JP4458676B2 - 磁気共鳴画像法実行中に対象物の場所および方向を推定する装置 - Google Patents
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Description
(発明の分野)
本発明は、身体が磁気共鳴画像法(MRI)によりスキャンされている間、体内または体外に配置された対象物、例えば医療装置の場所および方向を判定する方法論および装置に関する。具体的には、本発明は、小型コイルの組における時変(time−variable)磁場により誘導された電圧を測定することにより、様々な装置(例えば、カテーテル、外科手術器具、バイオプシー針など)の場所および方向の推定を可能にする。そのような時変磁場は、MRIスキャナにより、その通常動作中に発生される。
【0002】
(発明の背景)
(低侵襲手順):低侵襲診断または介入手順は、手術野(field of operation)の直接的な視覚的観察または間接的撮像のいずれかと、使用中の装置の場所および方向の判定とを必要とする。例えば、腹腔鏡介入は、硬性内視鏡を用いた手術野の直接的観察により制御されるが、消化管内の診断および介入手順には通常、可撓性のある内視鏡が使用される。血管カテーテルは、リアルタイムX線撮像でカテーテルの場所および方向を示して、操作者により操作および操縦される。超音波撮像および新しいリアルタイムMRIおよびCTスキャナは、深部標的で、診断手順(例えば、吸引およびバイオプシー)と、治療介入(例えば、切除、局所薬物送達)とを誘導するために用いられる。以前の例は、手術野および装置の直接的(光学)または間接的(撮像)観察を提供しているが、別のアプローチは、機械、光学または電磁手段を用いて体内での装置の場所および方向を判定する、装置の遠隔検知に基づいている。
【0003】
(定位固定):コンピュータ援用定位固定(stereotaxis)は、診断および介入手順を実施するための有益な技術であり、最も典型的には、脳についてのものである。この技術の背景にある概念は、手術野の画像として、同じ座標系における装置の場所のリアルタイム測定を有することである。装置の現在の場所と、その今後の経路とが、画像上にリアルタイムで示され、そして、最低限の器官損傷で装置を操作するように操作者にフィードバックを提供する。伝統的な定位固定の際、患者は、共通座標系を提供する特殊なハロ状ヘッドフレームを着用し、そしてCTまたはMRIスキャンが行われ、ヘッドフレームに対する標的(例えば、腫瘍)の正確な場所を提供する3次元コンピュータ画像を作り出す。この装置は、フレームに機械的に取り付けられ、そしてセンサは、ヘッドフレームに対するその装置の場所を提供する。この技術が脳のバイオプシーまたは低侵襲手術に使用される場合、この技術は、外科医が、標的に到達するためには頭蓋のどこに小孔をあければよいかを判断するガイドとなる。より新しい技術は、ヘッドフレーム無しでナビゲーション棒(navigational wand)を使用するフレームレス技術である(例えば、Nitin PatelおよびDavid Sandeman、「A Simple Trajectory Guidance Device that Assists Freehand and Interactive Image Guided Biopsy of Small Deep Intracranial Targets」、Comp Aid Surg 2:186−192、1997)。この技術では、遠隔検知システム(例えば、光源およびセンサ)が、画像座標系に関する装置のリアルタイムの場所を提供する。しかし、定位固定およびフレームレス技術はいずれも、典型的には、針または生検鉗子のような硬性装置の使用に限定される。なぜなら、それらの適切な動作には、機械的取り付け、または、光源とセンサとの間の照準線、のいずれかが必要だからである。
【0004】
(電磁遠隔検知):より新しい遠隔検知技術は、電磁気学に基づくものである。例えば、Ackerら(米国特許第5,558,091号)は、体内での装置の場所および方向を判定する上記のような方法および装置を開示している。この方法は、ヘルムホルツコイルにより発生される磁場と、直交センサの組とを用いて、これらの磁場の成分を測定し、そしてこれらの測定値から場所および方向を判定する。磁場成分の測定は、ホール効果に基づくものであり、測定信号を生成するために、センサに励磁電流を必要とする。この技術は、誘導電圧が平衡状態に達するために、外部磁場と、定常状態磁場または振動磁場のいずれかとの制御を必要とする。これらの要求は、MRIシステムにより発生される磁場を使用するこの技術の使用を妨げるか、あるいは非常に複雑なものにし、必要とされる磁場を発生させるために専用のコイルの組の追加を必要とする。
【0005】
場所の遠隔検知の異なるアプローチは、Pfeilerら(米国特許第5,042,486号)により開示されており、さらに、Ben−Haimにより、体内マッピングに使用されている(米国特許第5,391,199号)。彼らの技術は、3つの異なる送信器から弱い無線周波数(RF)信号を生成し、装置内部のRFアンテナを通して信号を受け取り、そして、装置の空間的な場所を規定する、送信器からの距離を計算することに基づくものである。以前の方法論と同様に、この技術のMRIへの適用は、MRスキャンによりRF信号が同時に使用されるため、問題がある。潜在的な困難な点は、MRIスキャナの高振幅励起RF伝送による装置内の受信アンテナの加熱と、MR画像内のアーチファクトとである。
【0006】
Dumoulinおよびその同僚らは、MR撮像プロセス中に近傍から放出された(near−neighbourhood)RF信号に敏感な小型受信コイルを用いて、装置の場所を判定する別のアプローチを開示している(Dumoulin CL、Darro RD、Souza SP、「Magnetic resonace tracking」、Interventional MR、Jolesz FAおよびYoung IY編、Mosby、1998)。この方法は、装置の方向を直接的には判定できず、また、コイルの加熱を含む、以前の技術と同様の困難を被り得る。
【0007】
(介入MRI):MRIを強力な臨床撮像道具にする、MRIの利点の多くはまた、介入手順の実施中にも有益である。電離放射線が無いことと、斜めおよび多面撮像能力とは、侵襲手順中に特に有用である。骨からのビーム硬化アーチファクト(beam−hardening artifacts)が無いため、従来のCTなどのその他の撮像技術では困難または不可能であり得る、解剖領域への複雑な接近を可能にする。おそらく、MRIの最も大きな利点は、より優れた軟組織コントラスト解像度(soft−tissue contrast resolution)であり、これは、介入手順の実施中に組織変化の早期の高感度検出を可能にする。現在、多くの専門家はMRIを、介入侵入手順(interventional interstitial procedure)、および場合によっては血管内または管腔内手順をもガイドする最も強力な撮像技術の1つであると考えている(Yoshimi Anzai、Rex Hamilton、Shantanu Shinha、Antonio DeSalles、Keith Black、Robert Lufkin、「Interventional MRI for Head and Neck Cancer and Other Applications」、Advances in Oncology、May 1995、Vol 11、No.2)。
【0008】
現在の方法論の上記背景から、低侵襲手順のための理想的なシステムを規定することができる。即ち、このシステムは、最適な挿入および介入のために、ユーザへのフィードバックとして、リアルタイム3次元非電離撮像(MRIまたは超音波のような)を提供するべきであり、このシステムは、可撓性のある小型装置であって、装置の場所および方向を提供するために遠隔検知される装置を実現するべきである。手術野と、装置の場所および方向との複合画像を組み合わせることにより、操作者は、手術野および装置を直接見ずに、装置をナビゲートおよび操作することができる。これは、脳およびその他の器官における低侵襲介入の使用を容易にし得る。
【0009】
(発明の目的および要旨)
本発明の目的は、3次元空間を移動している対象物の瞬間的(instantaneous)な場所および方向を判定する新規な方法および装置であって、上記の点の1つ以上において利点を有する方法および装置を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、MRIシステムの基本的な普遍的構成要素、即ち、典型的にはそのようなシステムにおいて3つの直交電磁コイルの組により生成される時変磁場勾配(time−varying magnetic gradient)、を利用することにより、MRIシステムにおいて特に有用な、上記のような方法および装置を提供することである。
【0011】
本発明の1つの局面によれば、3次元空間を通って移動する対象物の瞬間的な場所および方向を判定する方法が提供される。この方法は、3つの直交面に構成要素を含む、互いに関して既知(known)の方向の軸を有する複数のセンサコイルを含むコイルアセンブリを、対象物に付与するステップと、大きさおよび方向の既知の瞬間値を有する時変3次元磁場勾配を発生するステップと、空間および空間を通って移動する対象物に磁場勾配を付与して、センサコイルにおいて電位を誘導するステップと、センサコイルにおいて発生された誘導電位の瞬間値を測定するステップと、センサコイルにおいて発生された測定瞬間値を、発生された磁場勾配の既知の大きさおよび方向、ならびに、コイルアセンブリにおけるセンサコイルの既知の相対的な方向とともに処理して、空間内での対象物の瞬間的な場所および方向を計算するステップと、を包含する。
【0012】
上記方法は、MRIシステムにおいて特に有用であり、磁場勾配は、MRIスキャナの傾斜磁場コイル(gradient coil)を活性化することにより発生され、従って、以下に、本発明は、そのようなシステムに関して説明される。
【0013】
記載される好適な実施形態におけるさらなる特徴によれば、磁場勾配は、所定の活性化パターンに従って、3つの直交して配置される傾斜磁場コイル対を活性化することにより発生され、センサコイルにおいて発生された誘導電位の測定瞬間値が、傾斜磁場コイルの所定の活性化パターンおよびセンサコイルの既知の相対的な方向とともに処理され、対象物の場所および方向の推定値を提供する。
【0014】
本発明の別の局面によれば、3次元空間を通って移動する対象物の瞬間的な場所および方向を判定するための装置が提供される。この装置は、対象物により担持されるコイルアセンブリを含み、このコイルアセンブリは、3つの直交面に構成要素を含む、互いに関して既知の方向の軸を有する複数のセンサコイルを含み、この装置はさらに、空間および空間を通って移動する対象物において、大きさおよび方向の既知の瞬間値を有する時変3次元磁場勾配を発生して、センサコイルにおいて電位を誘導するための磁場発生器と、センサコイルにおいて発生された誘導電位の瞬間値を測定するための手段と、センサコイルにおいて発生された測定瞬間値を、発生された磁場勾配の既知の大きさおよび方向、ならびに、コイルアセンブリにおけるセンサコイルの既知の相対的な方向とともに処理して、空間内での対象物の瞬間的な場所および方向を計算するためのプロセッサと、を含む。
【0015】
開示された方法論および装置は、小型の、好ましくは(但し、必須ではない)直交するコイルの組を用いることにより、対象物または装置の場所および方向の推定を可能にする。最も単純な好ましい実施形態は、3つの直交コイルの組を有している。しかし、より複雑なコイルの組、例えば、3つの直交する平行コイル対の組は、システムのより高いコストとともに、追跡精度を向上し得る。説明を簡略化するために、以下の開示は、3つ直交コイルの組を具体的に扱っており、より複雑な構成である3つの直交するコイル対についても言及している。但し、同じ概念が、本発明の分野の精通者により、コイルの様々な組み合わせに適用され得る。
【0016】
コイルを通る磁束の時間変化は、コイルを横切る起電力(即ち、電位)を誘導する(電磁気学のファラデーの法則)。MRIスキャナは、時変磁場を生成して、スキャンされた体積において磁場勾配を作り出す。3つの直交コイル(またはコイル対)における誘導電位を測定することにより、および、生成された磁場勾配の時間パターンをMRIスキャナからの入力として得ることにより、装置の場所および方向の両方が測定され得る。
【0017】
本発明は、既存の方法論に対して有意な利点を有する。フレーム技術であってもフレームレス技術であっても、定位固定と比べて、新しい方法論は、装置との直接的な照準線(line of sight)を必要とせずに、装置をカテーテルまたは外科手術器具のように使用することを可能にする。Ackerらの遠隔電磁式場所特定方法論とは異なり、本発明は、電流を運ぶ小型導体の組において電圧を誘導する均質および傾斜磁場(ホール効果)を使用する必要性に基づいているのではなく、コイルの組において時変傾斜電磁場の組により誘導される電圧(ファラデーの法則)の測定に基づくものである。従って、本発明は完全に受動的であり、センサのいかなる励起も、専用磁場の使用も必要とせず、時変磁場の要求は、臨床で通常使用される実質的にいかなるMRIスキャンプロトコルでも満たされる。Pfeilerら、およびDumoulineらにより開示された方法は、方向を測定するために2つのセンサの使用を必要としているため、方向の推定精度が制限されるが、本発明は、正確な方向および場所の追跡を同時に提供するセンサを使用する。既存の光学追跡システムとは異なり、使用されるセンサの数に制限はなく、センサと追跡装置(tracking apparatus)との間で照準線を維持する必要もない。その他の追跡方法論はすべて、独自の基準方式に基づくものであり、時間のかかる位置合わせ手順により、MRI座標系と整列されなければならない。開示された追跡方法論は、MRIスキャナにより使用される傾斜磁場コイルの同じ組を、画像の空間符号化に使用するため、位置合わせを必要としない。
【0018】
(好適な実施形態の詳細な説明)
次に、図1を参照して、典型的なMRIシステム(40)は、本発明に特に関連する幾つかのモジュールを有する。即ち、3つの傾斜磁場コイル(43)、傾斜磁場コイル制御ユニット(48)、および画像表示装置(46)を有する。本発明の方法論の正確な実現例は、撮像(imaging)のMRIモードに依存し、以下の説明は、典型的な実施例として、標準MRIスピンエコー撮像モードに関する。スピンエコープロトコルの間、3つの傾斜磁場コイルによる磁場の繰り返し生成は、受信MRエコーの空間符号化を提供するとともに、画像の再構成を可能にする。サンプルシーケンスが、図2に示される(米国、General ElectricのシグマMRIシステム(Sigma MRI system)から記録)。このシーケンスについて、システムは、「スライス選択」のためにZ傾斜磁場コイルを活性化させ、それと同時に、「位相符号化」のためにXおよびY傾斜磁場コイルを活性化させるとともに、「読み出し」相のためにX傾斜磁場コイルを活性化させる。
【0019】
傾斜磁場制御ユニット(48)は、処理ユニット(10)に、磁場勾配を生成する3つの傾斜磁場コイルの活性化シーケンスのリアルタイム表示を提供する(図2)。傾斜磁場コイルにより生成される磁場は、3軸(X、Y、Z)すべてにおける成分を有しているが、コイルの各々は、1軸のみに沿ったZ成分の振幅の正確な線形変化を有している。ここで、これらのコイルと、生成された磁場勾配とは、この特定の軸で呼ばれる(即ち、Z勾配(Gz)の場合、Z成分は、Z座標とともに線形に変化し、X勾配(Gx)の場合、Z成分は、X座標とともに線形に変化し、Y勾配(Gy)の場合、Z成分は、Y座標とともに線形に変化する)。傾斜磁場コイルの磁場のその他の成分は、傾斜磁場コイルの特定の設計に依存する特定の空間分布を有する。任意の動作モードでの時間および場所の関数としての磁場の完全な記述(G(t,x,y,z))は、傾斜磁場コイルの3つの時変磁場と、MRIスキャナの時不変(time−invariant)主磁場(Bo)とのベクトル和により、処理ユニット(10)内で計算され得る(以下の説明では、スカラーと区別するため、ベクトルには下線が付される)。
【0020】
【数1】
ここで、x、y、zは、MRI座標系の3つの軸(それぞれ、X、YおよびZ)に沿った座標であり、tは、時変数(time variable)である。MRIのRF(無線周波数)コイルにより生成される追加の磁場は、本発明では使用されていない。メガヘルツの範囲で交流するこれらの磁場は、検知コイルにおいて高周波電位を誘導する。この高周波電位は、ローパスフィルタ処理により除去され得る。
【0021】
1つの好適な実施形態では(図4A)、センサ(20)は、3つの直交検知コイル(22、24、26)の組からなる。時変磁場G(t,x,y,z)は、検知コイルの各々において、電位すなわち電圧(V)を誘導し、誘導電圧の大きさは、コイルを通る磁束Θの時間微分(time−derivative)に関連する。これは、ファラデーの法則により、以下の式で与えられる。
【0022】
【数2】
各場所での磁束は、磁場G(t,x,y,z)と、コイル面積(A)と、コイルの空間的な方向に対する磁場の方向とにより決定される。これは、コイル平面に垂直な単位ベクトルnにより規定される。
【0023】
【数3】
ここで、点は、ベクトルドット積を示す。
【0024】
式1〜式3を組み合わせると、コイルにおける誘導電圧は、磁場の時間微分に直接関連する。
【0025】
【数4】
センサが移動または回転しなければ、Bo磁場と方向ベクトルnとは一定であり、各コイルにおける誘導電圧は、以下の式で与えられる。
【0026】
【数5】
3つのコイルでの誘導電圧の大きさの測定値と、動作磁場(operating field)の各点での時間の関数としての既知の磁場G(t,x,y,z)(特定の時間に活性なすべての傾斜磁場コイルの個々の磁場の和により計算される)とは、以下のステップシーケンスにより、対象物の場所および方向の推定を可能にする。このステップシーケンスは、概念が類似し且つ推定プロセスの実際の実施形態だけが異なる幾つかの可能なアプローチの中で、唯一の選択肢である。
【0027】
ステップ1.誘導電圧の測定
3つの直交コイル(図4)における誘導電圧は、センサの方向を知らずに、センサの場所での傾斜磁場コイルの磁場の計算を可能にする。式4および式5で与えられるように、各コイルでの誘導電圧の大きさは方向とともに変化するが、それらのベクトル和は、方向とは独立しており、センサの場所での磁場の時間微分に比例する。例えば、Z勾配の活性化の間、時変磁場は、3つのコイルにおいて3つの電圧を誘導する。3つの直交する平行コイル対を有する構成の場合(図5B)、各対の2つの平行コイルにおける誘導電圧は平均され、そしてその結果が、3つの単一コイルを用いた場合と同様に分析される。
【0028】
従って、Z勾配の活性化の間、3つの電圧Vzi、Vzj、Vzkは、3つの単一コイルにおける測定電圧に対応するか、または、3つのコイル対の各々における測定電圧の平均である。本出願人は、誘導電圧を、各コイルの誘導電圧に等しい大きさと、対応するコイル平面に垂直な単位ベクトルにより規定される方向とを有するベクトルVz i、Vz j、Vz kとして規定する(図4A)。Vzとして示される、3つのベクトルのベクトル和は、Z勾配の局所磁場の時間微分の方向である。
【0029】
【数6】
これは、磁場ベクトルの時間微分(dG(t)/dt)を、3つの直交コイルの方向の3つの直交成分に分割すれば、容易に実証できる。各コイルの平面に平行な成分は電圧を全く誘導しないため、誘導電圧Vz i、Vz j、Vz kは、磁場の時間微分の3つの成分に比例し、それらの和は、磁場の時間微分(dG(t)/dt)と同じ方向である。
【0030】
最後に、電圧ベクトルの大きさは、コイルの場所および測定時間でのZ勾配の磁場の時間微分の大きさに比例する(図4B)。
【0031】
【数7】
Z勾配について上で説明したように、XおよびY勾配の局所磁場、または、異なる傾斜磁場コイルの2つもしくは3つの磁場の任意の組み合わせ、の時間微分の大きさおよび方向は、3つのコイルにおける誘導電圧のベクトル和と関連している(即ち、同じ方向および比例する大きさを有している)。
【0032】
コイルにおける磁場と誘導電圧との間の関係の比例係数は、コイルの幾何学的形、即ち、コイルの総面積であるA、により決定される(多数のループを有するコイルが使用される場合、総面積は、個々のループの全面積の和である)。
【0033】
典型的なMRIスキャンシーケンスの間、2つの傾斜磁場コイル、または、3つの傾斜コイルすべてでも、同時に活性化され得る。傾斜磁場コイルの磁場は、特定のMRIスキャナの場合、傾斜磁場コイルの既知の幾何学的形状に基づくシミュレーションにより既知であるか、または、各傾斜磁場コイルの活性化の間、場所の関数として磁場を測定することにより既知である。時間の関数としての各傾斜磁場コイルの活性化シーケンスは、MRIスキャナにより、アナログ信号(図2)またはデジタルデータとして提供される。特定の傾斜磁場コイルの既知の磁場と、活性化シーケンスとは、各空間的な場所および特定の時点についての磁場を計算するため、または、アナログもしくは数値微分(numerical differentiation)により磁場の時間微分を計算するために使用することができる(図3A)。この情報はまた、同時に活性化された2つまたは3つの傾斜磁場コイルにより生成される磁場を分離するために使用することができる。例えば、図2において、Z傾斜磁場コイルは単独で活性化されるが、X傾斜磁場コイルは、単独で、または、Y傾斜磁場コイルとともに活性化される。X傾斜磁場コイルの磁場の大きさおよび方向は、その独立した活性化から判定され得、この情報は、XおよびY傾斜磁場コイルの同時活性化の間に測定される誘導電圧からX傾斜磁場コイルの磁場の寄与を無くすため、ならびに、Y傾斜磁場コイルの磁場の大きさおよび方向を抽出するために使用することができる。
【0034】
別の、より一般的なアプローチは、基準磁場を再構成することである。これらの基準磁場は、推定プロセス(以下に詳述する)において、同時に活性化された異なる勾配の磁場を重畳したものとして使用される。従って、各時点について、コイルの活性化シーケンスは、その時間の活性磁場およびそれらの磁場の大きさを判定するために使用され、式4および式5に示されるように、全体的な磁場は、すべての活性コイルからの磁場寄与を足すことにより計算される。装置の場所は、測定電圧(1つよりも多い勾配の同時活性化の間)を、基準となる複合磁場の時間微分と比較することにより、推定される。
【0035】
ステップ2:測定電圧から磁場への変換
測定電圧は、磁場の時間微分に比例し、比例係数は、検知コイルの特性(即ち、各ループの面積、およびループの数)により決定される。上で説明したように、磁場の時間微分は、電圧ベクトル(例えば、Z勾配の場合、Vz)と同じ方向であり、その大きさは、式(7)を並べ替えることにより計算することができる。
【0036】
【数8】
現代のMRIスキャナは、勾配の各活性化に関連してクラッシャを使用する。典型的には、クラッシャは、傾斜磁場コイルのスパイク状高速活性化および非活性化である。例えば、General ElectricのシグマMRIスキャナでは、これらのクラッシャは、三角形(図2)または台形の形状をたどり、それらの時間微分は、正のパルス関数(クラッシャの上方向の傾き)および負のパルス関数(クラッシャの下方向の傾き)と類似している(図3A)。誘導電圧は、勾配磁場の時間微分と線形の関係を有し(式4および式5)、同じパターンをたどる(図3B)。勾配の線形活性化および非活性化の場合、各定相(即ち、上方向の傾きおよび下方向の傾き)の間の誘導電圧を平均して、式8により磁場の時間微分の振幅を計算するために直接使用される値を生成することができる。さらに、勾配の活性化または非活性化の時間(例えば、Δt)を測定することにより、実際の磁場の振幅を、以下の式により計算することができる(線形活性化および非活性化パターンの場合)。
【0037】
【数9】
以下の説明では、場所および方向の判定は、それぞれの時間微分ではなく、磁場の使用に基づくものである。これは、勾配活性化パターンの傾きが線形であって既知である場合に可能であるが、磁場の時間微分を使用しても、同様の手順が実現され得る。磁場は、例えばX、Y、Z座標を有するデカルト座標系を用いることにより、3次元マップの組により提供される。各場所について、磁場ベクトルは、大きさおよび方向記述子(例えば、球座標系の2つの角)の組として、または、磁場ベクトルの3つの直交成分の組としてマッピングできる。
【0038】
ステップ3:MRI座標系における装置の場所x,y,zの推定
X、YおよびZ勾配の磁場(または、2つもしくは3つの傾斜磁場の組み合わせ)の3次元分布を知ることにより、装置の瞬間的な場所を推定することができる。サーチアルゴリズムは、勾配の活性化中に、測定コイル電圧から計算される大きさと同様の大きさを有する磁場を有する特定の場所を見つけ出す。典型的なサーチアルゴリズムは、仮定場所での、推定磁場と、基準となる既知の磁場との間の類似度に基づく費用関数を極小化(minimize)する。例えば、最小二乗費用関数は、現在の推定場所での、推定磁場の各々と、対応する基準磁場との間の差の二乗の和である。
【0039】
幾つかの問題点が、推定の精度を妨げ得る。サーチアルゴリズムは、費用関数の極小値(local minima)(即ち、誤った解)を見つけ得、費用関数は、その極小値(minima)の領域で平坦になるかまたは雑音が多くなり得、その結果、不正確な解をもたらし得る。また、極小化された関数(minimized function)は、1つよりも多い解(一意でない解)を有し得る。
【0040】
極小値の問題点は、真のグローバル極小値(global minima)への収束を保証するサーチアルゴリズムを用いることにより解決され得る。例えば、グリッドサーチ(grid search)は、解の潜在的な範囲全体にわたって費用関数を評価する。本発明の場合、1cmの分解能(resolution)でx、y、z座標の全組み合わせで費用関数を評価するグリッドサーチが、グローバル極小値への収束を保証することが分かった。
【0041】
評価の精度は、測定値の信号対雑音比に決定的に依存する。ほんのわずかの測定値しか使用しない場合、例えば、本出願人の場合、3つの測定値(3つの電圧ベクトルの振幅)のみから3つの未知の場所変数を計算する場合、いかなる雑音によっても推定結果は偏らない。より多くの測定値を使用し、かつ、最小二乗推定アルゴリズムを適用すると、雑音の影響が低減され得る。これは、平行コイル間に既知の距離を有する3つの直交する平行対として配置される、より多くのコイル、例えば6つのコイルの組、を用いることにより達成され得る。明らかに、より多くのコイルは、より複雑な処理装置の高いコストとともに、より多くのデータを生成する。
【0042】
解の非一意性の問題点は、例えば費用関数における対称性に起因する、多数の極小値(minima)に関連する。市販用MRIシステムにおける傾斜磁場の典型的な空間分布は、3つの軸において対称性を有しており、その結果、費用関数上に8つまでの等価な極小値が存在し得、推定プロセスの場合、8つの異なる解を有し得る。多数の解は、いかなる追跡法についても主要な制限であり、解の数を減らすために、追加データを使用しなければならない。
【0043】
ステップ4:電圧ベクトル間の角度の計算
磁場はベクトルであり、撮像場の各点で、3つの勾配の磁場の方向は、典型的には異なっており、追加情報として推定プロセスに使用され得る。推定プロセスのこの段階では、MRI座標系に関する装置の方向はまだ分かっていないため、MRIスキャナ座標系に関するベクトルのグローバルな方向の代わりに、3つの勾配ベクトルの間の角度が使用される。任意の2つのベクトルの間の角度は、ベクトル代数および解析幾何学により決定され得る。例えば、Z勾配により誘導される電圧ベクトルVzと、X勾配により誘導される電圧ベクトルVxとの間の角度αは、2つのベクトルの間のベクトル差の振幅の二乗を計算し、次いで、余弦定理を適用して2つのベクトルの間の角度を計算することにより決定される。
【0044】
【数10】
ここで、Vzi、Vzj、VzkおよびVxi、Vxj、Vxkはそれぞれ、Z傾斜磁場コイルおよびX傾斜磁場コイルの活性化の間のi、j、kコイルにおける測定電圧である。
【0045】
【数11】
ここで、|Vz|および|Vx|はそれぞれ、ZおよびX勾配により誘導された電圧ベクトルの大きさである。
【0046】
測定角度は、基準角度フィールドマップと比較される。この基準角度フィールドマップは、式10および式11により示されるのと同じアプローチを用いて、3つの勾配の3次元フィールドマップから生成され得る。
【0047】
推定プロセスでは、磁場振幅の比較に加えて、測定角度が、推定場所での基準角度と比較される。この追加情報は、推定プロセスの精度を向上するとともに、MRI傾斜磁場コイルのXY面における磁場の対称性に起因する非一意性の問題点を解消する。
【0048】
電圧ベクトルの振幅と、ベクトル間の角度とを用いても、同じ費用関数を有する等価な反対称の解がまだ2つある。MRIスキャナの傾斜磁場は反対称であり、例えばX、YおよびZ座標の値の組の場合、反対のX、YおよびZ値を有する(即ち、絶対値は同じであるが、符号が反対である)点であって、絶対大きさと、傾斜磁場ベクトル間の絶対角度とが全く同じである点が存在する。以下に説明されるように、2つの反対称の解の区別は、推定プロセスの後半の段階の間にのみ行われ得る。
【0049】
グリッドサーチに従えば、費用関数のグローバル極小値であることが分かった2つの場所の一方付近でのローカルサーチ(local search)により、より正確な場所を見つけることができる。2つの解が反対称であるため、2つの解の一方付近でローカルサーチが適用され得、最終結果が、反対称の解を見つけるために使用され得る。
【0050】
ローカルサーチは、6つのデータポイント(上で詳述したような、電圧ベクトルの3つの振幅と、3つの角度)を用いるか、または、3つよりも多いコイルを備える構成からの測定値を用いることにより利用可能である場合はそれよりも多くのデータを用いて、標準サーチアルゴリズム、例えばLevenberg−Marquardtサーチアルゴリズムを適用する。
【0051】
ステップ5:装置の方向の判定
マグネットボアにおけるセンサの空間的な場所は、ステップ1〜4を通して判定され、任意の勾配または勾配組み合わせの動作中のこの場所の磁場のX、Y、Z成分は、傾斜磁場コイルの基準3次元磁場マップから、特定のMRIスキャナについて既知である。勾配の活性化中に3つのコイルの各々において測定された電圧を用いて、MRI基準座標系から局所的な装置付属座標系に変わる3つの回転角が、繰り返し最適化手順により決定される。さらに、この段階で、2つの反対称の解のうちの一方だけが、新しい費用関数の極小値(minimum)を提供し、その結果、一意の解が得られる。
【0052】
3つの回転角の初期値は、3つの勾配の磁場のX、Y、Z成分を、局所(装置)座標系における磁場の成分I、J、Kに変換するために用いられる。オイラーの回転定理によれば、いかなる空間回転も、3つの回転角により記述され、これらの角について様々な規則(convention)が存在する。例えば、1つの規則(典型的には、オイラー角と呼ばれる)は、Z軸周りの角度「φ」分の回転、次いで、新しいX軸周りの角度「θ」分の回転、そして最後に、新しいY軸周りの角度「ψ」分の回転に基づく。これらの3つの回転は、回転行列により記述され得る。
【0053】
【数12】
回転行列を用いて、MRIスキャナの基準座標系(即ち、成分Gx,Gy,Gzを有するX,Y,Z系)における磁場ベクトルは、別の回転された座標系で表され得る。局所座標系I,J,Kが装置に取り付けられ、X,Y,Z系に関して3つの回転角{φ,θ,ψ}だけ回転される場合、回転系における磁場ベクトルの3つのデカルト成分(Gi,Gj,Gk)は、以下の式により分かる。
【0054】
【数13】
3つの未知の回転角を決定するために、I,J,K局所系における傾斜磁場の計算成分が、測定成分と比較され得る。これらの3つの未知数の解は、1つの傾斜磁場の3つの成分から求められ得るが、その結果は、測定値における雑音により偏り得る。より優れた結果は、より多くの勾配からのデータを用いることにより達成され得る。どのMRIスキャンでも、そのMRIスキャン中に3つの傾斜磁場がすべて活性化されるため、3つの回転角の解を求める好適な実施形態は、最良の解を求めるために、3つの傾斜磁場の各々についての3つの成分を含む9個の傾斜磁場成分(あるいは、6個のコイルの組が使用される場合には18個の成分)と、最適化アルゴリズム、例えば上記の最小二乗法との使用を伴う。
【0055】
真の解と、反対称の解とからなる一意でない解が得られる、測定電圧の絶対値を用いる場合とは異なり、各勾配、または、2つもしくは3つの勾配の活性化中の各コイルにおける実際の測定値を使用すると、一意の解が提供される。2つの解に対応する、2つの場所での傾斜磁場成分は、同じ絶対値を有するが、方向は反対であるため、各コイルにおける誘導電圧は、反対の符号を有する。推定プロセスのこの段階での解の一意性を証明するために、より厳密な数学的解析を用いることもできるが、簡単な実証として、数値的な例を提供する。
【0056】
特定の場所(例えば、x=20.5cm、y=10.5cm、z=15cm)および3つの回転角(例えば、φ=−40、θ=80、ψ=0)について、X勾配、Y勾配およびZ勾配の活性化中の3つの直交コイルにおける誘導電圧が、表1に示される(単位は任意であり、このシミュレーションは、シグマMRIスキャナの傾斜磁場のマップに基づいている)。この場所について、電圧ベクトルの絶対値と、これらのベクトル間の角度とが計算され、表に示される。電圧ベクトルの振幅だけを用いて場所を推定すると、すべてがベクトルの同じ絶対値を有する8つの潜在的な解が得られる。電圧ベクトル間の角度は、8つの解のうち6つにおいて異なっており、等価の解は2つしか残らない(入力場所および反対称の解x=−20.5cm、y=−10.5cm、z=−15cm)。電圧ベクトルの成分の比較から、これらの成分が、2つの場所において反対の符号を有していることが分かる。これは、センサの真の場所の判定を可能にする。
【0057】
ステップ6:すべてのコイルからの測定値を用いることによる推定精度の向上
ステップ1〜5は、直交コイルを3つだけ使用する場合、または、各対の2つのコイルからの測定値を単に平均するだけである場合の、2段推定プロセス、即ち、第1段で対象物または装置の場所を判定し、第2段でその方向を判定するプロセス、を用いた本発明の好適な実施形態を示している。しかし、すべての測定値を推定プロセスで使用すると、より正確な推定結果が達成され得る。
【0058】
推定プロセスは、センサの空間的な場所および方向を完全に規定する6つの未知数を見つけることをねらいとする。各対の2つのコイル間の正確な距離は、正確にわかっているため、推定プロセスはそれでも6つの未知数、例えば3つの直交コイルの組の場所および方向、を見つけることをねらいとするが、3つの直交コイルの第2の組の場所および方向は、第1の組の場所および方向に関して規定され得る。従って、より多くの測定値(3つのMRI傾斜磁場コイルの各々の動作中の6つのコイルに関する18個の電圧)が得られるが、それでも同じ数の未知数がある。推定プロセスのためのより多くのデータが、最適化プロセスのより正確な解のキーとなる。
【0059】
センサの移動または回転時にBo磁場により誘導される電圧の影響
式4は、センサコイルにおける誘導電圧についての一般的な記述を提供するが、上記記述は、Bo磁場の影響がないと仮定している。この仮定は、センサが移動しない限り、または、移動が比較的ゆっくりである場合には正しい。現代のMRIシステムにおける勾配の典型的な上昇時間は1ミリ秒であり(図2)、身体または装置の移動は典型的には、それよりもゆっくりであるため(秒単位または10分の1秒単位)、Boの影響は、センサコイルからの信号の適切なハイパスフィルタリング(例えば、100Hz遮断周波数)により解消され得、そして上記記述は、体器官(例えば、頭)または装置の移動および回転中に、フィルタリングされた信号に適用され得る。
【0060】
しかし、Bo磁場によりセンサコイルにおいて誘導される電圧は、好ましくは、装置または対象物の場所および方向の追跡を向上するために使用され得る。経時的に変化する傾斜磁場とは異なり、Boは一定であり、そして、Boは、コイルを通る磁束を変えるコイルの回転がある場合にのみ、センサコイルにおいて電位を誘導する。上記の式3とは異なり、時変変数は今、コイルの方向であり、これは、時変単位ベクトルn(t)により与えられる。
【0061】
【数14】
センサ信号にローパスフィルタを適用することにより、Boにより誘導された電圧が抽出され得、そして、センサの方向の時間変化、即ち、装置またはセンサの3つの角速度、を推定するために使用され得る。この情報は、勾配の磁場に基づく推定プロセスを向上するため(例えば、繰り返し推定プロセスに、より優れた初期推測を提供することによる)、または、装置もしくはセンサの未来の場所および方向のより優れた予測を可能にするために使用され得る。
【0062】
センサの好適な実施形態
センサの好適な最小構成は、3つのコイルを含む。開示された発明は、2つのコイルから構成されるより小さい構成であって、上記と同じアプローチを用いるとともに、上記2つのコイルにおける3つのMRI勾配により誘導される6つの電位を用いて6つの未知数(3つの場所および3つの回転角)を計算する構成をもカバーする。但し、最適な性能のためには、雑音の影響を低減するため、および、追跡の精度を向上するために、より多くのデータが使用されるべきである。3つの直交コイルを備える潜在的な構成が、図5Aに示される。この構成は、体外の適用例、例えば、バイオプシーガン(biopsy gun)または外科手術器具のような低侵襲(minimally invasive)手順用の装置、に適している。さらに、センサの内部空間は、信号調整(例えば、フィルタ処理および増幅)、信号変換(例えば、光信号または周波数変調(FM)信号への変換)、または、測定電位の無線伝送のための、小型電池駆動式電気回路を収容するために使用され得る。
【0063】
より複雑な構成が、図5Bに示される。ここでは、3つの単一コイルの代わりに、3つの平行コイル対が使用され得る。即ち、合計6つのコイルがセンサにおいて使用される。この構成の主要な利点は、追跡精度の実質的な増加である。なぜなら、任意のMRI勾配の各活性化について、3つではなく6つの異なる電位が誘導されるため、各スキャンサイクルで3つの未知の場所変数および3つの未知の回転角を推定するために、合計18個の測定値が利用可能であるからである。2つの平行コイルの各々の間の距離は小さいが(例えば、図5Aの立方構成では5〜10mmであり、図5Cおよび図5Dの円筒形構成では1〜2mmである)、一方では現代のMRIスキャナで用いられる急勾配と、他方では2つの平行コイル間の正確な距離が利用できることとが、追跡精度の増加のためにこの情報を使用することを可能にする。
【0064】
第2の好適な構成が、図5Cおよび図5Dに示されており、円筒形コイルと、円筒形コイルおよび互いに直交する方向に配置された2つの「サドル」コイル対とを含む(図5Cは、コイルの組の軸方向の図であり、図5Dは、2つのサドルコイル対と、内部円筒形コイルとの等角図であり、説明を明瞭にするために、3つのコイルはすべて、軸方向にずれている)。この構成は、具体的には、カテーテル追跡に有用である。なぜなら、この構成は、中空の円筒形構造を有しており、カテーテルの管腔を塞がずに任意のカテーテルの先端に固定され得るからである。この構成は、ステント留置装置、様々な診断用カテーテル(例えば、心内電気生理学研究用)、および現在または未来の治療用カテーテル(例えば、RF切除、レーザ切除、経皮経心筋的血行再生法(percutaneous transmyocardial revascularization:PMR)、標的薬物送達、局所遺伝物質配置、など)とともに使用され得る。
【0065】
円筒形の中空構成の変形では、2つの「サドル」コイル対が、2つの平面コイルに置き換えられる。これらの平面コイルは、円筒形コイルの管腔の内部または外部に配置され得る。この構成は、カテーテルの管腔を部分的に塞ぐが、製造はより簡単であり、自由な管腔を必要としない適用例において有用であり得る。
【0066】
センサは、例えば6つの小型の平坦なコイルを立方体の6つの表面に接着することにより、個々のコイルから組み立てられ得る。カテーテル上で、1つのコイル対は、円筒形の形状を有し、カテーテルの軸の上に直接巻かれ得るが、その他2つの対は、サドル形状を有し、円筒形コイルの周りに接着され得る。マルチコイルセンサの構成のための別の潜在的なアプローチは、可撓性のある印刷電気回路であって、すべてのコイルを含み、かつ3次元形状を達成するように折り曲げられる印刷電気回路を用いることによるものである。
【0067】
追跡装置の好適な実施形態
追跡装置(図6)は、センサ20、電子インタフェース12、処理モジュール10、およびMRIスキャナとのインタフェースを含む。追跡装置は、カスタム設計され得、そして、特定の追跡用途のために形成され得るか、または、市販で入手可能な構成要素から組み立てられ得る。
【0068】
電子インタフェース(12)は、コイルにおいて誘導される低電圧電位を増幅するための(ミリボルトレベルからボルトに)増幅器の組(122)と、10〜400MHzの周波数範囲(MRI磁石強度に依存する)を有する、RF伝送により誘導される高周波電圧を無くすためのローパスフィルタの組(124)と、MRI勾配の段階的増加により誘導される電位であって、General ElectricのMRIスキャナでは128KHzのアーチファクトを生成する電位を除去するための阻止帯またはノッチフィルタ(126)とを含む。プログラマブル増幅器/フィルタ組み合わせを備える様々な市販用システムが、センサからの低電圧信号を増幅およびフィルタリングするために使用され得る(例えば、SCS−802、Alligator Technologies、Costa−Mesa、カリフォルニア州)。
【0069】
処理および制御ユニット(10)は、容易に入手可能な市販のハードウェアを用いて開発され得る。例えば、センサからの測定信号は、標準のデータ収集ボード(例えば、National Instruments、Austin、テキサス州)を用いてアナログ−デジタル(A/D)コンバータ(102)によりデジタル化され得、そして、現代の高性能プロセッサ104(例えば、MMX内蔵DSPを搭載するPentiumIIIプロセッサ)により、リアルタイムで処理される。より速い推定レートを提供する別の潜在的な解決策は、少なくとも6チャネル(3つのコイル信号と、3つのMRI勾配信号)を有する内蔵式または取り付け式A/Dコンバータと、場所および方向の解を繰り返し求めるための高性能DSPと、プログラムおよびデータ(例えば、基準磁場)のための十分な記憶容量と、ホストコンピュータとのインタフェースまたはMRIスキャナとの直接のインタフェースのための通信バスと、を有するデジタル信号プロセッサ(DSP)ボード(例えば、Blacktip−CPCI処理ボードおよびBITSI−DAQアナログ入出力アダプタ、Bittware Research Systems、Concord、ニューハンプシャー州)に基づき得る。DSPまたはPCプロセッサ用のソフトウェアは、標準のプログラミング言語、例えば、C++またはアセンブリ、を用いて開発され得る。本出願人は、Matlabソフトウェア開発環境(The Math Works、Natick、マサチューセッツ州)を使用して、上述のような推定プロセスを高速で実現している。
【0070】
MRIとのインタフェースは、2つの主要構成要素、即ち、センサのリアルタイムの場所および方向を転送するためのチャネルと、傾斜磁場コイルの活性化パターンをMRIスキャナから処理モジュールに転送するためのチャネル(単数または複数)と、を含む。デジタル通信チャネル、アナログチャネル、または、これら2つの組み合わせのいずれが使用されてもよい。例えば、シグマMRIシステムでは、勾配活性化シーケンスは、勾配制御システムからの標準のアナログ出力として利用可能であり、追跡情報は、標準のシリアル通信線を介してMRIにより受け取られ得る。
【0071】
追跡システムの全体動作は、以下および図7に示される。センサにおける誘導電位(700)は、典型的にはミリボルト単位の大きさを有し、電子インタフェースモジュールにより増幅およびフィルタリングされ得る(710)。MRIスキャナからの活性化パターン(702)は、MRIインタフェースモジュールを通して追跡システムに転送され(704)、そして、処理モジュールによりデジタル化される前に電子インタフェースモジュールにより処理(例えば、フィルタリング)され得る。MRI勾配の活性化パターン(図2)は、プロセッサにより分析され、例えばしきい値トリガにより、各勾配コイルの活性化が決定される(712)。典型的には、本出願人は、より長い活性化時間およびより高い磁場振幅を有するクラッシャを使用する。一旦任意の傾斜磁場コイルの活性化が検出されると、プロセッサは、コイルからの信号をデジタル化し、そしてそれを処理して、誘導信号のレベルを決定する(714)。勾配の活性化が線形であれば、活性化中のその時間微分は平坦であり(図3A)、そしてセンサコイルにおける誘導電位もまた平坦である(図3B)。従って、測定信号は、勾配活性化がオンである限り平均され得る。但し、勾配コイルの活性化パターンの記述が利用可能である限り、非線形活性化パターンが使用され得ることに注目されたい。3つの直交コイルからの測定信号は、コイルの較正ファクタを用いて、磁場単位に較正される(式8および式9)。直交コイルの組における測定誘導電圧は、電圧ベクトルの振幅(式6〜式7)と、異なるMRI勾配の電圧ベクトル間の角度(式10〜式11)とを計算するために用いられる(716)。これらの振幅および角度は、MRI座標系におけるセンサの場所を推定するため(ブロック718、3)およびセンサの方向を推定するため(ブロック720、4)に使用される。推定された場所および方向は、例えば、以前の推定値を用いて、特定の時間の推定値にローパスデジタルフィルタを適用することにより、追跡の質の向上のためにさらに処理されてもよく、MRIスキャナにより必要とされるデータ形式に変換されてもよい(722)。最後に、追跡データ(724)は、MRIインタフェースモジュール(704)を介してMRIスキャナに転送される。
【0072】
臨床適用例
判定されたセンサの場所および方向は、MRIスキャナにリアルタイムで転送され得、そして、追跡センサを備える対象物または装置の場所および方向をMRI画像上に表示して動きアーチファクトを補正する様々なタスク、例えばスキャン面のリアルタイム制御、のために使用され得る。本発明の潜在的な臨床適用例は、診断用MR撮像のための適用例と、介入MRIのための適用例とに分けられ得る。
【0073】
(診断用MRI):MR撮像での主要な問題点は、患者の動きによる動きアーチファクトである。秒単位さらには分単位の長い時間の間画像取得を要求し得る高解像度スキャンでは、患者の動きおよび呼吸は、動きアーチファクトおよびぶれた画像を引き起こし得る。MRスキャンは、位相コントラスト血管造影、拡散撮像、およびエコープラナー撮像法(EPI)を用いる機能MRIの間の動きに特に敏感である。本発明を、スキャンされた対象物の場所および方向のリアルタイム判定に使用すれば、動きを補償するためのスキャン面のリアルタイム制御および補正により、または、取得後(post−acquisition)画像処理により、MRスキャンに対する動きの影響を低減することができる。
【0074】
(介入MRI):センサは、低侵襲外科手術用の小型道具、血管内カテーテル、硬性(rigid)内視鏡および可撓性のある内視鏡、バイオプシー針および吸引用針、のような様々な装置とともに使用され得る。センサは、MRI座標系に関する装置の場所を測定するため、および、MRスキャナが操作者への視覚的フィードバックとしてMR画像上に装置の場所を与えることを可能にするため、または、現在の方向の線を計算および表示して、操作者が装置を特定の標的に向けて操作するのを助けるために使用され得る。別の潜在的な適用例は、対象領域をより良く撮像して診断性能を向上するため、または、介入の影響を制御するために、MRI撮像面を追跡センサに従わせる(slave)ことであり、例えばカテーテルの場所付近のわずかな体積に対する高解像度撮像を適用することである(例えば、無線周波数、低温(cryo)、または化学的切除、およびレーザ光凝固は、温度に敏感なMR撮像によりモニタされ得る)。別の潜在的な適用例は、装置の局所座標系に関するMRI画像の表示を、光学内視鏡を使用する場合と同様に、まるで操作者が装置を先端の方向にのぞいているかのように行うことを可能にするために、装置の場所および方向の情報を用いることである。もう1つの適用例は、MRI画像上で以前の介入場所に印を付けるために、場所追跡を用いることである。
【0075】
MRIガイダンスの使用が特に有利である、臨床上非常に重要な適用例は、経皮経心筋的血行再生法(PMR)である。PMRは、典型的には、心臓カテーテル法の間に行われる。レーザ伝送カテーテルは、大腿動脈を通り、大動脈を通って、左心室に挿入される。以前の潅流研究(例えば、タリウムスキャン)または心筋層の生存能力についての間接的情報(例えば、局所的な壁の動きの測定による)に基づいて、心臓病専門医は、レーザエネルギを付与して心筋の内部に小さなチャネルを掘り、これが、新脈管形成および新しい血管成長を刺激する。PMRは、潜在的に、血管形成術またはステント留置により適切に管理できない虚血性心疾患の患者に、(バイパス手術と比べて)より低い侵襲性の解決策を提供する。PMRはまた、バルーンまたはステント留置により完全には血管再生されない心臓の領域を処置するために、血管形成術またはステントとともに使用され得る。現在、PMRは、X線ガイダンスを用いてのみ行われる。MRIの主要な利点は、造影剤の使用による心筋血液潅流の評価におけるMRIの優れた性能である。従って、潅流の乏しい領域の場所についての間接的情報を使用するのではなく、MRIスキャナにおける心筋潅流の診断期間の後、既存の潅流画像と、開示された追跡方法論を用いたレーザカテーテルのリアルタイム追跡とを用いて、即時の介入を行うことができる。MRIに固有の追加の利点は、レーザ治療の適用中に心筋層の高解像度リアルタイム撮像により介入を制御する潜在的な能力である。さらに、PMRは、典型的には、多数の場所で行われ、そして、処置心筋層の優れたカバー範囲(coverage)が達成されるべきであるため、追跡システムの場所データを用いて、処置された場所の、潅流画像上の場所に印を付けることは、疾患領域の最適なカバー範囲を提供し得る。
【0076】
解剖学上、追跡センサは、脳(血管内部を通して、または、頭蓋骨孔を通して)、心血管系(心腔、冠状動脈、血管)、消化管(胃、十二指腸、胆道、胆嚢、腸、結腸)および肝臓、泌尿器系(膀胱、尿管、腎臓)、肺系(気管支樹または血管)、骨格系(関節)、生殖管、およびその他の内部の様々な診断および介入手順に使用され得る。
【0077】
表1
3つの勾配の活性化中のMRIスキャナ内部のサンプル場所(X=20.5cm、Y=10.5cm、Z=15.0cm)について、3つの直交コイルにおける誘導電圧をシミュレートし、表の下部に電圧ベクトル(Vx、Vy、Vz)として示している。電圧ベクトルの絶対振幅(|Vx|、|Vy|、|Vz|)だけを用いると、8つの異なる解(Xest、Yest、Zest)が得られる。電圧ベクトル間の角度(XZ_ang、YZ_ang、YX_ang)の使用により、解のうち6つが無くなり、2つの反対称の等価な解(1および8)が提供される。最後に、3つの電圧ベクトルの各々の3つの成分を使用すると(Vx、Vy、Vz)、一意の正しい解(解8)が得られる。
【0078】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 処理および制御ユニット(10)と、センサ(20)と、を含み、モジュールが対象物または装置(30)に組み込まれ、電子インタフェース(12)と、主コイル(42)、3つの傾斜磁場コイル(43)、コンピュータ(44)、傾斜磁場コイル制御ユニット(48)、および画像表示装置(46)を備えるMRIシステム(40)と、を含む、本発明の装置のブロック図を示す。
【図1B】 MRIコイル(42および43)をより詳細に示す図であり、表示を明瞭にするために、異なるコイルをMRI主軸に沿ってずらしている。
【図2】 標準スピンエコースキャン中の時間の関数としてのMRI傾斜磁場コイルの活性化シーケンスを示す。発生磁場の急な上昇および降下の結果、コイルを通る磁束の高い変化レートが得られる。
【図3A】 時間の関数としての、MRI傾斜磁場コイル(図2に示される)の磁場の時間微分を示す。
【図3B】 時間の関数としての、2つの直交検知コイル(例えば、22、24)におけるMRI傾斜磁場コイル(図2および図3Aに示されるコイル)の時変磁場により誘導される電圧を示す。
【図4A】 センサ(20)における3つの直交コイル(22、24、26)の概略構成と、各コイルにおける誘導電圧とを示す。
【図4B】 Z傾斜磁場コイルの磁場の活性化中に各コイルにおいて誘導される電圧のベクトル和により、Vzと呼ばれる電圧ベクトルを得る例を示す。
【図5A】 3つの直交コイルまたはコイル対の組を提供する、3つの潜在的なコイル構成を示し、10mmまでの典型的なサイズを有する3つの直交コイルを備える、体外適用例の場合の立方構成を示す。
【図5B】 3つの直交コイルまたはコイル対の組を提供する、3つの潜在的なコイル構成を示し、3つの直交する平行コイル対を備える立方構成を示す。
【図5C】 3つの直交コイルまたはコイル対の組を提供する、3つの潜在的なコイル構成を示し、2〜3mmの典型的な直径を有するカテーテルとともに用いられる円筒形構成を示し、軸方向の(K軸に沿った)図を示す。
【図5D】 3つの直交コイルまたはコイル対の組を提供する、3つの潜在的なコイル構成を示し、2〜3mmの典型的な直径を有するカテーテルとともに用いられる円筒形構成を示し、1つの円筒形コイル(22)と、2つの横方向の「サドル」コイル対(24、26)とを有するセンサの3次元表示を示す。
【図6】 センサ(20)と、電子インタフェース(12)と、処理および制御ユニット(10)とを含む、測定および処理システムのブロック図を示す。
【図7】 様々な臨床用途のための追跡方法論の好適な実施形態のブロック図を示す。
Claims (17)
- 磁気共鳴イメージング装置の動作中に、該磁気共鳴イメージング装置の撮像空間内の3次元空間を通って移動する対象物の瞬間的な場所および方向を判定するための装置であって、
該対象物により担持され、該磁気共鳴イメージング装置の該撮像空間内の瞬間的な磁場を測定するセンサと、
該磁気共鳴イメージング装置の動作中に該磁気共鳴イメージング装置の傾斜磁場コイルの活性化により発生される磁場の瞬間的な値を測定するための手段と、
該磁場の該測定された瞬間的な値を、該傾斜磁場コイルの該磁場の既知の大きさおよび方向とともに処理して、該空間内での該対象物の瞬間的な場所および方向を計算するためのプロセッサと、を含む、装置。 - 前記センサが、3つの直交面に構成要素を含む、互いに関して既知の方向の軸を有する複数のセンサコイルを含むコイルアセンブリを含む、請求項1に記載の装置。
- 前記測定手段は、前記磁気共鳴イメージング装置の傾斜磁場の複数の活性化を識別するための手段をさらに含み、該識別は、該磁気共鳴イメージング装置の単一の傾斜磁場コイルの活性化、または、2つもしくは3つの傾斜磁場コイルの活性化の組み合わせ、のタイミングおよび振幅を提供し、
前記プロセッサは、
i.MRIスキャナの傾斜磁場の該活性化の各々について、異なるセンサコイルにおける誘導電位のベクトル和により、電圧ベクトルを計算するための手段と、
ii.すべての該電圧ベクトルの大きさと、該電圧ベクトルの可能なすべての対の間の角度と、を計算するための手段と、
iii.該磁気共鳴イメージング装置の前記撮像空間についての該磁気共鳴イメージング装置の該3つの傾斜磁場コイルの各々の基準磁場マップを格納するためのメモリと、
iv.該電圧ベクトルの該計算された大きさおよび角度を、該既知の基準磁場マップ、および前記コイルアセンブリにおける該センサコイルの既知の相対的な方向とともに処理することにより、該センサの場所を推定するための手段と、
v.該センサコイルにおいて発生された該誘導電位を、該既知の基準磁場マップ、および該コイルアセンブリにおける該センサコイルの該既知の相対的な方向とともに処理することにより、該センサの方向を推定するための手段と、をさらに含む、請求項2に記載の装置。 - 前記測定手段は、前記磁気共鳴イメージング装置の傾斜磁場の複数の活性化を識別するための手段をさらに含み、該識別は、該磁気共鳴イメージング装置の単一の傾斜磁場コイルの活性化、または、2つもしくは3つの傾斜磁場コイルの活性化の組み合わせ、のタイミングおよび振幅を提供し、
前記プロセッサは、
i.該磁気共鳴イメージング装置の前記撮像空間についての該磁気共鳴イメージング装置の該3つの傾斜磁場コイルの各々の基準磁場マップを格納するためのメモリと、
ii.前記センサコイルにおいて発生された誘導電位を、該既知の基準磁場マップ、および前記コイルアセンブリにおける該センサコイルの既知の相対的な方向とともに処理することにより、該センサの場所および方向を同時に推定するための手段と、をさらに含む、請求項2に記載の装置。 - 前記コイルアセンブリが、互いに関して直交する方向にされる少なくとも3つのセンサコイルを含む、請求項2に記載の装置。
- 前記コイルアセンブリが、3つのセンサコイル対を含み、各対の一方のセンサコイルが、それぞれの対の他方のセンサコイルと同じ方向を有し、各センサコイル対が、その他のセンサコイル対とは異なる方向を有する、請求項2に記載の装置。
- 対の各センサコイルは、該対の他方のセンサコイルに平行であるが、該他方のセンサコイルから横方向に間隔があけられる、請求項2に記載の装置。
- 前記コイルアセンブリが、円筒形センサコイルと、該円筒形センサコイルに関して直交して配置される2つのセンサコイル対と、を含む、請求項2に記載の装置。
- 前記2つのセンサコイル対が、湾曲しており、前記円筒形センサコイルとサドルの関係にある、請求項8に記載の装置。
- 前記2つのセンサコイル対が平面状である、請求項8に記載の装置。
- 前記プロセッサが、繰り返し最適化プロセスを行う、請求項1に記載の装置。
- 前記対象物の瞬間的な場所および方向をリアルタイムで判定するために、前記繰り返し最適化プロセスが、リアルタイムで行われる、請求項11に記載の装置。
- 前記対象物が、医療診断または治療の目的で人体内を移動する医療器具であり、前記センサが、該医療器具に取り付けられるか、または、該医療器具に組み込まれる、請求項1に記載の装置。
- 前記医療器具が、動脈造影図用カテーテル、静脈造影図用カテーテル、血管形成術用カテーテル、ステント留置用カテーテル、経皮経心筋的血行再生法用カテーテル、心臓電気生理学研究用カテーテル、および遺伝子治療用カテーテルからなる群から選択される、請求項13に記載の装置。
- 前記医療器具が、低侵襲外科手術用の道具である、請求項13に記載の装置。
- 前記医療器具が、バイオプシーガン、バイオプシー針、および吸引用針からなる群から選択される、請求項に13記載の装置。
- 前記医療器具が、硬性内視鏡、可撓性のある内視鏡、脳室鏡、結腸鏡、十二指腸鏡、胃鏡、喉頭鏡、気管鏡、気管支鏡、子宮鏡、尿道鏡、膀胱鏡、尿管鏡、および関節鏡からなる群から選択される、請求項13に記載の装置。
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