本発明によれば装置が少なくとも一種の有機ホスホニウム遷移金属染料を含むことが有利であることが見出された。
その特別な例では、本発明による装置自体は少なくとも一種の有機ホスホニウム二価遷移金属染料を与えられたフィルター又はフィルター層を含む。
装置はこのような特定の染料を与えられるか、及び/又は前記染料はその装置の一部としてフィルター材料中に存在する。具体例のさらなる記載では、装置が述べられるとき、かかる装置の一部としてフィルター又はフィルター層も含まれることが理解される。
好ましい例では装置は従ってこのように含むか又はそのフィルター又はフィルター層において有機ホスホニウム遷移金属染料を含み、前記有機ホスホニウム遷移金属染料中の前記遷移金属は二価のコバルト又はニッケルである。
本発明によれば装置は特に一般式(I)による有機ホスホニウム染料又は化合物を与えられる:
式中、MはCo又はNiであり、n≧1,m≧1,Σ(+)≧1であり、−2n=mΣ(+)であり、R
1,R
2,R
3及びR
4は同じであっても異なってもよく、各々独立して置換又は非置換、飽和又は不飽和アルキル基、置換又は非置換、飽和又は不飽和脂肪族基、置換又は非置換脂環式炭化水素基、置換又は非置換芳香族基、置換又は非置換複素芳香族基、置換又は非置換過剰枝分かれポリマー基、置換又は非置換樹状基を表すか又はR
1,R
2,R
3及びR
4は各々独立して互いに環系を形成するために必要な原子を表し、L
1,L
2,L
3及びL
4は各々独立してF,Cl,Br及びIの一つを表し、m=1のときΣ(+)=2nであり、結果として2n正電荷中心はカチオンに存在し、n=1でΣ(+)=1のときm=2であり、結果として二つのカチオン(P
+R
1R
2R
3R
4)及び(P
+R
5R
6R
7R
8)は分子中に存在し、R
5,R
6,R
7,R
8は同じであっても異なってもよく、各々独立して置換又は非置換、飽和又は不飽和アルキル基、置換又は非置換、飽和又は不飽和脂肪族基、置換又は非置換脂環式炭化水素基、置換又は非置換芳香族基、置換又は非置換複素芳香族基、置換又は非置換過剰枝分かれポリマー基、置換又は非置換樹状基を表すか又はR
5,R
6,R
7及びR
8は各々独立して互いに環系を形成するために必要な原子を表す。
本発明を開示するときに使用される“アルキル”の用語はアルキル基における炭素原子の各数に対して可能な全ての変形を意味し、三つの炭素原子に対してはn−プロピル及びイソプロピル、四つの炭素原子に対してはn−ブチル、イソブチル及びターシャリブチル、五つの炭素原子に対してはn−ペンチル、1,1−ジメチル−プロピル、2,2−ジメチルプロピル及び2−メチルブチルが挙げられるが、それらに限定されない。
本発明を開示するときに使用される“飽和脂肪族基”の用語は飽和直鎖、枝分かれした鎖及び脂環式炭化水素基を意味する。
本発明を開示するときに使用される“不飽和脂肪族基”の用語は直鎖、枝分かれした鎖及び脂環式炭化水素基を意味し、それらは少なくとも一つの二重又は三重結合を含む。
本発明を開示するときに使用される“芳香族基”の用語は環式共役炭素原子の共有結合集合体を意味し、それらは大きな共鳴エネルギーを特徴とし、例えばベンゼン、ナフタレン及びアントラセンである。
“脂環式炭化水素基”の用語は環式共役炭素原子の共有結合集合体を意味し、それらは芳香族基を形成せず、例えばシクロヘキサンである。
本発明を開示するときに使用される“置換”の用語は脂肪族基、芳香族基又は脂環式炭化水素基における一以上の炭素原子及び/又は一以上の炭素原子の水素原子が酸素原子、窒素原子、燐原子、珪素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子、又はこれらの前記炭素及び水素置換原子の一以上を含有する基によって置換されることを意味する。かかる置換基はヒドロキシル基、チオール基、カルバメート基、ウレア基、エーテル基、チオエーテル基、ニトリル基、ケトン、カルボン酸基、エステル基、スルホネート基、スルホンアミド基、ホスホネート基、ホスホンアミド基、ホスホンアミデート基、アミド基、アミン基、アンモニウム基、スルホニウム基及びホスホニウム基を含む。
“アンモニウム基”、“スルホニウム基”及び“ホスホニウム基”の用語はそれぞれ正電荷窒素、硫黄及び燐原子を意味する。
“複素芳香族基”の用語は環式共役炭素原子の少なくとも一つが窒素原子又は燐原子によって置換される芳香族基を意味する。
“複素環式基”の用語は環式共役炭素原子の少なくとも一つが酸素原子、窒素原子、燐原子、珪素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子によって置換される脂環式炭化水素基を意味する。
“Σ(+)”の用語はカチオン中の正電荷の合計を意味する。
“樹状基(dendrimeric group)”及び“過剰枝分かれポリマー基(hyperbranched polymer group)”の用語は次の参照文献に記載されたような意味を有する:(a)C.Gao,D.Yan,Progress in Polymer Science 29(2004),183−275,(b)Topics in Current Chemistry Volumes 197,210,211及び217,(c)Jikei,M.;Kakimoto,M.Prog.Polym.Sci.2001,26,1233,(d)Newkome,G.R.;Moorefield,C.N.;Voegtle,F.Dendritic Molecules:Concepts,Synthesis,Perspectives;VCH:Weinheim,2001,(e)Kim,Y.H.J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.1998,36,1685,(f)Voit,B.I.J.Polym.Sci.,Polym.Chem.2000,38,2505,(g)Sunder,A.;Heinemann,J.;Frey,H.Chem.Eur.J.2000,6,2499。これらの文献から、過剰枝分かれポリマーが正規の枝分かれデンドリマー(regularly branched dendrimer)とは明らかに区別されなければならないことは明らかである。
“遷移金属染料”の用語はスペクトルの可視及び/又は赤外部分における吸収を有する化合物を意味し、それは遷移金属イオン及び有機対イオンの両方を含有する。“二価遷移金属”の用語は中央配位金属の原子価に関し、それは二価の状態にある。
本発明による装置は特別な例では層状材料であり、その少なくとも一つの層において少なくとも一つの有機ホスホニウム遷移金属染料が以下に与えられたような一般式(I)に従って存在する。
一つの例では本発明による装置は純粋な染料ベースの形で一般式(I)による有機ホスホニウム染料を含む。本発明による装置の特別な例では前記有機ホスホニウム染料は粘稠な深青色の油として存在する。本発明によれば、前記粘稠な深青色の油が着色された又は着色されないガラスプレート又はプラスチック箔の間に適用されることが有利である。本発明による別の例では、前記粘稠な深青色の油はポリマーホストに埋め込まれる。前記ポリマーホストはさらなる例ではUV硬化又は熱硬化マトリックスに存在する。本発明のさらに別の例では前記粘稠な深青色の油は溶媒ベースの被覆溶液から被覆され、従って溶媒ベースの被覆中に存在する。その場合において前記粘稠な深青色の油は好ましくは濃縮された溶媒ベースの被覆溶液から被覆され、その溶液は例えば光安定化剤、粘度調整剤及び酸化防止剤及び殺生物剤のような保存剤(これらに限定されない)のような当業者に公知の一般的な添加剤を与えられる。特別な例では前記添加剤の一つは結合剤媒体である。溶媒ベースの被覆層に使用される溶媒はさらに蒸発によってマトリックスから除去されることが有利である。
UV硬化マトリックスの例では、本発明によれば、モノマー、オリゴマー又はそれらの混合物、光開始剤及び/又は相乗剤を含むUV硬化性組成物から生じるUV硬化マトリックスが有利に使用される。
UV硬化に使用するために好適な光開始剤は“Surface Coatings Technology”Volume III,1998,“Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerisation”,2nd Edition,Crivello & Dietliker,G.Bradley編、John Wiley and Sons,特に208−224頁に記載されているものにおける教示からとることができる。
業界で一般に知られるいかなる重合可能な化合物も使用することができる。放射線硬化性組成物における放射線硬化性化合物として使用するために特に好ましいものは単官能及び/又は多官能アクリレートモノマー、単官能及び/又は多官能メタクリレートモノマー、オリゴマ又はプレポリマー、例えばイソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソアミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ビニルエーテルアクリレート、例えばUS−A 6310115に記載のもの、2−(ビニロキシ)エチルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリルオキシエチルフタル酸、2−アクリルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ラクトン変性可撓性アクリレート、及びt−ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールA EO(エチレンオキサイド)アダクトジアクリレート、ビスフェノールA PO(プロピレンオキサイド)アダクトジアクリレート、ヒドロキシピバレートネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、アルコキシル化ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート及びポリテトラメチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリ(プロピレングリコール)トリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、N−ビニルアミド、例えばN−ビニルカプロラクタム又はN−ビニルホルムアミド;又はアクリルアミド又は置換アクリルアミド、例えばアクリロイルモルフォリン;及びUS−A 6300388に記載されたようなアミノ官能エーテルアクリレート;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、(ビニロキシ)ブチルメタクリレート、US−A 6310115に記載されたようなビニルエーテルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、及びポリエチレングリコールジメタクリレートである。
上述の重合可能なオリゴマーの例はエポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、及び直鎖アクリルオリゴマーを含むが、それらに限定されない。
本発明によれば前記粘稠な油、前記ポリマーホスト及び/又は前記溶媒ベースの被覆層は下記式による化合物をさらに含む:
(R1R2R3R4)P+X−及び(R1R2R3R4)N+X−
式中、R1,R2,R3及びR4は同じであっても異なってもよく、各々独立して置換又は非置換、飽和又は不飽和アルキル基、置換又は非置換、飽和又は不飽和脂肪族基、置換又は非置換脂環式炭化水素基、置換又は非置換芳香族基、置換又は非置換複素芳香族基、置換又は非置換過剰枝分かれポリマー基、置換又は非置換樹状基を表し、又はR1,R2,R3及びR4は各々独立して互いに環系を形成するために必要な原子を表し、X−はF,Cl,Br及びIの一つを表す。それらの塩の好ましい量は前記粘稠な油、前記ポリマーホスト及び/又は前記溶媒ベースの被覆層に存在するとき0.1〜50重量%、より好ましくは0.5〜30重量%、さらにより好ましくは1〜15重量%の範囲である。
本発明による装置は選択された用途のために、走査装置、デジタイザ、ディスプレイ及び感光装置からなる群から選択される。
本発明によれば、一つの例では走査装置の形の装置は所望のスペクトル波長範囲において光を濾過するフィルターを有する走査装置を含み、そこでは貯蔵装置は走査された情報をデジタル化された形で貯蔵するために与えられる。デジタル化された情報がさらに電気的に処理されることができること及びポジ像が貯蔵された及び/又は処理されたデジタル情報の表示として印刷されてもよいことは明らかである。
例えば走査又はアナログコピー機でカラーネガ像からポジティブプリントを作るためのカラー写真コピー材料はDE−A 10230977及び10230979に開示されているように特定のポリマーを有する専用のシアンカップラーを使用することが有利であり、さらに本発明に開示されたようなフィルター材料を使用することが有利である。
本発明による走査装置におけるフィルターの使用はUS出願2002/136447に記載されたように行ってもよく、そこでは像処理のためのシステム及び方法は自動的なカラードロップアウトによって行われ、カラー形態を処理するための自動的な方法はa)カラー空間でカラー形態を走査し、デジタルカラー像を形成し、クロミナンス空間でデジタルカラー像を二次元二値像に変換し、b)カラー形成ドロップアウト法を行う工程を含む。自動的なカラードロップアウトシステムはまた、1)(1a)カラー文書を走査しデジタル像を与える;(1b)カラーデジタル像をルミナンス−クロミナンス空間に変換する;(1c)背景グレーレベルを検出し、それを“背景値”に割り当てる;(1d)カラー分布を測定する;(1e)存在する色を検出する;(1f)各色についてカラードロップアウトテーブルを生成する;ための手段を含む色検出システム、及び2)(2a)カラー形態文書を走査しデジタル像を与える;(2b)デジタル像をルミナンス−クロミナンス空間に変換する;(2c/d)カラードロップアウトテーブルを貯蔵し評価する;(2e)カラードロップアウトマップをデジタル像に適用する;(2f)ピクセル値を“背景値”に置換するための手段を含むカラードロップアウトシステムを含む。
改良された性能を有するデジタル像は、例えばシーンの写真像を生成し;同じシーンのデジタル化電子像を生成し;写真像を走査してシーンのデジタル化写真像を生成し;デジタル化電子像及びデジタル化写真像を組み合わせて処理し、US−A 6014165のように改良された性能を有する別のデジタル像を生成することによって形成される。ちょうどその方法では、改良された性能を有するデジタル像を生成することは下記工程を含む:
a)シーンの写真像を捕獲する;
b)捕獲された写真像をデジタル化し、デジタル化写真像を生成する;
c)写真像を捕獲すると同時に、シーンのデジタル化電子像を捕獲する;
d)デジタル化電子像とデジタル化写真像を全体的に整合する;及び
e)デジタル化電子像及びデジタル化写真像を局部的に整合し、局部的な領域において整合不良があるとき、デジタル化電子及び写真像のこれらの局部的に整合されない領域の各々について測定及び修正し、適切に修正された像を組み合わせ、改良された性能を有する組み合わされたデジタル像を生成する。
組み合わせ及び処理工程はデジタル化電子像のいずれかのハイパスフィルタリングを含み、デジタル化写真像は高い空間周波数でより多くの情報を含有し、このハイパスフィルターされた像をいずれかの像に加えることによって像を組み合わせることは高い空間周波数でより少ない情報を含有する。かかる方法では、使用のために好適な装置は本発明によるフィルターを与えられてもよい。
少なくとも二つの色記録を有する写真多層色要素についての走査装置に関して、前記多層色要素は典型的には可視スペクトルの三つの主要な領域の各々に感受性のある染料像形成ユニット(又は色記録)を含有する。各ユニットはスペクトルの所定の領域に感受性のある単一乳剤層又は多数乳剤層から構成されることができる。その要素の層は公知の様々な順序のいずれかで配置されることができる。別のフォーマットでは、スペクトルの三つの主要な領域の各々に感受性のある乳剤は単一の区分された層として配置されることができる。その要素はまた、フィルター層、中間層、下塗り層、オーバーコート及び当業者に公知の他の層の如き他の従来の層を含有する。磁気裏打ちは従来の支持体と同様に使用されることができる。好ましくは、透明支持体が業界で良く知られているようにフィルムに使用される。
“濃度表示デジタル信号”の用語は写真像を点ごとに、線ごとに、又はフレームごとに走査し、フィルムネガにおけるイエロー、マゼンタ及びシアン染料によって調整される青、緑及び赤走査ビームである光ビームの−log(透過率)を測定することによって生成される電子記録に関する。様々な色走査アプローチにおいて、青、緑及び赤走査ビームは組み合わされ、染料によって調整される単一の白走査ビームになり、三つの別個のデジタル記録を作るために赤、緑及び青フィルターを通して読まれる。走査は従来の走査装置を使用することによって実施されることができる。従って、カラーネガティブフィルムが化学的に処理された後、像のデジタル表示を作るために走査されることができる。像を走査するための最も一般的なアプローチは光ビームの透過率を点ごと又は線ごとに記録することである。カラー写真では、青、緑及び赤走査ビームがイエロー、マゼンタ及びシアン像染料のそれぞれによって調整される。様々な色走査アプローチにおいて、青、緑及び赤走査ビームが組み合わされ、別個の色記録を作るために青、緑及び赤フィルターを通して読まれる像染料によって調整される単一の白走査ビームになる。これらの記録はいずれかの好適な記憶媒体(例えば光ディスク)に読み込むことができる。走査装置又はコンピュータの如き、像が中間装置を通過するシステムはしばしば“混成”像形成システムと称される。かかる装置は600nm以上の波長範囲の光を弱めるために適切であれば本発明によるフィルター材料を使用することが有利である。US−A 6664034のように写真要素(例えば像に従って露光される写真フィルム)上に潜像を現像する方法は染料プリカーサをフィルム中に吸収し、現像液をフィルムに適用して潜像を現像しフィルム中に染料を形成し、フィルムを光で走査し、フィルムから反射された光及びフィルムを透過した光の少なくとも一方を検出することによって行われる。ネガ又は対応するポジ像は像のデジタル表示を生成するために従来の電子走査装置を使用してデジタル化されてもよい。フィルム上のネガ像の走査は典型的には現像されたネガに可視光を通過することによって達成される。フィルムを透過した光は現像された銀(黒白フィルム)によって又は染料層(カラーフィルム)によって弱められ、それによって像のデジタル表示を捕獲及び記録することができる。透過された光は次いでフィルターを通過され、本発明によるフィルター材料はイエロー、マゼンタ及びシアン染料がフィルム上の各位置に対して検出されうるように適切なスペクトル感度を有するものとして有用である。このようにして検出された濃度値はフィルム上の各位置に最初に露光された青、緑及び赤光の間接的な測定値である。これらの測定された濃度値はデジタル像における各対応する位置又は画素について青、緑及び赤の値として使用される三つの値を構成する。これらの画素値のさらなる処理はオリジナルシーンを正確に再生しかつ人の目に心地良いデジタル像を生成するために実施されることが多い。
US−A 6705777のように、走査システムは電磁スペクトルの可視部分内に少なくとも一つの周波数を有する光で被覆されたフィルムを照明する。その光はフィルム内で銀及び少なくとも一つの染料像と相互作用する。走査ステーションはフィルムからの光を測定し、データ処理システムに通信されるセンサーデータを生成する。データ処理システムはセンサーデータを処理してデジタル像を生成する。デジタル像は次いでプリンター、モニター、記憶装置(これらに限定されない)の如き出力装置に出力されることができる。その光源は好適な光を生成するシステム又は一以上の装置を含んでもよく、好ましい例では光源は赤外光を含む様々な色を生成するために使用される発光ダイオードの配列を含む。特に、LEDの特定の色を制御して様々な色の短時間光パルスを生成することができる。別の例では、光源は蛍光、白熱光、タングステン−ハロゲン及び直接ガス放出ランプ(これらに限定されない)の如き幅広いスペクトル光源を含む。かかる例では、センサーシステムは光の色をフィルムからスペクトル的に分離するために本発明のようなフィルターを含んでもよい。従って、例えば検出器のRGBフィルターされたトリリニア(trilinear)配列を使用して光をフィルムからスペクトル的に分離してもよく、幅広いスペクトル光源の別の例では、光源は考えられるような光の特定された色を生成するために本発明のようにフィルターを含む。さらに別の例では、光源は点光源を含む:例えばヒ化ガリリウム又はインジウムガリリウムホスファイドレーザのようなレーザであって、そこではレーザビームの幅はフィルム上の画素と同じサイズ、即ち約12μmの範囲であることが好ましい。本発明による装置に使用されるようなフィルター又は他の好適な波長変調器又はリミッターを使用して光の特定の色を生成してもよい。照明システムのための任意の光学素子は光をフィルムに向けてもよい:光学素子は光をフィルム上に向ける導波管を含んでもよい。他の例では光学素子は光を合焦するためのレンズ系を含んでもよい。かかるレンズ系は光を状態調節するために偏光フィルターを含んでもよい。光学素子は光そらせ板を含んでもよく、光そらせ板はフィルムの曇りを生じうる光漏れを減らすために走査領域内の光の照明を束縛する。光そらせ板は有利にはフィルムに隣接する被覆部材を含み、一般にフィルムの曇りを起こしうる反射光を妨げる光吸収材料である。検出システムはフィルムからの光をデータ信号に変換する一以上の光検出器を含み、線状電荷結合素子(CCD)配列又はエリア配列を含んでもよく、フォトダイオード、フォトトランジスタ及び/又は光電導セルなどを含んでもよい。個々の光検出器によって検出されるバンド幅又は色を制限するために、検出器はフィルターを含むことが有利であり、本発明によるフィルターはそこで有用であるかもしれない。従って、トリリニア配列は光の一つだけの色が光検出器によって測定されることができるためにはカラーフィルターを有する光検出器の各線とは別個の光検出器の線を含むことが多い。特に、トリリニア配列では、配列は一般に別個の線上に個々の赤、緑、及び青フィルターを含む。なぜならばこれは光の赤、緑、及び青成分の同時測定を可能にするからである。フィルターの他の好適なタイプは例えば熱い鏡及び冷たい鏡であり、それらは赤外光を可視光から分離するために使用されることができるが、本発明に関してはここで与えられた新しいフィルターが好ましい。走査ステーションの様々な構成及び例はフィルムを異なるように走査してもよい:従って照明システム及びセンサーシステムは好適なセンサーデータを生成するために照明しフィルムからの光を感知するように協力して作動する。一つの例では、照明システムは別々に別個の色の光をフィルムに適用する:センサーシステムはそのとき一般にフィルムからの対応する色の光を連続して測定するフィルター非含有検出器を含む。別の例では、多数の独自の色組み合わせが同時にフィルムに適用され、個々の色記録はセンサーデータから誘導される。別の例では、照明システムは同時に多数の色の光をフィルムに適用する:センサーシステムはそのとき一般に個々の色の光の同時測定を可能にするフィルター付き検出器を含む。他の好適な走査方法を使用して必要な色記録を得てもよい。
本発明による特別な装置としてのデジタイザはその一つの例ではそこに挿入されたX線露光された刺激性燐光体パネルにおいて貯蔵されたエネルギーの刺激のために刺激放射線レーザ源を含み、着色されたフィルターはスペクトル的に純粋な刺激を与えるために刺激するレーザ源と燐光体パネルの間に設置される。
本発明による好ましい例では前記デジタイザはOG590,RG610,RG630,RG645,RG665,KG1,KG2,KG3,KG4及びKG5のタイプのSchott(登録商標)フィルターの群から選択される着色されたガラスフィルターを追加して与えられる。
本発明によるデジタイザはその一つの例では前記有機ホスホニウム遷移金属染料の赤外蛍光の吸収を与えるためにフィルタリング手段と検出手段の間に設置される光フィルターを有する。
本発明によるデジタイザはその別の例では燐光体パネルによって反射される刺激光による前記有機ホスホニウム遷移金属染料の赤外蛍光の励起を減らすために貯蔵燐光体パネルとフィルタリング手段の間に設置された光フィルターを有する。
本発明によるデジタイザはさらなる例では刺激で放出された光を検出するために配置された変換器要素を与えられ、前記変換器要素はCCDである。
本発明によるディスプレイは特別な例では光源を含み、さらにフィルター材料が前記光源からの光を受けるために位置される。
好ましい例では本発明のディスプレイにおける前記光源は複数の発光ダイオードを含む。
本発明による装置としてディスプレイの別の例では、前記複数の発光ダイオードの少なくとも一つは染料ベースのフィルター材料で被覆される。
さらに、本発明によるディスプレイのさらに別の例では、前記複数の発光ダイオードの少なくとも一つはポリマーホスト材料と混合されたフィルター材料で形成されたレンズを有する。
染料ベースのフィルター材料を与えられたかかるディスプレイが暗所視像形成システムフィルタリングを提供することは明らかである。別の例では航空ディスプレイシステムが考えられ、そこでは前記システムは可視周波数範囲における可視像を与えるために構成されたディスプレイ、及び可視像と関連した光を受けるように位置された染料ベースのフィルター材料を与えられ、染料ベースのフィルター材料は近赤外及び赤外範囲の光を弱める。前記航空システムの光源は発光ダイオードを含み、染料ベースのフィルター材料はかかる発光ダイオードでさらに被覆されることが有利である。航空ディスプレイシステムでは染料ベースのフィルター材料はコバルト又はニッケル染料材料であり、前記フィルター材料は750nm以上の波長の光を弱める。ディスプレイの製造に関して、方法は次の工程を含むことが有利である:(1)光源を与える;(2)染料ベースのフィルター材料を有する光源から光を受けるフィルムで光源を被覆する(染料ベースのフィルター材料は赤外範囲における光を弱める)。前記方法は染料材料にオーバーコートを与えてそれを環境から封止する工程をさらに含む。光源は発光ダイオードの配列であることが好ましく、そこでは少なくとも一つの発光ダイオードが被覆される。有利には染料ベースのフィルター材料は特に好適な有機ホスホニウムコバルト及び/又はニッケル染料の少なくとも一つの組み合わせでドープされたポリマーホストを含む。
ディスプレイシステムは別の例では可視像を与えるための手段;及び選択された波長範囲以上の可視像と関連した光を吸収するために光を濾過するための手段を含み、前記選択された波長範囲は610nm以上である。好ましい例では暗所視像形成システムフィルターはモノマー又はポリマーホスト;及び染料を含み、ホストは染料でドープされ、フィルターは近赤外及び赤外範囲の光を吸収し、可視範囲の光を通過させる。フィルターは640〜740nmの波長間の光を10%未満のレベルまで弱める。さらに好ましい例ではフィルターは一対の半透明フィルムを含み、少なくとも一つの半透明フィルムは偏光されている。有利にはブロッキングフィルターは745nm〜1000nmの範囲でさらに弱める。
本発明による装置としての走査装置は所望のスペクトル波長範囲の光(例えばカラーネガ像について青、緑及び赤)で光を濾過するフィルターを与えられた走査装置及び走査された情報をデジタル化された形で記憶するための記憶ユニットを含む。
本発明による装置としての特別なデジタイザはX線に露光された刺激性燐光体スクリーン、プレート又はパネルを読み出すための能力を与え、前記システムは刺激放射線の少なくとも一つの源、刺激すると放出される光を検出するため及び前記光を前記像の信号表示に変換するために配置された変換器要素の配列、及び刺激放射線の前記源によって放出される光が前記変換器要素によって検出されることを防止するためのフィルタリング手段を含むものにおいて、刺激放射線の前記源の刺激放出波長における透過率と350nm〜500nmの波長範囲における刺激された光の透過率の比が10−6未満であり、前記比が下記式(II)によって規定されることを特徴とする:
Tr(λst(nm))/Tr(λx(nm))<10−6 (II)
式中、λstは刺激波長であり、350nm<λx<500nm。
その式(II)において前記透過率は典型的には狭い波長範囲における半導体放出光又はレーザ源の場合のように単一の波長、例えば660nmに関する。なぜならば刺激性燐光体プレートは典型的にはレーザ又は半導体放射線源で読み出されるからである。
刺激すると放出される光を検出するため及び前記光を前記像の信号表示に変換するための前記変換器要素は好ましくは電荷結合素子である。
本発明によるデジタイザでは有機ホスホニウム染料を含むフィルターを通って光を透過することは50%より大きい、より好ましくは60%より大きい、最も好ましくは75%より大きい効率で行うことが好ましい。
本発明による特別な装置としての感光装置は600nmを越える赤波長範囲において敏感な成分を含む。構成要素としての本発明による感光装置は黒白フィルム材料、カラーネガティブ、カラーポジティブ及びカラー反転フィルム材料からなる群から選択される(ハロゲン化銀)写真材料であることが有利である。カラーネガ又はカラー中間フィルムが考えられるとき、前記フィルムは透明フィルム支持体を含み、その上に連続して青色ハレーション防止層、少なくとも一つのシアン形成カップラーを含む少なくとも一つの赤色増感ハロゲン化銀乳剤層、少なくとも一つのマゼンタ形成カップラーを含む少なくとも一つの緑色増感ハロゲン化銀乳剤層、黄色フィルター層、少なくとも一つの黄色形成カップラーを含む少なくとも一つの青色増感ハロゲン化銀乳剤層及び耐応力層を被覆され、前記青色ハレーション防止層はEP−A 0582000から知られた青色非拡散染料に加えて又はそれに対する代替物として少なくとも一つの二価の遷移金属有機ホスホニウム染料を含む。
カラー写真映画投影フィルム要素又は印刷紙が考えられる別の例では、支持体上に連続して黄色形成カップラーを含む青色増感ハロゲン化銀乳剤層、シアン形成カップラーを含む赤色増感ハロゲン化銀乳剤層、中間層、マゼンタ形成カップラーを含む緑色増感ハロゲン化銀乳剤層、及び耐応力層を被覆され、前記支持体と前記青色増感ハロゲン化銀乳剤層の間に黄色ハレーション防止オーバーコートが与えられ、それは青色光を吸収しかつ処理浴において除去可能かつ/又は脱色可能である少なくとも一つの黄色非拡散染料を含み、前記青色増感ハロゲン化銀乳剤層と前記赤色増感ハロゲン化銀乳剤層の間に青色がかったハレーション防止中間層が与えられ、それはEP−A 0252550から知られた青色非拡散染料に加えて又はそれに対する代替物として少なくとも一つの二価の遷移金属有機ホスホニウム染料を含む。
本発明による装置がフィルターを与えられる例では、前記フィルターは少なくとも一つの誘電フィルター層をさらに与えられることが有利である。そこでの本発明の前記フィルター材料はポリマーホスト及び少なくとも一つの有機ホスホニウムコバルト又はニッケル染料又はそれらの混合物を含むことが有利である。染料はさらに室温より十分に低い温度以下の融点を有することが好ましい。前記フィルター材料は発光しないか又は発光しないように作られることが有利である。フィルター材料はその特別な例ではポリマーホスト及び好ましくは発光しない染料材料を含む。有機ホスホニウム遷移金属染料に加えて、貯蔵燐光体スクリーンを読み出すためのシステムと関連した同時係属出願に開示された有機アンモニウム遷移金属染料を混合して使用してもよい。別の特別な例では、有機ホスホニウム遷移金属染料に加えて、例えば二価遷移金属錯体に加えて有機アンモニウム及び有機ホスホニウム部分を有するもののような混合されたタイプの染料をさらに存在させてもよい。装置、特に本発明によるかかる装置のフィルター材料に使用するために特に好適な染料は有機合成の分野で熟練した者に公知の合成方法に従って製造されることができる。
詳細な記述は“実施例のI.染料合成”の部分に与えられる。
多くの情報はTransition Metal Chemistry(London),1997,22(2),117−122及び上述の文献などに見出すこともできる。
しかしながら、一般式(I)による好ましい染料の例(これらの例に限定されない)は表1に与えられている。
表1 一般式(I)による有機ホスホニウム染料(式中、表に記入された染料に対してはn=1;Σ(+)=1;m=2でP+R1R2R3R4及びP+R5R6R7R8であり、二価遷移金属イオンはCo2+である。
本発明による装置のフィルターに使用するために好適な染料の透過スペクトルはホスホニウム対イオンの構造と同様にCoイオン又はNiイオン上の両リガンドを変えることによって微調整されることができる。
それらの染料が混入されるフィルターは600nm〜800nmの波長範囲の放射線の高くて十分な吸収を与え、さらに300〜350nmから500nmの波長範囲の光の優れた透過を与えるが、考慮しなければならない二つの重要な側面がある。第一の側面は吸収される光の“スペクトル純度”と関連する。しかしながら、約10nmの極めて小さな波長範囲で最高の程度まで放射線を発生する半導体レーザはまた、例えば約590nmの波長を有する光を放出する。590nmにおける強度は極めて低いが、フィルターの光学濃度はその波長において満足すべきものではないかもしれない。そのための解決策は前記半導体レーザの近くに位置される二つの光フィルターの適用によって提供される。そのレーザによって放出される望まれない放射線をブロックするために極めて多くの組み合わせが可能である。第二の側面は選択された有機ホスホニウムコバルト又はニッケル染料の蛍光と関連する。実際、蛍光放射線の放出は700〜800nmの波長範囲において検出される。その問題を解決するために追加の赤外フィルターが設置されるべきである。満足する結果はSchottからの例えばKG5(登録商標)、より好ましくは同じ製造業者からのBG39(登録商標)(ともに2mmの厚さを有する)のような商業的に入手可能なフィルターで達成された。
本発明をその好ましい例と関連して以下に記載するが、本発明をそれらの例に限定することを意図しないことは理解されるだろう。
実施例
I.染料合成
式(I)による有機コバルト染料の合成は染料1及び染料2に対して記載されたような例によって行うが、それらに限定されない。
I.1.染料1の合成:
ビス[ベンジルトリブチルホスホニウム]テトラクロロコバルテート、染料1が計画1に従って製造された。
11.9g(0.05mol)のCoCl2ヘキサハイドレートを400mlのエチルアセテートに懸濁した。懸濁液は窒素雰囲気下で維持しながら共沸混合的に乾燥された。水/エチルアセテート混合物はDean Starkセパレータで除去された。エチルアセテートの体積はエチルアセテートの追加量を加えることによって400mlで一定に保持された。除去される水が多いほど、懸濁液の色は赤から青により多く変わった。除去されたエチルアセテート/水の部分の水含有量は水の理論量が除去されるまで測定された(Karl Fischer)。還流下で1時間後、エチルアセテート(200ml)における34.5gのベンジルトリブチルホスホニウムクロライドの懸濁液を加え、還流を3時間以上続けた。この時間中、二つの100mlのエチルアセテート画分を蒸留によって除去した。3時間後、反応混合物からクリアで深青色の油相が分離された。反応混合物を50℃に冷却し、エチルアセテート層を除去した。油中の残留エチルアセテートを50℃〜60℃の範囲の温度で高真空下で除去した。40gの染料1が粘稠な深青色の油として得られた。
I.2.染料2の合成:
ビス[セチルトリブチルホスホニウム]ジブロモジクロロコバルテート、染料2が計画2に従って製造された。
11.9g(0.05mol)のCoCl2ヘキサハイドレートを400mlのエチルアセテートに懸濁した。懸濁液は窒素雰囲気下で維持しながら共沸混合的に乾燥された。水/エチルアセテート混合物はDean Starkセパレータで除去された。エチルアセテートの体積はエチルアセテートの追加量を加えることによって400mlで一定に保持された。除去される水が多いほど、懸濁液の色は赤から青により多く変わった。収集されたエチルアセテート/水の部分の水含有量は水の理論量が収集されるまで測定された(Karl Fischer)。2時間の還流時間の後、200mlの暖かいエチルアセテートにおける53.2gのセチルトリブチルホスホニウムブロマイドの溶液を加えた。生じた混合物を還流下で2時間以上加熱し、一方エチルアセテートを蒸留によって除去した。深青色の油が得られ、それは50℃に冷却された。油中の残留エチルアセテートを50℃〜60℃の範囲の温度で高真空下で除去した。57.8gの染料2が深青色の油として得られた。
表1に述べられた他の染料を製造するために類似の方法を使用することができる。
II.染料1及び染料2の吸収及び透過スペクトル
染料1及び染料2の吸収スペクトル(二つのガラススライド間の薄膜)が図1Aに表されている。そこから染料1に対しては少なくとも1.5の高い吸収濃度が660〜705nmの波長範囲において測定されることが結論づけられる。
染料2に対しては1.5の濃度がより深色な範囲(680〜720nm)で得られる。
図1Bに表された染料1及び染料2の透過スペクトル(二つのガラススライド間の薄膜)は両染料に対して約350〜約500nmの波長範囲で測定すると約90%の特に望ましい透過率を示す。
III.染料1(テトラクロロコバルテート塩)又は染料2(ジクロロジブロモコバルテート塩)を有する本発明フィルター
1mmの厚さを有するSchott BG39(登録商標)フィルターは異なる厚さ(それぞれ100μm及び150μm厚)を有する両染料(染料1及び染料2)の染料層で被覆された。日本のHAMAMATSUからのPhotonic Multi−Channel分析機PMA−11を使用するとき前述のフィルター組み合わせを通過するいかなるレーザ放射線も検出することができなかった。
この結果は700nm〜800nmの波長範囲内で1mmの厚さを有するSchott BG39(登録商標)とテトラクロロ−及びジブロモジクロロ−コバルテートフィルターの組み合わせによる好適な吸収を説明している。
光学濃度の測定はUDT放射計S370で可能であった:以下の表2に示されるような出力(nWで表示)は暗電流に対する修正後、12mWのレーザ源の出力についてなお測定されることができた。測定された光学濃度はまた、以下の表にまとめられた。
表2から両染料フィルターについて150μmの染料層の透過後に測定された顕著に低下された出力及びかなり高い光学濃度があることが明らかになる。
本発明の好ましい例を詳細に記載したが、特許請求の範囲に規定された発明の範囲から逸脱せずに多数の変更をそこでなしうることが明らかであろう。