JP4465455B2 - 超高々度太陽同期軌道衛星システム - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽を周回する惑星間空間を飛行しつつも、見かけ上地球を周回する超高々度太陽同期軌道衛星システムに関し、より詳しくは、従来の太陽同期軌道の概念である低高度周回の太陽同期軌道を拡張して、超高々度の太陽同期条件を実現させた、高精度及び高品質で天体や地球を観測する科学衛星や、地球半球を同時に覆域とするような通信衛星を実現するための超高々度太陽同期軌道衛星システムに関する。
背景技術
【0002】
従来、天文観測衛星などでは、衛星からみた太陽および地球の方向や相対位置関係を一定に保てるという観点で、いわゆる太陽同期軌道が採用されている。しかしながら、従来の考え方における太陽同期軌道は、地球形状の扁平さに起因する重力の非球状成分を利用することから、地球を周回する高度数百キロメートル乃至千数百キロメートル程度の低高度軌道に限られて実現されるため(例えば特許文献1参照)、地球からの熱輻射入力を避けることができず、天文観測衛星における冷却望遠鏡等にとっては、この地球からの熱輻射入力は非常に不利な点となっている。また、通信衛星としては高高度軌道である静止衛星に比べて覆域が狭いという欠点があり、従来の考え方に基づく太陽同期軌道は、この通信目的には利用されていないのが現状である。地球からの熱輻射入力を避けるという観点からは、衛星の地球からの距離を離す必要があるが、従来の考え方における太陽同期軌道の考え方では低高度軌道でしかこの同期性の性質を付与できず、高高度すなわち長周期軌道にてこの太陽同期条件を満たすことは不可能である。
【0003】
このため、太陽‐地球系のラグランジュ点などを利用して地球からの距離を十分に離し、地球からの熱輻射を避けたうえで、地球および太陽との相対位置関係を改めて保つことが試みられている。衛星を、このラグランジュ点L2点に配置する計画としては、NASAのJames Webb Space Telescope(JWST)衛星が知られている。JWSTはL2点近傍を漂動するHALO軌道に投入されるが、この軌道では、太陽と地球方向が同一方向に幾何学的に限定されるという条件は、原理的に満たされない難点がある。また、衛星の位置の誤差に対する地上で取得される電波観測情報変化への感度が小さく、軌道決定・航法精度を確保するために長い時間の測距観測値の蓄積が必要であるという問題がある。
【0004】
通信距離の観点からは、利用できるラグランジュ点としては比較的近距離にあるL1またはL2点に限定されるが、これらの点は理論的に不安定な平衡点であるために、軌道決定と軌道制御を行って、能動的な安定化を常時はからなければならないという運用上の制約を受ける欠点がある。とくに月重力の影響も受けやすい。また、初期投入にあたっては通常の惑星探査機以上に厳密な軌道計画の適用が要求され、軌道投入完了までの期間が長期にわたるという難点もある。また、この投入完了までの間は、天文観測時間を確保することは難しい。従来の考え方では、太陽同期軌道の高度を極度に高めることは、通常の太陽同期効果をもたらしている地球の非球状重力成分による摂動効果が期待できなくなるために、太陽同期条件を満足させることは不可能である。この問題を解決する方策の1つとしては、衛星を地球近傍を飛行する惑星間軌道に投入することが考えられる。従来、惑星間における天文観測衛星としては、NASAの Space Infrared Telescope Facility (SIRTF)赤外観測衛星が知られている。前記SIRTF赤外観側衛星では、惑星間軌道に地球と僅かに違う公転周期で投入する軌道が選択されている。しかしながら、この軌道では年を追うほどに地球からの距離が徐々に遠ざかるため、高いビットレートでデータを受信することは次第に困難になるという問題点がある。また、衛星からみた太陽方向と地球方向の角度も、投入当初では90度近い離角が確保されるが、次第にこの条件を満たさなくなり、光源、熱源である太陽方向と、地球方向を直角に近く保つことはしだいに難しくなる。
【特許文献1】
特開平10−258799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、従来の太陽同期軌道では不可能であった、惑星間軌道で常時太陽と地球方向の幾何学的条件が一定に保たれて衛星設計の条件が緩和でき、また地球からの距離も必要に応じて一定またはある距離以遠の比較的小さい変動内に保つことが可能でデータ伝送の条件をほぼ一定に固定することができ、地球の熱輻射の影響が少なく、且つ地表面覆域も大きく確保できて、天文観測や地球観測等の科学衛星または通信衛星として有効な太陽同期軌道型の衛星システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
[0006]
上記の問題点を解決する本発明の超高々度太陽同期軌道衛星システムは、太陽(5)を周回しつつも見かけ上は地球を超高々度で、略円ないし楕円を描いて周回し、地球に相対的な軌道面がほぼ凍結される、超高々度太陽同期軌道衛星(3)を備え、該衛星により宇宙空間観測、地球観測、衛星通信の何れかのサービスを行なうことを特徴とするものである。
前記超高々度太陽同期軌道衛星は、好ましくは周期がほぼ1年の太陽同期軌道衛星であり、長期の軌道安定性を確保するためには、地球からの距離が数百万km以上の超高々度で太陽と地球との距離及び位置関係をほぼ一定に保って太陽を周回するのが望ましい。
この超高々度太陽同期軌道衛星は、地球を中心と見たてた太陽−地球方向を基準の1軸とする座標系において、仮想軌道面に垂直なベクトルが地球公転にかかわらずほぼ一定となる条件を作り、地球からの光、熱の輻射の影響を避けて、1公転で観測器が慣性系内では全天球面をスキャンし、天体・地球観測を行なうことを可能とする。
また、従来の静止衛星では不可能であった極域での地球観測も可能となる。また、該超高々度太陽同期軌道衛星は、1つの衛星でほぼ地球の半球を同時にカバーすることができるので、通信衛星として利用することによって、同一の仮想軌道上に3機の前記衛星を等間隔で配置することにより、地球のほぼ全域をカバーする通信が可能となる。
[0007]
本発明の超高々度太陽同期軌道衛星の軌道は、傾斜角iと離心率eの比は、特別な1.73の値である必然性はなく、任意の値を選択でき、ゼロにいたるまで連続的に地球の公転と同期条件を保ち、幾何学的な位置関係を凍結できる性質をもっている。
また、本発明の超高々度太陽同期軌道衛星の軌道は、凍結条件を緩和し、近似的に同期条件が成立する軌道、すなわち幾何学的な位置関係が振動的ながら一定の範囲に凍結できる軌道を採用することもできる。その軌道は、投入に要する軌道修正速度を低減できるという実用的な長所を有している。
【0008】
さらに、本発明の超高々度太陽同期軌道衛星システムは、前記超高々度太陽同期軌道衛星を、地球引力の摂動を用いて、超高々度太陽同期軌道に配置することができる特徴を有している。通常の2体問題としての力学、物理的な性質では、これらの超高々度の太陽同期軌道への投入には、非常に大きな軌道修正速度が必要であったり、長期間の投入までの飛行が必要と考えられる。本発明における前記超高々度の太陽同期軌道を達成する打ち上げから投入までの方法は、地球引力を利用して、摂動にて、軌道の変更を行わせる、3体問題としての性質を利用することによって前記考えに反して、短期間に少ない軌道修正速度を用い得るだけで、広範なi/e 比軌道、近似的な同期性軌道への投入を可能にするもので、実用化には必須な技術である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の超高々度太陽同期軌道衛星システムによれば、太陽を周回し地球の影響圏を超える数百万kmの超高々度で太陽と地球に対する方向および相対位置関係を一定に保って、見かけ上地球を周回する太陽同期軌道衛星を得ることができる。そして、本発明による超高々度太陽同期軌道衛星は、地球との距離が、熱輻射の影響を受けない十分な距離を確保できる一方、距離が拡大せず、且つ地球を中心と見たてた仮想軌道面に垂直なベクトルが公転にかかわらずほぼ固定される条件を作ることができるので、宇宙空間観測用、地球観測用、衛星通信用の衛星として、従来軌道の衛星と比べて多くの有利な点を有している。特に、赤外線望遠鏡を搭載して天文観測衛星、地球観測衛星として利用することによって、解像度の高い画像など高精度・高品質のデータを提供しうるし、また、北半球からの可視条件を選択的に向上させることができる地球観測ができ、さらに、かなりの期間にわたって、極域を含む地球半球を覆域とすることができるので、3機程度の少ない衛星で地球全域をほぼ同時にカバーする通信が可能となる。
また、本発明の超高々度太陽同期軌道衛星は、一旦投入されると、軌道維持運用は基本的に不要であり、軌道修正燃料の大幅な削減が可能であり、かつ軌道投入までの期間においても、早期から観測を行なうことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る周期1年の太陽同期軌道の軌道面外図である。
【図2】その軌道平面図である。
【図3−A】図1に示す本発明の太陽同期軌道の太陽から見た地球を中心とする軌道面外図である。
【図3−B】その側面からみた軌道外面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る周期1年の太陽同期軌道衛星の太陽から見た地球と衛星の位置関係を示す説明図である。
【図5−A】理想的な超高々度太陽同期軌道の厳密数値シミュレーション図のx‐z面におけるシミュレーション図である。
【図5−B】そのx‐y面におけるシミュレーション図である。
【図5−C】そのy‐z面におけるシミュレーション図である。
【図6−A】地球引力の摂動を利用して投入した超高々度太陽同期軌道の投入シミュレーション図のx‐z面におけるシミュレーション図である。
【図6−B】そのx‐y面におけるシミュレーション図である。
【図6−C】そのy‐z面におけるシミュレーション図である。
【図7−A】地球引力の摂動を利用して投入した、i=〜0度の低傾斜角の超高々度太陽同期軌道のシミュレーション図のx‐z面におけるシミュレーション図である。
【図7−B】そのx‐y面におけるシミュレーション図である。
【図7−C】そのy‐z面におけるシミュレーション図である。
【符号の説明】
【0011】
1 黄道面
2 衛星軌道面
3 衛星
4 地球
5 太陽
6 地球公転軌道
7 衛星軌道
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の最良の実施形態を図面を参照して説明する。
本発明の要点は、衛星を地球近傍を飛行する惑星間軌道に投入するもので、幾何学的な関係によって太陽同期条件を得るものである。
即ち、本発明の衛星は、図1に示すように、黄道座標において黄道面1に対して衛星軌道面2が傾斜となるように、周期1年で太陽5を周回するように衛星3を惑星間軌道に投入するもので、理想的には地球4の中心からみて衛星が常にその公転面に相対的に60度あるいは−60度傾斜した面上に存在するようにする。地球の公転周期と同一の周期をもち、すなわち同一の軌道半長径距離をもち、離心率のみが異なる衛星の軌道運動は、地球公転平面内では閉曲線である楕円を描く。一方軌道面外運動は面内運動と完全に独立であるため、軌道面外へ軌道上下幅を適切に選択すると、地球からは一定の半径線上を周回するように見えるわけである。地球の公転軌道平面で見れば図2に示すように、太陽5を中心として地球公転軌道6と衛星軌道7がほほ同一の円軌道で、僅かに異なる離心率をとり、太陽を周回する。これを地球を中心にして太陽からからみると、衛星は図3、図4に示すように、見かけけ上、地球を回る円軌道を描くように見える。
【0013】
以上の軌道に配置される衛星は、具体的には、軌道周期1年(正確には地球の重力の影響を受けるので、僅かなずれが生じる)、離心率eと軌道傾斜角iの比が、1:30.5 の比、即ち約1.73の比になるよう調整して投入することで達成される。これにより、地球からの距離が不変で、かつ太陽、地球との位置関係も不変にすることが可能である。また、地球の重力の影響をほとんど受けないため、一旦該軌道に投入されると、軌道維持のための運用は基本的に不要である。離心率eと軌道傾斜角iの比は、この値以外であっても、地球からの距離の最小値を保証できるため、距離変動は伴うものの、太陽同期条件を満たす、有用な軌道であるということができる。
【0014】
地球重力場の摂動を用いて実現する従来の太陽同期軌道の場合は、太陽同期条件は、地球公転面に対して傾斜した地球固定座標にて実現されるため、その太陽との同期性は厳密ではなく、局所太陽時は維持できるものの、日陰を生じたり、太陽との幾何学的関係に変動を生じてしまう問題があった。本発明の軌道では、得られる太陽同期条件は、黄道面つまり地球の公転面座標系にて定義されるため太陽との同期性は一定に保たれる。逆に赤道面系すなわち地球固定座標に関する性質は季節変動を受けるが、これは逆にある意味で利点でもある。特に夏至において赤緯を84度に設定する軌道計画を採用すると、夏至周辺の3ヶ月間は北半球中緯度以北、例えば日本から終日可視の条件におくことができ、冬至においても、赤緯−36度で1日に8時間の運用を確保させることができる。春分、秋分においても1日に約14時間の運用が可能である。この条件は全く反対に南半球を対象としても成立させることができる。
【0015】
衛星の地球からの距離は、理論上は地球の影響圏を超える程度の距離を確保すれば、この条件を満足できるはずであるが、長期の軌道安定性を確保するためには、数百万km以上、例えば200〜500万km以上とし、且つデータ送信速度の観点からは必要最低限の短い距離とするのが妥当である。この場合、地球引力圏脱出時の無限遠速度はほぼゼロないし1〜2km/sであり、最終の同期軌道投入には、軌道高度によっても相違するが、惑星間で概ね数百m/sの軌道修正を行う必要がある。打ち上げは秋分もしくは春分が適当で、打ち上げてから約1年後に、この太陽同期条件に到達させることができる。目標とする軌道条件によっては、打ち上げ季節は任意に設定できる。同期条件に到達するまでの間も、衛星は地球から十分に離れた惑星間空間を飛行するため、SIRTF衛星と同じように早期に観測を開始し、また継続することも可能である。なお、観測期間の要求が短い場合や、太陽、地球との幾何学的な条件の緩和が可能な場合には、厳密な投入を行わずに略同期条件を満たさせドリフトさせる方法も可能で、その場合には軌道の維持・修正燃料の大幅な削減が可能である。
【0016】
以上のような軌道に配置される本発明の超高々度太陽同期軌道衛星は、種々のサービスの提供に利用できる。例えば、本発明の超高々度太陽同期軌道衛星システムでは次のような新しい宇宙空間観測法が実現できる。本発明の超高々度太陽同期軌道衛星は、地球を中心と見たてた仮想軌道を、地球1公転間に1回だけ回転する条件を作ることができる。この軌道上では常時局所鉛直方向と90度をなす衛星の軸方向を確保できるので、地球からの光、熱を避けることができる。したがって、この軌道を周回する衛星に赤外線望遠鏡を搭載することによって、地球からの光、熱の影響を受けることなく、天文観測が可能となる。もちろん地表面上の直下点での地方太陽時は常に一定で、地球観測を高品質で実施することも可能となる。この衛星は地球の極域を通過するので、例えば従来の気象衛星では実現できなかった北極圏の気象観測を実施し、データを提供することができる。
特に、本発明の衛星は、i/eが大きい軌道では、この仮想軌道面に垂直なベクトルは常時ほぼ反太陽方向を向き、慣性系に対しては1公転でほぼ黄道面をスキャンする。i/eの選択次第で、この軌道面に垂直な方向と太陽とのなす角度を選択することができ、目的とする宇宙空間観測に対して最適な設定を行える自由度がある。
【0017】
また、本発明のシステムでは次のような新しい衛星通信システムが実現できる。この超高々度太陽同期軌道衛星は、衛星が地球からかなり遠方を飛行するため、地球のほぼ半球を同時にカバーすることが可能である。したがって、この衛星を通信衛星として利用することができ、とくに3機の衛星を同一の仮想軌道上に等間隔で配置することにより、地球のほぼ全域をカバーする通信システムが実現できる。特に、本発明の軌道は、太陽同期条件を維持するため、衛星直下点の地方太陽時は、季節によって厳密に固定されるため、ユーザーは予め決められた特定のアンテナ指向操作を行なわせることで、容易に衛星を捉えることができ、静止衛星に頼らない通信システムを簡便に構築することができる。
【0018】
図1〜図4で示されている超高々度太陽同期軌道衛星の性質は、基本的には地球の引力を無視し、太陽と衛星の間の2体問題の軌道の特性に基づいたものであり、厳密な太陽同期条件を満たすように凍結されている軌道であり、i/e=1.73という比が成立し、軌道は同じ軌跡を辿るように推移し、地球からの距離がほぼ一定に保たれる。図5は、この衛星を距離10×10kmに一定にする軌道の理想的な超高々度太陽同期軌道の厳密数値シミュレーション例である。この場合、i/e比は約1.73にとり、地球の引力、同時に全太陽系天体の引力を導入して厳密に数値評価した。その結果、図示のように、軌道は同じ軌跡をたどるように推移し、地球からの距離がほぼ一定に保たれ、本発明の超高々度太陽同期軌道の安定性が確認された。この軌道の維持には、1年間に、100〜200m/sの増速を要する。図5において、x軸は太陽から地球方向を常時向かせた方向であり、y軸は地球公転方向、z軸はそれらと右手系をなすよう定義した軸である。中心は地球中心である。同図において、各軸の片長さは、10×10kmである。
【0019】
本発明の超高々度太陽同期軌道衛星は、太陽と衛星の間の2体問題の軌道の特性に基づいた上記実施形態に限らず、i/e 比が必ずしも特別の値1.73ではない場合にも、太陽同期軌道としての性質を維持することができ有用である。また厳密な太陽同期軌道条件を満たさなくても近似的な太陽同期軌道を見出すことができ、同期性は振動的ではあるものの少ない軌道修正量で特性を維持できる。この場合は、既述のように、地球引力を利用して、摂動にて、軌道の変更を行わせる、3体問題としての性質を利用することによって、短期間に少ない軌道修正速度を用い得るだけで、広範なi/e 比軌道、近似的な同期性軌道への投入を可能にしたものである。即ち、本実施形態の超高々度太陽同期軌道衛星は、3体問題における軌道運動の解の性質を利用し、それによって定められる適切な初期条件(主として、飛行経路方位角と脱出軌道投入時刻)を満たすべくロケットなどによって投入されると、以降の格別の操作なしに軌道に投入することができる。
地球重力の影響(摂動)を考えない理想的な場合には、軌道投入時に地球から黄道面内に脱出する方向は、太陽‐地球線上となるが、摂動を考慮して、地球近傍に再帰する軌道計画を実現するためには、この脱出方向を適切に地球公転方向にずらせることが必要である。上記摂動を利用する軌道投入方法は、この技術的手段を用いたものであり、図6及び図7にその具体例を示す。
【0020】
図6A〜6Cは、地球引力の摂動を活かして、打ち上げからi/e比が1程度の超高々度太陽同期軌道への投入シーケンスを具体的に示したものである。この場合、投入までに要する増速量は、約500m/s である。
図7A〜7Cは、同様に打ち上げから投入までの地球引力の利用操作を実証した、i=〜0度の場合の軌道例である。この条件であれば、投入までに要する増速量は、140m/s程度にすぎず、非常に実用性も高い。
図6、7において、図5と同様、x軸は太陽から地球方向を常時向かせた方向であり、y軸は、地球公転方向、z軸はそれらと右手系をなすよう定義した軸である。中心は地球中心である。図6A〜6Cにおいて、各軸の片長さは、10×10kmであり、図7A〜7Cにおいては、5×10kmである。各軌道図は、月を含めて太陽系主要天体の質量と軌道要素をすべて反映して数値積分された結果である。
産業上の利用可能性
【0021】
以上のように、本発明の超高々度太陽同期軌道衛星システムは、数百万km以上の超高々度を太陽同期条件を維持して飛行し、地球からの熱輻射の影響を受けない十分な距離を確保できる一方、その距離が安定に維持されまたは拡大しないため、太陽と地球に対する同一の幾何学的条件を維持することができ、しかも一旦投入されると軌道維持運用が基本的に不要であり、新規の宇宙空間観測システムや、静止衛星によらない新しい通信システム等、産業上種々の分野に利用可能である。

Claims (9)

  1. 太陽(5)を周回しつつも見かけ上は地球を超高々度で、略円ないし楕円を描いて周回し、地球に相対的な軌道面がほぼ凍結される、超高々度太陽同期軌道衛星(3)を備え、該衛星により宇宙空間観測、地球観測、衛星通信の何れかのサービスを行なうことを特徴とする超高々度太陽同期軌道衛星システム。
  2. 前記超高々度太陽同期軌道衛星が略周期1年の太陽同期軌道衛星である請求項1に記載の超高々度太陽同期軌道衛星システム。
  3. 前記超高々度太陽同期軌道衛星が地球の影響圏を超える数百万km以上の距離にて見かけ上地球を周回する太陽同期軌道衛星である請求項1又は2に記載の超高々度太陽同期軌道衛星システム。
  4. 前記宇宙空間観測は、地球を中心と見たてた前記超高々度太陽同期軌道衛星の仮想軌道面に垂直なベクトルが公転にかかわらずほぼ固定される条件を作り、地球からの光、熱の影響を避けて、1公転でほぼ全天球を走査し、宇宙空間観測を行なう請求項1〜3何れかに記載の超高々度太陽同期軌道衛星システム。
  5. 前記地球観測は、前記超高々度太陽同期軌道衛星(3)の地表直下点における地方太陽時が一定であることを利用して、高品質の地球観測を行なう請求項1〜3何れかに記載の超高々度太陽同期軌道衛星システム。
  6. 前記衛星通信は、1つの前記衛星でほぼ地球半球を同時にカバーすることができ、前記同一仮想軌道上に3機の前記衛星(3)を等間隔で配置することにより、地球のほぼ全域をカバーすることができる請求項1〜3何れかに記載の超高々度太陽同期軌道衛星システム。
  7. 前記超高々度太陽同期軌道衛星(3)において、地球引力の摂動を用いて、広範な範囲の軌道傾斜角と離心率の比にわたって、太陽同期軌道としての幾何学的関係を、ほぼ凍結できるようにした、請求項1又は2に記載の超高々度太陽同期軌道衛星システム。
  8. 前記超高々度太陽同期軌道衛星(3)における、軌道傾斜角と離心率の比を1.73にとり、太陽同期軌道としての幾何学的関係、地球から衛星までの距離を同時に凍結できるようにした請求項1又は2に記載の超高々度太陽同期軌道衛星システム。
  9. 前記超高々度太陽同期軌道衛星(3)を、地球引力の摂動を用いたシーケンスにより、軌道修正量を大幅に削減して、超高々度太陽同期軌道に投入される、請求項1に記載の超高々度太陽同期軌道衛星システム。
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