JP4465950B2 - 光源および眼の視感色特性検査法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、視感によって、光源の色質(色温度、演色性)およびCIE標準光源との関連性を調べ、各個人の異なる眼の色特性がどのように相違するかを簡易に判定するその検査法に関わる。
【0002】
【従来の技術】
従来の光源の色温度や演色性の視感判定には、一枚の色票は短波長光側、他の一枚は長波長光側にピークを有する二枚の色票を併置して判定する方法がある。
また、眼の色特性を判定するその検査法には、石原式検査法がよく知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の視感判定法では判らなかった光源の色質と個人の眼の色特性の判定を可能にしようとしている。
【0004】
従来の方法では、光が青っぽいか赤っぽいかの判定ができても、CIEのABC光源のどれに近いか、また色温度を特定できない。また蛍光灯でも約5000度Kの色評価用蛍光灯でも、約6000度Kの通常型蛍光灯でも色票が同様に等しく見える、つまり、どちらも演色性は良好という結果がでたり、正確さに欠けるとともに、色の見えについてのもう一つの大きな要素である、個々の眼によって異なるであろう色特性がわからないまま判定するので、はたしてその判断結果が正しいのか、間違っているのかがわからないという決定的な問題点があった。
【0005】
そのため、色が偏って見える、あるいは色合わせにおいて色が合わない場合のその原因が、果たして光源のせいなのか、あるいは眼の特性の相違なのかという判断ができないため、厳密に色を判定し、色合わせをおこなう場合に支障が生じ、とくに、カラー写真、印刷など混色系カラーマッチングにおける判定においてはこれが色評価を正確におこなえなえずに混乱を招く大きな原因になっている。
すなわち、厳密に色を扱うには、用いる光源の色質と見る人の眼の色特性を別々に知るということがきわめて重要でありながら、それを満足させる視感判定法がこれまで大きく欠けていたということである。
【0006】
そこで本発明は、視感判定により、光源の色質、色温度の高低、演色性の良否を判定するとともに、個人の眼の色特性のずれの方向と程度の判定ができる簡易な検査法の開発を目的としている。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
本発明は、その目的を達成するために以下に述べるように、視感判定基準として、分光的に平滑で起伏の少ない中性の無彩色色票を無彩色基準としてそれに隣接して各種の色質をもつ各種光源においてそれと条件等色する波長的に起伏を有する混色系無彩色を併置して両者を比色し、等色(色度、Y、x、y、が近似)する混色系無彩色の色特性から、光源の色質と、人によって異なるであろう条件等色の個人差を判定可能にすることによって、上記した問題点を解決している。
【0008】
すなわち、本発明では、基準灰色色票としての図1の2ような横軸に分光分布の平坦な色材による中性灰色の無彩色基準と、CMY混色系印刷インキ、染料、顔料などの合成による、3のような波長的に平坦でない分光カーブを有して、各種色質の光源下で該無彩色基準と等色する各種の混色系無彩色基準を選んで併置して視感比色による判定資料とする。
【0009】
まず、光源の色質判定用には、各種の色質を有する光源の照明下において、当該無彩色基準と等色する関係の色票を混色系無彩色基準として対応させ、眼の色特性検査用には、各種光源において当該無彩色基準と等色する混色系無彩色基準を中心に、該混色系無彩色基準の色度を段階的に多様に変化させたカラーチャートをつくって、その中から無彩色基準とより近く等色するカラーチャートの位置、方向、その色差から、見る人の眼の色特性を見い出すことによって上記した問題点の解決をはかっている。
【0010】
【作用】
本発明では以上のように構成した視感判定用カラーチャートを、任意の光源下で用いれば、光源色質判定用では、あらかじめ各種光源で等色する混色系無彩色基準が配置してあるので、無彩色基準と等色する色票から、その照明光の色質、演色性の良否がわかる。
【0011】
判定可能な原理を図1にて説明すると、図中カーブ2およびカーブ3は同じく約20%の反射率を有する一方は平坦だが一方は起伏のある混色系色票であり、当然、他の光では色が異なって見えるが、C光源では測色データ(Y、x、y)も近似し、肉眼でも同様の灰色として認知される。このように各種の光源に対応して2と条件等色する関係の混色系の色はデジタル画像処理によって無数につくることができるから、条件等色する混色系無彩色基準を多数見い出して特定することが容易であり、したがって、等色するその混色系無彩色基準の色特性をもとにかなり厳密にその光源の色質を知ることが可能になる。
【0012】
視感色特性判定用チャートでは、標準的な光、たとえば5000度K色評価用蛍光灯を使用して無彩色基準と等色する該色票を中心に微妙にカラーバランスを変えた該カラーチャートを用いて判定すれば、無彩色基準と等色する位置が人によって微妙に異なるところから、チャート判定により混色系における各人の眼の色特性の方向性と程度の判定が可能になるという原理に基づく。
【0013】
この場合、光源の色質判定用には、混色系無彩色基準を3000度K、5000度K、6000度K、7000度K、900度K、12000度kといった各種色温度変化に応じて、また、CIE標準の光のA,B,C各光源に対応させ、あるいはまた、特定の5000度KAAA色評価蛍光灯と6000度K通常蛍光灯に対応させて両者の相違を見い出せるよう判定用スケールを構成することができる。
【0014】
また、眼の色特性判定用チャートは、平坦な無彩色基準と等色する起伏のある混色系無彩色基準を色相変化は色環状、彩度変化を放射状に配置することができ、RGB、CMY方向、また、CIExy色度図、L、ab系列に構成にすることができる。
また、あるいは、図5に示すような無彩色基準と等色する混色系無彩色基準を中心に位置させて、その色度をたとえば横軸にB、縦軸にR、あるいは横軸にR、縦軸にGをとって、プラスマイナス方向にカラーバランスを変化させたものを判定用チャートとすることができる。
【0015】
【実施例】
図2は、本発明の光源の色質判定用スケールをあらわす説明図である。図中の長方形の右側にはいずれも2と同様の性質をもつ色に偏りのない無彩色基準が添付されており、左側にはいずれもCMY混色系など混色系染料や顔料の合成により、4にはA光源(約2850度K)、5にはB光源(約4870度K)、6にはC光源(6740度K)相当の光で同様の灰色に見える(等色)関係の色温度別に等色する各混色系無彩色基準がもたらされている。
【0016】
図3は10に無彩色基準、それに隣接して4、5、6と同じ色票が添付したもので、り、いずれもこれを照明下で見れば等色する位置からその照明光が標準の光のABCのいずれに近似し、どの程度の色温度を有した光源であるかを一目で見い出すことが可能になる。
【0017】
この場合、色温度ごとにこまかく段階的に混色系色票を配して色温度目盛を付せば、等色する位置から近似色温度がわかるスケールとすることができる。
また、特定の色評価用蛍光灯と条件等色する色票を与えれば、その光が色評価に適しているかどうかがわかる蛍光灯用のスケールが可能になるなど、これまでカラーメーターなしにはわからなかった光源の色情報が把握可能になる。
【0029】
図4は視感色特性判定用チャートの一実施例であり、中心の14にたとえば5000度K色評価用蛍光灯と条件等色する混色系無彩色基準を配し、その混色系無彩色基準を光の三原色RGB、色の三原色CMY6方向に、段階的にそのカラーバランス(色度)を色調整してあり、この場合はその右側には色の偏りのない無彩色基準が添付されている。
【0030】
図5は同様に中央に5000度Kで条件等色する混色系無彩色基準を位置させ、そのカラーバランス(色度)を横軸にブルーをとり、縦軸にレッドをとってデジタル画像処理によりいずれもプラスマイナス方向にカラーバランスを段階的に変化させた判定用カラーチャートである。この場合、判定には比色窓の右側に無彩色基準を有する図6の比色マスクを用いて、左側の素通し窓をチャート上にあてがって等色する色を見いだす。
この場合は、いずれも、5000度K色評価蛍光灯下で判定し、等色する位置から人ごとに微妙に異なる、一般的には判らない眼の混色系における眼の色ずれの特性が見い出せることになる。
【0031】
すなわち、等色する位置から赤方向にずれるか、または青方向、あるいは緑方向にどれくらいずれるかという、従来判らなかった、人それぞれがもつ眼の色特性がわかるということである。
なお、横軸にR、またはG、縦軸にGまたはBの関係のチャートを用いてより厳密な判定結果を得るようにすることができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明では、以下に述べるように従来はその原因が光にあるのか、色なのか、あるいは眼にあるのかといった、あらゆる色合わせや色判定につきまとうもろもろの混乱が、この簡単安価な視覚判定法による光と眼の色のモノサシの登場によって次のように大きく改革することが可能になる。
【0033】
色温度変化には多段階の色温度で条件等色する多段階のスケールをつくることにより視感に対して、カラーメーターに近い機能を与えることができる。
したがって、光電式のカラーメーターがなくても簡易に光源の色温度が判明するので、撮影するときの光源の色温度の適否の判定、またカラープリント、印刷物などの反射原稿を見るときの照明光の色温度や色質の適否の判定がはじめて可能になる。
また、多用される蛍光灯においては、たとえば、図2の方法では5000度K色評価用は中段(B光源に近似)、6000度Kの通常蛍光灯は下段(C光源)で同様の灰色に見えるので、演色性の優れた色評価用であるか、 般用であるかこれまでほとんどできなかった区別が本発明により可能になる。
【0034】
また、カラースライドを見るためのライトボックスなどの透過原稿用の光源もその光を照射させて視感判定すれば、従来必要だったカラーメーターなしに簡単にその演色性を判定することができ、これを用いてパソコンの画像処理をおこなうモニタの色判定などあらゆる光色判定が可能になる。
【0035】
眼の視感色特性検査については、これまでわからなかったとくに混色系における眼による色ずれの方向性と程度の違いが光の色特性と切り離したところで判るので、その問題が、光によるものであるか、色そのものであるか、あるいは眼の色の見えかたによるものであるかが判然としてくる大きな効果をもたらすことができ、あらゆる色合わせや色判定、とくに混色系色材が用いられるカラーフィルム、カラープリント、印刷、デジタルプリントアウトなどCMYKの色再現の作業において、その色管理を従来よりはるかに厳密、より厳密コントロールが可能になり、色の取扱と色再現のレベルを大幅に向上させることが可能になる。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる反射率約20%の中性灰色の無彩色基準(2)と、併置するCMY混色系無彩色基準(3)の分光分布の比較説明図であり、横軸は波長(ナノメートル)、縦軸は反射率(%)をあらわす。
【図2】本発明になる光源の色質判定用スケールの実施例の説明図である。
【図3】光源の色質判定用スケールの他の実施例をあらわす。
【図4】眼の視感色特性判定用チャートの一実施例を示す。
【図5】眼の視感色特性判定用チャートの他の実施例を示す。
【図6】図5のチャート上にあてがって使用する右側に無彩色基準を有する比色用マスク。
【符号の説明】
1 分光グラフ
2 反射率約20%の横軸に平坦で起伏の少ない無彩色基準をあらわす。
3 2の無彩色基準とC光源において条件等色して類似の灰色に見える混色系無彩色基準。
4 A光源にて無彩色基準7と条件等色する混色系無彩色基準。
5 B光源にて無彩色基準8と条件等色する混色系無彩色基準。
6 C光源にて無彩色基準9と条件等色する混色系無彩色基準
7、8、9 2と同じ分光特性をもつ無彩色基。
10 2と同じ分光特性をもつ無彩色基準
11 A光源にて無彩色基準10と条件等色する混色系無彩色基準
12 B光源にて無彩色基準10と条件等色する混色系無彩色基準
13 C光源にて無彩色基準10と条件等色する混色系無彩色基準
14 たとえば5000度K色評価用蛍光灯と条件等色する混色系無彩色基準
15a、b,c,d その混色系無彩色基準の色度をデジタル画像処理によってマゼンタ方向に1段階ずつシフトさせた色票
16 2と同じ分光特性をもつ無彩色基準。
17 各混色系無彩色基準の色相の方向(R=レッド,G=グリーン,B=ブルー,C=シアン,M=マゼンタ,Y=イエロー)をあらわす。
18 2の無彩色基準とたとえば5000度Kで条件等色する混色系無彩色基準
19 18の色度(カラーバランス)をプラスマイナス方向に段階的に変化させた横軸のB(ブルー)目盛。
20 その縦軸のR(レッド)目盛
21 18の混色系無彩色基準のカラーバランスをBをマイナス方向に20、Rをプラス方向に20に変化させた部分をあらわす
22 比色用マスク板
23 比色窓
24 素通し(打ち抜き)窓
25 裏からはりつけた無彩色基準
Claims (1)
- 波長的に平坦な分光分布をもつ中性灰色の色票である無彩色基準と、各種の光源下においてのみ該無彩色基準と条件等色するCMY減法混色系による分光分布に起伏を有する混色系無彩色の色票をCIEのABC各種光源ごと、あるいは色温度段階ごとに段階的に併置した光色判定用スケールを用いて比色し等色する色票の位置から光源の色質を判定し、該無彩色基準と各種光源下で条件等色する該混色系無彩色の色票を中心にその色度を多段階的に変化するように配列した判定用カラーチャートを用いて比色し等色する色票の位置から人の眼の色ずれの方向と程度を検査することを特徴とする光源および眼の視感色特性検査法。
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