JP4468730B2 - パストライザの排水回収装置、およびパストライザ排水回収システム - Google Patents
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Description
例えばパストライザ排水の性状は、温度40〜50℃で、製品を容器に充填した際に容器に付着した製品成分(コーヒー、茶、果汁、シロップなど)やスライダと呼ばれるコンベア潤滑剤の成分(カチオン系、アニオン系及びノニオン系界面活性剤等)などを含んでいる。これらの汚染物質は、パストライザ排水中では、懸濁物質および溶解物質として存在している。
また、公報記載の従来技術として、パストライザ内部の水循環、冷却領域の貯留水への冷熱供給および省エネ・省水の最適化計算方法によって、省エネとともに省水を図るパストライザが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、上記特許文献1記載のパストライザでは、排水中の不純物を除去せずに水の循環使用を続けるので、汚染物質がパストライザ貯留水中に蓄積し、貯留水の濁度や過マンガン酸カリウム消費量が増加してしまう短所がある。これに対しては、貯留水を新水に入れ替えることによって貯留水水質が飲用適の水質基準を超過することは回避できるが、運転管理が煩雑になってしまう。さらに、貯留水の有機物濃度が高くなると残留塩素濃度を維持するために次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤の添加量が多くなり、トリハロメタン等の有害な消毒副生成物が増加する危険がある。
さらに、除濁装置により除濁された排水中の溶解性不純物を除去する逆浸透膜装置を含むことを特徴とすることができる。この逆浸透膜装置としては、逆浸透(RO)膜を用いたRO装置の他、ルーズRO膜とも呼ばれるナノろ過(NF)膜を用いたナノろ過装置を含む。RO装置またはナノろ過装置によって排水中の糖類などの製品成分やスライダの成分である界面活性剤などの溶解性有機物を除去できるので、より良質の処理水を得ることが可能となる。
またさらに、この除濁装置は、精密ろ過(MF)膜を用いた精密ろ過装置(MF装置)または限外ろ過(UF)膜を用いた限外ろ過装置(UF装置)であることを特徴とすることができ、さらに拡張して、RO装置やNF装置などの逆浸透膜装置を単独に用いることを特徴とすることもできる。
〔実施の形態1〕
図1は、本実施の形態が適用される殺菌装置としてパストライザ排水回収システム1の全体構成を示した図である。図1に示すパストライザ排水回収システム1では、加熱殺菌冷却装置としてのパストライザ50と、このパストライザ50の排水を回収する排水回収装置10とを備えている。パストライザ50は、予熱、殺菌、冷却の各機能に分かれており、図1に示す例では、第1槽である予熱領域50−1、第2槽である第1の殺菌領域50−2、第3槽である第2の殺菌領域50−3、第4槽である第1の冷却領域50−4、および冷却領域の最終槽として第5槽である第2の冷却領域50−5、の5つの領域が示されている。各領域にて洗浄や殺菌等に用いられた水は、排水管51を介して排水され、図示しない排水処理設備から放流される。尚、図1では、第2の冷却領域50−5に水切槽などの付属槽を含んでいる。
MF供給水は、精密ろ過膜によってろ過されMF供給水中の懸濁物質が除去される。MF装置14からの処理水は、MF装置14とMF処理水槽15とを接続するMF処理水管26を通してMF処理水槽15へ送られ、貯留される。MF装置14での水回収率、すなわち原水量に対する処理水量の割合は、MFモジュールの銘柄や運転条件等によって異なるが、一般に95%程度である。
また、MF装置14と原水槽11との間はMF循環水管29で接続されており、MFモジュールに供給されたMF供給水の一部は精密ろ過膜を通過せずにMFモジュールから排出され、MF循環水管29によって原水槽11へ循環される。この循環によって、懸濁物質のMFモジュールによる閉塞が軽減される。
尚、第1熱交換器13だけで十分な冷却効果が得られる場合には、第2熱交換器18を省略することができる。
ナノろ過(NF)膜は、1nm(ナノメーター)前後のサイズを持つ分子や溶質を分離するために用いられる膜である。限外ろ過(UF)膜と逆浸透(RO)膜の中間の分離性能を有しており、ルーズRO膜とも呼ばれている。材質としては、本実施の形態では、例えば酢酸セルロースが好適である。膜材質がポリアミドのNF膜も広く使用されているが、耐塩素性がないことから、本実施の形態のような用途には好適とは言えない。ポリアミドのNFモジュールを使用する場合には、NF供給水に亜硫酸ナトリウム等の還元剤を添加して残留塩素を除去し、NFモジュールに通水する必要がある。かかる場合には、NF処理水に次亜塩素酸ナトリウムを添加することが必要である。
また、逆浸透(RO)膜は、逆浸透現象を利用して溶媒と溶質を分離するための選択透過性の膜である。本実施の形態に用いる場合には、耐塩素性を有する逆浸透膜モジュール(以下ROモジュールと記す)が好適である。材質としては酢酸セルロースが良好であり、膜材質がポリアミドのRO膜も広く使用されているが、耐塩素性がない点で、本実施の形態における用途には好適とは言えない。使用する場合には、ポリアミドのNFモジュールと同様の措置が必要である。
・MFモジュール:ポリエチレン
・UFモジュール:ポリスルホン
・NFモジュール:ポリビニルアルコール、ポリアミド
・ROモジュール:ポリアミド
が挙げられるが、これらの膜材質の膜モジュール全てが耐熱性を有するのではなく、これらのうちのごく一部の銘柄に耐熱性を有するものがある。
また、ポリビニルアルコール、ポリアミドの耐熱性ROモジュールには耐塩素性がない。これらを使用する場合には、RO供給水に亜硫酸ナトリウム等の還元剤を添加し、残留塩素を除去してROに通水する必要がある。かかる場合には、RO処理水に次亜塩素酸ナトリウムを添加することが必要となる。
実施の形態2では、実施の形態1の構成に加えて、排水における残留塩素の不足分を補うための次亜塩素酸ナトリウム添加装置60を設けた点に特徴がある。尚、実施の形態1と同様の機能については同様の符号を用い、ここではその説明を省略する。
尚、本実施の形態において、次亜塩素酸ナトリウム添加装置60によって次亜塩素酸ナトリウムを添加する位置は、MF装置14の下流側としているが、上流側とすることも可能である。
実施の形態1では、MF装置14に代えてRO装置を設けることができる例について説明したが、実施の形態3では、実施の形態1または実施の形態2に加えて、即ちMF装置14と共にRO装置71等の逆浸透装置を設けた点に特徴がある。尚、実施の形態1および実施の形態2と同様の機能については同様の符号を用い、ここではその説明を省略する。
また、本実施の形態において、ROモジュール内で硬度成分によるスケール発生のおそれがない場合には、上記pH調整用酸添加装置を省略できる。
Claims (7)
- 容器に液体を充填した製品について予熱領域、殺菌領域、および冷却領域の各領域を通過させて当該製品の予熱、殺菌および冷却を行い、各領域から排水を排出するパストライザに接続され、当該パストライザの冷却領域の最終槽から排出される排水のみを分別回収して当該パストライザへの補給水として供給するパストライザの排水回収装置であって、
前記パストライザの冷却領域の最終槽から排出される排水を冷却する熱交換器と、
前記熱交換器を経由した後または経由する前の前記排水に含まれる懸濁物質を除去する除濁装置とを含み、
前記熱交換器と前記除濁装置とを経由した前記排水を前記パストライザへの補給水として供給することを特徴とするパストライザの排水回収装置。 - 前記除濁装置により除濁された排水に対して次亜塩素酸ナトリウムを添加する次亜塩素酸ナトリウム添加装置をさらに含む請求項1記載のパストライザの排水回収装置。
- 前記除濁装置により除濁された排水中の溶解性不純物を除去する逆浸透膜装置をさらに含む請求項1または2記載のパストライザの排水回収装置。
- 前記除濁装置は、膜ろ過装置であることを特徴とする請求項1記載のパストライザの排水回収装置。
- 前記除濁装置は、精密ろ過装置または限外ろ過装置であることを特徴とする請求項1記載のパストライザの排水回収装置。
- 前記除濁装置として逆浸透膜装置を用いることを特徴とする請求項1記載のパストライザの排水回収装置。
- 容器に液体を充填した製品について予熱領域、殺菌領域、および冷却領域の各領域を通過させて当該製品の予熱、殺菌および冷却を行い、各領域から排水を排出するパストライザと、
前記パストライザに接続され、当該パストライザの冷却領域の最終槽から排出される排水のみを分別回収して当該パストライザへの補給水として供給する排水回収装置とを備え、
前記排水回収装置は、前記冷却領域の最終槽から排出される排水を冷却する熱交換器と、当該熱交換器を経由した後または経由する前に当該排水に含まれる懸濁物質を除去する除濁装置とを含み、当該熱交換器と当該除濁装置とを経由した当該排水を前記パストライザへの補給水として供給することを特徴とするパストライザ排水回収システム。
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