JP4468567B2 - 測位方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、測位衛星からの受信信号に対するスペクトル逆拡散コードのコード位相同期を確立し測位を実行する測位方法に関する。なお、本願では、車両、船舶、航空機等の乗物や人間等の生物を含め、測位装置を移動させることが可能な物体を総称して「移動体」と呼ぶ。また、移動体による測位装置の運搬や携帯を総称してその移動体への「搭載」と呼ぶ。更に、測位システムの例としてGPS(Global Positioning System)を例示するが、本発明はスペクトル逆拡散コードとの相関判定による捕捉・追尾及びその結果を利用した測位処理を伴う他種のシステムにも、適用できる。その種のシステムとしては、GPS以外のGNSS(Global Navigation Satellite System)や、各種システムにより補強されたGNSS、例えばWAAS(Wide Area Argumentation System)等のSBAS(Satellite-Based Argumentation System)により補強されたWADGPS(Wide Area Differential GPS)がある。従って、GPS衛星の他、INMARSAT(International Mobile Satellite Organization)衛星等も、本願における「測位衛星」に該当しうる。スペクトル(逆)拡散コードの例としてGPSにおけるC/A(Coarse Acquisition)コードを例示するがP(Precision)コードにも原理上は適用できる。
【0002】
【従来の技術】
GPSでは、地球周回軌道上にあるGPS衛星から移動体に搭載されているGPS受信機へと、その信号の送信時刻、送信元のGPS衛星の軌道、各GPS衛星の軌道暦(概略軌道)等のデータを示す信号を送信する。この信号は、送信元のGPS衛星によりそのGPS衛星に固有のC/Aコード(又はPコード。以下同様)によるスペクトル拡散変調を施した信号であるため、GPS衛星から送信された信号に含まれる情報をGPS受信機にて利用するには、まずGPS衛星からの受信信号をスペクトル逆拡散変調し、しかる後データを復調しなければならない。また、復調したデータを用いてGPS受信機ひいてはその搭載先移動体の位置を測定する(測位する)には、送信元のGPS衛星からGPS受信機までの擬似距離を正確に測定しなければならない。
【0003】
そのため、GPS受信機では、測位に使用する所要個数以上のGPS衛星を選んだ上で、選んだGPS衛星に係るC/Aコードに対応したスペクトル逆拡散コードをコード発生器により発生させ、そのスペクトル逆拡散コードと受信信号との相関を相関器にて検出する。GPS受信機では、相関器にて相関ピークが検出されるよう、即ち受信信号に対するスペクトル逆拡散コードのコード位相同期が確立されるよう、コード発生器におけるスペクトル逆拡散コードの発生位相(以下、単に「コード位相」と呼ぶ)を制御する。コード位相同期が正しく確立されている状態では、相関器からスペクトル逆拡散変調された受信信号が得られるため、相関器出力を復調器に供給してGPS衛星からのデータを復調することが可能である。また、コード位相同期が正しく確立されている状態におけるコード位相を、受信信号から復調したデータ等と結合させることにより、送信元のGPS衛星からGPS受信機までの擬似距離を求めることができる。
【0004】
図9に、GPS受信機の回路及びソフトウエアのうち、コード位相同期に関連する部分を示す。GPS受信機は、通常、複数の受信チャネルを内蔵しているが、ここでは図示の簡略化のため1チャネル分のみを描いている。また、図示の機能部材のうち相関器10、コード発生器12及び復調器14が個別の受信チャネルに属しているのに対し、処理制御部20は、複数の受信チャネルに対する制御、複数の受信チャネルから得られる情報に基づく測位処理、その結果得られる現在位置の出力等、複数の受信チャネルに関連した統括的な機能を提供している。更に、図中の「受信信号」は、図示しないGPSアンテナにより受信され、受信チャネルを構成する図示しない前段の回路にて処理された信号である。相関器10等の部材は、前段の回路から供給される受信信号のI,Q各成分に対応して設けるが、ここでは図示を省略している。そして、図示の回路及びソフトウエアは、集積回路及びそれに実装されたソフトウエアとして実現できる。
【0005】
測位を実行する際には、処理制御部20が、まず測位に使用するGPS衛星を選択する。処理制御部20は、選択したGPS衛星にてスペクトル拡散変調に使用されているC/Aコードに対応するスペクトル逆拡散コードを、コード発生器12により発生させ、相関器10に入力させる。相関器10は、このスペクトル逆拡散コードと受信信号との相関を検出する。
【0006】
各GPS衛星にてスペクトル拡散変調に使用されるC/Aコードは、gold符号と呼ばれる系列に属する擬似雑音コードであり、かつGPS衛星毎に固有となるよう定められている。また、そのコード長は1023チップ、レートは1.023MHz、周期は1msecである。従って、コード発生器12にて発生させたスペクトル逆拡散コードに対応するC/Aコードによりスペクトル拡散変調されている受信信号が相関器10に入力されており、かつ、そのスペクトル逆拡散コードの位相(チップ位置)がそのC/Aコードの位相(チップ位置)と一致している状態では、相関器10にて検出される相関はピークを迎える。
【0007】
処理制御部20は、相関器10の出力に基づきコード発生器12におけるコード位相を変化させ、相関器10にて検出される相関がピークとなるコード位相を検出することによって、即ちコード位相同期を確立することによって、測位に使用するGPS衛星を捕捉する。また、処理制御部20は、受信信号におけるC/Aコードの位相の変化に追従してコード発生器12におけるコード位相を変化させることによって、測位に使用するGPS衛星を追尾する。復調器14は、GPS衛星から送信されたデータを、コード位相同期が確立されている状態における受信信号(相関器10の出力)から復調し、処理制御部20に供給する。処理制御部20は、コード位相同期が確立されている状態におけるコード位相及び復調器14にて復調されたデータを用いて、周知の原理による測位を行い、その結果たる現在位置等の情報を出力する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のGPS受信機には、相関器10の出力における相関ピークを処理制御部20にて相関器10の出力と所定の相関判定しきい値との比較により検出していたため、相関ピークが現れるコード位相(チップ位置)を検出できない場合があった。
【0009】
まず、図10(a)の横軸はコード発生器12におけるコード位相(チップ位置)を示しており、縦軸は相関器10の出力を概念的に示している。図10(b)に示すコード発生器12の出力(図中の「発生コード」)のコード位相が、同図(c)に示すように受信信号に係るC/Aコード(図中の「受信コード」)のコード位相と一致しているとき、そのチップ位置において、相関器10の出力に同図(a)中に示す強い相関ピークPk1が現れる。これに対して、発生コードのコード位相が図10(d)に示すように受信コードのコード位相と一致していない場合であっても、同図(a)に示す弱い相関ピークPk2が現れることがあり(弱い自己相関によるピーク)、また、同図(e)に示すように発生コードに係る衛星とは異なるGPS衛星からの受信信号との間でも同様の弱い相関ピークPk2が現れることがある(異種コード間の相互相関によるピーク)。
【0010】
このような原因による相関ピークPk2の検出を以て、受信コードに対する発生コードの位相同期が確立されたものとして扱うのでは、処理制御部20にて擬似距離を正確に求められないだけでなく、復調器14からも正しいデータが得られず、従って処理制御部20にて現在位置を正しく求めることができない。そのため、従来から、異チップ位置での自己相関又は異種コードとの相互相関による相関ピークPk2を検出して追尾動作に移行してしまうことを防ぐため、図10(a)に示すように、相関判定しきい値Lthを、相関ピークPk2より高くかつ相関ピークPk1より低くなるよう設定し、相関器10の出力がこの相関判定しきい値Lthを上回っていることを以てコード位相同期確立として扱うようにしていた。
【0011】
しかし、相関器10の出力低下は、何らかの原因で相関器10への受信信号入力レベルが低下している弱信号時にも、生じうる。即ち、図11中にPk3として描かれているように、弱信号時には、捕捉しようとしているGPS衛星からの受信信号との相関を正しいチップ位置で検出しているにもかかわらず、相関器10の出力が相関判定しきい値Lthよりも低くなってしまうことがある。この弱信号による相関ピークPk3は、相関判定しきい値Lthとの比較によっては検出できない。
【0012】
本発明は、このような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、弱信号時であってもコード位相同期に係るコード位相を正確に検出でき、従って市街地等のように電波環境がよくない地域でも性格かつ迅速に測位できるようにすることを、その目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明は、所要個数以上の測位衛星を選び、選んだ測位衛星からの受信信号に対しスペクトル逆拡散コードとの相関判定を通じてコード位相同期を確立し、コード位相同期が確立された受信信号を復調して得られるデータ及びコード位相同期確立時のコード位相に基づき、現在位置を含む測位結果を導出する測位方法において、コード位相同期が正確に確立されているか否かを測位結果に基づき判定し、コード位相同期が正確に確立されていると判定された場合は比較的低くなり、そうでないと判定された場合は比較的高くなるよう、上記相関判定に用いる相関判定しきい値を上記判定の結果に応じて適応設定することを特徴とする。
【0014】
即ち、コード位相同期が一旦正確に確立されたのであれば、その後暫くは、そのときのコード位相と同じ又はそれに近い位相にてコード位相同期を維持できると見なせるため、本発明においては、そのような場合に相関判定しきい値を低め、弱信号でも正しくコード位相同期を確立維持できるようにしている。また、本発明においては、コード位相同期が正確に確立されていないときに相関判定しきい値を高めることにより、異チップ位置における弱い自己相関又は異種コードとの相互相関を誤って検出してしまうことを、防いでいる。更に、本発明においては、コード位相同期が正確に確立されているか否かを、本発明の実行環境である測位装置自身にて得られる測位結果に基づき(即ち特別な情報の入力や特別な演算の実行なしに)判定しているため、従来から搭載されている処理機能に大きな変更や追加を施すことなく、本発明を実施することができる。
【0015】
また、測位装置が移動体に搭載されている場合、コード位相同期が正確に確立されているか否かを測位結果に基づき判定する方法としては、第1に、測位結果が搭載先の移動体では実現し得ない若しくは実現される可能性が低い物理的状態を示している場合に、コード位相同期が正確に確立されていないと判定する、という方法がある。その例は、後述の移動枠(及びその例外処理としての電源オン枠)や高度枠である。第2に、測位結果が搭載先の移動体に関し予定されていない使用環境を示している場合に、コード位相同期が正確に確立されていないと判定する、という方法がある。その例は、後述の地域枠や高度枠である。第3に、測位結果がその測位結果を導出するために用いた測位衛星との位置関係に関する矛盾を示している場合に、コード位相同期が正確に確立されていないと判定する、という方法がある。その例は、後述の擬似距離残差チェックである。第4に、測位結果が別途実行された処理の結果に対する矛盾を示している場合に、コード位相同期が正確に確立されていないと判定する、という方法がある。その例は、後述のRAIMである。
【0016】
更に、上述のように測位結果に基づく判定の結果に応じ相関判定しきい値を適応設定する際、好ましくは、相関判定しきい値を測位衛星毎に設定する。更に、現在又は近い将来にてコード位相同期が確立される確率が高いコード位相については、それ以前におけるコード位相同期の確立状況に基づき、選んだ測位衛星毎に推定することができる。そのため、本発明においては、好ましくは、その推定の結果に応じ、現在又は近い将来にてコード位相同期が確立される確率が高いコード位相に関しては他のコード位相よりも低くなるよう、相関判定しきい値を適応設定する。これらによって、コード位相同期が正確に確立されているか否かに関する測位結果に基づく判定を、より正確化できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態に関し図面に基づき説明する。なお、本発明は図9に示す装置環境下で実施することができるため、以下の説明では図9に示す装置環境を想定する。
【0018】
図1に、本発明の一実施形態における処理制御部20の機能構成を示す。図中、衛星選択部20aは、測位に使用すべきGPS衛星を所要個数以上選択する。この選択は、使用者により初期設定される位置或いは前回の測位出力たる位置や、メモリ20gにより記憶されている軌道暦情報に基づき、行われる。また、車両等の移動体に搭載される場合は三次元測位のため4個以上のGPS衛星を選択する。船舶のようにその高度が常時一定とみなせる移動体に搭載される場合は、二次元測位でもかまわないため選択個数を3個とすることもできる。
【0019】
キャリア・コード制御部20bは、受信信号に対する同期を確立維持できるよう、図示しないキャリア発生器やコード発生器12を制御する。特に、コード発生器10の制御に際しては、まず、衛星選択部20aにより選択されたGPS衛星に係るC/Aコードに対応したスペクトル逆拡散コードを、各受信チャネルのコード発生器12により発生させる。更に、コード発生器12におけるコード位相を制御しつつ相関器10の出力を相関判定しきい値Lthと比較することによって、相関ピークが得られるコード位相を検出する。これによって目的とするGPS衛星を捕捉した後は、コード発生器12におけるコード位相の変更単位を小さくする等の手続を経た上で、引き続き相関ピーク検出及びコード位相制御を行い、捕捉したGPS衛星を追尾する。
【0020】
測位演算部20cは、キャリア・コード制御部20bからコード位相同期状態におけるコード位相を得る一方で、復調器14によって復調されたデータ等を入力し、それらに基づき擬似距離、更には現在位置等を算出し、その結果を出力する。なお、図中のタイマ20fは、GPS受信機の動作タイミングを決める部材であり、通常は処理制御部20外に設けられている基準発振器の出力に基づきそのタイミングを発生させる。図中のメモリ20gは軌道暦情報や各種の設定情報が初期的に格納され又は動作開始後に収集記憶されるメモリである。
【0021】
図1に示した機能構成のうち特徴的な部分は、主として、異常測位解検出部20e及びコード位相推定部20d並びにそれらに関連した各部分である。コード位相推定部20dは、GPS衛星からの信号が建物・樹木・トンネル等によりブロッキングされている期間におけるコード位相の推移を、それに先立つ期間におけるコード位相の推移から、推定する。例えば、図2に示すように、あるGPS衛星からの信号を時刻t=t3で受信或いは捕捉できなかったときは、それ以前の所定期間例えば時刻t=t0〜t2の期間について、コード位相同期が確立したコード位相の移動平均値等を求め、それを以て例えば時刻t=t3或いはt4におけるコード位相を推定する。この推定結果に基づきキャリア・コード制御部20bを動作させること、特に、推定したコード位相付近を重点としてコード発生器12におけるコード位相を変化させることや、推定したコード位相及びその付近に関してその他の位相に比べ相関判定しきい値Lthの値を低くしておくことにより、ブロッキングの影響を受けて弱信号となっている信号でも迅速かつ正確にコード位相同期を確立することができる。
【0022】
異常測位解検出部20eは、測位演算部20cによって得られる測位出力中の異常測位解を検出する。ここでいう異常測位解とは、GPS受信機の搭載先移動体では実現し得ないような或いは実現される可能性が少ないと見なせる物理的な状態を示す測位結果や、搭載先の移動体に関し予定されていない使用環境を示す測位結果や、その測位結果を導出するために用いたGPS衛星との位置関係に関する矛盾を示す測位結果や、他の測位結果との間に矛盾を有する測位結果等、コード位相同期が正確に確立されているかどうかに関して合理的な疑いをもたらす測位結果のことを言う。本実施形態にて着目している点は、異チップ位置における弱い自己相関又は異種コードとの相互相関により相関器10の出力に現れた低い“ピーク”が誤って相関ピークとして検出されたときに、このような異常測位解がもたらされる点である。本実施形態では、この着目点から、異常測位解検出に応じ相関判定しきい値Lthを上げて異常測位解を排除し、そうでないときは相関判定しきい値Lthを下げて弱信号を捕捉できるようにしている。
【0023】
即ち、図3に示すように、異常測位解検出部20eは、測位演算部20cから出力される出力結果やメモリ20gにより記憶されている情報に基づき異常測位解の検出を実行する(100)。異常測位解が検出されなかった場合は、弱信号でも捕捉・追尾することができるよう、キャリア・コード制御部20bに対して相関判定しきい値Lthを十分低い値とするよう指令する(102)。逆に、異常測位解が検出された場合には、相関判定しきい値Lthをより高い値とし、コード位相同期確立動作を再度実行させる(104)。このように、異常測位解検出時に相関判定しきい値Lthをより高い値としてコード位相同期確立動作を再実行させることにより、誤ったチップ位置でコード位相同期を確立してしまったために生じる異常測位解や、他のGPS衛星に係る受信信号との間でコード位相同期を誤って確立してしまった場合に生じる異常測位解を排除し、正確な測位結果を得ることができる。また、異常測位解を検出していないときには相関判定しきい値Lthを下げるようにしているため、弱信号をも捕捉できる。
【0024】
異常測位解検出部20eにより採用し得る異常測位解検出論理としては、少なくとも、次のものを掲げることができる。
【0025】
まず、GPS受信機を移動体に搭載している場合、通常はその移動体がとり得る速度に上限があることから、測位演算部20cによって得られる測位結果がその移動体では実現し得ない或いは実現困難な高い速度を示している場合に、これを異常測位解として扱うことができる。本願では、このような論理による異常測位解の検出を移動枠と呼ぶ。例えば、図4に示すように、時刻t=t1における測位出力が位置P=P1を示していたとする。また、時刻t=t2における測位出力が位置P=P2を示していたとする。この場合に|(P2−P1)/(t2−t1)|>Vmaxであれば、時刻t=t2における測位出力たる位置P=P2は異常測位解であると認定することができる。そこで、位置P2を導出するのに使用した各GPS衛星に係る相関判定しきい値Lthを上げる。なお、この式におけるVmaxは搭載先の移動体により実現し得る最高の速度である。搭載先移動体が車両であれば、例えば、360km/h=100m/sとする。また、測位処理を周期的に実行している場合には、上式の左辺から時間による除算を取り除き右辺を最高速度Vmaxから最大位置変化へと置き換え、測位実行周期における位置変化と最大位置変化との比較としてもよい。更に、GPS衛星からの信号に現れているドプラ変移を検出し、その結果得られる移動速度を単位時間あたりの位置変化と比較して異常測位解を検出することが可能である。
【0026】
また、移動枠の例外をなす処理として、電源オン枠処理を掲げることができる。これは、移動枠に係る判定動作にて異常測位解との判定が連続してNmax回(Nmax:2以上の自然数)繰り返して生じた場合に、GPS受信機の電源がオフしている間に搭載先移動体が高速で運搬されたものと見なし、異常測位解ではないものとして扱う処理である。例えば、搭載先の移動体が車両であり、航空機等の高速移動体により運搬された場合には、運搬に要する時間が短い割に運搬による移動距離が大きいため、移動枠に係る処理では、その車両を走行させたのでは実現され得ない単位時間当たり移動距離であるので異常測位解である、と判定されてしまう。電源オン枠に係る処理機能を搭載していれば、移動枠に係る処理によって異常測位解と見なされてしまうことが少なくなる。
【0027】
異常測位解を検出するための処理としては、更に、地域枠なる処理がある。この処理は、そのGPS受信機又は搭載先移動体の使用予定地域が予め想定されている場合に、その使用予定地域外の位置を示す測位結果が得られたとき、その測位結果を異常測位解として扱う処理である。例えば、日本国内仕様の車両にGPS受信機を搭載するのであれば、使用予定地域として日本国内が想定されているといえる。そのとき、図5に示すように日本国外を示す測位結果が得られたなら、地域枠に係る処理により、これを異常測位解として扱うこととする。また、搭載先移動体が陸上車両であるのに遠洋上を示す測位結果が得られているとき等も、地域枠により異常測位解として扱うこととする。搭載先移動体が船舶であるのに大陸上を示す測位結果が得られたときはこれを異常測位解とする。異常測位解の導出に使用されたGPS衛星については相関判定しきい値Lthを高くする。このように、GPS受信機や移動体の使用環境との矛盾の検出によっても、異常測位解を検出できる。
【0028】
異常測位解の検出処理としては、更に、高度枠がある。即ち、GPS受信機における測位結果としては高度又は深度に係る情報を得ることができ、また搭載先移動体が到達しうる高度又は深度はその移動体の種類等に応じた限界を有しているため、当該限界を越えた高度が測位により得られているときにそれを異常測位解として検出することができる。そのための処理機能を高度枠と呼ぶ。例えば、搭載先の移動体が陸上車両であるにもかかわらず高度10000mという測位結果が得られている場合には、その測位結果を異常測位解として扱う。同様に、深海用舟艇でもないのに深度10000mという測位結果が得られている場合には、その測位結果を異常測位解として扱う(図6参照)。異常測位解の導出に使用されたGPS衛星については相関判定しきい値Lthを高くする。
【0029】
異常測位解を検出するための処理として、更に、擬似距離残差チェックをあげることができる。まず、GPS衛星からの信号の送信時刻とGPS受信機における信号の受信時刻との差は、GPS衛星からGPS受信機までの信号伝搬に要する時間を表している。従って、この時間に光速を乗ずることにより、GPS衛星からGPS受信機までの距離を得ることができる。送信時刻及び受信時刻のうち送信時刻はGPS衛星からデータとして送信されるものであり、GPS衛星に搭載されているクロックが非常に高精度であることから、高い精度で得ることができる。しかしながら、受信時刻はGPS受信機にて発生させるクロックに基づく情報であり、このクロックがさほど正確ではないことから、GPS受信機における各GPS衛星からの信号の「受信時刻」を与える情報は、各GPS衛星に共通した一律の誤差成分を有している。これを、そのGPS受信機における共通オフセットと呼ぶ。更に、GPS受信機における「受信時刻」には、ノイズ等による誤差も含まれている。そのため、GPS受信機にて求められる擬似距離には、各GPS衛星に共通する共通オフセットに加え、ノイズ等による個別の誤差が含まれることとなる(図7参照)。これら、共通オフセットとノイズ等による誤差を加算して(又は更にこれを擬似距離で除して)得られる誤差(率)を、擬似距離残差と呼ぶ。擬似距離残差チェックは、測位に使用しているGPS衛星間でこの擬似距離残差を比較し、その結果GPS衛星間における擬似距離残差の相違が所定限度以上であることを以て、異常測位解と判定する処理である。異常測位解の導出に使用されたGPS衛星については相関判定しきい値Lthを高くする。このように、測位結果とGPS衛星の位置関係の矛盾を利用して異常測位解を検出することもできる。なお、疑似距離残差チェックについては、特開平11−83978号公報等をも参照されたい。
【0030】
異常測位解を検出する更に他の方法としては、RAIMなる処理がある。RAIMは、複数通りの測位結果を相互比較し、その間の矛盾を検出したときに異常測位解と見なし、異常測位解の導出に使用されたGPS衛星について相関判定しきい値Lthを高くする処理である。例えば、図8に示すように、4個のGPS衛星SV1〜SV4を選択して測位処理を行い、ある測位結果を得たとする。同時に、他の組み合わせ例えばGPS衛星SV2〜SV5の組み合わせを用いて測位処理を行い、もう一つの測位結果を得たとする。GPS衛星SV1〜SV5の全てについて正確にコード位相同期を確立して正しくデータを復調したのであれば、両測位結果の間には、顕著な相違は表れない。しかし、いずれかのGPS衛星について正確なコード位相同期を確立していないときには、無視し得ない相違が現れるであろう。RAIMを用いた異常測位解検出においては、このように複数通りの測位結果を得ておき、それらの間に所定限度以上の差があった場合に、異常測位解との判定を下す。なお、上述のように三次元測位に際しては4個のGPS衛星を捕捉・追尾することができればよい一方、5個のGPS衛星を同時に捕捉・追尾している状態であれば4衛星の組合せを合計5通り設定することができるため、測位結果を原理上は5通り得ることができる。従って、上述のような測位結果間の比較を容易に実行することができる。
【0031】
なお、特開平7−140224号公報には相関判定しきい値の可変制御・衛星毎設定に関する記載があるが、これは測位結果ではなく仰角に応じた設定である。また、相関判定しきい値をノイズレベルより高く設定する旨の記載があることからすれば、相関判定しきい値を低くして弱信号を捕捉できるようにする点については示唆すら有していないと認めるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態における処理制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図2】 コード位相推定部の動作及び効果を示す概念図である。
【図3】 異常測位解検出部の動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】 移動枠及び電源オン枠の処理内容を示す概念図である。
【図5】 地域枠の処理内容を示す概念図である。
【図6】 高度枠の処理内容を示す概念図である。
【図7】 擬似距離残差チェックの処理内容を示す概念図である。
【図8】 RAIMの処理内容を示す概念図である。
【図9】 GPS受信機の構成を示すブロック図である。
【図10】 相関ピーク検出動作を示す図であり、特に(a)は相関値と相関判定しきい値の関係を、(b)はGPS受信機内で発生させるスペクトル逆拡散コードを、(c)はスペクトル逆拡散コードとコード位相同期している状態におけるC/Aコードを、(d)はそうでない状況におけるC/Aコードを、(e)は他のGPS衛星に係るC/Aコードをそれぞれ示す図である。
【図11】 弱信号時の相関ピークを示す図である。
【符号の説明】
10 相関器、12 コード発生器、14 復調器、20 処理制御部、20a 衛星選択部、20b キャリア・コード制御部、20c 測位演算部、20d コード位相推定部、20e 異常測位解検出部、20f タイマ、20g メモリ、Lth 相関判定しきい値。
Claims (3)
- 所要個数以上の測位衛星を選び、選んだ測位衛星からの受信信号に対しスペクトル逆拡散コードとの相関判定を通じてコード位相同期を確立し、コード位相同期が確立された受信信号を復調して得られるデータ及びコード位相同期確立時のコード位相に基づき、現在位置を含む測位結果を導出する測位方法において、
コード位相同期が正確に確立されているか否かを測位結果に基づき判定し、
コード位相同期が正確に確立されていると判定された場合は比較的低くなり、そうでないと判定された場合は比較的高くなるよう、上記相関判定に用いる相関判定しきい値を上記判定の結果に応じて適応設定することを特徴とする測位方法。 - 請求項1記載の測位方法であって、移動体上に搭載された測位装置により実行される測位方法において、
測位結果が、搭載先の移動体では実現し得ない若しくは実現される可能性が低い物理的状態、その移動体に関し予定されていない使用環境、その測位結果を導出するために用いた測位衛星との位置関係に関する矛盾、又は別途実行された処理の結果に対する矛盾を示している場合に、コード位相同期が正確に確立されていないと判定することを特徴とする測位方法。 - 請求項1又は2記載の測位方法において、
現在又は近い将来にてコード位相同期が確立される確率が高いコード位相を、それ以前におけるコード位相同期の確立状況に基づき、測位衛星毎に推定し、
現在又は近い将来にてコード位相同期が確立される確率が高いコード位相に関しては他のコード位相よりも低くなるよう、相関判定しきい値を上記推定の結果に応じて適応設定することを特徴とする測位方法。
Priority Applications (1)
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Publications (2)
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