JP4469345B2 - 沸騰水型原子炉、及び沸騰水型原子炉における蒸気配管の音響振動抑制方法 - Google Patents

沸騰水型原子炉、及び沸騰水型原子炉における蒸気配管の音響振動抑制方法 Download PDF

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Description

本発明は、沸騰水型原子炉及び沸騰水型原子炉における蒸気配管の音響振動抑制方法に係り、特に、主蒸気系の圧力振動を抑制するのに好適な沸騰水型原子炉及び沸騰水型原子炉における蒸気配管の音響振動抑制方法に関する。
沸騰水型原子炉の発電容量を増大する際に、蒸気流量の増大に伴って蒸気ドームや蒸気配管(以下、これらを総称して主蒸気系という)などの圧力振動が増大し、主蒸気系や各種機器の損傷の要因と考えられる事例が報告されている。そこで、主蒸気系の配管及びバルブや各種機器の損傷を避けるために、主蒸気系の流路形状の適正化や構造強度の増大などの対策が採られており、このような事例及びその対策方法が非特許文献1などに報告されている。
また、例えば、非特許文献2などには、火力発電の分野において、ガスタービン燃焼室の音響振動を減衰させるために、ヘルムホルツ共鳴管を利用した技術が開示されている。
NRC SPECIAL INSPECTION REPORT, 50-265/03-11 Journal of Engineering for Gas Turbines and Power, April 2004, Vol.126 P.271-275
沸騰水型原子炉における主蒸気系での圧力振動の原因の一つとして、音響共鳴による振動が考えられる。つまり、原子炉圧力容器の蒸気ドームから、蒸気配管を通って高圧タービンに至る主蒸気系では、流体の流量変動に起因して圧力波が発生し、蒸気配管の系内を伝播して反射する。これによって、大振幅を持つ定在波(音響共鳴モード)が形成され、圧力振動の振幅が増幅する(つまり、共鳴振動する)可能性がある。特に、発電容量を増大した発電プラントにおいては、蒸気流量の増大に伴って流体流量の変動が大きくなるため、大きな音響共鳴を生じることがある。このような音響共鳴の現象は、発電プラントの配管構成や境界条件によって影響を受けるために発電プラントごとに振動特性が異なる。そのため、音響共鳴による振動の周波数、振幅、及び最大振幅の位置などを事前に予測することは困難である。そこで、主蒸気系や各種機器の健全性を確保するためには、主蒸気系や各種機器の設計裕度を十分に大きく取って設計しておく必要がある。しかしながら、このようにして設計裕度を大きくとることにより、発電プラントの設備コストをさらに高騰させる要因となる。
そこで、発電プラントの設備コストを高騰させない方法として、上記非特許文献2の技術を応用して、蒸気ドームや蒸気配管などの主蒸気系にヘルムホルツ共鳴管を取り付けて主蒸気系で発生する音響共鳴を抑制する方法が考えられる。ところが、主蒸気系においては蒸気に混在して水素ガスなどの非凝縮性ガスが輸送される。このような非凝縮性ガスは蒸気より軽いので蒸気配管の上部を通過して輸送される。したがって、ヘルムホルツ共鳴管を蒸気配管の上部に取り付けると、そのヘルムホルツ共鳴管の内部に水素ガスなどが停滞してしまって安全上好ましくない状態となることがある。また、ヘルムホルツ共鳴管を蒸気配管の下部に取り付けると、蒸気配管を通って輸送される蒸気によって生成されたドレンがヘルムホルツ共鳴管の内部に停滞してしまい、ヘルムホルツ共鳴管の内部容積(体積)が変動して音響共鳴を抑制する効果がなくなってしまうおそれがある。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ヘルムホルツ共鳴管の内部に非凝縮性ガスやドレンを停滞させることなく、主蒸気系で発生する音響共鳴に伴う圧力振動を効果的に抑制することができると共に、ヘルムホルツ共鳴管を適切な状態に維持することができる沸騰水型原子炉、及び沸騰水型原子炉における蒸気配管の音響振動抑制方法を提供することを目的とするものである。
本発明の沸騰水型原子炉は、原子炉圧力容器内の蒸気ドームから蒸気配管に至る主蒸気系の側部に略水平方向にヘルムホルツ共鳴管を付設したことを特徴とする。このような構成により、蒸気に混在して輸送される水素ガスなどの非凝縮性ガスは、主蒸気系の上部を通って輸送されるので、ヘルムホルツ共鳴管の内部に非凝縮性ガスが停滞するおそれはなくなる。したがって、運転稼動中のヘルムホルツ共鳴管を常に適切な状態に維持することができる。
本発明の沸騰水型原子炉における好適な実施態様においては、ヘルムホルツ共鳴管は、下面が平坦な連続面であって、その下面が主蒸気系に向かって下り勾配となるように主蒸気系の側部に付設されている。このような構成により、ヘルムホルツ共鳴管の内部の蒸気によって生成されたドレンは、連続的に主蒸気系に排出されるので、ヘルムホルツ共鳴管の内部にドレンが停滞するおそれはなくなる。したがって、ヘルムホルツ共鳴管の体積を常に一定値に維持することができる。これにより、主蒸気系で発生した音響共鳴に起因する圧力振動を検出してヘルムホルツ共鳴管の入口配管の断面積を制御すれば(つまり、入口配管における開度調整弁の開度を制御すれば)、効果的に圧力振動の振幅を最小値に抑制することができる。
また、本発明の沸騰水型原子炉における他の好適な実施形態においては、ヘルムホルツ共鳴管を主蒸気系の上部に設置し、さらに、そのヘルムホルツ共鳴管の上部からベント管を通して主蒸気系に通気するように構成してもよい。このような構成により、ヘルムホルツ共鳴管の内部にはドレン及び非凝縮性ガスが停滞するおそれはなくなる。したがって、前記の構成の場合と同様に、運転中におけるヘルムホルツ共鳴管の安全性を維持することができると共に、ヘルムホルツ共鳴管の体積を一定にして、入口配管の断面積を制御することによって効果的に音響共鳴を抑制することができる。
本発明によれば、ヘルムホルツ共鳴管の内部に非凝縮性ガスやドレンを停滞させることなく、主蒸気系で発生する音響共鳴に伴う圧力振動を効果的に抑制することができる。
《概要》
本発明の沸騰水型原子炉は、主蒸気系における圧力振動の主たる要因が音響共鳴であることに着目し、その音響共鳴を回避するためにヘルムホルツ共鳴管を用いる。例えば、円筒形の入口配管と共鳴減衰管からなる円筒形状のヘルムホルツ共鳴管を主蒸気系に取り付け、入口配管の断面積または共鳴減衰管の体積(以下、これらをまとめて共鳴管形状因子という)を可変することによってヘルムホルツ共鳴管の共鳴周波数を変化させる。このようにしてヘルムホルツ共鳴管の共鳴管形状因子を微調整して変化させることにより、ヘルムホルツ共鳴管の共鳴周波数を主蒸気系で発生した音響共鳴の周波数と一致させる。これによって、主蒸気系で発生した音響共鳴の振幅(以下、音響振動という)が減衰し、結果的に主蒸気系で発生した圧力振動を低下させることができる。なお、入口配管と共鳴減衰管の形状は必ずしも円筒形に限る必要はない。
本発明の沸騰水型原子炉では、ヘルムホルツ共鳴管を蒸気ドームや蒸気配管などの主蒸気系の側部に略水平方向に取り付け、ヘルムホルツ共鳴管の内部に水素ガスなどの非凝縮性ガスが停滞することを防いでいる。すなわち、蒸気に混在している非凝縮性ガスは主蒸気系の上部を通って蒸気と共に輸送されるので、主蒸気系の側部に取り付けたヘルムホルツ共鳴管の内部に非凝縮性ガスが停滞することはなくなる。
さらに、望ましくは、主蒸気系と通気しているヘルムホルツ共鳴管の内部の蒸気で生成されたドレンが、ヘルムホルツ共鳴管の内部に停滞しないように、主蒸気系に取り付ける入口配管の部位が下方に向くようにヘルムホルツ共鳴管に下り勾配をつけて主蒸気系の側部に取り付ける。つまり、ヘルムホルツ共鳴管の内部のドレンが、連続的に主蒸気系に排出されるようにヘルムホルツ共鳴管を傾斜させて主蒸気系の側部に取り付ける。
また、本発明の沸騰水型原子炉の他の形態として、ヘルムホルツ共鳴管を蒸気ドームや蒸気配管などの主蒸気系の上方に取り付けると共に、そのヘルムホルツ共鳴管の上部にベント管を取り付けて主蒸気系に戻すように配管してもよい。これによって、主蒸気系の上部からヘルムホルツ共鳴管へ流れ込んだ非凝縮性ガスは、ベント管を通して連続的に主蒸気系へ戻されるので、ヘルムホルツ共鳴管の上部に非凝縮性ガスが停滞するおそれはなくなる。さらに、ヘルムホルツ共鳴管は、主蒸気系の上部に取り付けられているので、ヘルムホルツ共鳴管の内部にドレンが停滞するおそれもなくなり、ヘルムホルツ共鳴管の内部容積(体積)は一定の値に保たれるので安定的に音響共鳴を抑制することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態による沸騰水型原子炉について詳細に説明するが、まず、音響振動を抑制させるために本発明の沸騰水型原子炉で使用されるヘルムホルツ共鳴管について説明する。
《ヘルムホルツ共鳴管》
図1は、本発明の沸騰水型原子炉で使用するのに好適な円筒形状のヘルムホルツ共鳴管12の構造を示す側面図である。図1に示すように、ヘルムホルツ共鳴管12は、円筒形の入口配管121と、やはり円筒形の共鳴減衰管122の2つの構成要素から成っている。なお、入口配管121と共鳴減衰管122の形状は、必ずしも円筒形に限る必要はない。このヘルムホルツ共鳴管12の共鳴周波数fは、次の(1)式で表わすことができる。
f=c/(2π)×(An/(V・Ln))0.5 (1)
ここで、fは共鳴周波数(Hz)、cは音速(m/s)、Anは入口配管121の断面積(m2)、Vは共鳴減衰管122の体積(m3)、Lnは入口配管121の長さ(m)である。
図1に示すように、ヘルムホルツ共鳴管12の入口配管121には、一般的に開度調整弁11が取り付けられている。この開度調整弁11の開度を調整することによって、入口配管121の断面積Anを変化させることが可能であり、(1)式から、ヘルムホルツ共鳴管12の共鳴周波数fを可変調整することができることが分かる。
図2は、図1に示す円筒形状のヘルムホルツ共鳴管12における共鳴周波数を示す特性図であり、横軸に共鳴減衰管122の長さ(Lr)、縦軸に共鳴周波数(f)を示している。なお、この特性図では入口配管121の径Dnをパラメータとしている。図2から分かるように、入口配管121の径Dn、入口配管121の長さLn、共鳴減衰管122の径Dr及び共鳴減衰管122の長さLr(つまり、共鳴減衰管122の体積V)などによって、ヘルムホルツ共鳴管12の共鳴周波数fは変化している。例えば、入口配管121の径Dnを変化させることによって共鳴周波数fは変化している。したがって、入口配管121に設けた開度調整弁11の開度を変化させることによって、等価的に入口配管121の径Dnを変化させ、ヘルムホルツ共鳴管12の共鳴周波数fを変化させることができる。通常、配管径に比べて音響共鳴モードの音波長は長いため、共鳴周波数fは、開口部の形状によらず、入口配管121の開口面積に依存する。そのため、開度調整弁11の型式に依存されることなく、どのような型式の弁を用いてもヘルムホルツ共鳴管12の共鳴周波数fを調整することができる。
図2に示した例では、入口配管121の径Dnをパラメータとした共鳴減衰管122の長さLrに対する3つの共鳴周波数特性を示しており、入口配管121の径Dnを絞ることで共鳴周波数fは低くなっている。すなわち、1つのヘルムホルツ共鳴管12において、開度調整弁11の開度を変化させれば、等価的に入口配管121の径Dnを変化させることができ(つまり、入口配管121の断面積Anを変化させることができ)、ヘルムホルツ共鳴管12の共鳴周波数fを可変調整できることを示している。
また、(1)式から分かるように、入口配管121に開度調整弁11を設けなくても、言い換えれば、入口配管121の径Dn(つまり、入口配管121の断面積An)を一定にしても、共鳴減衰管122の径Drまたは長さLrを変化させることによって(つまり、共鳴減衰管122の体積Vを変化させることによって)、ヘルムホルツ共鳴管12の共鳴周波数fを変化させることができる。
そこで、本発明の沸騰水型原子炉では、ヘルムホルツ共鳴管12を主蒸気系の側部に取り付けて、主蒸気系を通過する蒸気に混在している水素ガスなどの非凝縮性ガスがヘルムホルツ共鳴管12に停滞しないようにすると共に、ヘルムホルツ共鳴管12を主蒸気系側へ下り勾配で傾斜させて主蒸気系の側部に取り付けることによって、ヘルムホルツ共鳴管12にドレンが溜まらないようにしてヘルムホルツ共鳴管12の体積Vを一定にしている。そのため、開度調整弁11の開度を変化させて入口配管121の径Dnを調整して、ヘルムホルツ共鳴管12の共鳴周波数fを可変調整し、主蒸気系で発生した音響共鳴による圧力振動を抑制している。以下、ヘルムホルツ共鳴管12に非凝縮性ガスやドレンが停滞しないようにして、主蒸気系で発生した音響共鳴による圧力振動を効果的に抑制する実施形態の幾つかを詳細に説明する。
《第1の実施形態》
図3は、本発明の第1の実施形態による沸騰水型原子炉の主蒸気系を示す構成図である。原子炉圧力容器1の下部には、ウランの核分裂によって蒸気2を発生させる冷却水が循環する炉心などが構成されているが、この図では省略されている。原子炉圧力容器1の内部で発生した蒸気2は、蒸気乾燥器3の内部の波板4で水分が除去された後、原子炉圧力容器1の蓋5で囲まれた蒸気ドーム6内へ流入する。波板4で除去された水分は、ドレン管7を通って蒸気乾燥器3の下方に排出される。一方、蒸気2は、ノズル8から蒸気配管9を通って高圧タービン10に流入して図示しない発電機を高速回転させる。
また、蒸気配管9の側部には、図1で示した構成のヘルムホルツ共鳴管12が設置されている。すなわち、蒸気配管9の側部の開口部とヘルムホルツ共鳴管12の入口配管121とを連通(通気)させることにより、蒸気配管9に対してヘルムホルツ共鳴管12を設置する。このとき、ヘルムホルツ共鳴管12の入口側が蒸気配管9の側部に対してやや下方を向くように、ヘルムホルツ共鳴管12を傾斜させて蒸気配管9の側部に設置する。ヘルムホルツ共鳴管12の設置方法については拡大図を用いて詳細に説明する。
図4は、図3に示す沸騰水型原子炉おいて、ヘルムホルツ共鳴管12を蒸気配管9の側部に設置する状態を示す拡大図である。図4に示すように、蒸気配管9の側部に取り付けられた入口配管121がやや下向きになるようにヘルムホルツ共鳴管12を傾斜させて、蒸気配管9の側部にヘルムホルツ共鳴管12を設置する。つまり、ヘルムホルツ共鳴管12で生成されたドレンが連続的に蒸気配管9に排出されるように、ヘルムホルツ共鳴管12を傾斜させて蒸気配管9の側部に設置する。
このようにしてヘルムホルツ共鳴管12を蒸気配管9の側部に設置することにより、蒸気2を輸送している蒸気配管9の上部のみを通過する非凝縮性ガスが、ヘルムホルツ共鳴管12の共鳴減衰管122に流入して停滞するおそれはなくなる。したがって、ヘルムホルツ共鳴管12は、常に適切な状態に保たれている。また、蒸気配管9で輸送される蒸気の一部がヘルムホルツ共鳴管12の共鳴減衰管122に停滞して生成されたドレンは、共鳴減衰管122の傾斜に沿って連続的に蒸気配管9へ排出されるので、共鳴減衰管122の空間容積(体積)がドレンによって変動するおそれもなくなる。これによって、ヘルムホルツ共鳴管12は、入口配管121に設けられた開度調整弁11の弁開度(つまり、入口配管の断面積An)のみによって共鳴周波数fを調整することができるので、この開度調整弁11を調整することによって、蒸気配管9で発生する音響共鳴による圧力振動の振幅を効果的に抑制することができる。
図4のように傾斜を設けて蒸気配管9に設置されたヘルムホルツ共鳴管12によって実現される音響共鳴の抑制方法についてさらに詳しく説明する。図3に示す第1の実施形態の沸騰水型原子炉では、蒸気ドーム6からノズル8、蒸気配管9を通って高圧タービン10に至るまでの蒸気相の空間(主蒸気系)には、圧力センサ13、14が取り付けられている。ここで、圧力センサ13、14は、どちらか単独でもよいし、あるいは、それぞれ複数ずつ設置しても構わない。圧力センサ13、14からの圧力振動の信号は制御装置15内の信号処理部で処理され、圧力振動振幅の大きさに応じて開度調整弁11の開度が制御される。
すなわち、制御装置15は、圧力センサ13、14の圧力振動の信号を入力して、圧力センサ13、14の圧力振動の振幅が最小になるように開度調整弁11の開度を最適に制御する。例えば、開度調整弁11を微小に開いたとき、圧力センサ13、14の圧力振動振幅が減少する場合は、さらに開度調整弁11を微小に開く。また、圧力センサ13、14の圧力振動の振幅が増加する場合は、開度調整弁11を反対に閉じる方向に制御する。このような操作を繰り返すことにより、開度調整弁11の開度を制御して(つまり、ヘルムホルツ共鳴管12の入口配管121の断面積Anを制御して)、蒸気配管9の音響共鳴を抑制する。これによって、圧力センサ13、14の圧力振動の振幅を最小にすることができる。
図5は、本実施の形態に用いるのに好適な制御装置15の処理機能を示すブロック図である。制御装置15は、信号処理部151と制御部152とによって構成される。信号処理部151では、圧力センサ13、14から入力された圧力振動の振幅を記憶部1511で記憶させ、開度調整弁11の操作前後の圧力センサ13、14の圧力振動の振幅を比較部1512で比較する。また、制御部152は、比較部1512の比較結果に基づいて、開度調整弁11への新たな開度指令を決定し、開度調整弁11へ制御信号を出力する。
このような機能により、主蒸気系の圧力振動の振幅が小さくなる方向へヘルムホルツ共鳴管12における入口配管121の開度調整弁11の開度を制御して、ヘルムホルツ共鳴管12における入口配管121の実質的な開口面積(つまり、入口配管121の断面積An)を調整する。これによって、ヘルムホルツ共鳴管12の共鳴周波数fが主蒸気系に発生した共鳴振動の周波数に近づいて、主蒸気系の音響共鳴(圧力振動)を減衰させることができる。
本実施形態では、ヘルムホルツ共鳴管12が、蒸気配管9の側部に設置されており、主蒸気系内の圧力振動振幅の大きな位置にヘルムホルツ共鳴管12の入口配管121を設けることにより、音響共鳴モードを効果的に減衰させることができる。この実施形態は、蒸気配管9の圧力振動が大きい場合に有効である。例えば、ノズル8で大きな圧力振動が生じた場合には、ノズル8の近傍にヘルムホルツ共鳴管12を設置することにより、蒸気配管9の圧力振動を抑制して主蒸気系全体の圧力振動の振幅を小さくすることができる。特に、沸騰水型原子炉の場合には、ノズル8の近傍には安全弁が設置されているため、増出力時にこの実施形態の構成を適用する場合には、流路面積の広い大型の大容量安全弁を用いることにより増出力前に比べて弁数を削減し、余った弁座を使用してヘルムホルツ共鳴管を設置するなどの手段も可能である。
本実施形態のように、蒸気配管9側へ下り勾配で傾斜させたヘルムホルツ共鳴管12を蒸気配管9に取り付けることにより、共鳴減衰管122の内部に非凝縮性ガスが停滞しないことに加えて、共鳴減衰管122に溜まったドレンは、常に蒸気配管9へ排出されるので共鳴減衰管122の空間容積(体積V)は常に一定に保たれている。したがって、圧力センサ13、14からの信号によって制御を行う制御装置15によって入口配管121の開度調整弁11の開度を調整して、入口配管121の断面積Anを最適値にすることにより、蒸気配管9の音響共鳴による圧力振動を効果的に抑制することができる。
つまり、主蒸気系内において、圧力波が伝播したり反射したりして増幅すると、大きな振幅を持つ音響共鳴モードが形成される。この音響共鳴モードによってヘルムホルツ共鳴管12の入口の圧力振動が変動すると、そのヘルムホルツ共鳴管12の内部に向かう流速に変動が生じる。そこで、入口配管121の開度調整弁11の開度を調整して入口配管の断面積Anを最適値に維持し、ヘルムホルツ共鳴管12の共鳴周波数fと音響共鳴モードの周波数とを一致させると、ヘルムホルツ共鳴管12の入口の流速変動が大きくなるため、ヘルムホルツ共鳴管12が主蒸気系内の音響エネルギーを吸収し、音響共鳴モードによる圧力振動を効果的に減衰させることができる。したがって、主蒸気系内の圧力振動の大きな位置にヘルムホルツ共鳴管12の入口を設けることにより、音響共鳴モードを効果的に減衰させることができる。例えば、蒸気配管9のバルブ(図示せず)の近傍などで大きな圧力振動が生じた場合には、その近傍の蒸気配管9の位置にヘルムホルツ共鳴管12を設置することによって圧力振動を抑制し、蒸気配管9に加わる圧力変動を低減させて信頼性の高い運転を維持することができる。
《第2の実施形態》
図6は、本発明の第2の実施形態による沸騰水型原子炉の主蒸気系を示す構成図である。図3に示す第1の実施形態による沸騰水型原子炉では、ヘルムホルツ共鳴管12を蒸気配管9の側面に傾斜させて設置したが、図6に示す第2の実施形態による沸騰水型原子炉では、ヘルムホルツ共鳴管12を蒸気ドーム6の側面に傾斜させて設置している。それ以外の構成は、図3に示す第1の実施形態と同じであるので、重複する説明は省略して第2の実施形態に固有の構成及び動作について説明する。
図6に示す第2の実施形態におけるヘルムホルツ共鳴管12の蒸気ドーム6への取り付け構成について、図4の蒸気配管9を蒸気ドーム6に読み替えて説明すると、蒸気ドーム6の側面の方向へ下り勾配で傾斜を持たせたヘルムホルツ共鳴管12を蒸気ドーム6に設置する。このように傾斜させてヘルムホルツ共鳴管12を蒸気ドーム6に設置することにより、蒸気ドーム6の上部に存在する水素ガスなどの非凝縮性ガスは、ヘルムホルツ共鳴管12に停滞することはなくなる。さらに、ヘルムホルツ共鳴管12内の蒸気によって生成されたドレンは、ヘルムホルツ共鳴管12の傾斜に沿って蒸気ドーム6へ排出されるので、ヘルムホルツ共鳴管12にドレンが停滞することはなくなり、ヘルムホルツ共鳴管12における共鳴減衰管122の体積は一定値に保たれている。
したがって、例えば圧力センサ13が、蒸気ドーム6内の圧力振動を検出してその検出信号を制御装置15へ送信すると、制御装置15は、受信した圧力振動の信号を処理して、圧力振動振幅の大きさに応じて開度調整弁11の開度を制御する。すなわち、制御装置15は、圧力センサ13の圧力振動の信号を入力して、圧力センサ13の圧力振動の振幅が最小になるように開度調整弁11の開度を最適に制御する。例えば、開度調整弁11を微小に開いたとき、圧力センサ13の圧力振動が減少する場合は、さらに開度調整弁11を微小に開く。また、圧力センサ13の圧力振動が増加する場合は、開度調整弁11を反対に閉じる方向に制御する。このような操作を繰り返すことにより、開度調整弁11の開度を最適に制御して(つまり、ヘルムホルツ共鳴管12の入口配管121の断面積Anを最適に制御して)、蒸気ドーム6の音響共鳴を抑制して圧力振動の振幅を減衰させる。
《第3の実施形態》
図7は、本発明の第3の実施形態による沸騰水型原子炉の主蒸気系を示す構成図である。第1の実施形態及び第2の実施形態と重複する説明は省略する。蒸気配管9の側部には、開度調整弁11Aを介してヘルムホルツ共鳴管12Aが、蒸気配管9側へ下り勾配で傾斜して設置され、かつ、開度調整弁11Bを介してヘルムホルツ共鳴管12Bが、蒸気配管9側へ下り勾配で傾斜して設置されている。これらのヘルムホルツ共鳴管12A、12Bが蒸気配管9の側部に傾斜して設置されている形態は、前述の図4に示した通りである。したがって、ヘルムホルツ共鳴管12A、12Bの内部には、蒸気配管9の上部を通過する非凝縮性ガスが停滞するおそれはなく、かつドレンが停滞するおそれもない。
したがって、ヘルムホルツ共鳴管12A、12Bの体積(つまり、共鳴減衰管122の体積)は一定値に保たれているので、圧力センサ14A、14Bの検出した圧力信号によって制御装置15が、圧力振動振幅の大きさに応じて開度調整弁11A、11Bの開度を制御することにより、蒸気配管9の内部で発生した音響共鳴による圧力振動を効果的に抑制することができる。
つまり、本実施形態では、蒸気配管9に蒸気ヘッダ16が設置されている。この蒸気ヘッダ16は、複数の並列配管で構成された蒸気配管9の各配管の均圧化、あるいは他の配管への分岐を可能とする分配器的な役割を担って設けられている。このように、蒸気ヘッダ16が設置されている場合には、蒸気ヘッダ16の前後で、音響共鳴モードの周波数位相が異なっている可能性がある。そこで、蒸気ヘッダ16の前後の蒸気配管9のそれぞれの位置に、圧力センサ14A、14B及びヘルムホルツ共鳴管12A、12Bを設けることにより、蒸気ヘッダ16の前後において音響共鳴モードを効果的に減衰させることができる。
例えば、蒸気ヘッダ16の前後で大きな圧力振動が生じた場合には、圧力センサ14A、14Bの検出した圧力信号に基づいて制御装置15が、開度調整弁11A、11Bの開度を制御し、蒸気ヘッダ16の前後のヘルムホルツ共鳴管12A、12Bの共鳴周波数と音響共鳴モードの周波数とを一致させることにより、蒸気配管9の全域において圧力振動を抑制し、結果的に主蒸気系全体の圧力振動を抑えることができる。
つまり、制御装置15は、圧力センサ13、14A、14Bの圧力振動の信号を入力し、それらの圧力振動の振幅が最小になるように、開度調整弁11A、11Bの開度が最適となるように制御する。例えば、開度調整弁11Aを微小に開いて圧力センサ13、14A、14Bの圧力振動が減少する場合は、さらに開度調整弁11Aを微小に開く。また、圧力センサ13、14A、14Bの圧力振動が増加する場合は、開度調整弁11Aを反対に閉じる方向に制御する。開度調整弁11A、11Bについて、このような操作を繰り返すことにより、開度調整弁11A、11Bの開度を制御して、圧力センサ13、14A、14Bの圧力振動の振幅を最小にすることができる。
なお、制御装置15の具体的な構成は、図5と同じであるが、第3の実施形態の場合は、制御部152が次のように動作する。すなわち、圧力センサ13、14A、14Bからの圧力振動の振幅を記憶部1511で記憶させ、開度調整弁11A、11Bを操作する前後の圧力センサ13、14A、14Bの圧力振動の振幅をそれぞれ比較部1512で比較する。そして、その比較結果から開度調整弁11A、11Bの新たな開度を決定し、開度調整弁11A、11Bを制御する。
図7に示す第3の実施形態の沸騰水型原子炉の場合も、ヘルムホルツ共鳴管12A、12Bの入口配管121が、蒸気配管9の圧力振動の大きな位置にあれば、音響共鳴モードをより効果的に減衰させることができる。そこで、圧力センサ13、14A、14Bからの圧力振動の信号を用いて制御装置15を制御して開度調整弁11A、11Bの開度を決定すれば、次のようにしてより効果的に音響共鳴を減衰させることができる。
すなわち、蒸気配管9で発生している音響振動モードを計算し、圧力振動の計算結果が大きい位置に設けられたヘルムホルツ共鳴管12A又は12Bに対応する開度調整弁11A又は11Bから順に新たな開度を決定し、当該開度調整弁から順次に制御を行う。音響振動モードは、圧縮性流体の方程式もしくは音波方程式を基礎式として適当な境界条件を用いて数値計算することにより求められ、蒸気配管9の各位置における圧力振動を得ることができる。この音響振動モードから、開度調整弁11A、11Bの位置における圧力振動の振幅を求め、圧力振動の振幅の大きい方の開度調整弁を優先してこれから順に制御を行う。このような方法を用いることにより、より短時間に最適な開度調整弁11A、11Bの開度を求めて圧力振動を減衰させることが可能となる。
《第4の実施形態》
図8は、本発明の第4の実施形態による沸騰水型原子炉の主蒸気系を示す構成図である。この実施形態では、蒸気配管9の側部に複数の開度調整弁11を介して一つのヘルムホルツ共鳴管12が蒸気配管9側へ下り勾配の傾斜をつけて設置されている。複数の開度調整弁11を有するヘルムホルツ共鳴管12が蒸気配管9の側部に傾斜して設置されている形態は、前述の図4に示した通りである。つまり、図4において、一つの共鳴減衰管122に対して、複数の入口配管121及び開度調整弁11が、図の紙裏方向に配列されて蒸気配管9に接続されていると読み替えればよい。このような設置構成によって、ヘルムホルツ共鳴管12の内部には、蒸気配管9の上部を通過する非凝縮性ガスが停滞するおそれはなく、かつドレンが停滞するおそれもない。
また、蒸気ドーム6からノズル8、蒸気配管9を通って高圧タービン10に至るまでの蒸気相の空間(主蒸気系)には、圧力センサ13、14が取り付けられている。ここで、圧力センサ13、14は、どちらか単独でも、あるいは、それぞれ複数個設置されていても構わない。圧力センサ13、14からの圧力振動振幅の信号は、制御装置15内の信号処理部で処理され、圧力振動振幅の大きさに応じて複数の開度調整弁11の開度を制御するのに使用される。制御装置15の構成は、第1の実施の形態で述べた図5の構成と同様であるので重複する説明は省略する。
図9は、本実施形態で使用されるヘルムホルツ共鳴管を示す摸式側面図である。なお、図9では、理解を容易にするために、図8に示す沸騰水型原子炉における蒸気配管9、複数の開度調整弁11、及びヘルムホルツ共鳴管12が一体となって描かれている。蒸気配管9の側部に連結する複数の入口配管121に、それぞれ開度調整弁11が設けられており、これらの入口配管121を単一の共鳴減衰管122で結合している。複数の入口配管の断面積の和をAnとし、共鳴減衰管122の体積を一定値Vとすることにより、ヘルムホルツ共鳴管12の共鳴周波数fは前述の(1)式で求められ、入口配管の断面積Anを制御して共鳴周波数fを蒸気配管9の音響共鳴の周波数と一致させることにより、蒸気配管9で発生する圧力振動を抑制することができる。また、ヘルムホルツ共鳴管に複数の開度調整弁を備えることにより、複数の開度調整弁は、圧力振動振幅の大きさに応じて順次に開度が制御されるので、きめ細かに圧力振動を抑制することができる。なお、共鳴減衰管122は、図9に示すような配管に限ることはなく、蒸気配管9を囲むように配置したアニュラス状の容器でもよい。
また、図9のような構成のヘルムホルツ共鳴管12にすることにより、蒸気配管9の周囲にスペースがない場合でも蒸気配管9に沿ってヘルムホルツ共鳴管12をコンパクトに配置することができる。さらに、ヘルムホルツ共鳴管12には、複数の入口配管121を有するため、それらの入口配管121の断面積の和Anを大きくとることができるので、蒸気配管9で発生した圧力振動の減衰率を大きくすることが可能となる。例えば、図9に示すような形状のヘルムホルツ共鳴管12を用いて沸騰水型原子炉の増出力時に適用すれば、蒸気の流路面積が広い大型の大容量安全弁を用いることによって増出力前に比べて弁の数を削減することができるので、余った複数の弁座を使用してヘルムホルツ共鳴管を設置するなどの手段も可能である。
《第5の実施形態》
図10は、本発明の第5の実施形態に適用されるヘルムホルツ共鳴管12の配置構成を示す概念図である。すなわち、上記の第1の実施形態から第4の実施形態までの沸騰水型原子炉では、図4に示すようにヘルムホルツ共鳴管12を蒸気配管9側へ下降傾斜させて蒸気配管9の側部に取り付けることにより、ヘルムホルツ共鳴管12の内部に非凝縮性ガスやドレンが停滞することを防止した。第5の実施形態では、図10に示すように、蒸気配管9の上部にヘルムホルツ共鳴管12を設置し、かつヘルムホルツ共鳴管12の上部からベント管21を蒸気配管9に接続することにより、ヘルムホルツ共鳴管12の内部に非凝縮性ガスやドレンが停滞するのを防止している。
図10に示すように、入口配管121を介してヘルムホルツ共鳴管12を蒸気配管9の上部に設置すれば、共鳴減衰管122の内部にドレンが停滞するおそれはない。一方、蒸気配管9の上層部で輸送される水素ガスなどの非凝縮性ガスは、共鳴減衰管122の方へ流入するが、これらの非凝縮性ガスはベント管21を通って蒸気配管9へ連続的に排出される。このような構成によれば、共鳴減衰管122の内部に非凝縮性ガスが停滞しないことに加えて、ドレンも共鳴減衰管122に停滞することがないので、共鳴減衰管122の空間容積(体積V)は常に一定に保たれている。
例えば、図3に示す構成の沸騰水型原子炉に対して図10のような配置でヘルムホルツ共鳴管12を設置すれば、共鳴減衰管122の空間容積(体積V)は、常に一定に保たれているので、圧力センサ13、14からの信号によって制御を行う制御装置15によって入口配管121に配置された開度調整弁11の開度を調整して、入口配管121の断面積Anを最適値にすることにより、蒸気配管9の音響共鳴による圧力振動を効果的に抑制することができる。もちろん、図6、図7、図8に示す構成の沸騰水型原子炉に対して図10のような配置でヘルムホルツ共鳴管12を設置しても、入口配管121の断面積Anを最適値にして蒸気配管9の音響共鳴による圧力振動を効果的に抑制することができる。
ベント管21を設けることにより、ヘルムホルツ共鳴管12には、蒸気配管9を通る蒸気2の一部が流入する。これにより、入口配管121と蒸気配管9の結合部における流れが変化する。ヘルムホルツ共鳴管12の圧力振動抑制の大きさは、入口配管121と蒸気配管9の結合部における流れの変動によって変化するため、ベント管21の口径を調節することにより、ヘルムホルツ共鳴管12の圧力振動抑制効果を最適化させることが可能である。
《まとめ》
以上説明した第1の実施形態から第5の実施形態までの沸騰水型原子炉においては、ヘルムホルツ共鳴管12に水素ガスなどの非凝縮性ガスが停滞するおそれはないので、沸騰水型原子炉の運転中にヘルムホルツ共鳴管12を安全な状態に維持することができる。さらに、ヘルムホルツ共鳴管12の共鳴減衰管122にドレンが停滞することがないので、共鳴減衰管122の空間容積(体積V)を常に一定に維持することができる。したがって、入口配管121に取り付けられた開度調整弁11の開度(断面積An)を制御することによって、ヘルムホルツ共鳴管12の共鳴周波数fを蒸気配管の音響共鳴の周波数と一致させている。これによって、主蒸気系で発生した音響共鳴モードによる圧力振動を効果的に抑制することができる。
また、第1の実施形態から第5の実施形態までの沸騰水型原子炉においては、ヘルムホルツ共鳴管12の入口配管121には全て開度調整弁11が取り付けられ、制御装置15によってそれらの開度調節弁11の開度が制御される。しかし、一旦、開度調節弁11の開度が決まれば、その後は開度調整弁11の弁開度を固定して制御装置15を無制御状態にしてもよいし、制御装置15を取り外してもよい。また、一旦開度調節弁11の開度が決まれば、開度調節弁11と同等の流路面積と長さを有する配管要素で開度調節弁11を置き換えてもよい。
さらに、第1の実施形態から第5の実施形態までの沸騰水型原子炉においては、ヘルムホルツ共鳴管における入口配管の開度調整弁の開度を制御するだけで、主蒸気系で発生した音響共鳴による圧力振動の振幅を最小にすることができるので、沸騰水型原子炉の主蒸気系やヘルムホルツ共鳴管に新たな改造作業を行うことなく、圧力振動の抑制を容易に実現することが可能となる。これによって、発電プラントの運転管理を常に最適状態に維持することが可能な沸騰水型原子炉を構築することができる。
さらには、ヘルムホルツ共鳴管にドレンが停滞することがないので、共鳴減衰管の体積(内部容積)を常に一定値に維持することができる。したがって、ヘルムホルツ共鳴管における入口配管の開度調整弁の開度を制御するだけで、主蒸気系で発生した音響共鳴による圧力振動の振幅を最小にすることができる。つまり、沸騰水型原子炉の主蒸気系やヘルムホルツ共鳴管に新たな改造作業を行うことなく、開度調整弁の開度を制御するだけで、主蒸気系で発生した音響共鳴に伴う圧力振動振幅の抑制を容易に実現することが可能となる。これによって、沸騰水型原子炉の運転中においてヘルムホルツ共鳴管を適切な状態に維持することができる。
図11は、本発明による各実施形態の効果を説明するための周波数対音圧を示す特性図であり、ヘルムホルツ共鳴管を用いた場合と用いない場合の代表的な試験結果を示している。図の縦軸は蒸気乾燥器表面の音圧であり、ヘルムホルツ共鳴管がない場合には、低周波の特定の周波数で圧力振動ピークが生じる。図には、この低周波の圧力振動ピークにヘルムホルツ共鳴管の共鳴周波数を一致させた場合を示しており、ヘルムホルツ共鳴管により当該圧力振動ピークを有効に減衰できることがわかる。
本発明の沸騰水型原子炉で使用するのに好適な円筒形状のヘルムホルツ共鳴管の構造を示す側面図である。 図1に示すヘルムホルツ共鳴管の寸法に対する共鳴周波数を示す特性図である。 本発明における第1の実施形態の沸騰水型原子炉の主蒸気系を示す構成図である。 図3に示す沸騰水型原子炉おいて、ヘルムホルツ共鳴管を蒸気配管の側部に設置する状態を示す拡大図である。 本発明の各実施形態で用いられる制御装置の処理機能を示すブロック図である。 本発明における第2の実施形態の沸騰水型原子炉の主蒸気系を示す構成図である。 本発明における第3の実施形態の沸騰水型原子炉の主蒸気系を示す構成図である。 本発明における第4の実施形態の沸騰水型原子炉の主蒸気系を示す構成図である。 本発明における第4の実施形態で用いられるヘルムホルツ共鳴管を示す摸式側面図である。 本発明の第5の実施形態に適用されるヘルムホルツ共鳴管の配置構成を示す概念図である。 本発明における各実施形態の効果を説明するための周波数対音圧を示す特性図である。
符号の説明
1 原子炉圧力容器
2 蒸気
3 蒸気乾燥器
4 波板
5 原子炉圧力容器蓋
6 蒸気ドーム
7 ドレン管
8 ノズル
9 蒸気配管
10 高圧タービン
11 開度調整弁
12,12A,12B ヘルムホルツ共鳴管
121 入口配管
122 共鳴減衰管
13,14 圧力センサ
15 制御装置
151 信号処理部
1511 記憶部
1512 比較部
152 制御部
16 蒸気ヘッダ
21 ベント管

Claims (5)

  1. 原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器の内部で発生させた蒸気を該原子炉圧力容器の上部の蒸気ドームから外部へ輸送する蒸気配管と、該蒸気配管に連結して前記蒸気により駆動される高圧タービンとを備えた沸騰水型原子炉において、
    前記蒸気配管は、輪切り断面が円筒状の水平部分を有しており、その水平部分の外周面にヘルムホルツ共鳴管が接続されており、
    前記ヘルムホルツ共鳴管は、前記蒸気配管に入口配管を介して接続される共鳴減衰管を備えており、前記共鳴減衰管の管内の下面が前記蒸気配管に向けて下り傾斜状となるように、かつ、前記入口配管が前記蒸気配管の輪切り断面の水平中心線よりも下側となるように前記蒸気配管の外周面に接続される
    ことを特徴とする沸騰水型原子炉。
  2. 原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器の内部で発生させた蒸気を該原子炉圧力容器の上部の蒸気ドームから外部へ輸送する輪切り断面が円筒状の水平部分を有する蒸気配管と、該蒸気配管に連結して前記蒸気により駆動される高圧タービンとを備えた沸騰水型原子炉において、
    前記蒸気配管の外周面に入口配管を介して接続される減衰共鳴管を備え、前記共鳴減衰管の管内の下面が前記蒸気配管に向けて下り傾斜状となるように、かつ、前記入口配管が前記蒸気配管の輪切り断面の水平中心線よりも下側となるように前記蒸気配管の水平部分の外周面に接続されるヘルムホルツ共鳴管と、
    前記蒸気が輸送される際に発生する音響共鳴に起因する圧力振動振幅を検出する圧力センサと、
    前記圧力センサによって検出された前記圧力振動振幅の大きさに応じて前記ヘルムホルツ共鳴管の入口配管の開度を調整する開度調整弁とを備える
    ことを特徴とする沸騰水型原子炉。
  3. 前記ヘルムホルツ共鳴管は、前記主蒸気系の複数箇所に配置され、前記圧力振動振幅の大きい位置に配置されたヘルムホルツ共鳴管の入口配管の開度が調整される
    ことを特徴とする請求項に記載の沸騰水型原子炉。
  4. 前記ヘルムホルツ共鳴管は、複数の開度調整弁を備え、該複数の開度調整弁は、前記圧力振動振幅の大きさに応じて順次に開度が制御される
    ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の沸騰水型原子炉。
  5. 原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器の内部で発生させた蒸気を該原子炉圧力容器の上部の蒸気ドームから外部へ輸送する輪切り断面が円筒状の水平部分を有する蒸気配管と、該蒸気配管に連結して前記蒸気により駆動される高圧タービンと、前記蒸気配管に入口配管を介して接続される共鳴減衰管を備えており、前記共鳴減衰管の管内の下面が前記蒸気配管に向けて下り傾斜状となるように、かつ、前記入口配管が前記蒸気配管の輪切り断面の水平中心線よりも下側となるように前記蒸気配管の水平部分の外周面に接続されるヘルムホルツ共鳴管とを備えた沸騰水型原子炉における蒸気配管の音響振動抑制方法において、
    前記蒸気ドーム及び前記蒸気配管からなる主蒸気系で発生した音響共鳴に起因する圧力振動振幅を検出するステップと、
    検出された圧力振動振幅に基づいて前記主蒸気系に付設されたヘルムホルツ共鳴管の入口配管の開度を制御するステップと、
    前記圧力振動振幅の大きさが最小になったとき前記入口配管の開度を固定するステップとを含む
    ことを特徴とする沸騰水型原子炉における蒸気配管の音響振動抑制方法。
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