JP4455471B2 - 湧水圧を用いたトンネルの切羽管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、簡易な湧水圧測定装置を用いてトンネルの切羽近傍の湧水圧を測定し、その湧水圧値をもとにトンネルの切羽を管理する湧水圧を用いたトンネルの切羽管理方法に関するものである。
砂質土地山トンネルにおける従来の切羽管理は、トンネルの切羽を構成する砂質土の粒度などの物理特性、掘削によって生じる切羽の変形の評価、掘削に伴って発生する外力の評価などによって行われてきた。しかし、砂質土地山トンネルの切羽の安定性には地下水流動が大きく関与するため、これに対する評価の必要性が指摘されている(下記非特許文献1参照)。
応用地質,第40巻,第5号,「砂質土トンネル切羽の自立性評価試験法に関する研究」P270−280,1999 「鉄道構造物等設計基準 都市部山岳工法トンネル」;鉄道総研、2002
上記したように、砂質地山においてトンネル掘削を行う場合に、切羽の安定性について評価を行うためには、上記したような切羽を構成する地層の物性とともに、切羽周辺に存在する地下水の状況を把握することが不可欠である。しかしこれまで、切羽の管理には主に地山の物性が用いられ、切羽周辺の地下水位および地下水圧をもとにした切羽管理はほとんど行われてこなかった。
本発明は、上記状況に鑑みて、地山の物性とともに、切羽周辺の地下水位および地下水圧をもとにした湧水圧を用いた切羽管理方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕湧水圧を用いた切羽管理方法において、鉄クロスビット(1)と、この鉄クロスビット(1)を先端に有する自穿孔ロックボルト(2)と、アダプター(3)と、前記自穿孔ロックボルト(2)に前記アダプター(3)を介して連結されるT字形状の中空管からなる分岐中空管(4)と、この分岐中空管(4)に連結される第1のバルブ(5)と、この第1のバルブ(5)の操作レバー(6)と、前記分岐中空管(4)に連結される第2のバルブ(7)と、この第2のバルブ(7)の操作レバー(8)と、前記第2のバルブ(7)に連通される水圧計(12)と、この水圧計(12)に接続されるケーブル(14)と、このケーブルに接続される測定器(15)とを具備する湧水圧測定装置を備えており、前記自穿孔ロックボルト(2)を用いてトンネルの切羽前方を穿孔し、前記第1のバルブ(5)の操作レバー(6)を操作して前記第1のバルブ(5)を開いて前記自穿孔ロックボルト(2)−前記分岐中空管(4)−前記第1のバルブ(5)を通して湧水を流出させて湧水の状態を見るとともに、前記第2のバルブ(7)の操作レバー(8)を操作して前記第2のバルブ(7)を開き、前記第1のバルブ(5)の操作レバー(6)を操作して前記第1のバルブ(5)を閉じることにより、前記水圧計(12)に負荷される前記切羽前方での湧水圧を計測し、これを前記切羽が所定距離進むごとに繰り返し行い、湧水圧の測定時に湧水圧が所定値を越えたり湧水量が多い場合に、トンネル掘削工事を中断して地下水位低下工を施し、地下水位および湧水圧が十分に低下したことを確認した上でトンネル掘削工事を再開することを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載の湧水圧を用いた切羽管理方法において、前記湧水圧の所定値が0.1MPaであることを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載の湧水圧を用いた切羽管理方法において、前記切羽前方の位置が20m程度、前記切羽が進む所定距離が10m程度であることを特徴とする。
本発明によれば、トンネルの切羽近傍の地下水を捕捉し、地下水位を十分低下させることでトンネル掘削工事を安全に進めることができる。
質が未固結な土砂からなる場合、地質の不均質性に伴い地下水が局在するため、事前に施工される地下水位低下工のみでは切羽近傍に地下水が残存し、切羽を不安定化させる可能性がある。本発明の湧水圧を用いたトンネルの切羽管理方法は、かかる場合に、トンネルの切羽において切羽前方での地下水の有無および湧水圧を計測し、これを切羽が所定距離進むごとに繰り返し行い、湧水圧の測定時に湧水圧が所定値を越えたり湧水量が多い場合には、トンネル掘削工事を中断して地下水位低下工を実施し、地下水位および湧水圧が十分に低下したことを確認した上でトンネル掘削工事を再開する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、湧水圧を測定する湧水圧測定装置についてその概要を説明する。
図1は本発明にかかる湧水圧測定装置の構成図、図2はその測定器の正面図、図3はその測定器の側面図である。
図1において、1は鉄クロスビット(直径φ45mm)、2はその鉄クロスビット1を先端に有する自穿孔ロックボルト(直径φ28.5mm)、3はアダプター、4はその自穿孔ロックボルトにアダプター3を介して連結される分岐中空管(チーズ)、5はその分岐中空管4に連結される第1のバルブ、6はその第1のバルブ5の操作レバー、7は分岐中空管4に連結される第2のバルブ、8は第2のバルブ7の操作レバー、9はブッシング、10は配管アダプター、11はOリング、12は第2のバルブ7に連通される水圧計、13は接続部、14は水圧計12に接続部13を介して接続されるケーブルである。なお、分岐中空管(チーズ)4はT字形状の中空管からなり、それぞれの中空管の先端部は自穿孔ロックボルト2の後端部、第1のバルブ5の先端部、第2のバルブ7の先端部にそれぞれ螺合して連結されるように構成されている。
ーブル14は、図2及び図3に示される測定器15の接続部16に接続されて、表示部17に湧水圧がデジタル表示される。
この切羽近傍における湧水圧測定装置は、切羽近傍に局在する地下水についてその水圧を測定するものである。つまり、本装置は工事現場で使用される自穿孔ロックボルト2にアダプター3を介して接続することができるため、様々な現場で適用可能である。また、本装置は最大2MPa程度までの水圧を測定することができる。
ここで、鉄クロスビット1付きの自穿孔ロックボルト2を用いてトンネルの切羽前方を穿孔する。そこで、操作レバー6を操作して第1のバルブ5を開くと、自穿孔ロックボルト2−分岐中空管4−第1のバルブ5を通して湧水が流出する。これにより、湧水の状態を見ることができる。
さらに、第2のバルブ7の操作レバー8を操作して第2のバルブ7を開いて、第1のバルブ5の操作レバー6を操作して第1のバルブ5を閉じると、湧水圧が水圧計12に負荷されるので、水圧計12で湧水圧を測定することができる。つまり、水圧計12からの湧水圧出力はケーブル14−接続部16を介して測定器15に取り込まれ、表示部17においてデジタル表示される。
この湧水圧測定装置により、切羽近傍の湧水圧が測定できることがわかった。これらのことから、湧水圧測定に基づいた切羽管理方法を以下に示す。
図4は本発明の湧水圧を用いた切羽管理方法を用いたトンネルの掘削フローチャートである。
まず、ステップS1において事前調査を行い、この事前調査の結果に基づき、ステップS2において地山分類と地下水位による地下水位低下工の必要性を検討する。このステップS2において、地下水位低下工が必要であると判断された場合(ステップS3のYESの場合)は、第1段階の地下水位低下工(長尺水抜きボーリング)を施工する(ステップS4)。なお、ステップS2において、地下水位低下工が必要ないと判断された場合(ステップS3のNOの場合)は、ステップS13に進む。
次に、ステップS5において、湧水圧測定を行う。その結果、湧水圧が基準値以上の場合(ステップS6のNOの場合)は、第2段階の地下水位低下工(短尺水抜きボーリング)を施工する(ステップS7)。なお、ステップS6において、湧水圧が基準値以下の場合は、ステップS10へ進む。
ここで再度、ステップS8において、湧水圧の測定を行う。その結果、湧水圧が基準値以上の場合(ステップS9のNOの場合)は、ステップS15において、水抜きボーリングで対応可能かどうかを判断する。ここで対応不可能と判断された場合は、ステップS16で、別途地下水位低下工・止水工の検討と施工を行い、ステップS13に進む。一方、ステップS15で対応可能と判断された場合は、ステップS17で、湧水量が多いかどうかを判断する。湧水量が多い場合(ステップS17のYESの場合)は、第1段階の地下水位低下工(ステップS4)に、湧水量が少ない場合(ステップS17のNOの場合)は、第2段階の地下水位低下工(ステップS7)に戻る。
ステップS9において、湧水圧が基準値以下の場合(ステップS9のYESの場合)は、ステップS10において、探り穿孔を行う。
次いで、ステップS11において、さらに湧水圧測定を行い、その結果、湧水圧が基準値以下の場合(ステップS12のYESの場合)は、ステップS13においてトンネルの掘削を行う。湧水圧が基準値以上の場合(ステップS12のNOの場合)は、ステップS15へ進み、水抜きボーリングで対応可能かどうかの判断を行う。
以上のステップを、掘削が終了するまで繰り返す。すなわち、ステップS14において、掘削が終了でない場合はステップS2に戻り、掘削が終了した場合には終了となる。
次に、管理基準値の設定について説明する。
砂質土地山における地山分類(上記非特許文献2参照)では、トンネルの切羽前方の水頭がその切羽中心より+10m未満であることを適用条件としている。このことから、湧水圧測定において水頭で約10mに相当する湧水圧(0.1MPa)を管理基準値として設定することが考えられる。
この0.1MPaを基準値として、飯山トンネル(北陸新幹線)での測定結果にあてはめると、141km541m切羽右肩部の1ヶ所が基準値以上を示したこととなる(図7参照)。飯山トンネルでは管理基準値を0.1MPaとしているため、ここで掘削を中断し、進行方向右前方へ向って水抜きボーリングを施工した。水抜きボーリング施工後に再度湧水圧測定を行った結果、湧水量と湧水圧(0.00MPa)の減少が確認されたため、掘削を再開し、切羽の不安定化は見られなかった。これまで、管理基準値である0.1MPa以下の湧水圧で切羽が不安定化した例はないことから、現状の基準値はおおむね妥当であると判断できる。
また、事前調査などで対象とする砂質土地山の密度試験および浸透崩壊試験が実施され、相対密度と限界動水勾配の分布が明らかにされている場合には、限界動水勾配に相当する湧水圧を管理基準値として設定することも考えられる。
このように設定した管理基準の変更は、以下のように行われる。
(1)管理基準の下方修正
基準値で管理しながら掘削し、湧水による切羽の不安定化が認められた場合には、切羽安定化のための補助工法および地下水位低下工を行い、基準値の修正の検討を行う。
(2)管理基準の上方修正
湧水圧が管理基準値以上の場合には、地下水位低下工を施して水位を低下させ、基準値以下となってから掘削を開始することとなる。そのため、基準値以上の湧水圧で掘削した場合の切羽の状態変化を確認することはできず、湧水圧測定と切羽の状態観察だけで基準値を上方修正することはできない。
管理基準を上方修正するためには、分布する砂質土の湧水圧に対する抵抗性を浸透崩壊試験などの試料試験により別途評価する必要がある。
なお、以下の点に留意する。
探り穿孔による前方調査は基本的には切羽周辺に地下水がないことを確認することが最大の目的である。一方、探り穿孔により地下水の存在が確認された場合には、レンズ状帯水砂層など長尺および短尺のボーリングでは十分に水位を低下させることのできなかった地下水である可能性が高く、切羽の安定性はその時点で地質の情報や湧水量、湧水圧により判断する必要がある。本発明で実施している切羽周辺での簡易湧水圧測定は、特に、長尺および短尺のボーリングでは水位を低下させることのできない地下水の有無を探り、その水圧を測定することで、切羽の安定性を評価することを目的としている。
このような目的を考慮し、切羽周辺における探り穿孔および簡易湧水圧測定は以下の基本的な考え方をもとに実施している。
(1)常時実施するものとする。
(2)穿孔長は、前方に高圧地下水を含み、崩壊し易い地層が分布する場合も切羽とその地層との間の地山がバルクヘッドとなり得る延長(約10m以上)とする。
(3)切羽が安定している場合も、前方地質の不均質性に伴う局所的な地下水分布を確認するために実施する。
(4)最も崩落の生じやすい天端から肩部を中心に切羽断面内で実施する。
(5)新たに滴水の見られる箇所では必ず実施する。
(6)測定をパターン化する場合でも長尺ボーリングの結果により、実施位置や頻度等のパターンを変更する。
(7)高圧湧水が確認された場合には、掘削を中止し、必要な対策の検討を行う。
次に、簡易湧水圧測定方法について説明する。
図5は本発明にかかる簡易湧水圧測定位置を示す図であり、図5(a)はその側面断面図、図5(b)はその正面断面図、図6は簡易湧水圧測定装置の使用状態を示す図である。
簡易湧水圧測定は、先受け工に利用されているFIT管(外径約76mm、内径約60mm、施工長約18.5m)を利用し、切羽断面内で左右両肩部および左右下半の計4箇所で行った。なお、測定は図5に示すように、9mピッチで実施している。ただし、切羽位置:151km537m(上半)以降は、施工の都合上上半での削孔長を15.5mとして実施している。
以下、本発明にかかる簡易湧水圧測定結果について説明する。
簡易湧水圧測定は平成16年4月1日から実施し、これまで計23回の測定を行った。その簡易湧水圧測定の結果を図7に、掘削実績からまとめられた地質と湧水の状況を図8に示す。
探り穿孔による湧水圧と湧水量の測定結果は以下のとおりである。
(1)計測された湧水圧は、上半左肩部で0〜0.033MPa、上半右肩部で0〜0.115MPa、下半左側で0〜0.018MPa、下半右側で0〜0.033MPaであり、右肩部で高い湧水圧を示す場合が多く認められた。
(2)湧水量は、上半左肩部で0〜40l/min、上半右肩部で0〜53l/min、下半左側で0〜25l/min、下半右側で0〜63l/minである。
(3)切羽中の1箇所で高い湧水圧を示した場合でも、その他の箇所からはほとんど湧水が認められない場合が多い。
(4)湧水圧については、上半右肩以外では起点方へ掘削が進行するにしたがい減少する傾向が見られる。また湧水量も下半の探り穿孔では起点方への掘削の進行に伴い減少する傾向がある。
(5)探り穿孔において最も高い湧水圧が測定されたのは、切羽位置151km541mの上半右肩部で実施した場合である。ここでは、高い水圧をともなう湧水(湧水圧:測定不能、湧水量:70l/min)により深度10m地点で穿孔不能となったので、近傍から再度穿孔を行った結果、湧水圧0.115MPa、湧水量43l/minであった。前述のように、湧水圧の管理基準値を0.1MPaとしているため、ここでは掘削を中断し、進行方向右前方へ向って水抜きボーリングを施工した(図7の13−2および13−3)。掘削終了時の湧水量および湧水圧は、13−2が16l/min、0.01MPaで、13−3が93l/min、0.05MPaであった。水抜きボーリング施工後に、再度151km541m切羽右肩部付近で簡易湧水圧測定を行った。その結果、湧水圧0.000MPa、湧水量は滲水程度と湧水圧の減少が確認されたため、掘削を再開している。
(6)切羽からの湧水はほとんど見られないことが多く、湧水がある場合でも多くて5l/min程度である。しかし、切羽からの湧水が見られない場合でも、天端や側壁のロックボルトからの湧水が見られる場合が認められた。
上記した簡易湧水圧の測定結果のうち、特徴的な事項を以下に記す。
(1)湧水量が少なくても比較的高い湧水圧を示す場合があった。
(2)切羽ではほとんど湧水が認められないにもかかわらず、天端部や肩部および側壁部のロックボルトから湧水が認められる場合があった。
(3)簡易湧水圧測定結果では、切羽右肩で比較的高い湧水圧を示す場合が認められた。
(4)151km541mの切羽右肩での測定では多量の湧水および高い湧水圧が認められたが、同じ切羽の左肩や下半での測定では、湧水圧および湧水量ともに極めて低い値を示す。これにより、切羽右側より2箇所で実施された水抜きボーリングでは、湧水量が16l/min、93l/minと、比較的多い湧水が確認された。この水抜きボーリングの実施により、151km541m切羽右肩での湧水はほとんどなくなっている。
上記(1)については、湧水量が少量であっても高い水頭を有する地下水が存在していることを示す。図9に湧水量と湧水圧の関係を示すが、全体的には顕著な相関は認められない。このような特徴の原因としては、透水性の低い地層が高い水頭を有して帯水している場合や、地下水が被圧している場合などが考えられる。
上記(2)〜(4)については、地質の不均質性に伴い地下水が局在していることを示唆していると考えられる。これは、本発明の切羽管理方法で特に注目している事前に施工されている水抜きボーリングでは低下させることのできない、局所的に分布する地下水を探り穿孔で捉えている可能性が高い。
特に、上記(4)で示した151km541m上半右肩部の探り穿孔における湧水は、先進ボーリング(11)(○付き)の掘削深度約70〜75mで捉えられた湧水量180l/min、湧水圧1.00MPaの帯水層に相当する(図8参照)。この帯水層中に残存した地下水を右肩部の探り穿孔のみで確認され、他の探り穿孔では確認できなかった。その理由としては、i)上記のような地質の不均質性に伴う地下水の局所的な分布、ii)探り穿孔による地下水の検出可能位置と帯水層の幾何学的な位置関係の差異、等が考えられる。
上記(3)で述べたように、上半右肩部で湧水圧が高い傾向が見られる。また、湧水圧と湧水量の関係を探り穿孔の切羽断面内における位置ごとに見ると、上半右肩部と下半右下ではある程度の関係がみられるが、左側では明瞭な関係はみられない。これは、局所的な地下水がたまたますべて切羽右肩部に分布したとも考えられるが、切羽右肩部でのみ残存する地下水が捉えられるような偏在する帯水層と探り穿孔の幾何学的な位置関係となっている可能性が強いと推定される。
次に、図8から、地質構造と湧水に関して大局的にまとめ、本発明の有効性を述べる。
まず、トンネルが北北西ないし北西から南南東ないし南東へ掘削されているのに対し、地層の走向は北北東−南南西ないし北東−南西方向で、その傾斜はほぼ同様で南に傾き、切羽に対して受け盤構造である。このため、地層は切羽に対し左から現れ掘削の進行に伴い右に移動することとなる。このような地質構造から、地下水位をより早期に低下させるために切羽に対し左側の水抜きボーリングを先行させている。よって、左側の水抜きボーリングで大きな湧水量や湧水圧が観測されている。右側の水抜きボーリングや探り穿孔では湧水量、湧水圧とも小さいことから、左側の水抜きボーリングが効果的に地下水位を低下させていると判断できる。さらに、複数回の水抜きボーリングの結果、最新のボーリングによって始めて水抜きボーリングが到達したことになる層準において、多量または高圧の湧水が見られることからも、水抜きボーリングが有効であることがうかがえる。また、151km500〜540m付近の擾乱帯から終点方では、左側の水抜きボーリングで比較的高い湧水圧を確認した地層に相当する層準に到達した探り穿孔で湧水圧が高くなっている。このことは、水抜きボーリングで十分に水位低下できなかった地下水を探り穿孔により捉えるとともに、探り穿孔が水抜きの役割を果たし、切羽の安定化に効果があったものと判断される。
151km525mから起点方では、地層の走向は終点方と同様であるが、傾斜は一定ではなく、周辺に分布する断層に伴う変形やせん断などを受け破砕された地質と推定される。この区間においても、切羽に向かって左側の水抜きボーリングでは、ある程度の湧水量、湧水圧が確認されているが、ここでの湧水は急激に減水・減圧する傾向がある。また、切羽の探り穿孔では湧水がほとんど確認されていない。このことから、この区間では左側の水抜きボーリングにより地下水位が十分に低下しいたものと推定される。
以上のように、簡易湧水圧測定の結果、比較的広域に分布する地下水は事前の水抜きボーリングにより水位が低下していることが確認された。また、この水抜きボーリングで低下させることのできない局所的に残存する地下水は、探り穿孔により確認することができることが明らかとなり、この探り穿孔や新たな水抜き孔を用いて水位を低下させている。したがって、本発明のトンネル切羽管理方法に基づくトンネル掘削では、水抜きボーリングと探り穿孔の併用により、確実に切羽周辺の水位を低下させており、切羽がほぼ安定した状態に保たれていると考えられる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の湧水圧を用いたトンネルの切羽管理方法は、簡便で実際的なトンネルの切羽管理方法として利用可能である。
本発明にかかる湧水圧測定装置の構成図である。 本発明にかかる湧水圧測定装置の測定器の正面図である。 本発明にかかる湧水圧測定装置の測定器の側面図である。 本発明の湧水圧を用いた切羽管理方法を用いたトンネルの掘削フローチャートである。 本発明にかかる簡易湧水圧測定位置を示す図である。 本発明にかかる簡易湧水圧測定の使用状態を示す図である。 本発明にかかる簡易湧水圧測定の結果を示す図である。 本発明にかかる掘削の実績と湧水の状況を示す図である。 本発明にかかる湧水量と湧水圧の関係を示す図である。
1 鉄クロスビット
2 自穿孔ロックボルト
3 アダプター
4 分岐中空管(チーズ)
5 第1のバルブ
6 第1のバルブの操作レバー
7 第2のバルブ
8 第2のバルブの操作レバー
9 ブッシング
10 配管アダプター
11 Oリング
12 水圧計
13,16 接続部
14 ケーブル
15 測定器
17 表示部

Claims (3)

  1. 鉄クロスビットと、該鉄クロスビットを先端に有する自穿孔ロックボルトと、アダプターと、前記自穿孔ロックボルトに前記アダプターを介して連結されるT字形状の中空管からなる分岐中空管と、該分岐中空管に連結される第1のバルブと、該第1のバルブの操作レバーと、前記分岐中空管に連結される第2のバルブと、該第2のバルブの操作レバーと、前記第2のバルブに連通される水圧計と、該水圧計に接続されるケーブルと、該ケーブルに接続される測定器とを具備する湧水圧測定装置を備えており、前記自穿孔ロックボルトを用いてトンネルの切羽前方を穿孔し、前記第1のバルブの操作レバーを操作して前記第1のバルブを開いて前記自穿孔ロックボルト−前記分岐中空管−前記第1のバルブを通して湧水を流出させて湧水の状態を見るとともに、前記第2のバルブの操作レバーを操作して前記第2のバルブを開き、前記第1のバルブの操作レバーを操作して前記第1のバルブを閉じることにより、前記水圧計に負荷される前記切羽前方での湧水圧を計測し、これを前記切羽が所定距離進むごとに繰り返し行い、湧水圧の測定時に湧水圧が所定値を越えたり湧水量が多い場合に、トンネル掘削工事を中断して地下水位低下工を施し、地下水位および湧水圧が十分に低下したことを確認した上でトンネル掘削工事を再開することを特徴とする湧水圧を用いた切羽管理方法。
  2. 請求項1記載の湧水圧を用いた切羽管理方法において、前記湧水圧の所定値が0.1MPaであることを特徴とする湧水圧を用いた切羽管理方法。
  3. 請求項1又は2記載の湧水圧を用いた切羽管理方法において、前記切羽前方の位置が20m程度、前記切羽が進む所定距離が10m程度であることを特徴とする湧水圧を用いた切羽管理方法。
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