JP4467497B2 - 搾乳器 - Google Patents
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Description
しかしながら、乳幼児による実際の授乳においては、母乳の射乳は、乳房に対して乳幼児の舌により付与される圧力による影響が大きい。
このため、例えば、乳房を円錐状の乳房覆い内に収容し、負圧を形成する際に、該負圧を作用させるだけでなく、円錐状の乳房覆いの内側周縁部の可撓性円錐形部分を押し当てて、乳房を押圧するようにした搾乳器の提案がある(たとえば特許文献1)。
このため、母乳の搾乳を行う場合において、このような実際の授乳において乳幼児が母親の乳房に与える押圧刺激と同じか、これに近似した押圧刺激を適切に行える搾乳器の出現が望まれている。
すなわち、上述したように、本来乳首からの母乳の射乳においては、乳輪近傍への乳幼児の舌による押圧刺激の影響が大きく、本発明では、その刺激を適切な位置で適切な高さやサイクルで与えられるように運動量を付与することができる。
特に、前記変形手段は、該変形手段が前記舌部の前記変位にともなって受ける押圧力を吸収する吸収手段を該吸収手段が複数に区画されたその区画毎に備えているので、舌部が母親の乳房の刺激箇所を必要以上に刺激して、不快感や損傷を与えることがない。
かくして、本発明によれば、授乳時に母親の乳房等に対して乳幼児によって与えられる押圧刺激とほぼ同等程度に乳幼児の舌による押圧刺激の影響を再現して、適切に搾乳することができる搾乳器を提供することができる。
しかも、変形手段は、搾乳開口から奥側にかけて複数の区画されたものであり、それぞれ区画された部分は独立した動きで舌部の高さを連続的に変動する構成である。このため、この変形手段では、搾乳部の舌部の高まりが搾乳開口側から離れる方向に連続的に移動可能とするのに特に適した構造となっている。
すなわち、上述したように、本来乳首からの母乳の射乳においては、乳輪近傍への乳幼児の舌による押圧刺激の影響が大きく、本発明では、その刺激を適切な位置で適切な高さやサイクルで与えられるように運動量を付与することができる。
特に、前記変形手段は、該変形手段が前記舌部の前記変位にともなって受ける押圧力の検出する検出手段を有し、前記検出手段による検出結果に基づいて、前記変形手段の前記舌部に対する当接圧力を変更する構成であるから、押圧力に基づいて、きめこまかな当接圧力の調整が可能となり、この点においても、舌部が母親の乳房の刺激箇所を必要以上に刺激して、不快感や損傷を与えることがない。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
図1は搾乳器10の全体を示していて、この搾乳器10は、搾乳装置とも呼ぶことができる。搾乳器10の特徴は、本発明者による哺乳研究成果を反映して、乳幼児が実際に母乳を哺乳する時の乳幼児の舌運動を再現するために、舌(押圧部)の部分的な高まりを生じさせる箇所を連続的に帰ることで、該高まりを移動させるものである。
そしてこの搾乳器10は、乳幼児の哺乳時における舌の高まりの移動運動に関する観察結果に基づいて、その舌の変位する数値に対応した蠕動様運動を再現できる。
図1のベース25は、床Fに対してたとえば複数のローラ27とストッパ28により支持することができる。このベース25は、ローラ27を用いることにより床Fに沿って移動して、そしてストッパ28を用いて床Fに固定することができる。
搾乳部20は、後で詳しく説明するが、乳房300の乳輪近傍を押圧可能な舌部を有していて、乳頭から母乳を搾乳するための部分である。母乳の収容部21は、搾乳部20により搾乳された母乳を吸引チューブ24Aを通じて導いて収容するためのものである。陰圧付与手段24は、搾乳部20の動きと連動して、搾乳を補助するために搾乳部20内を陰圧空間とする手段である。
図2においては、搾乳部20と本体26を示しているが、本体26は、ケース29を有している。このケース29の中には、後で説明する変形手段30が収容されている。本体26に隣接して搾乳部20が配置されている。
図6は、搾乳部20の構造モデルを示している。搾乳部20は、上顎部50と下顎部51そして舌部材60を有している。この搾乳部20はさらに変形手段30を備えている。
上顎部50と下顎部51は、乳幼児Bの上顎と下顎をそれぞれモデル化した部材である。上顎部50と下顎部51は、互いに、もしくは一方が他方に対して相対的に、支点部53を中心に回動できるようになっている。
例えば、この実施形態では、上顎モータ114が作動することにより、上顎部50は支点部53を中心としてE1方向に移動できる。同様にして下顎部51は、下顎モータ115を作動することにより支点部53を中心としてE2の方向に移動できる。
変形手段30は、図4ないし図6に示すようにたとえば7つに分かれたそれぞれ2枚構成の要素部材32ないし38と、上述したモータM2ないしM8と、そしてローラR2ないしR8を有している。モータM2ないしM8は、たとえばステッピングモータのようなモータを用いることができる。なお、要素部材は、7枚に限定されず、複数枚であれば良いが、蠕動様運動を再現するために、5枚以上形成されていることが好ましい。
モータM2ないしM8は、駆動ユニット113に接続されている。駆動ユニット113は、I/O111を介して制御部100に接続されている。制御部100は、上顎モータ114と下顎モータ115およびモータM2ないしM8に対して制御命令を出すことによりこれらの動作を制御することができる。
要素部材32ないし38は、図2に示すような形状を有している。すなわち要素部材32ないし38は、それぞれ薄い板状のふたつの部材を結合させたもので、図2において中心軸CLに沿って重ねるようにして組み合わされている。
図2において、乳幼児の舌の先端側にあたる要素部材32が一番手前に位置しており、順次要素部材33ないし38が図2の紙面奥行き方向に重ねられている。
図において、要素部材32は、上記モータおよびローラからの駆動力を伝達する伝達部材62と、該伝達部材62と組み合わされる延長部材71とを有している。
図3(a)に示すように、この構成例では、延長部材71の基部45が、図示のような切欠きもしくはスリット45bを備えた略C字状とされたリング形態である。伝達部材62の基部63は延長部材71のリング形態の基部45の内径45aに所定の遊びをもって嵌め込まれる(遊嵌される)外径を有するリング状である。
延長部材71は、径方向にプレート状に延びる本体部分72と、該本体部分72から彎曲して、ほぼL字型またはJ字型に延びた先端部47を有しており、該先端部47は上顎部50に向けてやや円弧状になっている。この先端部47の円弧形状は、中心軸CLを中心とする円弧状である。そして、先端部47は舌部70に当接している。
ここで、図6の舌部70に乳房300側から加わる押圧力は、ワイヤバネ41だけで形成してもよいが、これに代え、これに加えて、後述するように、舌部70の構造自体によっても一部吸収されるようにすることができる。
また、押圧力の吸収手段は、ワイヤバネに限らず、板バネその他の弾性手段もしくは矢印H1方向への付勢力を発揮する付勢手段が適宜用いられる。
このようにして、変形手段30の各要素部材32ないし38は、モータとローラからなる各駆動手段により独立して位置の変位ができるので、舌部に対して微妙な動きを与えて乳幼児による哺乳の際における環境を再現できる。各駆動手段は1つのモータと1つのローラにより構成されている。
図7に示すように搾乳部20には、変形手段30の先端部分が搾乳部20の内部側に舌部材60等を介して進入できるようになっている。図7では、搾乳部20が、本体26とともに傾けて保持されており、これにより乳房300が搾乳開口23へ挿入して収容しやすくなっている。
なお、舌部70は、中間部材61を設けずに舌部材60のみで構成してもよく、また、舌部材60を硬度10ないし25程度の非常に軟らかい中実とされた弾性素材で形成しても良い。さらに、先端隆起部49を形成せずに先端部42ないし48を細まっていく形状としても良い。
なお、符号104で示すのは、先端隆起部49の上で、中間部材61内に配置された第2の圧力センサである。
すなわち、例えば図3で説明したように、押圧力の吸収手段を機械的な構成で作ることに代え、あるいはこれに加えて、例えば、圧電材料などを用いたピエゾ素子などにより、第2の圧力センサ104を配置するようにしてもよい。第2の圧力センサ104からは図示しない信号線が延びて、後述する制御部100に接続される。
ケース20Kは、搾乳開口23部に開口部20Pを有している。この開口部20Pにはラッパ状の当接部77とクッション部78を有している。このラッパ状の当接部77は、乳房300を収容して保持するための部分であり、エラストマー等の変形可能な層状態とされている。クッション部78は、当接部77に収容された乳房300に対してクッション性を与え、乳房300を開口部Pにフィットさせるための部分であり、たとえばスポンジ状のものなど、弾性を有する材料が採用できる。
ケース20Kは、ケース内の要素と搾乳状況が外から見えるようにするために、たとえば透明のプラスチックやガラスにより作られている。このケース20Kは、搾乳した母乳が外に飛散しないようにしている。
ケース20Kの中には、上述した上顎部50、下顎部51、舌部70が収容されている。このケース20Kの中には、陰圧付与手段24による陰圧を形成することで、吸引チューブ24Aを介して陰圧状態に保持することができる。
この陰圧付与手段24は、搾乳部20の搾乳動作の変化に対応して、脈動して陰圧を発生させることができる。これにより、たとえば舌部材60のZ方向の高まりが最も乳頭400の先端側近傍に来た時に陰圧が強くなるようになっている。
その他に、図9には、上顎部50の角度をE1方向の回転位置で調整するための調整部80が設けられている。また下顎部51の角度がE2方向に調整できる調整部89が設けられている。
制御部100は、演算手段の一例である。制御部100は、第1の圧力センサ101、検知センサ102、画面入力部103、第2の圧力センサ104、月齢/体重スイッチSW1、調整スイッチSW2、駆動情報格納手段200、モータM2ないしM8、下顎モータ115、陰圧付与手段24を電気的に接続している。
画面入力部103は、たとえば使用者が画面をタッチすることにより、搾乳動作の設定状態や搾乳動作を行う波形を選択して入力することができる。
図10に示す陰圧付与手段24は、吸引手段であるポンプ24Bとポンプ開閉モータM10およびポンプ開閉部81を有している。
吸引チューブ24Aの一端は搾乳部20のケース20Kの下端部に接続されていて、吸引チューブ24Aの他端部は収容部21を介してポンプ24Bに接続されている。ポンプ開閉部81は、2つのローラ82,83を有している。ローラ83は軸83Aを中心として回転する固定側のローラである。もう1つのローラ82は、モータM10の作動により、D1方向に回転して移動可能な移動側のローラである。
モータM10を作動することにより、ローラ82,83は、吸引チューブ24Aの中間部分を開いた状態から押し潰して閉じたり、その流路の大きさを変更することで、陰圧を脈動にすることができる。
なお、上顎部50、下顎部51の基端側から、吸引チューブ24Aにかけては連通チューブ24Cによって連結されており、ケース20K全体ではなく、搾乳開口23から吸引チューブ24Aがポンプ24Bによって陰圧空間とされるよう構成されている。
なお、この時、吸引ポンプ24Bに母乳が流入しないよう膜体や弁体を介して陰圧を付与するよう構成することが好ましい。
また、吸引ポンプ24Bが収容部21を介して搾乳開口23まで連通するのではなく、陰圧に伴う空気の流れが、母乳が流れる収容部21とは独立した流れとなるよう、上顎部50の基部側から吸引を行うようチューブで連結してもよい。さらに、脈動を付与するための手段としてはポンプ開閉部81の動きによるものだけでなく、吸引ポンプ24B自体が電気的にON/OFFするよう構成することや、吸引ポンプによる陰圧が外気と交互に連通するよう構成する、更にポンプをピストン状に前後するよう構成する等してもよい。
駆動情報格納手段200は、たとえば月齢別舌変動高さデータベースDB1、月齢別舌変動スピードデータベースDB2、月齢別負圧(吸啜圧)強さデータベースDB3、月齢別負圧(吸啜圧)スピードデータベースDB4、月齢別下顎変動高さデータベースDB5、そして月齢別下顎変動スピードデータベースDB6、圧力別の押圧力/負圧力データベースDB7等を格納している。
乳幼児が、乳首を介してミルク等を飲む際には、図11に示されているような舌部の蠕動様運動により哺乳運動を行うことになる。
図11(a)において、哺乳運動を行う乳幼児には、哺乳窩220という窪みが存在する。この哺乳窩220は、乳幼児が授乳のため哺乳運動をする期間だけ持っており、その後、成長すると無くなるものである。
そして、図11(b)と図11(c)に示すように、舌230の前方が盛り上がって、乳首1000を舌230から押し、この動きは図11(d)〜図11(f)に示すように、次第に舌230の後方へ波うつように移動していくことになる。
この過程で、舌230は前方から後方にかけて波うつように蠕動様運動を行い、乳首1000は根元から先端に向けて絞られると共に、この乳首1000と舌230と上顎部との間に閉空間Eが形成されることになる。
舌500に対応する位置には、ポイントP2ないしポイントP8が設定されている。このポイントP2ないしポイントP8は、舌500の運動を測定するための測定ポイントであり、図8に示すポイントP2ないしポイントP8に対応している。
この経時的変化は、乳幼児が母乳を哺乳する際の実際の例である。図13の縦軸は高さ(mm)を示しており、横軸は秒数を示している。図13の例は、ある月齢の時の舌の高さ位置の変化、すなわち舌の変動高さとスピードを知ることができる。他の月齢についても同様にして得られる。
図13に示すように各ポイントP2ないしP8は、それぞれ異なる波形により時間経過とともに波形に変化していっている。
月齢別負圧強さデータベースDB3と月齢別負圧スピードデータベースDB4には、乳幼児の月齢別に発生させることができる負圧の強さとスピードの例が記憶されている。この負圧強さデータベースDB3とスピードデータベースDB4は哺乳時における圧力変動を、圧力計を取り付けた人工乳首を使用して測定したものである。
月齢別下顎変動高さデータベースDB5と月齢別下顎変動スピードデータベースDB6には、乳幼児の月齢別の下顎の変動高さとスピードの例が記憶されている。これらのデータベースDB5,DB6は、図12(C)の例から得ることができる。
なお、これらの各データベースDB1ないしDB6は、体重別にデータを蓄積したデータベースとしてもよく、月齢別と体重別の両方のデータベースを備えるよう構成してもよい。
図14に示すフロー図では、ステップST1ないしステップST12までが記載されている。
ステップST1において哺乳動作をスタートさせる。使用者は、ステップST2において図10に示す月齢/体重スイッチSW1を用いて、乳幼児の月齢と体重の値を選択する。この時、使用者は乳房がはっているか等の使用時における状態に合わせて、画面入力部から他の設定を入力できるよう構成されている。
ステップST3において、使用者は、駆動情報格納手段200から対応するデータベースDB1ないしDB6を参照して、必要とする月齢に対応する月齢別の舌変動高さ、舌変動スピード、負圧強さ、負圧スピード、下顎変動高さ、下顎変動スピードを選択する。
図14のステップST6では、搾乳動作がスタートする。この場合に、制御部100は、モータM2ないしM8の動作と、下顎モータ115の動作とポンプ開閉モータM10の動作とポンプ24Bの動作を指令する。
また第2の圧力センサ104によって一定圧力以上の押圧を検知した場合には、圧力別押圧力/負圧力データベースDB7のデータを参照し、圧力を弱める。
ステップST9においてケース20K内の負圧力が適正な一定圧以内である場合には、ステップST11に移る。ステップST11では、使用者が搾乳器の動作のオフボタンを押したかどうかを判断し、押された場合にはステップST12において動作を停止する。
図8と図12に示す舌500あるいは舌部材60のポイントP2ないしP8に関して、乳幼児の吸啜間隔は、すなわち舌の先端側であるポイントP2から舌の奥側であるポイントP8まで舌のふくらみが移り、さらにポイントP8でふくらみが消失してポイントP2にふくらみが現れるまでの時間は、月齢が進むにつれて速くなっていく傾向がある。
同様に舌の蠕動様運動については、月齢が進むにつれてポイントP2ないしポイントP8へ移る運動が速くなっていく傾向がある。つまり舌前半部から舌後半部までに舌の波が移動するのにかかる経過時間が月齢が進むにつれて速くなる傾向があり、その速くなる傾向は吸啜間隔よりもさらに速まる。
舌運動量については、ポイントP2,ポイントP5およびポイントP8においてはそれぞれ異なってくる。たとえば月齢が2ヶ月程度までは、ポイントP8がポイントP2とポイントP5に比べて運動量が大きい傾向がある。これは月齢2ヶ月程度までは反射を優先させた動きを起こすためと考えられる。
これに対して、月齢3ヶ月以上になってくると、ポイントP2,ポイントP5およびポイントP8において舌の随意的な動きが生じて、ポイントP2,P5,P8の動きのばらつきが大きくなくなり、いわゆる遊び飲みを行う傾向がある。
また、蠕動様運動のサイクルや高まりの変動について、月齢が小さいほど規則的な動きであり、月齢が上がるほど遊び飲みといわれるような変動が見られるようになる。
これらの情報を駆動情報格納手段200に収容された各データベースDB1ないしDB6は反映しており、より、月齢や体重等の乳幼児の発達状態に応じた動きを再現可能とされている。
なお、駆動情報格納手段200に格納された各データベースDB1ないしDB6の情報が、カード等に情報が格納されていて、使用者が自らのカードを読み出させることで、他に格納されている月齢や体重等の情報によって、自ら月齢情報等を設定する必要がないよう、構成されていてもよいのは勿論である。
本発明の実施形態では、負圧付与手段が搾乳部の変化に対応して、脈動して陰圧とすることから、舌部の押圧に対応して、たとえばその舌部の押圧の高まりが最も乳首先端側に移動した際の前後に陰圧が強くなるようにすることができる。
本発明の実施形態では、また、複数に区画された変形手段が用いられると、本来母乳の射乳においては、乳輪近傍への乳幼児の舌による押圧刺激の影響が大きく、その刺激を適切な位置で適切な高さとなるように運動量を付与することができる。
すなわち、図10の第2の圧力センサ104(図8(B)参照)が検出する検出値が制御部100に送られると、制御部100は、圧力別の押圧力/負圧力データベースDB7を参照する。これにより、該検出値と対応したテーブルデータを参照して、このデータに基づいて、制御部100は、図9の上顎部50と下顎部51による乳頭400の押圧力の調整を行う。また、制御部100は図7の陰圧付与手段24のポンプ開閉モータM10とポンプ24Bに指令を送って、ケース20K内の負圧力(陰圧力)を調整する。
これにより、乳房300に対するきめこまかな当接圧力の調整が可能となり、この点においても、舌部が母親の乳房の刺激箇所を必要以上に刺激して、不快感や損傷を与えることがない。
この変形例において、図2と同じ符号を付した箇所は共通する構成であるから重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図16は複数枚の要素部材のうち、一枚の要素部材32−1だけを示す斜視図である。
図15の要素部材32−1は、図2の要素部材32と異なり、一体の部材で形成されている。
なお、板バネ部72aは、図示の形態に限らず、2重の彎曲としたり、該2重の彎曲部に締め付けナットを配置して弾性を調整することができるようにしてもよい。また、符号46aの部分は、本体部と同じ材質で板バネとするのではなく、この部分を別材料、例えばエラストマーなどにより二色成形やインサート成形等の一体成形し、その部分で押圧力を吸収するようにしてもよい。また、必要に応じて、例えば先端部47にコイルバネ等による弾性を有する吸収手段を配置してもよい。
このモータ付近の取付け構造は、図18に拡大して示されており、図18(a)はモータ取付け部分の概略断面図、図18(b)はモータ取付け構造の分解斜視図である。
図18において、モータM5は、取付け板15の取付け孔15aに回動部材16を介して取付けられている。すなわち、取付け孔15aにラジアル軸受けや、スラスト軸受けなどを配置して、モータM5を固定することができる。
上述した実施形態では、変形手段は複数枚の要素部材を用いて複数に区画された形態を有している。舌部材はこれらの要素部材32ないし38のたとえば図8におけるZ方向における上下動量により舌部材60の蠕動様運動を発生させている。
しかしこれに限らず変形手段30を上側にも配置して、上下から舌部材60によって挟み込むように乳房を刺激するよう構成してもよく、円周上に変形手段30と舌部材60とを配置して、全周から刺激するよう構成してもよい。
また、変形手段30を板状部材とするのではなく、複数のワイヤーや、単数又は複数の回転運動体等を使用して、乳幼児による舌の蠕動様運動に近い動きを再現するよう構成し、概ワイヤーや回転運動体等の軸部や軸受け部に吸収手段を配置してもよい。
この場合に、伝達部52ないし58は、凹凸部59を介してローラの力を確実に伝達することができる。伝達部52ないし58の半径方向の長さと先端部42の半径の長さを適切に設定することにより、モータの小さな力を先端部42のG方向の変位に拡大して発生させることができる。
しかし、要素部材32ないし38を円運動によって動かすのではなく、独立したピストン運動等によって上下に駆動するよう構成してもよいことは勿論である。
また、上述した搾乳器10は据え置き型とされて、乳房300を挿入するよう構成されていたが、モータ等を適宜選択し、独立したピストン運動を行うよう構成すること等によって、搾乳部20を手で保持できるコンパクトな大きさとして、使用者が搾乳部20を手で保持して使用することができるよう構成してもよい。
これによって、本発明の実施形態の搾乳器は、より実際に近い母乳の哺乳時の刺激を乳房300の乳首に対して与えることができる。
例えば、本実施の形態では、据え付けられた搾乳器10に対して乳房を挿入して使用する構成とされているが、本体26を小型化して、搾乳部20や変形手段30等の部分を手で持って、陰圧付与手段24が据え付けられた構成としてもよい。
また、モータMやローラRを複数使用するのではなく、一つとして、その回転に応じて複数の変形手段30が操作されるよう構成してもよい。さらに、押圧力を吸収する吸収手段を設けずに、検出手段である第2の圧力センサ104や圧力別押圧力データベースDB7によって、自動的に押圧力を調整するよう構成してもよい。
上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
Claims (2)
- 乳房を収容可能な搾乳開口と、
前記乳房から搾乳された母乳を収容可能な収容部と、
前記乳房の乳輪近傍を押圧可能な舌部を有する搾乳部と
を有する搾乳器であって、
前記搾乳部の前記舌部を高さ方向に沿って部分的に変位させる変形手段を備え、
該変形手段は、前記舌部の前記部分的変位を前記搾乳開口側から離れる方向に連続的に移動させる構成とされ、
さらに、前記変形手段は、該変形手段が前記舌部の前記変位にともなって受ける押圧力を吸収する吸収手段を備え、
かつ、前記変形手段が前記搾乳開口側から奥側にかけて、複数に区画された部分を有し、該区画部分によって、それぞれ独立した動きで前記舌部の高さを変動すると共に、前記区画された部分ごとに前記押圧力の吸収手段を配置した
ことを特徴とする搾乳器。 - 乳房を収容可能な搾乳開口と、
前記乳房から搾乳された母乳を収容可能な収容部と、
前記乳房の乳輪近傍を押圧可能な舌部を有する搾乳部と
を有する搾乳器であって、
前記搾乳部の前記舌部を高さ方向に沿って部分的に変位させる変形手段を備え、
該変形手段は、前記舌部の前記部分的変位を前記搾乳開口側から離れる方向に連続的に移動させる構成とされ、
さらに、前記変形手段は、該変形手段が前記舌部の前記変位にともなって受ける押圧力の検出する検出手段を有し、
前記検出手段による検出結果に基づいて、前記変形手段の前記舌部に対する当接圧力を変更する構成とした
ことを特徴とする搾乳器。
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