JP4442113B2 - 推定支援システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遺伝子発現モニタリング等の結果に基づき作成された遺伝子ネットワーク構造を基に、遺伝子間の制御関係および機能の推定を支援する装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、DNAマイクロアレイを使用した実験により、遺伝子産物の発現量の解析が可能になり、個々の遺伝子がどのような組織または細胞で、どのような環境下で発現するのかという発現プロファイルの解析を効率よく行うことが可能となった。マイクロアレイ実験は遺伝子間の制御関係を調べるためにも利用される。制御関係を調べるためのDNAマイクロアレイを使用した実験では、まず特定の遺伝子を破壊したり、特定の遺伝子産物を過剰発現させる。次いで、DNAマイクロアレイ上で破壊も過剰発現もさせていない細胞(野生株)を含む状態と、遺伝子を破壊した細胞(破壊株)または過剰発現させた細胞(過剰発現株)を含む状態とを比較することにより、これら二つの状態の遺伝子産物の発現量の比を調べる。これにより、遺伝子間の制御関係を調べることができる。
【0003】
たとえば、遺伝子Aを破壊した細胞において、野生株に比べて遺伝子Bの発現量が増え、遺伝子Cの発現量が減っていたとすると、遺伝子Aと遺伝子B、および遺伝子Aと遺伝子Cの間には直接的または間接的に遺伝子Aが遺伝子Bの発現を抑え、遺伝子Aが遺伝子Cの発現を増やすという制御関係があると推定できる。ただし、DNAマイクロアレイを使った実験では、誤差が多く含まれるため、推定した制御関係が正しくない場合もある。
【0004】
そのため、通常、このような実験結果に基づき推定を行い、推定結果を検証するための追加実験を行うことにより、遺伝子間の制御関係をより正確に把握するという手法がとられる。DNAマイクロアレイを使用した場合、大量の実験結果データが得られるため、その解析を効率よく行うための支援技術が必要とされる。DNAマイクロアレイ等を用いた実験結果データを解析し、遺伝子の機能の推定を支援する方法としては、相関係数などを使って遺伝子を分類し、同じグループに含まれる機能が既知の遺伝子からその遺伝子の機能を類推するという方法がよく用いられる。
【0005】
また、たとえば、特許文献1には、遺伝子に関する多種、多様なデータに基づいて、遺伝子やRNA、タンパク質等の要素情報をノード、関係情報をエッジとして遺伝子ネットワークを再構成し、遺伝子ネットワークの表示と編集を行うことができる遺伝子ネットワーク研究支援システムが開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−91991号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の相関係数などを使って遺伝子を分類し、同じグループに含まれる機能が既知の遺伝子からある遺伝子の機能を類推するという方法では、異なる機能を持つ遺伝子が同じグループに分類されることも多く、推定の精度が充分でないという問題があった。また、推定結果の信頼度が把握できず、個々の遺伝子に関し、推定結果をもとにどのような追加実験を行うべきかを判断する情報がないという問題もあった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、本発明の目的は、遺伝子間の制御関係の推定支援を精度よくわかりやすく行う技術を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、
遺伝子間の制御関係を考慮して制御関係を有する遺伝子間を結合して作成された遺伝子ネットワークにおける遺伝子間の正確な制御関係の推定を支援する推定支援システムであって、
前記遺伝子ネットワークから複数の遺伝子を特定し、前記複数の遺伝子と、当該複数の遺伝子とその周囲の遺伝子との結合パターンを、前記周囲の遺伝子を前記複数の遺伝子との制御関係に基づき複数の群に分類し、前記複数の遺伝子と、分類された前記群それぞれに含まれる遺伝子との関係を考慮して判別するパターン判別部と、
複数の結合パターンと、前記複数の結合パターンそれぞれの遺伝子間において推定される制御関係を示す推定情報とを対応付けて記憶する推定情報記憶部と、
前記推定情報記憶部から、前記パターン判別部が判別した結合パターンに対応付けられた前記推定情報を読み出して、前記推定情報を前記複数の遺伝子と、前記周囲の遺伝子とを含む遺伝子群に適用し、前記遺伝子群の正確な制御関係を推定する適用処理部と、
を含むことを特徴とする推定支援システムが提供される。
【0010】
周囲の遺伝子とは、パターン判別部により特定された複数の遺伝子と結合された遺伝子とすることができる。また、周囲の遺伝子は複数の遺伝子と直接結合されたものだけでなく、他の遺伝子を介して結合されたものもすることもできる。結合パターンとは、複数の遺伝子と、それらの遺伝子と直接または他の遺伝子を介して結合された周囲の遺伝子との結合の特徴とすることができる。ここで、複数の遺伝子のうち一の遺伝子を機能が未知の遺伝子とし、他の遺伝子を機能が既知の遺伝子とすることができる。このようにすれば、複数の遺伝子とその周囲の遺伝子との関係により定まる結合パターンに応じて、機能が未知の一の遺伝子の機能を精度よく類推することができる。
【0011】
ここで、遺伝子ネットワークは、制御方向を示す有向アークで結合して作成されたものとすることができる。また、遺伝子ネットワークは、遺伝子発現モニタリングの結果に基づき、作成されたものとすることができる。遺伝子ネットワークは、直接間接に関わらず、制御関係があるすべての遺伝子間を結合して作成されたものとすることができる。
【0012】
本発明の推定支援システムにおいて、周囲の遺伝子は、複数の遺伝子それぞれと結合された遺伝子とすることができる。
【0015】
本発明の推定支援システムにおいて、複数の遺伝子は第一および第二の遺伝子を含むことができ、パターン判別部は、周囲の遺伝子を、第一の遺伝子に制御される第一の群と、第二の遺伝子に制御される第二の群とに分類し、第一の群および第二の群のいずれか一方に含まれる遺伝子のうち、いずれか他方にも含まれる遺伝子の割合に応じて結合パターンを判別することができる。
【0016】
本発明の推定支援システムにおいて、複数の遺伝子は第一および第二の遺伝子を含むことができ、パターン判別部は、周囲の遺伝子を、第一の遺伝子を制御する第三の群と、第二の遺伝子を制御する第四の群とに分類し、第三の群および第四の群の両方に含まれる遺伝子があるか否かに応じてパターンを判別することができる。
【0017】
本発明の推定支援システムにおいて、遺伝子群の正確な制御関係を表示する表示処理部をさらに含むことができ、推定情報は、遺伝子間の制御関係を示す結合の追加または削除に関する情報を含むことができ、表示処理部は、遺伝子群に含まれる遺伝子間の組み合わせ毎に結合の追加または削除の有無を考慮して遺伝子群の正確な制御関係を示すネットワーク構造を作成して出力することができる。
【0018】
本発明の推定支援システムにおいて、遺伝子群の正確な制御関係を表示する表示処理部をさらに含むことができ、パターン判別部は、複数の遺伝子として異なる遺伝子の組み合わせを順次特定して結合パターンをそれぞれ判別することができ、適用処理部は、複数の遺伝子の異なる組み合わせ毎に、当該複数の遺伝子を含む遺伝子群の正確な制御関係を推定することができ、表示処理部は、適用処理部による複数回の正確な制御関係の推定のうち、重複する推定がある場合、それらを累積した結果を反映して表示することができる。
【0019】
本発明の推定支援システムにおいて、遺伝子ネットワークにおける結合状態を修正する修正部をさらに含むことができ、推定情報は、遺伝子間の制御関係を示す結合の追加または削除に関する情報を含むことができ、修正部は、遺伝子群に含まれる遺伝子間の組み合わせ毎に結合の追加または削除の有無を考慮して遺伝子ネットワークの遺伝子群に該当する個所のネットワーク構造を修正することができる。
【0020】
本発明の推定支援システムにおいて、パターン判別部は、複数の遺伝子として異なる遺伝子の組み合わせを順次特定して結合パターンをそれぞれ判別することができ、適用処理部は、複数の遺伝子の異なる組み合わせ毎に、当該複数の遺伝子を含む遺伝子群の正確な制御関係を推定することができ、修正部は、適用処理部による複数回の正確な制御関係の推定のうち、重複する推定がある場合、それらを累積した結果を反映して遺伝子ネットワークを修正することができる。
【0022】
本発明の推定支援システムにおいて、推定情報を遺伝子群に適用する際に、推定情報毎に信頼度を算出する信頼度算出部をさらに含むことができ、推定情報は、遺伝子間の制御関係を示す結合の追加または削除に関する情報を含むことができ、信頼度算出部は、一の結合の追加または削除毎に、当該結合の追加または削除により他の遺伝子との間の結合状態に矛盾が生じないか否かに応じて信頼度を算出することができる。たとえば、信頼度算出部は、各制御関係が発現量を増大させるものか減少させるものかを考慮して矛盾が生じる場合信頼度を低くすることができる。
【0023】
本発明の推定支援システムにおいて、推定情報を遺伝子群に適用する際に、推定情報毎に信頼度を算出する信頼度算出部をさらに含むことができ、推定情報は、遺伝子間の制御関係を示す結合の追加または削除に関する情報を含むことができ、信頼度算出部は、一の結合の追加または削除毎に当該結合により結ばれる二つの遺伝子の名称をキーワードとして検索を行った場合の検索結果に応じて信頼度を算出することができる。たとえば、結合を追加する推定が行われたときに、キーワード検索の結果、ヒット件数が多い場合にその推定結果の信頼度を高くすることができ、ヒット件数が少ない場合にその推定結果の信頼度を低くすることができる。何らかの制御関係を有する遺伝子間において、同じウェブページに同時に記載されている可能性が高く、キーワード検索におけるヒット件数が多くなると考えられるからである。
【0024】
本発明の推定支援システムは、遺伝子ネットワークに含まれる遺伝子のうち、機能が既知の遺伝子に関する機能を記憶する機能データベースと、遺伝子群において、複数の遺伝子のうちの一の遺伝子との制御関係に応じて他の遺伝子に重み付けを加え、当該重み付けと各遺伝子の機能とを考慮して一の遺伝子の機能を推定する機能推定部と、をさらに含むことができる。
【0025】
本発明の推定支援システムは、複数の結合パターンと、当該結合パターンに対応付けられた推定情報を検証するための提案情報を記憶する提案情報記憶部と、提案情報を表示する表示処理部と、をさらに含むことができる。
【0026】
本発明の推定支援システムは、遺伝子群に適用される推定情報を検証するための提案情報を提示する提案部をさらに含むことができ、パターン判別部は、複数の遺伝子として異なる遺伝子の組み合わせを順次特定して結合パターンをそれぞれ判別することができ、適用処理部は、複数の遺伝子の異なる組み合わせ毎に、当該複数の遺伝子を含む遺伝子群の正確な制御関係を推定することができ、提案部は、適用処理部による複数回の正確な制御関係の推定それぞれに含まれる遺伝子に関する情報を累積し、より多くの推定に含まれる遺伝子に関する検証を優先的に提案することができる。たとえば、提案部は、ある遺伝子から多くの他の遺伝子への制御関係の追加または削除が推定されている場合、制御元の遺伝子を破壊または過剰発現させる検証を優先的に提案することができる。このようにすれば、一の検証で、多くの他の遺伝子との制御関係を裏付けることができる。
【0027】
本発明の推定支援システムにおいて、ユーザからの指示を受け付ける入力部と、適用処理部により推定された遺伝子群の正確な制御関係を表示する表示処理部と、をさらに含むことができ、複数の遺伝子は第一および第二の遺伝子を含み、表示処理部は、パターン判別部により第一の遺伝子として特定され、適用処理部による処理が行われた遺伝子を第一のリストとして表示することができ、入力部は、第一のリストとして表示された遺伝子の中から一の遺伝子の選択を受け付けることができ、表示処理部は、入力部が選択を受け付けた遺伝子との組み合わせで第二の遺伝子として特定され、適用処理部による処理が行われた遺伝子を第二のリストとして表示することができ、入力部は、第二のリストとして表示された遺伝子の中から一の遺伝子の選択を受け付けることができ、 表示処理部は、入力部が選択を受け付けた遺伝子を第一および第二の遺伝子として適用処理部が推定した正確な制御関係を表示することができる。
【0028】
本発明の推定支援システムにおいて、ユーザからの指示を受け付ける入力部と、遺伝子ネットワークから、適用処理部により正確な制御関係が推定された遺伝子群のネットワーク構造を抽出して表示する表示処理部と、をさらに含むことができ、入力部は、ユーザから推定結果の表示の指示を受け付けることができ、表示処理部は、入力部が受け付けた指示に基づき、ネットワーク構造を適用処理部による推定結果を明示して表示することができる。
【0030】
本発明によれば、遺伝子間の制御関係を考慮して制御関係を有する遺伝子間を結合して作成された遺伝子ネットワークにおける遺伝子間の正確な制御関係の推定を支援する推定支援システムであって、遺伝子ネットワークから第一の遺伝子を特定し、遺伝子ネットワークから、第一の遺伝子と、第一の遺伝子により制御される遺伝子を含む第一の群と、第一の群に含まれる遺伝子を制御する第一の遺伝子とは異なる第二の遺伝子と、第二の遺伝子により制御される遺伝子を含む第二の群と、第一の遺伝子を制御する遺伝子を含む第三の群と、第二の遺伝子を制御する遺伝子を含む第四の群と、を含む遺伝子群を抽出する抽出部と、第一の群または第二の群のいずれか一方に含まれる遺伝子のうち、いずれか他方にも含まれる遺伝子の割合と、第三の群および第四の群の両方に含まれる遺伝子があるか否かとの条件に応じて遺伝子群に含まれる遺伝子間の結合パターンを判別するパターン判別部と、結合パターン毎に、その結合パターンに判別される遺伝子間に適用される推定情報を記憶する推定情報記憶部と、パターン判別部の判別結果に応じて、対応する結合パターンの推定情報を推定情報記憶部から読み出し、当該推定情報を遺伝子群に適用し、遺伝子群における遺伝子間の制御関係を推定する適用処理部と、を含むことを特徴とする推定支援システムが提供される。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第一の実施の形態における推定支援システムの構成を示すブロック図である。
推定支援システム10は、DNAマイクロアレイ等を用いた遺伝子発現モニタリングの実験結果に基づき、遺伝子ネットワーク構造を作成し、その遺伝子ネットワーク構造から一部の遺伝子群のネットワーク構造を抽出し、当該遺伝子群のネットワーク構造の結合パターンに応じてその遺伝子群内の遺伝子間の制御関係および機能の推定を行う。抽出する遺伝子群をずらして同様の処理を行うことにより、遺伝子ネットワーク構造全体の遺伝子間の制御関係および機能を推定することができる。
【0032】
推定支援システム10は、送受信部12と、ネットワーク構造作成部14と、表示処理部15と、入力部16と、出力部17と、推定処理部18と、ネットワーク構造記憶部30と、対応関係記憶部31と、パターン記憶部32と、推定情報記憶部34と、推定結果記憶部36と、実験結果DB38とを含む。推定処理部18は、抽出部20と、パターン判別部22と、パターン判別部22と、推定結果書込部26と、修正部28とを含む。
【0033】
推定支援システム10の各構成要素は、ハードウエアコンポーネントでいえば、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インターフェースを中心に実現されるが、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。これから説明する各図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0034】
実験結果DB38は、DNAマイクロアレイ等を用いた遺伝子発現モニタリングの実験結果を記憶する。図2は、実験結果DB38のデータ構造の一例を示す図である。ここでは、遺伝子1、遺伝子2、および遺伝子3をそれぞれ破壊したときに他の遺伝子との間に制御関係があるか否かが示されている。制御関係があるとは、二つの遺伝子間において、いずれか一方の遺伝子を破壊したときに、他方の遺伝子の発現量が減少または増加することをいう。図2において、ある遺伝子を破壊したときに発現量が減少する遺伝子を「−」、変化しない遺伝子を「0」で表現している。たとえば、遺伝子1を破壊すると、遺伝子2および遺伝子3ともに減少している。この結果から、遺伝子1は遺伝子2および遺伝子3をそれぞれ制御することがわかる。また、たとえば、遺伝子2を破壊すると、遺伝子1の発現量は変化しないが、遺伝子3の発現量は減少する。この結果から、遺伝子2は遺伝子1を制御せず、遺伝子3を制御することがわかる。また、ここでは図示していないが、発現量が増加した場合は「+」と表現することもできる。
【0035】
ネットワーク構造作成部14は、実験結果DB38に記憶された実験結果に基づき、遺伝子ネットワーク構造を作成する。実験結果DB38は、インターネットやイントラネット等のネットワークを介して物理的に離れた場所に配置されてもよく、ネットワーク構造作成部14は、送受信部12を介して実験結果DB38から実験結果を取得する。
【0036】
図3は、図2に示した遺伝子1〜3の遺伝子ネットワーク構造を示す図である。ネットワーク構造作成部14は、各遺伝子をノードで示し、遺伝子間の制御関係を制御方向を示す有向アークで結合した遺伝子ネットワーク構造を作成する。図2に示した結果によれば、遺伝子3は遺伝子1および遺伝子2のいずれにも制御されていることがわかる。図2に示した結果からだけでは、遺伝子1が遺伝子3を直接制御しているのか、または遺伝子1が遺伝子2を制御し、遺伝子2が遺伝子3を制御するため、結果的に遺伝子3が遺伝子1に制御されているように見えるのかを判断することはできない。遺伝子発現モニタリングの実験結果だけでは、遺伝子1が遺伝子3を直接制御しているのか間接的に制御しているのか判断できないため、本実施の形態において、ネットワーク構造作成部14は、間接的な制御関係も直接的な制御関係とみなして制御関係を有する遺伝子間をすべて有向アークで結合して遺伝子ネットワーク構造を作成する。ここで、遺伝子1は遺伝子2および遺伝子3をそれぞれ制御しているので、図3(a)に示すように、遺伝子1および遺伝子2の間、ならびに遺伝子1および遺伝子3の間を遺伝子1から遺伝子2および遺伝子1から遺伝子3の方向に矢印を有する有向アークでそれぞれ結合する。遺伝子2は遺伝子3を制御しているので、遺伝子2および遺伝子3の間を遺伝子2から遺伝子3の方向に矢印を有する有向アークで結合する。さらに、図3(b)に示すように、各有向アークについて、遺伝子の発現量を増加させる制御か減少させる制御かを示す情報も含むことができる。ここで、「+」は、遺伝子の発現量を増加させる制御であることを示す。
【0037】
図1に戻り、ネットワーク構造作成部14は、研究論文などの文献から遺伝子の制御関係を抽出したデータに基づき、遺伝子ネットワーク構造を作成することもできる。さらに、ネットワーク構造作成部14は、従来技術である遺伝子の分類クラスタリング手法から推定した制御関係を示すデータに基づき、遺伝子ネットワーク構造を作成することもできる。ネットワーク構造記憶部30は、ネットワーク構造作成部14が作成した遺伝子ネットワーク構造を記憶する。
【0038】
表示処理部15は、ネットワーク構造記憶部30に記憶された遺伝子ネットワーク構造をユーザに表示する処理を行う。入力部16は、推定支援システム10のユーザからの指示の入力を受け付ける。出力部17は、表示処理部15により処理された遺伝子ネットワーク構造をモニタ等に出力する。入力部16および出力部17は外部のインターネット等のネットワークに接続して構成することができ、ユーザはネットワークを介して推定支援システム10への指示および推定支援システム10からの情報の取得を行うことができる。
【0039】
図4は、ネットワーク構造記憶部30のデータ構造の一部を示す図である。ネットワーク構造記憶部30は、複数の遺伝子間の制御関係を記憶する。ここで、遺伝子X01が制御する被制御遺伝子として、遺伝子C01、遺伝子C02、遺伝子C03、遺伝子C04が保持される。遺伝子X02が制御する被制御遺伝子として遺伝子C05が保持される。また、ここでは図示していないが、ネットワーク構造記憶部30は、各制御関係が発現量を増加させるものか減少させるものかを示す「+」または「−」を対応付けて保持することもできる。
【0040】
図5は、図4に示したデータ構造に基づき、ユーザに表示される遺伝子ネットワーク構造の一例を示す図である。
図5(a)は、遺伝子をノードで示し、遺伝子間の制御関係を有向アークで示す遺伝子ネットワーク構造である。表示処理部15は、図5(b)に示すように、ユーザがノードを指定すると、たとえば「遺伝子X01」のように、そのノードがどの遺伝子に対応するかを表示することもできる。さらに、ユーザが有向アークを指定すると、その有向アークがどのノードからどのノードへのものかを表示させることもできる。また、表示処理部15は、図5(c)に示すように、ユーザが有向アークを指定すると、その有向アークが遺伝子の発現量を増加させる制御か減少させる制御かを「+」または「−」で表示することもできる。また、各有向アークが遺伝子の発現量を増加させる制御か減少させる制御かは有向アークの矢印の形や色を異ならせることにより示すこともできる。図示していていないが、表示処理部15は、すべてのノードおよび有向アークについて、どの遺伝子に対応するかおよび遺伝子の発現量を増加させる制御か減少させる制御かを同時に表示することもできる。
【0041】
図1に戻り、ユーザは、表示された遺伝子ネットワーク構造を見て、自分の知識や仮説に基づき、ノード間に有向アークを追加したり削除したりすることができる。ネットワーク構造作成部14は、入力部16を介してユーザからの指示を受け付け、遺伝子ネットワーク構造を修正する。これにより、ユーザの遺伝子の制御関係に関する知識や仮説を遺伝子ネットワーク構造に反映することができる。ネットワーク構造記憶部30は、遺伝子間の有向アーク毎に、実験結果DB38に基づきネットワーク構造作成部14が作成したものか、ユーザにより追加されたものかを区別して記憶することもできる。
【0042】
また、表示処理部15は、遺伝子ネットワーク構造とともに、遺伝子の塩基配列をも表示することができる。これにより、ユーザは遺伝子ネットワーク構造の詳細な内容をも把握することができ、たとえば塩基配列をも考慮してノード間に有向アークを追加したり削除したりすることができる。
【0043】
推定処理部18は、以上のようにして作成された遺伝子ネットワーク構造から一部の遺伝子群のネットワーク構造を抽出し、当該ネットワーク構造の結合パターンに応じてその遺伝子群内の遺伝子間の正確な制御関係および機能の推定を支援するための処理を行う。
【0044】
抽出部20は、遺伝子ネットワーク構造から一部の遺伝子群のネットワーク構造を抽出する。本実施の形態において、抽出部20は、第一および第二の遺伝子と、これら第一および第二の遺伝子と有向アークで結合された周囲の遺伝子とを含む遺伝子群のネットワーク構造を抽出する。本実施の形態において、抽出部20は、第一の遺伝子として抽出した遺伝子をノードX、第二の遺伝子として抽出した遺伝子をノードBとしてその対応関係を対応関係記憶部31に記憶する。図6は、対応関係記憶部31のデータ構造の一部を示す図である。ここでは遺伝子X01がノードXに対応付けられ、遺伝子B01がノードBに対応付けられている。
【0045】
図1に戻り、抽出部20は、入力部16を介してユーザから上記ノードXに該当する遺伝子の選択を受け付ける。ユーザはネットワーク構造作成部14により作成された遺伝子ネットワーク構造に含まれる遺伝子の中から一の遺伝子を選択してもよく、複数の遺伝子をノードXの候補として選択することもできる。
【0046】
抽出部20が遺伝子群を抽出する手順を図7を参照して説明する。以下、遺伝子をノードとして説明する。まず、抽出部20は、一のノードXを特定する。ユーザが一の遺伝子のみを選択した場合、その遺伝子がノードXとなる。ユーザが複数の遺伝子を選択した場合、抽出部20は、その複数の遺伝子の中から任意の一の遺伝子を選択してノードXとする。この場合、抽出部20は、複数の遺伝子の中から順次一の遺伝子を選択してノードXとして同様の処理を繰り返す。以下、ノードXにより制御されるノードをノードXの子ノード、ノードXを制御するノードをノードXの親ノードとして説明する。
【0047】
抽出部20は、たとえば以下の手順でノードXを含む遺伝子群を抽出する。
(1)ノードXにより制御されるノード(ノードXの子ノード)C0群を抽出する。
(2)C0群に含まれるそれぞれのノードを制御するノードX以外のノードB1群を抽出する。
(3)B1群に含まれるそれぞれのノードを制御するノードA1群を抽出する。
(4)ノードXを制御するノード(ノードXの親ノード)A0群を抽出する。
(5)A0群に含まれるそれぞれのノードにより制御されるノードX以外のノードB2群を抽出する。
【0048】
これにより、C0群、B1群、A1群、A0群、B2群に含まれるノードおよびノードXを含む遺伝子群が抽出される。
【0049】
図1に戻り、パターン判別部22は、上述したB1群に含まれるノードの中から一のノードBを特定し、ノードBとノードXと、周囲のノードとの関係に基づき、抽出部20が抽出した遺伝子群の結合パターンを判別する。B1群に複数の遺伝子が含まれる場合、パターン判別部22は、その複数の遺伝子の中から任意の一の遺伝子を選択する。この場合、パターン判別部22は、B1群に含まれる複数の遺伝子の中から順次一の遺伝子を選択してノードBとして同様の処理を繰り返す。B1群に含まれるノードは、ノードXの子ノードを制御している。そのため、このようにして選択したノードBは、ノードXと少なくとも一つの共通する子ノードを有するので、ノードXはノードBと機能の類似性があったり、何らかの制御関係を有する期待値が高い。このようなノードBを選択してノードXとの関係を調べることにより、効率よくこの遺伝子群の正確な制御関係を推定することができる。パターン記憶部32は、パターン判別部22が遺伝子群の結合パターンを決定する際に参照する演算式、閾値、条件等を記憶する。
【0050】
他の形態において、選択受付部20は、ユーザから上記ノードXおよびノードBに対応する二つの遺伝子の選択を受け付けることもでき、この場合、抽出部20は、これらの二つの遺伝子と有向アークで結合されたすべての遺伝子を周囲の遺伝子として抽出することができる。
【0051】
パターン判別部22は、パターン記憶部32を参照して、以下の手順で遺伝子群の結合パターンを判別する。
(1)ノードXとノードBとで、子ノードの共通性を調べる。ノードXとノードBとの子ノードの共通性は、ノードXの子ノードに対するノードBとノードXとの共通の子ノードの割合b1、およびノードBの子ノードに対するノードBとノードXとの共通の子ノードの割合b2から求めることができる。
b1=(ノードBとノードXとの共通の子ノードの数)/(ノードXの子ノード数)
b2=(ノードBとノードXとの共通の子ノードの数)/(ノードBの子ノード数)
パターン判別部22は、以上のようにして求めたb1およびb2がそれぞれ閾値bb1およびbb2を超えているか否かを判断する。ここで、パターン記憶部32は、閾値bb1およびbb2を記憶する。
【0052】
(2)パターン判別部22は、ノードXとノードBとの親ノードが共通か否か(BがB2群にも含まれるか)を調べる。
【0053】
本実施の形態において、パターン判別部22は、上記(1)および(2)で調べた結果に基づき、b1およびb2がそれぞれ閾値bb1およびbb2を超えているか否か、およびノードXとノードBとの親ノードが共通か否かによって、抽出部20が抽出した遺伝子群を以下の5つの結合パターンのいずれかと判別する。
【0054】
図8は、パターン記憶部32のデータ構造の一部を示す図である。パターン記憶部32は、条件欄およびパターン欄を保持する。ここで、遺伝子群が「B∈B2、かつb1>bb1、かつb2>bb2」という条件を満たす場合、パターン1と判別される。つまり、パターン判別部22は、抽出された遺伝子群において、ノードXとノードBとの親ノードが共通で、子ノードの共通度合いが高い場合、パターン1と判別する。
【0055】
遺伝子群が「B∈B2でなく、かつb1>bb1、かつb2>bb2」という条件を満たす場合、パターン2と判別される。つまり、パターン判別部22は、抽出された遺伝子群において、ノードXとノードBとの親ノードが共通でなく、子ノードの共通度合いが高い場合、パターン2と判別する。
【0056】
遺伝子群が「B∈B2、かつb1>bb1、かつb2<bb2」という条件を満たす場合、パターン3と判別される。つまり、パターン判別部22は、抽出された遺伝子群において、ノードXとノードBとの親ノードが共通で、ノードXの子ノードがノードBの子ノードである割合が高いが、ノードBの子ノードがノードXの子ノードである割合は低い場合、パターン3と判別する。
【0057】
遺伝子群が「B∈B2、かつb1<bb1、かつb2>bb2」という条件を満たす場合、パターン4と判別される。つまり、パターン判別部22は、抽出された遺伝子群において、ノードXとノードBとは親ノードが共通で、ノードXの子ノードがノードBの子ノードである割合が低いが、ノードBの子ノードがノードXの子ノードである割合は高い場合、パターン4と判別する。
【0058】
遺伝子群が「B∈B2でなく、かつb1<bb1、かつb2<bb2」という条件を満たす場合、パターン5と判別される。つまり、パターン判別部22は、抽出された遺伝子群において、ノードXとノードBとは親ノードが共通でなく、ノードXの子ノードがノードBの子ノードである割合もノードBの子ノードがノードXの子ノードである割合も低い場合、パターン5と判別する。
【0059】
図1に戻り、推定情報記憶部34は、上記複数の結合パターンと、複数の結合パターンそれぞれの遺伝子間において推定される制御関係または機能を示す推定情報とを対応付けて記憶する。図9は、推定情報記憶部34のデータ構造の一部を示す図である。ここでは、推定情報記憶部34が推定情報としてナビゲーション情報を保持する例を示す。
【0060】
パターン1に分類される遺伝子群において、ノードXおよびノードBは、親ノードが共通で、共通の子ノードが多い。このようなノード同士は同じ機能を持つ可能性が高いため、推定情報記憶部34は、「ノードXとノードBは同じ機能を持つ可能性が高い」というナビゲーション情報を記憶する。
【0061】
パターン2に分類される遺伝子群において、ノードXおよびノードBは、子ノードには共通のノードが多いが親ノードは共通でない。このようなノード同士は直接的な制御関係があるか、またはその親ノードと直接的な制御関係がある可能性があり、共通の子ノードは間接的に制御されている可能性がある。推定情報記憶部34は、「ノードBとA0群に含まれるノード、ノードXとA1群に含まれるノード、ノードXとノードBとの間にそれぞれ直接の制御関係がある可能性があり、ノードXとノードBの共通の子ノードとノードBまたはノードXとは制御関係がない可能性がある」というナビゲーション情報を記憶する。
【0062】
また、パターン2に分類される遺伝子群において、ノードXおよびノードBの間には直接的な制御関係があるか、または親ノードを介して間接的な制御関係があると推定される。さらに、ノードXおよびノードBの共通の子ノードはノードXおよびノードBのいずれか一方に間接的に制御されている可能性がある。ここでは図示していないが、推定情報記憶部34は、パターン2に分類された遺伝子群において、たとえば、「ノードBがノードXを直接制御している」、「ノードBがノードXをノードXの親ノードを介して間接的に制御している」、「ノードXがノードBを直接制御している」、「ノードXがノードBをノードBの親ノードを介して間接的に制御している」等の情報を記憶する。
【0063】
パターン3に分類される遺伝子群において、ノードXおよびノードBは、親ノードが共通でノードXの子ノードの集合がノードBの子ノードの集合に含まれる。このような場合、ノードXはノードBに制御されている可能性が高い。推定情報記憶部34は、「共通の親ノードがノードBを通じて間接的にノードXを制御している可能性が高く、ノードBがノードXの子ノードを制御している可能性は低い」というナビゲーション情報を記憶する。
【0064】
また、パターン3に分類される遺伝子群において、ノードXはノードBに制御されている可能性が高い。ここでは図示していないが、推定情報記憶部34は、「ノードXはノードBに制御されている」等の情報を記憶する。
【0065】
パターン4に分類される遺伝子群において、ノードXおよびノードBは、親ノードが共通で、ノードXの子ノードの集合がノードBの子ノードの集合を含む。このような場合、ノードXはノードBを制御している可能性が高い。推定情報記憶部34は、「共通の親ノードがノードXを通じて間接的にノードBを制御している可能性が高く、ノードXがノードBの子ノードを制御している可能性は低い」というナビゲーション情報を記憶する。
【0066】
また、パターン4に分類される遺伝子群において、ノードXはノードBを制御している可能性が高い。ここでは図示していないが、推定情報記憶部34は、「ノードXはノードBを制御している」等の情報を記憶する。
【0067】
パターン5に分類される遺伝子群において、ノードXおよびノードBは、親ノードが共通でなく、自己の子ノードの集合と相手ノードの子ノードとの間に制御関係がない。このような場合、これらのノード間に制御関係がある可能性は低いと考えられる。推定情報記憶部34は、「あまり関連性がない」というナビゲーション情報を記憶する。
【0068】
図1に戻り、適用処理部24は、パターン判別部22により判別された結合パターンに対応付けられた推定情報を推定情報記憶部34から読み出す。適用処理部24は、対応関係記憶部31を参照して、推定情報記憶部34から読み出した推定情報を実際の遺伝子に適用し、遺伝子群の正確な制御関係を推定する。また、適用処理部24は、推定情報に基づき、抽出部20が抽出した遺伝子群の推定されるネットワーク構造を作成する。
【0069】
推定結果書込部26は、適用処理部24の推定結果を推定結果記憶部36に書き込む。推定結果書込部26は、適用処理部24が作成したネットワーク構造を推定結果記憶部36に書き込むこともできる。表示処理部15は、推定結果記憶部36から推定結果を読み出し、出力部17を介してユーザに提示する。
【0070】
修正部28は、ユーザの指示に基づき、推定結果記憶部36の結果を反映させてネットワーク構造記憶部30に記憶された遺伝子ネットワーク構造を修正する。また、ユーザは、表示されたナビゲーション情報や推定されるネットワーク構造等を参考にして、入力部16からネットワーク構造記憶部30に記憶された遺伝子ネットワーク構造を修正することもできる。
【0071】
図10は、推定処理部18の処理手順を示すフローチャートである。
まず、抽出部20は、ノードXに該当する第一の遺伝子を特定する(S10)。つづいて、抽出部20はノードX、ノードBおよび周囲のノードを含む遺伝子群のネットワーク構造を抽出する(S12)。パターン判別部22は、抽出された遺伝子群におけるノードXおよびノードBと、周囲のノードとの関係に基づき、遺伝子群の結合パターンを判別する(S14)。適用処理部24は、推定情報記憶部34から対応する結合パターンの推定情報を読み出し(S16)、対応関係記憶部31を参照して実際の遺伝子に適用してその遺伝子群の正確な制御関係を推定する処理を行う(S18)。推定結果書込部26は、適用処理部24による推定結果を推定結果記憶部36に記憶する(S20)。つづいて、パターン判別部22は、B1群に次のノードBの候補となる他の遺伝子が含まれるか否かを判断し(S21)、ノードBに該当する遺伝子がある場合(S21のYes)、ステップ12に戻り、その遺伝子をノードBとした遺伝子群を対象として同様の処理を行う。
【0072】
ステップ21において、ノードBに該当する遺伝子がない場合(S21のNo)、推定処理部18は、他の遺伝子をノードXとして、引き続き同様の処理を行うか否かを判断する(S22)。たとえば、ユーザが一の遺伝子だけでなく複数の遺伝子をノードXの候補として選択している場合、抽出部20は、これらのすべてのノードについて、ノードXとして特定し、各ノードBとの関係を考慮して同様の処理を繰り返す。また、この判断は、ユーザの指示に基づき行うこともできる。次の遺伝子について同様の処理を行うと判断した場合(S22のYes)、ステップ10に戻り、抽出部20は、新たな遺伝子をノードXとして特定して同様の処理を行う。これにより、複数の遺伝子の組み合わせについて、推定処理が行われ、ナビゲーション情報や推定されるネットワーク構造が得られる。
【0073】
ステップ22において、次の遺伝子について同様の処理を行わないと判断した場合(S22のNo)、表示処理部15は、推定結果記憶部36から推定結果を読み出し、ユーザに表示する処理を行う(S24)。なお、表示処理部15は、ステップ20の後に推定結果を表示する処理を行ってもよく、その後にステップ21またはステップ22の処理が行われてもよい。後述するように、たとえば複数のノードXとノードBとの組み合わせについて複数の推定結果が得られた場合、推定結果書込部26は、各推定結果にポイントを付し、同様の推定結果についてはポイントを累積して推定結果記憶部36に書き込むことができる。表示処理部15は、推定結果記憶部36の推定結果をポイントの大きい順にユーザに表示することができる。ユーザは表示処理部15により表示された推定結果を参考にしてネットワーク構造記憶部30に記憶された遺伝子ネットワーク構造の修正を指示することができる。ユーザがネットワーク構造記憶部30に記憶された遺伝子ネットワーク構造の修正を指示した場合(S26のYes)、修正部28は、推定結果記憶部36の推定結果に基づき、ネットワーク構造記憶部30に記憶された遺伝子ネットワーク構造を修正する(S28)。
【0074】
推定支援システム10は、たとえばユーザの指示に基づき、このようにして修正された遺伝子ネットワーク構造に対してもう一度同様の処理を繰り返すこともできる。推定支援システム10は、同様の処理を繰り返すと判断した場合(S30のYes)、ステップ10に戻り、同様の処理を繰り返す。なお、ステップ24の表示処理部15による表示処理は、ステップ28の修正の後に行うこともでき、任意の時点で行うことができる。
【0075】
以上の処理は、予め設定されたプログラムに従って行うこともできる。
図29は、推定支援システム10の構成の他の例を示す図である。ここで、推定支援システム10は、図1に示した推定支援システム10における抽出部20のかわりに自動抽出部21を含み、さらに手順記憶部48を含む。手順記憶部48は、たとえば図10に示したのと同様の処理手順を記憶する。自動抽出部21は、手順記憶部48に記憶された処理手順に従い、ネットワーク構造記憶部30に記憶された遺伝子ネットワークから一部の遺伝子群のネットワーク構造を少しずつずらしながら順次抽出する処理を行う。たとえば、自動抽出部21は、機能が未知の遺伝子をノードXとして順次選択していくことができる。また、手順記憶部48は、推定結果記憶部36に記憶された推定結果に基づき、修正部28が自動的にネットワーク構造記憶部30に記憶された遺伝子ネットワーク構造を修正するための手順をも記憶することができる。これにより、遺伝子ネットワーク構造全体の遺伝子間の制御関係を推定することができる。さらに、推定された制御関係を反映させて修正した遺伝子ネットワークに対しても同様の処理を行うことができる。このような処理を複数回繰り返すことにより、遺伝子ネットワークの制御関係を精度よく行うことができる。
【0076】
次に、遺伝子群のネットワーク構造を例示して説明する。
図11は、抽出部20により抽出された遺伝子群の一例を示す図である。ここで、パターン記憶部32は、閾値bb1=0.5、bb2=0.5と記憶していると仮定する。パターン判別部22は、この遺伝子群におけるノードXおよびノードBの結合パターンを判別する。この例において、ノードBはノードXと親ノードが共通なのでB2群に含まれ、B∈B2となる。ノードXの子ノードの数は3、ノードBの子ノードの数は3、ノードBとノードXの共通の子ノードの数は2なので、b1=2/3=0.67>bb1、b2=2/3=0.67>bb2となる。パターン判別部22は、パターン記憶部32を参照し、この遺伝子群がパターン1の条件を満たすので、この遺伝子群の結合パターンをパターン1と判別する。適用処理部24は、パターン1に対応付けられた「ノードXとノードBは同じ機能を持つ可能性が高い」というナビゲーション情報を推定情報記憶部34から読み出す。
【0077】
適用処理部24は、対応関係記憶部31を参照して、ノードXおよびノードBに対応する遺伝子にこのナビゲーション情報を適用する。たとえば、ノードXが遺伝子X01に対応し、ノードBが遺伝子B01に対応する場合、適用処理部24は、「遺伝子X01と遺伝子B01は同じ機能を持つ可能性が高い」というナビゲーション情報を作成する。推定結果書込部26は、このナビゲーション情報を推定結果記憶部36に書き込む。このとき、推定結果書込部26は、推定結果記憶部36を参照して、「遺伝子X01と遺伝子B01は同じ機能を持つ可能性が高い」という情報がすでに書き込まれているか否かを検出する。この情報が書き込まれていなければ、推定結果書込部26は、推定結果記憶部36に「遺伝子X01と遺伝子B01は同じ機能を持つ可能性が高い」という情報を書き込み、たとえば「+1」のポイントを付与する。この情報がすでに推定結果記憶部36に書き込まれている場合、この情報にさらに「+1」のポイントを加算する。このようにすれば、ノードXとして種々の遺伝子を特定して同様の処理を繰り返した場合に、同様の情報が得られた場合にその累積を把握することができる。同様の遺伝子について、同様のナビゲーション情報が多く得られる場合、そのナビゲーション情報の信頼度が高いと判断することができる。表示処理部15は、推定結果記憶部36の推定結果をポイントの累積とともに表示することができる。
【0078】
図12(a)は、抽出部20により抽出された遺伝子群の他の例を示す図である。ここで、パターン記憶部32は、閾値bb1=0.5、bb2=0.5と記憶していると仮定する。パターン判別部22は、この遺伝子群におけるノードXおよびノードBのパターンを判別する。この例において、ノードBはノードXと親が共通でないのでB2群に含まれず、B∈B2でない。ノードXの子ノードの数は3、ノードBの子ノードの数は3、ノードBとノードXの共通の子ノードの数は2なので、b1=0.67>bb1、b2=0.67>bb2となる。パターン判別部22は、パターン記憶部32を参照し、この遺伝子群がパターン2の条件を満たすので、この遺伝子群の結合パターンをパターン2と判別する。適用処理部24は、パターン2に対応付けられた「ノードXとノードB、ノードAとノードB、ノードA'とノードXの間には制御関係がある可能性があり、ノードC、ノードC'とノードXまたはノードC、ノードC'とノードBの間には制御関係がない可能性がある」というナビゲーション情報を推定情報記憶部34から読み出す。適用処理部24は、対応関係記憶部31を参照して上記ノードX、ノードB、ノードA、ノードA'ノードC、ノードC'にそれぞれ対応する遺伝子にこのナビゲーション情報を適用する。推定結果書込部26は、この結果を推定結果記憶部36に書き込む。
【0079】
また、適用処理部24は、パターン2に対応付けられた推定情報に基づき、この遺伝子群の推定されるネットワーク構造を作成する。パターン2に分類された遺伝子群において、ノードBとノードXとの間には直接、または間接的に制御関係があると考えられる。適用処理部24は、図12(b)に示すように、ノードBがノードXを直接制御する場合、図12(c)に示すように、ノードBがノードAを介してノードXを間接的に制御する場合、図12(d)に示すように、ノードXがノードBを直接制御する場合、図12(e)に示すように、ノードXがノードA'を介してノードBを間接的に制御する場合のネットワーク構造を作成する。図12(b)および図12(c)に示したネットワーク構造の場合、ノードBとノードXとの共通の子ノードCおよびノードC'はノードXを介してノードBに間接的に制御される。図12(d)および図12(e)に示したネットワーク構造の場合、ノードBとノードXとの共通の子ノードCおよびノードC'はノードBを介してノードXに間接的に制御される。ここでは、ノードX、ノードB、ノードA、ノードA'ノードC、ノードC'として記載しているが、適用処理部24は、各ノードを実際の遺伝子に適用したネットワーク構造を作成し、推定結果書込部26は、適用処理部24により作成されたネットワーク構造を推定結果記憶部36に記憶する。表示処理部15は、これらのネットワーク構造を表示することもできる。
【0080】
ここで、たとえば、ノードXが遺伝子X02に、ノードBが遺伝子B02に、ノードCが遺伝子C02に、ノードC'が遺伝子C'02に、ノードAが遺伝子A02に、ノードA'が遺伝子A'02にそれぞれ対応すると仮定する。図12(a)に示すもとのネットワーク構造と図12(b)に示すネットワーク構造とを比較すると、ノードBからノードXへの制御関係が追加されている。適用処理部24は、これを実際の遺伝子に適用し、「遺伝子B02から遺伝子X02への制御関係を追加する」というナビゲーション情報を作成する。推定結果書込部26は、推定結果記憶部36を参照して同じナビゲーション情報が既に書き込まれているか否かを検出し、同じ情報が書き込まれていなければ推定結果記憶部36にその情報を書き込み、その情報にポイント「+1」を付与する。推定結果書込部26は、同じ情報が既に書き込まれている場合、その情報に「+1」を加算する。同様に、ノードBから共通の子ノードであるノードC、ノードC'への制御関係が削除されているので、適用処理部24は、「遺伝子B02から遺伝子C02への制御関係を削除する」、「遺伝子B02から遺伝子C'02への制御関係を削除する」というナビゲーション情報を作成する。
【0081】
同様に、図12(a)に示すもとのネットワーク構造と図12(c)に示すネットワーク構造とを比較すると、ノードBからノードAへの制御関係が追加されているので、適用処理部24は、「遺伝子B02から遺伝子A02への制御関係を追加する」というナビゲーション情報を作成する。また、ノードBから共通の子ノードであるノードC、ノードC'への制御関係が削除されているので、適用処理部24は、「遺伝子B02から遺伝子C02への制御関係を削除する」、「遺伝子B02から遺伝子C'02への制御関係を削除する」というナビゲーション情報を作成する。
【0082】
以上の処理において、図12(a)に示すもとのネットワーク構造と図12(b)および図12(c)に示すネットワーク構造それぞれとの比較で「遺伝子B02から遺伝子C02への制御関係を削除する」というナビゲーション情報が作成されるので、この情報に付与されるポイントは「+2」となる。適用処理部24および推定結果書込部26は、他のネットワーク構造についても同様の処理を行う。
【0083】
また、推定結果書込部26は、推定結果毎にナビゲーション情報へ異なる値のポイントを付与することもできる。
【0084】
図13(a)は、抽出部20により抽出された遺伝子群の他の例を示す図である。ここで、パターン記憶部32は、bb1=0.7、bb2=0.7と記憶していると仮定する。パターン判別部22は、この遺伝子群におけるノードXおよびノードBのパターンを判別する。この例において、ノードBはノードXと親が共通なのでB2群に含まれ、B∈B2となる。ノードXの子ノードの数は2、ノードBの子ノードの数は3、ノードBとノードXの共通の子ノードの数は2なので、b1=2/2=1.00>bb1、b2=2/3=0.67<bb2となる。パターン判別部22は、パターン記憶部32を参照し、この遺伝子群がパターン3の条件を満たすので、この遺伝子群の結合パターンをパターン3と判別する。適用処理部24は、パターン3に対応付けられた「ノードAがノードBを通じて間接的にノードXを制御している可能性が高く、ノードBがノードXの子ノードを制御している可能性は低い」というナビゲーション情報を推定情報記憶部34から読み出す。適用処理部24は、対応関係記憶部31を参照して上記ノードX、ノードB、ノードAに対応する遺伝子にこのナビゲーション情報を適用する。推定結果書込部26は、この結果を推定結果記憶部36に書き込む。
【0085】
また、適用処理部24は、パターン3に対応付けられた推定情報に基づき、この遺伝子群の推定されるネットワーク構造を作成する。パターン3に分類された遺伝子群において、ノードAがノードBを通じて間接的にノードXを制御している可能性が高いと考えられる。図13(b)に示すように、修正部28は、ノードAとノードXの間の有向アークを削除し、ノードBとノードXの間にノードBからノードXの方向に矢印を有する有向アークを追加する。また、ノードBとノードCおよびノードC'との間の有向アークを削除する。ここでは、ノードX、ノードB、ノードA、ノードC、ノードC'、ノードYとして記載しているが、適用処理部24は、各ノードを実際の遺伝子に適用したネットワーク構造を作成し、推定結果書込部26は、適用処理部24により作成されたネットワーク構造を推定結果記憶部36に記憶する。表示処理部15は、このネットワーク構造を表示することもできる。
【0086】
図14(a)は、抽出部20により抽出された遺伝子群の他の例を示す図である。ここで、パターン記憶部32は、bb1=0.7、bb2=0.7と記憶していると仮定する。パターン判別部22は、この遺伝子群におけるノードXおよびノードBのパターンを判別する。この例において、ノードBはノードXと親が共通なのでB2群に含まれ、B∈B2となる。ノードXの子ノードの数は3、Bの子ノードの数は2、ノードBとノードXの共通の子ノードの数は2なので、b1=2/3=0.67<bb1、b2=2/2=1.00>bb2となる。パターン判別部22は、パターン記憶部32を参照し、この遺伝子群がパターン4の条件を満たすので、この遺伝子群の結合パターンをパターン4と判別する。適用処理部24は、パターン4に対応付けられた「ノードAがノードXを通じて間接的にノードBを制御している可能性が高く、ノードXがノードBの子ノードを制御している可能性は低い」というナビゲーション情報を推定情報記憶部34から読み出す。適用処理部24は、対応関係記憶部31を参照して上記ノードX、ノードB、ノードAに対応する遺伝子にこのナビゲーション情報を適用する。推定結果書込部26は、この結果を推定結果記憶部36に書き込む。
【0087】
また、修正部28は、パターン4に対応付けられた推定情報に基づき、この遺伝子群の推定されるネットワーク構造を作成する。パターン4に分類された遺伝子群において、ノードAがノードXを通じて間接的にノードBを制御している可能性が高いと考えられる。図14(b)に示すように、修正部28は、ノードAとノードBの間の有向アークを削除し、ノードXとノードBの間にノードXからノードBの方向に矢印を有する有向アークを追加する。また、ノードXとノードCおよびノードC'との間の有向アークを削除する。ここでは、ノードX、ノードB、ノードA、ノードC、ノードC'、ノードC''として記載しているが、適用処理部24は、各ノードを実際の遺伝子に適用したネットワーク構造を作成し、推定結果書込部26は、適用処理部24により作成されたネットワーク構造を推定結果記憶部36に記憶する。表示処理部15は、このネットワーク構造を表示することもできる。
【0088】
図15は、推定結果記憶部36のデータ構造の一部を示す図である。推定結果記憶部36は、ナビゲーション情報欄およびポイント欄を含む。推定結果書込部26は、適用処理部24が作成したナビゲーション情報を推定結果記憶部36に書き込む際に、同様のナビゲーション情報が既に推定結果記憶部36のナビゲーション欄に含まれる場合、そのナビゲーション情報欄に対応付けられたポイント欄にたとえば「+1」のポイントを付与する。各ナビゲーション情報に加算されたポイント数によって、各ナビゲーション情報の信頼度を判定することができる。
【0089】
表示処理部15は、推定結果記憶部36から推定結果を読み出し、ナビゲーション情報や推定されるネットワーク構造等をユーザに表示する処理を行う。ユーザへは、すべてのナビゲーション情報等を表示してもよいし、ユーザが遺伝子の一覧リスト等から選択した遺伝子に関してだけナビゲーション情報等を表示することもできる。また、ユーザが選択した遺伝子との関連が大きい遺伝子のナビゲーション情報等を提示するようにしてもよい。
【0090】
図16は、表示処理部15により表示される推定結果を示す画面である。図16(a)は、パターン判別部22によりノードXとして特定され、適用処理部24による推定結果が得られた遺伝子のリストを示す画面である。図16(b)は、図16(a)に示す画面において、たとえばユーザが遺伝子X01を選択した場合に表示される画面である。この画面では、ノードXとして遺伝子X01が特定されたときにノードBとして特定された遺伝子のリストが表示される。ここでは、ノードBとして特定された遺伝子のうち、関連の大きい遺伝子から順に表示されている。関連の大きい遺伝子とは、たとえば遺伝子X01との組み合わせにおいてパターン2と判断された場合のように、推定されるネットワーク構造の数が多いものとすることができる。図16(c)は、図16(b)に示す画面において、たとえばユーザが遺伝子B01を選択した場合に表示される画面である。ここでは、遺伝子X01と遺伝子B01と周囲の遺伝子との関係に基づき、推定された結果が表示される。
【0091】
表示処理部15は、図16(a)および図16(b)に示した項目を同時に表示してもよく、図16(a)、図16(b)、図16(c)の内容を同一画面上で別々のウインドウとして表示してもよいし、一つのウインドウで順に遷移するようにしてもよい。また、これらの内容を順に遷移する場合、表示処理部15は、各ウインドウに前に戻るためのボタンを表示することもできる。
【0092】
また、表示処理部15は、たとえば図16(c)に示したような推定されるネットワーク構造とは別のウインドウとして、ネットワーク構造記憶部30に記憶された遺伝子ネットワーク構造を全体的に表示することもできる。この場合、表示処理部15は、ユーザが図16(c)に示した推定結果を選択すると、全体の遺伝子ネットワーク構造の中の対応するノード部分を強調表示したり色付けしたして、全体の遺伝子ネットワーク構造中でどの部分に関する推定かがわかりやすいように表示することもできる。
【0093】
また、表示処理部15は、図17に示す画面を表示することもできる。
図17では、ユーザに推定結果を選択させる画面と、ユーザが選択した推定結果における遺伝子の制御関係を示す画面とが同時に表示される。ここで、表示処理部15は、ノードX、ノードB、ノードXの親ノード、ノードBの親ノード、ノードXとノードBの共通の親ノード、ノードXの子ノード、ノードBの子ノード、ノードXとノードBの共通の子ノードとして特定された遺伝子をそれぞれ分類して表示する。ここでは、ノードXとして遺伝子X01、ノードBとして遺伝子B01が特定された場合の推定結果が表示されている。表示処理部15は、ユーザが推定結果を選択すると、その推定結果に含まれる遺伝子がわかるように、たとえば制御関係がある場合は実線、制御関係がない場合は破線等区別して表示する。また、表示処理部15は、関連する遺伝子のフォントを変更したり、色を変更したり、強調表示する等することもできる。
【0094】
本実施の形態の推定支援システム10によれば、DNAマイクロアレイ等を用いた遺伝子発現モニタリングの実験結果に基づき、制御関係がある遺伝子間を結合して作成された遺伝子ネットワーク構造から、一部の遺伝子群のネットワーク構造を抽出して、その遺伝子群の結合パターンに応じて遺伝子群に含まれる遺伝子間の正確な制御関係を推定する。結合パターン毎に推定結果をナビゲーション情報として得ることができるので、ユーザは推定結果の根拠を知ることができ、ナビゲーション情報等を考慮して、遺伝子ネットワークの制御関係の修正や新たな実験の方向性を決定することができる。
【0095】
(第二の実施の形態)
図18は、本発明の第二の実施の形態における推定支援システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態において、推定支援システム10は、第一の実施の形態において図1を参照して説明した構成に加えて、信頼度算出部44をさらに含む。信頼度算出部44は、たとえば各ノード間の関係を考慮して、推定内容毎に信頼度を算出する。推定結果書込部26は、推定結果記憶部36にナビゲーション情報等を書き込む際に、信頼度算出部44により算出された信頼度をポイントとして各ナビゲーション情報に付与する。これにより部分的な信頼度を遺伝子ネットワーク構造全体に反映させることができる。
【0096】
信頼度算出部44は、たとえば、制御関係が発現量を増加させる制御なのか、減少させる制御なのかを考慮して各推定内容の信頼度を算出することができる。
【0097】
たとえば、抽出部20が、図19(a)に示す遺伝子群を抽出した場合、各ノード間には図示したような制御関係がある。有向アークに「+」と記載されている場合は発現量を増加させる制御を示し、「−」と記載されている場合は発現量を減少させる制御を示す。
【0098】
図19(a)に示すネットワーク構造において、まず、ノードAからノードB、ノードBからノードCの部分だけに注目する。ノードAからノードBへの有向アークには「−」が記載されている。ノードAはノードBの発現量を減少させる制御なので、ノードAを破壊した場合にはノードBの発現量は増加する。ノードBからノードCへの有向アークには「+」が記載されている。ノードBはノードCの発現量を増加させる制御なので、ノードBの発現量が増加するとCの発現量も増加する。つまり、ノードAを破壊すると、ノードCの発現量も増加する。
【0099】
ところが、もしノードBからノードCへの有向アークに「−」が記載されており、ノードBがノードCの発現量を減少させる制御であった場合、ノードAを破壊するとノードCの発現量は減少する。あるノードaからあるノードbへの特定の経路だけに注目すると、ノードaからノードbまでの間に「−」の有向アークが偶数含まれる場合にはノードaとノードbの増減方向は同じ(ノードaが減少すればノードbも減少、ノードaが増加すればノードbも増加)となる。また、ノードaからノードbまでの間に「−」の有向アークが奇数含まれる場合にはノードaとノードbの増減方向は逆(ノードaが減少すればノードbは増加、ノードaが増加すればノードbは減少)となる。
【0100】
たとえば、図19(a)に示した遺伝子群の結合パターンがパターン4と判別された場合、第一の実施の形態において図14を参照して説明したのと同様、図19(b)のようなネットワーク構造が推定される。
【0101】
しかし、各有向アークが発現量を増加させる制御なのか減少させる制御なのかを考慮すると、ノードAとノードCまたはノードC'との関係において、ノードXを破壊したときのノードCまたはノードC'の発現量の変動が矛盾する可能性がある。図19(a)でノードAからノードX、ノードXからノードCまたはノードC'の部分に注目すると、ノードAとノードCまたはノードC'の発現量の増減方向は同じとなる。しかし、図19(b)に示すようなネットワーク構造を推定すると、図19(c)に示すように、ノードAからノードCまたはノードC'の間に「−」の有向アークが奇数含まれるので、ノードAとノードCまたはノードC'の発現量の増減方向は逆となってしまう。
【0102】
信頼度算出部44は、制御関係の追加や削除を推定する場合に、上流のノードを破壊(過剰発現させた)としたとしても矛盾が生じないように「+」、「−」を決定し、矛盾が生じてしまう場合には信頼度の増加を小さくする。矛盾が生じないか否かは、上流のノードから下流のノードまでの経路において、制御関係の追加や削除を行っても「−」の有向アークの数が偶数から奇数、または奇数から偶数に変化しないことにより判断することができる。
【0103】
上述した例のように、推定結果に矛盾が生じる場合、信頼度算出部44は、このような推定結果信頼度を低くし、付与するポイントの値を小さくする。たとえば、推定結果に矛盾が生じない推定結果にポイントとして「+1」を付与する場合、矛盾が生じる推定結果にはポイントとして「+0.1」を付与するようにすることができる。
【0104】
また、他の例として、信頼度算出部44は、外部のネットワークと接続可能に設定され、ウェブページ上の検索エンジンを利用した検索結果に基づき信頼度を算出することもできる。たとえば遺伝子cと遺伝子dの間の有向アークの追加や削除を推定した場合、信頼度算出部44は、検索エンジンを用いて遺伝子cと遺伝子dをキーワードとして入力し、ウェブページのヒット数が多い場合に信頼度の増加を大きくする。
【0105】
本実施の形態において、表示処理部15は、推定結果に信頼度が付加されている場合には、その値も表示することができる。この場合、各有向アークに信頼度を重ねて表示するようにしてもよいし、有向アークを選択したときだけ信頼度を表示するようにしてもよい。
【0106】
(第三の実施の形態)
図20は、本実施の形態における推定支援システム10の構成を示すブロック図である。本実施の形態において、推定支援システム10は、ネットワーク構造記憶部30が記憶する遺伝子ネットワークに含まれる遺伝子のうち、機能が既知の遺伝子の機能を記憶する機能DB40を有する点で第一および第二の実施の形態と異なる。本実施の形態において、適用処理部24は、機能DB40を参照してノードXに該当する遺伝子の周囲の遺伝子の機能を考慮してノードXに該当する遺伝子の機能を推定する処理も行う。
【0107】
遺伝子の中には、ある程度機能が既知になっているものもあり、このような遺伝子については、遺伝子に対応付けて機能または機能の分類を機能DB40に記憶しておく。機能DB40は、実験結果データから相関係数を使ってクラスタリングした結果など、機能の分類以外の分類を機能に対応付けて記憶することもでき、一つの遺伝子に複数の機能を対応付けて記憶することもできる。
【0108】
図21は、機能DB40のデータ構造の一部を示す図である。機能DB40は、遺伝子欄と機能欄を保持する。機能欄には、機能そのものではなく、機能の分類が記憶される。ここで、たとえば遺伝子A01、遺伝子A02、遺伝子B01、遺伝子C01は機能1に分類される機能を有する。また、遺伝子A01は機能2に分類される機能をも有し、遺伝子C02も機能2に分類される機能を有する。遺伝子C03は機能3に分類される機能を有する。
【0109】
図22は、ノードXとして遺伝子X01が、ノードBとして遺伝子B01がそれぞれ特定された場合に抽出部20により抽出される遺伝子群を示す図である。適用処理部24は、遺伝子群に含まれる遺伝子をそれぞれが有する機能毎にグループ分けし、X01の機能の推定結果として各グループに含まれる遺伝子の数が多い順に機能のリストを作成することができる。推定結果書込部26はこのリストを推定結果記憶部36に書き込む。このとき、適用処理部24は、遺伝子X01の親ノードおよび子ノードに対応する遺伝子の機能のみを考慮してもよく、また遺伝子X01に対してb1>bb1またはb2>bb2の条件を満たすノードBに対応する遺伝子の機能をも考慮することもできる。ここで、たとえば遺伝子A01、遺伝子A02、遺伝子B01、遺伝子C01、遺伝子C02、遺伝子C03の機能を考慮すると、機能1のグループには遺伝子A01、遺伝子A02、遺伝子B01、遺伝子C01が含まれるので個数は4、機能2のグループには遺伝子A01、遺伝子C02が含まれるので個数は2、機能3のグループには遺伝子C03が含まれるので個数は1となる。適用処理部24は、機能1、機能2、機能3の順のリストを作成する。
【0110】
また、適用処理部24は、各機能のグループに含まれる遺伝子の個数だけでなく、遺伝子X01との制御関係を考慮して、各遺伝子に重み付けを付し、遺伝子の個数に重みを付けたスコア付けをしてリストを作成することもできる。たとえば、遺伝子X01の親ノードに対応する遺伝子の重みを1、遺伝子X01の子ノードに対応する遺伝子の重みを0.8とする。ノードBに対応する遺伝子については、たとえばb1>bb1またはb2>bb2である場合の重みを1.2、b1>bb1かつb2>bb2である場合の重みを1.4、b1>bb1かつb2>bb2かつ遺伝子X01と同じ親ノードを共有する場合の重みを1.6とする。ここで、B01の重みが1.6とすると、機能1のスコアは、遺伝子X01の親である遺伝子A01から1、遺伝子A02から1、遺伝子X01の子である遺伝子C01から0.8、遺伝子B01から1.6を合計して、1+1+0.8+1.6=3.4となる。同様に、機能2のスコアは遺伝子A01から1、遺伝子C02から0.8を合計して1+0.8=1.8となり、機能3のスコアは遺伝子C03から0.8となる。
【0111】
適用処理部24は、遺伝子01の機能として、このスコア順の機能のリストを作成する。推定結果書込部26は、スコアの情報も付加して「機能1のスコア3.4、機能2のスコア1.8、機能3のスコア0.8」という情報を推定結果記憶部36に書き込む。図23は、推定結果記憶部36のデータ構造の一部を示す図である。
【0112】
また、表示処理部15は、このような機能に関する推定結果をナビゲーション情報や推定されるネットワーク構造と同時に表示することができる。
【0113】
表示処理部15は、たとえば、図16(c)または図17に示した画面と同時にこのような機能に関する推定結果も表示することができる。表示処理部15は、ユーザの指示に基づき機能に関する推定結果を表示することもできる。
【0114】
本実施の形態において、機能が未知の遺伝子の機能を直接的または間接的な制御関係を有する複数の遺伝子の機能に基づき推定することができるので、機能推定の精度を高めることができる。
【0115】
(第四の実施の形態)
図24は、本発明の第四の実施の形態における、推定支援システム10の構成を示すブロック図である。本実施の形態において、推定支援システム10は、推定処理部18において推定された結果を検証するための実験を提案するために参照される実験提案DB42および実験提案DB42を参照して実験を提案する実験提案部46をさらに含む点で第一〜第三の実施の形態と異なる。実験提案DB42は、パターン毎に、実験計画およびその実験を行うべき理由を記憶する。実験提案部46は、実験提案DB42から実験計画および理由を読み出して表示処理部15および出力部17を介してユーザに実験を提案する処理を行う。また、実験提案部46は、推定結果記憶部36を参照して、推定結果が得られていない遺伝子についての実験を行うようユーザに提案することもできる。
【0116】
図25は、実験提案DB42のデータ構造の一部を示す図である。実験提案DB42は、パターン欄、実験計画欄、および理由欄を含む。実験提案DB42は、パターン1と判別されるノードXおよびノードBに関して、「ノードBとノードXの同時破壊実験を提案する」という実験の計画を保持する。また、実験提案DB42は、この計画に対応付けて、「共通の子ノードが多いので、ノードBのみ、またはノードXのみの遺伝子破壊実験に比べ、表現型に明確な差が出ることが期待できる。」という理由を保持しておくこともできる。たとえば、抽出部20により抽出された遺伝子群においてがパターン1と判別された場合、適用処理部24は、実験提案DB42からこの計画および理由を読み出し、対応関係記憶部31を参照してノードXおよびノードBに対応する遺伝子にこの実験計画等を適用する。推定結果書込部26は、実験計画等を推定結果記憶部36に書き込む。表示処理部15は、推定結果記憶部36から実験計画等を読み出し、ユーザに提示することができる。
【0117】
また、他の例として、遺伝子1〜3の間に図26(a)に示すような制御関係があるときに、図26(b)に示すように遺伝子1と遺伝子3との間の制御関係を削除する推定がされるような場合、実験提案DB42は、このパターンに「遺伝子1と遺伝子2を同時に過剰発現または破壊する実験を提案する。またはいずれかを過剰発現させもう一方を破壊する実験を提案する」という計画を対応付けて記憶する。また、この計画に、「もし遺伝子1から遺伝子3への制御関係が存在していれば、遺伝子1と遺伝子2を同時に変化させた実験の結果は、遺伝子2だけを破壊した(過剰発現させた)実験の結果と比較して、遺伝子3の発現量の変化量が異なると予想されるため」という理由を対応付けて保持する。適用処理部24はこれらの情報を読み出し、表示処理部15は、この実験計画および理由をユーザに表示する。
【0118】
さらに、実験提案DB42は、制御関係に「+」や「−」といった情報が付加されている場合を考慮したパターンにも実験計画および理由を対応付けて記憶する。
【0119】
遺伝子1から遺伝子3への制御関係と、遺伝子1から遺伝子2を経由して遺伝子3への制御関係とが矛盾しないと仮定すると、「−」の有向アークの数がどちらの制御関係も偶数、またはどちらの制御関係も奇数となるので、図27の(1−1)から(1−2)を推定、(2−1)から(2−2)を推定、(3−1)から(3−2)を推定、(4−1)から(4−2)を推定、のいずれかとなる。
【0120】
実験提案DB42は、図27の(1−1)に示した構造から(1−2)に示した構造が推定されるパターンには、「遺伝子1を過剰発現させ遺伝子2を破壊した実験を提案する」という実験計画、および「もし遺伝子1から遺伝子3への制御関係が存在すれば、遺伝子2を破壊しても遺伝子3の発現量は減少分は少ないか増加すると予想されるため」という理由を対応付けて記憶する。
【0121】
実験提案DB42は、図27の(2−1)に示した構造から(2−2)に示した構造が推定されるパターンには、「遺伝子1を過剰発現させ遺伝子2を過剰発現させた実験を提案する」という実験計画、および「もし遺伝子1から遺伝子3への制御関係が存在すれば、遺伝子2を波状発現させても遺伝子3の発現量は減少分が少ないか増加すると予想されるため」という理由を対応付けて記憶する。
【0122】
実験提案DB42は、図27の(3−1)に示した構造から(3−2)に示した構造が推定されるパターンには、「遺伝子1を破壊して遺伝子2を破壊した実験を提案する」という実験計画、および「もし遺伝子1から遺伝子3への制御関係が存在すれば、遺伝子2を破壊しても遺伝子3の発現量は減少分が少ないか増加すると予想されるため」という理由を対応付けて記憶する。
【0123】
実験提案DB42は、図27の(4−1)に示した構造から(4−2)に示した構造が推定されるパターンには、「遺伝子1を破壊して遺伝子2を過剰発現させた実験を提案する」という実験計画、および「もし遺伝子1から遺伝子3への制御関係が存在すれば、遺伝子2を過剰発現させても遺伝子3の発現量は減少分が少ないか増加すると予想されるため」という理由を対応付けて記憶する。
【0124】
さらに、制御関係の削除に関する推定結果がユーザによって指定され、その検証のための実験を提案する場合を考慮して、より長い経路に関するパターンに対応する実験計画を実験提案DB42に記憶させておくこともできる。
【0125】
たとえば、図28(a)に示した構造において、図28(b)に示すように、遺伝子1から遺伝子3への制御関係の削除を推定したときに、遺伝子1から他の遺伝子を経由した場合の遺伝子3への制御関係を考慮する。この場合も、制御する側の遺伝子である遺伝子1と、制御される側の遺伝子3を直接制御しており、遺伝子1から間接的に制御される遺伝子2とを対象として、図27を参照して説明したのと同様の実験計画および理由を実験提案DB42に記憶させておくことができる。
【0126】
実験提案部46は、複数の実験計画を足しあわせて、一の実験で多くの検証を行うことができる実験を優先的にユーザに提示することができる。たとえば、本実施の形態において、実験提案部46は、推定結果記憶部36を参照して、新たに有向アークの追加や削除が推定された遺伝子に関して、他の遺伝子を制御する遺伝子を破壊または過剰発現させる実験を提案することもできる。たとえば、実験提案部46は、推定結果記憶部36におけるポイント数を考慮して、どの遺伝子からの有向アークの追加や削除が多いかを検出する。図15に示したようなナビゲーション情報が得られている場合、遺伝子B02から遺伝子X02、遺伝子A02、遺伝子C02等への制御関係の追加および削除が推定されている。このような場合、実験提案部46は、送受信部12を介して実験結果DB38を参照し、遺伝子B02を破壊または過剰発現させた実験の結果があるか否かを判断する。実験結果DB38に遺伝子B02を破壊または過剰発現させた実験の結果がなければ、実験提案部46は、実験提案DB42から「遺伝子B02を破壊する実験を提案する」という実験計画を読み出し、表示処理部15を介してユーザに提示する。実験提案DB42は、この実験計画に「遺伝子B02に関してまだ行われていない実験を行えば新しい制御関係が見つかる可能性がある」というように、理由を対応付けて記憶する。実験提案部46は、この理由も実験計画と共にユーザに提示する。このように、多くの他の遺伝子への有向アークの追加や削除が多い遺伝子に関して、その遺伝子を破壊または過剰発現させる実験を行うことにより、多くの推定結果を裏付ける検証を行うことができる。
【0127】
【発明の効果】
本発明によれば、遺伝子間の制御関係および機能の推定支援を精度よくわかりやすくおこなう技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態における推定支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実験結果DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図3】図2に示した遺伝子1〜3の遺伝子ネットワーク構造を示す図である。
【図4】ネットワーク構造記憶部のデータ構造の一部を示す図である。
【図5】図4に示したデータ構造に基づき、ユーザに表示される遺伝子ネットワーク構造の一例を示す図である。
【図6】対応関係記憶部のデータ構造の一部を示す図である。
【図7】抽出部が遺伝子群を抽出する手順を説明する図である。
【図8】パターン記憶部のデータ構造の一部を示す図である。
【図9】推定情報記憶部のデータ構造の一部を示す図である。
【図10】推定処理部の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】抽出部により抽出された遺伝子群の一例を示す図である。
【図12】抽出部により抽出された遺伝子群の他の例を示す図である。
【図13】抽出部により抽出された遺伝子群の他の例を示す図である。
【図14】抽出部により抽出された遺伝子群の他の例を示す図である。
【図15】推定結果記憶部のデータ構造の一部を示す図である。
【図16】表示処理部により表示される推定結果を示す画面である。
【図17】表示処理部により表示される推定結果を示す画面である。
【図18】本発明の第二の実施の形態における推定支援システムの構成を示すブロック図である。
【図19】抽出部が抽出した遺伝子群を示す図である。
【図20】本発明の第三の実施の形態における推定支援システムの構成を示すブロック図である。
【図21】機能DBのデータ構造の一部を示す図である。
【図22】ノードXとして遺伝子X01が、ノードBとして遺伝子B01がそれぞれ特定された場合に抽出部により抽出される遺伝子群を示す図である。
【図23】推定結果記憶部のデータ構造の一部を示す図である。
【図24】本発明の第四の実施の形態における、推定支援システムの構成を示すブロック図である。
【図25】実験提案DBのデータ構造の一部を示す図である。
【図26】遺伝子の制御関係の一例を示す図である。
【図27】遺伝子の制御関係を示す図である。
【図28】遺伝子の制御関係を示す図である。
【図29】推定支援システムの構成の他の例を示す図である。
【符号の説明】
10 推定支援システム
12 送受信部
14 ネットワーク構造作成部14
15 表示処理部
16 入力部
17 出力部
18 推定処理部
20 抽出部
22 パターン判別部
24 適用処理部
26 推定結果書込部
28 修正部
30 ネットワーク構造記憶部
31 対応関係記憶部
32 パターン記憶部
34 推定情報記憶部
36 推定結果記憶部
38 実験結果DB
44 信頼度算出部
40 機能DB
48 手順記憶部

Claims (17)

  1. 遺伝子間の制御関係を考慮して制御関係を有する遺伝子間を結合して作成された遺伝子ネットワークにおける遺伝子間の正確な制御関係の推定を支援する推定支援システムであって、
    前記遺伝子ネットワークから複数の遺伝子を特定し、前記複数の遺伝子と、当該複数の遺伝子とその周囲の遺伝子との結合パターンを、前記周囲の遺伝子を前記複数の遺伝子との制御関係に基づき複数の群に分類し、前記複数の遺伝子と、分類された前記群それぞれに含まれる遺伝子との関係を考慮して判別するパターン判別部と、
    複数の結合パターンと、前記複数の結合パターンそれぞれの遺伝子間において推定される制御関係を示す推定情報とを対応付けて記憶する推定情報記憶部と、
    前記推定情報記憶部から、前記パターン判別部が判別した結合パターンに対応付けられた前記推定情報を読み出して、前記推定情報を前記複数の遺伝子と、前記周囲の遺伝子とを含む遺伝子群に適用し、前記遺伝子群の正確な制御関係を推定する適用処理部と、
    を含むことを特徴とする推定支援システム。
  2. 請求項1に記載の推定支援システムにおいて、
    前記周囲の遺伝子は、前記複数の遺伝子それぞれと結合された遺伝子であることを特徴とする推定支援システム。
  3. 請求項1または2に記載の推定支援システムにおいて、
    前記複数の遺伝子は第一および第二の遺伝子を含み、
    前記パターン判別部は、前記周囲の遺伝子を、前記第一の遺伝子に制御される第一の群と、前記第二の遺伝子に制御される第二の群とに分類し、前記第一の群および前記第二の群のいずれか一方に含まれる遺伝子のうち、いずれか他方にも含まれる遺伝子の割合に応じて前記結合パターンを判別することを特徴とする推定支援システム。
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載の推定支援システムにおいて、
    前記複数の遺伝子は第一および第二の遺伝子を含み、
    前記パターン判別部は、前記周囲の遺伝子を、前記第一の遺伝子を制御する第三の群と、前記第二の遺伝子を制御する第四の群とに分類し、前記第三の群および前記第四の群の両方に含まれる遺伝子があるか否かに応じて前記パターンを判別することを特徴とする推定支援システム。
  5. 請求項1乃至4いずれかに記載の推定支援システムにおいて、
    前記遺伝子群の正確な制御関係を表示する表示処理部をさらに含み、
    前記推定情報は、遺伝子間の制御関係を示す結合の追加または削除に関する情報を含み、
    前記表示処理部は、前記遺伝子群に含まれる遺伝子間の組み合わせ毎に前記結合の追加または削除の有無を考慮して前記遺伝子群の正確な制御関係を示すネットワーク構造を作成して表示することを特徴とする推定支援システム。
  6. 請求項1乃至5いずれかに記載の推定支援システムにおいて、
    前記遺伝子群の正確な制御関係を表示する表示処理部をさらに含み、
    前記パターン判別部は、前記複数の遺伝子として異なる遺伝子の組み合わせを順次特定して前記結合パターンをそれぞれ判別し、
    前記適用処理部は、前記複数の遺伝子の異なる組み合わせ毎に、当該複数の遺伝子を含む前記遺伝子群の正確な制御関係を推定し、
    前記表示処理部は、前記適用処理部による複数回の正確な制御関係の推定のうち、重複する推定がある場合、それらを累積した結果を反映して表示することを特徴とする推定支援システム。
  7. 請求項1乃至6いずれかに記載の推定支援システムにおいて、
    前記遺伝子ネットワークにおける結合状態を修正する修正部をさらに含み、
    前記推定情報は、遺伝子間の制御関係を示す結合の追加または削除に関する情報を含み、
    前記修正部は、前記遺伝子群に含まれる遺伝子間の組み合わせ毎に前記結合の追加または削除の有無を考慮して前記遺伝子ネットワークの前記遺伝子群に該当する個所のネットワーク構造を修正することを特徴とする推定支援システム。
  8. 請求項7に記載の推定支援システムにおいて、
    前記パターン判別部は、前記複数の遺伝子として異なる遺伝子の組み合わせを順次特定して前記結合パターンをそれぞれ判別し、
    前記適用処理部は、前記複数の遺伝子の異なる組み合わせ毎に、当該複数の遺伝子を含む前記遺伝子群の正確な制御関係を推定し、
    前記修正部は、前記適用処理部による複数回の正確な制御関係の推定のうち、重複する推定がある場合、それらを累積した結果を反映して前記遺伝子ネットワークを修正することを特徴とする推定支援システム。
  9. 請求項1乃至8いずれかに記載の推定支援システムにおいて、
    前記推定情報を前記遺伝子群に適用する際に、推定情報毎に信頼度を算出する信頼度算出部をさらに含み、
    前記推定情報は、遺伝子間の制御関係を示す結合の追加または削除に関する情報を含み、
    前記信頼度算出部は、一の結合の追加または削除毎に、当該結合の追加または削除により他の遺伝子との間の結合状態に矛盾が生じないか否かに応じて信頼度を算出することを特徴とする推定支援システム。
  10. 請求項1乃至8いずれかに記載の推定支援システムにおいて、
    前記推定情報は、遺伝子間の制御関係を示す結合の追加または削除に関する情報を含み、
    前記推定情報を前記遺伝子群に適用する際に、推定情報毎に信頼度を算出する信頼度算出部をさらに含み、
    前記信頼度算出部は、一の結合の追加または削除毎に、当該結合により結ばれる二つの遺伝子の名称をキーワードとして検索を行った場合の検索結果に応じて信頼度を算出することを特徴とする推定支援システム。
  11. 請求項1乃至10いずれかに記載の推定支援システムにおいて、
    前記遺伝子ネットワークに含まれる遺伝子のうち、機能が既知の遺伝子に関する機能を記憶する機能データベースと、
    前記遺伝子群において、前記複数の遺伝子のうちの一の遺伝子との制御関係に応じて他の遺伝子に重み付けを加え、当該重み付けと各遺伝子の機能とを考慮して前記一の遺伝子の機能を推定する機能推定部と、
    をさらに含むことを特徴とする推定支援システム。
  12. 請求項1乃至11いずれかに記載の推定支援システムにおいて、
    複数の結合パターンと、当該結合パターンに対応付けられた推定情報を検証するための提案情報を記憶する提案情報記憶部と、
    前記提案情報を表示する表示処理部と、
    をさらに含むことを特徴とする推定支援システム。
  13. 請求項1乃至11いずれかに記載の推定支援システムにおいて、
    前記遺伝子群に適用される推定情報を検証するための提案情報を提示する提案部をさらに含み、
    前記パターン判別部は、前記複数の遺伝子として異なる遺伝子の組み合わせを順次特定して前記結合パターンをそれぞれ判別し、
    前記適用処理部は、前記複数の遺伝子の異なる組み合わせ毎に、当該複数の遺伝子を含む前記遺伝子群の正確な制御関係を推定し、
    前記提案部は、前記適用処理部による複数回の正確な制御関係の推定それぞれに含まれる遺伝子に関する情報を累積し、より多くの推定に含まれる遺伝子に関する検証を優先的に提案することを特徴とする推定支援システム。
  14. 請求項1乃至13いずれかに記載の推定支援システムにおいて、
    ユーザからの指示を受け付ける入力部と、
    前記適用処理部により推定された遺伝子群の正確な制御関係を表示する表示処理部と、をさらに含み、
    前記複数の遺伝子は第一および第二の遺伝子を含み、
    前記表示処理部は、前記パターン判別部により前記第一の遺伝子として特定され、前記適用処理部による処理が行われた遺伝子を第一のリストとして表示し、
    前記入力部は、前記第一のリストとして表示された遺伝子の中から一の遺伝子の選択を受け付け、
    前記表示処理部は、前記入力部が選択を受け付けた遺伝子との組み合わせで前記第二の遺伝子として特定され、前記適用処理部による処理が行われた遺伝子を第二のリストとして表示し、
    前記入力部は、前記第二のリストとして表示された遺伝子の中から一の遺伝子の選択を受け付け、
    前記表示処理部は、前記入力部が選択を受け付けた遺伝子を前記第一および前記第二の遺伝子として前記適用処理部が推定した正確な制御関係を表示することを特徴とする推定支援システム。
  15. 請求項1乃至14いずれかに記載の推定支援システムにおいて、
    ユーザからの指示を受け付ける入力部と、
    前記遺伝子ネットワークから、前記適用処理部により正確な制御関係が推定された遺伝子群のネットワーク構造を抽出して表示する表示処理部と、をさらに含み、
    前記入力部は、ユーザから推定結果の表示の指示を受け付け、
    前記表示処理部は、前記入力部が受け付けた指示に基づき、前記ネットワーク構造を前記適用処理部による推定結果を明示して表示することを特徴とする推定支援システム。
  16. 遺伝子間の制御関係を考慮して制御関係を有する遺伝子間を結合して作成された遺伝子ネットワークにおける遺伝子間の正確な制御関係の推定を支援する推定支援システムであって、
    前記遺伝子ネットワークから第一の遺伝子を特定し、前記遺伝子ネットワークから、前記第一の遺伝子と、前記第一の遺伝子により制御される遺伝子を含む第一の群と、前記第一の群に含まれる遺伝子を制御する前記第一の遺伝子とは異なる第二の遺伝子と、前記第二の遺伝子により制御される遺伝子を含む第二の群と、前記第一の遺伝子を制御する遺伝子を含む第三の群と、前記第二の遺伝子を制御する遺伝子を含む第四の群と、を含む遺伝子群を抽出する抽出部と、
    前記第一の群または前記第二の群のいずれか一方に含まれる遺伝子のうち、いずれか他方にも含まれる遺伝子の割合と、前記第三の群および前記第四の群の両方に含まれる遺伝子があるか否かとの条件に応じて前記遺伝子群に含まれる遺伝子間の結合パターンを判別するパターン判別部と、
    結合パターン毎に、その結合パターンに判別される遺伝子間に適用される推定情報を記憶する推定情報記憶部と、
    前記パターン判別部の判別結果に応じて、対応する結合パターンの前記推定情報を前記推定情報記憶部から読み出し、当該推定情報を前記遺伝子群に適用し、前記遺伝子群における遺伝子間の制御関係を推定する適用処理部と、
    を含むことを特徴とする推定支援システム。
  17. コンピュータに、遺伝子間の制御関係を考慮して制御関係を有する遺伝子間を結合して作成された遺伝子ネットワークにおける遺伝子間の正確な制御関係の推定を支援させるためのプログラムであって、
    コンピュータを、
    前記遺伝子ネットワークから複数の遺伝子を特定し、前記複数の遺伝子と、当該複数の遺伝子とその周囲の遺伝子との結合パターンを、前記周囲の遺伝子を前記複数の遺伝子との制御関係に基づき複数の群に分類し、前記複数の遺伝子と、分類された前記群それぞれに含まれる遺伝子との関係を考慮して判別するパターン判別手段、
    複数の結合パターンと、前記複数の結合パターンそれぞれの遺伝子間において推定される制御関係を示す推定情報とを対応付けて記憶する推定情報記憶手段、
    前記推定情報記憶手段から、前記パターン判別手段が判別した結合パターンに対応付けられた前記推定情報を読み出して、前記推定情報を前記複数の遺伝子と、前記周囲の遺伝子とを含む遺伝子群に適用し、前記遺伝子群の正確な制御関係を推定する適用処理手段、
    として機能させることを特徴とするプログラム。
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