JP4445280B2 - 平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
なかでも、固体高分子膜を2種類の電極で挟み込み、更に、これらの部材をセパレータで挟んだ構成の固体高分子型燃料電池(以下、PEFCとも言う)が注目されている。
このPEFCにおいては、固体高分子膜の両側に、それぞれ、電極を配置した単位セルを複数個積層し、その起電力を目的に応じて大きくした、スタック構造のものが一般的である。単位セル間に配設されるセパレータは、一般に、そのー方の側面に、隣接するー方の単位セルに燃料ガスを供給するための燃料ガス供給用溝が形成されている。このようなセパレータでは、セパレータ面に沿って、燃料ガス、酸化剤ガスが供給される。
このスタック構造の燃料電池の他に、例えば、携帯端末用の燃料電池等のように、起電力をそれほど必要としないで、平面型で、できるだけ薄い事が要求される場合もある。しかし、平面状に単位セルを複数配列させ、これらを電気的に直列に接続する平面型の場合には、燃料及び酸素の供給が場所により不均一となるという問題もあった。
尚、ここでは、燃料電池の燃料供給側セパレータと酸素供給側のセパレータとの間に位置する電極部を含む複合体、例えば、順に、ガス拡散層、触媒層からなる燃料極、高分子電解質膜、触媒層からなる酸素極、ガス拡散層が積層されてなる膜等のような複合体を、膜電極複合体(MEA)と言う。
また、MEAを構成する複数の層の精密な位置合せが必要であり、工程管理が煩雑で、製造効率の向上に限界があるという問題があった。
本発明の他の態様として、前記ガス拡散層は、前記開口部内に触媒層を配設可能な深さで前記枠部材に対して段差を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記セパレータ部材を挟持するように一体化された一対の枠部材は、締め付け部材挿入用の挿入穴を複数備えるような構成とし、また、前記開口部間に位置する仕切り枠部材は前記挿入穴を備えるとともに、仕切り枠部材の幅は前記挿入穴の近傍部位を除いて、周縁枠部材の幅よりも小さいような構成とした。
また、本発明のセパレータの製造方法では、開口部内へのガス拡散層の形成、触媒層の形成における位置合せが、枠部材の開口部位置と転写部材のガス拡散層との1:1の位置合せ、あるいは、枠部材の開口部位置と転写部材の触媒層との1:1の位置合せであり、複数の層の同時位置合せが不要であるため工程管理が容易となる。また、枠部材の開口部の形状の変更に対応して、転写部材を構成するガス拡散層や触媒層の形状を変更して、開口部内へのガス拡散層の形成、触媒層の形成が行なえるので、セパレータの単位セルの設計変更が容易で、最適な設計が可能である。
[セパレータ]
(第1の実施態様)
図1は本発明の平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータの一実施形態と、このセパレータを構成するセパレータ部材、ガス拡散層、触媒層を離間させた状態で示す斜視図である。また、図2は図1に示されるセパレータのI−I線における矢視断面図である。図1〜図2において、本発明のセパレータ1は、複数の貫通孔4aを有する長方形状の単位導電性基板4A,4B,4Cが空隙部8を介して平面的に3個配列されたセパレータ部材4と、このセパレータ部材4を挟持するように一体化された一対の枠部材2,3とを備えている。枠部材2,3は、それぞれ周縁枠部材2A,3Aと、3箇所の開口部2a,3aを形成するように周縁枠部材2A,3Aにそれぞれ架け渡された2本の仕切り枠部材2B,3Bを有するものである。そして、各開口部2a,3aには、一対の枠部材2,3で挟持されたセパレータ部材4(単位導電性基板4A,4B,4C)が露出している。また、セパレータ部材4を挟持するように一体化された一対の枠部材2,3には、ボルト等の締め付け部材挿入用の挿入穴7が設けられている。図示例では、周縁枠部材2A,3Aに10個の挿入穴7が設けられ、2本の仕切り枠部材2B,3Bにはそれぞれ1個の挿入穴7が設けられている。
セパレータ1を構成する一対の枠部材2,3の材質としては、絶縁性で、加工性が良く、軽く、機械的強度が大きいものが好ましい。このような材料としては、プリント配線基板用の基板材料等が用いられ、例えば、ガラスエポキシ、ポリイミド等が挙げられる。所望の形状を有する枠部材2,3の形成は、機械加工、レーザ加工等により行なうことができる。枠部材2と枠部材3の厚みは同等であってもよく、異なるものでもよい。枠部材3の厚みは、開口部3a内に配設されるガス拡散層5と触媒層6の厚みを考慮して設定することができる。
また、単位導電性基板は、少なくともガス拡散層5で被覆される面に耐食性(耐酸性)、電気導電性の樹脂層からなる保護層を備えていてもよい。このような保護層の形成方法としては、樹脂にカーボン粒子、耐食性の金属等の導電材を混ぜた材料を用いて電着により膜を形成し、加熱硬化する方法、あるいは、導電性高分子からなる樹脂に導電性を高めるドーパントを含んだ状態の膜を電解重合により形成する方法等が挙げられる。
各単位導電性基板4A,4B,4Cは、機械加工、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチング加工により、所定の形状に加工したものであり、燃料供給用ないし酸素供給用の貫通孔4aを、これらの方法により形成したものである。尚、図示例では、各単位導電性基板に9個の貫通孔4aが形成されているが、形成個数、形成位置等には特に制限はない。
また、セパレータ1を構成する触媒層6は、セパレータ1が燃料供給側セパレータとして使用される場合には燃料極となり、酸素供給側セパレータとして使用される場合には酸素極となる。このような触媒層6の材質としては、白金、金、パラジウム、ルテニウム、銅、白金酸化物、タングステン酸化物、鉄、ニッケル、ロジウム等を挙げることができ、これらを単独で、あるいは、2種以上組み合わせて使用することができる。また、触媒層6の厚みは、例えば、10〜50μm程度の範囲で適宜設定することができる。
図3は本発明の平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータの他の実施形態を示す図2相当の断面図である。
このようなセパレータ11を構成する枠部材12,13、各単位導電性基板14A,14B,14C、ガス拡散層15は、上述の実施形態であるセパレータ1の枠部材2,3、各単位導電性基板4A,4B,4C、ガス拡散層5と同様とすることができ、ここでの説明は省略する。
図4は本発明の平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータの他の実施形態と、このセパレータを構成するセパレータ部材、ガス拡散層、触媒層を離間させた状態で示す斜視図である。また、図5は図4に示されるセパレータのII−II線における矢視断面図であり、図6は図4に示されるセパレータのIII−III線における矢視断面図である。
尚、図1〜図6に示す本発明のセパレータは、単位導電性基板を3個配列したセパレータ(単位セル数が3個)であるが、2個、あるいは4個以上の単位導電性基板を備えたものも同様である。
また、本発明のセパレータの各単位導電性基板間に存在する空隙部8,18,28には、絶縁性材料、例えば、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂などの接着剤が充填され存在するものであってもよい。
次に、本発明のセパレータの製造方法を図1、図2に示されるセパレータ1を例として図8を参照しながら説明する。
まず、個別に作製されたセパレータ部材4と枠部材2,3とを固着して一体化する。すなわち、複数の貫通孔4aを有する単位導電性基板4A,4B,4Cが空隙部8を介して平面的に3個配列されたセパレータ部材4を、単位導電性基板4A,4B,4Cの配列位置に対応してそれぞれ3個の開口部2a,3aを有する一対の枠部材2,3で挟持一体化する(図8(A))。この工程では、例えば、複数の貫通孔4aを有する3個の単位導電性基板4A,4B,4Cが所定の空隙部8を介して平面的に配列した状態で、複数のリブを介して枠体(図示せず)に支持された部材を作製し、この部材を挟持するように枠部材2,3を位置合せしながら固着し、その後、リブを切断して枠体を除去することができる。
また、開口部3a内へのガス拡散層5の転写形成、触媒層6の転写形成における位置合せが、枠部材3の開口部3aの位置と転写部材51のガス拡散層5との1:1の位置合せ、および、枠部材3の開口部3aの位置と転写部材61の触媒層6との1:1の位置合せとなる。このため、複数の層の同時位置合せが不要であり、工程管理が容易なものとなる。
2,3,12,13,22,23…枠部材
2a,3a,12a,13a,22a,23a…開口部
2A,3A,12A,13A,22A,23A…周縁枠部材
2B,3B,12B,13B,22B,23B…仕切り枠部材
4,14,24…セパレータ部材
4A,4B,4C,14A,14B,14C,24A,24B,24C…単位導電性基板
4a,14a,24a…貫通孔
5,15,25A,25B,25C…ガス拡散層
6,16,26A,26B,26C…触媒層
7,17,27…締め付け部材挿入用の挿入穴
22C,23C…締め付け部
41…高分子電解質型燃料電池
42…高分子電解質膜
51,61…転写部材
52,62…基材
Claims (7)
- 単位セルを平面的に配列した平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータにおいて、
複数の貫通孔を有する単位導電性基板が空隙部を介して平面的に2個以上配列されたセパレータ部材と、
周縁枠部材と、前記単位導電性基板の配列位置に対応して2個以上の開口部を形成するように前記周縁枠部材間に架け渡された複数の仕切り枠部材と、を有し、前記セパレータ部材を挟持するように一体化された一対の枠部材と、
一方の枠部材の前記開口部内に位置し、前記単位導電性基板を被覆するガス拡散層と、
を備えたことを特徴とする平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータ。 - 前記ガス拡散層は、前記開口部内に触媒層を配設可能な深さで前記枠部材に対して段差を有することを特徴とする請求項1に記載の平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータ。
- 単位セルを平面的に配列した平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータにおいて、
複数の貫通孔を有する単位導電性基板が空隙部を介して平面的に2個以上配列されたセパレータ部材と、
周縁枠部材と、前記単位導電性基板の配列位置に対応して2個以上の開口部を形成するように前記周縁枠部材間に架け渡された複数の仕切り枠部材と、を有し、前記セパレータ部材を挟持するように一体化された一対の枠部材と、
一方の枠部材の前記開口部内に位置し、前記単位導電性基板を被覆するガス拡散層、および、該ガス拡散層を被覆する触媒層と、
を備え、該触媒層と前記枠部材とは同一面をなすことを特徴とする平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータ。 - 前記セパレータ部材を挟持するように一体化された一対の枠部材は、締め付け部材挿入用の挿入穴を複数備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータ。
- 前記開口部間に位置する仕切り枠部材は前記挿入穴を備えるとともに、仕切り枠部材の幅は前記挿入穴の近傍部位を除いて、周縁枠部材の幅よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータ。
- 単位セルを平面的に配列した平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータの製造方法において、
複数の貫通孔を有する単位導電性基板が空隙部を介して平面的に2個以上配列されたセパレータ部材を、前記単位導電性基板の配列位置に対応して2個以上の開口部を有する一対の枠部材で挟持一体化する工程と、
前記開口部の形状、位置と対応するようにスクリーン印刷によりガス拡散層が基材上に剥離可能に形成された転写部材を用いて、一方の枠部材の前記開口部内に前記単位導電性基板と当接するようにガス拡散層を転写形成する工程と、
を有することを特徴とする平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータの製造方法。 - さらに、前記開口部の形状、位置と対応するようにスクリーン印刷により触媒層が基材上に剥離可能に形成された転写部材を用いて、前記ガス拡散層と当接するように触媒層を転写形成する工程を有することを特徴とする請求項6に記載の平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータの製造方法。
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