JP4455118B2 - 分娩診断支援プログラム及びこれを格納した記録媒体、並びに分娩診断支援方法及び装置。 - Google Patents
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Description
図1は、本発明にかかる分娩診断支援プログラムを実行する装置(分娩診断支援装置、コンピュータ)10の一実施の形態を示すブロック図であり、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)等からなる制御部(第1の取得手段、第2の取得手段、第1の計算手段、第2の計算手段、仮想分娩処理手段、距離計算手段)14、記録媒体2に格納された分娩診断支援プログラムを一時的に格納したり処理結果を格納する記憶部16、各種画面表示を行う表示部(ディスプレイ)12、入力部13、ドライブ18を備える。又、記録媒体2は、ドライブ18を介して分娩診断支援装置10に接続されている。入力部13は、後述する実特徴データを入力し、記憶部16は主記憶装置やフラッシュメモリ等が該当する。又、ドライブ18はフロッピディスク(登録商標)ドライブやCD−ROMドライブ等が該当するがこれに限らない。
本発明は、3次元のデータを用いており、この分野で通常用いられる技術(例えばコンピュータグラフィックス(CG)、3次元CAD(Computer Aided Design))を適宜採用できる。又、データ処理については、通常用いられる各種のコンピュータ上の図形処理、座標処理を用いることができる。
コンピュータで処理される3次元形状の情報には、いわゆる形状分割モデル、空間分割モデル等があり、本実施形態では、例えばCADの形状分割モデルを採用できる。又、形状分割モデルのうち、3次元表面を表現するものとして、サーフェスモデルやソリッドモデルを用いることができる。このうち、サーフェスモデルは、形状の頂点座標、2つの座標を結ぶ稜線、及び複数の稜線で囲まれる(閉ループを構成する)面、の情報を含む。又、ソリッドモデルは、サーフェスモデルに加え、形状の内部情報を含む。本実施形態では、好ましくはサーフェスモデルを用いることができる。
3次元表面の表現方法としては、表面を例えば3つの稜線で囲まれる微小三角平面に分解し、その集まり(多面体(ポリゴン))で表現する方法や、所定の数式で定義する自由曲面(例えばパラメトリック曲面、ベジェ曲面)で表現する方法が挙げられる。又、上記自由曲面で面を表現し、これを上記ポリゴンで近似してもよい。本実施形態では、好ましくはポリゴンを用いることができる。
図2において、まず、制御部14は、記憶部16から骨盤モデルデータを取得する(ステップS2)。骨盤モデルデータは、分娩をシミュレートするためのモデルであり、一般的な母体の骨盤の特徴データと該骨盤の3次元的な内表面データと該骨盤の骨盤軸データとをあらかじめ用意したものである。
骨盤の特徴データは、骨盤の内面形状を特徴付けるパラメータであり、例えば、産科医学上用いられる各種パラメータを用いることができる。具体的には、骨盤入口部及び出口部の前後径、横径、斜径の他、産科的真結合線径、闊部径、狭部径等が挙げられる。これらのパラメータは、例えば文献(坂元正一監修、「ナースのための産科学」、南山堂、1999年、p16−p18(図1−17)、池ノ上克編、「エッセンシャル産科学・婦人科学」、医歯薬出版株式会社、p395(図IIIA−79))に記載されている。なお、胎児は骨盤の入口部から骨盤内に導入され、出口部を通って娩出され、出口部が最も狭いため、通常は、少なくとも出口部の特徴データがあればよく、好ましくは入口部の特徴データを規定すると精度が向上する。さらに、上記他のパラメータを規定するとより好ましい。なお、骨盤の特徴データは、例えば上記前後径を示す稜線データとして構成される。
なお、骨盤入口部や他の位置(例えば闊部)における断面形状の決定も同様である。
上記骨盤モデルデータから、例えば図3に示すようにして骨盤モデルが作成される。まず、骨盤入口部の特徴データとして、前後径を示す稜線L1、横径を示す稜線L2、斜径を示す稜線L3が規定され、出口部の特徴データとして、前後径を示す稜線M1、横径を示す稜線M2、斜径を示す稜線M3が規定されているとする。
図2に戻り、制御部14は、記憶部16から児頭モデルデータを取得する(ステップS4)。児頭モデルデータは、分娩をシミュレートする際の胎児のモデルであり、胎児の頭部の特徴データと該頭部の3次元的な外表面データと該頭部の回転軸データとを含む。
胎児の頭部の特徴データは、児頭の外形状を特徴付けるパラメータであり、例えば、産科医学上用いられる各種パラメータを用いることができる。具体的には、前後径、大横径、大斜径、小斜径等が挙げられる。これらのパラメータは、例えば上記文献(上記文献「エッセンシャル産科学・婦人科学」のp375の図IIIA−53)に記載されている。なお、胎児は頭部が最も大きく、分娩に当っては児頭が娩出されれば体幹も容易に娩出されるのが通常であるので、本発明においては、最低限、児頭の形状を考慮すれば足りる。もちろん、体幹の形状も含めれば精度は向上するが、コンピュータ処理の負担がその分大きくなる。児頭の特徴データは、例えば上記前後径を示す稜線データとして構成される。
上記骨盤モデルの作成と同様に、上記児頭モデルデータから例えば図4に示すようにして児頭モデルが作成される。まず、児頭の特徴データとして、前後径を示す稜線P1、大横径を示す稜線P2、大斜径を示す稜線P3が規定されているとする。
図2に戻り、制御部14は、入力部13から実特徴データを取得する(ステップS6)。実特徴データは、実際に分娩を行う患者の母体の骨盤の実特徴データ、及び実胎児の頭部の実特徴データを含む。母体の骨盤の実特徴データは、例えばX線画像から得られ、児頭の実特徴データは、例えば超音波画像から得られる。取得された画像は、例えばデジタイザ等の座標入力装置を入力部として用いることにより、記憶部16に座標データとして格納される。もちろん、キーボード等から座標を入力してもよい。
次に、制御部14は、得られた実特徴データに基づき、実母体の骨盤モデル及び実胎児の児頭モデルを計算する(ステップS8)。このモデルは、上記ステップS2、S4で取得した骨盤モデル及び児頭モデルを、実際の患者に合うよう修正したものである。ここで、実特徴データが1つであれば、もとのモデルの特徴データとの値の差に基づいてもとのモデルと相似なモデルを計算すればよいが、通常は、診断精度を高めるため、実特徴データを2つ以上用いるので、データの補間が必要になる。この補間は、線計補間、スプライン補間、ベジェ曲線を用いた補間等、特に限定されない。又、所定の方法でもとのモデルの特徴データを変形、拡大、縮小等してもよい。
一方、ステップS6で骨盤の実特徴データ(線分)L’1、L’2を取得すると、まず、L’1、L’2の端点の座標A’1、A’2が求められる。次に、A1、A’1を結ぶ線分V1、A2、A’2を結ぶ線分V2が求められる。そして、V1、V2の長さに応じて、所定の計算規則によりAxから外側へ向かう線分Vxの長さが計算される。Vxは、G−Axを結ぶ線分Gxから延長される。そして、Vxの端点の座標A’xが求められる。
同様にして、V1、Vxの長さに応じて、所定の計算規則によりA3(骨盤モデルの表面上の任意の点)から外側へ向かう線分V3の長さが計算される。V3は、G−A3を結ぶ線分G3から延長される。そして、V3の端点の座標A’3が求められる。
図2に戻り、制御部14は、得られた実モデルに基づき、分娩をシミュレートする(ステップS10)。このシミュレートは、上記回転軸を上記骨盤軸に一致させ、実胎児の頭部を回転軸まわりに回転させつつ娩出させるものである。そして、制御部14は、実胎児の頭部が娩出されるまで、該頭部の実外表面と前記骨盤の実内表面との距離を計算する(ステップS12)。
図6は、上記S10、S12による画像処理を表示部12に表示させた状態を示す。この図において、実胎児の頭部モデル(画像上は体幹を付加している)50が、実母体の骨盤モデル60内に位置し、回転軸を骨盤軸T1に一致させて頭部50が右回りに下降している。頭部50の回転は、例えば骨盤軸T1上を所定距離下降する毎の回転角度で規定することができる。頭部50が下降するにつれ、骨盤軸はT1からT2に変化し、頭部50は骨盤軸T2上を下降し、骨盤60の出口部から娩出される。
頭部50の外表面と骨盤60の内表面との距離は次のようにして計算できる。まず、頭部50の外表面上の任意の座標Wを取得し、骨盤60の内表面上の任意の座標Vを取得する。そして、常法によってW−V間の距離dを計算する。これを、頭部50及び骨盤60上に規定されたすべての座標間について行えばよい。
図2に戻り、制御部14は、ステップS12で得られた距離dのうち、最小値を取得し、この値が閾値以下か否かを判定する(ステップS14)。閾値は、適宜決めることができるが、例えば5mmに設定すればよい。ステップS14で「Yes」であれば、制御部14はその時の最小値を示す骨盤モデル上の部位を表示し(ステップS16)、処理を終了する。ステップS14で「No」であれば、制御部14はそのまま、又は、例えば自然分娩が可能な旨や最小値等を表示し、処理を終了する。なお、ステップS14で、閾値を段階的に設け、最小値が第1の閾値以下であれば「帝王切開」、第1の閾値を超え第2の閾値以下であれば「分娩難易度高」、第2の閾値を超えれば「問題なし」等の判断を行ってもよい。又、上記最小値を閾値と比較する代わりに、所定の判断アルゴリズムで判定を行ってもよく、最小値のみでなく、各距離dの分布状態に基づいて判定してもよい。
60 実母体の骨盤(モデル)
T1、T2 骨盤軸
d 頭部の実外表面と骨盤の実内表面との距離
Claims (6)
- 母体の骨盤の特徴データと該骨盤の3次元的な内表面データと該骨盤の骨盤軸データとを骨盤モデルデータとして取得する過程と、
胎児の頭部の特徴データと該頭部の3次元的な外表面データと該頭部の回転軸データとを児頭モデルデータとして取得する過程と、
実母体の骨盤の実特徴データと前記骨盤モデルデータとに基づき、前記実母体の骨盤モデルを計算する第1の計算過程と、
実胎児の頭部の実特徴データと前記児頭モデルデータとに基づき、前記実胎児の児頭モデルを計算する第2の計算過程と、
前記回転軸を前記骨盤軸に一致させ、前記実胎児の頭部を前記回転軸まわりに回転させつつ娩出させる仮想分娩過程と、
前記実胎児の頭部が娩出されるまで、該頭部の実外表面と前記骨盤の実内表面との距離を計算する距離計算過程と
をコンピュータに実行させることを特徴とする分娩診断支援プログラム。 - 前記距離に応じて報知する過程をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の分娩診断支援プログラム。
- 前記骨盤の特徴データは、少なくとも骨盤出口部の断面形状パラメータを含み、前記頭部の特徴データは、少なくとも頭部の断面形状パラメータを含むことを特徴とする請求項1に記載の分娩診断支援プログラム。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の分娩診断支援プログラムを格納したことを特徴とする記録媒体。
- 母体の骨盤の特徴データと該骨盤の3次元的な内表面データと該骨盤の骨盤軸データとを骨盤モデルデータとして取得する過程と、
胎児の頭部の特徴データと該頭部の3次元的な外表面データと該頭部の回転軸データとを児頭モデルデータとして取得する過程と、
実母体の骨盤の実特徴データと前記骨盤モデルデータとに基づき、前記実母体の骨盤モデルを計算する第1の計算過程と、
実胎児の頭部の実特徴データと前記児頭モデルデータとに基づき、前記実胎児の児頭モデルを計算する第2の計算過程と、
前記回転軸を前記骨盤軸に一致させ、前記実胎児の頭部を前記回転軸まわりに回転させつつ娩出させる仮想分娩過程と、
前記実胎児の頭部が娩出されるまで、該頭部の実外表面と前記骨盤の実内表面との距離を計算する距離計算過程と
を有することを特徴とするコンピュータを用いた分娩診断支援方法。 - 母体の骨盤の特徴データと該骨盤の3次元的な内表面データと該骨盤の骨盤軸データとを骨盤モデルデータとして取得する第1の取得手段と、
胎児の頭部の特徴データと該頭部の3次元的な外表面データと該頭部の回転軸データとを児頭モデルデータとして取得する第2の取得手段と、
実母体の骨盤の実特徴データと前記骨盤モデルデータとに基づき、前記実母体の骨盤モデルを計算する第1の計算手段と、
実胎児の頭部の実特徴データと前記児頭モデルデータとに基づき、前記実胎児の児頭モデルを計算する第2の計算手段と、
前記回転軸を前記骨盤軸に一致させ、前記実胎児の頭部を前記回転軸まわりに回転させつつ娩出させる仮想分娩処理手段と、
前記実胎児の頭部が娩出されるまで、該頭部の実外表面と前記骨盤の実内表面との距離を計算する距離計算手段と
を有することを特徴とする分娩診断支援装置。
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