JP4451038B2 - 助言システム及び助言方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、相談者から入力された文字列に基づいて、文字列に含まれる所定のキーワードを抽出し、抽出したキーワードを用いて相談者に助言を行う助言システム及び助言方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から悩みを抱えた者は、自己の悩みに応じて、例えば法律相談、心理相談、教育相談、進路相談、結婚相談、薬物相談、育児相談などを扱うことができるカウンセラーに相談し、カウンセラーから適切な助言を受けることができる。これにより、悩みを抱えた者は、カウンセラーからの適切な助言に基づいて自己の悩みを迅速に対応することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記カウンセラーは、過去に経験した事情に基づいて助言を行ったり、自己の知識の範囲内で助言を行っているため、相談者に対して助言を行うにしても、助言を行う範囲が限られていた。
【0004】
また、カウンセラーは、相談者が有するプライバシーを保護するため、基本的には相談者と1対1で対応しなければならず、相談者が多くいる場合は大変な手間と労力を必要としていた。このため、従来からは、相談者が抱く感情を推論し、この推論した感情に基づいて自動的にカウンセリングを行うことのできるシステムの開発が望まれていた。
【0005】
そこで、本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、相談者から入力された文字列に基づいてその文字列に含まれる特定のキーワードを抽出し、抽出したキーワードに基づいて、相談者の悩みに応じた助言を自動的に行うことのできる助言システム及び助言方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願に係る発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、相談者が入力した文字列を特定し、特定した前記文字列に基づいて、該文字列に含まれる所定のキーワードを抽出し、抽出された前記キーワードを蓄積し、相談に対する助言を、相談の属性毎に蓄積し、前記属性を特定するフレーズ群を前記属性毎に蓄積し、蓄積された前記キーワードと前記フレーズ群とを取得し、取得した前記フレーズ群と前記キーワードとを属性毎に比較し、該フレーズ群に含まれた文字列と一致する該キーワード数と、該キーワードが含まれていた前記フレーズ群に関連付けられた最大のフレーズ数とに基づいて、前記キーワード数が前記最大のフレーズ数に占める割合を属性毎に算出し、算出された割合に基づいて、相談の属性を特定すると共に、割合に応じて該属性に含まれる助言データを選択することを特徴とするものである。
【0007】
このような本願に係る発明によれば、端末が、相談者から入力(例えば、音声入力、文字入力)された文字列に含まれるキーワードを抽出し、抽出したキーワードが前記助言フレームに占める割合を算出することで相談者に助言する内容を決定することができるので、相談者は、端末に対して、自己の持つ悩みを入力することによって、その入力に対する回答内容を端末から自動的に受けることができる。
【0008】
この結果、相談者は、端末を通じて自己の持つ悩みに対応する助言を自動的に受けることができるので、自己の持つ悩みを他人に知らせることなく自己の悩みを解消することができる。
【0009】
また、本願に係る発明は、前記文字列に含まれる強調語からなる感情度に基づいて該感情度に関連付けられた前記キーワードを前記文字列から抽出することを特徴とするものである。
【0010】
このような本願に係る発明によれば、端末が、文字列に含まれる強調語からなる感情度に基づいて、該感情度に関連付けられたキーワードを文字列から抽出するので、端末は、相談者が抱いている感情に特徴付けられたキーワードを用いることで相談者が抱いている感情に応じた助言を行うことができる。
【0011】
また、端末は、文字列に含まれる強調語に基づいて感情度を定めることができるので、例えば強調語である副詞又は感嘆詞などにより、相談者の感情の程度を把握してから相談者が有する悩みに対して助言をすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
[助言システムの基本構成]
本発明に係る相談システムについて図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る助言システムの概略構成図である。
【0013】
同図に示すように、助言システムは、入力部101と、音声認識部102と、音声認識辞書記憶部103と、推論エンジン部104と、助言データベース105と、感情情報データベース106と、出力部107とを備えている。
【0014】
端末100は、相談者が発話した内容から所定のキーワードを抽出し、抽出したキーワードに基づいて、相談者に適切なアドバイスを回答(出力)するものである。尚、この端末100は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機などが挙げられる。
【0015】
端末100は、本実施形態では、入力部101と、音声認識部102と、音声認識辞書記憶部103と、推論エンジン104と、助言データベース105と、感情情報データベース106と、出力部107とを有している。
【0016】
入力部101は、相談者の音声情報を取得する取得手段である。具体的に入力部101は、相談者の音声情報を取得し、取得した音声情報を音声信号として音声認識部102に出力する。音声認識部102は、入力部101で取得した音声情報に基づいて、その音声信号に対応する文字列を特定する音声認識手段である。
【0017】
具体的には、音声信号が入力された音声認識部102は、入力された音声信号を解析し、解析した音声信号に対応する文字列を、音声認識辞書記憶部103に格納されている辞書を用いて特定し、特定した文字列を文字列信号として推論エンジン104に出力する。
【0018】
音声認識辞書記憶部103は、標準的な音声信号に対応する辞書を格納しているものである。出力部107は、推論エンジン104からの指示に対応する命令を出力するものであり、例えば、ディスプレイ、スピーカ等が挙げられる。具体的には、推論エンジン104から音声命令信号が入力された出力部107は、入力された音声命令信号に対応する音声を出力する。
【0019】
尚、音声認識部102は、相談者が操作部(例えば、キーボード)を通じて入力した文字列を特定する文字認識手段であってもよい。更に、音声辞書記憶部103は、相談者が操作部を通じて入力した文字列に対応する辞書を格納するものであってもよい。これにより、相談者は、端末100に対して発話するだけでなく、操作部から自己の悩みを入力することによっても、端末100から自己の悩みに対応する助言を受けることができる。
【0020】
感情情報データベース106は、推論エンジン104で抽出されたキーワード等を蓄積するキーワード蓄積手段であり、例えば、ハードディスク、CD−ROM、ICチップなどが挙げられる。
【0021】
ここで、感情情報データベース106には、図7に示すように、相談者の「感情の度合い」(感情度)の履歴を示す「感情履歴テーブル」と、相談者の「感情の度合い」に時制に関する情報を付加した履歴を示す「時制履歴テーブル」とを有している。感情情報には、同図に示すように、例えば、「感情の度合い」「キーワード」「文字列の時制」などが含まれる。これらの内容についての詳述は後述する。
【0022】
助言データベース105は、相談の悩みに対する助言を、相談の属性毎に蓄積する属性蓄積手段である。また、助言データベース105は、相談の属性を特定するフレーズ群を属性毎に蓄積する属性フレーズ蓄積手段でもある。このフレーズ群は、フレーズ群に関連付けられた最大のフレーズ数(本実施形態では、”最大のフレーズ数”を”最大フレーズ数”と略す)と共に助言データベース105に蓄積されているものとする。
【0023】
具体的に助言データベース105は、図8に示すように、相談者に助言するための助言テーブルを有している。この助言テーブルには、本実施形態では、例えば、「判断テーブル1」「判断テーブル2」「判断テーブル3」が挙げられる。
【0024】
ここで、助言フレーズとは、推論エンジン104が相談者の悩みに対応する助言を行うためのフレーズを意味するものであり、本実施形態では、後述する図9中に示す「条文フレーズ」を意味するものとする。また、最大フレーズ数とは、助言フレーズの最大数を意味するものであり、本実施形態では、後述する図9中に示す「最大フレーズ数」を意味するものとする。
【0025】
「判断テーブル1」は、相談に対する分類(属性)を大きく分別したものである。この「判断テーブル1」には、例えば、法律についての助言をするための「法律テーブル」、相談者が抱えている心理的な不安についての助言をするための「心理テーブル」、相談者が抱えている教育についての助言をするための「教育テーブル」、相談者が抱えている将来的な進路についての助言をするための「進路テーブル」、相談者が抱えている結婚の悩みについての助言をするための「結婚テーブル」などを蓄積している。
【0026】
この他にも、「判断テーブル1」では、相談者が抱えている医療関係についての悩みを助言するための「医療テーブル」、相談者が抱えている育児についての悩みを助言するための「育児テーブル」を有するものであってもよい。
【0027】
前記推論エンジン104は、音声認識部102で特定した文字列に基づいて、文字列に含まれる所定のキーワードを抽出するキーワード抽出手段である。また、推論エンジン104は、音声認識部102で特定した文字列に基づいて相談者が抱く感情情報を推論し、推論した感情情報に関連付けられたキーワードを抽出するキーワード抽出手段でもある。
【0028】
ここで、推論エンジン104は、文字列、該文字列に含まれる相談者の感情の度合いを示す感情度又は該感情度が発生した時期(時制)に基づいて感情情報を推論する。この推論についての詳述は後述する。
【0029】
この推論エンジン104は、本実施形態では、文脈を解読するための文脈辞書、言語の類似関係を調べるための類似関係辞書、日本語の文節を解析するための辞書、日本語の形態素解析(各品詞、活用形、分類、連接)に関わる辞書を有しており、これらの辞書を基に、相談者が発話した日本語の意味内容を解読し、解読した意味内容から相談者が抱く感情を推論し、相談者に質問するのに適した文を作成することができる。
【0030】
即ち、日本語の意味内容を解読した推論エンジン104は、解読した意味内容に基づいて、解読された意味の結束性、話題の変化、相談者の感情を形成する言語、今までの会話の統計などにより、相談者が抱く感情を推論し、相談者に質問するのに適した文を作成する。
【0031】
また、推論エンジン104は、人工知能、ニューラルネットワークによって構成されているものでもあり、相談者との間で交わされた言語(単語、文など)をニューラルネットに学習させ、その学習された言語に基づいて、相談者に質問する内容を作成することができる。
【0032】
更に、推論エンジン104は、解読した日本語の意味内容が曖昧な表現であると判断した場合は、ファジー機能を用いて、曖昧な表現に対応した質問内容をも作成することができる。尚、推論エンジン104に有する上記機能の実行は、後述するAI推論部104fが主に担っている。
【0033】
具体的には、音声認識部102から文字列信号が入力された推論エンジン104は、入力された文字列信号に対応する文字列を構成する要素に基づいて、相談者の感情、相談者がその感情を抱いた時期、文字列に含まれるキーワードを分別する。これらの”相談者の感情”、”相談者がその感情を抱いた時期(時制)”、”文字列に含まれるキーワード”は、本実施形態では、感情情報を意味するものとする。
【0034】
ここで、「相談者の感情」(感情の度合い)には、例えば、関心/無関心、喜ぶ/つまらない等が挙げられる。また、「相談者の感情」には、相談者が抱く感情の程度も含まれているものであり、例えば、すごく関心がある/関心がある/関心がない/全く関心がない等が含まれている。
【0035】
この「感情の程度」は、本実施形態では、相談者がプラス的な感情を強く持っている場合をP1(P;Positive)〔例えば、とても関心がある〕、相談者がプラス的な感情を単に持っている場合をP2〔例えば、関心がある〕、相談者がマイナス的な感情を単に持っている場合をN1(N;Negative)〔例えば、関心がない〕、相談者がマイナス的な感情を強く持っている場合をN2と表現することにする。
【0036】
また、「相談者がその感情を抱いた時期(時制)」には、例えば、現在・過去・未来が挙げられる。更に、文字列に含まれるキーワードは、例えば、法律、事故、教育方針、地震などが挙げられる。文字列を構成する要素から、相談者の感情に関する情報を分別した推論エンジン104は、相談者の感情に関する情報に基づいて、相談者が抱いている感情を推論する。
【0037】
例えば、推論エンジン104が出力部107を通じて相談者に対し、”何か悩みはあるの?”と質問した場合に、相談者が”・・・実は”と返事をした場合は、推論エンジン104は、相談者は何か悩んでいるな、と判断し、更に質問内容を深めていくため次の質問をする。
【0038】
推論エンジン104は、出力部107を通じて相談者に対し、”どのような悩みなの?”と次に質問した場合に、相談者が”特許出願をしたいんだけどね・・”と返事をした場合は、推論エンジン104は、相談者は特許出願に興味があるな、もしかすると手続きの方法又は発明したものに特許性があるか否か悩んでいるな、と推論し次々と質問(会話)をしていく。
【0039】
相談者に対して様々な質問をした推論エンジン104は、相談者からの返事の内容に基づいて、その返事毎に「相談者の感情」「感情の度合い」「相談者がその感情を抱いた時期」に分別し、分別した感情情報を感情情報データベース106に蓄積する(図7参照)。
【0040】
推論エンジン104は、感情情報データベース106に蓄積されている感情情報に関連付けられたキーワードに基づいて、相談者が不安に思う悩みについて助言する。具体的には、推論エンジン104は、例えば感情情報データベース106に蓄積されている感情情報の中から、「感情の程度」が高いキーワード(P1、P2)を取得し、取得したキーワードに関連する内容が助言データベース105に蓄積されているか否かを確認する。
【0041】
この確認をした結果、推論エンジン104は、取得したキーワードに関連する内容が助言データベース105に蓄積されていると確認した場合は、その取得したキーワードに関連する助言の内容を助言データベース105から取得し、この取得した助言内容に基づいて、相談者の該当する悩みについての助言を行う。この助言についての処理は、AI推論部104fの箇所で詳述する。
【0042】
また、推論エンジン104は、感情度と、感情度が発生した時期とを含む感情情報に関連付けられたキーワードに基づいて、相談者の該当する悩みについての助言を行うこともできる。
【0043】
具体的には、推論エンジン104は、例えば感情情報データベース106に蓄積されている「相談者がその感情を抱いた時期」「感情の程度」の中から、例えば「感情の程度」が高い(P1、P2)キーワードであり、その感情を抱いた時期が”現在”のもののみを取得し、取得したキーワードに関連する内容が助言データベース105に蓄積されているか否かを確認し、この確認した結果に基づいて相談者の該当する悩みについて助言を行うこともできる。
【0044】
尚、推論エンジン104は、感情情報データベース106に蓄積されている感情情報が、ある時制(例えば、過去)の情報に偏っている場合は、違う時制(例えば、現在)における感情を相談者から聞き出し、その聞き出した感情を構成するキーワードに基づいて、相談者の該当する悩みについて助言を行ってもよい。
【0045】
これにより、推論エンジン104は、出力部107を通じて、相談者が抱いている感情を推論し、その推論した感情に関連付けられたキーワードを用いて相談者の感情にマッチした助言をすることができるので、相談者は、逐一専門家に相談をする必要がなく、個人の秘密を保持しつつ、推論エンジン104を通じて有益な情報を入手することができる。
【0046】
上記推論エンジン104は、本実施形態では、図2に示すように、文節認識部104aと、時制解釈部104bと、類別部104cと、強調語検出部104dと、感情判定部104eと、AI推論部104fと、解析部104gと、比較部104hとを有している。
【0047】
文節認識部104aは、文を解析し、解析した文に基づいて、文から把握される言葉の意味空間を認識するものである。ここで、文の解析とは、文の形態要素、例えば品詞、活用形、分類、連接関係を解析することを意味する。また、言葉の意味空間は、文脈、文の類似関係、文の学習パターンから把握するものである。
【0048】
更に、文節認識部104aは、上記認識により、文と文との間を認識するものでもある。具体的には、文から把握される言葉の意味空間を認識した文節認識部104aは、入力された文字列信号に基づいて、文字列信号に対応する文と文との間を認識する。
【0049】
この認識は、本実施形態では、文と文との間にはある程度の時間間隔があるので、その時間間隔に基づいて文と文との間を区別するものである。例えば、文字信号に対応する文が、”今日は暑いな・・・アイスを食べよう”というものである場合は、文節認識部104aは、上記文の中で時間間隔がある部分”・・・”を文の区切りと認識し、”今日は暑いな”と”アイスを食べよう”との文に分けることを行う。
【0050】
文と文との間を認識した文節認識部104aは、文を1文毎に区分けして、1文毎に区分けした文を文体信号として時制解釈部104b、類別部104c、強調語検出部104d、感情判定部104eに出力する。
【0051】
これにより、文節認識部104aが所定の文を、単文に分節することができるので、AI推論部104fは、文節認識部104aで分節された単文毎に、相談者の感情を判断することができる。
【0052】
類別部104cは、文字列から相談者の感情の種類を判別するものである。具体的には、文節認識部104aから文体信号が入力された類別部104cは、入力された文体信号に対応する文に基づいて、文に含まれる要素から感情に関係するキーワードを抜き出し、この抜き出したキーワードがどのような感情の類別に属するものであるかを特定する。
【0053】
この感情の類別は、本実施形態では、例えば図3に示す「感情類別テーブル」に従って類別する。感情類別テーブルは、例えば、相談者がプラス的な感情要素を意味していることを示す「プラス要素P(P;Positive)」、相談者がマイナス的な感情要素を意味していることを示す「マイナス要素N(N;Negative)」を有している。
【0054】
このプラス要素Pには、例えば、いいね、良い、ほっとする、最高、喜ぶ、気になる等が含まれる。また、マイナス要素Nには、例えば、だめ、悪い、まいる、最低、つまらない、気にならない(無関心)等が含まれる。類別部104cは、上記の「感情類別テーブル」に基づいて、1文の中からどのような感情が含まれているのかを類別し、この類別した結果を類別信号として感情判定部104eに出力する。
【0055】
強調語検出部104dは、文字列から感情の強弱を特徴付ける要素を抽出するものである。具体的には、文節認識部104aから文体信号が入力された強調語検出部104dは、入力された文体信号に対応する文に基づいて、その文を構成する要素の中に、強調語があるか否かを検出する。
【0056】
この強調語の検出は、本実施形態では、例えば図4に示す「強調語テーブル」に従って行うことができる。この「強調語テーブル」には、同図に示すように、例えば、すげー、ちょー、うひょー、わおー、ひえー、めっちゃ、すごく、とても、かなり等の副詞、感嘆詞が含まれる。強調語検出部104dは、上記の「強調語テーブル」に基づいて、1文の中にある強調語を検出し、検出した強調語を強調語検出信号として感情判定部104eに出力する。
【0057】
感情判定部104eは、相談者が抱く感情の程度を判定するものである。具体的には、類別部104c、強調語検出部104d、文節認識部104aから類別信号、強調語検出信号、又は文体信号が入力された感情判定部104eは、入力された類別信号、強調語検出信号、又は文体信号に基づいて、相談者の感情の程度を判定する。
【0058】
この感情の程度の判定は、本実施形態では、例えば図5に示す「感情度テーブル」に従って行うことができる。この「感情度テーブル」には、例えば、同図に示すように、「判定要素」(相談者の感情)と、「感情の度合い」(感情の程度)とを有している。
【0059】
判定要素は、相談者の感情を左右するフレーズを意味するものであり、例えば、同図に示すように、関心/無関心、喜ぶ/つまらない、最高/最低、ほっとする/まいる等が挙げられる。この判定要素は、上述した「相談者の感情」と同義の意味である。
【0060】
例えば、「感情の程度」は、上述の如く、同図に示すように、判定要素が「関心/無関心」である場合は、感情の程度は、すごく関心がある(P1)、関心がある(P2)、関心がない(N1)、全く関心がない(N2)と類別することができる。
【0061】
感情判定部104eは、類別信号に対応する「感情の類別」、強調語検出信号に対応する強調語に基づいて、上記「感情度テーブル」を参照し、1文から把握される相談者の感情がどの程度なのかを判定し、判定した結果(P1、P2、N1、N2)を感情判定信号としてAI推論部104fに出力する。
【0062】
例えば、文体信号に対応する文字列が”特許出願をする際にはどのようなことに留意すべきかについて深く調べたい”である場合は、類別部104cは、”調べたい”という文字列を検出し、強調語検出部104dは、”深く”という文字列を検出する。
【0063】
感情判断部104eは、類別部104cで検出された”調べたい”と、強調語検出部104dで検出した”深く”とに基づいて、図5のテーブルを参照し、相談者の感情の度合いをP1であると判断する。
【0064】
また、感情判定部104eは、文字列を構成する重要な要素である”特許出願”というキーワードを抽出し、その抽出結果と「感情の程度」とを含む感情情報を感情情報信号としてAI推論部104fに出力する。
【0065】
AI推論部104fは、感情判定部104eで判定された相談者の「感情の度合い」、文字列のキーワードから、相談者が抱く感情を推論するものである。具体的には、感情判定部104eから感情情報信号が入力されたAI推論部104fは、入力された感情情報信号に対応する感情情報に基づいて、例えば上記結果より「感情の度合い」がP1(深く調べたい)、キーワードが”特許出願”である場合は、相談者は自己の発明について特許出願を行いたいと思っているけど、どのような点について留意すべきかについて迷っているな、と推論する。
【0066】
これにより、AI推論部104fは、”特許出願”というキーワードから、図8に示す「助言テーブル1」のうち「法律テーブル」を選択し、この「法律テーブル」にある「助言テーブル2」のうち「特許法テーブル」(同図(b))を選択し、更に「特許法テーブル」にある「助言テーブル3」のうち「出願テーブル」(同図(c))を選択して、この「出願テーブル」に蓄積されている情報に基づいて、相談者が特許出願をする際の助言を行う。この助言は、本実施形態では、後述する解析部104gによる解析結果に基づいて行うものとする。
【0067】
尚、AI推論部104fは、例えば、文字列のキーワードと「感情の度合い」とに基づいて、前記キーワードと「感情の度合い」との間で最も関係する特定の推論フレーズ(推論の内容を示す予め定められた内容)を感情情報データベース106から抽出して、その抽出した推論フレーズを推論の内容とすることができる。
【0068】
AI推論部104fは、上記推論により、先ずは、特許出願についての発明がどのようなものであるかについて質問内容を深めていき、相談者が抱いている感情(考え)に対応するキーワードを聞き出し、聞き出した感情(考え)に対応するキーワードを感情情報データベース106に蓄積する。
【0069】
例えば、AI推論部104fは、相談者の発明がどのようなものであるかについて調べるために、相談者に”どのような発明をしたの?”と質問する。この場合、相談者が、入力部101を通じて、”自分は、とても面白い鉛筆に関する発明をしたよ”と回答した場合は、感情判定部104eは、鉛筆(キーワード)→”とても面白い”とあるので、相談者が抱く発明に対する思い入れ(感情度)は、P1であると判断する(図5参照)。
【0070】
その後、AI推論部104fは、上記感情判定部104eでの判断結果(P1)により、”相談者は鉛筆についての発明に深い思い入れがあるけど、どの点に発明のポイントがあると考えているのか”、と考え、更にどの点についてポイントがあるかについて質問する。例えば、AI推論部104fは、相談者に”どこが特徴なの?”と質問する。
【0071】
この場合、相談者が、入力部107を通じて”鉛筆のグリップ部分に大きな特徴があるんだ”と回答した場合は、感情判定部104eが、グリップ部分→”大きな特徴がある”とあるので、グリップ部分についての思い入れ(感情度)はP2であると判断する(図5参照)。
【0072】
その後、AI推論部104fは、上記感情判定部104eでの判定結果(P2)により、”グリップ部分についての思い入れが深いので、相談者は、滑り止めについての発明をしていると考えられ、この発明については、自然法則を利用した技術的思想についてのものだな”と推論する。AI推論部104fは、これらのキーワード、感情の度合いを感情情報データベース106に蓄積する。
【0073】
その他、AI推論部104fは、相談者が”自己の発明は、誰もが考えつかないグリップの素材についての発明なんだ”と、発話した場合は、”グリップ部分についての発明は高度のものだな”と考え、”グリップ部分”についてのキーワードを、上記推論した内容である”高度”のフレーズと共に感情情報データベース106に蓄積する。
【0074】
この際、AI推論部104fは、この”グリップ部分”についてのキーワードを感情情報データベース106に蓄積する際には、上記推論した”自然法則を利用”のフレーズと感情度”P1”と共に蓄積する(図7中の「感情情報テーブル」を参照)。
【0075】
更に、AI推論部104fは、相談者が”しかし、この発明は、主観的には発明に該当すると考えているけど、客観的には実験的にしか用いられていないグリップの素材だから産業上の利用性がない発明かも知れないんだよな”と、発話した場合には、”この発明については産業上の利用性がない(N1)かも知れないな”と考え、”グリップ部分”についてのキーワードを、上記推論した内容である”産業上の利用”のフレーズと感情度”N1”と共に感情情報データベース106に蓄積する。
【0076】
時制解釈部104bは、相談者の抱く感情度が発生した時期(時制)を解釈するものである。具体的には、文節認識部104aから文体信号が入力された時制解釈部104bは、入力された文体信号に対応する文字列に基づいて、その文字列に対応する事象がどの時制(時点)に該当するのかを解釈する。この解釈は、本実施形態では、図6に示す「時制テーブル」に従って行うものとする。
【0077】
この「時制テーブル」は、同図に示すように、アスペクト、テンス、ムードから構成されるものであり、文字列に対応する時制は、これらの構成要素に基づいて特定することができる。
【0078】
ここで、アスペクトAとは、既にある事象が完了していることを示す完成相(A1)と、相談者の発話時においてもある事象が継続していることを示す継続相(A2)とから構成されるものである。
【0079】
また、テンスTとは、非過去時制(T1)と、過去時制(T2)とから構成されるものである。更に、ムードMとは、叙述法M1(断定法(M2)、推量法(M3))と、実行法M6(意志・勧誘(M4)、命令(M4))とから構成されるものである。
【0080】
例えば、時制解釈部104bは、”鉛筆のグリップ部分に大きな特徴がある発明をしたんだ”という文字列を解釈する場合は、図6を参照し、”〜した”の文字から断定M2−過去T2(判断▲1▼)であると判断し、更に”〜した”の文字から完成相A1(判断▲2▼;非過去における完成型)に該当すると判断する。そして、これらの判断を行った時制解釈部104bは、判断した時制(判断▲1▼、判断▲2▼)を時制信号としてAI推論部104fに出力する。
【0081】
時制解釈部104bと感情判断部104eとからそれぞれ時制信号と感情情報信号とが入力されたAI推論部104fは、入力された時制信号に対応する「判断された時制」と、入力された感情情報信号に対応する「感情の度合い」「キーワード」とに基づいて、相談者が抱いている感情を推論する。
【0082】
例えば、AI推論部104fは、”鉛筆のグリップ部分に大きな特徴があるんだ”の文字列から相談者の感情を推論する場合は、時制解釈部104b、類別部104c及び強調語解釈部104dで文字列の要素が解釈された結果、「判断された時制」が上記判断▲1▼(断定M2−過去T2;過去において何かをした)、判断▲2▼(完成相A1;何かを行った)、「感情の度合い」がP1(〜に大きな特徴がある)、更に、「キーワード」が”鉛筆””グリップ”であるという結果が導かれるので、「相談者は過去(判断▲1▼)において”鉛筆”(キーワード)の”グリップ部分”(キーワード)を発明したんだな、相談者は相当高度(P1)な発明をしたんだな」、と推論する。
【0083】
この推論をしたAI推論部104fは、上記の如く、相談者は過去において技術的に高度(例えば、素材が高度)な鉛筆のグリップ部分を発明したな、と推論したので、更に発明の内容に関係する質問をしていく。最終的には、AI推論部104fは、相談者から細かい内容(例えば、グリップ部分はどのような素材を使っており、その素材は、どのようにして製造されるのか、など)まで聞き出す(図7参照)。
【0084】
相談者に対して様々な質問を行ったAI推論部104fは、相談者から回答のあった回答内容を、上記の手順に従って、「判断された時制」(時制)、「感情の度合い」(P1、P2、N1、N2)、「キーワード」毎に感情情報データベース106に蓄積する(図7参照)。
【0085】
また、時制判断部104bは、”この発明は、客観的には実験的にしか用いられていないグリップの素材だから産業上の利用性がない(N1)発明かも知れないんだよな”の文字列から相談者の感情を推論する場合は、上記”〜かも知れない”の文字列から推量(M3)−非過去(T1)(判断▲3▼;非過去における推量)であると判断し、更に”〜かも知れない”の文字から完成相A2(判断▲4▼;非過去における完成型)に該当すると判断する。
【0086】
時制解釈部104b、類別部104c及び強調語解釈部104dで文字列の要素が解釈された結果、「判断された時制」が上記判断▲3▼▲4▼(非過去において何かを感じている)、「感情の度合い」がN1(〜の利用性がない)、更に、「キーワード」が”グリップ””素材”であるという結果が導かれるので、「相談者は非過去(判断▲1▼)において”グリップ”(キーワード)の”素材”(キーワード)について産業上の利用性があるかについて不安を感じているな」、と推論する。
【0087】
これにより、AI推論部104fは、相談者が発話した文字列に含まれる「感情の度合い」「キーワード」だけではなく、「判断された時制」をも含めて相談者の感情を判断するので、例えば相談者が非過去(将来)においてはどのような感情を抱いていたのかを把握することができ、更に、現在から非過去に至るまでの感情の変化をも把握することができる。
【0088】
更に、上記よりAI推論部104fは、相談者からの回答に含まれるキーワード、特に相談者の感情に関連付けられたキーワード(例えば、グリップ、素材など)を多く収集することができ、更に後述する解析部104gによる解析結果に基づいて、相談者の該当する悩みについて適切な助言をすることができる。
【0089】
加えて、相談者は、入力部101を通じて、AI推論部104fに文字情報を伝達すれば、AI推論部104fが相談者の感情を推論し、その推論に応じて異なった質問をするので、あたかも人間と会話しているような雰囲気を味わうことができ、ある悩みについて秘密性を十分に確保しつつ解決することができる。
【0090】
比較部104hは、感情情報データベース106に蓄積されたキーワードと、助言データベース105に蓄積されたフレーズ群(本実施形態では上述の如く「条文フレーズ」とする;図9参照)を取得(比較手段104hは取得手段でもある)し、取得した条文フレーズと一致するキーワード数を検出(抽出)するキーワード検出手段である。
【0091】
この「出願テーブル」には、本実施形態では、図9に示すように、条文(発明性;2条、産業上の利用性;29条1項、進歩性;29条2項など)、各条文に対応するキーとなるフレーズ(以下、単に「条文フレーズ」と略す)、各条文に対応する最大の条文フレーズ数(以下、単に「最大フレーズ数)と略す)を有している。この条文フレーズは、各条文(属性毎)に蓄積され、最大フレーズ数は、各条文に関連付けられて蓄積されているものとする。
【0092】
具体的には、比較部104hは、図7に示す「感情履歴テーブル」のうち、例えば感情度に関連付けられたキーワード(グリップ;”自然法則を利用(P1)””技術的思想(P1)””産業上の利用(N1)”)を取得し、取得した各キーワードが、「出願テーブル」にある各条文フレーズと一致するものがあるかについて調べる。
【0093】
比較部104hは、感情情報データベース106から感情に取得した各キーワードが「出願テーブル」にある各条文フレーズと一致していれば、この一致しているキーワードを抽出し、抽出したキーワードを「比較テーブル」のうち、「抽出キーワード」の箇所に蓄積する。更に、比較部104hは、「抽出キーワード」に蓄積されているキーワードの数を「抽出数」に蓄積し、「抽出キーワード」に関係する関係条文を「条文」の箇所に蓄積する。
【0094】
ここで、「比較テーブル」とは、比較部104hが感情情報データベース106に蓄積されているキーワードと「出願テーブル」に蓄積されている条文フレーズとの比較結果を蓄積するものであり、この「出願テーブル」は、感情情報データベース106に蓄積することができるものである。
【0095】
この「出願テーブル」には、本実施形態では、例えば、比較部104hが感情情報テーブル106から取得したキーワードと「出願テーブル」に蓄積されている条文フレーズとを取得し、両者を比較した結果、前記条文フレーズとの間で一致している前記キーワードを抽出(検出)したことを示す「抽出キーワード」を有している。尚、上記「抽出キーワード」は、本実施形態では、「条文」毎に区分けして「比較テーブル」に蓄積されているものとする。
【0096】
更に、「出願テーブル」には、「抽出キーワード」に蓄積されているキーワード数を示す「抽出数」、「抽出キーワード」に関係する条文を示す「条文」、抽出数が出願テーブルにある各条文の最大フレーズ数に占める割合を示す「抽出率」、解析部104gが抽出率に基づいてどの条文を利用するか否かを判断する「判断閾値」を有している。
【0097】
上記より、比較部104hは、「比較テーブル」のうち、「抽出キーワード」、「抽出数」、「条文」に該当する各内容を蓄積した場合は、これらを蓄積したことを示す蓄積信号を解析部104gに出力する。
【0098】
尚、比較部104hは、所定の感情度が発生した時期と前記感情度に関連付けられたキーワードを取得し、取得したキーワードと助言データベース105に蓄積されている条文フレーズとを比較して、比較した結果、取得したキーワードと条文フレーズとが一致しているか否かを調べるものであってもよい。
【0099】
これにより、比較部104hは、相談者の感情度に基づいて、感情度が発生した時期と感情度に関連付けられたキーワードと条文フレーズとを比較するので、特に、ある時制において感情度が高いキーワードを用いて、条文フレーズとの間で一致している前記キーワードを抽出することができる。
【0100】
この結果、例えば、相談者が「自分は”自然法則を利用(キーワード▲1▼)”した”技術的思想の創作(キーワード2)”により完成した高度(キーワード▲3▼)な発明を発明をした(時制▲4▼)よ、この発明は、もの凄く(感情度P1)いいものだよ」を発話した場合は、AI推論部104fは、キーワード▲1▼〜▲3▼を感情度(P1)と時制▲4▼とに関連付けて感情情報データベース106(図7に示す「時制履歴テーブル」の箇所)に蓄積する。
【0101】
そして、比較部104hは、図7に示す「時制履歴テーブル」のうち、例えば、過去における感情度に関連付けられたキーワードを取得し、取得したキーワードと「出願テーブル」に蓄積されている条文フレーズとを比較し、比較した結果、前記条文フレーズと一致している前記キーワードを抽出する(キーワード▲1▼〜▲3▼)。
【0102】
このため、比較部104hは、ある時制に関連付けられたキーワードを抽出することができるので、時制毎にキーワードと関連する条文フレーズを取得することができ、AI判断部104fは、上記時制毎に、例えば、発明の特許性を判断することができる。
【0103】
例えば、AI推論部104gは、上記よりキーワード▲1▼〜▲3▼、時制▲4▼、感情度P1である場合は、特許法2条1項「発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作うち高度のものをいう」における”自然法則を利用””技術的思想の創作””高度”とキーワード▲1▼〜▲3▼とが一致しているので、相談者の発明は過去(時制▲4▼)において2条1項にいう発明をしたな、と推論することができる。
【0104】
解析部104gは、比較部104hで検出(抽出)したキーワードの数と、キーワードとの間で一致する条文フレーズに関連付けられた最大フレーズ数とに基づいて、前記キーワードが最大フレーズ数に占める割合を算出する割合算出手段である。
【0105】
具体的には、比較部104hから蓄積信号が入力された解析部104gは、入力された蓄積信号に対応する「抽出キーワード」「抽出数」「条文」に基づいて、AI推論部104fが所定の判断をするための判断値を算出し、この算出した結果を算出信号としてAI推論部104fに出力する。
【0106】
上記判断値は、本実施形態では、例えば、図10に示したように、抽出数が出願テーブルにある各条文の最大フレーズ数に占める割合を示す「抽出率」を意味するものとする。
【0107】
例えば、解析部104gは、図10に示すように、「抽出キーワード」が”自然法則を利用””技術的な思想””高度”である場合は、「抽出数」が”3つ”、関係条文(2条)に対応する最大フレーズ数が”3つ”であるので、抽出率を{(3/3)×100%}=100%であると計算する。
【0108】
同様にして、解析部104gは、同図に示すように、「抽出キーワード」が”産業上利用”である場合は、「抽出数」が”1つ”、関係条文(29条)に対応する最大フレーズ数が”3つ”であるので、抽出率を{(1/3)×100%}=17%であると計算する。
【0109】
AI判断部104fは、解析部104gで算出された抽出率に基づいて、相談の属性(本実施形態では、図9に示す「条文」)を特定すると共に、割合(抽出率)に応じて属性に含まれる助言データを選択する助言手段でもある。上記より、解析部104gから算出信号が入力されたAI推論部104fは、入力された算出信号に対応する「抽出率」が予め設定された判断閾値を超えている場合は、相談者の質問内容に対応する適切な助言データを選択する。
【0110】
具体的には、AI推論部104fは、図10に示すように、抽出率が100%(2条)である結果が解析部104gから入力された場合は、入力された抽出率(100%)が予め設定された判断閾値(80%)を超えているので、”あなたが完成した発明は、特許法における発明性(2条)の要件を満たしていますよ”の内容を表す助言データを選択し、選択した助言データを出力部107に出力する。
【0111】
また、AI推論部104fは、同図に示すように、抽出率が17%(29条)である結果が解析部104gから入力された場合は、入力された抽出率(17%)が予め設定された判断閾値(80%)を超えていないので、”あなたが完成した発明は、発明性はあるけども、産業上の利用性(29条1項柱書)、新規性(29条1項各号)を有しない可能性があります、従って、あなたが完成した発明は、特許出願したとしても、産業上の利用性(29条)を有しないとして拒絶(49条)される可能性がありますね”との内容を表す助言データを選択し、選択した助言データを出力部107に出力する。
【0112】
尚、上記判断閾値は、操作部(図示せず)からの入力により変動させることができる。また、助言データは、本実施形態では、助言データベース105に蓄積されているものとする。
【0113】
[助言システムを用いた助言方法]
上記構成を有する助言システムによる助言方法は、以下の手順により実施することができる。図11は、本実施形態に係る助言方法の手順を示すフロー図である。先ず、入力部101が相談者の音声情報を取得するステップを行う(S101)。具体的に入力部101は、相談者の音声情報を取得し、取得した音声情報を音声信号として音声認識部102に出力する。
【0114】
次いで、音声認識部102が入力部101で取得した音声情報に基づいて、その音声情報に対応する文字列を特定するステップを行う(S102)。具体的には、音声信号が入力された音声認識部102は、入力された音声信号を解析し、解析した音声信号に対応する文字列を、音声認識辞書記憶部103に格納されている辞書を用いて特定し、特定した文字列を文字列信号として推論エンジン104に出力する。
【0115】
次いで、推論エンジン104が、音声認識部102で特定した文字列に基づいて相談者が抱く感情情報を推論し、推論した該感情情報に関連付けられたキーワードを抽出して、抽出した該キーワードに関係する助言を行う(S103)。このS103で行う処理の詳細は、図12に基づいて説明する。
【0116】
推論エンジン104では、先ず、図12に示すように、文節認識部104aが、文を解析し、解析した文に基づいて、文から把握される言葉の意味空間を認識するステップを行う(S200)。次いで、文節認識部104aが上記認識により文と文との間を認識するステップを行う(S201)。具体的には、文から把握される言葉の意味空間を把握した文節認識部104aは、入力された文字信号に基づいて、文字信号に対応する文と文との間を認識する。
【0117】
この認識は、本実施形態では、文と文との間にはある程度の時間間隔があるので、その時間間隔に基づいて文と文との間を区別するものである。例えば、文字信号に対応する文が、”今日は暑いな・・・アイスを食べよう”というものである場合は、文節認識部104aは、上記文の中で時間間隔がある部分”・・・”を文の区切りと認識し、”今日は暑いな”と”アイスを食べよう”との文に分けることを行う。
【0118】
文と文との間を認識した文節認識部104aは、文を1文毎に区分けして、1文毎に区分けした文を文体信号として時制解釈部104b、類別部104c、強調語検出部104d、感情判定部104eに出力する。
【0119】
次いで、類別部104cが、文字列から相談者の感情の種類を判別するステップを行う(S202)。具体的には、文節認識部104aから文体信号が入力された類別部104cは、入力された文体信号に対応する文に基づいて、文に含まれる要素から感情に関係するキーワードを抜き出し、この抜き出したキーワードがどのような感情の類別に属するものであるかを特定する。
【0120】
この感情の類別は、本実施形態では、例えば図3に示す「感情類別テーブル」に従って類別する。感情類別テーブルは、例えば、相談者がプラス的な感情要素を意味していることを示す「プラス要素P(P;Positive)」、相談者がマイナス的な感情要素を意味していることを示す「マイナス要素N(N;Negative)」を有している。
【0121】
類別部104cは、上記の「感情類別テーブル」に基づいて、1文の中からどのような感情が含まれているのかを類別し、この類別した結果を類別信号として感情判定部104eに出力する。
【0122】
次いで、強調語検出部104dが、文字列から感情の強弱を特徴付ける要素を抽出するステップを行う(S203)。具体的には、文節認識部104aから文体信号が入力された強調語検出部104dは、入力された文体信号に対応する文に基づいて、その文を構成する要素の中に、強調語があるか否かを検出する。
【0123】
強調語検出部104dは、上記の「強調語テーブル」に基づいて、1文の中にある強調語を検出し、検出した強調語を強調語検出信号として感情判定部104eに出力する。
【0124】
次いで、感情判定部104eが、相談者が抱く感情の程度を判定するステップを行う(S204)。具体的には、類別部104c、強調語検出部104d、文節確認部104aから類別信号、強調語検出信号、又は文体信号が入力された感情判定部104eは、入力された類別信号、強調語検出信号、又は文体信号に基づいて、相談者の感情の程度を判定する。
【0125】
この感情の程度の判定は、本実施形態では、例えば図5に示す「感情度テーブル」に従って行うことができる。この「感情度テーブル」には、例えば、同図に示すように、判定要素(相談者の感情)と、「感情の程度」とを有している。
【0126】
例えば、「感情の程度」は、上述の如く、同図に示すように、判定要素が「関心/無関心」である場合は、感情の程度は、すごく関心がある(P1)、関心がある(P2)、関心がない(N1)、全く関心がない(N2)と類別することができる。
【0127】
次いで、感情判定部104eが、類別信号に対応する「感情の類別」、強調語検出信号に対応する強調語に基づいて、上記「感情度テーブル」を参照し、1文から把握される相談者の感情がどの程度なのかを判定し、判定した結果(P1、P2、N1、N2)を感情判定信号としてAI推論部104fに出力する。
【0128】
具体的には、文体信号に対応する文字列が”特許出願をする際にはどのようなことに留意すべきかについて深く調べたい”である場合は、類別部104cは、”調べたい”という文字列を検出し、強調語検出部104dは、”深く”という文字列を検出する。
【0129】
感情判断部104eは、類別部104cで検出された”調べたい”と、強調語検出部104dで検出した”深く”とに基づいて、図5のテーブルを参照し、相談者の感情の度合いをP1であると判断する。
【0130】
また、感情判定部104eは、文字列を構成する重要な要素である”特許出願”というキーワードを抽出し、その抽出結果と「感情の程度」とを含む感情情報を感情情報信号としてAI推論部104fに出力する。
【0131】
次いで、AI推論部104fが、感情判定部104eで判定された相談者の「感情の度合い」、文字列のキーワードから、相談者が抱く感情を推論するステップを行う(S205)。
【0132】
具体的には、感情判定部104eから感情情報信号が入力されたAI推論部104fは、入力された感情情報信号に対応する感情情報に基づいて、例えば上記結果より「感情の度合い」がP1(深く調べたい)、キーワードが”特許出願”である場合は、相談者は自己の発明について特許出願を行いたいと思っているけど、どのような点について留意すべきかについて迷っているな、と推論する。
【0133】
これにより、AI推論部104fは、”特許出願”というキーワードから、図8に示す「助言テーブル1」のうち「法律テーブル」を選択し、この「法律テーブル」にある「助言テーブル2」のうち「特許法テーブル」(同図(b))を選択し、更に「特許法テーブル」にある「助言テーブル3」のうち「出願テーブル」(同図(c))を選択して、この「出願テーブル」に蓄積されている情報に基づいて、相談者が特許出願をする際の助言を行う。この助言は、本実施形態では、後述する解析部104gによる解析結果に基づいて行うものとする。
【0134】
次いで、AI推論部104fは、上記推論により、先ずは、相談者の発明がどのようなものであるかについて質問内容を深めていき、相談者が抱いている感情(考え)に対応するキーワードを聞き出し、聞き出した感情(考え)に対応するキーワードを感情情報データベース106に蓄積する(S206)。
【0135】
具体的にAI推論部104fは、特許出願についての発明がどのようなものであるかについて調べるために、相談者に”どのような発明をしたの?”と質問する。この場合、相談者が、入力部101を通じて、”自分は、とても面白い鉛筆に関する発明をしたよ”と回答した場合は、感情判定部104eは、鉛筆(キーワード)→”とても面白い”と判断し、相談者が抱く発明に対する思い入れ(感情度)は、P1であると判断する(図5参照)。
【0136】
その後、AI推論部104fは、上記感情判定部104eでの判断結果(P1)により、”相談者は鉛筆についての発明に深い思い入れがあるけど、どの点に発明のポイントがあると考えているのか”、と考え、更にどの点についてポイントがあるかについて質問する。例えば、AI推論部104fは、相談者に”どこが特徴なの?”と質問する。
【0137】
この場合、相談者が、入力部107を通じて”鉛筆のグリップ部分に大きな特徴があるんだ”と回答した場合は、感情判定部104eが、グリップ部分→”大きな特徴がある”とあるので、グリップ部分について思い入れ(感情度)はP2であると判断する(図5参照)。
【0138】
その後、AI推論部104fは、上記感情判定部104eでの判定結果(P2)により、”グリップ部分についての思い入れが深いので、相談者は、滑り止めについての発明をしていると考えられ、この発明については、自然法則を利用した技術的思想についてのものだな”と推論する。AI推論部104fは、これらのキーワード、感情の度合いを感情情報データベース106に蓄積する。
【0139】
その他、AI推論部104fは、相談者が”自己の発明は、誰もが考えつかないグリップの素材についての発明なんだ”と、発話した場合は、”グリップ部分についての発明は高度(感情度;P1)のものだな”と考え、”グリップ部分”についてのキーワードを、上記推論した内容である”高度”のフレーズと共に感情情報データベース106に蓄積する。
【0140】
AI推論部104fは、この”グリップ部分”についてのキーワードを感情情報データベース106に蓄積する際には、上記推論した”自然法則を利用”のフレーズと感情度”P1”と共に蓄積する(図7中の「感情情報テーブル」を参照)。
【0141】
更に、AI推論部104fは、相談者が”しかし、この発明は、主観的には発明に該当すると考えているけど、客観的には実験的にしか用いられていないグリップの素材だから産業上の利用性がない発明かも知れないんだよな”と、発話した場合には、”この発明については産業上の利用性がない(N1)かも知れないな”と考え、”グリップ部分”についてのキーワードを、上記推論した内容である”産業上の利用”のフレーズと感情度”N1”と共に感情情報データベース106に蓄積する。
【0142】
尚、AI推論部104fは、相談者の抱く感情度が発生した時期(時制)と文字列のキーワードに基づいて、相談者の感情を推論することもできる。具体的には、文節認識部104aから文体信号が入力された時制解釈部104bは、入力された文体信号に対応する文字列に基づいて、その文字列に対応する事象がどの時制(時点)に該当するのかを解釈する。
【0143】
例えば、時制解釈部104bは、”鉛筆のグリップ部分に大きな特徴がある発明をしたんだ”という文字列を解釈する場合は、図6を参照し、”〜した”の文字から断定M2−過去T2(判断▲1▼)であると判断し、更に”〜した”の文字から完成相A1(判断▲2▼;非過去における完成型)に該当すると判断する。そして、これらの判断を行った時制解釈部104bは、判断した時制(判断▲1▼、判断▲2▼)を時制信号としてAI推論部104fに出力する。
【0144】
その後、時制解釈部104bと感情判断部104eとからそれぞれ時制信号と感情情報信号とが入力されたAI推論部104fは、入力された時制信号に対応する「判断された時制」と、入力された感情情報信号に対応する「感情の度合い」「キーワード」とに基づいて、相談者が抱いている感情を推論する。
【0145】
例えば、AI推論部104fは、”鉛筆のグリップ部分に大きな特徴があるんだ”の文字列から相談者の感情を推論する場合は、時制解釈部104b、類別部104c及び強調語解釈部104dで文字列の要素が解釈された結果、「判断された時制」が上記判断▲1▼(断定M2−過去T2;過去において何かをした)、判断▲2▼(完成相A1;何かを行った)、「感情の度合い」がP1(〜に大きな特徴がある)、更に、「キーワード」が”鉛筆””グリップ”であるという結果が導かれるので、「相談者は過去(判断▲1▼)において”鉛筆”(キーワード)の”グリップ部分”(キーワード)を発明したんだな、相談者は相当高度(P1)な発明をしたんだな」、と推論する。
【0146】
この推論をしたAI推論部104fは、上記の如く、相談者は過去において技術的に高度(例えば、素材が高度)な鉛筆のグリップ部分を発明したな、と推論したので、更に発明の内容に関係する質問をしていく。最終的には、AI推論部104fは、相談者から細かい内容(例えば、グリップ部分はどのような素材を使っており、その素材は、どのようにして製造されるのか、など)まで聞き出す(図7参照)。
【0147】
相談者に対して様々な質問を行ったAI推論部104fは、相談者から回答のあった回答内容を、上記の手順に従って、「判断された時制」(時制)、「感情の度合い」(P1、P2、N1、N2)、「キーワード」毎に感情情報データベース106に蓄積する(図7参照)。
【0148】
また、時制判断部104bは、”この発明は、客観的には実験的にしか用いられていないグリップの素材だから産業上の利用性がない(N1)発明かも知れないんだよな”の文字列から相談者の感情を推論する場合は、上記”〜かも知れない”の文字列から推量(M3)−非過去(T1)(判断▲3▼;非過去における推量)であると判断し、更に”〜かも知れない”の文字から完成相A2(判断▲4▼;非過去における完成型)に該当すると判断する。
【0149】
時制解釈部104b、類別部104c及び強調語解釈部104dで文字列の要素が解釈された結果、「判断された時制」が上記判断▲3▼▲4▼(非過去において何かを感じている)、「感情の度合い」がN1(〜の利用性がない)、更に、「キーワード」が”グリップ””素材”であるという結果が導かれるので、「相談者は非過去(判断▲1▼)において”グリップ”(キーワード)の”素材”(キーワード)について産業上の利用性があるかについて不安を感じているな」、と推論する。
【0150】
これにより、AI推論部104fは、相談者が発話した文字列に含まれる「感情の度合い」「キーワード」だけではなく、「判断された時制」をも含めて相談者の感情を判断するので、例えば相談者が非過去(将来)においてはどのような感情を抱いていたのかを把握することができ、更に、現在から非過去に至るまでの感情の変化をも把握することができる。
【0151】
次いで、比較部104hが、感情情報データベース106に蓄積されている感情情報に関連付けられたキーワードを取得し、取得したキーワードと助言データベース105に蓄積されている条文フレーズ(図9に示す「出願テーブル」を参照)とを比較して、比較した結果、取得したキーワードと条文フレーズとが一致しているか否かを調べるステップを行う(S206)。
【0152】
具体的には、比較部104hは、図7に示す「感情履歴テーブル」のうち、例えば感情度に関連付けられたキーワード(グリップ;”自然法則を利用(P1)””技術的思想(P1)””産業上の利用(N1)”)を取得し、取得した各キーワードが、「出願テーブル」にある各条文フレーズと一致するものがあるかについて調べる。
【0153】
比較部104hは、感情情報データベース106から感情に取得した各キーワードが「出願テーブル」にある各条文フレーズと一致していれば、この一致しているキーワードを抽出し、抽出したキーワードを「比較テーブル」のうち、「抽出キーワード」の箇所に蓄積する。更に、比較部104hは、「抽出キーワード」に蓄積されているキーワードの数を「抽出数」に蓄積し、「抽出キーワード」に関係する関係条文を「条文」の箇所に蓄積する。
【0154】
上記より、比較部104hは、「比較テーブル」のうち、「抽出キーワード」、「抽出数」、「条文」に該当する各内容を蓄積した場合は、これらを蓄積したことを示す蓄積信号を解析部104gに出力する。
【0155】
尚、比較部104hは、所定の感情度が発生した時期と前記感情度に関連付けられたキーワードを取得し、取得したキーワードと助言データベース105に蓄積されている条文フレーズとを比較して、比較した結果、取得したキーワードと条文フレーズとが一致しているか否かを調べるものであってもよい。
【0156】
この結果、例えば、相談者が「自分は”自然法則を利用(キーワード▲1▼)”した”技術的思想の創作(キーワード2)”により完成した高度(キーワード▲3▼)な発明を発明をした(時制▲4▼)よ、この発明は、もの凄く(感情度P1)いいものだよ」を発話した場合は、AI推論部104fは、キーワード▲1▼〜▲3▼を感情度(P1)と時制▲4▼とに関連付けて感情情報データベース106(図7に示す「時制履歴テーブル」の箇所)に蓄積する。
【0157】
そして、比較部104hは、図7に示す「時制履歴テーブル」のうち、例えば、過去における感情度に関連付けられたキーワードを取得し、取得したキーワードと「出願テーブル」に蓄積されている条文フレーズとを比較し、比較した結果、前記条文フレーズと一致している前記キーワードを抽出する(キーワード▲1▼〜▲3▼)。
【0158】
これにより、比較部104hは、ある時制に関連付けられたキーワードを抽出することができるので、時制毎にキーワードと関連する条文フレーズを取得することができ、AI判断部104fは、上記時制毎に、例えば、発明の特許性を判断することができる。
【0159】
例えば、AI推論部104gは、上記よりキーワード▲1▼〜▲3▼、時制▲4▼、感情度P1である場合は、特許法2条1項「発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作うち高度のものをいう」における”自然法則を利用””技術的思想の創作””高度”とキーワード▲1▼〜▲3▼とが一致しているので、相談者の発明は過去(時制▲4▼)において2条1項にいう発明をしたな、と推論することができる。
【0160】
次いで、解釈部104gが、比較部104hで抽出されたキーワードに基づいて”抽出率”を算出するステップを行う(S207)。具体的には、比較部104hから蓄積信号が入力された解析部104gは、入力された蓄積信号に対応する「抽出キーワード」「抽出数」「条文」に基づいて、AI推論部104fが所定の判断(助言)をするための判断値を算出し、この算出した結果を算出信号としてAI推論部104fに出力する。
【0161】
上記判断値は、本実施形態では、例えば、図10に示しように、抽出数が出願テーブルにある各条文の最大フレーズ数に占める割合を示す「抽出率」を意味するものとする。
【0162】
例えば、解析部104gは、図10に示すように、「抽出キーワード」が”自然法則を利用””技術的な思想””高度”である場合は、「抽出数」が”3つ”、関係条文(2条)に対応する最大フレーズ数が”3つ”であるので、抽出率を{(3/3)×100%}=100%であると計算する。
【0163】
同様にして、解析部104gは、同図に示すように、「抽出キーワード」が”産業上利用”である場合は、「抽出数」が”1つ”、関係条文(29条)に対応する最大フレーズ数が”3つ”であるので、抽出率を{(1/3)×100%}=33.3%であると計算する。
【0164】
上記より、解析部104gから算出信号が入力されたAI推論部104fは、入力された算出信号に対応する「抽出率」が予め設定された判断閾値を超えている場合は、相談者の質問内容に対応する適切な助言を行う(S208)。
【0165】
具体的には、AI推論部104fは、図10に示すように、抽出率が100%(2条)である結果が解析部104gから入力された場合は、入力された抽出率(100%)が予め設定された判断閾値(80%)を超えているので、”あなたが完成した発明は、特許法における発明性(2条)の要件を満たしていますよ”との内容を表す助言データを出力部107に出力する。
【0166】
また、AI推論部104fは、同図に示すように、抽出率が17%(29条)である結果が解析部104gから入力された場合は、入力された抽出率(17%)が予め設定された判断閾値(80%)を超えていないので、”あなたが完成した発明は、発明性はあるけども、産業上の利用性(29条1項柱書)、新規性(29条1項各号)を有しない可能性があります、従って、あなたが完成した発明は、特許出願したとしても、産業上の利用性(29条1項柱書)、新規性(29条1項各号)を有しないとして拒絶(49条)される可能性がありますね”との内容を表す助言データを出力部107に出力する。
【0167】
尚、AI推論部104fは、例えば、「産業上利用」(キーワード)に関連付けられている感情度が”N1”(産業上の利用性を”有しない”)であり、時制が”非過去”(産業上の利用性を有しない”かも知れない”)である場合(図7中の「時制履歴テーブル」を参照)は、29条1項柱書にいう「産業上利用することができる発明」のうち、”産業上利用”の条文フレーズとキーワードとが一致するが、”〜することができる”の条文フレーズと感情度N1・時制{〜有しないかも知れない}とが一致しないので、この要件は満たさないと判断する。
【0168】
この場合、AI推論部104fは、”あなたの発明は産業上の利用可能性がない可能性があります、従って、あなたがした発明は、特許出願したとしても、産業上の利用性がないとして拒絶される可能性があります”との内容を表す助言データを出力部107に出力する。
【0169】
[助言システム及び助言方法による作用及び効果]
このような本実施形態に係る発明によれば、推論エンジン104が、相談者から発話された文字列に含まれるキーワードを抽出し、抽出したキーワードが条文フレームに占める割合を算出することで、相談者に助言する内容を選択することができるので、相談者は、入力部101を通じて推論エンジン104に対し、自己の持つ悩みを入力(例えば、音声入力、操作手段を通じて入力)することによって、その発話に対する回答内容を、推論エンジン104から出力部107を通じて自動的に受けることができる。
【0170】
この結果、相談者は、推論エンジン104を通じて、上記より自己の持つ悩みに対応する助言を自動的に受けることができるので、自己の持つ悩みを他人に知らせることなく、自己の持つ悩みを解消することができる。
【0171】
また、推論エンジン104が、相談者から発せられた音声情報に対応する文字列を特定し、特定した文字列に含まれる強調語からなる感情度に基づいて該感情度に関連付けられた前記キーワードを前記文字列から抽出して、抽出した該キーワードに基づいて相談者に助言を行うので、推論エンジン104は、相談者が抱いている感情に特徴付けられたキーワードを用いることで相談者が抱いている感情に応じた助言を行うことができる。
【0172】
上記実施形態は、法律相談について説明したが、心理相談、教育相談、進路相談、結婚相談、薬物相談、育児相談などのカウンセリングにも適用できることは言うまでもない。
【0173】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、相談者から入力された文字列に基づいてその文字列に含まれる特定のキーワードを抽出し、抽出したキーワードに基づいて、相談者の悩みに応じた助言を自動的に行うことができる。
【0174】
この結果、相談者は、端末を通じて自己の悩みを入力すれば、入力した悩みに対応する助言を自動的に受けることができるので、自己の持つ悩みを他人に知らせることなく自己の持つ悩みを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る助言システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における推論エンジンの内部構造を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における類別部で格納している感情類別テーブルの内容を示した図である。
【図4】本実施形態における強調語検出部で格納している強調語テーブルの内容を示した図である。
【図5】本実施形態における感情判定部で格納している感情度テーブルの内容を示した図である。
【図6】本実施形態における時制解釈部で格納している時制テーブルの内容を示した図である。
【図7】本実施形態における感情情報データベースに蓄積されている感情履歴テーブルと時制履歴テーブルの内容を示した図である。
【図8】本実施形態における助言データベースに記録されている助言テーブル1〜3の内容を示した図である。
【図9】本実施形態における助言テーブル3に蓄積されている出願テーブルの内容を示した図である。
【図10】本実施形態における助言データベースに蓄積されている比較テーブルの内容を示した内容である。
【図11】本実施形態に係る助言方法の手順を示したフロー図である
【図12】本実施形態における推論エンジンの内部で処理されている手順を示したフロー図である。
【符号の説明】
100…端末、101…入力部、102…音声認識部、103…音声認識辞書記憶部、104…推論エンジン、104a…文節認識部、104b…時制解釈部、104c…類別部、104d…強調語検出部、104e…感情判定部、104f…AI推論部、104g…解析部、104h…比較部、105…助言データベース、106…感情情報データベース、107…出力部
Claims (1)
- 相談者が発話した内容から、前記相談者に適切なアドバイスを回答する助言システムであって、
前記相談者の音声情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した前記音声情報に基づいて、該音声情報に対応する文字列を特定する音声認識手段と、
前記相談者に対する助言を、相談の属性毎に蓄積する属性蓄積手段と、
前記特定した文字列の中から感情に関係するキーワード及び強調語を抽出し、前記抽出した感情に関係するキーワード及び強調語に基づいて感情に関係するキーワードとは異なるキーワードに対して相談者が抱く感情度を推論し、推論した感情度及び感情に関係するキーワードとは異なるキーワードに基づいて前記属性蓄積手段より所定の助言を選択し、前記相談者に助言を行なう推論手段と、を備えることを特徴とする助言システム。
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