンタ104の出力に基づいて上記フィルタ回路101の時定数を制御する制御回路105と、アップダウンカウンタ用の周波数可変クロック回路201と、を備える。この時定数自動調整回路200が上記第1の実施形態と異なるのは、アップダウンカウンタ用の周波数可変クロック回路206を有する点である。
この周波数可変クロック回路206には、コンパレータ103−1,103−2、〜、103−nの出力が供給されており、これらコンパレータの出力に応じてアップダウンカウンタ104の動作タイミングを指示するクロック周波数を変える機能を有する。
具体的には、位相比較回路102の出力の電圧が所望値V0から離れているほど周波数可変クロック回路206は高いクロック周波数を出力する。つまり、所望値V0から、より離れている電圧を参照信号とするコンパレータの出力が供給されるほど、周波数可変クロック回路206は高いクロック周波数を出力する。位相比較回路102の出力結果が最終的に所望値V0から大きくずれている場合に、アップダウンカウンタ104に供給される周波数可変クロック回路206の出力クロック周波数を高くすることにより、アップダウンカウンタ104の動作タイミングが早まり、位相比較回路102の出力を短時間で所望値V0にまで変化させることができる。したがって本発明のこの実施形態によれば、時定数自動調整に要する時間が短縮できる利点がある。
(第3の実施の形態)
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る時定数自動調整回路のブロック図である。図5に示す時定数自動調整回路において、アップダウンカウンタ604はカウント数が0となった回数を数える0カウント数計数回路607と、この0カウント数計数回路607が所定の0カウント数を計数したとき、アップダウンカウンタ604へのクロックの供給を停止するとともに制御手段以外の回路を休止するBS制御回路608を備えている。
上記第3の実施の形態で示したように位相比較回路602の出力が所定値(例えば第3の実施の形態のVrefkとVrefk+1の間の値)である場合にアップダウンカウンタに設定されるカウント数が0となり、0カウントが設定された回数が0カウント数計数回路607において計数される。
上記第3の実施の形態で示したように、カウント数が0となっている場合は位相比較回路602の出力が1LSBの範囲内で所望値にあることに相当しているため、カウント数が0である回数が所定回数、例えば位相比較回路602の出力が十分安定するまでの回数、を超えた時点で自動調整終了と判断し、アップダウンカウンタへのクロック供給を止めることによりその出力ビットを保持し、かつ、制御手段以外の回路を休止状態とする。
この実施の形態によれば、素子ばらつきが小さく、調整量が少なくてすむような集積回路において、その自動調整時間を短縮できるとともにより一層の低消費電力化が可能となる効果がある。
(第4の実施の形態)
図6は、本発明の第4の実施の形態に係る時定数自動調整回路の一部のブロック図である。図6において、アップダウンカウンタ704は、ビット初期化回路706を有しており、自動調整開始時にリセット信号が入力され、これによりその出力ビットが所定値に初期設定される。
一般に、素子ばらつきは正規分布しており、設計中心値付近(±σ)に、その6割以上が分布している。したがって、自動調整開始時にアップダウンカウンタの出力ビットを不定状態とせず、例えばばらつきのない場合に所望の時定数が得られるようなビットに設定することより、高い確率で初期状態と終状態とが近い値に設定されることになる。本発明のこの実施形態によれば、自動調整に要する時間を短縮することが可能な時定数自動調整回路を得られる効果がある。
(第5の実施の形態)
図7は、本発明の第5の実施の形態に係る時定数自動調整回路の一部のブロック図である。この実施形態においては、図7に示すように、位相比較回路802の出力部を自動調整開始時に入力されるリセット信号により所定の値に設定する。
上記第4の実施形態の場合と同様に、位相比較回路の出力も、例えば自動調整開始時に所望値V0と設定することにより、高い確率で初期状態と終状態とが近い値に設定されることになり、自動調整時間の短縮が可能となる効果がある。
(第6の実施の形態)
図8は、本発明の第6の実施形態に係る時定数自動調整回路の一部のブロック図である。図8において各コンパレータ903−1〜903−nで比較される参照信号の値が、アップダウンカウンタに設定されたカウント数mに対して、位相比較回路の所望出力レベルからm/2 LSB離れた値に設定されている。つまり、位相比較回路の出力をVPDとしたときに、2つの参照信号Vrefk−1、Vrefkに対して、Vrefk−1>VPD>Vrefkの条件でアップダウンカウンタをmkカウントする設定がされている場合にVrefk=V0+mk/2 LSBに設定される。ここでV0は位相比較回路902の所望値である。
図9に参照信号の数をVref1〜Vref4の4つとし、参照信号の間の5区間に対応するアップダウンカウンタの出力ビット数のカウントアップ数が−7,−1,0,1,7と5種類設定された場合の制御フロー例を示す。
図9に示すように、所望値V0に対して、境界レベルVref1はV0+3LSBとV0+4LSBの間にあり、境界レベルVref2は、V0+1LSBとV0の間にあり、境界レベルVref3は、V0とV0−1LSBの間にあり、境界レベルVref4は、V0−3LSBとV0−4LSBの間にある。
図において参照信号Vref1〜Vref4は、Vref1>Vref2>Vref3>Vref4の関係となっており、それぞれ所望の値V0から±7/2 LSB、±1/2 LSB、0/2 LSB(ただしこれは図示していない)離れた場所に設定されている。
つまり、所望の値V0から離れた値に対応する参照信号同士の間(領域)に対応するカウントアップ数であるほど多く設定されている。
ここで図中のV0−5LSBにある位相比較回路出力が所望値V0に調整されていく場合を考えると、本実施形態の設定では、図に矢印で示すにように3回の調整でV0に到達する。
もしVref4が V0−5LSBの位置よりもV0から離れたところにある場合は、カウントアップ数を一律に1として行えば、V0−5LSBの点から1カウントずつ移動しなければならず、図中矢印で示すようにV0に達するまで5回分の調整回数が必要となり、本実施形態に比べて調整に時間がかかってしまう。
同様にV0−5LSB以上離れている点からV0までの調整については、その点から1カウントずつV0に近づくよりも、最初に7カウントV0近づく方が、調整時間が短くて済む。V0−4LSBからの調整の場合は7カウント移動してから−1カウントずつ移動する場合も、1カウントずつ移動する場合も同じ調整回数である。一方、Vref1、Vref4をV0±7/2LSBよりも近い位置にしてしまうと、±1カウント移動する領域が7LSB未満になってしまうため、±1カウント移動する領域の外側で±7カウント移動の繰り返しを生じてしまう場合が存在してしまう。
以上のことから、本実施形態のようにコンパレータの参照信号を設定することにより、調整時間の短い自動調整回路を実現することが可能である。ここで参照信号の値は厳密にm/2 LSBである必要はなく、参照信号の生成方法や要求される調整精度などにより、m/2 LSBからずらしてもよい。
(第7の実施の形態)
図15は、本発明の第7の実施形態に係る時定数自動調整回路のブロック図である。ここでは、位相比較回路102の出力と比較される参照電圧Vref1,Vref2,・・・,Vrefnが可変に構成されている。そのため、製造後にフィルタ回路の時定数を調整して、適用する通信システムに適応した時定数とすることができる。
帯域幅の違うシステムにおいてはそれぞれのシステムに用いるフィルタに要求される時定数が異なるが、本実施形態の時定数自動調整回路では参照信号電圧値を調整することにより、それぞれのシステムに対応した時定数に調整することが可能になる。また、異なるクロック周波数において同一の時定数を得たい場合には、そのクロック周波数に応じてコンパレータの参照信号電圧値を調整することにより、等しい自動調整結果を得ることができる。以上のことから幅広い範囲で本自動調整回路を用いること可能である。
図16は可変参照電圧発生回路の一例を示した回路図である。この可変参照電圧発生回路は、可変抵抗器を直列に接続したものである。これらの可変抵抗器としては、連続的に抵抗値が変化する素子を用いても、固定抵抗とスイッチを用いて離散的に抵抗値が変化する回路を用いてもよい。
例えば、製造後の時定数が所望値よりも大きくずれしまう場合は、参照電圧の最大電圧と最小電圧との差が大きくなるように、参照電圧Vref1,Vref2,・・・,Vrefnの値を設定すればよい。
また例えば、Vref1,Vref2,・・・,Vrefnを一律に増やしたり減らしたりすることで、異なるクロック周波数において同等の時定数を得ることができる。
(第8の実施の形態)
図17は本発明の第8の実施形態に係る制御回路1505の一例を示す回路図である。
制御回路1505は図1の制御回路105と置き換えてもよい。制御回路1505では、可変抵抗器とスイッチが直列に接続された組が並列に接続されている。各スイッチはアップダウンカウンタ104の出力信号によって制御される。各スイッチはアップダウンカウンタ104の出力信号の各ビットに対応づけられている。
複数の参照電圧間の差や比は、クロック信号の周波数や通信システムの種類などに応じて決めればよい。
例えば、あるクロック信号周波数(fclk1)に対して位相差がθ1となるよう調整する場合に、別のクロック信号周波数(fclk2)において同じ時定数を得る場合には違う位相差θ2が得られるよう調整したい場合、以下のように調整を行えばよい。 図18は時定数が可変であるフィルタ回路101の周波数特性の一例を示す線図である。フィルタ回路101の周波数特性が時定数毎に実線、破線、点線で描かれている。実線が現在の状態を示しているものとする。また、その状態からアップダウンカウンタ104の出力ビット値を1ビット増やすとその左の点線で描かれている曲線に、周波数特性が遷移するものとする。
ここではクロック周波数fclk1における実線と点線の位相差Dθ1は、クロック周波数fclk2における実線と点線の位相差Dθ2よりも大きい。したがって、クロック周波数がfclk1である場合は、参照電圧間の差や比を、クロック周波数がfclk2である場合よりも大きく設定すればよい。また、クロック周波数fclk1における1ビット分の変化に相当する位相方向の周波数特性シフト量は、クロック周波数fclk2におけるそれよりも小さく設定してもよい。これらは異なるクロック信号周波数において同一の調整結果を得るためだけに限らず、本提案の種々の調整の際にも適用することができる。
(第9の実施の形態)
図19は本発明の第9の実施形態に係る時定数自動調整回路のブロック図である。本実施形態の時定数自動調整回路は加減算器1406を備える。アップダウンカウンタ1404の出力は加減算器1406へ入力される。加減算器1406はアップダウンカウンタ1404の出力値に任意のビット値nを加算あるいは減算するものである。加減算器1406の出力は制御回路1405へ入力される。
ビット値nは例えば、第8の実施の形態で述べたような方法でクロック信号の周波数に基づいて定めればよい。図20に時定数が可変であるフィルタ回路の周波数特性の一例を示す線図を示す。このように、アップダウンカウンタ1404の出力値にnビットを加算すると周波数特性を表す曲線が位相方向の正の向きにシフトする。
(第10の実施の形態)
図10は、本発明の第10の実施形態に係る時定数自動調整回路1100とこの回路により時定数を制御されるフィルタ回路1109からなるフィルタ回路のブロック図である。
時定数自動調整回路1100は、クロック信号を入力されるフィルタ回路1101と、このフィルタ回路1101の出力の位相と上記クロック信号の位相とを比較する位相比較回路1102と、この位相比較回路1102の出力を入力とする3つ以上のコンパレータ1103−1、1103−2、〜1103−nと、これらコンパレータの出力を入力とするアップダウンカウンタ1104と、このアップダウンカウンタ1104の出力に基づいて上記フィルタ回路1101の時定数を制御する制御回路1105とから成る。
上で述べた時定数自動調整回路をマスター回路とし、実際に使用するフィルタ回路1109をスレーブ回路としたマスタースレーブの構成をとることにより、時定数のばらつきの少ないフィルタ回路を構成できる。ここでマスター回路とスレーブ回路は同一である必要はなく、その時定数を決める構成要素が同じ種類の素子の組み合わせで構成されていればよい。このように構成したフィルタ回路を無線端末に用いることができる。
本発明によるフィルタ回路は、図10に示すようにマスタースレーブ構成を取らなくても実現可能である。
図11は、マスタースレーブ構成を取らず、時定数自動調整したフィルタ回路を、調整後に自動調整ループから切り離し、実際のフィルタ回路として用いる例である。
このフィルタ回路システム1200は、クロック発振器1206の出力信号を入力されるフィルタ回路1201と、このフィルタ回路1201の出力の位相と上記クロック信号の位相とを比較する位相比較回路1202と、この位相比較回路1202の出力を入力とする3つ以上のコンパレータ1203−1、1203−2、〜1203−nと、これらコンパレータの出力を入力とするアップダウンカウンタ1204と、このアップダウンカウンタ1204の出力に基づいて上記フィルタ回路1201の時定数を制御する制御回路1205とから成る。上記フィルタ回路1201は、フィルタ回路1201と他の構成との接続を切り替える、スイッチφ1とスイッチφ2を備えることにより、時定数調整用のフィルタ回路として動作すると共に、本来のフィルタ回路としても動作するようになっている。本実施の形態では具体的には、スイッチφ1はフィルタ回路1201の入力側でフィルタ回路システム1200の外部からの入力線Sinと繋がり、出力側でフィルタ回路システム1200の外部への出力線Soutと繋がる。つまり、スイッチφ1の接続・切断によってフィルタ回路1201の外部との接続・切断が為される。また、スイッチφ2はフィルタ回路1201の入力側でフィルタ回路システム1200のクロック発振器1206と繋がり、出力側でフィルタ回路システム1200の位相比較回路1202と繋がる。つまり、スイッチφ2の接続・切断によってフィルタ回路1201の自動調整ループの接続・切断が為される。本実施の形態では自動調整中はスイッチφ2がオンとなり、実際のフィルタ回路として使用するときはスイッチφ1がオンになる。いずれの場合も今までに述べた時定数自動調整回路を用いているため、調整時間の短いフィルタ回路が得られる効果がある。
(第11の実施の形態)
図14は、本発明による時定数自動調整回路を用いたフィルタ回路を無線通信端末の受信部に用いた一実施形態のブロック図である。この実施形態の無線通信端末受信部1500は、アンテナ1501、低雑音増幅器1502、直交復調器1503I,1503Q、フィルタ回路1504a,1504b、及びA/D+DSP1505により構成される。
フィルタ回路1504a,1504bとして、上述の図10や図11に示したフィルタ回路を用いることにより、無線通信端末の受信部を構成する。
この端末のフィルタ回路1504a,1504bに上述のような本発明による時定数自動調整回路を用いたフィルタ回路を用いることにより、フィルタ回路の時定数自動調整を行う場合の調整時間が短い無線通信端末を実現可能である。この実施態様の他にも、例えば送信機や複数回周波数変換を行う受信機(送信機)に本発明の時定数自動調整回路を用いたフィルタ回路を用いるなど様々な応用が可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る時定数自動調整回路のブロック図。 本発明の第1の実施の形態に係る時定数制御手段の一例を示す図。 本発明の第1の実施の形態に係る時定数制御手段の一例を示す図。 本発明の第2の実施の形態に係る時定数自動調整回路のブロック図。 本発明の第3の実施の形態に係る時定数自動調整回路の一部のブロック図。 本発明の第4の実施の形態に係るリセット機能付きアップダウンカウンタのブロック図。 本発明の第5の実施の形態に係る位相比較回路のリセット機能のブロック図。 本発明の第6の実施の形態に係る時定数自動調整回路の一部のブロック図。 本発明の第6の実施の形態に係る自動調整の動作を説明するための図。 本発明の第7の実施の形態に係る時定数自動調整回路つきフィルタ回路のブロック図。 本発明の第10の実施の形態に係る時定数自動調整回路つきフィルタ回路のブロック図。 本発明の第1の実施の形態に係る時定数可変フィルタの周波数特性の一例を示す図。 本発明の第1の実施の形態に係る時定数制御手段に使用される位相比較回路の入出力特性の一例を示す図。 本発明の第11の実施の形態に係る無線通信端末受信部の構成例を示す図。 本発明の第7の実施の形態に係る時定数自動調整回路のブロック図。 本発明の第7の実施の形態に係る可変参照電圧発生回路の一例を示す図。 本発明の第8の実施の形態に係る制御回路の一例を示す図。 本発明の第8の実施の形態に係る時定数可変フィルタの周波数特性の一例を示す図。 本発明の第9の実施の形態に係る時定数自動調整回路のブロック図。 本発明の第9の実施の形態に係る時定数可変フィルタの周波数特性の一例を示す図。
符号の説明
100,200,800,1100・・・時定数自動調整回路、
101,809,1101,1109,1504a,1504b・・・フィルタ回路、
102,602,802,902,1202・・・位相比較回路、
103−1,103−2〜,103−n,603−1,603−n,903−1,〜、903−n,1103−1,〜,1103−n,1203−1,〜,1203−n・・・コンパレータ、
104,604,704,904,1104,1204・・・アップダウンカウンタ、
105,1105・・・制御回路、
206・・・周波数可変クロック回路、
602,802,1102,1202・・・位相比較回路、
607・・・0カウント数計数回路、
608・・・クロック制御回路、
706ビット初期化回路、
1200・・・フィルタ回路システム、
1500・・・無線通信端末受信部、
1501・・・アンテナ、
1502・・・低雑音増幅器、
1503I,1503Q・・・直交復調器。

Claims (12)

  1. 時定数を変化させることが可能であり、入力されるクロック信号の位相を変えて出力するフィルタ回路と、
    このフィルタ回路の出力と前記クロック信号の位相を比較し、前記フィルタ回路の出力と前記クロック信号の位相の差に応じた電圧を出力する位相比較回路と、
    この位相比較回路の出力電圧を、各々異なる複数の参照信号と各々比較する少なくとも3つのコンパレータと、
    これらコンパレータの出力結果に応じて予め設定された少なくとも3種類の異なる値のいずれかに対応したカウント数分だけ、出力ビット数をカウントアップ又はカウントダウンするアップダウンカウンタと、
    このアップダウンカウンタの前記出力ビット数に応じて前記フィルタ回路の前記時定数を変化させる制御回路と、を備え
    前記参照信号の値が、前記アップダウンカウンタに設定されたカウント数mに対して、前記位相比較回路の所望出力レベルからm/2 LSB離れた値に設定されていることを特徴とする時定数自動調整回路。
  2. 前記位相比較回路出力の電圧が前記所望の値から離れているほど高い周波数で動作クロックを出力する周波数可変クロック回路を更に有し、
    前記アップダウンカウンタは、前記周波数可変クロック回路が出力する前記動作クロックが示す動作タイミングで動作することを特徴とする請求項1記載の時定数自動調整回路。
  3. 前記アップダウンカウンタは前記出力ビット数が0となった回数をカウントする0カウント計数回路を備え、この0カウント計数回路がカウントした値が所定数となるとき、前記位相比較回路、前記コンパレータ、前記アップダウンカウンタ及び前記制御回路の少なくとも1つを休止させることを特徴とする請求項1又は2に記載の時定数自動調整回路。
  4. 前記アップダウンカウンタは、このアップダウンカウンタの前記出力ビット数を所定の値に設定するビット初期化回路を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1記載の時定数自動調整回路。
  5. 前記位相比較回路の前記出力電圧を所定の値に設定する初期電圧値設定手段を、更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1記載の時定数自動調整回路。
  6. 少なくとも3つの前記コンパレータは、
    前記位相比較回路の出力電圧を、第1の参照信号と比較する第1のコンパレータ、
    前記位相比較回路の出力電圧を、前記第1の参照信号よりも前記所望の値から離れた第2の参照信号と比較する第2のコンパレータ、
    前記位相比較回路の出力電圧を、前記第2の参照信号よりも前記所望の値から離れた第3の参照信号と比較する第3のコンパレータ、を含み、
    前記アップダウンカウンタは、前記位相比較回路の出力電圧が前記第2の参照信号と前記第3の参照信号との間であるときに前記出力ビット数を、前記位相比較回路の出力電圧が前記第1の参照信号と前記第2の参照信号との間であるときにカウントする前記出力ビット数よりも多くカウントすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1記載の時定数自動調整回路。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1記載の時定数自動調整回路により時定数を制御されるフィルタ回路を有してなるフィルタ回路システム。
  8. 時定数を変化させることが可能であり、入力されるクロック信号の位相を変えて出力するフィルタ回路と、
    このフィルタ回路の出力と前記クロック信号の位相を比較し、前記フィルタ回路の出力と前記クロック信号の位相の差に応じた電圧を出力する位相比較回路と、
    この位相比較回路の出力電圧を、各々異なる複数の参照信号と各々比較する少なくとも3つのコンパレータと、
    これらコンパレータの出力結果に応じて予め設定された少なくとも3種類の異なる値のいずれかの出力ビット数をカウントアップ又はカウントダウンするアップダウンカウンタと、
    このアップダウンカウンタの前記出力ビット数に応じて前記フィルタ回路の前記時定数を変化させる制御回路と、
    前記フィルタ回路への前記クロック信号の入力および前記フィルタ回路からの前記位相比較回路への出力を接続・切断するスイッチと、を備え
    前記参照信号の値が、前記アップダウンカウンタに設定されたカウント数mに対して、前記位相比較回路の所望出力レベルからm/2 LSB離れた値に設定されていることを特徴とする時定数自動調整回路。
  9. 前記請求項7記載のフィルタ回路システム又は前記請求項8記載の時定数自動調整回路を有することを特徴とする無線端末。
  10. 前記複数の参照信号それぞれが可変であることを特徴とする請求項1記載の時定数自動調整回路。
  11. 前記制御回路における入力と出力との関係が可変であることを特徴とする請求項1記載の時定数自動調整回路。
  12. 前記アップダウンカウンタの前記出力ビット数に任意の値を加算あるいは減算して前記制御回路へ供給することを特徴とする請求項1記載の時定数自動調整回路。
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