以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す遊技機(カード球貸ユニットを併設したCR機)全体の構成を示す正面図で、図2は制御系のブロック図である。
遊技機(パチンコ遊技機)1の前面枠3は本体枠(外枠)4にヒンジ5を介して開閉回動可能に組み付けられ、遊技盤6は前面枠3の裏面に取り付けられた収納フレーム(図示省略)に収装される。
遊技盤6の表面には、変動表示装置(表示装置)8、大入賞口を備えた変動入賞装置10、一般入賞口11〜15、始動口16、普通図柄始動ゲート27A、27B、普通図柄表示器7、普通変動入賞装置9(補助入賞手段)等が配設された遊技領域が形成される。前面枠3には、遊技盤6の前面を覆うカバーガラス18が取り付けられている。
変動表示装置8は、表示領域に、例えば、左、中、右の三つの表示図柄(識別情報)が表示される。これらの表示図柄には、例えば「0」〜「9」までの各数字と、「A」〜「E」のアルファベット文字等が割り当てられている。
変動表示装置8は、始動口16へ遊技球の入賞があると、前述した数字、文字で構成される表示図柄が順に表示される。始動口16への入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の特別図柄乱数カウンタ値が当たり値であるとき)には、大当たり状態となり、三つの表示図柄が揃った状態(大当たり図柄)で停止する。このとき、変動入賞装置10の大入賞口が所定の時間(例えば30秒)だけ大きく開き、多くの遊技球を獲得することができる。
この始動口16への遊技球の入賞は、特別図柄始動センサ51(図2参照)で検知される。この遊技球の通過タイミング(具体的には、入賞検出時点での遊技制御装置100(図2参照)内に備えられた特別図柄乱数カウンタの値)は、特別図柄入賞記憶として、遊技制御装置100内の所定の記憶領域(特別図柄乱数記憶領域)に、最大で連続した所定回分を限度に記憶される。この特別図柄入賞記憶の記憶数は、変動表示装置8の下側に設けられた複数のLEDからなる特別図柄記憶状態表示器17に表示される。遊技制御装置100は、特別図柄入賞記憶に基づいて、変動表示装置8にて変動表示ゲームを行う。
普通図柄表示器7は、普通図柄始動ゲート27A、27Bへ遊技球の入賞があると、普通図柄(例えば一つの数字からなる図柄)の変動表示を始める。普通図柄始動ゲート27A、27Bへの入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の普通図柄乱数カウンタ値が当たり値であるとき)には、普通図柄に関する当たり状態となり、普通図柄が当たり図柄(当たり番号)で停止する。このとき、始動口16の手前に設けられた普通変動入賞装置9が所定の時間(例えば0.5秒)だけ大きく開き、遊技球の始動口16への入賞可能性が高められる。
この普通図柄始動ゲート27A、27Bへの遊技球の通過は、普通図柄始動センサ52(図2参照)で検知される。この遊技球の通過タイミング(具体的には、遊技制御装置100内に備えられた普通図柄乱数カウンタの通過検出時点での値)は、普通図柄入賞記憶として、遊技制御装置100内の所定の記憶領域(普通図柄乱数記憶領域)に、所定回数(例えば、最大で連続した4回分)を限度に記憶される。この普通図柄入賞記憶の記憶数は、普通図柄表示器7の左右に設けられた複数のLEDからなる普通図柄記憶状態表示器19に表示される。遊技制御装置100は、普通図柄入賞記憶に基づいて、普通図柄に関する当たりの抽選を行う。なお、普通図柄記憶状態表示器19の記憶数は任意の値に設定される。
前面枠3の下部の開閉パネル20には球を打球発射装置に供給する上皿21が、固定パネル22には下皿23及び打球発射装置の操作部24等が配設される。
カバーガラス18の上部の前面枠3には、点灯により球の排出の異常等の状態を報知する第1報知ランプ31、第2報知ランプ32(図2参照)が設けられている。
カード球貸ユニット用の操作パネル26には、カードの残高を表示するカード残高表示部(図示省略)と、球貸しを指令する球貸しスイッチ28と、カードの返却を指令するカード返却スイッチ30等が設けられている。
カード球貸ユニット2には、前面のカード挿入部25に挿入されたカード(プリペイドカード等)のデータの読込、書込等を行うカードリーダライタと球貸制御装置が内蔵され、カード球貸ユニット用の操作パネル26は遊技機1の上皿21の外面に形成される。
図2は、遊技制御装置100を中心とする制御系を示すブロック構成図である。
遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置であり、遊技制御を司るCPU、遊技制御のための不変の情報を記憶しているROM、遊技制御時にワークエリアとして利用されるRAMを内蔵した遊技用マイクロコンピュータ101、入力インターフェース102、出力インターフェース103、発振器104等から構成される。
遊技用マイクロコンピュータ101は、入力インターフェース102を介しての各種検出装置(特別図柄始動センサ51、一般入賞口センサ55A〜55N、カウントセンサ54、継続センサ53、普通図柄始動センサ52)からの検出信号を受けて、大当たり抽選等、種々の処理を行う。そして、出力インターフェース103を介して、各種制御装置(表示制御装置150、排出制御装置200、装飾制御装置250、音制御装置300)、大入賞口ソレノイド36、普通電動役物ソレノイド90、普通図柄表示器7等に指令信号を送信して、遊技を統括的に制御する。
排出制御装置200は、遊技制御装置100からの賞球指令信号またはカード球貸ユニット2からの貸球要求に基づいて、払出ユニットの動作を制御し、賞球または貸球の排出を行わせる。
装飾制御装置250は、遊技制御装置100からの装飾指令信号に基づいて、装飾用ランプ、LED等の装飾発光装置を制御すると共に、特別図柄記憶表示器(特図保留LED)18、普通図柄記憶表示器19の表示を制御する。
音制御装置300は、スピーカからの効果音出力を制御する。なお、遊技制御装置100から、各種従属制御装置(表示制御装置150、排出制御装置200、装飾制御装置250、音制御装置300)への通信は、遊技制御装置100から従属制御装置に向かう単方向通信のみが許容されるようになっている。これにより、遊技制御装置100に従属制御装置側から不正な信号が入力されることを防止することができる。
表示制御手段を構成する表示制御装置150は、画像の表示制御を行うもので、合成変換装置170と共に表示制御手段として機能する。この表示制御装置150は、CPU151、VDC(Video DisplayController)156、RAM153、インターフェース155、プログラムやシーケンスデータ等を格納したROM152、画像データ(図柄データ、背景画データ、動画キャラクタデータ、テクスチャデータ等)を格納したフォントROM157、同期信号やストローブ信号を発生させるタイミング信号を生成する発振器158等から構成される。
CPU151は、ROM152に格納したプログラムを実行し、遊技制御装置100からの信号に基づいて所定の変動表示ゲームのための画像制御情報(スプライトデータやポリゴンデータ等で構成される図柄表示情報、背景画面情報、動画オブジェクト画面情報等)を演算して画像生成をVDC156に指示する。
VDC156は、フォントROM157に格納された画像データ及びCPU151により画像制御情報を演算した内容に基づいて、例えば、画像のポリゴン描画(または、通常のビットマップ描画)を行うとともに、各ポリゴンに所定のテクスチャを貼り付けてフレームバッファとしてのRAM153に格納する。そして、VDC156は、RAM153の画像を所定のタイミング(垂直同期信号V_SYNC、水平同期信号H_SYNC)でLCD側(合成変換装置170)へ送信する。
VDC156が行う描画処理は、点描画、線描画、トライアングル描画、ポリゴン描画を行い、さらにテクスチャマッピング、アルファブレンディング、シェーディング処理(グローシェーディングなど)、陰面消去(Zバッファ処理など)を行って、γ補正回路159を介して画像信号を合成変換装置170に出力する。
なお、VDC156は、描画した画像データをフレームバッファとしてのRAM153へ一旦格納した後、同期信号(V_SYNCなど)に合わせて合成変換装置170へ出力しても良い。
ここで、フレームバッファは、複数のフレームバッファをそれぞれRAM153の所定の記憶領域などに設定しておき、VDC156は、任意の画像に重ね合わせて(オーバーレイ)出力することも可能である。
VDC156には、クロック信号を供給する発振器158が接続されている。発振器158が生成するクロック信号は、VDC156の動作周期を規定している。VDC156は、このクロック信号を分周して垂直同期信号(V_SYNC)と、水平同期信号(H_SYNC)を生成し、合成変換装置170へ出力する。同時に、VDC156は、合成変換装置170を経由して、変動表示装置8にも垂直同期信号(V_SYNC)と水平同期信号(H_SYNC)を出力する。
VDC156から出力されるRGB信号は、γ補正回路159に入力されている。このγ補正回路159は、変動表示装置8の信号電圧に対する照度の非線形特性を補正して、変動表示装置8の表示照度を調整して、変動表示装置8に対して出力するRGB信号(画像データ)を生成する。
また、表示制御装置150のCPU151は、発振器158のクロック信号(例えば、垂直同期信号V_SYNC)に基づいて、合成変換装置170へ出力する画像データ(RGB)が、左目用の画像又は右目用の画像の何れであるかを識別するL/R信号(画像識別信号)を出力する。
さらに、CPU151は、変動表示装置8の発光量(輝度)を制御するため、デューティ制御信号DTY_CTRを発振器158のクロック信号(または垂直同期信号V_SYNC)に基づいて生成し、変動表示装置8へ出力する。
図3に示すように、合成変換装置170は、マイクロプロセッサを備えた制御部171、RAM172、ROM173が設けられており、RAM172には右目用フレームバッファ175、左目用フレームバッファ174、立体視用フレームバッファ177及び比較バッファ176が設定されている。
制御部171は、CPU151からのL/R信号に基づいて、VDC156から送られてきた右目用画像を右目用フレームバッファ175に書き込み、左目用画像を左目用フレームバッファ174に書き込む。
次に、制御部171は、各フレームに格納された左目用画像と右目用画像から、後述するように前後の画像の変化を比較するための比較データをそれぞれ演算し、比較バッファ176に格納する。
そして、比較バッファ176に所定数の画像が蓄積されると、前後の画像の変化度合いを比較し、前後の画像の変化が小さい場合には、左右のフレームバッファ174、175に格納された画像データを立体視用フレームバッファ177に書き込んで左目用画像と右目用画像とを合成し、立体視用画像(3次元画像)を生成して、立体視用画像データをRGB信号等として変動表示装置8に出力する。
一方、前後の画像の変化が大きい場合には、左右のフレームバッファ174、175に格納されて次に出力する画像データを破棄する一方、ROM173に格納された所定の低輝度状態(黒やグレーなど)の画像を立体視用フレームバッファ177に転送し、画像の変化が大きい場合に、左右画像が一時的に大きく異なるのを防止する。
なお、L/R信号は、Hiレベル=1で左目用画像データを示し、Loレベル=0で右目用画像データを示す。
この左目用画像と右目用画像との合成による立体視用画像の生成は、図4で示すように、微細位相差板802に設けられた1/2波長板821の間隔毎に、左目用画像と右目用画像を組み合わせる。具体的には、本実施形態の変動表示装置8の微細位相差板802の1/2波長板821は、液晶表示パネル804の表示単位の間隔で配置されているので、液晶表示パネル804の表示単位の横方向ライン(走査線)毎に左目用画像と右目用画像とが交互に表示されるように立体視用画像を表示する。
通常の表示状態では、L信号出力中にVDC156から送信されてきた左目用画像データを左目用フレームバッファ174に書き込み、R信号出力中にVDC156から送信されてきた右目用画像データを右目用フレームバッファ175に書き込む。そして、左目用フレームバッファ174に書き込まれた左目用画像データと、右目用フレームバッファ175に書き込まれた右目用画像データとを走査線一本毎に読み出して、立体視用フレームバッファ177に書き込む。
変動表示装置8内には液晶ドライバ(LCD DRV)181、バックライトドライバ(BL DRV)182が設けられている。液晶ドライバ(LCD DRV)181は、合成変換装置170から送られてきたV_SYNC信号、H_SYNC信号及びRGB信号(画像データ)に基づいて、液晶表示パネルの電極に順次電圧をかけて、液晶表示パネル804に立体視用の合成画像を表示する。
バックライトドライバ182は、CPU151から出力されたDTY_CTR信号に基づいて発光素子(バックライト)810に加わる電圧のデューティー比を変化させて、液晶表示パネル804の明るさを変化させる。
図4は、変動表示装置8の構成を示す説明図で、光源801は、発光素子810、偏光フィルタ811、フレネルレンズ812によって構成されている。発光素子810には白色発光ダイオード(LED)等の点光源を横に並べて用いたり、冷陰極管等の線光源を水平に配置して構成されている。偏光フィルタ811は、左側領域811bと右側領域811aとで透過する光の偏光が異なる(例えば、左側領域811bと右側領域811aとで透過する光の偏光を90度ずらす)ように設定されている。フレネルレンズ812は一側面に同心円上の凹凸を有するレンズ面を有している。
発光素子810から放射された光は、偏光フィルタ811によって一定の偏光の光のみが透過される。すなわち、発光素子810から放射された光のうち、偏光フィルタ811の左側領域811bを通過した光と、右側領域811aを通過した光とが異なる偏光の光としてフレネルレンズ812に照射される。後述するように、偏光フィルタ811の左側領域811bを通過した光は観察者の右目に到達し、右側領域811aを通過した光は観察者の左目に到達するようになっている。
なお、発光素子と偏光フィルタを用いなくても、異なる偏光の光を異なる位置から照射するように構成すればよく、例えば、異なる偏光の光を発生する発光素子を二つ設けて、異なる偏光の光を異なる位置からフレネルレンズ812に照射するように構成してもよい。
偏光フィルタ811を透過した光はフレネルレンズ812に照射される。フレネルレンズ812は凸レンズであり、フレネルレンズ812では発光素子810から拡散するように放射された光の光路を略平行に屈折し、微細位相差板802を透過して、液晶表示パネル804に照射する。
このとき、微細位相差板802を透過して照射される光は、上下方向に広がることがないように出射され、液晶パネル804に照射される。すなわち、微細位相差板802の特定の領域を透過した光が、液晶表示パネル804の特定の表示単位の部分を透過するようになっている。
また、液晶表示パネル804に照射される光のうち、偏光フィルタ811の右側領域811aを通過した光と左側領域811bを通過した光とは、異なる角度でフレネルレンズ812に入射し、フレネルレンズ812で屈折して左右異なる経路で液晶表示パネル804から放射される。
液晶表示パネル804は、2枚の透明板(例えば、ガラス板)の間に所定の角度(例えば、90度)ねじれて配向された液晶が配置されており、例えば、TFT型の液晶表示パネルを構成している。液晶表示パネルに入射した光は、液晶に電圧が加わっていない状態では、入射光の偏光が90度ずらして出射される。一方、液晶に電圧が加わっている状態では、液晶のねじれが解けるので、入射光はそのままの偏光で出射される。
液晶表示パネル804の光源1側には、微細位相差板802及び偏光板803(第2偏光板)が配置されており、観察者側には、偏光板805(第1偏光板)が配置されている。
微細位相差板802は、透過する光の位相を変える領域が、微細な間隔で繰り返して配置されている。具体的には、光透過性の基材に、微細な幅の1/2波長板821が設けられた領域802aと、1/2波長板821の幅と同一の微細な間隔で、1/2波長板821が設けられていない領域802bとが微細な間隔で繰り返して設けられている。すなわち、設けられた1/2波長板によって透過する光の位相を変える領域802aと、1/2波長板821が設けられていないために透過する光の位相を変えない領域802bとが微細な間隔で繰り返して設けられている。この1/2波長板821は、透過する光の位相を変化させる位相差板として機能している。
1/2波長板821は、その光学軸を偏光フィルタ811の右側領域811aを透過する光の偏光軸と45度傾けて配置して、右側領域811aを透過した光の偏光軸を90度回転させて出射する。すなわち、右側領域811aを透過した光の偏光を90度回転させて、左側領域811bを透過する光の偏光と等しくする。すなわち、1/2波長板821が設けられていない領域802bは左側領域811bを通過した、偏光板803と同一の偏光を有する光を透過する。そして、1/2波長板821が設けられた領域2aは右側領域11aを通過した、偏光板803と偏光軸が直交した光を、偏光板803の偏光軸と等しくなるように回転させて出射する。
この微細位相差板802の偏光特性の繰り返しは、液晶表示パネル804の表示単位と略同一のピッチとして、表示単位毎(すなわち、表示単位の横方向の水平ライン毎)に透過する光の偏光が異なるようにする。よって、液晶表示パネル804の表示単位の水平ライン(走査線)毎に対応する微細位相差板802の偏光特性が異なるようになって、水平ライン毎に出射する光の方向が異なる。
あるいは、微細位相差板802の偏光特性の繰り返しは、液晶表示パネル804の表示単位のピッチの整数倍のピッチとして、微細位相差板802の偏光特性が複数の表示単位毎(すなわち、複数の表示単位の水平ライン毎)に変わるようにして、複数の表示単位毎に透過する光の偏光が異なるように設定してもよい。この場合において、液晶表示パネル804の表示単位の水平ライン(走査線)の複数本毎に微細位相差板の偏光特定が異なって、水平ラインの複数本毎に出射する光の方向が異なるようになる。
このように、微細位相差板802の偏光特性の繰り返し毎に異なる光を液晶表示パネル804の表示素子(水平ライン)に照射する必要があるため、微細位相差板802を透過して液晶表示パネル804に照射される光は、上下方向の拡散を抑制したものである必要がある。
すなわち、微細位相差板802の光の位相を変化させる領域802aは、偏光フィルタ811の右側領域811aを透過した光を、左側領域811bを透過した光の偏光と等しい傾きの光に変えて透過する。また、微細位相差板802の光の位相を変化させない領域802bは、偏光フィルタ811の左側領域811bを透過した光をそのまま透過する。そして微細位相差板802を出射した光は、左側領域811bを透過した光と同じ偏光を有して、液晶表示パネル804の光源側に設けられた偏光板803に入射する。
偏光板803は第2偏光板として機能し、偏光フィルタ811の左側領域811bを透過した光と同一の偏光の光を透過する偏光特性を有する。すなわち、偏光フィルタ811の左側領域811bを透過した光は第2偏光板803を透過し、偏光フィルタ811の右側領域811aを透過した光は偏光軸を90度回転させられて第2偏光板803を透過する。また、偏光板805は第1偏光板として機能し、偏光板803と90度異なる偏光の光を透過する偏光特性を有する。
このような微細位相差板802、偏光板803及び偏光板805を液晶表示パネル804に貼り合わせて、微細位相差板802、偏光板803、液晶表示パネル804及び偏光板805を組み合わせて画像表示装置を構成する。このとき、液晶に電圧が加わった状態では、偏光板803を透過した光は偏光板805を透過する。一方、液晶に電圧が加わっていない状態では、偏光板803を透過した光は偏光が90度ねじれて液晶表示パネル804から出射されるので、偏光板805を透過しない。
デフューザ806は、第1偏光板805の前面側(観察者側)に取り付けられており、液晶表示パネルを透過した光を上下方向に拡散する拡散手段として機能する。具体的には、縦方向にかまぼこ状の凹凸が繰り返し設けられたレンチキュラーレンズを用い液晶表示パネルを透過した光を、上下に拡散する。
なお、レンチキュラーレンズに代わって縦方向により強い拡散指光性を持つマット状拡散面を設けたものであってもよい。液晶パネル804透過まで上下方向の拡散を抑制したことにより視野角が狭くなっていることを改善することができる。
図5は、変動表示装置8の光学系を示す平面図である。
発光素子810から放射された光は偏光フィルタ811を透過して放射状に広がっている。光源から放射された光のうち偏光フィルタ811の左側領域811bを透過した光は、フレネルレンズ812に到達し、フレネルレンズ812で光の進行方向を変えられて、微細位相差板802、偏光板803、液晶表示パネル804、偏光板805に到達し、これらを略垂直(やや左側から右側)に透過して右目に至る。
一方、光源から放射された光のうち偏光フィルタ811の右側領域811aを透過した光は、フレネルレンズ812に到達し、フレネルレンズ812で光の進行方向を変えられて、微細位相差板802、偏光板803、液晶表示パネル804、偏光板805に到達し、これらを略垂直(やや右側から左側)に透過して右目に至る。
このように、発光素子810から放射され偏光フィルタ811と透過した光を光学手段としてのフレネルレンズ812によって、液晶表示パネル804に略垂直に照射し、発光素子810、偏光フィルタ811及びフレネルレンズ812によって、偏光面が異なる光を略垂直に、かつ、異なる経路で液晶表示パネル804に照射する光源1を構成し、液晶表示パネル804を透過した光を異なる経路で放出して、左目又は右目に到達させる。すなわち、液晶表示パネル804の走査線ピッチと、微細位相差板802の偏光特性の繰り返しピッチとを等しくして、液晶表示パネル804の走査線ピッチ毎に異なる方向から到来した光が照射され、異なる方向に光を出射する。
図6は、変動表示装置8の表示面8Aから遊技者側の奥行き方向(図中Z軸方向)へ2次元の図柄850を表示する一例を示す斜視図で、表示面8Aから遊技者側へ向けた図中Z1の位置に図柄850が飛び出すように虚像を表示した場合で、図柄850は表示面8Aのほぼ中央の位置である。
ここで、図柄850は「C」の字状の図形で構成した場合を示し、図中X軸は表示面8Aの水平方向(水平走査方向)で、Y軸は上下方向(垂直走査方向)、Z軸は奥行き方向を示す。また、図柄850は、フォントROM157に格納された2次元のスプライトデータで、相対的な座標(水平座標及び垂直座標)が予め定義されており、Z軸位置と大きさに応じて表示空間上の座標(X−Y−Z座標)に変換したものである。
このように図柄850を3次元画像として表示する場合、右目で観察する右目用画像850Rと、左目で観察する左目用画像850Lが表示面8Aに実際に表示されており、これら画像850R、850Lは遊技者が観察する3次元画像850の水平方向位置に対して、それぞれ所定量dxだけずれて表示される。
すなわち、左目用画像850Lは、図6において、3次元画像850の水平方向位置から図中左側にdxだけずれた位置に表示され、右目用画像850Rは、3次元画像850の水平方向位置から図中左側に−dxだけずれた位置に表示されて、表示面8Aに実際に表示される左右の画像850L、Rの位置は、3次元画像850の奥行き方向の位置(飛び出し量)に応じたずれ量2dxだけずれて表示される。
したがって、図6において、左目用画像850Lと右目用画像850RのX軸方向のずれ量(左目と右目の視差)2dxを変化させることによって、3次元画像850のZ軸方向位置を制御することができる。例えば、図中実線の位置に表示されている3次元画像850を表示面8A側へ移動するには、ずれ量(座標パラメータ)2dxを減少させればよく、逆に遊技者側へ移動するにはずれ量2dxを増大させればよいのである。また、表示面8Aから遊技者側へ3次元画像850を飛び出させるには、左目用画像850Lに正のずれ量(図中右側)+dxを与え、右目用画像850Rには負のずれ量(図中左側)−dxを与えたが、表示面8Aの反対側(液晶表示パネル804の奥側)に3次元画像850を表示させるには、左目用画像850Lに負のずれ量(図中左側)−dxを与え、右目用画像850Rには正のずれ量(図中右側)+dxを与えればよく、遊技者が観測する立体的な図柄(虚像)850は、左目用画像850Lと右目用画像850Rに水平方向のずれ量2dxを与えたものから生成される。
なお、上記図6では、説明を簡易にするため左目用画像850Lと右目用画像850Rが重なるように図示したが、実際には後述するように、液晶表示パネル804の水平方向ラインの上下方向位置に応じて左目用画像850Lを表示するラインと右目用画像850Rを表示するラインが予め設定されており、左目用画像850Lと右目用画像850Rは交互に表示され、同一水平方向ライン上で重なることはない。
次に、図7は、表示制御装置150と合成変換装置170で行われる、左右画像の生成と、合成の様子を示すものである。
まず、図7(A)は、CPU151のフォントROM157に格納されている上記図6の図柄850のビットマップデータを示し、図中C1〜Cnは、X軸座標(水平方向位置)に対応する列アドレスを示し、図中D1〜Dnは、Y軸座標(垂直方向位置)に対応する行アドレスを示している。
図中の座標(C4、D1)などの黒色の画素は、液晶パネル804上の画素が明るく点灯して高輝度状態となっていることを示し、座標(C3、D1)などの白色の画素は、液晶パネル804上の画素が低輝度状態(黒やグレーなどになっていることを示している。
また、ビットマップデータは、赤、緑、青の3色から構成され、実際には3つのバッファ(記憶領域)から構成されるが、ここでは説明を簡易にするために白黒の画素で説明する。
いま、図7(A)のように、識別情報の一つである「C」の字状の図柄850の縦線部850Aが1ドットの幅で構成され、虚像として観測される図柄850の飛び出し量(Z軸方向位置)に応じた視差が±1ドットの場合、水平方向の基準位置として列アドレス=C4とすれば、右目用画像850Rは、図7(B)のように図柄850を列アドレス=C4から−1ドット(図中左側)だけ水平方向にシフトした図柄となり、左目用画像850Lは、図7(C)のように、図柄850を列アドレス=C4から+1ドット(図中右側)だけ水平方向にシフトした図柄となる。
次に、微細位相差板802の1/2波長板821の配置間隔が垂直方向の座標に換算すると1ドットおきに設定されている場合、左目用画像850Lと右目用画像850Rは、垂直方向の1ドットずつ交互に現れればよいので、表示制御装置150は、奇数の行アドレスD、D3……を右目用画像データの記憶領域とし、偶数の行アドレスD2、D4……を左目用画像の記憶領域として設定する。なお、これらの記憶領域は表示制御装置150のRAM153等に確保される。
したがって、右目用画像850Rは、図7(B)で示すように、元の図柄850を−1ドットだけ水平方向にシフトして縦線部850Aを列アドレス=C3に設定するとともに、奇数の行アドレスで構成され、行アドレスの1つおきに画像データが生成される。
同様に、左目用画像850Lは、図7(C)で示すように、元の図柄850を+1ドットだけ水平方向にシフトして縦線部850Aを列アドレス=C5に設定するとともに、偶数の行アドレスDで構成され、行アドレスの1つおきに画像データが生成される。
表示制御装置150は、このように生成した左右画像を、上述のL/R信号に応じて交互に送信する。なお、画像データの送信は垂直同期信号V_SYNCに同期して行われる。
一方、合成変換装置170の制御部171は、垂直同期信号V_SYNCを受けると、そのときのL/R信号に基づいて、図3に示した左目用フレームバッファ174または右目用フレームバッファ175のいずれか一方に、受信した画像データを取り込む。
そして、これらフレームバッファ175、174に書き込まれた画像データは、それぞれ比較データを算出して比較バッファ176に格納され、所定数の比較データが蓄積されると、前後の画像変化が比較されて、画像変化が小さければ、左右のフレームバッファ174、175の画像データはそのまま合成変換装置170の出力バッファとなる立体視用フレームバッファ177に書き込まれ、図7(D)で示すように、同一の記憶領域上で合成され、所定のタイミング(垂直同期信号V_SYNC)おきに変動表示装置8の液晶パネル804に出力される。一方、画像変化が大きければ、左右のフレームバッファ174、175の画像データを破棄して、予め設定した低輝度状態の画面を立体視用フレームバッファ177に出力する。
なお、液晶パネル804への出力は、インターレース若しくはノンインターレースで行われる。
次に、図8は、表示制御装置150及び合成変換装置170との間で行われる信号の送受信タイミングと、合成変換装置170内のデータ転送タイミング及び合成変換装置170から変動表示装置8へインターレースで画像データを出力する場合のタイミングチャートを示す。また、図9は垂直同期信号V_SYNCに対応した比較バッファの内容を示す図である。
まず、垂直同期信号V_SYNCは、所定の周期(例えば、16.7msec=1/60秒)毎にOFFとなり、この垂直同期信号V_SYNCの立ち下がりで、表示制御装置150はγ補正回路159からRGBの画像データ(図中DATA)を送信するとともに、CPU151は垂直同期信号V_SYNCの立ち下がりに同期して、L/R信号を合成変換装置170に送信する。L/R信号は、送信する画像データが左目用と右目用のいずれであるかを判定するもので、例えば、ONのときに左目用(L)を示し、OFFのときに右目用(R)を示す。
例えば、図中垂直同期信号V1がOFF(Lo)になると、L/R信号がOFF(LOWレベル)になって送信する画像データR1が右目用であることを示し、次の垂直同期信号V2がOFFになると、L/R信号がON(HIGHレベル)になって送信する画像データL1が左目用であることを示しており、左目用と右目用の画像データを垂直同期信号V_SYNC毎に交互に送出する。
合成変換装置170の制御部171は、垂直同期信号V_SYNCがOFFになると、L/R信号を読み込んで、受信する画像データが左目用と右目用のいずれであるかを判定する。
例えば、図中垂直同期信号V0がOFFになると、L/R信号がOFFであるため、受信する画像データR1が右目用であると判定して、受信した画像データR1を右目用フレームバッファ175に記憶する。
次の垂直同期信号V2がOFFになると、L/R信号がONになるため、受信する画像データL1が左目用であると判定して、受信した画像データL1を左目用フレームバッファ174に記憶する。
垂直同期信号V0で読み込まれた右目用画像データR1は、右目用フレームバッファ175への書込が終了すると、画像変化を比較するための比較データR1dが演算されるとともに、比較バッファ176(図8のCMP/buff)に格納される。なお、比較データの演算については後述するように、RGBの画像データをYCbCr(Y=輝度、Cb=青み、R−Y成分、Cr=赤み、B−Y成分)のカラーデータに変換したものである。
次の、垂直同期信号V1で読み込まれた左目用画像データL1は、左目用フレームバッファ174への書込が終了すると、画像変化を比較するための比較データL1dが演算されるとともに、比較バッファ176に格納される。
比較バッファ176は、例えば、図9で示すように2つの画面(フレーム)に対応する左右2つずつの比較データをそれぞれ格納可能となっている。つまり、右目用画像データR1と左目用画像データL1で一つのフレーム(画面)を構成するため、2フレーム分の比較データを格納可能となっており、右目用の比較データを格納する比較バッファ176R、と左目用の比較データを格納する比較バッファ176Lとから構成され、各比較バッファ176R、LはFIFOバッファなどで構成される。
この比較データの比較結果(前後の画像変化が大きいか否か)に応じて、フレームバッファのデータを出力するか、ROM173のデータ(低輝度状態の画像データ)を出力するかが判定されるため、左右のフレームバッファ174、175は、図10で示すように、それぞれ2つの画像データを格納可能なFIFOバッファとして構成される。
図8の垂直同期信号V0、V2で読み込んだ右目用の画像データR1、R2に対応する比較データR1d、R2dは、垂直同期信号V3で、右目用の比較データR1dとR2dについて前後の画像変化の大きさを比較する(図9参照)。
比較結果に応じて画像データの出力またはROM173のデータの出力を決定した後、比較が終了した比較データR1dは削除され、新たなフレームの比較データであるR3dが次の垂直同期信号V4で格納される。なお、削除した比較データR1dの位置に、次のフレームの比較データR2dをシフトしてから新たなフレームの比較データR3dを格納する。
この垂直同期信号V3では、左目用画像データL2が左目用フレームバッファ174へ格納されるとともに、比較データが演算されて左目用比較バッファ176Lに格納される。
次の、垂直同期信号V4では、垂直同期信号V1、V3で読み込んだ左目用の画像データL1、L2に対応する比較データL1d、L2dについて前後の画像変化の大きさを比較する。
比較結果に応じて画像データの出力またはROM173のデータの出力を決定した後、比較が終了した比較データL1dは削除され、次の比較データL2dがシフトされるとともに、右目用比較バッファ176Rには画像データR3に対応する右目用の比較データR3dが格納される。
以降、右目用比較バッファ176Rでは、垂直同期信号Vが偶数のときに新たな比較データを読み込み、垂直同期信号Vが奇数のときに2つの比較データを比べて、古い比較データを削除してから新しい方の比較データを図中右側へシフトする。
また、左目用比較バッファ176Lでは、垂直同期信号Vが奇数のときに新たな比較データを読み込み、垂直同期信号Vが偶数のときに2つの比較データを比べて、古い比較データを削除してから新しい方の比較データを図中右側シフトする。
次に、図10を参照しながら左右のフレームバッファ174、175のデータの転送について説明する。
垂直同期信号V0、V1ではL/R信号に応じて右目用画像データR1、左目用画像データL1を、右目用フレームバッファ175と左目用フレームバッファ174にそれぞれ格納する。
垂直同期信号V2では、右目用フレームバッファ175に新たな画像データR2を格納する。
次の、垂直同期信号V3では、図8にも示すように、まず、左目用フレームバッファ174に新たな画像データL2を格納してから、上記図9に示した右目用比較バッファ176Rの比較結果に応じて右目用画像データR1を出力バッファ(図8のOUT/buff)としての立体視用フレームバッファ177へ転送し、立体視用フレームバッファ177の奇数ラインのみが右目用画像データR1によって上書きされる。出力した画像データR1は削除され、この位置に新しい方の画像データR2が図中右側(出力側の格納位置)にシフトされる。
なお、図9の垂直同期信号V3における比較結果が、後述するように「画像変化が大きいと」判断された場合には、右目用画像データR1は、立体視用フレームバッファ177へ転送されずに削除され、代わって、ROM173に格納されている低輝度状態の画像データが立体視用フレームバッファ177へ転送され、奇数ラインのみが右目用画像データR1によって上書きされる。
また、合成変換装置170の制御部171は、立体視用フレームバッファ177から変動表示装置8への出力が終了した時点(図8のT)でVブランクとなり、このVブランク期間に左右のフレームバッファから立体視用フレームバッファ177への転送を行って、画像を合成する。
つまり、垂直同期信号V_SYNCの各周期では、立体視用フレームバッファ177から変動表示装置8への出力が終了した時点(T)より、L/R信号を反転させた側の左右のフレームバッファから立体視用フレームバッファ177への転送が行われる。例えば、図中垂直同期信号V3では、L/R信号がON(L)であるので、これを反転した右目用について、時間Tから右目用フレームバッファ175の画像データR1を立体視用フレームバッファ177へ転送し、L/R信号がOFF(R)となる次の垂直同期信号V4から立体視用フレームバッファ177の内容が変動表示装置8で描画される。
そして、垂直同期信号V4では、左目用比較バッファ176Lの比較結果に基づいて、左目用フレームバッファ174から左目用画像データL1が立体視用フレームバッファ177へ転送されて、偶数ラインのみが左目用画像データL1によって上書きされとともに、右目用フレームバッファ175に新たな画像データR3が格納される。この垂直同期信号V4では、図8で示すように、立体視用フレームバッファ177から変動表示装置8へ左右の合成画像(R1+L0)を送信する、なお、この左目用画像L0は垂直同期信号V0以前に受信した画像データである。また、上記と同様に転送が終了した画像データL1は削除されるとともに、新しい方の画像データL2が図中右側(出力側の格納位置)にシフトされる。
以降、垂直同期信号Vが奇数のときに、比較結果に基づいて右目用フレームバッファ175から立体視用フレームバッファ177への転送が行われるとともに、左目用フレームバッファ174に新たな画像データが格納される。そして、垂直同期信号Vが偶数のときには、左目用フレームバッファ174から立体視用フレームバッファ177への転送が行われるとともに、右目用フレームバッファ175に新たな画像データが格納される。
こうして、垂直同期信号V_SYNC毎に交互に変化するL/R信号によって、送信される画像データが左目用であるか右目用であるかを判定して、左右の各フレームバッファへ取り込んだ後、比較データを演算して複数の比較データによって画像変化が大きいか否かの判定を行い、その後、左右のフレームバッファまたはROM173の画像データを立体視用フレームバッファ177へ転送して左右の画像データを合成して変動表示装置8への出力が行われる。
次に、図11は、上記図柄850を図12で示すように表示面の下方へ向けて縦スクロールによる変動表示を行った場合で、上記図8のタイミングにおいて、垂直同期信号V3以降の左右のフレームバッファ174、175の出力側の格納位置にある右目用画像データと左目用画像データ及び垂直同期信号V_SYNCの関係を示す。
画像データは上記図8に示すタイミングで送受信が行われ、右目用画像データがR1〜R4、左目用画像データがL1〜L4、垂直同期信号はV3〜V9とした場合で、画像データや各信号のタイミングは図8と同一である。
表示制御装置150は、垂直同期信号V3で右目用画像データR1を出力(図10参照)し(実際には前回の左目用画像も合わせて出力し)、次の、垂直同期信号V4では、左目用フレームバッファ174の画像データL1が出力され、右目用フレームバッファ175の出力側の格納位置には新たな画像データR2がシフトする。
垂直同期信号V5では、右目用フレームバッファ175の画像データR2が出力され(実際には前回の右目用画像も合せて出力され)る一方、左目用フレームバッファ174の出力側の格納位置には新たな画像データL2がシフトする。
この後、垂直同期信号毎に左右の画像データが交互に出力され、左右のフレームバッファは垂直同期信号の1つおきに更新されていく。
したがって、左右のフレームバッファの出力側の内容は、図中奇数の垂直同期信号V3……で同一のスクロール位置の図柄となり、図中偶数の垂直同期信号V4……で、スクロール位置が2ラインだけ異なる(1フレーム分に相当)ことになる。なお、遊技者は連続的に図柄850のスクロールを観測しており、さらに、視差の変化はないため、偶数の垂直同期信号で左右の画像のスクロール位置が2ラインだけ異なったとしても、違和感なく立体的な画像を観測することができる。
ここで、上記図11のように、変動表示を行った後、大当たりが確定すると変動表示の画面から大当たりの画面などに大きく画面が変化する。
図13は、大当たり発生の画面で用いられる図柄の一例を示し、例えば、「Hit」などのメッセージが出力され、そのうち「H」の文字が立体的に表示される様子を示している。上記図7と同様に左右画像の生成及び合成が行われる。
すなわち、図13(A)は、CPU151のフォントROM157に格納されている図柄860のビットマップデータを示し、図中C1〜Cnは、X軸座標(水平方向位置)に対応する列アドレスを示し、図中D1〜Dnは、Y軸座標(垂直方向位置)に対応する行アドレスを示している。
図中の座標(C3、D1)などの黒色の画素は、液晶パネル804上の画素が明るく点灯して高輝度状態となっていることを示し、座標(C2、D1)などの白色の画素は、液晶パネル804上の画素が低輝度状態(黒やグレーなどになっていることを示している。また、ビットマップデータは、赤、緑、青の3色から構成され、実際には3つのバッファ(記憶領域)から構成されるが、ここでは説明を簡易にするために白黒の画素で説明する。
いま、図13(A)のように、「H」の図柄860が虚像として観測される図柄860の飛び出し量(Z軸方向位置)に応じた視差(水平方向のずれ量)が±2ドットの場合、右目用図柄860Rは、図13(B)のように(A)の図柄860を−2ドット(図中左側)だけ全体的に水平方向へシフトした図柄となり、左目用画像860Lは、図13(C)のように、図柄860を+2ドット(図中右側)だけ全体的に水平方向へシフトした図柄となる。
次に、微細位相差板802の1/2波長板821の配置間隔が垂直方向の座標に換算すると1ドットおきに設定されている場合、左目用図柄860Lと右目用図柄860Rは、垂直方向の1ドットずつ交互に現れればよいので、表示制御装置150は、奇数の行アドレスD、D3……を右目用画像データの記憶領域とし、偶数の行アドレスD2、D4……を左目用画像の記憶領域として設定する。なお、これらの記憶領域は表示制御装置150のRAM153等に確保される。
したがって、右目用図柄860Rと左目用図柄860Lは、行アドレスの1つおきに交互に画像データとして生成される。
表示制御装置150は、このように生成した左右画像データを、上述のL/R信号に応じて交互に送信する。なお、画像データの送信は垂直同期信号V_SYNCに同期して行われる。
一方、合成変換装置170の制御部171は、垂直同期信号V_SYNCを受けると、そのときのL/R信号に基づいて、図3に示した左目用フレームバッファ174または右目用フレームバッファ175のいずれか一方に、受信した画像データを取り込む。
そして、これらフレームバッファ175、174に書き込まれた画像データは、合成変換装置170の出力バッファとなる立体視用フレームバッファ177に書き込まれ、図13(D)で示すように、同一の記憶領域上で合成され、所定のタイミング(垂直同期信号V_SYNC)で変動表示装置8の液晶パネル804に出力される。
ここで、前記従来例による画面の切換を説明する。
図14は、上記図7の変動表示用の図柄850と、上記図13に示した大当たり発生報知の図柄860を前記従来例に基づいて切り換える場合を示し、図8と同様のタイミングで、垂直同期信号V3以降に立体視用フレームバッファ177へ転送される左右の画像データと垂直同期信号の関係を示し、図8のOUT/buffのタイミングで、フレームバッファ175、174から立体視用フレームバッファ177へ左目用画像と右目用画像が交互に転送される様子を示している。
まず、垂直同期信号V3(画像データR1)、V4(画像データL1)では、変動表示で確定した右目用図柄850Rと左目用図柄850Lが、立体視用フレームバッファ177へ交互に出力され、この右目用図柄850Rと左目用図柄850Lの交互の出力は垂直同期信号V5(画像データR2)、V6(画像データL2)まで継続し、次の、垂直同期信号V7になると右目用画像データは、大当たり発生報知図柄860Rの画像データR3に切り換わり、その後、垂直同期信号V8では左目用の図柄860Lの画像データL3に切り換わる。
この垂直同期信号V6からV7に相当する表示面では、左目用画像が確定した図柄850Lを見るのに対し、右目用画像は大当たりの図柄860Rを見ることになり、垂直同期信号V6、V7時点の画像データは左右で全く異なり、変動表示装置8では、右目には大当たり発生報知の図柄860が観測され、左目には変動表示の図柄850が観測されてしまい、左右の目で観測する画像が全く異なるものとなる。
そして、垂直同期信号V8の時点で、左目用画像が大当たり発生報知図柄860Lに更新され、この時点で左右画像が一致し、新たな図柄860に切り換わったことを観測できる。
つまり、従来の制御によれば、垂直同期信号V6、V7では、画面が変動表示から大当たり発生報知へ大きく切り換わるのに加えて、左右の目で全く異なる画像を観測するために、上述のように遊技者に違和感を与えてしまう。
なお、変動表示中のように、同一の背景で図柄850がスクロールしながら順次切り換わる場合では、画面全体の変化としては小さいため、遊技者に違和感を与えることはない。
さらに、垂直同期信号V6、V7では、左右画像に関連性がないため、立体的な画像を観測することはできず、一時的に2次元画像として観測することになり、この後の垂直同期信号V8から立体的な表示が復帰する訳であるが、図柄850と図柄860の奥行き方向の位置が異なる場合では、垂直同期信号V8からの左右画像の視差を認識して立体的な画像として観測できるまでに時間を要するため、遊技者が感じる違和感が増大するのである。
そこで、本発明では、以下に示す図15、図16のように、画面が大きく変化するときには、一時的に画面または画像を暗くして左右の画像データが全く異なる画像となるのを抑制するのである。
図15、図16は、合成変換装置170で行われる制御の一例を示すフローチャートを示し、所定の時間間隔(例えば、垂直同期信号の発生周期と等しい16.7msec=1/60秒毎)で繰り返し実行されるものである。図15、図16の処理はマルチタスクにて並行処理されるものである。
まず、図15のフローチャートは、垂直同期信号毎に送られる画像データを各フレームバッファへ転送するとともに、画像変化を比較するためのデータを求める処理である。
ステップS1では、RGBの画像データ及びL/R信号を読み込んで、ステップS2では、受信した画像データをL/R信号に応じて左目用フレームバッファ174または右目用フレームバッファ175のいずれかに書き込む。ステップS3で書込が完了するのを待って、ステップS4では上記ステップS2で書き込んだ画像データから画像変化比較用の比較データを演算する。
すなわち、ステップS4では、RGBの画像データをYCbCrの画像データに変換する。
Y=LrR+LgG+LbB
Cb=(B−Y)/2(1−Lb)
Cr=(R−Y)/2(1−Lr)
ただし、Lr、Lg、Lbは、白の輝度を1としたときのRGB各原色の輝度を示す係数である。
次に、ステップS5では、輝度Y、青Cb、赤Crの各成分について1画面の平均値を求め、輝度Yの平均値をdn(Y)とし、青Cbの平均値をdn(Cb)とし、赤Crの平均値をdn(Cr)として求める。
そして、ステップS6では、これらの平均値を画像のレベルを示すデータとして、L/R信号に応じた比較バッファ176Rまたは176Lへ格納する。
上記処理により、図8で示したように、垂直同期信号V0では画像データR1が右目用フレームバッファ175に格納されるとともに、この画像データR1の輝度Y、青Cb、赤Crの各成分の平均値dn(Y)、dn(Cb)、dn(Cr)が右目用比較バッファ176Rに格納される。
次に、図16の画像データ出力処理について述べる。
ステップS11では、L/R信号を読み込んで、ステップS12で現在のL/R信号が左右いずれの画像データの送信中であるかを判定する。
L/R信号がLであればステップS13に進んで右目用画像の処理を選択するため、右目用比較バッファ176Rを選択する。一方、L/R信号がRであればステップS14に進んで左目用画像の処理を選択するため、左目用比較バッファ176Lを選択する。これは、L/R信号がLであれば、上記図15の処理によって左目用フレームバッファ174が書込中であり、その後、左目用比較バッファ176Lが書き込み中となるので、L/R信号とは反対側の画像データについて比較、出力を行うためである。
次に、ステップS15以降へ進んで、ステップS13、S14で選択した側の画像変化の大小について、比較データに基づいて判定を行う。
まず、ステップS15では、図9にも示したように、比較バッファ176Rまたは176L内の2つの比較データdnとdn+1の各平均値について、それぞれ差分の絶対値を求める。なお、比較データdnは、先の画像データの比較データを示し、dn+1は後の画像データに対応する比較データを示す。
前後の画像データの比較データの差分の絶対値は、輝度、青、赤について、次のように演算する。
輝度差分=|dn+1(Y)−dn(Y)|
青差分=|dn+1(Cb)−dn(Cb)|
赤差分=|dn+1(Cr)−dn(Cr)|
次に、ステップS16以降では、上記ステップS15で求めた各差分について所定のしきい値と比較を行い、画像変化が大きいか否かを判定する。
まず、ステップS16では、輝度差分が所定値Ykよりも大きいか否かを判定し、Ykよりも大きい場合には、前後の画像変化が大であると判定してステップS19に進み、そうでない場合にはステップS17へ進む。
ステップS17では、青差分が所定値bkよりも大きいか否かを判定し、bkよりも大きい場合には、前後の画像変化が大であると判定してステップS19に進み、そうでない場合にはステップS18へ進む。
ステップS18では、赤差分が所定値rkよりも大きいか否かを判定し、rkよりも大きい場合には、前後の画像変化が大であると判定してステップS19に進み、そうでない場合にはステップS20へ進む。
このステップS20では、輝度、青、赤の差分が所定値Yk、bk、rk以下で画像変化が小さいで場合であり、この場合には、上記ステップS13、S14で選択した側のフレームバッファ174または175から立体視用フレームバッファ177へ転送する。
一方、画像変化が大と判定されたステップS19では、上記ステップS13、S14で選択した側のフレームバッファ174または175の前の画像データは削除され、その代わりに、ROM173に格納されている低輝度状態の画像データが立体視用フレームバッファ177へ書き込まれる。
そして、ステップS19またはステップS20で、フレームバッファまたはROMのデータを立体視用フレームバッファ177へ出力した後には、図8で示したように、フレームバッファ174、175では出力した画像データを削除し、後の画像データをシフトするとともに、比較バッファ176R、176Lでは、図9に示したように、前の比較データを削除し、後の比較データを図中右側にシフトして、次の、データの比較に備える。
以上の処理により、画像変化の大小が判定されて、画像変化が小さい場合には、フレームバッファ174、175の画像データがそのまま立体視用フレームバッファ177へ出力されるが、画像変化が大きい場合には、フレームバッファのデータに代わって、低輝度状態の画像データがROM173から出力され、画面は低輝度状態となって、左右の目で観察する画像データが全く違ってしまうのを防止することができる。
なお、低輝度状態の画像データは、例えば、全ての画素が予め設定した低輝度の単色となるように設定すればよく、例えば、無彩色であれば黒やグレーなど明度の低い色に設定され、有彩色であれば、彩度が低い濁った色(グレー)等に設定される。なお、明度とは色の明暗を示し、明度が最大の場合には白になり、明度が最低の場合には黒となる。また、彩度とは色の鮮やかさを示し、彩度が最大の場合にはその色相の純色となる一方、彩度が最低の場合(色相がない)にはグレーとなる。
また、低輝度状態として黒やグレーなどの画面にすることにより、急激に色彩が変化するのを防ぎ、遊技者に与える違和感を抑制することができる。
また、画像変化の大小を判定する所定値(しきい値)Yk、bk、rkの設定は、画像データの演出内容などによって適宜設定されるもので、また、実験などにより演出内容に適した値に設定されるものである。
ここで、上記処理によって、上記図14と同様に図7の変動表示用の図柄850から、上記図13に示した大当たり発生報知の図柄860へ切り換える場合について、図17を参照しながら説明する。
図17は、図8と同様のタイミングで、垂直同期信号V3以降に立体視用フレームバッファ177へ転送される左右の画像データと垂直同期信号の関係を示す。
まず、垂直同期信号V3(画像データR1)、V4(画像データL1)では、変動表示で確定した右目用図柄850Rと左目用図柄850Lが、立体視用フレームバッファ177へ交互に出力される。
この垂直同期信号V4の周期では、図8で示すように、右目用フレームバッファ175に大当たり発生報知の図柄860Rが書き込まれ、この比較データR3dが比較バッファ176Rに書き込まれる。
そして、次の垂直同期信号V5では、図9で示すように、右目用比較バッファ176Rの比較データR2dとR3dの比較が行われ、変動表示用の図柄850Rに基づく比較データR2dと、大当たり用の図柄860Rに基づく比較データR3dは、上記ステップS16〜S18の判定で画像変化が大と判定される。
このため、垂直同期信号V5の周期では、右目用フレームバッファ175の画像データR2に代わって、ROM173の低輝度状態の画像データが出力される。
さらに、次の垂直同期信号V6では、図9で示すように、左目用比較バッファ176Lの比較データL2dとL3dの比較が行われ、変動表示用の図柄850Lに基づく比較データL2dと、大当たり用の図柄860Lに基づく比較データL3dは、上記ステップS16〜S18の判定で画像変化が大と判定される。
このため、垂直同期信号V6の周期では、左目用フレームバッファ174の画像データL2に代わって、ROM173の低輝度状態の画像データが出力され、立体視用フレームバッファ177へ書き込まれる。
そして、次の垂直同期信号V6以降では、図9で示すように、右目用比較バッファ176Rの比較データR3dとR4dの比較が行われ、共に大当たり用の図柄860Rに基づく比較データR3d、R4dであるため、上記ステップS16〜S18の判定では画像変化が小と判定され、右目用フレームバッファ175内の画像データR3が出力され、立体視用フレームバッファ177へ書き込まれる。
したがって、図17で示すように、垂直同期信号V4までに出力された画像は、変動表示用の図柄850L、Rが交互に観察されるが、垂直同期信号V5で出力された画像は右目が低輝度状態(例えば、黒)の画像となって、左目で変動表示用の図柄850Lを観察するのみとなって、視差がないため、2次元画像として観察される。
さらに、垂直同期信号V6で出力された画像は左目も低輝度状態の画像となって、左右の画像は共に低輝度状態になり、一瞬ではあるが画像が消えることになる。
そして、垂直同期信号V7以降では、大当たり用の図柄860R、Lが交互に出力されて、視差に応じた立体的な画像を観察することができる。
こうして、変動表示から大当たり発生報知の画面など画像の変化が大きいときには、一時的に左右の画像を低輝度状態とすることで、図柄切り換え中に左目と右目が全く異なる画像を観測するのを防いで、遊技者に違和感を与えることがなくなり、また、一瞬、画像をなくすことで、新たな画像の立体視を円滑に行うことが可能となる。そして、遊技者が目で追っていた画像が突然切り換わった際の違和感を抑制することができるのである。
さらに、本発明によれば、画像変化の大小の判定を合成変換装置170側で行うようにしたので、画像データやシーケンスデータなどに手を加えることなく、3次元画像の切り換えを滑らかに行うことが可能となるので、画像データなどの加工を不要にして製造コストの低減を図ることができる。
また、上記実施形態では、前後の画像の全ての画素についてYCbCrの画像データへ変換を行ってから比較する例を示したが、図18に示すように、前後の画像で比較を行う領域を、変動表示装置8の表示領域80のうち、予め設定されて図柄の変動を行う変動表示領域81としてもよく、変動表示領域81の重み付けを大きくし、周辺部の重み付けを小さくする。
この場合、前後の画像全体を比較するのに比べて、YCbCr変換及び前後の画像の比較データの量を大幅に低減して、処理の高速化を図ることができる。あるいは、画素の位置に応じて重み付けを行い、画像変化の大小を判定する領域を予め設定しておいてもよく、図18の場合では、変動表示領域81内の重み付けは100[%]、それ以外の重み付けは0[%]となる。
図19〜図23は第2の実施形態を示し、圧縮された画像データ(特に、動画データ)について画像変化の大小を判定し、画像変化の大きい場合には低輝度状態の画像とするものである。
表示制御装置150は、上記図2とほぼ同様であり、後述のように合成変換装置170の一部が異なる。図2において、CPU151は、フォントROM157等に記憶された圧縮画像データを読み出して、画像データのデコード(伸展)及び描画をVDC156へ指令するもので、左右画像の識別は画像データに含まれている。なお、圧縮画像データは、フォントROM157だけではなく、図示しない記憶手段(例えば、ディスク装置や外部記憶手段、NAS(ネットワーク上の記憶手段)など)に格納されているものであっても良い。なお、圧縮画像データのデコードは、CPU151で実行しても良い。
図19は、合成変換装置170の構成を示すブロック図で、前記第1実施形態の比較バッファを削除したもので、その他の構成は前記第1実施形態と同様である。この合成変換装置170では、L/R信号に応じて左目用フレームバッファ174または右目用フレームバッファ175へ書き込んだ後、次の周期で立体視用フレームバッファ177へ転送し、変動表示装置8に出力する。
次に、図20に圧縮画像データの一例を示し、MPEG−1または2の圧縮画像データを用いて変動表示を行う場合を示す。
図20において、MPEG−1、2の圧縮画像データは、1つのIピクチャと複数のP、BピクチャからなるGOP(Group OfPictures)を一つのブロック(以下、GOP=ブロックとする)とし、このブロックを連続してデコード、描画することで、連続的な動画を再生するものである。
Iピクチャ(フレーム内符号化画像)は、前後の画像に関わらず独立した画像データで構成され、Pピクチャ(順方向予測符号化画像)は、過去の画像から一方向へフレーム間予測を行い、その差分を符号化したものであり、Bピクチャ(双方向予測符号化画像)は、過去のIピクチャまたはPピクチャと、未来のIピクチャまたはPピクチャから、その差分を符号化したものである。
ここでは、i1からi7のIピクチャを含む複数のブロックで圧縮画像データが構成され、i1からi5のIピクチャで変動表示を行い、i6、7以降のIピクチャで大当たりの発生を報知する画面へ切り換える場合を示す。
ここで、表示制御装置150は、圧縮画像データから複数のブロックのIピクチャについて前記第1実施形態と同様に、比較を行って画像変化の大小を判定し、画像変化が大きい場合には、一つのIピクチャを低輝度状態の画像データに差し替えることで、画像変化が大きいときに左目用画像と右目用画像が一時的に異なるのを防ぐ。
このため、表示制御装置150のRAM153には、図21に示すように、2つのブロックGOPjとGOPj+1を比較するバッファ153aが設定される。
CPU151は、バッファ153aに2つのブロックを読み込んでから、各ブロック内のIピクチャを抽出する。そして、各IピクチャのYCbCrカラーデータの平均値を算出し、2つの平均値の差分の絶対値が所定値を超えていれば、先に出力するブロックGOPjのIピクチャi(m)を低輝度状態の画像データに置き換える(図21(A))。なお、圧縮画像データがMPEGの場合、カラーデータはYCbCrであるので、前記第1実施形態のような変換処理は不要となる。なお、j、mは順序を示す符号で、自然数である。
その後、GOPjをVDC156側へ出力してから、ブロックGOPj+1を出力位置(図中左側)へシフトした後、新たなブロックGOPj+2を読み込んで、同様にIピクチャi(m+1)、i(m+2)のYCbCrカラーデータの平均値を算出して比較を行う(図21(B))。ただし、最後のブロックGOPj+nのときには、比較を行わずにそのまま出力する。
次に、上記処理を表示制御装置150のCPU151で行う場合のフローチャートを図22に示す。このフローチャートは、所定の周期で実行されるもので、例えば、一つのブロックGOPjのピクチャ数等に応じて設定され、VDC156から所定のフレームレートで出力可能な値であり、1ブロックGOPが15ピクチャで構成され、フレームレートが16.7msec≒毎秒60フレームの場合には、250msec毎に実行される。
図22において、ステップS31では、読み込んだ画像データがMPEGの圧縮画像データであるか否かを判定し、MPEGであればステップS32へ進んで、1ブロックGOPの圧縮画像データをバッファ153aに読み込む。
ステップS33では、バッファ153aに所定数(ここでは2ブロック)のブロックが格納されたか否かを判定し、不足していればステップS32へ戻って次のブロックを読み込む。一方、バッファ153aに所定数のブロックが格納された場合、あるいは最後のブロックGOPの場合には、ステップS34に進んでIピクチャの抽出を行う。
ステップS34のIピクチャの抽出は、図21において、各ピクチャにピクチャ番号i(i=1〜n)を割り当て、このピクチャ番号iをインクリメントさせながらピクチャを調べ、Iピクチャであれば抽出する。
Iピクチャを抽出すると、ステップS35に進んで比較カウンタmを、1だけインクリメントしてからステップS36に進む。なお、比較カウンタmの初期値は0である。
ステップS36では、抽出したIピクチャの輝度成分Yについて平均値im(Y)を画像のレベルとして演算し、演算した輝度成分Yの平均値を変数D(m)に代入する。ここでは、MPEGの圧縮画像データがもつYCrCbのカラーデータのうち、輝度成分Yのみについて前後の画像を比較して画像変化の大小を判定する。ここでは、人間の目は、色相の変化よりも輝度の変化に対して敏感であるため、輝度の変化のみによって画像変化の大小を判定し、演算負荷の増大を抑制するのである。
次に、ステップS38では比較カウンタmが2以上となったか否かを判定し、2以上であれば2つのブロックの比較データが得られたのでステップS39に進む一方、そうでない場合には、ステップS37に進んで、ピクチャ番号iをインクリメントとしてからステップS34に戻り、次のブロックのIピクチャの抽出を行う。
2つの輝度成分Yに関する比較データが得られたステップS39では、変数D(m)、D(m+1)に格納された、先に出力されるブロックGOPjのIピクチャi(m)と、次のブロックGOPjのIピクチャi(m+1)の輝度成分Yの平均値の差分の絶対値を求め、この絶対値が所定値以上であるか否かを判定する。
差分の絶対値が所定値以上であれば、画像変化が大きいと判定してステップS40へ進む一方、差分の絶対値が所定値未満であれば、1ブロックGOPの圧縮画像データをそのまま出力するためステップS41に進む。
なお、画像変化の大小を判定する所定値の設定は、画像データの演出内容などによって適宜設定されるもので、また、実験などにより演出内容に適した値に設定されるものである。
画像変化が大きい場合のステップS40では、先に出力されるブロックGOPjのIピクチャimを予め設定された低輝度状態の画像データに置き換える。なお、低輝度状態の画像データは、フォントROM157等に格納されているものとする。
次に、ステップS41では、バッファ153aの先のブロックGOPjをVDC156側へ出力すると共に、ステップS42では上述のように後のブロックGOPj+1を出力位置へシフトする。
さらにステップS43では、比較カウンタmを1にリセットするとともに、ブロックGOPj+1の輝度成分Yの平均値を変数D(1)にセットし、変数D(2)をリセットして次の比較に備える。
最後に、ステップS44では、ピクチャ番号iをシフトしたブロックGOPj+1の最後のピクチャ番号i+1にセットして、次に読み込む圧縮画像データからIピクチャを抽出するのに備える。
以上の処理により、図20に示したように、変動表示から大当たり報知画面へ切り換わる場合には、図23のようになる。
図23において、ブロックGOP1〜4のIピクチャi1〜i4は、変動表示領域内での画像変化であるので、画像変化は少ないと判断されてIピクチャの差し替えは行われずに、そのまま出力される。
Iピクチャi5を含むブロックGOP5と、大当たり報知画面のIピクチャi6を含むブロックGOP6の比較では、輝度成分Yの平均値が大きく異なり、その差分の絶対値が所定値以上となり、先に出力されるブロックGOP5のIピクチャi5は、予め設定された低輝度状態の画像データに差し替えられてから出力される。
これにより、圧縮画像データによって表示演出を行う場合、変動表示から大当たり発生報知の画面など画像変化が大きいときには、一時的に低輝度状態の画面とすることで、図柄切り換え中に左目と右目が全く異なる画像を観測するのを防いで、遊技者に違和感を与えることがなくなり、また、一瞬、画像をなくすことで、新たな画像の立体視を円滑に行うことが可能となる。そして、遊技者が目で追っていた画像が突然切り換わった際の違和感を抑制することができる。
なお、上記では画像のレベルを示すデータとして、輝度成分Yの平均値をもちい、前後の画像レベルを比較することで、画像変化の大小を判定したが、前記第1実施形態と同様に、画像のレベルとしては、輝度の他に、青みCbや赤みCr等の色相の平均値を求めてそれぞれ比較して画像変化の大小を判定しても良い。
また、上記では圧縮画像データとしてMPEG−1、−2を示したが、MPEG−4、−7などに適用することができる。
なお、上記実施形態においては、大当たり発生報知の画面について図柄切り換え処理を行う場合について述べたが、この他、変動表示におけるリーチの開始時と終了時、待ち受け画面から変動表示画面への切り換え時、変動表示中の図柄確定から再抽選画面など、画面が大きく変化するときに、一時的に左右の画面を低輝度状態にすれば上記と同様の効果を得ることができ、立体的な画像を表示する遊技機で、高品質な立体視を実現することが可能となる。
また、上記実施形態では、2つの画像について比較を行ったが、多数の画像について比較データを算出し、さらにこれら比較データの平均値を求め、平均値に対する現在の比較データの差分の絶対値から画像変化であることを判定しても良い。
また、上記実施形態においては、低輝度状態の画面として黒やグレーなどの画面とした場合を示したが、背景画像を低輝度状態として出力しても良く、この場合では、画面全体の明るさの変化が少ないので、遊技者に与える違和感を抑制することができる。
特許請求の範囲に記載した以外の本発明の観点の代表的なものとして、次のものがあげられる。
(1)左目用画像及び右目用画像を表示領域に表示することにより遊技者に立体画像を見せる表示装置と、前記表示装置の画像表示を制御する表示制御手段とを備えた遊技機において、前記表示制御手段は、前記左目用画像と右目用画像をそれぞれ生成する生成手段と、前記生成された左目用画像と右目用画像とを合成して、前記表示装置に表示させる合成手段と、を備え、前記合成手段は、前記表示装置に表示される画像の画像レベルを演算する画像レベル演算手段と、この画像レベルに基づいて、前記表示装置に表示される画像が変化する際の画像変化の大小を判定する画像変化判定手段と、前記画像変化が大きいと判定されたときには、前記表示装置に表示される画像を予め設定した低輝度状態の画像に切り換えて前記表示装置に出力する低輝度画像出力手段と、を含むことを特徴とする遊技機。
(2)左目用画像及び右目用画像を表示領域に表示することにより遊技者に立体画像を見せる表示装置と、前記表示装置の画像表示を制御する表示制御手段とを備えた遊技機において、前記表示制御手段は、前記左目用画像と右目用画像をそれぞれ生成する生成手段と、前記生成された左目用画像と右目用画像とを合成して、前記表示装置に表示させる合成手段と、を備え、前記生成手段は、前記表示装置に表示される画像の画像レベルを演算する画像レベル演算手段と、この画像レベルに基づいて、前記表示装置に表示される画像が変化する際の画像変化の大小を判定する画像変化判定手段と、前記画像変化が大きいと判定されたときには、前記表示装置に表示される画像を予め設定した低輝度状態の画像に切り換えて前記合成手段に出力する低輝度画像生成手段と、を含むことを特徴とする遊技機。
(3)前記生成手段は、圧縮された画像データを伸展し、左目用画像及び右目用画像の画像データを生成することを特徴とする(2)に記載の遊技機。
(4)前記画像レベルは、画素の輝度、色相、彩度の全てまたはいずれかを数値化したものであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一つに記載の遊技機。
(5)前記画像変化判定手段は、画像変化の前後の画像レベルの差が所定値以上のときに画像変化が大きいと判定することを特徴とする(4)に記載の遊技機。
(6)前記画像レベル演算手段は、前記表示領域の位置に応じて画像レベルの重み付けを行い、この重み付けに基づいて前記画像レベルの演算を行うことを特徴とする(4)または(5)に記載の遊技機。
(7)前記画像レベル演算手段は、前記表示領域の中央部の重み付けを大きく設定する一方、周辺部の重み付けを小さく設定することを特徴とする(6)に記載の遊技機。
(8)前記低輝度状態の画像は、予め設定した黒またはグレーの画像であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか一つに記載の遊技機。
前述した観点の発明によると、(1)または(2)の発明は、遊技機の表示装置の表示領域には、生成手段及び合成手段からの左目用画像と右目用画像が独立して表示されることにより識別情報等を立体的に表示する。複数の画像から求めた画像レベルから、前後の画像の画像変化が大きいときには、低輝度状態(例えば、黒やグレー)の画像が挿入されるため、画像が大きく変化する場合に左目用と右目用の画像が全く異なるのを防いで、遊技者に違和感を与えることなくシーンの切り換えを行うことが可能となる。
また、(3)の発明は、圧縮画像データを伸展して前後の画像の画像変化を比較し、画像変化の大きいときには低輝度状態の画像とすることができるので、動画などの圧縮画像データを表示する際も、画像が大きく変化する場合に左目用と右目用の画像が全く異なるのを防いで、遊技者に違和感を与えることなくシーンの切り換えを行うことが可能となる。また、圧縮画像データ側にシーンの切り換えに関する設定をする必要がないので、装置の開発に要する労力及び工数を大幅に低減することが可能となる。
また、(4)の発明は、画像レベルは輝度、色相、彩度の全てまたはいずれかの数値レベルとしたので、低輝度状態の画像を出力するシーンの切り換え時を正確に制御することが可能となる。
また、(5)発明は、画像変化の前後の画像レベルの差が所定値以上のときに画像変化が大きいと判定するため、低輝度状態の画像を出力するシーンの切り換え時を正確に制御することが可能となり、さらに、所定値を変更すれば多種多様な表示内容に対応することが可能となる。
また、(6)または(7)の発明は、表示領域の位置に応じて画像レベルの重み付けが異なるので、遊技者の視点が集まる箇所に対応して適切なシーンの切り換え制御を行うことが可能となる。特に、中央部の重み付けを高めることで、遊技者に違和感を与えることなくシーンの切り換えを行うことができる。
また、(8)の発明は、低輝度状態の画像を、予め設定した黒またはグレーの画像とすることで、画像が一瞬暗くなって遊技者の目には前の画像の残像があるため、異常となっている期間が短ければ、目の残像効果によって前後の画像を補完でき、遊技者は画像が消えたことを感じることなく立体的な画像を視認し続けることが可能となる。
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び内容の範囲での全ての変更が含まれることが意図される。