JP4467876B2 - 発光装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光又は燐光が得られる発光素子を備えた発光装置に関する。特に本発明は、各画素に絶縁ゲート型トランジスタ又は薄膜トランジスタ等の能動素子と、それに接続する発光素子が設けられた発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶を用いた表示装置は、その代表的な形態としてバックライト又はフロントライトが用いられ、その光により画像を表示する仕組である。液晶表示装置は様々な電子装置における画像表示手段として採用されているが、視野角が狭いといった構造上に欠点を有していた。それに対し、エレクトロルミネセンスが得られる発光体を表示手段として用いた表示装置は視野角が広く、視認性も優れることから次世代の表示装置として注目されている。
【0003】
発光体に有機化合物を用いた発光素子(以下、有機発光素子という)の構造は、陰極と陽極との間に有機化合物で形成される正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等を適宣組み合わせた構造となっている。ここでは、正孔注入層と正孔輸送層とを区別して表記しているが、これらは正孔輸送性(正孔移動度)が特に重要な特性である意味において同じである。便宜上区別するために、正孔注入層は陽極に接する側の層であり、発光層に接する側の層は正孔輸送層と呼んでいる。また、陰極に接する層を電子注入層と呼び、発光層に接する側の層を電子輸送層と呼んでいる。発光層は電子輸送層を兼ねる場合もあり、発光性電子輸送層とも呼ばれる。
【0004】
エレクトロルミネッセンスによる発光機構は、陰極から注入された電子と、陽極から注入された正孔が発光体で成る層(発光層)で再結合して励起子を形成し、その励起子が基底状態に戻る時に光を放出する現象として考えられている。エレクトロルミネッセンスには蛍光と燐光とがあり、それらは励起状態における一重項状態からの発光(蛍光)と、三重項状態からの発光(燐光)として理解されている。発光による輝度は数千〜数万cd/m2におよぶことから、原理的に表示装置等への応用が可能であると考えられている。しかし、その一方で種々の劣化現象が存在し、実用化を妨げる問題として残っている。
【0005】
有機発光素子を形成するための有機化合物は、低分子系有機化合物と高分子系有機化合物の両者が知られている。低分子系有機化合物の一例は、正孔注入層として銅フタロシアニン(CuPc)芳香族アミン系材料であるα−NPD(4,4'-ビス-[N-(ナフチル)-N-フェニル-アミノ]ビフェニル)やMTDATA(4,4',4"-トリス(N-3-メチルフェニル-N-フェニル-アミノ)トリフェニルアミン)、発光層としてトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)等が知られている。高分子有機発光材料では、ポリアニリンやポリチオフェン誘導体(PEDOT)等が知られている。
【0006】
材料の多様性という観点からは、蒸着法で作製される低分子系有機化合物は高分子系有機系材料と比較して格段の多様性があるとされている。しかし、いずれにしても純粋に基本構成単位のみからできている有機化合物は希であり、異種の結合、不純物が製造過程で混入し、また顔料等種々の添加剤が加えられていることもある。また、これらの材料の中には水分により劣化する材料、酸化されやすい材料等が含まれている。水分や酸素等は大気中から容易に混入可能であり取り扱いには注意を要している。
【0007】
薄膜トランジスタ(TFT)と発光素子との組み合わせの一例として、多結晶シリコンを用いたTFTの上層に二酸化シリコンから成る絶縁膜を介して有機エレクトロルミネセンス層が形成された構成が開示されている(特許文献1参照)。また、陽極上にテーパー形状に加工された端部を有するパッシベーション層は、有機エレクトロルミネセンス層の下層側に位置している。また、陰極は仕事関数が4eVより低い材料が選択され、銀又はアルミニウムのような金属とマグネシウム合金化したものが適用される。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−241047号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ダイオードのように半導体接合を有する半導体素子において、酸素を起因とする不純物は禁制帯中に局在準位を形成し、接合リークやキャリアのライフタイムを低下させる要因となり、半導体素子の特性を著しく低下させることが知られている。
【0010】
有機発光素子の劣化の要因としては、(1)有機化合物の化学的な変化、(2)駆動時の発熱による有機化合物の溶融、(3)マクロな欠陥に由来する絶縁破壊(4)電極又は電極と有機化合物層界面の劣化、(5)有機化合物の非晶質構造における不安定性に起因する劣化、(6)素子構造に起因する応力又は歪みによる不可逆的な破壊、の6種類が考えられる。
【0011】
上記(1)は励起状態を経た化学変化や、有機化合物に対し腐食性のあるガス又は蒸気による化学変化等が原因である。(2)と(3)は有機発光素子を駆動することにより劣化するものである。発熱は素子内の電流がジュール熱に変換されることにより必然的に発生する。有機化合物の融点又はガラス転移温度が低いと溶融するし、ピンホールや亀裂の存在によりその部分に電界が集中して絶縁破壊が起こる。(4)と(5)は室温で保存しても劣化が進行する。(4)はダークスポットとして知られ、陰極の酸化や水分との反応が原因である。(5)は有機発光素子に用いる有機化合物はいずれも非晶質材料であり、長期保存や経時変化、発熱により結晶化し、非晶質構造を安定に保存できるものは殆どないと考えられている。また、(6)は構成部材の熱膨張係数の差により発生する歪みにより被膜の亀裂や破断といった不良が発生する。さらにその部分からダークスポット等の進行性不良が発生する。
【0012】
ダークスポットは封止技術の向上によりかなり抑制されてきたが、実際の劣化は上記の要因が複合して発生するものであり、その防止策を困難なものとしている。典型的な封止技術は、基板上に形成された有機発光素子を封止材で密閉し、その空間に酸化バリウム等の乾燥剤を設ける方法が考案されている。
【0013】
有機化合物は光劣化により化学結合は二重結合を形成し、酸素を含んだ構造(−OH、−OOH、>C=O、−COOH等)に変化することが知られている。従って、酸素を含む雰囲気中に有機化合物を置いた場合、又は有機合物中に酸素や水分を不純物として含む場合には、結合状態が変化して劣化が促進すると考えられる。
【0014】
図17は、二次イオン質量分離法(SIMS)で測定される有機発光素子における酸素(O)、窒素(N)、水素(H)、珪素(Si)、銅(Cu)の深さ方向分布を示すグラフである。測定に用いた試料の構造は、トリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)/カルバゾール系材料(Ir(ppy)3+CBP)/銅フタロシアニン(CuPc)/酸化物導電性材料(ITO)/ガラス基板である。Alq3には以下の化学式(化1)で示すように分子中に酸素が含まれている。
【0015】
【化1】
Figure 0004467876
【0016】
一方、以下の化学式(化2、化3)で示すIr(ppy)3+CBPとCuPcには分子中には酸素は含まれない構造となっている。
【0017】
【化2】
Figure 0004467876
【0018】
【化3】
Figure 0004467876
【0019】
酸素分子は、分子軌道の最高被占有準位(HOMO)が縮重しているので、基底状態で三重項状態の特異な分子である。通常、三重項から一重項の励起過程は禁制遷移(スピン禁制)となるため起こりにくく、そのため一重項状態の酸素分子は発生しない。しかしながら、酸素分子の周囲に一重項状態よりも高いエネルギー状態の三重項状励起状態の分子(3M*)が存在すると、以下のようなエネルギー移動が起こることにより、一重項状態の酸素分子が発生する反応を導くことができる。
【0020】
【式1】
Figure 0004467876
【0021】
有機発光素子の発光層における分子の励起状態の内75%は三重項状態であると言われている。従って、有機発光素子内に酸素分子が混入している場合、式1のエネルギー移動により一重項状態の酸素分子が発生し得る。一重項励起状態の酸素分子はイオン的(電荷に偏りがある)性質を有するため、有機化合物に生じている電荷の偏りと反応する可能性が考えられる。
【0022】
例えば、バソキュプロイン(以下、BCPと記している)においてメチル基は電子供与性であるため共役環に直接結合している炭素は正に帯電する。下記(化4)で示すようにイオン的性質を有する一重項酸素が正に帯電する炭素があると反応して、下記(化5)で示すようにカルボン酸と水素ができる可能性がある。その結果、電子輸送性が低下することが予想される。
【0023】
【化4】
Figure 0004467876
【0024】
【化5】
Figure 0004467876
【0025】
一方、半導体を活性層として用いるTFTは、有機発光素子の陰極材料として用いられるアルカリ金属やアルカリ土類金属により破壊されてしまう。即ち、これらの可動イオンがゲート絶縁膜や活性層中に混入することによりスイッチング動作をすることが不能となってしまう。半導体の製造プロセスでは、これらの金属不純物濃度を109atoms/cm2程度まで低減するように要求されている。
【0026】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、TFTと有機発光素子を組み合わせて構成される発光装置の信頼性を向上させることを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明は発光装置の劣化を防止するために、有機発光素子を形成する有機化合物中に含まれる酸素、水分等の酸素を含む不純物を低減すると共に、外部から水分や酸素が侵入するのを防ぎ、且つそれらの不純物が有機化合物層を囲む構成部材が拡散源となって汚染しない構造を提供する。勿論、外部から水分や酸素が侵入しない構成とする。酸素、水素等は有機化合物の構成元素として含まれているが、本発明において有機化合物に対する不純物とは、本来の分子構造に含まれない外因性の不純物をいう。こうした不純物は原子状、分子状、遊離基、オリゴマーとして有機化合物中に存在していると推定している。
【0028】
さらに、本発明は、アクティブマトリクス駆動をする発光装置において、ナトリウム、リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属がTFTを汚染してしきい値電圧の変動等を防ぐための構造を有していることを特徴としている。
【0029】
本発明はかかる不純物を除去し、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等有機発光素子を形成するために用いられる有機化合物から成る層に含まれる当該不純物濃度を、その平均濃度において5×1019/cm2以下、好ましくは1×1019/cm2以下に低減する。特に、発光層及びその近傍の酸素濃度を低減することが要求される。有機化合物層には、フタロシアニン系又は芳香族アミン系の正孔注入層又は正孔輸送層と、カルバゾール系発光層等が含まれる。
【0030】
有機発光素子が1000Cd/cm2の輝度で発光するとき、それを光子に換算すると1016個/sec・cm2の放出量に相当する。有機発光素子の量子効率を1%と仮定すると、必要な電流密度は100mA/cm2が要求される。非晶質半導体を用いた太陽電池やフォトダイオード等半導体素子を基にした経験則に従えば、この程度の電流が流れる素子において良好な特性を得るためには、欠陥準位密度を1016個/cm3以下にする必要がある。その値を実現するたには、欠陥準位を形成する悪性の不純物元素の濃度を上記の様に5×1019/cm2以下、好ましくは1×1019/cm2以下に低減する必要がある。
【0031】
有機発光素子で画素部を形成し、当該画素の各画素を能動素子により制御するアクティブマトリクス駆動方式では、その構造として、基板上に半導体膜、ゲート絶縁膜、ゲート電極を有するTFTが形成され、その上層に有機発光素子が形成されている。用いる基板の代表例はガラス基板であり、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノシリケートガラスには微量のアルカリ金属が含まれている。半導体膜は下層側のガラス基板と上層側の有機発光素子からのアルカリ金属による汚染を防止するために、窒化珪素、酸化窒化珪素で被覆する。
【0032】
一方、平坦化した表面に形成することが望ましい有機発光素子は、ポリイミドやアクリル等有機樹脂材料から成る平坦化膜上に形成する。しかし、このような有機樹脂材料は吸湿性がある。酸素や水分で劣化する有機発光素子はガスバリア性のある窒化珪素、酸化窒化珪素、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒化炭素(CN)、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムから選ばれた無機絶縁膜で被覆する。これらの無機絶縁膜は、陰極材料として適用されるアルカリ金属又はアルカリ土類金属がTFT側へ拡散することを防止する効果もある。また、画素部に設ける隔壁層も同様な材料で形成する。
【0033】
図10は本発明のアクティブマトリクス駆動方式の発光装置の概念を説明する図である。発光装置1200の構成要素として、TFT1201と有機発光素子1202が同一の基板1203に形成されている。TFT1201の構成要素は半導体膜、ゲート絶縁膜、ゲート電極等であり、含まれる元素として珪素、水素、酸素、窒素、その他ゲート電極を形成する金属等がある。一方有機発光素子1202は有機化合物材料の主たる構成要素の炭素の他に、リチウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類が元素として含まれている。
【0034】
TFT1201の下層側(基板1203側)には、ブロッキング層として機能する第1絶縁膜1205が形成されている。第1絶縁膜1205としては、水素を含有する窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜等が適している。その反対の上層側には保護膜として第2絶縁膜1206が形成される。第2絶縁膜1206はやはり水素を含有する窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜等が適している。
【0035】
一方、有機発光素子1202の下層側にはバリア膜として機能する第3絶縁膜1207が形成される。第3絶縁膜1207としては、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム等の無機絶縁膜で形成する。これらは、緻密に形成するために膜中に含有する水素濃度を1原子%以下に低減しておくことが望ましい。有機発光素子1202の上層側に形成する第4絶縁膜1208、隔壁層1209も同様の無機絶縁膜を用いて形成する。
【0036】
第2絶縁膜1206と第3絶縁膜1207との間には、有機樹脂層間絶縁膜1204が形成され一体化されている。TFT1201が最も嫌うナトリウム等のアルカリ金属は、第1絶縁膜1205、第2絶縁膜1206で遮蔽している。またこれらはTFTの構成部材である半導体膜の欠陥を補償する水素の供給源ともなっている。一方、有機発光素子1202は酸素や水分を最も嫌うため、それらから遮蔽する目的で第3絶縁膜1207、第4絶縁膜1208、隔壁層1209が形成されている。また、これらは有機発光素子1202が有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属元素の拡散を防止し、外に出さないための機能も有している。
【0037】
本発明の発光装置の構成は、窒化珪素又は酸化窒化珪素で形成された第1絶縁膜と第2絶縁膜と、第1絶縁膜と第2絶縁膜との間に半導体層とゲート絶縁膜とゲート電極が設けられ、窒化物で成る無機絶縁物材料で形成された第3絶縁膜、第4絶縁膜及び隔壁層と、第3絶縁膜、第4絶縁膜及び隔壁層とに囲まれて形成された有機化合物層と有機化合物層に接して形成された陰極とを有している。
【0038】
また、他の構成は、窒化珪素又は酸化窒化珪素で形成された第1絶縁膜と第2絶縁膜と、第1絶縁膜と第2絶縁膜との間に薄膜トランジスタの半導体層とゲート絶縁膜とゲート電極が設けられ、窒化物で成る無機絶縁物材料で形成された第3絶縁膜、第4絶縁膜及び隔壁層と、第3絶縁膜、第4絶縁膜及び隔壁層とに囲まれて有機発光素子の有機化合物層と有機化合物層に接して形成された陰極とを有している。
【0039】
上記構成において、第1絶縁膜〜第4絶縁膜及び隔壁層のそれぞれは、その作製方法に特別な限定はない。しかしながら、特に好ましい形態として、第1絶縁膜及び第2絶縁膜はプラズマCVD法等化学的気相成長法で形成し、第3絶縁膜、第4絶縁膜及び隔壁層はスパッタリング法等物理的成膜法で緻密で密着性の良い膜で形成することが望ましい。特に、高周波スパッタリングで形成される無機絶縁膜が適している。具体的には、シリコンをターゲットとした高周波スパッタリング法により作製される窒化珪素が適している。この時、ブロッキング性を高めるために、酸素及び水素含有量は10原子%以下、好ましくは1原子%以下とすることが望ましい。また、他の材料として窒化アルミニウム又は窒化酸化アルミニウムも適用できる。
【0040】
上記した本発明の構成において、第2絶縁膜と第3絶縁膜との間に有機樹脂層間絶縁膜が形成され、当該層間絶縁膜は平坦化膜として用いられている構成が適用される。
【0041】
このようにTFTと有機発光素子を組み合わせて構成される発光装置は、不純物汚染に対する相反する性質を満足させるために、酸素、水分に対するブロッキング性を有する絶縁膜を巧みに組み合わせて形成することで不純物の相互汚染による劣化を防止する。
【0042】
尚、本明細書において発光装置とは、上記発光体を用いた装置全般を指して言う。また、陽極と陰極の間に発光体を含む層を有する素子(以下、発光素子と呼ぶ)にTAB(Tape Automated Bonding)テープ若しくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線基板が設けられたモジュール、又は、発光素子が形成されている基板にCOG(Chip On Glass)方式によりICが実装されたモジュールも全て発光装置の範疇に含むものとする。また、本明細書でいう不純物元素としての酸素濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS)で測定される最低濃度を指していう。
【0043】
【発明の実施の形態】
有機化合物に含まれる酸素、水分等の不純物濃度を低減することが可能な発光装置の製造装置の一例について図1を用いて説明する。図1は、有機化合物から成る層や陰極の形成及び封止を行う装置を示している。搬送室101は、ロード室104、前処理室105、中間室106、成膜室(A)〜成膜室(C)107〜109とゲート100a〜100fを介して連結されている。前処理室105は被処理基板の脱水又は脱ガス処理や表面改質を目的として設けられ、真空中での加熱処理や不活性ガスを用いたプラズマ処理が可能となっている。
【0044】
成膜室(A)107は蒸着法により主に低分子の有機化合物からなる被膜を形成するための処理室であり、成膜室(B)108は蒸着法によりアルカリ金属を含む陰極を蒸着法により成膜するための処理室であり、成膜室(C)109は基板温度を室温として高周波スパッタリング法によりパッシベーション膜となる窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜等を成膜する処理室である。成膜室(A)107と成膜室(B)108には蒸発源に蒸着用材料を装填する材料交換室112、113がゲート100h、100iを介して接続されている。材料交換室112、113は、成膜室(A)107、成膜室(B)108を大気開放することなく蒸着用材料を充填するために用いる。
【0045】
被膜を堆積する基板103はロード室104に装着され、搬送室101にある搬送機構(A)102により前処理室や各成膜室に移動する。ロード室104、搬送室101、前処理室105、中間室106、成膜室(A)107〜成膜室(C)109、材料交換室112、113は排気手段により減圧状態に保たれている。排気手段は大気圧から1Pa程度をオイルフリーのドライポンプで真空排気し、それ以上の圧力はターボ分子ポンプ又は複合分子ポンプにより真空排気する。成膜室には水分を除去するためにクライオポンプを併設しても良い。こうして排気手段からの油蒸気の逆拡散を防止して有機化合物層の純度を高める。
【0046】
これら真空排気される部屋の内壁面は、電解研磨により鏡面処理し、表面積を減らしてガス放出を防いでいる。材質はステンレス鋼又はアルミニウムを用いる。内壁からのガス放出を低減するという目的においては成膜室の外側にはヒーターを設けてベーキング処理を行うことが望ましい。ベーキング処理によりガス放出はかなり低減できる。さらにガス放出による不純物汚染を防止するには、蒸着時に冷媒を用いて冷却すると良い。こうして、1×10-6Paまでの真空度を実現する。
【0047】
中間室106はスピナー111が備えられた塗布室110とゲート100gを介して接続されている。塗布室110では主に高分子材料から成る有機化合物の被膜をスピンコート法で形成するための処理室であり大気圧でこの処理は行われる。そのため、基板の搬出と搬入は中間室106を介して行い、基板が移動する側の部屋と同じ圧力に調節することにより行う。塗布室に供給する高分子系有機材料は、透析法、電気透析法、高速液体クロマトグラフで精製して供給する。精製は供給口で行う。
【0048】
成膜室に導入する基板の前処理は、前処理室105において加熱によるガス放出処理とアルゴンプラズマによる表面処理を行い、基板から放出される不純物を十分低減する。基板から放出される不純物は、表面に吸着した大気成分、水分、有機物等であり、前処理室105で基板を加熱して脱気処理を行うか、又はプラズマ処理を行い表面を緻密化することで汚染を低減させる。反応室に導入する窒素ガスやアルゴンガスは、ゲッター材を用いた精製手段で精製する。
【0049】
蒸着法は抵抗加熱型であるが、高精度に温度制御し、蒸発量を制御するためにクヌーセンセルを用いても良い。蒸着用材料は反応室に付随する専用の材料交換室から導入する。こうして、反応室の大気開放を極力さける。成膜室を大気開放することにより、内壁には水分をはじめ様々なガスが吸着し、これが真空排気をすることにより再度放出される。吸着したガスの放出が収まり真空度が平衡値に安定するまでの時間は、数〜数百時間を要する。有効な対策として成膜室の壁をベーキング処理してその時間を短縮させている。しかし、繰り返し大気開放することは効率的な手法ではないので、図1に示すように専用の材料交換室を設けることが望ましい。蒸発源は有機物材料が主であるが、蒸着前に反応室内部で昇華精製を行う。また、帯域溶融法を使って精製しても良い。
【0050】
一方、ロード室104で区切られた封止室115は、陰極の形成まで終了した基板を大気に曝すことなく封止材で封止するための加工を行う。封止材を紫外線硬化樹脂で固定する場合には、紫外線照射機構116を用いる。受渡室117には搬送機構(B)118が設けられ、封止室115で封止まで終了した基板を保存しておく。
【0051】
図2は搬送室101、前処理室105、成膜室(A)107の詳細な構成を説明する図である。搬送室101には搬送機構102が設けられている。搬送室101の排気手段は、複合分子ポンプ又はターボ分子ポンプ207aとドライポンプ208aで行う。前処理室105と成膜室107はそれぞれゲート100b、100dで搬送室101と連結されている。前処理室105には、放電用電極201とそれに接続する高周波電源202が設けられ、基板103は基板加熱手段214が備えられた対向電極に保持される。基板103又はその上の構造物に吸着した水分等の不純物は、基板加熱手段214により50〜120℃程度の温度で真空中又は減圧下で加熱することにより脱離させることができる。前処理室105に接続するガス導入手段はシリンダー216a、流量調節器216b、ゲッター材等による精製器203から成っている。
【0052】
プラズマによる表面処理はヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオン等の不活性ガス、又は不活性ガスと水素を混合したガスを精製器203により精製し、高周波電力を印加してプラズマ化した雰囲気中に基板を曝すことにより行う。用いるガスの純度はCH4、CO、CO2、H2O、O2の濃度のそれぞれが2ppm以下、好ましくは1ppm以下とすることが望ましい。
【0053】
排気手段は、ターボ分子ポンプ207bとドライポンプ208bにより行う。表面処理時における前処理室105内の圧力制御は排気手段に備えられた制御弁により排気速度をコントロールして行う。
【0054】
成膜室107は蒸発源211、吸着板212、シャッター218、シャドーマスク217が備えられている。基板103はシャドーマスク217上に保持されている。シャッター218は開閉式に、蒸着時に開く。蒸発源211及び吸着板212は温度が制御されるものであり、加熱手段213d、213eとそれぞれ接続している。排気系はターボ分子ポンプ207cとドライポンプ208cであり、さらにクライオポンプ209を加えて、成膜室内の残留水分を除去することを可能としている。成膜室はベーキング処理を行い成膜室の内壁からのガス放出量を低減することが可能となっている。ベーキング処理は50〜120℃程度に成膜室を加熱しながらターボ分子ポンプ又はクライオポンプが接続された排気系で真空排気をする。その後、反応室を室温又は、冷媒により液体窒素温度程度にまで冷却することにより1×10-6Pa程度まで真空排気することを可能としている。
【0055】
ゲート100hで区切られた材料交換室112には蒸発源210、211が備えられて、加熱手段213a、213bにより温度が制御される仕組みとなっている。排気系には、ターボ分子ポンプ207dとドライポンプ208dを用いる。蒸発源219は材料交換室112と成膜室107との間を移動可能であり、供給する蒸着用材料の精製を行う手段として用いる。
【0056】
蒸着用材料の精製方法に限定はないが、製造装置内においてその場で行うには昇華精製法を採用することが好ましい。勿論、その他にもゾーン精製法を行っても良い。
【0057】
図1と図2を用いて説明した製造装置を用いて作製される有機発光素子は、その構造に限定される事項はない。有機発光素子は透光性の導電膜から成る陽極と、アルカリ金属を含む陰極と、その間に有機化合物から成る層をもって形成される。有機化合物から成る層は一層又は複数の層が積層されて形成されている。各層はその目的と機能により、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等と区別して呼ばれている。これらは、低分子系有機化合物材料、中分子系有機化合物材料、又は高分子系有機化合物材料のいずれか、或いは、両者を適宣組み合わせて形成することが可能である。また、電子輸送性材料と正孔輸送性材料を適宜混合させた混合層、又はそれぞれの接合界面に混合領域を形成した混合接合を形成しても良い。
【0058】
正孔注入層や正孔輸送層は、正孔の輸送特性に優れる有機化合物材料が選択され、代表的にはフタロシアニン系や芳香族アミン系の材料が採用される。また、電子注入層には電子輸送性の優れる金属鎖体等が用いられている。
【0059】
図5に有機発光素子の構造の一例を示す。図5(A)は低分子有機化合物による有機発光素子の一例であり、酸化インジウム・スズ(ITO)で形成される陽極300、銅フタロシアニン(CuPc)で形成される正孔注入層301、芳香族アミン系材料であるMTDATA及びα−NPDで形成される正孔輸送層302、303、トリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)で形成される電子注入層兼発光層304、イッテルビウム(Yb)から成る陰極305が積層されている。Alq3は一重項励起状態からの発光(蛍光)を可能としている。また、陽極300の端部をおおう隔壁層330が窒化珪素等の無機絶縁材料で形成されている。
【0060】
輝度を高めるには三重項励起状態からの発光(燐光)を利用することが好ましい。図5(B)にそのような素子構造の一例を示す。ITOで形成される陽極310、フタロシアニン系材料であるCuPcで形成される正孔注入層311、芳香族アミン系材料であるα−NPDで形成される正孔輸送層312上にカルバゾール系のCBP+Ir(ppy)3を用いて発光層313を形成している。さらにバソキュプロイン(BCP)を用いて正孔ブロック層314を形成し、Alq3による電子注入層315、イッテルビウム(Yb)又はリチウム等のアルカリ金属を含む陰極316が形成された構造を有している。また、陽極310の端部をおおう隔壁層331が窒化珪素等の無機絶縁材料で形成されている。
【0061】
上記二つの構造は低分子系有機化合物を用いた例であるが、高分子系有機化合物と低分子系有機化合物を組み合わせた有機発光素子を実現することができる。図5(C)はその一例であり、ITOで形成される陽極上320上に高分子系有機化合物のポリチオフェン誘導体(PEDOT)により正孔注入層321を形成し、α−NPDによる正孔輸送層322、CBP+Ir(ppy)3による発光層323、BCPによる正孔ブロック層324、Alq3による電子注入層325、イッテルビウム(Yb)又はリチウム等のアルカリ金属を含む陰極326が形成されている。正孔注入層をPEDOTに変えることにより、正孔注入特性が改善され、発光効率を向上させることができる。また、陽極320の端部をおおう隔壁層332が窒化珪素等の無機絶縁材料で形成されている。
【0062】
発光層として用いたカルバゾール系のCBP+Ir(ppy)3は三重項励起状態からの発光(燐光)を得ることができる有機化合物である。トリプレット化合物は、としては以下の論文に記載の有機化合物が代表的な材料として挙げられる。(1)T.Tsutsui, C.Adachi, S.Saito, Photochemical Processes in Organized Molecular Systems, ed.K.Honda, (Elsevier Sci.Pub., Tokyo,1991) p.437.(2)M.A.Baldo, D.F.O'Brien, Y.You, A.Shoustikov, S.Sibley, M.E.Thompson, S.R.Forrest, Nature 395 (1998) p.151.この論文には次の式で示される有機化合物が開示されている。(3)M.A.Baldo, S.Lamansky, P.E.Burrrows, M.E.Thompson, S.R.Forrest, Appl.Phys.Lett.,75 (1999) p.4.(4)T.Tsutsui, M.-J.Yang, M.Yahiro, K.Nakamura, T.Watanabe, T.tsuji, Y.Fukuda, T.Wakimoto, S.Mayaguchi, Jpn.Appl.Phys., 38 (12B) (1999) L1502.
【0063】
いずれにしても、三重項励起状態からの発光(燐光)は、一重項励起状態からの発光(蛍光)よりも発光効率が高く、同じ発光輝度を得るにも動作電圧(有機発光素子を発光させるに要する電圧)を低くすることが可能である。
【0064】
フタロシアニン系のCuPc、芳香族アミン系のα−NPD、MTDATA、カルバゾール系のCBP等はいずれも分子に酸素が含まれない有機化合物である。このような有機化合物中に酸素又は水分が混入することにより、化学式化4と化5を用いて説明したような結合状態の変化が起こり、正孔輸送特性や発光特性を劣化させる。このような有機化合物の層の形成において、図1と図2を用いて説明した製造装置を採用する。そのことにより、発光素子中の酸素濃度を1×1019/cm3以下、或いは、フタロシアニン系又は芳香族アミン系の正孔注入層又は正孔輸送層、カルバゾール系発光層を有する有機発光素子において、正孔注入層又は正孔輸送層の酸素濃度を1×1019/cm3以下にすることができる。
【0065】
なお、図5では示さないが発光層、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層などの層を形成する材料の界面、又は複数の層の材料が混合した形態とすることもできる。有機化合物層は、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェン系、ポリフルオレン系などの高分子系有機化合物を用いても良い。さらに、各層は有機化合物を用いて形成する形態以外に、正孔注入輸送層や電子注入輸送層に無機化合物を用いても良い。無機化合物材料は、ダイヤモンド状カーボン(DLC)、炭化窒素、Si、Ge、及びこれらの酸化物又は窒化物であり、P、B、N等が適宜ドーピングされていても良い。またアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、窒化物又はフッ化物や、当該金属と少なくともZn、Sn、V、Ru、Sm、Inの化合物又は合金であっても良い。
【0066】
図6はアクティブマトリクス駆動方式の発光装置の構造を示す一例である。TFTは画素部とその周辺の各種の機能回路に設けられる。TFTのチャネル形成領域を形成する半導体膜の材質は、非晶質珪素又は多結晶珪素が選択可能であるが、本発明はどちらを採用しても構わない。
【0067】
基板601はガラス基板又は有機樹脂基板が採用される。有機樹脂材料はガラス材料と比較して軽量であり、発光装置自体の軽量化に有効に作用する。発光装置を作製する上で適用できるものとしては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アラミド等の有機樹脂材料を用いることができる。ガラス基板は無アルカリガラスと呼ばれる、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスを用いることが望ましい。ガラス基板の厚さは0.5〜1.1mmのものが採用されるが、軽量化を目的とすると厚さは薄くする必要がある。また、さらに軽量化を図るには比重が2.37g/ccと小さいものを採用することが望ましい。
【0068】
図6では駆動回路部650にnチャネル型TFT652とpチャネル型TFT653が形成され、画素部651にはスイッチング用TFT654、電流制御用TFT655が形成されている様子を示している。これらのTFTは、酸化珪素、窒化珪素又は酸化窒化珪素の積層体から成る第1絶縁膜602上に半導体膜603〜606、ゲート絶縁膜607、ゲート電極608〜611等を用いて形成されている。
【0069】
ゲート電極の上層には、窒化珪素、酸化窒化珪素からなる第2絶縁膜618が形成され、保護膜として用いられている。さらに平坦化膜として、ポリイミド又はアクリルから成る有機絶縁膜619が形成されている。この有機絶縁膜は吸湿性があり、水分を吸蔵する性質を持っている。その水分が再放出されると、有機化合物に酸素を供給し、有機発光素子を劣化させる原因となるので、水分の吸蔵及び再放出を防ぐために、有機絶縁膜619の上に窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化窒化アルミニウム、窒化アルミニウム等から選択される無機絶縁材料により形成される第3絶縁膜620を形成する。
【0070】
駆動回路部650の回路構成は、ゲート信号側駆動回路とデータ信号側駆動回路とで異なるがここでは省略する。nチャネル型TFT652及びpチャネル型TFT653には配線612、613が接続され、これらのTFTを用いて、シフトレジスタやラッチ回路、バッファ回路等を形成することが可能である。
【0071】
画素部651では、データ配線614がスイッチング用TFT654のソース側に接続し、ドレイン側の配線615は電流制御用TFT655のゲート電極611と接続している。また、電流制御用TFT655のソース側は電源供給配線617と接続し、ドレイン側の電極616が有機発光素子の陽極と接続するように配線されている。
【0072】
有機発光素子656は、第3絶縁膜620上に形成され、ITO(酸化インジウム・スズ)で形成される陽極621、正孔注入層、正孔輸送層、発光層等を含む有機化合物層623、MgAgやLiF、CsF、BaF、CaF等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む材料を用いて形成される陰極624とから成っている。有機発光素子の構造は任意なものとするが、図5で示す構造を採用することができる。
【0073】
隔壁層622は窒化物で成る無機絶縁物材料をもって形成する。具体的には、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムから選択される無機絶縁物材料により形成する。隔壁層622は0.1〜1μm程度の厚さで形成し、陽極621上に重なる端部をテーパー形状となるように形成する。またこの隔壁層622は配線612〜617上に残されたフォトレジスト626の上面及び側面を覆って形成されている。さらに、TFTの配線と陽極621の端部を覆うように形成され、この部分で陰極と陽極とがショートすることを防いでいる。また、図示しないが陽極621と有機化合物層623との界面に0.5〜5nmでトンネル電流が流れる程度の厚さの絶縁膜を形成しておいても良い。これは陽極表面の凹凸に起因する短絡の防止と、陰極に用いるアルカリ金属等が下層側に拡散するのを抑止する効果がある。
【0074】
有機発光素子の陰極624は、仕事関数の小さいマグネシウム(Mg)、リチウム(Li)若しくはカルシウム(Ca)を含む材料を用いる。好ましくはMgAg(MgとAgをMg:Ag=10:1で混合した材料)でなる電極を用いれば良い。他にもMgAgAl電極、LiAl電極、また、LiFAl電極が挙げられる。さらにその上層には、窒化珪素、DLC、酸化窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等から選択される無機絶縁物材料で第4絶縁膜625を形成する。DLC膜は酸素をはじめ、CO、CO2、H2O等のガスバリア性が高いことが知られている。第4絶縁膜625は、陰極624を形成した後、大気解放しないで連続的に形成することが望ましい。第4絶縁膜625の下層には窒化珪素のバッファ層があっても良い。陰極624と有機化合物層623との界面状態は有機発光素子の発光効率に大きく影響するからである。
【0075】
図6ではスイッチング用TFT654をマルチゲート構造とし、電流制御用TFT655にはゲート電極とオーバーラップする低濃度ドレイン(LDD)を設けている。多結晶珪素を用いたTFTは、高い動作速度を示すが故にホットキャリア注入等の劣化も起こりやすい。そのため、図6のように、画素内において機能に応じて構造の異なるTFT(オフ電流の十分に低いスイッチング用TFTと、ホットキャリア注入に強い電流制御用TFT)を形成することは、高い信頼性を有し、且つ、良好な画像表示が可能な(動作性能の高い)表示装置を作製する上で非常に有効である。
【0076】
図6で示すように、TFT654、655を形成する半導体膜の下層側(基板601側)には、第1絶縁膜602が形成されている。その反対の上層側には第2絶縁膜618が形成されている。一方、有機発光素子656の下層側には第3絶縁膜620が形成されている。上層側には第4絶縁膜625が形成される。また、その間には隔壁層622が形成されている。これらは全て無機絶縁物材料で形成されるものである。そして、その中に有機発光素子656が形成され、第3絶縁膜620と第4絶縁膜625、隔壁層622に挟まれて一体化されている。
【0077】
TFT654、655に対しナトリウム等のアルカリ金属の汚染源として基板601や有機発光素子656が考えられるが、第1絶縁膜602と第2絶縁膜618で囲むことにより防ぐことができる。一方、有機発光素子656は酸素や水分を最も嫌うため、それを防ぐために第3絶縁膜620、第4絶縁膜625、隔壁層622が無機絶縁物材料で形成されている。これらは有機発光素子656が有するアルカリ金属元素を外に出さないための機能も備えている。
【0078】
特に第3絶縁膜620、隔壁層622、第4絶縁膜625を形成するのに適した材料の一例は、シリコンをターゲットとして用い、スパッタリング法により作製される窒化珪素膜である。具体的には、高周波スパッタリング法により形成される極めて緻密な膜質を有し、以下の表1に示すプロセス条件で形成される(代表的な例についても併記した。)。なお、表中の「RFSP−SiN」とは、高周波スパッタリング法により形成された窒化珪素膜を指す。また、「T/S」とは、ターゲットと基板との距離である。
【0079】
【表1】
Figure 0004467876
【0080】
スパッタガスとして用いるArは、基板を加熱するためのガスとして基板裏面側に吹き付けるように導入され、最終的にN2と混合されてスパッタリングに寄与する。また、表1に示す成膜条件は、代表的な条件であってここに示す数値に限定されるものではなく、成膜されたSiN膜の物性パラメータが後に表4において示す物性パラメータの範囲内に入る限り、実施者が適宜変更しても良い。
【0081】
ここで上記高周波スパッタリング法により窒化珪素膜を成膜するにあたって使用するスパッタリング装置の概略図を図16に示す。図16において、30はチャンバー壁、31は磁場を形成するための可動式マグネット、32は単結晶シリコンターゲット、33は防護シャッター、34は被処理基板、36a及び36bはヒーター、37は基板チャック機構、38は防着板、39はバルブ(コンダクタンスバルブもしくはメインバルブ)である。また、チャンバー壁30には、ガス導入管40、41は、それぞれN2(もしくはN2と希ガスの混合ガス)及び希ガスの導入管である。
【0082】
また、比較例として従来のプラズマCVD法により形成される窒化珪素膜の成膜条件を表2に示す。なお、表中の「PCVD−SiN」とは、プラズマCVD法により形成された窒化珪素膜を指す。
【0083】
【表2】
Figure 0004467876
【0084】
次に、表1の成膜条件で成膜された窒化珪素膜と表2の成膜条件で成膜された窒化珪素膜の代表的な物性値(物性パラメータ)について、比較した結果を表3にまとめる。なお、「RFSP−SiN(No.1)」と「RFSP−SiN(No.2)」との違いは、成膜装置による違いであり、本発明のバリア膜として用いる窒化珪素膜としての機能を損なうものではない。また、内部応力は、圧縮応力か引っ張り応力かで数値の正負の符号が変わるが、ここでは絶対値のみを取り扱う。
【0085】
【表3】
Figure 0004467876
【0086】
表3に示すように、これらRFSP−SiN(No.1)及びRFSP−SiN(No.2)に共通の特徴点は、PCVD−SiN膜と比較して、エッチング速度(エッチング液として、LAL500(橋本化成株式会社製 SAバッファードフッ酸、NH4HF2(7.13%)とNH4F(15.4%)の水溶液)を用いて20℃でエッチングした際のエッチング速度をいう。以下、同じ。)が遅く、水素濃度が低い点が挙げられる。また、内部応力は、プラズマCVD法で成膜された窒化珪素膜よりも絶対値で比較して小さい値となっている。
【0087】
ここで本発明者らが表1の成膜条件によって成膜した窒化珪素膜の諸物性のパラメータを表4にまとめる。
【0088】
【表4】
Figure 0004467876
【0089】
また、当該窒化珪素膜をSIMS(質量二次イオン分析)により調べた結果を図3に、そのFT−IRの結果を図11に、その透過率を図12に示す。なお、図12には表2の成膜条件で成膜した窒化珪素膜についても併せて表記する。透過率については、従来のPCVD−SiN膜と比べて遜色はない。
【0090】
図11はシリコンをターゲットとして用い、13.56MHzの高周波電力を印加して、窒素ガスのみスパッタリング法により形成した窒化珪素膜(#001)の赤外吸収スペクトルを示している。主な成膜条件は、硼素が添加され1〜2Ωsq.のシリコンターゲットを用い窒素ガスのみを供給して0.4Pa、800Wの高周波電力(13.56MHz)である。ターゲットのサイズは直径152.4mmである。この条件で2〜4nm/minの成膜速度が得られる。
【0091】
図11には比較データとして、スパッタリング法により作製した酸化珪素膜(#002)とプラズマCVD法で作製した窒化珪素膜(#003)の特性を挿入してある。各膜の成膜条件は図中に記載してあるので参照されたい。室温で形成された試料番号#001で示す窒化珪素膜は窒素のみをスパッタガスとして用いて成膜されたものであり、N−H結合とSi−H結合の吸収ピークが観測されず、またSi−Oの吸収ピークも観測されていないことが特徴的である。この特性より膜中に酸素濃度及び水素濃度は1原子%以下であることがわかる。
【0092】
図4は、無アルカリガラス基板(コ−ニング社製、#1737基板)上にこの窒化珪素膜、アクリル樹脂膜、アクリル樹脂膜と窒化珪素膜の積層の3種類の構造の場合における透過率を示しているが、可視光域において80%以上の透過率を有している。特に、波長400nmにおいても80%以上の透過率を有しており、この膜の透明性が示されている。これは、図6における有機絶縁膜619と第3絶縁膜620を積層した状態を想定したものであり、有機発光素子からの光がガラス基板側に放射されたとしても色調の変化が少ないことを示している。
【0093】
本発明の無機絶縁層として用いる窒化珪素膜においては、表4に示すパラメータを満たす窒化珪素膜が望ましい。即ち、無機絶縁層として、▲1▼エッチング速度が9nm/min以下(好ましくは、0.5〜3.5nm/min以下)である窒化珪素膜を用いること、▲2▼水素濃度が1×1021atoms/cm-3以下(好ましくは、5×1020atoms/cm-3以下)であること、▲3▼水素濃度が1×1021atoms/cm-3以下(好ましくは、5×1020atoms/cm-3以下)で、かつ、酸素濃度が5×1018〜5×1021atoms/cm-3(好ましくは、1×1019〜1×1021atoms/cm-3)であること、▲4▼エッチング速度が9nm/min以下(好ましくは、0.5〜3.5nm/min以下)で、かつ、水素濃度が1×1021atoms/cm-3以下(好ましくは、5×1020atoms/cm-3以下)であること、▲5▼エッチング速度が9nm/min以下(好ましくは、0.5〜3.5nm/min以下)で、かつ、水素濃度が1×1021atoms/cm-3以下(好ましくは、5×1020atoms/cm-3以下)で、かつ、酸素濃度が5×1018〜5×1021atoms/cm-3(好ましくは、1×1019〜1×1021atoms/cm-3)であること、のいずれかを満たすことが望ましい。
【0094】
また、内部応力の絶対値は、2×1010dyn/cm2以下、好ましくは5×109dyn/cm2以下、さらに好ましくは5×108dyn/cm2以下とすると良い。内部応力を小さくすれば、他の膜との界面における準位の発生を低減できる。さらに、内部応力による膜はがれを防止できる。
【0095】
また、本実施の形態に示した表1の成膜条件による窒化珪素膜は、Na、Liその他の周期表の1族もしくは2族に属する元素に対するブロッキング効果が極めて強く、これらの可動イオン等の拡散を効果的に抑制することができる。例えば、本実施の形態に用いる陰極層としては、アルミニウムに0.2〜1.5wt%(好ましくは0.5〜1.0wt%)のリチウムを添加した金属膜が電荷注入性その他の点で好適であるが、この場合において、リチウムの拡散によってトランジスタの動作に害を及ぼすことが懸念される。しかしながら、本実施の形態では、無機絶縁層で完全に保護されることとなるため、リチウムのトランジスタ方向への拡散は気にする必要がない。
【0096】
この事実を示すデータを図13〜15に示す。図13は、表2の成膜条件で成膜した窒化珪素膜(PCVD−SiN膜)を誘電体としたMOS構造のBTストレス試験前後におけるC−V特性の変化を示す図である。試料の構造は、図15(A)に示す通りであり、表面電極にAl−Li(リチウムを添加したアルミニウム)電極を用いることによりリチウム拡散による影響の有無を確かめることができる。図13によれば、BTストレス試験によりC−V特性が大きくシフトし、表面電極からのリチウムの拡散による影響が顕著に現れていることが確認できる。
【0097】
次に、図14(A)、(B)は、表1の成膜条件で成膜した窒化珪素膜を誘電体としたMOS構造のBTストレス試験前後におけるC−V特性である。図14(A)、(B)の違いは、図14(A)が表面電極にAl−Si(シリコンを添加したアルミニウム膜)電極を用いるのに対し、図14(B)が表面電極にAl−Li(リチウムを添加したアルミニウム膜)電極を用いる点である。なお、図14(B)の結果は、図15(B)に示すMOS構造の測定結果である。ここで熱酸化膜との積層構造としたのは、窒化珪素膜とシリコン基板との間の界面準位の影響を低減するためである。
【0098】
図14(A)、(B)の両グラフを比較すると、両グラフともにBTストレス試験前後におけるC−V特性のシフトは殆ど差がなく、リチウム拡散の影響が現れていないこと、即ち、表1の成膜条件で成膜した窒化珪素膜が効果的にブロッキング膜として機能していることが確認できる。
【0099】
このように、本発明に用いる無機絶縁層は、非常に緻密でNaやLiといった可動元素に対するブロッキング効果が高いため、平坦化膜からの脱ガス成分の拡散を抑制すると共に、Al−Li電極等からのLi拡散を効果的に抑制することで信頼性の高い表示装置を実現することができる。緻密である理由として、本発明者らは、単結晶シリコンターゲットの表面で薄い窒化シリコン膜が形成され、その窒化シリコン膜が基板へ積層されて成膜されるため、膜中にシリコンクラスタが混入されにくくなった結果として緻密になるのではないかと推測している。
【0100】
また、室温から200℃程度の低温下のスパッタリング法で成膜されるため、本発明のバリア膜として用いる場合のように、樹脂膜の上に成膜できる点においてプラズマCVD法よりも有利である。
【0101】
なお、上述した窒化珪素膜は、有機発光素子を覆うパッシベーション膜として用いたり、ゲート絶縁膜を積層膜で形成する場合において、その一部に用いることもできる。
【0102】
さらに、図6で示すような構造の発光装置の作製方法において、第3絶縁膜620、ITOに代表される透明導電膜で作製される陽極621をスパッタリング法により連続成膜する工程を採用できる。有機絶縁膜619の表面に著しいダメージを与えることなく、緻密な窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜を形成するにはスパッタリング法は適している。
【0103】
以上のように、TFTと発光装置を組み合わせて画素部を形成し、発光装置を完成させることができる。このような発光装置はTFTを用いて駆動回路を同一基板上に形成することもできる。図6で示すように、TFTの主要構成要素である半導体膜、ゲート絶縁膜及びゲート電極を、その下層側及び上層側を窒化珪素又は酸化窒化珪素から成るブロッキング層と保護膜により囲むことにより、アルカリ金属や有機物の汚染を防ぐ構造を有している。一方有機発光素子はアルカリ金属を一部に含み、窒化珪素又は酸化窒化珪素又はDLC膜から成る保護膜と、窒化珪素又は炭素を主成分とする絶縁膜から成るガスバリア層とで囲まれ、外部から酸素や水分が浸入することを防ぐ構造を有している。
【0104】
このように、本発明は不純物に対する特性の異なる素子を組合せ、お互いが干渉することなく発光装置を完成させる技術を提供している。
【0105】
図6ではトップゲート型のTFT構造で説明したが、勿論ボトムゲート型或いは逆スタガ型のTFTを適用することも可能である。図7は画素部751に逆スタガ型のTFTにより、スイッチング用TFT754、電流制御用TFT755を形成している。基板701上にはモリブデン又はタンタル等で形成されるゲート電極702、703と配線704が形成され、その上にゲート絶縁膜として機能する第1絶縁膜705が形成されている。第1絶縁膜は100〜200nmの厚さで酸化珪素又は窒化珪素等を用いて形成する。
【0106】
半導体膜706、707にはチャネル形成領域の他ソース又はドレイン領域、LDD領域が形成されている。これらの領域を形成し、またチャネル形成領域を保護する都合上、絶縁膜708、709が設けられている。第2絶縁膜710は窒化珪素又は酸化窒化珪素で形成され、半導体膜がアルカリ金属や有機物等により汚染されないように設ける。さらに、ポリイミド等の有機樹脂材料から成る平坦化膜711を形成する。その上には窒化珪素又は酸化珪素から成る第3絶縁膜712を形成する。配線713〜716は第3絶縁膜712上に形成されている。
【0107】
有機発光素子756の陽極717は第3絶縁膜712上に形成され、その後窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムから選ばれた無機絶縁物材料により隔壁層718を形成する。またこの隔壁層718は配線713〜716上に残されたフォトレジスト723の上面及び側面を覆って形成されている。さらに、TFTの配線と陽極717の端部を覆うように形成され、この部分で陰極と陽極とがショートすることを防いでいる。有機化合物層720、陰極721、第4絶縁膜の構成も図6と同様に形成し、第3絶縁膜712と同様にして第4絶縁膜722も形成する。こうして逆スタガ型のTFTを有する発光装置を完成させることができる。
【0108】
図7では画素部の構成のみを示しているが、逆スタガ型のTFTを用いて駆動回路を同一基板上に形成することもできる。図7で示すように、TFTの主要構成要素である半導体膜は、その下層側及び上層側を窒化珪素又は酸化窒化珪素から成る第1絶縁膜と第2絶縁膜で囲むことにより、アルカリ金属や有機物の汚染を防ぐ構造を有している。一方有機発光素子はアルカリ金属を一部に含み、第3絶縁膜と第4絶縁膜と隔壁層718により、外部から酸素や水分が浸入することを防ぐ構造を有している。このように、逆スタガ型のTFTを用いても、不純物に対する特性の異なる素子を組合せ、お互いが干渉することなく発光装置を形成する技術を提供している。
【0109】
有機発光素子を封止する構造を図8に示す。図8はTFTを用いて駆動回路408と画素部409が形成された素子基板401と、封止基板402とがシール材405で固定されている状態を示している。保護膜406は窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、DLC膜、窒化炭素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜から選択される材料で形成されている。また、保護膜406の下にバッファ層として窒化珪素膜があっても良い。素子基板401と封止基板402との間の封止領域内には有機発光素子403が形成され、乾燥剤は駆動回路408上又は、シール材405が形成された近傍に設けられていても良い。
【0110】
封止基板にはポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アラミド等の有機樹脂材料を用いる。基板の厚さは30〜120μm程度のものを採用し、可撓性を持たせる。端部にガスバリア層407としてDLC膜を形成している。但し、DLC膜は外部入力端子404には形成されていない。シール材にはエポキシ系接着剤が用いられる。ガスバリア層407をシール材405に沿って、かつ、素子基板401と封止基板402の端部に沿って形成することで、この部分から浸透する水蒸気を防ぐことができる。ガスバリア層407はDLC膜に限定されず上述の保護膜406と同様の材料で形成することができる。
【0111】
図9はこのような表示装置の外観を示す図である。画像を表示する方向は有機発光素子の構成によって異なるが、ここでは上方に光が放射して表示が成される。図9で示す構成は、TFTを用いて駆動回路部408及び画素部409が形成された素子基板401と封止基板402がシール材405により貼り合わされている。また、この駆動回路部408の他に、ビデオ信号に補正を加えたりビデオ信号を記憶する信号処理回路606を設けても良い。素子基板401の端には、入力端子404が設けられこの部分でFPC(Flexible Print Circuit)が接続される。入力端子404には外部回路から画像データ信号や各種タイミング信号及び電源を入力する端子が500μmピッチで設けられている。そして、配線410で駆動回路部と接続されている。また、必要に応じてCPU、メモリー等を形成したICチップ411がCOG(Chip on Glass)法等により素子基板401に実装されていても良い。
【0112】
シール材に隣接した端部にはDLC膜が形成されシール部分から水蒸気や酸素等が浸入し、有機発光素子が劣化することを防いでいる。素子基板401や封止基板402に有機樹脂材料を用いる場合には、入力端子部を省く全面にDLC膜が形成されていても良い。DLC膜を成膜するとき、入力端子部はマスキングテープやシャドーマスクを用いて、予め被覆しておけば良い。
【0113】
以上のようにして、有機発光素子を封止して発光装置を形成することができる。TFT及び有機発光素子はいずれも絶縁膜で囲まれ、外部から不純物が浸入しない構造となっている。さらに封止材を用いて素子基板と貼り合わせ、その端部をDLCで覆うことにより気密性が向上し、発光装置の劣化を防止することができる。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明を用いることにより、有機発光素子の正孔注入層、正孔輸送層、発光層等の機能を有する有機化合物からなる層の不純物元素としての酸素濃度を5×1019/cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下に減じることができる。また、本発明により、TFTの主要構成要素である半導体膜、ゲート絶縁膜及びゲート電極は、その下層側及び上層側を窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムから選択される無機絶縁物材料で囲むことにより、アルカリ金属や有機物の汚染を防ぐ構造を有している。一方有機発光素子はアルカリ金属を一部に含み、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、DLC、窒化炭素から選択される無機絶縁物材料によって囲むことにより外部から酸素や水分が浸入することを防ぐ構造を実現する。このような構成は、不純物に対する特性の異なる素子を組合せ、お互いが干渉することなく発光装置を完成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造装置の構成を説明する図。
【図2】 本発明の成膜装置の構成を説明する図。
【図3】 窒化珪素膜のSIMS(質量二次イオン分析)測定データ。
【図4】 シリコンをターゲットとして窒素ガスのみで高周波スパッタリング法により成膜された窒化珪素膜の透過率スペクトル。
【図5】 発光素子の構造を説明する図。
【図6】 画素部及び駆動回路部を備えた発光装置の構造を説明する部分断面図。
【図7】 発光装置の画素部の構造を説明する部分断面図。
【図8】 発光装置の構造を説明する断面図。
【図9】 発光装置の外観を説明する斜視図。
【図10】 本発明の発光装置の概念を説明する図。
【図11】 窒化珪素膜のFT−IR測定データ。
【図12】 窒化珪素膜の透過率測定データ。
【図13】 MOS構造のBTストレス試験前後におけるC−V特性。
【図14】 MOS構造のBTストレス試験前後におけるC−V特性。
【図15】 MOS構造について説明する図。
【図16】 スパッタリング装置について説明する図。
【図17】 SIMS測定により得られるAlq3/Ir(ppy)3+CBP/CuPc/ITO構造を有する試料の各元素の深さ方向分布を示すグラフ。

Claims (4)

  1. 第1絶縁膜と、
    前記第1絶縁膜上に形成された半導体層と、前記半導体層及び前記第1絶縁膜を覆って形成されたゲート絶縁膜と、前記半導体層と重なる位置に設けられ且つ前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、を有する薄膜トランジスタと、
    前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極を覆って形成された第2絶縁膜と、
    前記第2絶縁膜上に形成された有機樹脂膜と、
    前記有機樹脂膜上に形成された第3絶縁膜と、
    前記第2絶縁膜、前記有機樹脂膜、及び前記第3絶縁膜に形成されたコンタクトホールと、
    前記第3絶縁膜上に形成された第1電極と、
    前記第1電極上及び前記第3絶縁膜上に形成され、前記コンタクトホールを介して前記薄膜トランジスタと前記第1電極とを電気的に接続する配線と、
    前記配線上に残存するフォトレジストと、
    前記第1電極の端部と、前記配線と、前記フォトレジストの上面及び側面と、を覆って形成された隔壁層と、
    前記第1電極上及び前記隔壁層上に形成された有機化合物層と、
    前記有機化合物層上に形成された第2電極と、
    前記第2電極上に形成された第4絶縁膜と、を有し、
    前記第1絶縁膜は、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜であり、
    前記第2絶縁膜は、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜であり、
    前記第3絶縁膜は、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化アルミニウム膜、酸化アルミニウム膜、又は酸化窒化アルミニウム膜のいずれかであり、
    前記第4絶縁膜は、窒化珪素膜、DLC膜、酸化窒化アルミニウム膜、酸化アルミニウム膜、又は窒化アルミニウム膜のいずれかであり、
    前記隔壁は、窒化珪素膜、窒化アルミニウム膜、又は酸化窒化アルミニウム膜のいずれかであり、
    前記有機化合物層は、分子中に酸素原子を含まない層を少なくとも一層有し、
    前記第2電極は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含み、
    前記第1電極と前記有機化合物層と前記第2電極とから有機発光素子が構成されていることを特徴とする発光装置。
  2. 請求項1において、
    前記分子中に酸素原子を含まない層とは、CBPとIr(ppy)とからなる発光層であることを特徴とする発光装置。
  3. 請求項1において、
    前記分子中に酸素原子を含まない層とは、CuPc、α−NPD、MTDATA、又はCBPのいずれかからなる正孔輸送層であることを特徴とする発光装置。
  4. 請求項1において、
    前記分子中に酸素原子を含まない層とは、CuPc、α−NPD、MTDATA、又はCBPのいずれかからなる正孔注入層であることを特徴とする発光装置。
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