JP4460711B2 - 撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CCD等の撮像素子を用いた撮像装置に係わり、特に画像ぼかしの機能を有した撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビデオカメラなどの撮像装置は従来より広く利用されており、近年主として静止画を撮像記録する電子スチルカメラも特にデジタルカメラとして普及するに至っている。
【0003】
ところで、電子撮像装置が使用する撮像素子のイメージエリアは銀塩フィルムの代表的フレームフォーマットであるライカ版(ダブルフレーム)は勿論、ハーフサイズ(シングルフレーム)やAPS(Advanced Photo System)に比しても極めて小さいのが通例である。これは、半導体製造歩留まり向上の要請から生じる必然的状況である。そして、撮像光学系の縦倍率は横倍率の2乗に比例するため、同画角における被写界深度は、他の条件が同じ時にはイメージエリアサイズが小さければ小さいほど深くなる。このため、電子撮像装置によって得られた画像は、銀塩カメラによって得られた画像に比して極めてパンフォーカス的印象の画像になり、いわゆるポートレート撮影等には不向きとなり易い問題があった。
【0004】
この問題に対処するために、画像処理技術を利用することが考えられる。即ち、フィルムカメラにおけるポートレート撮影は中望遠レンズを使用し人物に対して背景を大きくぼかすことによって達成されると考えれば、被写体領域によって異なる処理を行って背景だけをぼかすことができれば、フィルムカメラ類似のポートレート効果を持つ画像が得られる可能性がある。このような技術として本出願人は、操作者が領域指定した「背景領域」に対して所定のローパスフィルタ処理を施す方法を既に提案している(特開平10−20392号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術は、「背景領域」に対してローパスフィルタ処理を施すものであるから、
(1)主要被写体はぼけない
(2)背景には一律なぼけが与えられる
ものである。
【0006】
しかし、現実の写真撮影におけるぼけはこのようなものではない。即ち、主要被写体も、また背景もそれぞれ(一般には)立体的な構造を有したものであり、それ自体が奥行きに応じて連続的に生じるぼけを伴うものである。例えば、ポートレート撮影における人物のアップを考えると、瞳(又は睫毛)にピントが合って、頬の輪郭部は浅い被写界深度によってややぼけるようになっていることによって、よりリアルな(写実的な)効果が得られるものである。
【0007】
従って、上記従来技術を単純に適用すると、現実の画像のぼけと、上記(1)(2)のような処理上の特徴との乖離が目立ち、たとえて言えば人物写真と背景写真を看板状にして舞台に立てた如き「書き割り的画像」、或いはいかにも切り貼りで作った如き「コラージュ的画像」のような不自然さを有した画像となってしまうという問題点があった。
【0008】
また、言うまでも無く主要被写体領域と背景領域とを個別に認識する必要があるため、このための特段の手段を必要とする上、もしも誤認識が発生した場合には例えば主要被写体に対して背景相当の大ぼけが発生するなど画質が破綻してしまう、という極めて大きな問題を含むものであった。
【0009】
本発明は、上記事情を考慮して成されたもので、その目的とするところは、現実の被写体を所定の撮像系(例えば銀塩カメラ)で撮影した時と同等のぼけ特性を有した撮像を実現することにあり、より具体的には、主要被写体と背景等の弁別を必要とすることなく、被写体の奥行きに応じたぼけを連続的に生じることによりリアルな画像を得ることが可能な撮像装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(構成)
上記課題を解決するために本発明は次のような構成を採用している。
【0011】
即ち本発明は、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮像装置において、被写体像を撮像する撮像素子と、この撮像素子に対する被写体像の焦点深度を絞りにより可変設定する撮像光学系と、この撮像光学系の焦点深度を制御する焦点深度制御手段と、前記撮像素子の出力信号たる画像信号を処理する信号処理手段と、前記焦点深度制御手段を制御して前記撮像素子より異なる焦点深度の被写体像に対応する第1の画像信号と第2の画像信号を得、該第1の画像信号と該第2の画像信号のコントラスト成分の比によって表わされる画素毎のコントラスト比を演算するコントラスト比算出手段と、前記コントラスト比と所定の撮像系に適用するローパスパラメータとの関係を表わすテーブルが記憶された記憶手段とを有し、前記信号処理手段は、前記記憶手段に記憶されたテーブルを参照して算出した前記画素毎のコントラスト比に対応するローパスパラメータを適用して前記第1の画像信号にローパスフィルタ処理を行なうものであることを特徴とする。
【0013】
(作用)
本発明によれば、例えば開放と絞込みの2画像など、深度の異なる複数の撮影画像から相対的なぼけ情報(コントラスト比)を得て、これに基づいた可変フィルタ処理により画像ぼかしを行う。
【0014】
上記コントラスト比と所定の撮像系に適用するローパスパラメータとの関係を表わすテーブルを予め記憶しておき、このテーブルを参照して算出した画素毎のコントラスト比に対応するローパスパラメータを適用して上記第1の画像信号にローパスフィルタ処理を行なうから、想定光学系(撮像系)に対して、被写体各部までの距離に応じて生じるぼけ、即ち現実の被写界において奥行きに応じて連続的に生じるぼけを伴うリアルな撮影画像を得ることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係わるデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【0017】
図中101は各種レンズからなるレンズ系、102はレンズ系101を駆動するためのレンズ駆動機構、103はレンズ系101の絞りを制御するための露出制御機構、104はフィルタ、105は色フィルタを内蔵したCCDカラー撮像素子、106は撮像素子105を駆動するためのCCDドライバ、107はA/D変換器等を含むプリプロセス回路、108は色信号生成処理,マトリックス変換処理,その他各種のデジタル処理を行うためのデジタルプロセス回路、109はカードインターフェース、110はCF等のメモリカード、111はLCD画像表示系を示している。
【0018】
また、図中の112は各部を統括的に制御するためのシステムコントローラ(CPU)、113は各種SWからなる操作スイッチ系、114は操作状態及びモード状態等を表示するための操作表示系、115はレンズ駆動機構102を制御するためのレンズドライバ、116は発光手段としてのストロボ、117はストロボ116を制御するための露出制御ドライバ、118は各種設定情報等を記憶するための不揮発性メモリ(EEPROM)を示している。
【0019】
本実施形態のデジタルカメラにおいては、システムコントローラ112が全ての制御を統括的に行っており、特に露出制御機構103に含まれるシャッタ装置と、CCDドライバ106によるCCD撮像素子105の駆動を制御して露光(電荷蓄積)及び信号の読み出しを行い、それをプリプロセス回路107を介してデジタルプロセス回路108に取込んで、各種信号処理を施した後にカードインターフェース109を介してメモリカード110に記録するようになっている。なお、CCD撮像素子105は、従来例と同一のものであり、例えば縦型オーバーフロードレイン構造のインターライン型である。
【0020】
ここまでの基本構成は従来装置と同様であるが、本実施形態ではこれに加え後述するように、コントラスト算出領域に対してコントラスト成分を算出するためのコントラスト算出手段、該手段の算出結果に基づいて画像の各点に対して重み付け平均演算を行うローパスフィルタ手段を備えている。そして、これらの各手段により、画像ぼかしを行うようになっている。
【0021】
ここで、コントラスト算出手段及びローパスフィルタ手段を説明する前に、まず本発明の理論的裏付け(幾何光学的考察)を説明する。
【0022】
撮像光学系の縦倍率は、図2に示すように、被写体側のある2つの点P,QがそれぞれP’,Q’に結像されるとすると、距離P’Q’と距離PQの比で定義される。そして、この縦倍率は焦点距離の2乗に比例する。撮像画面サイズが異なる場合の等画角条件は、図3に示すように、焦点距離fがサイズW(1次元)に比例することだから、等画角等F値撮影においては、同じ距離(ベストピント距離から等しいずれ)にある被写体のぼけ度合(錯乱円の画面サイズに対する相対値)は画面サイズにほぼ比例して大きくなる。錯乱円の大きさδは図4に示すように、被写体がベストピントの位置にあるときは微小点であり、ピントがずれるに従い大きくなり、δ=d・A/f=d/F(A:開口径、d:デフォーカス量)で求められる。
【0023】
例えば、標準的な35ミリ版(36×24)では、対角長43.3ミリ、2/3インチと呼称される撮像素子の有効画面サイズは対角約11ミリ前後だから、サイズ比は約4倍。等画角では焦点距離も4倍の関係にある。同じ被写界距離ずれの場合、像面の結像位置ずれ(即ちデフォーカス量)は縦倍率が焦点距離の2乗に比例するから42=16倍になり、従って錯乱円径は(等Fの場合デフォーカス量に比例するから)16倍になる。但し、画面サイズは4倍だから、相対的には16/4=4倍の錯乱円径ということになる。
【0024】
つまり、同じ撮影条件(等画角等F)の場合には撮像した画像に生じているピントぼけの4倍のぼけを与えれば良いというのが基本的なねらいとなる。しかし、4倍といっても各部分の距離分布が未知であるから、元々どの程度のピントぼけが生じているのか不明であって、単純には実現できない。画像信号を解析してぼけ状態を調べようと思っても、原画像(被写体)周波数成分は未知であるから基本的には不可能である。
【0025】
ここで、被写体の周波数成分が均一に分布していることを仮定すれば、以下の推定が可能となる。具体的には、例えば開放(F2)と絞込み(F4)の2画像を撮影して、着目する領域毎の(局所的な)コントラスト比を算出する(コントラストC(F2),C(F4))。
【0026】
通常の撮像レンズを用いた撮像系では、図5に示すように、コントラストはインフォメーションボリウム(周波数を横軸に採って描いたレスポンスカーブの下側面積)に相当し、従って近似的にカットオフ周波数に比例する。またこのカットオフ周波数は錯乱円径の逆数に対応する。図5はベストピント状態およびベストピントから所定のずれがある場合のレンズ(または撮像系)のレスポンスカーブを示しており、図中のハッチング部分がF2の場合のインフォメーションボリウム(IV)、上向きの矢印はカットオフ周波数である。
【0027】
錯乱円径は、前記図4に示すように、δ=d/F(dはデフォーカス量)で求められるから、デフォーカス量が同じであれば、
δ(F2)=2×δ(F4)
である。これを変形すれば
δ(F2)−δ(F4)=δ(F4)−0
とも書ける。ここでこの式の意味を像の広がりの外縁(即ち錯乱円の径)だけに着目して解釈すれば、着目する任意のデフォーカスd=dxにおいて「F4からF2に開くことによって生じる追加のぼけ」(左辺に相当)は、「絞りF=4においてd=0(ベストピント位置)からd=dxまでデフォーカスした場合に生じるぼけ」(右辺に相当)と等しいことになる。この様子を図6に示す。
【0028】
ここで、上記知見を現実のデジタルカメラ撮像系において直接測定(算出)可能な量である前述の局所画像コントラストに対応付けるとすれば、実空間におけるぼけの重ね合わせ(加算)は周波数空間ではレスポンス(コントラスト)の乗算に対応すること、及び錯乱円径(空間長さ)は空間周波数と逆数関係にあることなどを考慮して、上式の左辺相当が「F4の画像に対して、F2に開くことによって生じるぼけ(レスポンス低下)をさらに含んだF2の画像におけるコントラストをF4のコントラストを基準にして相対的に評価する」意味をもつコントラスト比Cd(F2)/Cd(F4)であり、右辺相当が「ベストピントの画像に対して、(F4において)デフォーカスによって生じているぼけ(レスポンス低下)を含んだF4の画像におけるコントラストをベストピントのコントラストを基準にして相対的に評価する」意味をもつコントラスト比Cd(F4)/Cd(BP)ということになる。(ただしF4においてd=dxにおけるコントラストをCd(F4)、F2においてd=dxにおけるコントラストをCd(F2)仮想的なベストピントのコントラストをCd(BP)としている。)
図7は、デフォーカスとコントラストとの関係を示す図であり、図6に示した錯乱円の関係に相当するものである。
【0029】
さて上記考察より、上記錯乱円の関係式に対応するコントラストの関係式は
Cd(F2)/Cd(F4) = Cd(F4)/Cd(BP)
であるから
Cd(F4) = {Cd(F2)/Cd(F4)}×Cd(BP)
となり、この{}を「ベストピント状態におけるコントラストに対する劣化度合を表わす係数」と見做してコントラスト劣化係数:Rd(F4)とする(記号は以下同様に使用)。
【0030】
F2では錯乱円径、即ちぼけが2倍だから
仮想的な35ミリフィルムカメラ(以下これに関する記号については添字fで表現する)ではぼけ4倍であったから
と求めることができる。
【0031】
但し、上記はベストピントを基準にとった場合の係数になっている。実際に利用可能な画像はF2(F4でも可だが)でのデフォーカスを既に含んだ画像であることも考慮に入れると
なお、上記で、F2を任意のFとしたとき、F4を2×Fとして一般性を失わない。
【0032】
上記の考察に基づいて本実施形態では、図9のような構成をシステムコントローラに付加している。即ち、撮像素子105で得られる画像を一時的に記憶する2つのバッファメモリ911,912、2つの画像を基にそれぞれコントラスト算出領域でコントラスト成分を算出するコントラスト値検出部(コントラスト算出手段)921,922、2つのコントラスト成分の比を算出するコントラスト比算出部930、コントラスト比とローパスパラメータとの関係を記録する参照テーブル940、画像に対してぼけを与えるローパスフィルタ手段950が設けられている。
【0033】
ここで、コントラスト算出領域とは、画像の各点(代表点)に対し、これを中心とする近傍領域(例示9×9)を設定したものである。各点に対して設定するから各領域はオーバーラップする。その領域に関する算出値は代表点に関する値となる。
【0034】
コントラスト値検出部では、各領域に対して、コントラスト成分を算出する。コントラスト成分は、領域に関する交流成分である。FFT,DCT等の公知の周波数解析手法により周波数分離し、DC成分以外、即ち全AC係数の加算値をコントラスト成分とする。なお、演算を簡略化するために精度の劣化を許容すれば、単に領域内のPP値をもってコントラスト成分としてもよい。
【0035】
ローパスフィルタ手段は、画像の各点(代表点)に対し、入力画像情報の重み付け加算平均演算を行い、結果をその点の出力値とする。理想的には同心円状の連続的な重み付け係数を有した2次元ガウス型となるが、ここでは簡単のため相対重みが中心で1、半径L(即ち直径2L)で0になるような円錐型の重みを持ったフィルタ特性(Lが可変パラメータ)とする。このフィルタにおいては概ね相対重みが1/2〜0になる点が上記錯乱円に対応する。なお、必要に応じて、Lの最大値に適当に制限をかける。Lの最大値をLmaxとする。
【0036】
一方、実際の系ではレンズや従来の信号処理回路によって、総合的な帯域特性(ベストピント状態におけるインフォメーションボリウム≒コントラスト)が決まるから、どのような関数形のローパスフィルタを用いても、コントラスト比との一意的な対応関係は単純には決まらない。そこで、別途この撮像系におけるコントラスト比とローパスパラメータLとの関係を求めておく。
【0037】
即ち、例えばステップチャートなどの広帯域画像を被写体に用い、このカメラの撮像系でベストピント状態(望ましくはかつ最良解像度が得られるF値)で撮像した状態で、上記ローパスフィルタ手段を作用させ(作用させない場合はローパスパラメータL=0とする)、L=0を含む所定の複数のL=Lxにおけるコントラスト測定値Cd(L=Lx)を求める。これらをCd(L=0)で除して規格化したものを、コントラスト劣化関数R(Lx)とする。なお、演算処理上の破綻を回避するために、R(Lmax)=0としておく。そして、図8に示すような関数テーブルを作成し、これを記憶手段、例えばEEPROMに格納しておく。
【0038】
次に、本実施形態における動作を、図10のフローチャートを参照して説明する。例えばF2での撮影の場合、以下のシーケンスが自動実行される。
【0039】
(S1)絞りをF2セットして、測光結果に基づいた適正シャッタ速で第1画像を撮影する。そして、通常の信号処理方法に従って処理し、第1画像を第1のバッファメモリ911に格納する。
(S2)絞りをF4セットして、上記の4倍の露出時間(同等の露出レベル)で上記同様に、第2画像を得て第2のバッファメモリ912に格納する。
【0040】
(S3)各画素(領域)に関して各々のコントラスト値検出部921,922でコントラスト値を求める。これにより、第1画像についてはCd(F2)(i,j)、第2画像についてはCd(F4)(i,j)が求まったことになる。
【0041】
(S4)各画素毎に、次式でコントラスト比を演算する。
【0042】
Rd(F4)(i,j)=Cd(F2)(i,j)/Cd(F4)(i,j)
(S5)最終生成する(仮想フィルムカメラ等価の)フィルタ特性は第1画像(F2)を基準にして{Rd(F4)}6 であるから、各点に関して{Rd(F4)(i,j)}6 を算出する。これをRと見做して上記コントラスト劣化関数に参照(必要に応じて補間参照)し、対応するローパスパラメータL(i,j)を算出する。
【0043】
(S6)第1画像のデータを入力画像として、ローパスフィルタ手段950によりローパスフィルタ処理を行う。(i,j)出力画素の処理に際してはローパスパラメータL(i,j)を使用する。
(S7)最後に、処理後の出録画像を記録する。
【0044】
このように本実施形態によれば、主要被写体と背景とを弁別することなく、被写体の各部分に対して仮想的な等画角等Fのフィルムカメラで生じるぼけとほぼ同等のぼけを有したリアルな画像を得ることができる。コントラスト比を算出するところでコントラスト値が所定値より小さい場合は演算誤差やノイズの影響が拡大する畏れがある。これを回避するためには種々の策が取りうるが、一例として、分子分母に所定のオフセット値を加算する/分母が所定値より小さい場合は演算結果を1とする(即ちローパスフィルタを作用させない)などが挙げられる。
【0045】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。実施形態では、考察を容易にするため被写体の周波数成分が均一であることを仮定したが、当該コントラスト算出領域において実際の被写体の周波数成分が限られた帯域の場合であっても、「その帯域に関するぼけの度合」が検出され、その度合に応じたローパス処理が行われることになるから、上記仮定が成り立たない一般の被写体に適用しても実施形態は同様に効果を発揮する。
【0046】
また、実施形態では想定撮像系を35ミリ版銀塩フィルムカメラとしたが、上記においてはただ画面サイズの違いのみに基づく考察、処理しか条件にしてないから、銀塩フィルムと電子撮像系などの方式を問わず、画面サイズが異なる等画角撮影一般に適用可能であることは明らかである。実撮影系の画面サイズも任意である。上記では画面サイズ比4倍を根拠にRf(F2)=Rd(F2)4 としたが、これが任意のm倍ならRf(F2)=Rd(F2)m として適用すればよい。
【0047】
また、「等画角、等Fの想定光学系同等のぼけを得る」に留まらず、ぼかし具合(即ち想定条件)を任意に変えてもよい。この場合も、実際の光学系の深度を変化させた複数の画像情報から被写体の各部の深度に関する情報を取得し、それを利用して各部に異なるぼけを与えるから、画像のリアルさは保たれる。
【0048】
また、開放をF2、第1画像をF2、第2画像をF4などはいずれも例示であり、任意に変更適用できる。第1画像と第2画像の撮影は、比較のため同等の露出レベルとする必要があるが、それは上記例(等露出値)に限らず、ゲインアップ手段も含めて実現されればよい。スチルカメラ、ムービーカメラの別を問わない。例えば、高速動作できる液晶で輪帯絞りを構成し、1フィールド毎にF値の異なる画像を得るようにすれば、連続ムービー撮影にも適用可能である。
【0049】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、任意の想定光学系(撮像系)に対して、被写体各部までの距離に応じて生じるぼけ、即ち現実の被写界において奥行きに応じて連続的に生じるぼけを伴うリアルな撮影画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる電子カメラの概略構成を示すブロック図。
【図2】撮像光学系の縦倍率の定義を説明するための図。
【図3】焦点距離と画面サイズとの関係を示す図。
【図4】デフォーカスと錯乱円との関係を示す図。
【図5】空間周波数と相対レスポンスとの関係を示す図。
【図6】デフォーカスと錯乱円との関係を示す図。
【図7】デフォーカスとコントラスト比との関係を示す図。
【図8】ローパスパラメータLとコントラスト劣化関数Rとを関係付けた関数テーブルを示す図。
【図9】本実施形態におけるぼかし制御のための構成を示すブロック図。
【図10】本実施形態における動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
101…レンズ系
102…レンズ駆動機構
103…露出制御機構
104…メカシャッタ
105…CCDカラー撮像素子
106…CCDドライバ
107…プリプロセス部
108…デジタルプロセス部
109…カードインターフェース
110…メモリカード
111…LCD画像表示系
112…システムコントローラ(CPU)
113…操作スイッチ系
114…操作表示系
115…レンズドライバ
116…ストロボ
117…露出制御ドライバ
118…不揮発性メモリ(EEPROM)
910…バッファメモリ
920…コントラスト値検出部
930…コントラスト比算出部
940…参照テーブル
950…ローパスフィルタ手段
Claims (1)
- 被写体像を撮像する撮像素子と、この撮像素子に対する被写体像の焦点深度を絞りにより可変設定する撮像光学系と、この撮像光学系の焦点深度を制御する焦点深度制御手段と、前記撮像素子の出力信号たる画像信号を処理する信号処理手段と、前記焦点深度制御手段を制御して前記撮像素子より異なる焦点深度の被写体像に対応する第1の画像信号と第2の画像信号を得、該第1の画像信号と該第2の画像信号のコントラスト成分の比によって表わされる画素毎のコントラスト比を演算するコントラスト比算出手段と、前記コントラスト比と所定の撮像系に適用するローパスパラメータとの関係を表わすテーブルが記憶された記憶手段とを有し、前記信号処理手段は、前記記憶手段に記憶されたテーブルを参照して算出した前記画素毎のコントラスト比に対応するローパスパラメータを適用して前記第1の画像信号にローパスフィルタ処理を行なうものであることを特徴とする撮像装置。
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